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作成:2017/01/23
更新:2017/04/02

傭兵部隊 3050



 バトルテック世界における3050年は、氏族侵攻によって、中心領域が激変する年です。連邦=共和国やラサルハグ共和国に雇用されていた傭兵部隊は、氏族の手で叩きのめされ、壊滅し、あるいはそのような運命を逃れるために辺境へと逃亡しました。ここで紹介するのは、氏族が中心領域に足を踏み入れるまさに直前の各傭兵部隊です。

 3039年戦争以降、10年に渡って大きな戦いがなかったことから(また技術の復興があったことから)、この時期の傭兵産業は、3025年時点よりも規模的に肥大化していると思われます。






現在

 第四次継承権戦争と3039年戦争の後、傭兵たちの多くが尊敬に値する英雄として見られるようになった――特に芳しくなかった過去と比べると。それでも、評判を下げる部隊に事欠くことはなかったのである。中心領域の一部の勢力には、ソルジャー・オブ・フォーチュンを軽蔑する新しい理由があった……ドラコ連合では、傭兵は全員が犯罪者であり有罪とされた。

 傭兵の数はふくれあがった。供給源となったのは、戦いの味を忘れられない退役メック戦士たち、強制される命令に不満を持つ失望した兵士たち、大きな戦争に参加出来なかった若い養成校卒業者、敗北して見捨てられた祖国に戻るのを拒否した者たちだった。

 傭兵部隊の数が爆発的に増加したのに応じて、傭兵たちは自己管理することを余儀なくされた。誇りある部隊による大きな飛躍があったにもかかわらず、傭兵部隊の多くがこの職業における最悪のステレオタイプを提示した。そういったグループは、守るために雇われた民衆に対して凶悪な犯罪を犯し、命令に背き、紛争の最中に払いの良い方へと鞍替えした。一部の部隊は、こういった連中に対する賞金稼ぎを飯の種にするようになった。それは有名なバウンティハンターが長年にわたりやってきたことだった。傭兵評価委員会(コムスター創設の直後に、ジェローム・ブレイクが公平な傭兵契約を仲介するために作った)は、以前よりも必要とされていることに気がついた。

 連邦=共和国は傭兵に大きな敬意を払っている。これは特に、長年にわたり中心領域最大の軍隊を持ってきたダヴィオン方面に当てはまる。この大規模な軍隊は、中心領域最大の雇用数を誇る傭兵部隊によって戦力強化されている。シュタイナー側はそれほど規模が大きくないが、辺境の国境には恒星連邦よりも蛮王国が多い。その結果、傭兵たちは、交易路の安全確保と海賊退治で重要な役割を担っている。

 ドラコ連合は傭兵への激しい敵意を持ち続けている唯一の国である。タカシ・クリタ大統領がウルフ竜機兵団を殲滅しようとしたことで、憎きダヴィオンが労せずして広大なドラコ連合領を征服することが可能になった後、龍は悪名高い「傭兵に死を」政策を制定した。ドラコ連合内では、雇われ兵士が許されることはもうない。生きて国境を脱することに成功した者たちは運が良かった者たちである――全員がそう幸運なわけではなかった。

 自由サラルハグ共和国は、小規模な領土を守るのに、傭兵に強く依存している。これら傭兵の大半は、拡大する王家軍の訓練を手助けし、かなりの部分が海賊と元同胞のドラコ人の絶え間ない襲撃から不屈の市民たちを守っている。

 自由世界同盟は相当数の傭兵を雇っているが、大半は辺境の国境での海賊討伐任務に追いやられている。ニューアヴァロン科学大学で総帥の後継者の治療が行われていることから、連邦=共和国の国境線上に暫定的な平和が樹立されている。ニューアヴァロンに息子がいるトーマス・マーリックは、どうしても連邦=共和国に対する敵意を向けられないでいる。

