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作成:2002/07/05
更新:2008/12/23

ワード・オブ・ブレイク



 コムスターは様々な顔を持っています。星間通信企業、技術者集団、仲介機関、宗教的側面……。その正体は、中心領域を支配しようと陰謀を進める、悪の秘密結社(本物)です。動乱の影には、必ずコムスターが見え隠れします。
 氏族侵攻後、コムスターは改革に乗り出し、組織内の暗い部分を一掃します。その結果、内部の保守派が分離、新たな組織を作りワード・オブ・ブレイクと名乗りました。少数勢力と思われていた彼らですが、のちに中心領域を災厄に巻き込みます。
classic battletechより



「ここ二、三世紀のあいだに、コムスターはどれだけ政治に関与してきたんだろう。これじゃあ……まるで……目に見えない六番目の大国じゃないか。舞台裏で策を弄して、ほかの王家を滅亡にみちびく、影の大国だ」

――グレイソン・デス・カーライル大佐の言葉、惑星ヘルムにて









ワード・オブ・ブレイク(抄訳)

 ワード・オブ・ブレイクが誕生したのは、中心領域の歴史においてごく最近のことである。ツカイードの戦いでコムスター軍が氏族をうち倒したあと、戦司教アナスタシウス・フォヒトは地球に帰還し、首位者ミンド・ウォータリー(コムスタートップ)の暴挙に直面した。彼女はスコーピオン作戦によって、中心領域を支配下におこうと企てていたのである。首位者ウォータリーはコムスター最高責任者の座から引きずり落とされた。一週間後、ディーロン司教のシャリラー・モリが新たに首位者となった。新しい首位者と戦司教は、共同して「改革」を目指した。

 アトレウス司教ディモーナ・アジズと第一系列のメンバーは、スコーピオン作戦の間、聖ジェローム・ブレイクの言葉の保守的な解釈を厳格に保ち続けていた。戦司教フォヒトと首位者モリがコムスターの一大改革を始めると、アジズ司教は地球を離れ、アトレウス(自由世界同盟首都惑星)へ向かい、トーマス・マーリック総帥に接見して庇護を求めた。コムスターと縁の深いマーリック総帥は、アジズの願いを聞き入れた。

 アジズ司教に忠誠を誓うROMエージェント(コムスターの特殊工作員)を使って、彼女は中心領域中のHPGステーションに通信を送り、コムスター内の不満分子を新たな組織に集めようとした。幸運にも「改革」に反対する教団員は多かった。一ヶ月以内に2000名を超える亡命者が自由世界同盟に到着した。この中にはコムガードの狂信的なメンバーも含まれていて、バトルメックと装備を密かに持ち出してきていた。ワード・オブ・ブレイクは、古いコムスターのやり方を踏襲し、ジェローム・ブレイクの聖典こそ真実だと信仰する一派を受け入れたのだった。

 ワード・オブ・ブレイクに忠誠と信仰を誓う純粋なコムスターの教団員の数に驚いたマーリック総帥は、彼個人と面識があった幾人かの司教と面会する手はずを整えた。トーマス・マーリックは、より穏健派で実質的なリーダーとなっていたウィリアム・ブレイン司教を支援し、アジズ司教をいらつかせた。会談の結果、総帥はワード・オブ・ブレイク教団員のために、自由世界同盟領内の惑星ギブソンを与えた。安定した収入源の見返りとして、ワード・オブ・ブレイクは、恒星間通信に必要とされる高周波発生装置(HPGs)のサービスを、自由世界同盟に提供する契約を結んだ。そしてまた、必要なときには自由世界同盟を助けると誓った。訓練されたメック戦士と非情なROMが、トーマス・マーリック個人のために活動した。

 ワード・オブ・ブレイクは、惑星ギブソン上で、すぐに再建と再編成を進めた。マーリック総帥の支援と、ワード・オブ・ブレイク独自の新型メック生産によって、機甲部隊が成長していった。ブレイクガードは四個師団以上の戦力を持つ。この中には旧コムガードの隊員が持ち出したバトルメックが数多く含まれている。コムスターから離脱したROMによる諜報能力も強力である。コムスターの再統一はとてもうまくいきそうになかった。ワード・オブ・ブレイクは中心領域に対する影響力を増大する道を探り、カペラ大連邦国にHPGステーションの保守をする契約交渉を行おうともくろんでいる。









ワード・オブ・ブレイク 3058年アップデート

 リャオとマーリックの侵略(連邦=共和国サーナ境界域への侵略)は、ワード・オブ・ブレイクの狂信者をサーナ境界域へ走らせた。コムスターとワード・オブ・ブレイクのどちらにつくか議論の起きている惑星で、信徒が侵攻軍に呼応し、コムスターHPGステーション管理局をうち倒すため反乱へ導いた。マーリック軍に占領された惑星において、ワード・オブ・ブレイクの侍僧たちはすぐにHPG施設のコムスター作業員と取って代わった。こうしたコムスターの人員のうち、逃げなかったものはワード・オブ・ブレイクによって惑星ギブソンの要塞に移された。リャオが支配している惑星におけるコムスター信徒の運命は疑問である。ワード・オブ・ブレイクがこれらの惑星に移動したように見えなかったにもかかわらずだ。

 この地域(地球周辺のサーナ境界域)に生まれた少数勢力のうち、ワード・オブ・ブレイクにHPGステーションの管理を任したのは、テラキャップ連合国だけだった。確認できる限りでは、サーナ至高国、スツィク自治区、サイフ三国においてコムスターがHPGステーションの施設を有しており、シリアン所有領では誰がHPG施設を支配しているのか定かでなかった。

 カオス境界域(サーナ境界域の新しい呼称)にあるいくつかの独立勢力内で、コムスターとワード・オブ・ブレイクの衝突が起き、一週間単位でHPG施設の所有権が一方から一方へと移った。この低強度紛争で、これらの惑星は恒星間通信が断絶し、他の勢力に影響されず孤立した。通信網の途絶えた惑星においても、「ポニーエクスプレス」と呼ばれる通信手法が取られ、メッセージを携えた航宙艦が至近の惑星へと飛んだ。その星のHPG施設がメッセージを中継し、目的地へと送信した。

 コムスターは、新たな契約先を探している傭兵部隊の司令官に、特別な興味を示していた。信頼できる噂が語るところによると、ブリオン軍団が近ごろコムスターとの契約を終了し地球から離れ、より利益の大きい契約――惑星プレイオネに向かいチコノフリーチの中核部隊となった、とのことだった。これらの出来事はすべて3050年代の終わりに起き、ワード・オブ・ブレイクを地球占領へと向かわせた。

 第21ケンタウリ槍機兵隊は、惑星シェンにおける第二連邦=共和国RCT(連隊戦闘団)との小競り合いのあと、激戦からの休息と回復の機会をうかがっているように見えた。部隊の損害を埋めるため新兵を徴募したあと、槍機兵隊は地球に向かい、コムスターの地球防衛軍とともに訓練を行った。その新兵はワード・オブ・ブレイクのエージェントであり、征服のお膳立てが整った。

 3058年、2月28日、ワード・オブ・ブレイクが攻撃をはじめた。この日はジェローム・ブレイクが地球を奪取し、コムスターが誕生した276回目の記念日であった。そしてまたシャリラー・モリが首長となって38ヶ月目だった。ジェローム・ブレイクは38年間統治した。悪性の教理に熱中していたワード・オブ・ブレイクのテロリストの手により、恐ろしいことが複合して起きた。

 ワード・オブ・ブレイクと第21ケンタウリ槍機兵隊の連合軍が、ヒルトンヘッド司令部とサンドハースト王立士官学校を破壊し、コムガード第201師団に損害を与えた。攻撃は続き、司教ケーニッヒ=コーベルは価値あるものすべてを破壊したが、撤退した首位者モリ、第一系列、残ったコムガード軍を捕らえることはできなかった。

 その知らせが戦司教アナスタシウス・フォヒトの元へと届いたとき、彼はツカイードでの戦略会議(聖アイヴス協定、連邦=共和国、ドラコ連合が参加)へ向かっている途上であった。このときワード・オブ・ブレイクの占領軍とは戦わないことが決まった。もし地球防衛のために彼らが駆けつければ、氏族は休戦を破ることであろう。

