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作成:2008/11/09
更新:2009/08/24

ウルフ竜機兵団 3067



 3058年のコベントリ戦以降、独立傭兵として比較的地味な任務についていたウルフ竜機兵団は、3060年代に本拠地アウトリーチの周囲で政治的な策謀とぶつかることになります。
 敵の名はワード・オブ・ブレイク。カオス境界域での勢力拡大を図るブレイク信徒が、竜機兵団とぶつかるのは必然でした。
 3066年、竜機兵団はワード・オブ・ブレイクと戦うために、AMC(傭兵連合軍)を結成します。その構成部隊は、ノースウィンド・ハイランダーズ、リンドン大隊、ディズマル・ディシンヘリテッドなど名声ある一流傭兵ばかりです。









ウルフ竜機兵団:ウルフパック

 内戦以降、ウルフ竜機兵団は、物的損害を補充し、戦闘能力を取り戻すのに時間を費やしている。彼らは、元連邦共和国の政治的泥沼と、カペラ大連邦国、ドラコ連合との紛争からほぼ距離を置いたが、ジェイドファルコンがコベントリを侵攻した際にはキャサリン・シュタイナー=ダヴィオン元国家主席=女王からの救援に答えている。また、この侵攻でファルコンがモルゲスに二度目の攻撃を仕掛けると、彼らは第4スカイア特戦隊を支援した。だが、ワード・オブ・ブレイクがカオス境界域中の組織化された政府を買収し始めると、竜機兵団は政府がない世界の擁護者となることを引き受けた。彼らはブレイク信徒のカオス境界域乗っ取りを妨げるため、ノースウィンド・ハイランダーズやディズマル・ディシンヘリテッドなどと共に、傭兵同盟軍を結成した。境界域内での活動を縮小するとのリャオ首相の約束(ちょっとした承認)を得た後で、竜機兵団はブレイク信徒を押さえ込もうとしてきた。いくつかの世界で、竜機兵団同盟軍とワード・オブ・ブレイク軍(ブレイク市民軍兵、雇われ兵の双方)の激しい戦いが相当数発生しているのだが、戦争は勃発していない。

 一般に言って、ウルフ竜機兵団が契約を再開したのは近年のことである。ガンマ連隊は最近、チコノフの守備契約を結び、ベータ連隊はエプシロンエリダニでのカペラの仕事から戻ったところである。アルファ、デルタ連隊はドラコ連合のゴーストベアドミニオン国境の世界に駐屯し、この文章を書いている時点で、ウルフスパイダーとゼータ大隊がクリタ宙域にいる姉妹部隊のところに向かうのが予定されている。一方で、エプシロンとベータがアウトリーチに残り、自軍と本拠地防衛軍が失われた部隊を取り返すか、他部隊の準備が出来るのを待っている。



指揮

 引退して以降、最高司令官ジェイム・ウルフは、アウトリーチの統治に力を注いでいる。メーヴ・ウルフ将軍は現在、竜機兵団の指揮を完全に掌握しているが、ウルフ司令官は将軍の現役顧問のままで残っている。

 竜機兵団は戦略指揮権を持つのを好むが、それを強要はしない。だが、戦術指揮権を手放すことはなく、どの部隊にもウルフ司令官、ウルフ将軍の指揮小隊を配備する権利を保有する。



現有組織と組織

 竜機兵団は諸兵科連合支援付きの5個強化戦闘連隊、2個独立強化大隊を配備する。加えて、4個作戦隊――航空宇宙、支援、特殊部隊、アウトリーチ隊から戦力を呼び出すことが出来る。

 竜機兵団は中心領域と氏族を混ぜ合わせた独特の組織を使っている。全体として、彼らは中心領域流のメック4機小隊と、氏族流のメック5機星隊を同程度に配備している。気圏戦闘機と装甲車両が通常の中心領域ドクトリンに従う一方で、エレメンタルは通常の氏族隊形で展開している。バトルメック中隊は3個小隊を持ち、普通は中隊指揮官の名前を付けられる。各連隊は諸兵科連合中隊に率いられる。その編成は、1個メック小隊、2個メック星隊、1個戦闘機小隊、1個エレメンタルポイント、偵察小隊(指揮車両、偵察車4両、高速軽中量級メック)である。各大隊の組織は独立指揮小隊に率いられる3個中隊になっている。

 歴史的に、竜機兵団の戦闘隊は、一部変更された諸兵科連合編成に沿って組織され、各連隊は必要なときに装甲大隊、エレメンタル大隊、航空大隊に支援されていた。だが、エプシロン・エリダニの戦闘後、竜機兵団は下位部隊を強化し、戦場に幅広い戦術的オプションを与えた。



支援

 竜機兵団は各種の支援隊を持ち、直接戦闘支援から前線兵士までを幅広く供給する。支援人員の他の職務は、兵站、輸送、技術支援、保安、諜報で、彼らはアウトリーチの施設を管理している。竜機兵団の支援隊は、以下に記述する6個の軍に分かれる。


竜機兵団海軍隊
指揮官:イソラ・チャンドラ艦隊大佐
 竜機兵団海軍隊は、22隻の航宙艦、81隻の降下船、2基の防衛充電ステーションで構成される。航空宇宙隊は前線部隊の損失を埋めるために減少した。小規模になったのだが、6個強化気圏戦闘機大隊を誇る。竜機兵団海軍の最大の戦力は6隻の戦艦である。各艦はWDMS(ウルフ竜機兵団戦艦)の名を帯びる。
 竜機兵団の戦艦隊は以下の通りである。アレクサンダー(イージス級重巡洋艦)、ベイオウルフ(コングレス級フリゲート艦)、ダリウス、ネルソン(ローラIII級駆逐艦)、アテナ(ソヴィエツキー・ソユーズ級重巡洋艦)、マーズ(ヴィンセントMk42級コルベット)。


竜機兵団支援隊
指揮官:ジェイソン・ワード大佐
 竜機兵団支援隊は、1個バトルメック火力支援大隊、2個装甲大隊、1個完全エレメンタル星団隊を持つ。航空宇宙隊のように、これらの隊は前線部隊への異動で減少している。