 第四次継承権戦争中にノースウィンドハイランダーズが裏切り、袂を分かったことから、カペラ大連邦国は傭兵を信用できないでいる。ハイランダーズは祖先の本拠地世界(ハンス・ダヴィオン国王が忠誠と引き替えにオファーした)に戻るため、数世紀に渡る雇用主のもとを離れた。だが、同時期に、すべてのカペラ戦線でマッカロン装甲機兵団がダヴィオンの侵攻軍に対する頑強な抵抗を行ったのである。分離した聖アイヴス協定は、以前の同胞であるカペラよりも、傭兵を好意的に見ている。その理由は、連邦=共和国の隣に協定が切り離されたことと、カペラ首相による失われた世界を奪還するための憎しみに満ちた攻撃から領地を守るのに、傭兵が頼りとなっているからだ。

 辺境の国々は、第四次継承権戦争後に傭兵の雇用を増やした。なぜなら、辺境を侵食する傭兵の数が激増したからである。これら海賊の多くは、不名誉な王家軍兵士か、自由に生きるために装備と共に逃げた脱走兵だった。あるいは、新しい現実を嫌って、新しい主人の下に仕えるのを拒否した者たちだ。出自は何であれ、容易に配備できる兵士の需要があることから、辺境の傭兵たちは中心領域と同じように忙しいのである。





クレセントホーク Crescent Hawks

 クレセントホークは、カトリーナ・シュタイナー国家主席の要請を受け、3010年、書類に残らない極秘作戦メック小隊としてジェレミア・ヤングブラッドが創設した。ヤングブラッドのフェニックスホークLAMは、ドラコ連合にとってブギーマンのようなものとなった。一度ならず、シュタイナー国家主席は、単純に地元の指導者たちを騒がせ、小規模なパニックを引き起こすために、ヤングブラッドを重要でない世界に送り込んだ。ヤングブラッドの陽動が成功し、ドラコ連合の注意を引きつけたあとで、正規部隊による別の世界への強行襲撃が行われるのが常だった。

 3028年、第四次継承権戦争の初期段階にドラコ連合が侵攻してきたとき、このメック小隊はパシフィカ訓練校で教育の支援を行っていた。ジェレミアは捕らえられ、ディーロンに連行された。息子で訓練生のジェイソンは、ゲリラ戦を実行し、クレセントホークを再結集して、援軍がやってくるまで侵略者を食い止めた。ジェイソン・ヤングブラッドはそれから父の奪還に乗り出し、長年の友軍であったケルハウンドからの支援を受けた。

 この後、ジェイソンはクレセントホークをケルハウンドの旗の下に置いたが、独自の契約と任務を行う自由を持った独立部隊としてだった。この時期、クレセントホークはライラ共和国への奉仕を続け、極秘作戦を行い、完全な1個中隊へと拡大した。3039年戦争とその後の時期に、クレセントホークはケルハウンドよりも実戦の機会が多かったが、さほど重要でない作戦ばかりであった。ハンス・ダヴィオン国王はドラコ連合に占領された元恒星連邦の世界いくつかにクレセントホークを送り込み、極秘作戦で侵略者から世界を取り戻そうとした。クエンティンでのこのような作戦の最中、ジェイソンは父のフェニックスホークLAMを失った。彼はこの惑星の星間連盟貯蔵庫から回収された星間連盟期のフェニックスホークを操縦し始めた。

 3039年以降、元の隊員は大半が退役したが、その子供たちが代わりとなった。クレセントホークはケルハウンドの総指揮の下に残ったが、数年間、呼び戻されることはなかった。そのような要請は通常、訓練目的のものであり、たいてい復興した技術を使うものだった。


クレセントホーク
 クレセントホークは機動部隊である。彼らは一撃離脱線の専門家であり、避けられる限り、正面から敵と戦うことはなく、特定の目的……補給庫の破壊や孤立した敵指揮小隊の撃破に集中する。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個メック中隊