 ワード・オブ・ブレイクの三個連隊が、地球防衛部隊の中核をなしている。さらに防衛力を増すため傭兵部隊を雇う予定になっているとの噂に照らして、この決断は賢明なものに見えた。地球占領とともに、コムスターは作戦司令部を自由ラサルハグ共和国のツカイードに移した。氏族が侵攻を続けたとき中心領域を守れるようここで準備している。

 コムスターが中心領域を守り続けている間、ワード・オブ・ブレイクはコムスターの逆襲に備え防衛力をさらに強めたが、ついにその日はやって来なかった。中心領域全体にとって悪いことに、昔日のコムスターが戻ってきた。その名をワード・オブ・ブレイクという。地球がブレイク派のテロリストに支配されると、かつてのコムスターが行っていた爆弾テロ、暗殺、技術スパイといったものに、継承国家は再び直面し、さらにその数は増えつつあった。ワード・オブ・ブレイクは、氏族の侵攻でなく、聖ジェローム・ブレイクによる著述のねじまがった解釈に集中した。




コムスター

トリピッツ事件 The Tripitz Affair

 第一系列は、イン・タカミ(ニューアース司教)を10代目の首位者に任命した。進行中の第三次継承権戦争が戦火を増すおり、首位者タカミはほとんど直ちに、広範囲な問題と好機に取りかからねばならなかった。

 タカミが首位者のマントをまとって10日後、ROM司教カール・シムズが危機の可能性を、彼と第一系列のメンバーに伝えた。ニュー・ヴァンデンブルグ(辺境タウラス連合首都)近くの無人星系を定期調査中、長らく放棄されていたブラックライオン級戦闘巡洋艦(トリピッツ)がとある惑星の軌道を周回していたのを、タウラス連合軍が発見したのである。この船は何世代も前に過ぎ去ったアマリス危機の遺産以上のものになりそうだった。しかしタウラス人は船を回収し、修理できる可能性があると信じていた。

 継承権戦争の最も深刻な結果のひとつは、戦闘航宙艦のほぼすべてが失われたことだったので、ブラックライオン級戦闘巡洋艦の発見と将来性は、この地域のパワーバランスを崩すおそれがあった。この問題に加えて、カペラ大連邦国マスキロフカの工作員も、この発見を察知し、回収作戦を計画する段階にあった。

 これを受けて、首位者タカミはコムスター・ガード・アンド・ミリシアの第1師団にその星系へ行くよう命令を下した。トリピッツがタウラスやカペラの手に落ちるよりは、破壊してしまえとのことだった。コムスターの関わりを偽るために、首位者は艦と戦闘機を白く塗り、だが識別用のマーキング(結社とのつながりを示すかもしれないもの)は塗らないよう命令した。

 タウラスは所属不明の航宙艦が星系内に来たのを知ると、すぐに戦闘機4個小隊を発信させた。彼らはすぐコムスターの気圏戦闘機と交戦した。我が軍によって使われた先進テクノロジーは、戦闘経験の欠如を補う以上の役割を果たした(とくにタウラスのローテクノロジーな航空戦闘機を相手にする場合は)。だが、タウラスは断固とした戦いを続けたのである。激戦はちょうど1時間以内にかたがつき、コムスターガード軍は3名の死者を出しただけだった。タウラス人は謎の白い攻撃者が所属を明かすよう幾度かメッセージを送ったのだが、コムスターの司令官は通信の試みを無視した。彼はすぐに死んだパイロットたちを回収し、真の目標に注意を向けたのである。戦闘巡洋艦だ。

 残った戦闘機が、骨董品のトリピッツに機銃掃射と爆撃を加えた。爆発した船は、軌道上をまわる廃船以上のものではなくなったのだった。航宙艦が再充電したあとで、コムスターガードは、タウラスの船員だけを事件の証人として残し、孤立した星系に出発したのだった。

 タウラス人が最終的に発表した声明は、白い船の謎の集団が現れ、海図に載ってない星系で軍を攻撃したというものだった。戦闘巡洋艦には言及されなかった。多くの人々が、攻撃者はケレンスキーの脱出艦隊であると推測した。艦破壊にコムスターが関与していたと疑う者はいなかった。この一件は、辺境の民間伝承であるヴァンデンブルグ白い翼伝説の源となったかもしれない。多くの伝説の起源と同じように、実際のレポートは繰り返し誇張され、歪曲され、最新のバージョンになるかもしれない。

[結社のなかには、首位者タカミがこの事件にコムスター・ガードを展開したことに批判を向ける者もいる。権力と武力を使ったことが、ジェローム・ワード(コムスターを中心領域の影で働く工作員として構想した)の言葉に反すると主張した。批判に対して首位者タカミは、コムスターの艦船と戦闘機から識別を隠すことによってブレイクの聖なる意志を達成したと答えた]









ワード・オブ・ブレイク 3067年アップデート

機密度:コピー不可
発:アレクサンダー・ケルノフROM司教
宛:キャメロン・サン=ジャメ戦司教

兄弟へ

 貴君も知っての通り、我らが元兄弟たちは、諜報書類をアップデートするのに忙殺されている。彼らが我らをどう見ているか、興味深く思えることだろう。我らの諜報員が、この報告書のコピーを確保した。傀儡首位者のデスクに置かれたその日に入手している。コムスターの報告書は以下の文章から始まる。

 動乱が中心領域を襲ったそのとき、我らが旧友たちは静かにしていたように見えたが、それは真実からほど遠い。コムスターが氏族の脅威で視野狭窄に陥っていた一方、ワード・オブ・ブレイクは政治的、軍事的に大きく成長した。3058年当時、我らがその気なら、地球から奴らを放逐することができたが、いまではプロセルピナ吸血巻貝よりやっかいな存在となっている。


地球 TERRA

 ワード・オブ・ブレイクは3個師団をカオス境界域に配備しているのだが、地球はあいかわらず強固に守られている。SDSネットワークを使い続けており、世界上に市民軍の大部分を置いて、カオス境界域の利益を守るために傭兵を雇っている。最近、傭兵の需要は減少しており、悪名高いケンタウリ第21槍機兵隊事件で生まれたためらいに打ち勝った。ワード・オブ・ブレイクは問題なく金穴傭兵隊に仕事を持ちかけているようである。

 カペラ大連邦国、自由世界同盟からの鉱物輸送船団が、食欲旺盛な地球の産業基盤に餌を与えている。ツカイードでの途方もない損害を埋めるために、コムスターは多数の武器工場(アマリスのクーデター後に、神聖なるブレイクが再建し、それからモスボール処理したもの)を再始動した。ワード・オブ・ブレイクが3058年に地球を奪取すると、別の機種をラインに載せ変えた。これらの工場全ては、現在、すさまじい量の兵器を生産しており、ブレイク信徒はさらなる武器を探そうとしている。新師団が作られている証拠は得られていないので、これらの武器はおそらく備蓄されているか、成長するブレイク傭兵隊への支払いに使われていると思われる。

 タイタン造船所周辺のセキュリティ網にはほとんど入り込めていない。4隻の遺棄された戦艦――ローラ級〈ガーデッド・ノウレッジ〉、エセックス級〈ヒドゥン・ミーニング〉、イージス級〈イモータル・スピリット〉、マッケナ級〈ブレイク・ソード〉が修繕されたことを我らは知っている。また新型降下船が前例のないスピードで生産されている。この数ヶ月でブレイク信徒は、ほとんど廃船となった航宙艦を買いとり、タイタン造船所でリチウム融合電池に換装している。この輸送力強化の理由は明らかになっていない。もうひとつ不穏な点がある。〈イモータル・スピリット〉が3064年の中ごろに就役して以来、姿を消している。この船を捜索する試みは失敗し続けている。

[我らが〈イモータル・スピリット〉を使用せねばならなかったのは残念なことであるが、不信心者たちのこのような無礼をどうしたら許せるだろうか? 戦闘でのダメージ補修は続けられているが、ジャンプコアを乾ドックの外で交換するのは難しい。-AK]


連邦=共和国内戦 FEDCOM CIVIL WAR

 コムスターの中立的なイメージは、コムガード部隊が連邦=共和国内戦で両陣営に参加し、ひどく損なわれた。コムスターからワード・オブ・ブレイクへの新たな離脱の波で、我らがライバルは規模を増し、重要な情報と技術を得た。コムスターはまだこの損害を計算している最中である。中立性については、特にカオス境界域と辺境でHPGの契約を入札する際、ワード・オブ・ブレイクの代理人が自身の中立性を迅速に示している。


