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作成:2003/01/13
更新:2017/01/10

ワコー特戦隊



 ワコー特戦隊は"Mercenary's Handbook" に平均的な傭兵部隊として紹介されています(他にはエリートの例としてエリダニ軽機隊、最下層がウイルソン軽機兵隊)。襲撃任務で華々しい成功を遂げており、平均と呼ぶには優秀過ぎるかもしれません。ウルフ竜機兵団を敵視していることで有名です。







略史 BRIEF HISTORY

 3007年、第1タウケチレンジャー部隊を除隊させられることになっていたウェイン・ワコー大尉は、リャオ家での任務を離れ、15名の落ちぶれたメック戦士を勧誘し、ワコー特戦隊と呼ばれる傭兵中隊を作り上げた。奇妙なことに最初の雇い主はリャオ家であり、特戦隊はすぐ前線に送られ、ダヴィオンの進軍停止を試みることとなった。



復讐の誓い SWORN ENEMIES

 3008年のあいだ、ワコー特戦隊はニューアランゴンでマコーマック機兵隊のために哨戒任務を行い、ウルフ竜機兵団の強襲を待っていた。しかしながらウルフの攻撃は予測できないほど素早いもので、ワコー大佐の一人息子であるジョン・ワコー中尉をエル・ディアブロ・パスに閉じこめた。次に何が起きたのか誰もわかっていない。しかし専門家の後の報告によると、少なくとも4機のバトルメックがジョン・ワコーのスティンガーを取り囲み、組織的にバラバラにしていった。若きワコーは脱出したが、竜機兵団のメックは彼を追い、1機がこのメック戦士を踏みつぶしたとのことだった。

 リャオ軍のニューアランゴン撤退後、この報告は確認されなかったにも関わらず、ウェイン・ワコーと部下たちは死の宣誓を行った。竜機兵団員に情けをかけず、同じ雇用主の下でともに働くのを拒絶した。今日まで、ワコー特戦隊の新兵はこの誓いを守らねばならず、また雇用主がウルフ竜機兵団も雇った場合は契約が無効になる特記条項がある。数年後、死の誓いの話は、竜機兵団司令官のもとへと届いた。ウェイン・ワコーの息子を残酷にうち負かしたという件については知らなかった。ウルフはこういったという。「素晴らしい、素晴らしい、その傭兵を試してみたい。ワコー農民隊だか、特戦隊だかが誰であれ、出会ってしまうことを期待する」

 次の4年間、ワコー特戦隊は急激に成長し、はみ出し部隊として知られるようになった。前部隊を離れたメック戦士は、少し質問されただけで特戦隊で新しいスタートを切ることができた。彼らはある程度の技術と(どんな状態であれ)バトルメックを必要としていた。ワコーの技術官たちは、部隊の老朽化したメックを再生し、奇跡の技術者として評判を高めていった。失機者のメック戦士が充分な能力を持っていれば、ワコーは部隊の予備メックを与えたものだった。

 3010年までに、ワコー特戦隊は、リャオ家に仕えているなかで最も信頼できる傭兵部隊になっていた。結果、問題になっている地点を常に飛び回ることとなった。これらの小競り合いのなかで有名なのは、3011年の惑星トーマス防衛でダヴィオン家第42アヴァロン装甲機兵隊を防衛した件である。アヴァロン装甲機兵隊は一丸となって惑星を強襲し、簡単にワコーの一撃離脱戦術の餌食となった。リャオの援軍が到着するまでに、ダヴィオン連隊を惑星撤退に追い込み、ワコーのテックたちは30機近い敵のバトルメックを修理していた。すぐに部隊は大隊サイズになり、ワコー大尉は自らを少佐に昇進させた。戦闘による損害を回復したあとでも、特戦隊は2個中隊を増強するのに充分なバトルメックを持っていた。1年以内に、ワコー特戦隊は2個完全大隊を持つに至った。



リャオからクリタへ FROM LIAO TO KURITA

 3011年のなかごろ、ワコー中佐はマクシミリアン・リャオが憎むべきウルフ竜機兵団を雇用したと知った。この契約違反に怒って、ワコー特戦隊はリャオのコリオンにあった補給基地を襲撃し、カペラ宙域から立ち去った。しかしながらリャオは、契約によってどんな傭兵部隊を雇っても差し支えないと感じており怒った。リャオはウルフ竜機兵団を雇う意志があるとき、特戦隊に対して事前告知を行わなければならず、彼らは公式にリャオの雇用から離れることができた。ワコー特戦隊は多量のスペアパーツを獲得し、リャオは頭のおかしい傭兵に罵詈雑言を浴びせた。

 継承国家中にその名声は広がっていき、ワコー特戦隊はますますメック戦士たちを部隊にひきつけた。彼らの多くは家族がいないか、はみ出しものだったが、特戦隊は大きな家族になっていった。その結果、給料の一部が古いメックの修理や再生に向かっても気にしなかった。