竜機兵団特殊作戦隊
指揮官:ピェトル・シャッド大佐
 この隊は、竜機兵団特殊偵察群、第7奇襲部隊、ウルフネット(竜機兵団の諜報を取り仕切る)を持つ。偵察群はアルファ連隊に一時的に付いている。彼らは中心領域で最高の部類に入るが、一部の報告によると、ウルフネットと第7奇襲部隊はカオス境界域で敗北し、情報収集能力とその他の作戦実行能力に深刻な妨げが出ているとのことである。現在、奇襲部隊は5個小隊のうち3個が作戦可能である。


竜機兵団アウトリーチ隊
指揮官:最高司令官ジェイム・ウルフ
 アウトリーチ隊は竜機兵団本拠地防衛軍、竜機兵団契約群、バトルメック運用本部、装甲運用本部、歩兵運用本部、アウトバック訓練、斡旋群を監督する。ジェイム・ウルフが教官を務めるアウトリーチ傭兵訓練隊(OMTC)もその一部である。本拠地防衛軍は、1個一般兵バトルメック連隊、2個古参兵装甲連隊、5個古参兵歩兵連隊である。前線部隊を強化するための部隊異動があったことから、本拠地防衛軍の戦力はいささか減少している。


竜機兵団技術支援隊
 ウルフ竜機兵団は最上級の技術スタッフをそろえている。各隊は竜機兵団の高い基準に沿う機体を維持するのに必要な技術支援を供給可能である。ブラックウェル工業などの企業からも支援を要請可能だ。加えて、竜機兵団は高度な医療、研究設備を持っており、アウトリーチでの医療ケアと戦闘任務に携わる医療人員の双方がある。これらにはいくつかの研究施設が含まれ、噂によると、遺伝子研究所があるとのことだ。



配色と記章

 竜機兵団ははっきりとした色彩を好む。バトルメックは通常、赤か金か黒で塗装される。戦闘機はカナリアイエローか、ファイアリーオレンジに塗装されることもあるが、古典的な赤と黒が一般的である。竜機兵団のバトルアーマーはカモフラージュパターンを採用し、たいていは上位部隊と同じ塗装がされる。竜機兵団の記章は、黒の縁取りがされた赤地に、咆吼する黒い狼である。





アルファ連隊: ダイアウルヴズ

 アルファ連隊は、中心領域で最も資質に恵まれ、最も経験豊かな戦士たちからなる、エリート中のエリートである。竜機兵団で最高の士官たちに率いられ、氏族技術の頂点、オムニメックを装備するこの連隊は、どんな戦場でも考慮に入れられる部隊である。

 ファルコンがライラ同盟に侵入した時、アルファはデルタ連隊と共に、アークロイヤル防衛戦線の訓練の支援を行っていた。デルタはコベントリに移動し中心領域軍を支援する一方で、アルファはモルゲスでファルコンとぶつかり、第4スカイア特戦隊、第20アークトゥルス防衛軍と並んで、ファルコンを破る役に立ったのである。

 アルファ、デルタ連隊は最近、クリタ家と契約し、近年、一触即発の状態にあるゴーストベア/連合国境の惑星に駐留した。この動きは、侵攻を仕掛けてきたら最高の部隊に遭遇することになるという強いシグナルであり、またウルフパックが再び狩りを行っているとの宣言になった。この契約に備え、アルファ連隊はデルタと共に昨年一年を訓練に費やし、ガンマ連隊がゴーストベア役の仮想敵を務めた。アルファとデルタはそれぞれ、ウルフ将軍の新戦略戦術教義に合わせた完全な旅団規模にある。必要な追加の部隊――強化気圏戦闘機連隊と装甲、歩兵連隊――は、竜機兵戦闘隊、海軍支援隊から引き抜かれた。戦力を向上させるため、戦艦アレクサンダーとマーズがアルファ戦闘団に配備された。

 連隊の各機体は黒に縁取られたラストレッドで塗装され、記章であるギリシャ文字のAが描かれる。

竜機兵団評価値: A*

士官
 ケリー・ユキノフ大佐、またの名を「無敵の超人」は、この20年以上アルファ連隊を率いている。ジェイム・ウルフ、メーヴ・ウルフに継ぐ次席指揮官である彼は竜機兵団の最先任士官である。最近、ユキノフ将軍はドラコ連合での仕事が終わったら引退する予定であると発表した。

戦術
 アルファは連隊での機動が可能な開けた地形での交戦を専門とする。部隊全体はどのような地形でも同じように作戦可能だ。現在、旅団戦力にあるこの部隊は、最小限の規模で統合し、戦場での力を強化することができる。

アルファ指揮中隊
強化混成中隊/エリート/信頼できる
指揮官:ケリー・ユキノフ大佐
副官:エド・パシュケ中佐
 通常、アルファ指揮中隊は、連隊、旅団のどんな部隊にも加わる。

アルファ連隊
強化連隊/エリート/信頼できる
エイブル大隊:ダイアナ・ピエトール少佐
ベイカー大隊:トム・ドミンゲス少佐
チャーリー大隊:アントン・ブレイク少佐
 エイブル大隊は連隊のワークホース部隊である……敵部隊の拘束を専門とし、その間ベイカーが敵の側面を叩く。レッドデビルことベイカーは組織化された強襲を専門とする。チャーリーは真の軽騎兵部隊である。パスファインダーの名を持つ彼らは軽偵察攻撃に優れる。

クイックシルバー
強化連隊/古参兵/信頼できる
装甲隊指揮官:フランクリン・アサワノ中佐
 軽中量級車両からなる強化大隊だったこの部隊は、ほとんど一夜にして指揮小隊と連隊サイズになった。新たに加わった兵士たちにより、部隊全体の評価は古参兵に低下している。