星間連盟メンバーシップ STAR LEAGUE MEMBERSHIP

 3064年、ワード・オブ・ブレイクが星間連盟評議会に加盟できるよう、トーマス・マーリックに推薦を陳情したのは、おそらくウィリアム・ブレイン司教である。投票はあたかも形式的なもののようであった。他の加盟組織も拡大を望んでいたのである。だが、第一君主セオドア・クリタは、調査が実行に移されるまで、投票を一時停止した。調査開始後、トーマス・マーリックはワード・オブ・ブレイクのいわゆる亡命首位者の地位を降り、推薦を容易にするため、コムスターの人員による会計監査に同意した。ワード・オブ・ブレイクは現在、評議会の暫定メンバーである。


カオス境界域 CHAOS MARCH

 ウィリアム・ブレイン司教が、カオス境界域に紛れもない外交的強襲を仕掛けていたあいだ、中心領域の国家群は他所の事件に目を奪われていた。地元の人々は、ブレイク信徒が危険な狂信者であると認識しており、大きな障害となったのだが、穏健派の使節を注意深く選んだことで、ブレイク教団に新たな光が投げかけられたのである。すぐに、政策が変更され(政府が変わったこともあった)、カオス境界域にワード・オブ・ブレイク支持が広まり始めた。このとき、どれだけ秘密の援助がなされたのか、我らは推測するのみである。

 外交では、不可侵、相互防衛、防衛協定のネットワークを結び、多くの世界でコムスターに取って代わった。大きな例外はアウトリーチとノースウィンドである。ウルフ竜機兵団とノースウィンド・ハイランダーズは、ブレイク派の動機を疑ったままである。公に、ワード・オブ・ブレイク市民軍部隊と関連傭兵隊はHPG基地の警備を行っている。彼らはまた人道的援助をしばしば提供し、たまにブレイク施設の防護命令を、惑星全土に及ぶものであると解釈する。また、非居住星系を使う海賊の根絶運動を促進するブレイク部隊まであった。明確にブレイク信徒は地元民の心を勝ち取ろうとしており、この地域でカペラと戦う力を得ている。だが両者は共謀し、スタイク共和区を崩壊させた可能性がある。

 ウルフ竜機兵団はこの十年間、比較的平静を保ったのだが、突如、カオス境界域に矛先を向けた。コムスター嫌いのためか、ウルフネットが我らの知らない情報をつかんだのか、カオス境界域でのブレイク派の拡大を防ぐため、傭兵部隊の同盟軍を作りあげた(ノースウィンド・ハイランダーズも入っている)。すでに何度かの戦いが行われている。


辺境 THE PERIPHERY

 コムスターは外世界同盟との契約を独占しているが、その一方でワード・オブ・ブレイクはカノープス統一政体とタウラス連合で我らに取って代わった。コンパス座連邦とオーダー・オブ・フェイスフルがアップグレードされたバトルメックを使ってるとの報告があり、これはブレイク信徒がアストロカジーの補給線を復旧させたことを示唆している。たしかに、マリア帝国におけるワード・オブ・ブレイクの影響力は、コンパス座連邦まで広がっている。

 ワード・オブ・ブレイクは、分裂後に、深辺境の星間連盟調査センターと軍事基地を支配し、地球を奪取するための部隊を極秘裏に訓練した。この基地でさらなる兵士たちを訓練していると思われるが、辺境のリムワード、アンチスピンワード方面の組織が欠けており、信頼できる情報を収集できない。


力を増すトヤマ派 THE RISE OF TOYAMA

 ワード・オブ・ブレイクの首位者はほとんど名目上のもので、ウィリアム・ブレイン司教は組織の絶対的統制をとれていない。急進的なトヤマ・セクトがかなりの実権を持っている。アレクサンダー・ケルノフROM司教がこの派閥を率いており、キャメロン・サン=ジャメ戦司教もその一員である。ブレインがブレイク信徒の政策を指図できるのは、三番目に大きいセクト、国外派(Expatriates)の支援があるからだ。彼の地位は3065年以降、さらに不安定なものとなっている。このとき、高い地位にある幾人かの国外派(指導者クラウス・ヘティグ含む)がコムスターの工作員であると、アレクサンダー・ケルノフが暴いたのである。セクトが事実上破壊されるなかで、多くの潔白な国外派がトヤマに鞍替えしている。トヤマは秘密会議(コンクラーベ)で勝利を収める水準まで危険なほど近づいている。


最近の出来事 RECENT EVENTS

 確認できていないが、ワード・オブ・ブレイクはカオス境界域で行っている政治ゲームを次の段階に移すようだ。地球の所持により合法性を与えられ、星間連盟評議会で議席を獲得する(準備期間終了後)ことで、ブレイン司教は、数世紀前にジェローム・ブレイクが行った計画の改造版を執行するかもしれない。コムスターの創設者は地球帝国の世界をいくつかコムスターの支配下に置こうとしたが、ブレイクの用意が完了する前に、ドラコ連合の攻撃で第一次継承権戦争が始まった。ブレイクは作戦を変更し、限りあるリソースを地球奪取に使用した。

 カオス境界域にブレイク保護領が作られるなか、ブレインは自身にジェローム・ブレイクの役割を投影させている。だが、首位者の地位を確保するためにも、彼はワード・オブ・ブレイク市民軍を勝ちとる必要があるだろう。トヤマのメンバーが戦司教という状況において、これをどのように達成するかは不確かである。




海軍戦力、市民軍師団 NAVAL ASSETS AND MILITIA DIVISIONS

 現在のワード・オブ・ブレイク艦隊は、ヴィンセント級〈ブレイク・リデンプション〉、ローラ級〈ガーデッド・ノウレッジ〉、エセックス級〈デリバランス〉〈ヒドゥン・ミーニング〉、マッケナ級〈ブレイク・ソード〉である。イージス級〈イモータル・スピリット〉は行方不明である(おそらく失われた)。ブレイク市民軍師団は以下のものである。


第1師団 1st Division (True Devotion IV-Beta)

 〈真なる信仰〉は、ワード・オブ・ブレイク市民軍最高の部隊であり続けている。IIIアルファ部隊フォールオブナイトの帰還で、完全な戦力に戻ったこの師団は、ブレイク派の資産を守るため、カオス境界域のブライアント、カフ、エプシロン・エリダニ、イングレス、ケイドに配備された。この師団を狙った、記章を付けてないコムガードによる無認可の攻撃は、地元市民が襲撃者を追い払うのを目撃し、ワード・オブ・ブレイクに利を与える結果となったのである。


第2師団 2nd Division (Stern Resistance IV-Gamma)

 ジョン・クリストファー司教が師団指揮官となったのは、訓練中の事故で友人にして上官のダフネ・クライスラーを亡くした後のことである。ウィリアム・ブレイン司教はよく彼女に軍事関係のアドバイスを求めていた。彼女の死は彼にとって打撃となるだろう。


第3師団 3rd Division (Pure Thoughts and Actions IV-Mu)

 3066年、ランドルフ・カンニに代わり、デイビッド・フェラーズ司教が、師団を指揮するため、最先任ジャンプ歩兵隊員となった。いまだ信心派(True Believers)に牛耳られてはいるのだが、他の派閥の者が第3師団から追い出されることはもうない。バトルアーマーがほぼ全歩兵たちに支給され、以前より師団は強化された。


第4師団 4th Division (Blake's Boldest IV-Iota)

 師団の2/3が地球からカオス境界域に配備され、エルジン、シェン、ニュー・カントン、サイフをカバーしている。全師団を動かすのに充分な降下船と航宙艦を装備している第4師団は世界から世界へと素早く移動できる。


第5師団 5th Division (The Chosen IV-Eta)

 カオス境界域に配備されている3個師団のうち最後の〈選ばれし者〉はシェラタンに駐屯している。ディビエント隊IIIシータは、3065年、有名な兵器設計者、Rレイズリー博士を捕まえるよう、ワード・オブ・ブレイクROMに命令された際、アカマーで手ひどく傷つけられた。高潔な博士を確保した数時間後に、傭兵ドロップシップ・イレギュラーズの攻撃を受けたのである。トレードマークである、型破りの戦術を用い、傭兵たちはレイズリー博士を救出し、脱出したのだった。


第6師団 6th Division (True Believers IV-Theta)

 〈信心者〉師団は、第4師団に代わって、中国に再配備された。ブランデンブルク=クーリ司教は、厳しい訓練スケジュールを課した。このとき新型のレガシー・バトルメックは素晴らしい成果を見せた。