 3014年、広範囲な訓練と刷新の後に、特戦隊はドラコ連合と契約交渉した。その最初の任務として、クリタは第3ケチ戦闘部隊が防衛する惑星サラ襲撃を命じた。すぐに星系内にジャンプし、航空小隊が、前進する降下船の周囲から、防衛部隊の戦闘機を追い払った。しかしながらダヴィオンの戦闘機は、ノーブル大隊のオーバーロード級降下船を遅延させ、ケラー中隊は強襲大隊の援護なしで着地せざるをえなかった。結果、戦闘部隊はユニオン級が到着するまでに中隊を叩のめし、5個中隊をケラー隊に向かわせた。ケチ戦闘部隊は高地に退き、特戦隊の降下地点から離れた。

 特戦隊は着地点の安全を確保したあとで、捜索破壊作戦を始め、ダヴィオン軍をついにマーラの密林へ撤退させた。しかしながら、ダヴィオンの援軍が星系内に到着したのを聞くに及んで、ワコー大佐は撤退を命じた。特戦隊は、何トンもの補給品とスペアパーツに加えて、彼らの壊されたメックとケチ戦闘部隊の各種6車両を使い続けることができた。

 3018年までに、ワコー特戦隊は連隊規模近くにまでなった。クリタは部隊をほぼ物資襲撃と攻勢作戦に使った。部隊を分割して複数の惑星に向かわせる代わりに、ワコー大佐は部隊をまとめることを主張した。ほとんどの惑星はワコー連隊を撃退できず、特戦隊はいつも敵の援軍が辿り着く前に撤退することとなった。



ウイドウとの衝突 BRUSH WITH THE WIDOW

 3021年の2月、ワコー大佐と部下たちはニューウェセックス(前線基地と集結地点があった)に降り立ち、数ヶ月の休息と修理を行った。ちょっとした休暇を楽しんでいるあいだ、ワコーは、ウルフ竜機兵団のウイドウ中隊(現在シュタイナー家に雇われている)が惑星上のハーロウの森と呼ばれる森林地帯に侵入し、クリタ正規軍の完全連隊を悩ませていると聞き及んだ。特戦隊は惑星中に分散していた。大佐は利用可能で、無傷で、冷静なメック戦士を1個中隊分集めた。すぐに中隊を率いて、2日の進軍で第20ドラコ連隊の戦闘司令所にまで赴いた。

 ワコーが到着したとき、連隊指揮官のジンジョー・ヤマシガ准将は連隊を小隊単位にわけており、しらみつぶしに森中を調べてウイドウ隊のベースキャンプを探していた。不運にもウイドウ隊は小隊を殲滅していた。ワコー大佐が到着するまでにである。准将は特戦隊が戦闘に関わるのを禁止したが、クリタ27個小隊のうち18個がうち負かされてしまった。

 ワコーは地形図をにらみ、ウイドウが降下船と合流する可能性が高い地点を探すと、メックを率いてその区域に向かった。彼の読みは正しかったが、遅すぎたのである。ワコー中隊にできたのは、ブラックウイドウの降下船が離陸したあとで、長距離射撃を交えることだけだった。復讐のチャンスをだまし取られたワコー大佐は、ドラコ連合最高司令部に対し、准将の失敗に関する痛烈な報告を行った。1ヶ月後、ヤマシガ准将は自害を遂げた。



シュタイナー家での日々 THE STEINER YEARS

 3023年、クリタ家はワコー大佐に対してウルフ竜機兵団を雇う意志があることを通告した。従って、ワコー大佐は連合との契約を終了させ、シュタイナー家(ウルフ竜機兵団が離れたばかりの継承国家)と契約した。ライラ共和国のために物資襲撃を行っているあいだ、ワコー大佐は竜機兵団の位置を特定しようと務めたが、失敗に終わった。その後、3024年のなかごろ、ウルフ竜機兵団の1個大隊が惑星ハイペリオンにいると偵察兵によって報告がなされた。ワコーはすぐ惑星襲撃を決めた。

 特戦隊の最初の降下と前進は上手くいき、ノーブル強襲大隊はアーシズ(惑星首都)を戦うことなく奪取した。竜機兵団の捜索に失敗したあとで、ケリー大隊とケラー大隊もまたアーシズに入った。しかしながらウルフ竜機兵団はすぐに姿を現し、少なくとも2個連隊はあった。特戦隊はウルフの主要集結点のひとつに出くわしてしまったのだ。数に勝った敵に対し、ワコーは撤退命令を余儀なくされ、降下船に乗り込んだ。ワコー大佐はユーリ特別作戦中隊に加わり、竜機兵団の前進に立ち向かった。砲戦の結果、ユーリ中隊は半分が破壊され、竜機兵団もまたメック10機の損失を被った。ワコー大佐のレーザー痕を残すバトルマスターは最後まで降下船の舷側に残り、バンシーを爆破させ金属片に変える作業に従事した。いまだにワコーは竜機兵団とできるだけはやく勝負をつけたがっている。

 深侵入部隊として作戦を行うワコー特戦隊は、クリタ家の頭痛の種となった。ドラコ連合はクリタ領奥地の補給基地を守るために、第4ベンジャミン正規軍と第7〈光の剣〉連隊を前線から引き抜かなければならなかった。特戦隊の評判は広がっていったが、ウルフ竜機兵団のような魅力ある部隊にはならなかった。メック戦士サークル内では、「ワコー廃品隊」として知られている。多くの惑星の酒場で喧嘩を繰り広げたからである。