ブラッシュ・ストーカーズ
連隊/古参兵/信頼できる
歩兵隊指揮官:クェンティン・シャッド中佐
 ブラッシュ・ストーカーズが連隊サイズに拡大したのは、竜機兵団が戦術教義を変更した時のことである。この連隊は230名のバトルアーマー兵を、9個星隊と1個指揮ポイントに分けて配備する。ブラッシュ・ストーカーズは集団攻撃とヘッドハンティング任務を専門とする。

ウルフ・ライダーズ
連隊/古参兵/信頼できる
航空隊指揮官:レジーナ・レインズ中佐
 竜機兵団海軍から配置転換となったウルフライダーズは、現在、アルファ連隊に恒久的に配備されている。CCAF(カペラ軍)の組織をモデルにしたライダーズは3個航空大隊(それぞれに指揮分隊)を持ち、中重量級の氏族製、中心領域製オムニ戦闘機を装備している。





ベータ連隊: ティンバーウルヴズ

 アルファ連隊と同等の地位を持っているのだが、ベータは竜機兵団が中心領域に現れて以来、アルファの影に隠れている。「竜機兵団戦争孤児」によって再編成されたベータは、最初に実戦に入り、竜機兵団の規範を示した。それ以来、連隊の「孤児たち」は自ら学んでベータの伝統を守った。竜機兵団内戦ではアルピン派に加わったベータは、他の竜機兵団部隊と同じように戦闘で破壊され、4年かけて作戦可能なまでに回復した。

 ワード・オブ・ブレイクが、カフやエプシロンエリダニ、リバティなどで影響力を拡大すると、ベータ連隊はカオス境界域で活動する竜機兵団の主力となった。エプシロン・エリダニに駐屯していた間、ベータ連隊はブレイク教団の第1師団とぶつかり、両エリート部隊は数ヶ月間宇宙で衝突した。残念ながら、竜機兵団の航空支援の不足は高くついた。竜機兵団の降下船2隻が惑星降下を行う前にブレイク派の気圏戦闘機に破壊されたのである。充分な航空、装甲、歩兵支援に欠け、補給が低下し、多数の死傷者を出し、30パーセントの装備が損耗するという状況において、アントン・ランド大佐は部隊に撤退を命令した。

 ベータ連隊は打ちのめされていたが、活動できる状態にあった。ウルフ将軍はランド将軍の行動を認め、エリダニでの敗北は、ランドの失敗ではなく、竜機兵団の戦術ドクトリンに問題があったからとした。その結果、竜機兵団は戦略・戦術ドクトリン(戦闘競技)を大規模に変更した。ブレイク派などがもたらす驚異に対応するため、前線部隊の支援部隊を拡充して、戦力を強化した。現在、ベータ連隊はメックの損害を竜機兵団戦闘支援隊、アウトリーチ隊の機体で埋めているのだが、支援部隊に関しては再建が遅々として進んでいない。なぜなら、必要な交替人員が他の前線部隊に向かっているからである。だが、来年の終わりまでには、ベータは航空支援を含め完全な戦力となる予定である。

 ベータ連隊はすべてのマシンをエメラルドグリーンに塗装する。記章はギリシャ文字のBで、メックの左脚、戦闘機の左翼、車両の左側面に塗装される。

竜機兵団評価値: A*

士官
 勇将には部下がついてくると言われるが、アントン・ランド大佐はまさにそのようなリーダーである。即興の名人であるランドは、全体像が分からない限り、意味不明の命令を出すことがよくある。これによって、部隊はエプシロン・エリダニで結束を守ったのだった。

 ラーゴ・ノヴァキャット少佐は、ベータ連隊の熱狂的な竜機兵団転向者である。彼は指揮下のエレメンタルたちをどのような戦場でも恐怖となるものにした。

戦術
 ベータ連隊は不意打ち、だまし討ち戦術を好む。通常、チャーリー大隊が予備となり、連隊の残りは広域に分散する。敵が戦闘に加わると、チャーリーは解き放たれ、破壊的な効果を発揮する。

ベータ連隊
連隊/エリート/信頼できる
指揮官:アントン・ランド大佐
副官:カイル・ルビンスキー少佐
エイブル大隊:ジャニス・キョミータ少佐
ベーカー大隊:キース・ロマックス少佐
チャーリー大隊:アンドローポフ・キース少佐
 エイブル大隊は連隊で最もタフな戦いを担当する重部隊である。べーカー大隊は機動性を使って序盤戦で優位に立とうとする。チャーリー大隊は高速中量級メックで構成されたベータの騎兵隊である。連隊指揮中隊は、損害を埋めるために、連隊に組み入れられている。

ロングライダーズ
2個中隊/古参兵/信頼できる
デビル大隊:リーバ・マックレラン少佐
 エプシロンエリダニ戦の前に、ロングライダーズはエリートの称号を取り戻しており、それがブレイク軍の容赦ない強襲から部隊を救い、崩壊を免れることになったのである。部隊は重無限軌道車の大半を失い、2個重ホバークラフト中隊が残された。損害回復は今年の末までに行われる予定であるが、搭乗員に関しては別の話である。

ニーキャッパーズ
強化エレメンタル大隊/古参兵/信頼できる
歩兵隊長:ラーゴ・ノヴァキャット少佐
 ニーキャッパーズは竜機兵団内で伝説的である。敵メックに群がり、移動不能とする彼らのお家芸は「ニーキャッピング(膝撃ち)」と呼ばれ、バトルアーマー歩兵訓練の基本とされている。この部隊は若干定員割れしているが、3068年の夏には完全な戦力に戻る予定である。





ガンマ連隊: シャドウウルヴズ

 もし傭兵隊が根本的に負け犬根性を持っているというのなら、ガンマ連隊はそれにあたるだろう。ニューヴァレンシアでマッカロン装甲機兵隊と衝突し竜機兵団の家族を守った時から、ワラキアのサーモ平原でオリエント機兵隊2個旅団の情けない容赦ない強襲を受けて守りきった時まで、ガンマは不利な戦いを生き抜いてきた。ガンマが不運に屈することはなかったのである……竜機兵団内戦でアルピンにつくまでは。戦後、ガンマの行く末は不透明なままであった。しかし、ティレル大佐が指揮をとると、竜機兵団最高司令部は部隊再建が可能であると確信した。はみ出し者、不満分子たちを抹消した後で、彼はルシエンで捕らえた氏族戦士たちを部隊再建に役立てた。