第7師団 7th Division (The Glorious IV-Iota)

 火星が危険な状況であるために、第7師団は常に定員を下回ってる。過去の不和は忘れ去られ、厳しい環境が兵士たちを結束させ、ねばり強い部隊にするのを助けた。


第8師団 8th Division (Hands of Fate IV-Kappa)

 キャメロン・サン=ジャメ戦司教は、第8師団が古参兵のステータスに上昇するのを承認した。この部隊は、カオス境界域でただちに第1師団と交代するのが予想されている。


第9師団 9th Division (Blinding Light IV-Gamma)

 最近、コムスターから経験ある兵士の流入があいついだことで、この師団は経験レベルを維持したまま完全な戦力に回復した。第9師団は現在、北アメリカ大陸全体の防衛を任されている。


第10師団 10th Division (Shooting Stars IV-Beta)

 コムスターのスリーパー工作員を殲滅した後で、第10師団の兵員数は激減したのだが、士官学校の卒業生が部隊を完全戦力にもどした。これら新兵が、部隊の能力水準を古参兵から一般兵まで引き下げた。第6師団の異動で、第10師団はアルゼンチンとアマゾンを担当することになった。







コムスター 3067年アップデート

戦司教ヴィクター・ダヴィオン

 以下は、要求されました、コムガードの5月1日現在での概況です。ROM司教ヴィクトリア・パードゥが用意しました。あなたが5年前に辞職して以来、かなりの人的、物的変化がありました。人員の定年退職、配置転換のような自然なものもありますが、もっとも大きな変化はあなたの不運がもたらしたものです。あなたの行動はコムガードに物理的損害を与えただけでなく、広範囲な社会的、政治的反響を引き起こしました。ツカイード戦から連邦=共和国内戦が始まるまでのあいだ、コムスターは中立的な調停機関と考えられていました。軍は通常、政治から距離を置き、3052年に人々を守ることができたのです。内戦でのあなたの行動が――それと忠誠を違えてあなたに従った者たちが――こういうイメージをくもらせました。恒星連邦とライラ同盟の人々は、コムガードが互いに戦いあうのを目撃し、あなたの父が産み出した我らが結社への敵意を募らせました。他の継承国家も、我らの「中立性」がどのくらい信用できるかを知り、我らの存在を疑っていそうです。コムスターはこの損害を回復する難しい任務に直面しています。私はすでに目標達成に動いており、結社は星間連盟評議会に向けて邁進するでしょう。

 もし、私がその権限を持っているのなら、あなたに再任の許可を出しません。それを隠し立てはいたしません。ですが、前戦司教フォヒトのアドバイスを受けて、首位者は、キャサリンと戦う前にあなたが辞職した地位に復職するのを認可しました。しかし彼女はあなたに宣誓――INNを通した公なもの――を要求しています。それは、今後、永続的な非難を浴びるおそれの下で、コムスターの利益を優先し、いかなる継承国家の利益も図らないというものです。それが行われるまで、あなたの復職は暫定的なもので、いかなる決定も、私か第一系列の認可を要求されます。8月にアークロイヤルで我らと会うまでに、この発表をせねばなりません。

 コムスターの合法的な権威に反旗を翻した人物に対しては、以下のようにするしか解決法がありません。紛争でどちらか一方についた者たちは、詳細に取り調べを受けることとなります。もしこの決定が彼らに押しつけられたように見えたなら、どのような犯罪も免責されることになるでしょう。考え抜いた末に、我らが結社を去ったような者たちは、そのような寛容さを受け付けないはずです。自ら連邦=共和国の内戦にかかわった戦士や部隊は、地位を剥奪され、結社から追放されるでしょう。多くの場合、これはかなりの調査を必要とするかもしれません。このような手続きが進んでいる一方で、問題になっている兵士たちは地位にとどまるのを許されることになるでしょう。これは第244師団には適用されていません。彼らは、合法的な指揮官の命令を、露骨な反乱で故意に拒否したのです。部隊の生き残った隊員は、結社から放逐され、永久に追放処分となります。同情の意志表示として、彼らが通信サービスの利用を拒否されることはありませんが、コムスター施設への出入りを禁止され、階級、コムスターとの関わりから利益を主張できないかもしれません。

 誤解しないでください、ヴィクター、彼らの運命はある人物に託されています。あなたです。内戦はあなたの介入があってもなくても起きていたでしょうが、あなたの妹を追放することによって、我らの評判が汚され、善良な人々のキャリアと生命を破壊しました。今後、あなたは良心の呵責に耐えねばならないでしょう。

またアークロイヤルで

第一司教ギャビン・ドゥ、ターカッド、3067年6月19日


概要 OVERVIEW

 我らが結社の軍事部門は2788年までさかのぼる。地球を奪取し、大王家に所属する漁り屋の部隊を追い出したときのことである。初期の部隊は、傭兵に擬装した8個師団に過ぎなかったが、これらの部隊はステファン・アマリスの簒奪と戦って、鍛え上げられていた。この装甲軍は1世紀以上も存在を隠され、30世紀の前半に地球への冒険主義を思いとどまらせるため公式に知らされた。コムスター・ガード・アンド・ミリシアの規模は未知のままにされたが、第四次継承権戦争までに、約50個師団にまでなっていた。戦後、彼らは公式に配備され、HPG基地を守っている。サーナ基地がこうむったような掠奪を避けるためだ。コムガードは継承国家の200以上の世界に小部隊で散らばっており、軍隊の真の大きさを擬装している。

 氏族が地球を奪取しようとしているのが明らかになったとき、我らは妨害に動き、大族長にツカイードでの大神判を挑戦した。そこで我らは史上はじめて全軍を展開することになったのだ。勝利によってコムガードは粉砕されたが、中心領域に平和がもたらされた。不幸なことに、首位者ウォータリーは作戦後すぐに死亡し、首位者モリが後を継いだ。彼女は戦司教フォヒトと連携しコムスターを世俗化しようとした。この誤解される行為で、3052年にワード・オブ・ブレイクが誕生し、我が結社は相反するイデオロギーを持つふたつの派閥にわかれたのである。にもかかわらず、新首位者と武人の下で、コムスターとコムガードは中心領域の信頼を勝ち取るべく懸命に働いたのだった。

 3058年に新星間連盟が結成されたとき、我らは侵攻氏族に敗北をもたらした唯一の存在として自然とそれに参加した。コムガードは大規模な補助部隊となったが、新生星間連盟防衛軍とは一線を画した。我らは中心領域と氏族宙域での逆襲、ブルドッグ作戦、サーペント作戦に多大な寄与をし、氏族の侵攻を公式に終わらせた。

 戦後に、フォヒト戦司教は、20年勤め上げたコムガード最先任士官の座を辞した。彼の選んだ後任者は、指導力、軍事の手腕で評価が高かったものの、賛否両論だった。ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオン、連邦=共和国の元国家主席=国王である。コムガード隊員の多くは、部外者を配した人事を受け入れず、辞職し、継承国家、傭兵団、もしくはワード・オブ・ブレイクに入った。この結果は完全に予想できなかったわけではない。あらかじめアナスタシウス・フォヒトに警告を受けていたROMは、この機を狙って上層部を含むワード・オブ・ブレイクに大勢の工作員を送り込んだ。それ以来、我らが受け取ってきた報告にある矛盾は、活動中の工作員の多くがブレイク信徒に買収されたことを示している。よって、我らが入手した諜報情報は、注意深く他のソースと比較して検討せねばならない。

 戦司教ダヴィオンはコムガードトップとして休まず働き、兵士たちに団結心を植え付け、兵士としての魅力だけで動揺する部隊を味方に引き入れた。3062年の秋までに、離脱者の数は激減した。だが、故郷で高まる緊張が、戦司教の注意をますますひきつけたのである。弟がロビンソンで暗殺されると、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンは介入の道を選んだ。コムガード、SLDFトップとしての地位を利用せず、コムスターを中立に保つため、官職を脇においやった。臨時戦司教としてターカッド司教ギャビン・ドゥを指名した。彼は政治的陰謀をたくらんではいたが、コムスター将軍になる気がないのを知っていたのである。