ジェイソン・ヤングブラッド大尉
 ジェイソン・ヤングブラッドの最初の戦闘指揮は、ドラコ侵攻後のチャラIIIでのものであり、学んでいたアカデミーの廃墟からゲリラ部隊をまとめ上げ、散り散りになった父の部隊の隊員たちを結集した。彼は窮地に陥った戦友を見捨てるようなことはなく、常に敗北の瀬戸際から勝利を拾い上げる道を探そうとしてきた。長年にわたって可変メックを操縦してきたことから、LAMのコクピットにいないときでもたぐいまれな操作の腕を発揮する。
 乗機: フェニックスホークLAM PXH-HK2 (3029年〜3039年)
 乗機: フェニックスホーク PXH-2 (3039年〜氏族侵攻初期)







デレク・デビルス Derek's Devils

 ハドソン・レッドデビルズは3007年からカノープス統一政体に仕えており、それはカペラ大連邦国へのアンドゥリエン=カノープス侵攻で大敗し、指揮官のディルク・ハドソン大佐が殺されるまで続いた。これはレッドデビルスの部隊内での大規模な争いにつながった……ハドソンの息子、デレクが士官でなかったことから、ブランデリック・モルゲンシュテルン少佐がレッドデビルスの後を継いだ。彼の指揮スタイルは厳しく、容赦のないものだった。多数のメック戦士たちを遠ざけた後、デレク・ハドソン大尉と彼の中隊は、3045年、レッドデビルズから分裂し、デレク・デビルズを結成した。

 デビルズはすぐさまカノープス統一政体に雇われた。その理由は主に、父親の長く名誉ある貢献を認識していたからだった。モルゲンシュテルンのスラッシャーズ(改名)はタウラスに雇われ、最終的に雇用主の支援がなかったことから、ゼロまですり減っていった。その一方、デビルズは、海賊の襲撃部隊が奴隷化した人々を連れて逃げる前に捕まえて、ダニアンシャイアの人々から慕われることとなった。ハドソン自身が海賊のリーダーを殺し、海賊の降下船からのおびただしい砲撃を切り抜け、エンジンがかかる前に地上で行動不能とした。デビルズはダニアンシャイアの拠点を基板に、ルクセンからデインマーまでの危機に対応した。部隊の歩兵は、膝抜きとメック捕獲について知り抜いており、これによってデビルズは2個目の中隊を増やし、ハドソンは少佐の階級を帯びることとなったのだった。


デレク・デビルス
 デビルズは異なる性質を持った2個のメック中隊を持つ。第1中隊は主に重強襲級メックで、元レッドデビルズのメック戦士からなる。第2中隊は対照的に、敵の襲撃部隊から回収した軽量級、中量級、重量級メックの折衷的な混合である。ハドソンはできる限り機能的に彼らをまとめようとしているが、第2中隊はスピードと武装が違うことから特定の戦術に特化できないでいる。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 2個メック中隊


ヴォイド・デビルス
 デビルズの航空中隊は全機が軽量級戦闘機からなる。ミシェル・シンプソン大尉は敵に機銃掃射を浴びせるのを好み、爆弾を積むことがない。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個航空中隊


ピットフィーンズ
 ピットフィーンズは無謀に敵メックに突撃する脚部攻撃のスペシャリストである。それにも関わらず、危険な手法の激しい訓練をしているおかげで、損害は最小限となっている。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個歩兵大隊


デレク・ハドソン少佐
 デレク・ハドソンは、カノープス宙域内外で活動する海賊のあいだで、乱戦を好むことで知られている。彼のメックの装甲は、格闘戦を行うために敵の砲火を通り抜けた後で大規模な交換が必要となる。
 乗機: オウサム AWS-8Q







フィルシールーカー The Filthy Lucre

 フィルシールーカーは2世紀以上ライラ共和国に仕えている。この傭兵の各一族は、共和国宇宙にルーツを持ち、メック戦士の大半はナーゲルリンクを含むライラ軍事養成校を卒業している。連邦=共和国の同盟はルーカーのメック戦士たちに熱狂を持って受け入れられた……とくに第四次継承権戦争と3039年戦争のほとんど蚊帳の外に置かれてからは。だが、ライラのある野心的な士官が、ルーカーを連邦共和国装甲軍に「直営店」として組み込もうとしたことで、両者の関係は瞬時に冷え込んだ。3050年の初め、彼らがライラを離れると、共和国の最高司令部は唖然とした。フィルシールーカーは現在、自由世界同盟で仕事をしている。元の戦友であるライラと戦わないというカール・ティムソン大佐の要求は認められ、ルーカーはカペラ大連邦国国境の世界、グッドナに駐留している。