 ガンマは4年かけて、厳しいブートキャンプ訓練を行った……肉体鍛錬、密集隊形教練、竜機兵団の歴史と部隊のリメンバランスの勉強などである。真摯な取り組みによって、連隊の隊員たちは新たな方向性を見いだし、竜機兵団のアイデンティティを新たにすると共に、自分たちの力を理解した。3061年から3066年にかけて、ガンマ連隊は仮想敵部隊を務め、竜機兵団部隊と、リンドン大隊のようなAMC部隊を相手にしたのだった。

 3067年の前半、カペラ大連邦国が竜機兵団に近づき、チコノフの防衛契約を持ちかけた。竜機兵団は3067年春の終わりに、ガンマ連隊を難なくチコノフに展開した。竜機兵団の戦艦、アテナとベイオウルフがガンマに同行し、前衛戦闘機隊、強襲降下船と共に護衛を行い、封鎖を突破した。不利を悟った恒星連邦軍は竜機兵団艦隊に挑戦しなかった。3067年の9月前半までに、恒星連邦はチコノフから撤退し、竜機兵団の両戦艦は10月前半までにアウトリーチに帰還した。

 ベータ連隊はすべてのマシンをミッドナイトブルーに塗装する。記章はメックの右脚大腿部、戦闘機の胴体に描かれるギリシャ文字のΓである。

竜機兵団評価値: A*

士官
 アーウィン"親方"ティレルは、厳しいが公正な男である。規律に厳格な彼は部下と自分自身に完璧を求める。彼は専心が魂を浄化すると信じており、まず第一にそれを行う。彼は信念を共有する幕僚団を作り上げ、それが部隊の教育を助けた。キャシー・ノストラ少佐、アルマンド・ノヴァキャット少佐、レオン・ウィンタース少佐は、ガンマ連隊に新たな競争心と仲間意識をたたき込んだ。

戦術
 5年間、他の竜機兵団部隊を相手に仮想敵部隊を務めたことは、ガンマに幅広い戦術の引き出しを与えた。この連隊は中心領域、氏族、両方の戦術に等しく熟達している。

ガンマ連隊
増強連隊/エリート/信頼できる
指揮官:アーウィン・ティレル大佐
副官:リー・サン・クァン少佐
エイブル大隊:パトリック・シモンズ少佐
ベーカー大隊:キャシー・ノストラ少佐
チャーリー大隊:アルマンド少佐
 エイブル大隊は夜間作戦を専門とする。べーカー大隊は強襲大隊である。用心深いことで知られるチャーリー大隊は、部隊のワークホースである。

第15竜機兵団重装甲隊
連隊/古参兵/信頼できる
装甲隊長:ハキム・バジーラ中佐
 つい最近昇進したバジーラ中佐は、この部隊を竜機兵団で最上級の装甲隊とした。第15竜機兵団は最大重量の主力戦車数両を装備し、偵察用のホバー戦車中隊を各大隊、ミサイル・間接砲隊群に配備している。

ゲス
エレメンタル連隊/古参兵/信頼できる
歩兵隊長:レオン・ウィンタース中佐
 他のバトルアーマー部隊と同じように、ゲスは9個星隊と1個指揮ポイントに拡大された。ウィンタース中佐はヘッドハンター作戦を専門とし、メックと組んだ諸兵科連合の訓練を大規模に行っている。

ホーラーズ
連隊/古参兵/信頼できる
航空宇宙隊長:ウィリアム・ルルー中佐
 この連隊は仮想敵部隊の一部としてガンマに付けられ、数年かけて地上支援、正確な爆撃、航空優勢を完成させた。ホーラーズは氏族製、中心領域製の重オムニ戦闘機を装備している。





デルタ連隊: グレイウルヴズ

 デルタ連隊は、ハロランVのゲシン市でブラックウィンド槍機兵隊を相手に奮戦し勝利をもぎ取ったことから、ニューアラゴン戦の忘れられた丘でノースウィンドにほとんど殲滅されたかったことまで、輝かしい経歴を積み重ねてきた。それらのすべてを通し、デルタ連隊があきらめたことはなかった……彼らは足を踏みしめ、激しく戦ってきたのである。この粘り強さはヘスペラスIIで生命をかけて戦った時に何よりも発揮された。ライラ防衛戦線の背後に降下したデルタは、着地する前に20%の損害を負った。それにもかかわらず、彼らはどうにかライラの戦線を破るのに成功し、交戦中の他竜機兵団連隊を救援したのである。

 デルタ連隊はクロッシングで最悪の敗北を被った……ドラコ連合最高の部隊を相手にして、ひどい損害を受けたのだ。デルタは悲運の時代を生き残って、3037年の下半期に再建され、この年が終わるまでに最初の任務についた。マーチソン襲撃で、デルタは第22ディーロン正規隊(装甲隊、エリート歩兵隊の支援があった)に出くわした。すさまじい損害を負った竜機兵団連隊は総崩れとなり、アウトリーチに足を引きずって戻っていった。一年を再建に費やした後、彼らは"ブラックウィドウ"ナターシャ・ケレンスキーの訓練を受け、3045年、任務に就く準備が出来た。彼らはすぐルシエンでジャガーとノヴァキャットを相手に勇気を証明した。

 3055年、竜機兵団内戦の時、デルタ惑星外での駐屯契約を達成するのに忙しく、よって虐殺を免れたのである。連隊は、3058年、ファルコン侵攻の際、コベントリで実戦を経験し、ワコー特戦隊を含むタスクフォースの一部として活動した。デルタ連隊はファルコン部隊と激しく戦ったが、ワコー隊を壊滅させたのと同じ待ち伏せ攻撃で手傷を負った。救援が来た後で、デルタはアウトリーチに戻り、数年間を損害の回復に費やし、最終的にドラコ連合に配備されることとなった。