 忍び寄る紛争からコムスターを引き離したにもかかわらず、一部のコムスター部隊は、連邦=共和国内戦でヴィクターを支援した。第244師団(自らを"国王の部下"と呼んだ)はすぐに支持を表明し、集団で反乱を起こした。一方、他師団の隊員は部隊離脱し、誕生したシュタイナー=ダヴィオン軍に加わった。他の部隊はすぐさまヴィクター陣営につくことはなかった……といっても内戦が進むと数個部隊が元国王(ヴィクター)への支持を宣言した。このうち自身の意志で参加した者は数少ない。大半は、キャサリン派の軍から、ヴィクター派であると疑われて攻撃を受けたあとで、加わったのである。キャサリン・シュタイナー=ダヴィオンについた数少ないコムガードは、ライラ同盟のあちこちで駐屯任務についていた。ニューアヴァロンの第299師団、ターカッドの第66師団が、それぞれの世界を守ると誓ったのである。この意志の表現と、ギャビン・ドゥの認可によって(各王家との相互防衛条約では、外部からの攻撃を受けたら駐屯している世界を守ることになっていた)、彼らは第244師団が被ったような不名誉を免れたのである……もっともヴィクター同盟によって軍事的な被害を被ったのではあるが。ヴィクター派部隊は、実質上、第299師団、第66師団を殲滅し、紛争によって他の4個部隊が破壊されるか、損傷を受けた(停止命令を出された第244師団を除く)。ジェイドファルコン侵攻においては、損害はそこまで大きくなかったものの、この状況はさらに顕著である。3個コムガード部隊が同盟、放浪ウルフを支援し、侵攻派氏族がメリッサ、パンドラ戦域に押し入るのを食い止めた。といっても、戦場で重要な役割を残したのは3個のうち2個部隊のみである。クリモンドでは、第36師団がその存在のみで作戦中の放浪ウルフ氏族を支援したのだ。

 連邦=共和国戦争が終わると、ヴィクター・ダヴィオンはコムガード戦司教の地位に復職した(厳密にはずっと戦司教だった)。いまは命令系統に第一司教ドゥが組み入れられている。彼は、コムガードの士気を回復する仕事、結社の信頼を一新する仕事に直面している。




コムスター海軍戦力 COMSTAR NAVAL ASSETS

 コムスター艦隊は以下のものである。キャメロン級〈インビジブル・トゥルース〉、ダンテ級〈モンペリエ〉〈ボルドー〉、シュフラン級〈アナスタシウス・フォヒト〉、ローラIII級〈マーターダム〉〈ストレングス・スルー・アドバーシティ〉、ポチョムキン級〈ヴィジョン・オブ・トゥルース〉、ワールウインド級〈ファイア・ファング〉、ヴィンセント級〈アラクリティ〉〈デターミネーション〉〈レジリエンス〉、ファスレーン級〈ドーバー〉〈プリマス〉〈ダン・レアリー・ロスレア〉〈グラモーガン〉〈ポーツマス〉、ブラックライオン級〈ブレイク・ストレングス〉、ダンテ級〈ナーボニー〉、シュフラン級〈マンチェスター〉、ローラIII級〈ブレイク・ヴィジョン〉〈レンジャー〉、ボルガ級〈エンライテンド・パス〉、エセックス級〈ディフェンダー・オブ・ヴェルサイユ〉、コングレス級〈クレンジング・ファイア〉〈ホーリング・ヨーク〉、ソヴィエツキー・ソユーズ級〈ブレイク・ヴェンジェンス〉、イージス級〈ライチャス・フューリー〉〈アヴェンジング・ソード〉〈スウィフト・ジャスティス〉、エセックス級〈ハンマー・ストライク〉〈デスブロウ〉〈ブランデンブルク・クルセイダー〉


インターステラー(恒星間)・ニュース・ネットワーク INTERSTELLAR NEWS NETWORK

 15年前に起きたスコーピオン作戦の大失敗後、また狂信的な兄弟たちの離脱後、イメージ回復キャンペーンを行っているコムスターは、インターステラー・ニュース・ネットワーク(INN)を創設した。現在はツカイード周辺のわずかな世界だけをつないでいるINNは、無料のHPGニュースサービスである。コムスターは「争いによる傷を癒し、人道的な関係を築く」ものだとしている。もちろんコムスターはビジネスを続けており、広告をつけることで、失われたHPGの収入を埋め合わせている。この新しいベンチャーが、コムスターの壮大な計画通り、中心領域中に花開くかどうかは、時が経てばわかるだろう。



コムスター部隊 COMSTAR UNITS


第1軍 FIRST ARMY V-KAPPA (THE BEAR MAULERS)

 ドラコ連合国に拠点を置く第1軍は、連邦=共和国内戦と、ゴーストベア、ドラコ軍の紛争に巻き込まれるのを免れた。コムガード全軍のなかでも、ベア・モーラーは地元市民との強い結びつきを持っている。兵士の多くが、地元出身であるか、ドラコ人と結婚しているのだ。

 その結果、第1軍はオミ・クリタの死をヴィクター・ダヴィオンとともに悼み、彼の戦司教復帰を完全に支援した。最近、連合生まれのレイチェル・ドレイクが軍の指揮をとることになり、その忠誠心はさらに深まっている。

 ディーロン周辺に拠点を置く第91師団は、スモークジャガー相手に被った損害から完全に回復した。同じくディーロンに本拠を置くSLDFエリダニ軽機隊とよく演習を行っている。ミョン司教は、ディーロン管区首都(一般にディーロン要塞と言われる)から、もっと役立つ場所に移動したほうがいいのではないかと言っている。

 ゴーストベア紛争後に、第211師団は新たな戦闘機材を大量に受け取った。主に戦車、車両、それと一連の新型バトルメックである。現在、60機のメックを展開している。もっともこれらの機体はベンジャミン地区のあちこちに散らばっており、様々な難しい任務を下されている。

 第308師団は、ブルドッグ作戦で氏族と戦うことはなかったが、それにもかかわらず地元のDCMS軍、近隣のノヴァキャットと良い関係を築いている。隊員の多くが元氏族人を疑いの目で見ているが、DCMSの後押しを受けノヴァキャットとの演習を行ったあと、彼らを尊敬するようになったのだった。

 ドーバーの103師団は、最近のゴーストベア侵攻で、仇敵ベアの進路に立ちふさがった。しかし残念ながら、彼らが戦いに加わる前に戦争が終わってしまったのだった。危機への対応が遅かったのは、グラビン・ドゥ戦司教が連合を軽視しているからだと、師団内の多くが考え、ヴィクター・ダヴィオンの復帰に拍手喝采を送った。


第2軍 2ND ARMY V-MU (THE IRON WARRIORS)

 連合=恒星連邦の国境沿いを本拠とする第2軍は、最近起きた連合と恒星連邦ドラコ境界域の衝突のまっただ中にいた。コムガードが争いに巻き込まれなかったのは、ほとんど奇跡である。コムスター施設や他の人道的施設(病院や水浄化施設)を守るため移動したのだった。連合軍、AFFS軍はコムガードの中立性を尊重した。コムガードが守備についたことで連合軍が自由に行動できたため、「連合側についている」と、一部の恒星連邦士官に糾弾された。コッカス司教と、ギャビン・ドゥ前戦司教は、どちらにもついてないと必死に否定した。

 第81師団はフォーマルハウトに拠点を置いているのだが、ドラコ連合=恒星連邦にまたがり、サフェルとアディックスなど本拠から遠く離れて配備されている。リギンズ司教を救助するために、カオス境界域への関わりはやめた。ワード・オブ・ブレイクとの小規模な衝突が終わったのだった。

 第301師団はコムガード補給部から忘れ去られたように見え、必要な物資の一部しか受け取っていない。3060年代前半に改善されたあと、状況が突然悪化し――兵站部は責任を否定――師団の士気を再び急低下させた。

 第82師団はこの5年で人員を失い続けてきた。現在では公式な戦力の半分しかなく、その1/3は新兵である。この師団はヴィクター・ダヴィオンに不満を持つ者の温床となったままだ。対照的に第77師団は、ドラコ連合と恒星連邦の緊張を和らげる大きな役割を続けている。恒星連邦の侵攻後、またDCMSの報復攻撃後、両王国に平和維持部隊として展開している。


第3軍 3RD ARMY V-LAMBDA (THE EMERALD FALCONEERS)