部隊解説 UNIT DESCRIPTION

 ワコー特戦隊は、哨戒や偵察のための深侵攻襲撃を行うよう、最適な形で構成されている。メック数機は一時的に特別小隊に配属される。

 ノーブル大隊は特戦隊の主打撃部隊である。たいていVフォーメーションで攻撃し、ノーブル中隊が前に出て、ヘンリー中隊とロミー中隊が両脇に続く。ケリー大隊は第二の強襲隊で、掃討作戦のほとんどを扱う。時々、ワコー大佐はこの大隊を主打撃隊として使う。いつも汚い仕事に従事していることについて文句を言わせないためである。現在、ケリー大隊は連隊で最も弱い部隊である。ハイペリオンの戦いでの損失からまだ回復していないからだ。ケラー大隊には特戦隊内の未熟なメック戦士がいる。連隊の予備隊だと考えられており、両大隊の仕事を支援する。

 技術支援グループはゴミの山からバトルメックを作り出す長い伝統を有している。特戦隊のメックの多くは良い部品を使っていないが、ほとんどが適格に作動する。多くの傭兵部隊と同じように、充分なスペアパーツが欠けており、従ってすべてのメックを戦場に出せない。結果、特戦隊は敵を攻撃することよりも、装備を奪取することに集中する。敵の補給貯蔵庫からXP32M回路基盤が発見され、テックがうれし泣きするのは珍しいことではない。

 ワコー特戦隊の軍旗は、縁取りされた星から構成される。中央の星は赤と青で、白の縞で分割され、白のWが中央に来る。

 ワコー大佐は最初に特戦隊を組織したとき、メック戦士軍曹という新たな階級を作りだした。このメック戦士は小隊の副司令の役割を持ち、小隊長が傷つくか指揮できない場合、指揮権を一時的に引き継ぐ。従って、戦闘において司令官を失っても、小隊の全滅ということではない。





所属隊員 SELECTED PERSONALITIES

名前: ウェイン・ワコー大佐
役職: 連隊長、ワコー特戦隊
 2968年、リャオの惑星ルブランで生まれたウェイン・ワコーは、なめし革業者の末っ子だった。有望なメック戦士の候補を探していたリャオのスカウトは、ウェイン・ワコーの頭の回転と反射神経に目を付けた。ワコーは10歳になる前に訓練を始め、9年後、リャオの新品中型バトルメック、ヴィンディケイターを得た。ノースウィンド・ハイランダーズ旅団、第2カーニー・ハイランダーズに配属されたワコーは、メック戦士、フィオナ・リッチェルと結婚した。2990年、息子のジョン・ワコーが生まれた。8年後、ワコーの妻はダヴィオンの戦闘機爆撃で死亡した。ショックを受けたワコーは、前線勤務を外されて、シーアンのメック戦士訓練施設に異動となった。8年間、教官を勤めた後、彼は昇進し、第1タウケチ・レンジャー部隊の中隊指揮官となった。すでにメック戦士として認められていた息子のジョンも同行した。ワコー・ウォリアーズと呼ばれた彼の中隊は、連隊で最高の戦闘部隊となり、レンジャー部隊の他の中隊よりも多数の撃墜を記録した。3007年にリャオがレンジャー部隊の解散を決断すると、ウェイン・ワコーはワコー特戦隊を作る決断をした。

名前: パウルス・ノーブル少佐
役職: 大隊長、ノーブル大隊
 パウルス・ノーブル少佐はワコー特戦隊の初期隊員である。彼はワコーが最も信頼する部下であり、よく次席指揮官としての役割を果たす。強襲大隊の指揮官として、ノーブルは惑星強襲、襲撃任務の先陣となった。特戦隊に勤務しているあいだ、彼は5回負傷し、3機のメックを使い潰した。現在のメック、「フィクサー」と名付けられたバンシーは、黒と銀に塗装されている。

名前: オルブライト・ケリー少佐
役職: 大隊長、ケリー大隊
 ワコー特戦隊では新参のケリー少佐は、連隊の支援大隊を指揮している。彼が部隊に加わったのは、3015年、ライラ共和国軍を退職した後でのことである。辞めた理由を話してはいないが、連隊内の噂によると、彼はメックによる決闘で指揮官(とあるシュタイナー女性貴族の貞節について非難した)を殺したということになっている。
 ワコー大佐はケリーの経験とリーダーシップを歓迎し、即座に支援大隊指揮官の座を与えた。少佐はとくに「ランタンの白いところ(バトルメックのスポットライト)が見える」距離の接近戦を好む。彼のメック、「バックスタバー」と名付けられたハンチバックは、パイロットのストリートファイトスタイルを反映して、傷やへこみがついている。

名前: C.H.G."チャージャー"ケラー少佐
役職: 大隊長、ケラー大隊
 "チャージャー"ケラーは3009年前半、小隊指揮官としてワコー特戦隊に加わった。3年で、彼は中隊指揮官に昇進し、6年後に予備大隊が結成されたときには大隊少佐となった。ケラーの超人的なまでの戦術状況判断能力は、ワコー大佐ですら理解の範疇を超えたものである。連隊のだれかがメック戦闘、戦術に関する疑問を持つと、「ケラーに聞け」と言われるのだ。彼の部下たちは、市街戦、川岸強襲、低重力戦闘、その他の通常でない作戦に関する特別な訓練を受けている。