 連隊は機体にダスティグレイの塗装を施す。連隊の記章はギリシャ文字のDである。

竜機兵団評価値: A*

士官
 元歩兵士官のシェリー・ブラベイカー大佐は、部隊指揮を執るべく昇進した竜機兵団士官の一例である。ジェリー・メアンダー少佐は戦術士官で、竜機兵団で並ぶことのない諸兵科連合の知識を持った元戦車兵である。

戦術
 デルタはTO&Eに装甲隊を付け加えたので、現在、騎兵戦術を使うことが出来る。装甲隊を使って敵の側面を悩ませ、その間、重部隊が正面を攻撃するのだ。

デルタ指揮中隊
強化混成中隊/エリート/信頼できる
指揮官:シェリー・ブラベイカー大佐
副官:ビル・パクソン中佐
 デルタ指揮中隊は接近戦を信奉している。各オムニメックは最低でも1門の大口径オートキャノンを持ち、近距離で交戦可能である。

デルタ連隊
連隊/エリート/信頼できる
エイブル大隊:ジェリー・メアンダー少佐
ベーカー大隊:トリーシャ・ヴェシーニ少佐
チャーリー大隊:ポール・ヤコブ少佐
 エイブルはオムニメック、重メックを配備する打撃部隊である。べーカー大隊は機動性の高い軽量級、中量級メックの強化偵察隊である。ファランクスの名で知られるチャーリー大隊は、他部隊を支援する防衛陣を得意としている。

第75竜機兵団装甲隊
強化連隊/一般兵/信頼できる
装甲隊指揮官:ステファン・ロックウェル中佐
 本拠防衛軍と竜機兵団戦闘隊から作られた新部隊、第75は昨年デルタ連隊に加わった。一兵卒から昇進した筋金入りの戦車兵がこの部隊を率いている。連隊の持つ4個大隊は、重無限軌道、ホバー、間接砲で均等に編成されている。

レディングス・エアレンジャーズ
連隊/古参兵/信頼できる
航空隊指揮官:ジョシュア・レディングス少佐
 レディングスは部隊がメックと同じく戦車兵とも行動できるように部下を再教育せねばならなかった。これまでのところ、彼らはこの役割をきっちり果たしている。エアレンジャーズは1個小隊あたり4機という旧来の組織を保っている。

ウィンターストームウルヴズ
強化連隊/古参兵/信頼できる
装甲隊指揮官:エリアス・ウィンタース少佐
 最近の戦術ドクトリンの変更によって、ウィンタース少佐は部隊を連隊規模まで再組織する許可を受けた。彼は多様性が強さと柔軟性を作り出すと信じている。この部隊には、強化機械化装甲歩兵大隊、ジャンプ歩兵大隊群が含まれている。





エプシロン連隊: デザートウルヴズ

 エプシロン連隊の戦闘記録は竜機兵団の他部隊と同じく目を見張るようなものである。彼らの初陣は、3007年、スークのヘゲモニーベイ市外周部で、第4予備機兵団を相手にした交戦だ。アルファ連隊がタオメックワークスを攻撃し、生産再開まで半年かかる損傷を与えていた頃、エプシロンはアルファがこの任務を達成するのに充分なほど第4機兵団を足止めした。3008年3月の後半、ニューアラゴンで、エプシロンはエスタカード山脈のピルボックスヒルで、ノースウィンドハイランダーズを撃破した唯一の竜機兵団連隊となっていった。丘をかけた厳しい戦闘はニューアラゴンの戦いで最も熾烈なものとなり、エプシロンの才能豊かな戦士たちが犠牲となってしまった。他の竜機兵団と同じく、エプシロンは弱小部隊なら全滅してしまうような逆境と不利に直面して、それでも生き残ってきた。一貫してこの部隊は破滅の運命から遠く離れていたのである……ミザリーまでは。歴史上最大のメック対メック戦のひとつとして知られるミザリーの戦いは、エプシロンを4個臨時中隊にまで減少させた。第4次継承権戦争が終わるまでに、エプシロンは部隊壊滅のリストに入れられた。

 連隊は再建され、現在の指揮官、エリザベス・ニコル大佐など生存者たちの努力により、3042年までに現役復帰した。彼女は3046年に連隊の指揮をとり、竜機兵団の歴史上暗い時期を率いた。竜機兵団内戦の間、ニコル大佐は戦士による僅差の投票でアルピン派につかざるを得なくなった。彼女はハローズサンと同じように、機動戦を行い、たいていの場合は戦闘から離れ、比較的無事なままで切り抜けられるようにしたのである。

 連邦共和国内戦が勃発した時、連隊は砂漠の世界ケサイIVに駐屯し、訓練任務を遂行していた。任務放棄は出来なかったので、ニコル大佐はサンドヴァル公に対し、竜機兵団は内戦に参加したくはないと通告し、いずれの陣営に対する作戦行動も拒絶した。3064年10月、契約が切れると、エプシロンは第1ケチ戦闘部隊と交替した。アウトリーチへの帰還に際し、連隊はインベーダー級航宙艦の消失という悲劇的な事故に遭遇した。航宙艦と共に、チャーリー大隊の2個中隊を載せていたユニオン級降下船〈サニーヴァ〉〈ヘブリディーズ〉と、通常部隊を載せていたフォートレス級降下船〈オツ〉が失われた。残された破片は船がジャンプの時に爆発したことを物語っていた。打撃を受けたエプシロンは損害をゆっくりと取り戻そうとしている。

 連隊はすべてのマシンを褐色一色で塗装する。連隊の記章はギリシャ文字のEで、各メックの右胴下に位置する。

竜機兵団評価値: A*

士官
 ドゥエイン・ラブデー少佐と共にチャーリー大隊の大半が事故死したことは、部隊にとって大打撃であった。それにもかかわらず、生き残った最先任士官エリック・ジョンソン大尉が壊滅した部隊の再建という挑戦を受け入れた。竜機兵団戦闘隊と本拠地防衛軍の人員流入により、ジョンソンはどうにか損害を補充できたが、戦闘経験はそういかなかった。彼は過去三年を費やして、新人たちを部隊全体と同じ水準まで引き上げた。