 カオス境界域と恒星連邦に本拠を置く第3軍は、ここ5年間で多くの変化を見た。連邦共和国内戦とそれに付随する事件で、限界点まで、さらに限界点を超えるまで追い込まれたのだった。ギャビン・ドゥの命令で行動したエメラルド・ファルコナーはヴィクター派部隊になってしまった。ヴィクター・ダヴィオンの戦司教返り咲きが部隊内で不人気なのは驚くべきことではない。さらに、ワード・オブ・ブレイクがカオス境界域で攻撃を行っていることを考慮し、ダヴィオンとドゥの両名はさらなる兵士の追加を拒絶しており、これが軍の忠誠度を下げている。

 地球近辺の数個世界がワード・オブ・ブレイクの保護下に入るのを決め、第11師団はカフからフレッチャーに配置転換することになった。タン司教は何度もブレイク信徒の防衛状況を調べる許可を求めているのだが、ワード・オブ・ブレイクが星間連盟評議会の試験メンバーになっているなかで、軍指揮官ダービンはそれを拒否せねばならなかった。

 もっとも叙勲された士官のひとりに指揮されている第2師団は、断固として新戦司教に忠誠を誓ったままである。スモークジャガーと戦ったその人に従っているのだ。この師団は3066年、完全な戦力に回復した。

 メルメンタウ周辺に本拠を置く第323師団は、コムガードに残ることを選んだ第299師団(ニューアヴァロン駐留)の生存者を取り入れた。これら追加人員は第323師団を定員数にもどしたのだが、第299師団に所属していた兵士たちは、コムスター教団に忠誠を誓いながらも、ヴィクター・ダヴィオンをひどく嫌っている。


第4軍 4TH ARMY V-IOTA (THE DEFENDERS OF HONOR)

 コムガード最大である第4軍の6個師団は、カペラ大連邦国、恒星連邦カペラ境界域、カオス境界域に広く分布している。この部隊の規模は、ヴィクター・ダヴィオンが大連邦国=聖アイヴス戦争の拡大を防ぐべくこの地域の平和維持軍にしようとした名残である。ここ数年、コムガード兵士は聖アイヴス共和区、リャオ共和区の再統合を監督し、「強情な」カペラ市民の虐待行為がないことを保証し、惑星ワーロックでコムスターの利益を守った。

 第3軍第11師団のように、第83師団は最近、カオス境界域でのブレイク保護領創設に対応しトールツリーに移動した。オムリド司教はブライアントの支配権を巡ってワード・オブ・ブレイクに挑戦してもかまわないと思っていたが、ギャビン・ドゥ司教はホワイト・サイクロンに撤退を命じた。

 第87師団は悪名高い「黒い5月」の攻撃と戦う上で重要な役割を果たした。汚染の除去と人道支援を聖アイヴスに提供したのだった。不幸なことに、パードゥ司教が犠牲となった。聖アイヴス、ティアンタンで他の者たちを守ろうとして死んだのだった。

 リャオ軍が旧サーナ境界域の世界を支配しつつあるなか、第79師団とCCAFの摩擦はこの5年で着実に拡大している。両者のあいだで表だった戦いは始まってないが、カペラは繰り返しコムガードの補給を妨げている。

 第166師団(ウルフバイト師団)は、マルタ副司教の離職以来、着実に規模を縮小させている。第166師団から失われた兵士の多くは、アウトリーチで前指導者マルタに合流することを選んだ。聖アイヴス危機の結果として、第4軍(ディフェンダーズ・オブ・オナー)に再配備されたのだが、第403師団を元の編成に戻す動きはまったくなかった。その代わりに、キャンダス・アラード=リャオの支持の下、プレズノ・リバー・ラッツが聖アイヴス共和区に平和維持軍として残り続けいる。

 第321師団は、カペラ大連邦国の攻撃時に、カサンドラ・アラード=リャオの部隊を支援すると決め、大連邦国からペルソナ・ノン・グラータ(外交上好ましからざる人物)とされた。結果、恒星連邦のベイドに撤退することとなった。


第5軍 5TH ARMY V-OMICRON (THE MONTAINEERS)

 カペラ大連邦国のアンチスピンワード方面国境を担当している第5軍は、ワード・オブ・ブレイクが自由世界同盟全体を独占していることから、もっとも狭い地域で活動している部隊のひとつとなっている。ハリス・ハーヴィソンを驚かせたことに、ブレイク信徒、大連邦国とのトラブルはほとんどなかった。にもかかわらず、第5軍(マウンテニア)の士気は低いままである。かつて戦司教ヴィクター・ダヴィオンが向上させた士気は、より政治的なギャビン・ドゥの在任中に失われた。前戦司教フォヒトが第5軍の問題を解決しようとしているが、ツカイードの勝利者でさえも奮い立たせるに充分ではなかった。ホワイトライオン、第394師団は例外である。レンヌ司教の指導力と、カオス境界域で一連の作戦を成功させたことから、士気は高いままである。

 CCAFとワード・オブ・ブレイクの圧力によって、シーアンの第76師団は最終的にHPG基地の宿営と管理をあきらめざるを得なくなった。3064年の前期に、恒星連邦ナンキン地方のチューリッヒへと移転した。

 3063年にテリー・シャイケスが暗殺されたことが第467師団を揺るがしたのだが、ジャガー・スキナーは持ち場にとどまる決意を固めた。彼らはスナイパーとテロリストの手により悲しむべき損害を負った。CCAFかワード・オブ・ブレイクが、事件の背後にいると考えられている。カペラとワード・オブ・ブレイクはいかなる関わりをも否定している。

 カーヴァーV(リバティに改名)で三すくみの戦争に加わらなかった第379師団は、ブレイク保護領の拡大を妨げるべく懸命に働いている。部隊はアウトリーチでウルフ竜機兵団と合意に達し、この離れ業をなんとかやってのけた。通常、竜機兵団はコムスターとのいかなる取引をも潔しとしないのだが、コムガード部隊に補給物資を売却したのだった。


第6軍 6TH ARMY V-KAPPA (GRIM DEFIANCE)

 スモークジャガー氏族からの解放後にアルベイロ、イレース管区へと移動した第6軍は、ノヴァキャット、ゴーストベアの見張りを務めている。コムスターはどちらの氏族も完全には信頼していないのだ。だが、最終的に、統制から離れたDMCS部隊がゴーストベアとの戦争の引き金になり、連合と第6軍を危機に追いやったのである。

 チャンドラーにいた第31師団はベアの地球侵攻を足止めしようとし、ベアがキーセン、マイレンの防衛状況を調査しようとした際に数度の小競り合いを繰り広げた。ムーラン強襲はさらに深刻なものであった。エリートのコムガード第12師団は連合守備隊の支援に動いた。彼らの技量と決意にもかかわらず、グリズリー・グラインダーズはゴーストベアの大軍の前に屈しかけた。3062年の11月、アースガルドに撤退せざるを得なくなり、11ヶ月後、ムーランに戻る前にここで再装備、修理を行ったのだった。

 ルツェルンは第102師団にとって難所となった。地元民の多くがコムスター兵を疑い、ことあるごとに侮蔑してきたのである。だが、8年間積み重ねたイソトレラ司教の努力で、ここ数ヶ月、関係は正常化しているように見える。

 第1師団は辺境からの襲撃で装備を失い続けている。海賊の基地を捜索し殲滅するのは非生産的だと判明した。襲撃部隊が海賊にしては装備が良く、訓練されているとマクギラレイ司教は考えるようになったが、その背後に王家や氏族がいるのかはまだわかっていない。


第7軍 7TH ARMY V-IOTA (THE DARK WAVE)

 ジェイドファルコンのコベントリ再侵攻に備え、ライラ同盟のコアワード沿いに本拠を置く第7軍は、襲撃部隊がライラ国境線を削り取った際に、「一千の傷」を負った。襲撃部隊の一部は、明白に海賊であったが、他のハルツームでカナティールMTMに倒されたグループなどは正体がわかっていない。

 第244師団の亡命と、その後の破門は、第7軍の地位を深刻に揺るがした。コベントリ戦後にジェイドファルコンの侵攻があったというのに、アイユーブ司教からの援軍要請は無視されている。軍内で最も経験豊富な第9師団は、パシグを要塞化して、ジェイドファルコンを待ち構えた。結局、攻撃はやってこなかったのだが、3060年代に苦しめられていた亡命の余波から回復したこの師団は、ヴィクター・ダヴィオンの断固とした支持者になっている。

 クーロンと周辺世界の退屈な守備任務に直面した第222師団は、大規模な亡命と脱走でほぼ1個大隊規模の戦力になってしまった。クレッグ司教は、第244師団が放棄したモジョロードの駐屯任務を支援したいと陳情している。ジェイドファルコン領から近いそこなら、部隊の強さを維持しやすいだろう。