名前: チャールズ・ヘンリー大尉
役職: 中隊長、ヘンリー中隊、ノーブル大隊
 特戦隊入隊前、ヘンリーはクリタのブリオン軍団員であった。彼は兄のグレゴール・ヘンリー少佐(最近昇進)と喧嘩した後で連合を離れた。兄弟は不倶戴天の敵となっており、ヘンリーは戦場でメックとメックの対決をすることを望んでいる。
 ヘンリー大尉の支援中隊は、特戦隊で最も重量のあるジャック・ロミーの強襲中隊の補強を担当している。幸運にも、両士官は非常にうまく連携しており、非番の際はよくスタッドポーカーで遊んでいる。

名前: リッチ・スミザーズ中尉
役職: 小隊長、スミザーズ強襲小隊、ロミー強襲中隊、ノーブル大隊
 スミザーズ中尉は特戦隊で最年少の小隊指揮官あり、最も幸運なメック戦士である。10年間、第7〈光の剣〉連隊に勤務していた彼は、ダヴィオンの惑星、カシアス襲撃の際に死亡したと伝えられた。しかしながら、彼のメックは行動不能となっただけだったのである。メックに自爆処理を施したあと、彼は脱出し、丘に逃げた。クリタ軍が戻ってくるまで、2年以上、彼はそこで生き延びた。彼は救難ビーコンを組み上げ、ドラコ連合の偵察部隊が彼を拾い上げた。
 その後まもなくスミザーズはクリタ家を離れ、ワコー特戦隊にに入隊した。いまだ憤慨している彼の身体と精神には、カシアスで得た無数の傷がある。彼は「地獄から戻ってきた男」と名付けたアトラスを情熱的に駆っている。

名前: ジョジョ・ファウスト中尉
役職: 小隊長、ファウスト軽航空小隊、ノーブル中隊、ノーブル大隊
 ジョジョは3020年までクリタ家の第3ベンジャミン正規隊に勤務していた。この年、彼はホラーミュージックショー向けに破壊的な歌詞を書いて、厳しい懲戒処分を受けたのである。この扱いに仰天した彼は、ショラガー戦闘機を奪って、フリーランスの戦士となった。3021年、彼はクリタ家に仕えていたワコー特戦隊に入隊した。首に賞金のかかっているジョジョは、クリタの鼻先で働いているのをお笑いぐさだと考えている。彼はワコーで最高の気圏戦闘機パイロットの一人で、15機撃墜を記録している。

名前: ウェイン・ロジャース中尉
役職: 小隊長、ロジャー偵察小隊、プレストン中中隊、ケリー大隊
 ロジャース中尉はプロのメック戦士であることを誇っている。彼は視力が弱いため、子供のころから、メック戦士にはなれないといわれてきた。メックのニューロヘルメットを改造し、外部センサーの数値をどう読み取るかでついにこれを克服した。彼のオストスカウト「フォー・アイズ」には最高のセンサー・パッケージを取り付けている。メックにいるときのロジャースは誰よりもよくものを見るが、外ではコウモリのごとく目が悪いのである。

名前: レニー・マークブライト軍曹
役職: ワコー指揮小隊、ワコー指揮中隊
 特戦隊の戦術的達人とされるレニー・マークブライトは惑星上での作戦の際にワコー大佐に付き従い、サイクロプスの改造型B-2000戦闘コンピューターで部隊の機動を操作し、統制する。全連隊と範囲内の敵軍を追跡できるマークブライトは、よく敵の動きをリアルタイムで予想し、ワコー大佐がケラー予備大隊を配置できるようにする。マークブライトは、ワコー大佐の副官であり護衛でもある。しかしながら、軍曹がその価値を証明していることから、ワコーは自分がマークブライトの護衛であるなどと頻繁に言っているのである。

名前: ウィリ"愚痴り屋"ジェームズ
役職: ロミー指揮小隊、ロミー中隊、ノーブル大隊
 長年の不平屋であるウィリは、退屈な人生だといつも不満を言っている。仲間の小隊員たちは、アトラスと戦って人生を終わらせろと言っているが、ウィリはぶつぶつ言うのを好むのである。ウィリのコメント(「あああ、ローカストが照準から逃げていった」「なんでいまここに湖がないんだ?」)は他の特戦隊員を悩ませることになる。しかしながら、彼は熟練したメック戦士なのである。彼は特戦隊に入隊して以来の8年間で9機の撃墜を記録しているが、「こんなんじゃ足りない」と文句を言っている。

名前: レナード"メイス"マッカーシー
役職: タゲデス中小隊、ケリー中隊、ケリー大隊
 特戦隊降下船群指揮官、ジョシア・マッカーシー提督の息子である、レナード"メイス"マッカーシーは、生まれたときから特戦隊の一族であった。彼は特戦隊の降下船、バーデン・オブ・フェイトで生まれた。部隊が創設されてから一ヶ月未満のときのことである。父が提供した降下船での仕事を拒否したレナードはメック戦士としての訓練を選び、数年後、タゲデス中小隊での地位を得た。彼の決断は、ワコー大佐含め、部隊内からの敬意をもたらしている。