戦術
 ニコル大佐は敵を怒らせるために、陽動と遅延を使い、次に待ち伏せを仕掛ける。兵士たちは敵がフラストレーションを募らせるまで戦場で壮大なダンスを行い、よって彼らは陽動に引っかかることになる。そこでエプシロンは敵を叩きのめす。

エプシロン指揮中隊
増強混合中隊/エリート/信頼できる
指揮官:エリザベス・ニコール大佐
副官:サミュエル・ウー少佐
 連隊の中でも最も重量のある部隊のひとつとしてリストアップされている指揮中隊は、その名簿に14機の強襲級オムニメックを載せている。

エプシロン連隊
増強連隊/エリート/信頼できる
エイブル大隊:ドナルド・ラリオス少佐
ベータ大隊:ジーン・マクルーエン少佐
チャーリー大隊:エリック・ジョンソン少佐
 高速で機動力のある軽量級、中量級、重量級バトルメック、オムニメックを持つ、エイブル大隊(またの名をコンキスタドール)は、各種の部隊と共に大規模な機動を行う達人である。べーカー大隊(ジーン槍機兵隊で知られる)はジャンプジェットを装備した中量級オムニメックで構成されている。この大隊は敵が連隊に対して動いた時の逆襲部隊としての役目を負っている。チャーリー大隊(エリック・ノースメンと呼ばれる)は強襲部隊として再建された。チャーリーは敵を足止めするために高速重強襲級オムニメックを使い、他部隊が必要な場所へ移動している間に敵を痛めつける。





ウルフスパイダー大隊: ウィドウズレガシー

 全竜機兵団で、ウルフスパイダー隊――かつては悪名高いブラックウィドウ中隊として知られていた――は、飛び抜けて知名度が高い。3014年、アントン・マーリックの反乱の際に結成されたこの部隊は、トラブルメーカー、不平分子が配属される「ラストチャンス」であった。ナターシャ・ケレンスキー大尉(当時)は、独裁的な指揮スタイルを用いて、これらのはみ出し者たちを、模範的な野戦軍に作り替えたのだ。

 キャロウェイVIでは、彼らは絶望的なしんがりをつとめ、包囲された竜機兵団姉妹部隊の脱出を成功させた。それからブラックウィドウは、ゼータ大隊と共に、ラモンへと上陸し、罠から飛び出してきた第7アークトゥルス防衛軍と直面した……竜機兵団の諜報部が数少ない失敗例のひとつとして、彼らを見落としていたのである。竜機兵団の士気と経験は、秩序正しく撤退するのを許した。ヘスペラスIIにおいて、ウルフスパイダー隊はデルタ、エプシロン連隊のためにライラの戦線を突破した。6ヶ月の修理期間後、部隊は再びニュー・ウェセックスで作戦活動を行い、ワコー特戦隊と第20ドラコ連隊を混乱させ、DCMS部隊の27小隊のうち18小隊を倒した。ブラックウィドウの最良の時期は、ミザリーでミノブ・テツハラを打ち破るのを手助けした時から始まり、クロッシングの戦いでブラックウィドウがウルフ隊員を守った時に終わった。

 第四次継承戦争後、ブラックウィドウは大隊に拡大して資金を稼ぎ、その間にウルフ大佐が打ちのめされ消耗した傭兵隊を再建した。この時、ウィドウはミザリー以前のように活躍した。ウィドウは3039年にホールで第18マーリック国民軍と遭遇した。新たに再組織されたウィドウは、第18の第2大隊を捕らえ、クリスマスイブに残りの国民軍に大損害を与えた。ベータ連隊が再始動した時、ウルフ大佐はブラックウィドウを呼び戻し、残った竜機兵団連隊の訓練を行わせた。氏族が中心領域に侵攻し、ウルフスパイダー隊内の全ブラッドネーム持ち戦士に招集をかけると、ジョン・クレイヴェル(ブラックウィドウ中隊時代の一員)が指揮を継いだ。

 竜機兵団内戦中、ウルフスパイダーはウルフ大佐の側に立ち、メーヴ大尉(当時)の指揮の下で戦った。ウルフスパイダーはアルピン隊を撃破し、メーヴが一騎打ちで彼を殺したのだった。スパイダーはここ6年間、カオス境界域でトラブルシューター部隊として過ごした。3066年、彼らはホールで、ブラッディハンドを自称するゲリラグループ(ヘリオスで最初に発見された)と衝突した。セルを一掃する前に、スパイダー隊は、テロリスト式の自爆攻撃で、2個星隊と奇襲部隊員1個分隊を失った。ブラッディハンドは、ウルフスパイダーが帰還した後で、アウトリーチに現れ、コムスター施設とハーレフ郊外の発電所に小規模な損害を与えた。ウルフスパイダーは今月末までに、ドラコ連合に向かう予定である。

 部隊はマシンを黒く塗装し、血の赤で縁取る。部隊の記章は、腹に赤の砂時計を抱えたコモリグモ(ウルフスパイダー)である。

竜機兵団評価値: A*

士官
 ジョン"伊達者"クレイヴェル少佐は、戦闘に入るのを怖れない積極的な指揮官である。次席指揮官、イアン・マッキントッシュ大尉は、各種戦術、対テロリスト作戦の達人である。この人物は元奇襲部隊員で、メック戦士になるテストに合格した。

戦術
 クレイヴェルは、1個メック星隊で敵をおびき寄せ、待ち伏せていた残りの部隊で包囲するのを楽しむ。ウルフスパイダーは、特に最近のホールでの経験後、対テロ、対ゲリラ戦術の達人となった。