 降下船の不足で、第214師団はエンガディンとその周辺にとどまった。ぺティグルー司教は、彼が「小暴君」と呼ぶところのヴィクター・ダヴィオンに従わないと誓っているが、この無礼な表現がコムスターへの忠誠が終わったことを示しているのか、単なる戦司教への拒否反応なのか、ROMはまだ確認できていない。


第8軍 8TH ARMY V-PI (STERN DEFIANCE)

 シュタイナー=マーリック国境線沿いにいた第8軍は、連邦=共和国内戦でひどい損害を被った。第182師団はリチャード・シュタイナー侯爵の失政で紛争に巻き込まれ、また第167師団はジューサルの戦いでの戦いを終わらせようとして壊滅した。この行動で前戦司教ギャビン・ドゥからコムスター追放を言い渡されたが、第167師団は第4南十字星部隊との友好関係を勝ち取り、戦後、生存者の多くが南十字星部隊に入隊したのである。ヤケル司教はヴィクター・ダヴィオンの戦司教就任に懸念を示したが、連邦=共和国内戦でのことよりも、将来の行動で彼のことを判断すると約束した。

 第182師団はリチャード・シュタイナー侯爵から何年にもわたって嫌がらせを受けたあと、キャヴァノーでキャサリン派の手によってひどく痛めつけられた。侯爵の退位によって助けられたのだが、第182師団はコムガードの調査(侯爵への明白な敵対に対するもの)から解放された。

 第85師団はエリートにふさわしくない辺境周辺部に配備されたが、ブルドッグ作戦、ハントレスの戦いで疲れた部隊に休養と回復の時間が与えられた。戦力が完全に整うなか、グラフ司教はローリック(第167師団が放棄した)への再配備を何度も要求しており、数ヶ月のうちに許可が出そうである。

 ライラのパラノイアが、第56師団を救った。3062年にソラリスを襲った混乱を避け、ラーネへの再配置が促されたのである。戦後、部隊はソラリスに戻り、中立な平和維持軍として復帰し、ライラ兵がもっと重要な任務につく余裕を与えた。


第9軍 9TH ARMY V-LAMBDA (THE RAG TAGS)

 全軍がライラ同盟内にいる第9軍は、幸運なことにわずかな損害で内戦を切り抜けた。1個師団がカトリーナ派兵士と小競り合いを繰り広げたのだが、残りは最も危険な接触をなんとか避けたのである。功績の多くはソニック・オーウェンズ司教に帰属する。彼は両陣営に、中立性と同盟世界を守る重要性を納得させた。自由スカイアの部隊が、獲得した領域内の2個師団に支援を求めたのだが、オーウェンズ司教は礼儀正しく要求をはねのけた。

 ニューアース貿易会社は第34師団との有益な関係を持ち続けている。生産物資のほとんどを〈結社〉に売却し、資産の防衛をブラック・グローブ師団に頼っている。対照的に第366師団は、亡命者、辞職者を出した。戦司教ダヴィオンの復職以降、人員流出は増加傾向にある。

 第143師団は、第4同盟防衛軍と深刻な小戦闘を繰り広げた。その後、アルダー・リード司教が、戦闘を終わらせるため、ライラの秩序に屈した。彼は威厳と引き替えに部隊を守った。敵がもっと意味ある相手と戦うために撤退したとき、これは幸運だったと証明された。

 ヴァーテューに駐屯する新兵の第207師団は、第9軍の他部隊から数百光年引き離されている。ハイラム・ラヴァル司教は部隊を独立部隊としており、ワード・オブ・ブレイクによる重大な工作にさらされている。どれだけの兵士がブレイク信徒に買収されたかはまだわかっていない。


第10軍 10TH ARMY V-NU (THE RED LEGION)

 この10年、赤色軍団は2つの独立部隊として行動した。一方はカトリーナ派として、もう一方はアークロイヤル防衛戦線に参加した。コムスターはこの状況を、連邦=共和国の内戦が冷戦であったあいだは許容したのだが、実際の戦いが勃発すると、ギャビン・ドゥ司教が第10軍の忠誠心を確かめる動きに出た。LAAFを利用して、第198師団、第208師団がモーガン・ケルかヴィクター・ダヴィオンの下に走らぬよう図ったのである。第10軍でもっともライラ寄りの、ダグ・ケッセルリング司教率いる第66師団は、選択の代償を支払った。ピーター・シュタイナー=ダヴィオンのターカッド強襲で全滅したのだった。

 第283師団は、戦司教ヴィクター・ダヴィオンの強固な敵のままであり続けているが、ヴィクターを批判しながらも、コムスターへの忠誠心を保ち続けている。ROMは何度も部隊を調査しており、兵士たちの大半はヴィクターの命令を――不熱心にでも――受け入れる。

 長きにわたってARDC内で補助部隊となっていた第198師団は、ジェイドファルコン侵攻で初めて実戦に加わるチャンスを得た(ムクランガに配備されていた)。部隊は将来の氏族強襲を食い止めるべく、惑星にあり続けている。

 ファルコン占領域とターカッドの中央に位置する、エリートの第208師団は、ブラジオン作戦とオーダシティ作戦のあいだ、同盟の補給線を守った。それ以降、ゼイン司教はダヴィオン戦司教の再任を用心深く歓迎している。


第11軍 11TH ARMY V-ETA (THE HONORABLE)

 内戦でもっとも打撃を受けたのは、疑いようもなく第11軍4個師団の3個師団である。戦時中、損害を被り続けた。第48師団は同盟にやられ、第39師団はジェイドファルコン相手に兵を失った。もっとも不運だった第388師団は、戦争中に同盟、ファルコンと戦い、その指揮官は技量と勇気を認められ、相当の名声を得たのだった。

 元はフォート・ロンドンに本拠を置いていた第48師団は、不注意にもこの世界での紛争に引き込まれたが、なんとか大規模な戦闘を避けた。部隊はライラの陣地を守るため、ケレンフォルドに再配備されたが、隊員の多くはこれを退却と見たのだった。

 第388師団は内戦の開始時にグレースランドから撤退せざるを得なくなった(当地では、内戦で一、二を争う複雑な軍事行動があった)。ジェイドファルコンの侵攻時には、喜んでこの世界に帰還し、ライラの援軍が侵攻軍を追い払うまで戦線を保持し続けた。対照的に、クリモンドへと送られた第39師団は、ジェイドファルコンを追い出すにはちょっと遅すぎ、部隊の熱狂的すぎる強襲で割に合わない被害を出したのだった。

 未熟で、経験の浅い第312師団は、紛争中に防衛任務についただけだった。外交官役を5年間務めたあとで、ディンタロ司教と兵士たちは、戦いを経験できなかったことで落ち込んでいるという。


第12軍 12TH ARMY V-BETA (THE BROADSWORD AND SHIELD)

 氏族の地球進路に直接立ちふさがる第12軍は、自由ラサルハグ共和国の防衛と密接に結びついており、コムガードで最高の装備を持ち、最大の警戒態勢にある。ジェイドファルコンの侵攻があったにもかかわらず、ここ数年で最も難しかった仕事は、守ると誓った市民たちに注意を払うことだった。自由ラサルハグ共和国住民の多くは、大拒絶でコムスターの軍事的援助は不要になったと考えており、そしてアリアン・ハイアム司教は、地元民がコムスター兵から自由になりたいと思っているのを、自軍の最大の弱点だと見ている。コムスターが撤退したら確実に共和国はウルフ氏族の強襲にさらされる。ツカイードの停戦はあと数週間で期限が切れるのだ。ウルフ氏族のヴラッド・ワード族長は、氏族侵攻の再開を妨げるのはツカイード停戦のみであると、日ごろよく口に出している。

 エリートの第278師団は、第12軍の指揮部隊となっており、士官たちは氏族、連合、同盟のFRR強襲に対処すべく、常に緊急計画を練っている。こういった理論をテストすべく、ツカイードで第472師団を相手に定期的な演習を行う。インベーダー銀河隊とも呼ばれる、第472師団はこれら演習のときに作戦部隊となる。優れた戦士と知られている第472師団のリサ・ケーニッヒ=コベル司教は、訓練に来る各部隊に対し、またコムスター内で、意外な外交手腕を発揮した。ヴィクター・ダヴィオンが戦司教をやめるとすれば、ケーニッヒ=コベル司教が跡を継ぐと考えている者が多くいる。首位者の地位を狙うなら支援するとほのめかす者までいる。