名前: ガーティー"マム"モントーヤ
役職: イセ支援小隊、ケラー中隊、ケラー大隊
 特戦隊が中心領域で最長老のメック戦士であると信じている(彼女が主張するところでは「たしか50を越えてちょっと」)。彼女はウェイン・ワコーが傭兵部隊を組織したときに入隊した兵士の一人である。若いメック戦士たちの面倒を見て、時折は母親のようになることさえあるのだが、ガーティーは凄腕の戦士の一人である……鋭い反射神経を持ってして、若いパイロットたちを大勢負かしてきたのだ。10の連隊で過ごしたガーティーの経験は、ワコーが非常に効果的なメック部隊を作る助けとなった。

名前: ベル・グリム、セス・グリム
役職: クレスポ都市偵察小隊、ユーリ特殊作戦中隊、ケラー大隊
 グリム兄弟は入れ替わって人を騙すのを楽しんでいる。ワコーが雇うまでに、彼らは3つの傭兵部隊から追い出されていた。サイケデリックなカモフラージュを施した2機のアーバンメックに乗るグリム兄弟は都市での接近戦の専門家である。長年にわたって、彼らはその戦術を鍛え上げ、互いの行動を予想できるようになった。市街戦の混乱における連携は、特戦隊に入ってから6年間で合計12機のメック撃墜をもたらした。
 グリム兄弟は現在二人のテックとデートしている。こちらもそっくりの双子、ロレッタとジュリエッタである。双子の双方が互いを騙すのに忙しくしてるところであり、特戦隊の隊員たちはゲームに巻き込まれず済んで安心している。

名前: アベ"ザ・ウィザード"マグロー上級テック
役職: 指揮官、技術支援群
 マグローはバトルメックについてすべてを知っているようだ。リャオ家の修理・整備業務の非効率性に幻滅したマグローは、自分のやり方を通せるならと特戦隊の支援群に入ることに同意した。ワコーは喜んで受け入れ、中心領域で最も効率的な修理・整備組織のひとつを受け取ったのである。
 テックたちの大半は、マグローの両親のどちらかがバトルメックだったなどと言っている。内部も外部も知っているからだ。彼は数千におよぶメックの部品を見分けることができ、不良品であるかどうかを目で見て伝えることができる。

名前: テック・ダイアン・ウィギンズ
役職: 技術支援群
 ケラー大隊、トレイゲドール中隊、シュニ偵察小隊に配属されたダイアン・ウィギンズは、できる限りのことを学ぼうとしている。最近、助手整備兵から昇進した彼女は、故障した兵器の修理に適正を示している。熱心で優秀な研究者であるのだが、過去については多くを語ろうとしていない。





部隊編成 3025年

ワコー司令中隊
  ワコー指揮小隊
    大佐 ウェイン・ワコー エリート バトルマスター
    大尉 Akida Samsun 古参兵 マローダー
    大尉 Reggie Randall 古参兵 ワスプ
    軍曹 レニー・マークブライト 古参兵 サイクロプス
  ソン航空小隊
    大尉 Su Ching Sung 古参兵 トランスグレッサー
    中尉 Jac "the Rammer" O'Rourke 古参兵 トランスグレッサー
    中尉 Jimmy "the Spike" Inuit 一般兵 トランスグレッサー
  マッカーシー降下船群
    1 オーバーロード級降下船
    5 ユニオン級降下船
    3 レパード級降下船
  技術支援群
    167個支援人員分隊