ウルフスパイダー大隊
強化メック大隊/エリート/狂信的
指揮官:ジョン・クレイヴェル少佐
スパイダー三連星隊:イアン・マッキントッシュ大尉
タランチュラ三連星隊:ダーク・サミュエルズ大尉
ブラックウィドウ三連星隊:ステイシー・チャーチ大尉
 クレイヴェル少佐がウルフスパイダー指揮星隊を率いている。大隊が展開するメックはすべて氏族製オムニメックである。スパイダー三連星隊は強襲部隊で、重強襲級オムニメックを持つ。タランチュラ三連星隊は、軽中量級オムニメックの偵察/斥候部隊である。ブラックウィドウは2個中量級星隊と1個重オムニメック星隊を持つ。

ウィドウ・フライト
航空中隊/エリート/狂信的
航空隊長:アンドレア・タイラー大尉
 この中隊は6機の重オムニ戦闘機からなる。操縦するパイロットは、地上支援、空爆に熟達している。

第3歩兵隊、第7奇襲部隊(グレイウルフ)
奇襲打撃部隊/エリート/信頼できる
歩兵隊長:ジェラルド・デビットスン中尉
 第3歩兵隊は、メック支援任務、対テロ、ゲリラのエキスパートで、どのような地形でも活動できる。連隊のメック部隊に専属で配備された唯一の部隊である。





ゼータ大隊: ウルヴズオブスティール

 竜機兵団において、ゼータ大隊ほどパワーを見せる部隊は他にない。戦場でゼータのメックを見ただけで、逃げ出したり、降伏した部隊が数多くあったのである。この連隊のほとんど自殺的な恐ろしい強襲に直面し、生き残ってその評判に信頼性を与えた者はほとんどいない。創設当初から、ゼータは強力な防衛戦の突破を意図した、独立部隊として作られ、独立して行動するか、他の竜機兵団連隊の支援を受ける。大隊のメック戦士たち(ゼータズ)は、おそらく竜機兵団一無謀であり、敵の最も強固な陣地、最重量のメックにさえ、身を投じる準備をしている。部隊への配属は完全な志願制なのだが、この部隊は候補者に困ることがない。そのカミカゼ的な姿勢にもかかわらず、ゼータズは極めて規律正しく、全員がバトルメック戦術(特に近接強襲、重火力支援)のエキスパートである。

 この部隊は非の打ち所のない記録を持っている。ハロランVでは、ブラックウィンド槍機兵隊の数個重中隊を押し返し、竜機兵団のために降下地点を確保した。アンドレ、シェンシでは、攻撃する竜機兵団連隊を支援する姿が見られた。ニューアラゴンでは、エリートのノースウィンド・ハイランダーズと戦い、輝かしいキャリアの中でのわずかな敗北のひとつを被った……第1、第2カーニーとエスタカードで直面した彼らは、ハイランダーの部隊を駆逐するのに失敗したのである。だが、エル・ディアブロ山道において、ワコー特戦隊の防衛線を突破した。メックから緊急脱出したワコー大佐の息子をゼータのメックが踏みつぶし、殺したその時、竜機兵団とワコー特戦隊の有名な対立が発生した。ワコーは竜機兵団の抹殺を誓った。

 ミザリーでは他の竜機兵団部隊と共に、ゼータは最悪の人的、物質的損害を被った。ゼータは休息と修理のためロビンソンに退いた。負傷から回復した他部隊のメック戦士たちで補強されたゼータは、ミザリーに戻り、クリタの包囲網を突破して、竜機兵団の残った部隊を救ったのである。

 竜機兵団内戦の間、ゼータは契約を破って、アウトリーチに帰還し、戦闘に加わった。ジャミソン大佐は、戦争の最終局面に到着すると、アルピンの側を選んだ。チャンドラ艦隊大佐が神判の終了とウルフ大佐の勝利を宣言すると、ウルフ大佐はメック内にいたジャミソンを屈服させた。それ以降の過去数年間を、ゼータは、他の連隊を訓練するガンマ連隊の支援に費やした。大隊はつい最近エプシロン・インディより帰還している。この地で、彼らは地元の政府を掌握しようとする謎の反乱軍と遭遇した。氏族製のメックを投入する敵の編隊と交戦し、撃破したのだった。ゼータのアウトリーチ帰還後、ウルフ将軍は混成部隊の2個三連星隊を加える許可を与えた。今後、ゼータはアウトリーチを出発し、ゴーストベア/連合国境で任務に就いているアルファ、デルタ連隊に合流する予定である。

 ゼータはマシンを黒で塗装する。部隊の記章は、銀色のギリシャ文字のZで、メックの左腕、右脚腿、戦闘機の胴体に位置する。

竜機兵団評価値: A*

士官
 J・エリオット・ジャミソン大佐は、三十年以上ゼータを指揮している。指揮権の重さは彼を蝕み、引退の準備ができていると彼は一度ならずほのめかしている。その一方で、タラ・ルーカス少佐が指揮を引き継げるように、教育しているところである。機転が利き、非凡な指導者である彼女のメック技能は、ほとんど不自然なほどに素晴らしいものである。

戦術
 ゼータは分割されることのない、ひとつの戦闘部隊である。敵に突撃するか、あるいは他の方法で正面から交戦する。装甲、歩兵隊を加えたゼータは、はじめて諸兵科連合作戦を取り入れるように戦術を変更した。

ゼータ大隊
強化メック大隊/エリート/狂信的
指揮官:J・エリオット・ジャミソン大佐
エイブル三連星隊:タラ・ルーカス少佐
ベイカー三連星隊:タミー・マーハル大尉
チャーリー三連星隊:ジミー・ツー=フェザーズ大尉
デルタ三連星隊:ロルフ・ウォルフガング大尉
エプシロン三連星隊:ニッキー・ウィンタース大尉
 ゼータは最新型の氏族製重強襲級オムニメックで構成される。アルファ、ベイカー、チャーリーは完全なオムニメック三連星隊で、その一方、デルタ、エプシロンは諸兵科連合三連星隊になっている。デルタを編成するのは、間接砲・LRMオムニメック星隊、重ホバータンク星隊、エレメンタル星隊である。同じく、エプシロンは強襲級オムニメック星隊、エレメンタル星隊、気圏戦闘機星隊を持つ。エプシロンはヘッドハンティング作戦を行い、デルタは妨害部隊となる。