 コムスターとFRR間で緊張が高まっているにもかかわらず、第116師団は、定期演習のパートナーとなっている王立軍、第2機兵隊と良い関係を保っている。オレステスに基地を置く第104師団は、もっとも強い反コムスター感情にさらされている。兵士たちはラサルハグ首都の住民から侮蔑され、侮辱されているのだった。







Jihad Hot Spots: 3072


セレスティアル・オムニメックシリーズ CELESTIAL OMNIMECH SERIES

 3070年の終わり、新型メックシリーズ(全6機)に関する報告がワード・オブ・ブレイク保護領の外に漏れ始めた。これらのメックは、デザインのラインが同じであり、最精鋭の兵士たちを乗せるのが宿命づけられているように見えた。3072年までに、この新シリーズは、名前をつけられた――セレスティアル――そして、ワード・オブ・ブレイク市民軍と、マネイ・ドミニの"シャドウ"師団の最精鋭メック戦士が好んで乗るようになった。



概要
 様々な情報源から集められた諜報データによると、セレスティアルシリーズは、デボン・コートランド博士の発明品と思われる。彼はトヤマ開発チームのアシスタントとしてワード・オブ・ブレイクにやってきた軍事技術者である。コートランドがどのようにワード・オブ・ブレイクの謎めいたマネイ・ドミニ戦士たち(特にそのリーダー、アポリオン司教)と関係を持ったかは定かではないが、アポリオンはコートランドに、ワードの超エリートに最適の新オムニメックシリーズを生み出す計画の責任者になるよう求めたようだ。

 ワード・オブ・ブレイクがコムスター艦隊を壊滅させた直後に、地球と火星のマーチソン兵器工場で最初のセレスティアルが開発され始めたと思われるが、この人事の後のことは依然として謎めいている。この時までに、コートランド博士は奇妙な人物として知られるようになった……彼はドミニでなく、戦士でもないのに、いわゆる「マスターの手」とアポリオン司教に狂信的に身を捧げる、恵まれた立場にある人物なのだ。なぜ、最初のセレスティアルが――明らかにキャメロン・サン=ジャメの要請によって――地球のワード・オブ・ブレイク市民軍と非ドミニの守備隊にまわされたかは完全に謎のままで残っている。



性能
 セレスティアルシリーズ全体は、ワード・オブ・ブレイクの軍事工学とプロパガンダの巧妙な一手である。グランドクルセイダーのオムニ化計画が頓挫して以来、ブレイクはオムニメックを開発できてなかったと見られていたので、似たような内部構成と独特の超自然的な名称を持った6機の新型機が出現すると、大きな驚きを生み出したのだ。各モデルはマネイ・ドミニ向けに作られ、コンパクトコクピット、強化C3コンピュータ、ライト核融合エンジンを使用し、生存性と戦闘中の統制を高めると同時に、武装、装甲用の重量を浮かせている。名称を古い宗教(とりわけキリスト教、ユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教)の天使的な存在からとったセレスティアルは、恐ろしいイメージを増幅している。

 これらのマシンのさらに風変わりな例として、コートランドは各仕様の名称にラテン語を使った。通常の「プライマリ」「アルファ」が、「インヴィクタス」「ドミナス」などとなる。これらの名称と、マネイ・ドミニが使うハイ・ドミナス語なるふざけた言語の間にある関係は、セレスティアルシリーズとコートランド博士とワード・オブ・ブレイクのサイバー戦士たちの結びつきをさらに強めている。



配備
 3069年の後半、地球を防衛する部隊に登場して以来、セレスティアルは、サイバネティックス的に強化されたシャドウ師団など、主にワードのエリートとされる部隊の中でその数を徐々に増しつつある。ギブソンからの信頼できる報告によると、おそらくこの機体群の数量を最大限に増加させるために、ワードは6機種のオムニメックをギブソン、そして地球と火星で生産し始めたという。この事実は、一部の分析家たちが言っている、ワードが最終的にすべての非オムニメックをセレスティアルに置き換えるべく計画しているという説を立証するものである。

 だが、ギブソンから出荷されたマシン(アポリオンのサイバー化された手下専用)に特殊な改造がされているのは、マネイ・ドミニ専用であることの証拠だとの噂は多く聞かれる。



派生型
 各セレスティアルは特定の役割を念頭に作られており、各種の付随する役割を遂行するために仕様変更できる。最軽量、30トンのマラク(アラビア語でエンジェル)は、高速で重装甲な偵察専用機である。45トンのプレタ(ゴーストを指すヒンズーの用語)は、単なる散兵、前哨ではなく、重量のある敵を悩まし、片づけるのに使われるのと同時に、軽量級部隊を一掃するのに使われる。60トンのグリゴリ(キリスト教の堕天使)と、70トンのデーヴァ(ヒンズー、仏教、その他の宗教の下位神、あるいは天使)は、両者とも相互補完的な主戦機である。グリゴリはしばしば接近戦機のデーヴァの火力支援を行う。85トンのセラフと、100トンのアークエンジェル(両方とも、ユダヤ教、キリスト教の天使の名前)はしばしばセレスティアルのレベルIIの大黒柱としての役割を果たし、指揮機となるか、強襲兵となる。

 最終的に、これらのマシンは、コートランドがワード・オブ・ブレイクと「アポリオン閣下」のために始めたことを完遂した。セレスティアルはワードの工業力を喧伝し、軍隊に大胆な新しい機体を吹き込み、精鋭部隊の戦列を埋めたのである。このマシンは敵の心臓を凍り付かせると同時に、狂信者たちが結集するシンボルとなった。これは、アポリオンがコートランドを彼のサイボーグ教団に入信させ、(サイボーグ化の高い費用を払うのに加え)キリスト教の悪魔学からとった名前「ヴァプラ」を授けたことの理由になっていそうである。





ジン・バトルアーマー Djinn Battle Armor

 セレスティアル・オムニメックシリーズと共に、六種類のバトルアーマーもまた、ワード・オブ・ブレイクの戦列に登場した(両者はマネイ・ドミニの使用を念頭にして同時に開発されたとの有力な説の証拠になっている)。「デーモン」シリーズと呼ばれるこれらのスーツは、おそらくコートランド博士/ヴァプラ准司教のもうひとつの発明品で、幅広いサイズと仕様を持っている。3070年以降、これらの機体は様々な交戦で大規模に使われている。特に、占領されたガラテアの街路や、つい最近では3071年の新ギブソン自由同盟に対する残酷な弾圧など、ブレイク保護領内の紛争が起きている世界での使用が多い。現時点では、一機分――軽量級のジン――の実データしかないが、諜報部員たちが他のデーモン5機のデータを集めているところである。

 構造上、ジンがマネイ・ドミニ用に作られたのは明白である。彼らのサイバネティック・エンハンスメントは、他のバトルアーマー兵のような屈強な体格の必要性を減少させている。これがこのスーツを細身のフォルムとする。ジンは犬の手のような爪を採用しており(氏族製サラマンダーから着想を得たようだ)、連合のカゲに見られるパーシャルウィングを使っている。ジンのスタイルはさらに恐ろしいものにされ、紛れもなくそのシリーズ名の由来となっている悪魔的な外観が作られている――このスーツは対歩兵用プラットホームであるのと同じく、心理兵器となっているのである。装備は強力なマシンガン1門と、友軍の砲撃を観測するライトTAGで、他部隊の支援と市街地の掃討に理想的である。



タイプ: ジン(デーモン)
製造元: ギブソン・フェデレーテッド・バトルメックス
    主工場: ギブソン
技術ベース: 中心領域
シャーシタイプ: 人型
重量等級: 軽量級
最大重量: 750 kg
バトルバリュー: 27
集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/不可

装備                         装備欄数    重量
シャーシ:                                   100 kg
移動システム(全型):
    地上 MP:        1                         0 kg
    ジャンプ MP:    4                        75 kg
マニピュレーター:
    左腕:      バトルクロー            50 kg
    右腕:       バトルクロー            0 kg
装甲:           アドバンスド       3     200 kg
    装甲値:   6 + 1 (兵士)

                    装備欄数
武器・装備         配置    (能力)   重量
 パーシャルウィング     胴体      1          200 kg
 マシンガン(50射)     右腕           1          100 kg
 ライトTAG(60射)      胴体           1           35 kg







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