ノーブル強襲大隊
  ノーブル司令部中隊
    ノーブル指揮小隊
      少佐 パウルス・ノーブル エリート バンシー
      大尉 Jorge Delphinus 古参兵 サイクロプス
      中尉 Daverius Bunkerara 古参兵 クイックドロウ
      中尉 Marcus Aeolus Wernke 古参兵 ウォーハンマー
    Sanchuie's 偵察小隊
      中尉 Troy Sanchuie 一般兵 ジャベリン
      軍曹 Erica Long 一般兵 ジャベリン
      戦士 "Jolly Jim" Smith 一般兵 ローカスト
      戦士 Anita Michel 新兵 ローカスト
    Pointers' 重航空小隊
      中尉 Alfred Pointers 古参兵 スレイヤー重戦闘機
      戦士 Nate "the Bug" Arachnar 一般兵 スレイヤー重戦闘機
      戦士 Charlie Migele 一般兵 スレイヤー重戦闘機
    ファウスト軽航空小隊
      中尉 ジョジョ・ファウスト エリート ショラガー軽戦闘機
      戦士 Chalton Liard 古参兵 ショラガー軽戦闘機
    Ponotowski's 中航空小隊
      中尉 Sasha Ponotowski 一般兵 シロネ中戦闘機
      戦士 Ross Lamone 新兵 シロネ中戦闘機
  ロミー強襲中隊
    ロミー指揮小隊
      大尉 ジャック・ロミー 古参兵 アトラス
      軍曹 Giles Jefferson 古参兵 オウサム
      戦士 ウィリ"愚痴り屋"ジェームズ 一般兵 オリオン
      戦士 Jane Khorgul 一般兵 ウォーハンマー
    スミザーズ強襲小隊
      中尉 リッチ・スミザーズ 古参兵 アトラス
      軍曹 Gordon McPherson 古参兵 オウサム
      戦士 Eli Ellerson 一般兵 クルセイダー
      戦士 Suli El Hambra 新兵 センチュリオン
    Swyccfers' 偵察小隊
      中尉 Geoffrey Swyccfer 古参兵 スティンガー
      軍曹 "Mad Jack" Livermore 一般兵 スティンガー
      戦士 Lopez Martinelli 一般兵 ワスプ
      戦士 Shelli Britan 新兵 ワスプ
  ヘンリー支援中隊
    ヘンリー指揮小隊
      大尉 チャールズ・ヘンリー エリート アトラス
      軍曹 Ted "Slim" Atkins 古参兵 アーチャー
      戦士 Roland Rogers 一般兵 クルセイダー
      戦士 Barry Manson 一般兵 ワスプ
    Ryan's 火力小隊
      中尉 Lyndon "Red" Ryan 古参兵 マローダー
      軍曹 Bill "The Basher" McCoy 古参兵 アーチャー
      戦士 Alexandra Chunitza 一般兵 ウォーハンマー
      戦士 Ahmed "The Sage" Sandar 古参兵 スティンガー
    Klane's 火力小隊
      中尉 "Smilin' John" Klane 古参兵 バトルマスター
      軍曹 "Tiny Jim" Sundercrest 一般兵 アーチャー
      戦士 Ikito Senmai 一般兵 ウルバリーン
      戦士 Miromo Ndeni 一般兵 スティンガー


ケリー支援大隊
  ケリー司令部中隊
    ケリー指揮小隊
      少佐 オルブライト・ケリー エリート ハンチバック
      大尉 Rictor Van Owen 古参兵 トレビュシェット
      中尉 Horace Nelson 古参兵 ライフルマン
      中尉 Bethier Stocker 古参兵 ブラックジャック
    Winston's 偵察小隊
      中尉 D. D. Winston 古参兵 ジャベリン
      軍曹 Anita Chu Lai 古参兵 ジャベリン
      戦士 Joe "Mr. X" Zeek 一般兵 ファイアスターター
      戦士 Peggy Sue Keith 新兵 ローカスト
    Tagedes' 中量級小隊
      中尉 Thomas Tagedes 古参兵 クリント
      軍曹 Billy "Paleface" Palton 古参兵 ヘルメス II
      戦士 レナード"メイス"マッカーシー 一般兵 ハチェットマン
      戦士 Lyle "Lilly" Singawa 新兵 ウィットワース
  Warren's 中量級中隊
    Warren's 指揮小隊
      大尉 Douglas Warren 一般兵 パンサー
      軍曹 Milo "The Old man" McLeish 古参兵 ヴァルカン
      戦士 Ehrates Jones 一般兵 センチュリオン
      戦士 Malachai Onerret 古参兵 スティンガー
    Neal's 中量級小隊
      中尉 Don Neal 古参兵 ヴィンディケイター
      軍曹 Jose Sargossa 一般兵 グリフィン
      戦士 Chou Thoc Mai 一般兵 オストロック
      戦士 Archy "Bare Bones" Boniface 新兵 フェニックスホーク
    Kristi's 偵察小隊
      中尉 Sally "The She-Devil" Kristi 一般兵 パンサー
      軍曹 Melissa Marshall 一般兵 ジェンナー
      戦士 Peter van Hoenger 一般兵 アサッシン
      戦士 Donna de la Kalbe 新兵 ワスプ
  Preston's 中量級中隊
    Preston's 指揮小隊
      中尉 "Buzz" Preston 古参兵 ウルバリーン
      軍曹 Walt "The Stare" Rickles 古参兵 ウルバリーン
      戦士 Sevis "No Justice" Sims 一般兵 グリフィン
      戦士 Tracy "The Cheek" Thomas 一般兵 クルセイダー
    Nathaniel's 中量級小隊
      中尉 N. C. Nathaniel 一般兵 フェニックスホーク
      軍曹 Marty Filmore 古参兵 シャドウホーク
      戦士 Teresa Williams 一般兵 サンダーボルト
    ロジャース偵察小隊
      中尉 ウェイン・ロジャース 古参兵 オストスカウト
      軍曹 Dale Whittiker 古参兵 ジャベリン
      戦士 Josh Winfield 一般兵 ワスプ
      戦士 Amy Zimmers 新兵 シカダ