ウルフ竜機兵団(3071年)

 星間連盟の時代以降、3005年に謎の出現をしたウルフ竜機兵団ほどに名声を獲得した部隊はほかにない。次の60年間ですべての大王家に仕えた竜機兵団は、多くの敵と叙事詩的な戦い、交戦、征服を行い、他のどの傭兵部隊よりも、敵と味方の両方から尊敬、賞賛、恐怖、罵倒を集めてきた。だが、氏族の侵攻が中心領域を襲った時に、ジェイム・ウルフのウルフ竜機兵団に隠された秘密が明らかになったのである……彼らは氏族人で、元々は大王家を偵察するために妥協案として派遣されたのである。3051年に秘密を明かした竜機兵団は最終的に氏族を敗北させる触媒としての役割を果たした。

 竜機兵団は戦争によって、あるいは自らの手で、敗北と壊滅を被ってきた。第四次継承権戦争では、ウルフの戦士たちはすさまじい犠牲を払いながら、ほとんど独力でDCMSを抑えてみせた。3052年の1月、竜機兵団とケルハウンドは、スモークジャガー氏族、ノヴァキャット氏族の手からルシエンを守るのを助けた。3055年、ウルフは部隊内の内戦を戦った。この戦いは両陣営を激しく痛めつけ、新しい遙かに危険な部隊として鍛え直したのである。

 影響力が強くなっていったにも関わらず、ウルフ竜機兵団はほとんど政治の場に加わろうとしなかった。その後、ジェイム・ウルフ――アウトリーチ総督にして竜機兵団最高司令官――は、カオス境界域と、ワード・オブ・ブレイクによる影響力増加の封じ込めに注意を向けた。3066年3月、ウルフは、境界域でのブレイクの拡大に対抗する同盟傭兵隊(AMC)の創設を発表し、竜機兵団と他のよく知られた傭兵隊多数を加入させた。この動きは、傭兵とワードの隠れた戦争をエスカレートさせ、最終的にハーレフの街路で爆発することになる。

 3067年10月15日、ウェイン・ワコー大佐に率いられた4個傭兵連隊がテンプタウンから現れ、アウトリーチの竜機兵団首都に奇襲を仕掛けた。一週間近く続いた戦いで、都市は破壊され、竜機兵団の本拠防衛隊とエプシロン連隊が壊滅した。ベータ連隊、ゼータ大隊、ウルフスパイダー連隊は、深刻な損害を出した。死者の中にはジェイム・ウルフ自身の姿もあった。

 ワードがワコーを支援していたと突き止めた竜機兵団、AMC部隊はワードに対する報復強襲に着手した。3067年12月、ベータ連隊、ゼータ大隊が、第2ディズマル・ディシンヘリテッド、リンドン大隊と組んで、火星への攻撃を行った。伝えられるところでは、ゼータ大隊のみが何らかの戦力を保ったまま火星に降下し、最後の一人が倒されるまで数日間持ちこたえたという。ブレイクの戦艦は火星軌道上にあったAMC機動艦隊の残りを抹殺したと思われる。

 ハーレフ戦後、アルファ、ガンマ旅団は、契約の免責条項を行使して、アウトリーチに戻った。先に到着したのはガンマで、竜機兵団の回復を助け、アウトリーチの防衛力を強化した。だが、アルファが戻る前に、ブレイクの逆襲が12月半ばにやってきた。2隻の戦艦に支援されたブレイクは、竜機兵団の海軍防衛隊を殲滅し、アウトリーチに2個エリート師団を降下させた。惑星上で、残ったAMCと回復を手伝っていたその他の傭兵部隊が、ガンマ、ウルフスパイダーを支援したのだが、その少なくとも一部隊――ブロードソード軍団――が、銃口をウルフスパイダーに向け、竜機兵団を殲滅しかけたのである。

 アルファ旅団と戦艦〈アレクサンダー〉が星系に到着した時、ガンマと同盟部隊はブレイクに負けつつあった。イージス級重巡洋艦が、メーヴ・ウルフ将軍と旅団のために盾となり、ブレイクの戦艦を押しとどめ、アルファが惑星降下する時間を稼いだ。竜機兵団がバランスを戻しかけたように見えた時、ワードの戦艦が軌道爆撃、大規模核攻撃を実施し、アウトリーチの最も人口が多い地域を完全に破壊した。確実な破滅に直面したウルフ将軍は、全面撤退を命じ、ゲリラ戦のため、ガンマ旅団を残していった。

 ドラコ連合のゴーストベア国境に駐屯していたデルタ旅団は、当初、聖戦の勃発期から距離を置いていた。だが、3070年の前半、ISFの報告を受けて、連合は傭兵を重要な世界であるバックミンスターに再配置した。2隻の駆逐艦に守られたブレイクの機動艦隊がついにやってきた。彼らはデルタの強化気圏戦闘機連隊と戦艦〈マーズ〉の存在を予想していなかった。にもかかわらず、竜機兵団のコルベットはブレイクの砲火の前に倒れ、その一方で、エリートの第28、第45シャドウ師団が惑星上の竜機兵団を引き裂いた。一週間の戦いの後、竜機兵団はブレイクの2/3をどうにか撃破したのだが、死傷者数のすさまじさにより最終的にアークロイヤルへ撤退せざるを得なくなったのである。

竜機兵団評価値:A*

ウルフ竜機兵団 Wolf’s Dragoons

 今の竜機兵団は崩壊した部隊である。1個連隊分のメックと支援部隊を投入できるのだが、これら戦力の大半は完全に意気消沈し、トラウマを抱えている。ウルフ将軍は、意志の力のみで生存者たちをまとめ、様々な小部隊の断片をひとつの統一した部隊にすることに重点を置いている。




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