ケラー予備大隊
  ケラー司令部中隊
    ケラー指揮小隊
      少佐 C.H.G."チャージャー"ケラー少佐 古参兵 オウサム
      大尉 Eric "Action" Idlewild 古参兵 サンダーボルト
      中尉 Will Reynolds 古参兵 ブラックジャック
      中尉 Mike "The Wit" Banks 一般兵 フェニックスホーク
    Ise's 支援小隊
      中尉 Myodo Ise 一般兵 グリフィン
      軍曹 Billy Onoro 一般兵 クルセイダー
      戦士 ガーティー"マム"モントーヤ 古参兵 エンフォーサー
    Reeman's 偵察小隊
      中尉 Doug Reeman 古参兵 スティンガー
      軍曹 Osaida Jijoro 古参兵 スティンガー
      戦士 Odo "Nasty" Nastica 一般兵 ワスプ
      戦士 Cochees Shirotan 一般兵 デルヴィッシュ
    Wright's 中航空小隊
      中尉 P. D. "Buster" Wright 古参兵 シロネ中戦闘機
      戦士 Jan Van Allen 一般兵 シロネ中戦闘機
      戦士 C. C. Crane 一般兵 シロネ中戦闘機
  ユーリ特殊作戦中隊
    Yuri's 指揮小隊
      中尉 Bend Ari Yuri 古参兵 ヴィクター
      軍曹 Rualto Fibrini 一般兵 ウォーハンマー
      戦士 Festus "The Spook" Shelhan 一般兵 アーチャー
    Reis's 強襲小隊
      中尉 James "Striker" Reis 古参兵 デルヴィッシュ
      軍曹 Solla Simanon 一般兵 オストソル
      戦士 George "Shiny" Fellardo 一般兵 ヴァルカン
    Crespo's 都市偵察小隊
      中尉 Saetta Crespo 古参兵 ハンチバック
      軍曹 Abere "Fats" Hatsuse 古参兵 アーバンメック
      戦士 ベル・グリム 一般兵 アーバンメック
      戦士 セス・グリム 一般兵 アーバンメック
  Tragedor's 予備中隊
    Tragedor's 指揮小隊
      中尉 Nigel Tragedor 一般兵 ヴィンディケイター
      軍曹 Mark Nesrick 一般兵 ヴィンディケイター
      戦士 Alace d'Erlon 新兵 ジャベリン
      戦士 Amber Selliasson 新兵 ジャベリン
    Myron's 支援小隊
      中尉 Mick Myron 一般兵 アーチャー
      軍曹 Oreon McNee 一般兵 カタパルト
      戦士 Morice Berengar 新兵 シャドウホーク
    Shuni's 偵察小隊
      中尉 Willis Shuni 古参兵 ヴァルキリー
      軍曹 Zoniah "Zony" Rogers 一般兵 シカダ
      戦士 Olan "Beamer" Phoron 新兵 コマンドゥ
      戦士 Chetoc Sinn 新兵 ローカスト







ワコー特戦隊 3050

 ワコー特戦隊は運の尽きたメック戦士たちの集団で、王家軍や他の傭兵部隊からはじき出され、落伍した者たちで構成される。彼らを尊敬される戦闘部隊に鍛え上げたのはウェイン・ワコーだった。ウルフ竜機兵団との戦いで息子のジョンが死んだとき、ワコーの興味は変わった。竜機兵団のメックが緊急脱出したジョンを故意に踏みつぶしたとの報告を聞いてワコーは復讐を誓った……この件は事実確認されておらず、竜機兵団はいつも拒否するのだが。

 特戦隊の契約にはすべて、雇い主が竜機兵団を雇おうとしたらワコーに通知するという条項がある。よって、ワコーは契約をキャンセルできるのである。マクシミリアン・リャオ首相はこれを無視して3011年に竜機兵団を雇うと、ワコーは契約を無効にして、コリオンの倉庫を襲撃してカペラ宙域を脱した。マクシミリアン・リャオは怒ったが、その理由は主に、ワコーの契約を無視する試みが目前で暴発したからだった。

 ワコーは次の数十年間、一方的な報復を追い求め、3024年、竜機兵団に追いついた。竜機兵団の1個大隊がハイペリオンにいるとの噂を聞き及んだワコーは、それを抹殺しようとした。そこには竜機兵団の2個連隊がおり、ワコー特戦隊を撃退したが、逃げる前に相当数の竜機兵団を破壊していたのだった。

 ウェイン・ワコーはセミリタイアし、ウェイン・ロジャース大佐に指揮権を渡した(ロジャース大佐は部下たちが命令に従う前に、ワコーに確認をとるのをいやがっている)。ワコー特戦隊の現在の任地はエプシロン……連邦共和国のライラ側国境に位置する、自由世界同盟、タマリンド=アビー公国の惑星である。この配置は、何も起きないものであり、一部のメック戦士たちは実戦を求めて部隊から離れている。


特戦隊司令部
 連隊指揮中隊は、腕を保ち続けるために、単独で戦うことがよくある。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個メック中隊


ワコー特戦隊
 特戦隊は移り気と評されており、「ワッコ(奇人)特戦隊」のニックネームを得た。だが、傭兵業界の底辺というかつての評価は長い間に消え去っている。なぜなら、タフな敵を相手に何度も根性を見せてきたからだ。彼らは勝ったのと同じくらい負けてきたが、負かした相手に打撃を与えたのだった。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個重メック連隊


航空特戦隊
 アルフレッド・ポインターズ少佐が、この4年間、航空特戦隊を指揮している。特戦隊は数ヶ月前に恒星連邦から捕獲したスペアの戦闘機を4機持っているが、それを動かす腕の立つパイロットを確保できていない。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 2個気圏戦闘機中隊




ワコー特戦隊 3059

 3058年の4月21日、ワコー特戦隊はコベントリにて機動部隊の戦闘計画を無視し、誘導を担当した偵察部隊の警告を聞かず、氏族の待ち伏せに足を踏み入れ、ほぼ全滅した。ウェイン・ワコー大佐はこの件についての弁明を論じ続けた。もっとも他の指導者たちは、事実上その是非を問わなかったのだが。ほぼ全員が、ワコーの持つウルフ竜機兵団への猛烈な憎悪が引き起こした事態だと認めている。

 竜機兵団の起源が氏族にあることが明らかにされたあと、ワコー大佐は対竜機兵団同盟を他の傭兵部隊と結ぼうとした。これが失敗すると、彼の竜機兵団に対する憎悪は高まったように見え、コベントリにおいて(単に竜機兵団が提出した計画だからという理由で)計画を無視したとき、憎悪は頂点に達した。

 コベントリの戦いのあとで、ワコー大佐は竜機兵団と偵察部隊を非難し、シュタイナー家にも矛先を向けた「敵対している部隊の下に我が隊を置くことで、破壊しようとした」。しかしながら、傭兵調査・雇用委員会はワコーの非難の根拠を見つけられなかった。ワコーは委員会を「まさしく竜機兵団の飼い犬」と呼び、部隊の再建を誓った。

 これまでのところ、ワコーはどうにか竜機兵団への敵意を共有する傭兵部隊を補充しているがが、中隊規模を超えるメック戦士を集めることはできなかった。コベントリの大敗を生き残った戦士が本当に少なかったことから、新部隊の竜機兵団評価値はコベントリの敗北のみが反映されたものとなっている。

 部隊は、サビの赤をアクセントにした、焦げ茶色を基本的に使用する。部隊記章は、赤い地に5つの頂点を持つ赤と青の星で、白い「W」で飾られている。記章は部隊のメックの右胴上部に描かれる。

竜機兵団評価値: C-

士官
 ワコー大佐の精神的健全性はかねてより怪しいものであったが、コベントリの大敗のあと隊員たちが大量に離脱したことで、部隊内で幻滅されていたことが広まった。ワコーの常軌を逸した行動は「ワッコ(変人)特戦隊」とのニックネームを生み出し、ここ最近、よく聞くようになりつつある。大佐に強い忠誠を誓っていた兵士たちだけが、彼と共に残っている。

戦術
 特戦隊の戦術的専門知識は、コベントリで連隊の90パーセントと共に死に絶えた。ワコーは小部隊戦術を真に理解しておらず、いまだに部隊が連隊であるかのように訓練を続けている。

支援
 特戦隊の技術支援スタッフの大半は、コベントリから帰還した部隊の状況を見て立ち去った。それでも、中隊にとっては充分な技術支援が残されている。
 特戦隊に残されたひとつの優位は、必要充分以上の輸送能力かもしれない――オーバーロード級降下船2隻と航宙艦1隻である。もしワコーが航宙艦1隻と降下船1隻を売り払えば、充分にアップグレードされた2個大隊か、アップグレードされてない1個連隊を作り上げた上で、若干の資金が残ることだろう。だが、ワコーはそのような慰めを拒否し、負債をさらに積み上げ続けている。

ワコー特戦隊
1個中隊/古参兵/疑問信頼できる
指揮官:ウェイン・ワコー大佐
 今日の特戦隊は、かつて中心領域中に名をはせた連隊の単なる名残に過ぎないものである。この中隊は4機の3050年後マシンを持っており、おそらく30トンの先進技術兵器がある。修理できるかもしれないもう1個中隊分の回収バトルメックもあるが、その前にワコーは財政的な支援を探す必要があるだろう

航空特戦隊
1個航空小隊/一般兵/疑問
航空指揮官:アルバート・ポールズバイ中尉
 コベントリ後、特戦隊の気圏戦闘機パイロットたちの大半が、特戦隊の回復はせいぜいが望み薄であるとの判断を下した。彼らは降下船の1隻を徴発し、エリダニ軽機隊に加わった。ワコーと共に残った戦闘機パイロットは2人だけだった。




ワコー特戦隊 3071

 過去の失敗により崩壊したワコー特戦隊は3067年までに消滅したかに見えた。特戦隊の生存者たち(ハーレフ、テンプタウン地区の影に居残っていた)は、中心領域で最も偉大な傭兵部隊の現役名簿から外されたのである。しかし、100歳に近づいていた特戦隊の指揮官、ウェイン・ワコーは自分の部隊とジェイム・ウルフ、ウルフ竜機兵団への積年の恨みにしがみつき、この憎悪は3067年10月、ハーレフのストリートでついに暴力的な狂乱をもってして爆発した。

 憎き竜機兵団への突撃を率いたワコー(ワード・オブ・ブレイクが支援のために現れると確信していたようだ)と、特戦隊の残存戦力は、ジェイム・ウルフ自身との戦いという最後に面した。彼らの勝利は、大きな渦を生み出した……竜機兵団の逆襲(「コンディション・フィーレル」として知られる)によって、約24時間の血塗られた戦闘が終わるまでに、ワコー特戦隊は全滅したのである。




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