フィルシールーカー
 カール・ティムソン大佐は、連隊と同じ名前を持つ第1大隊を指揮している。彼はナーゲルリンクの卒業生であり、品位と名誉を持って振る舞う。彼は現在の状況でのベストを尽くしているが、隊員たちの大半が長年の敵である自由世界同盟で働くのが気に入らないことを知っている。連隊はライラ様式の制服を使い続けており、地元の市民軍部隊との摩擦を招いている。フィルシールーカーは森林での戦闘を得意とする。第3中隊は夜間戦闘を専門としている。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個重メック大隊


ブラッドマネー
 マイロン・カルパチア少佐は、ルーカーがライラを離れたことで自分を責めている。彼は、彼を臆病で怠慢と批判した汚職士官を許すつもりはないが、単に関係を悪化させたこの少佐から離れた作戦区域に移動すればよかったと考えている。ブラッドマネー大隊は市街戦を得意とする。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個中メック大隊


ウェアギルト
 ジェディディ・アコンプトン少佐は、他の士官にはない凶暴さでウェアギルトを指揮している。彼はメック戦士を常に訓練し、特に接近戦の反復練習を行う。ウェアギルトと戦う者は、長距離で交戦して、凶暴な接近戦から身を守るようにアドバイスされる。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個重メック大隊


ジェイソン・サンダーソン大尉
 サンダーソン大尉は、ルーカーが共和国を発つ前に、最後に雇われたメック戦士である。彼は元ソラリスの戦士であり、アリーナでの生活に飽きて、「本物の戦闘」のようなものを求めたのである。彼はウェアギルトの第3中隊を指揮しており、連携した戦闘に順応しようと奮闘している最中である。彼はアップグレードされたTDR-7Mサンダーボルトを持ってきた。その長射程レーザーは、部隊で最強の遠距離兵器となっている。サンダーソン大尉は、アリーナでのやり方に立ち返り、敵のメック戦士に個人的な戦闘を求めることで知られている。これまでのところ、拒否した敵はいないが、勝った敵もいないのだった。
 乗機: サンダーボルト TDR-7M







グローリー・ウォリアーズ The Glory Warriors

 グローリー・ウォリアーズは第四次継承権戦争で壊滅した5つの小規模な傭兵部隊の残存兵力から結成された。この生存者たちはガラテアに流れ着き、自分たちの不幸に共通点を見いだしたのである。最初の10年は、辺境での低報酬な短期任務をこなした。

 ウォリアーズが破産に近づいていたそのとき、アースワークス社がヴィクトリアでの企業警備のために彼らを雇った。雇用主の工場から宇宙港への輸送車列を護衛していた際、襲撃部隊が現れた。この正体不明の部隊のユニオン級降下船は、出荷物を奪うべく宇宙港に着陸して中の機体を吐き出そうとした。ケント・クラーク大尉は自身の指揮小隊を輸送車列の先頭に突進させ、降下してくる降下船を狙い撃った。降下船はエンジンにダメージを受け、30メートルの高度から墜落した。

 降下船は大きな損害を負ったが、内部を調べられないほどではなかった。彼らが見つけたのは、船員と襲撃者の遺体であった。人間とは違って、戦闘用装備の大半はそのまま残されていた。回収条項によって、ウォリアーズは借金を返済し、3個目のメック中隊を追加することができた。

 部隊は次の10年間を駐屯任務で過ごした。3039年戦争の後、自由ラサルハグ共和国は駐屯・訓練任務のため経験豊かな傭兵部隊を探していた。ウォリアーズは長期契約を結び、次の8年間、海賊を撃退し、惑星市民軍やラサルハグ王家軍を訓練した。現在、辺境沿いのスカルヴォルに配置されていることで、海賊が頻繁に襲撃し、忙しくなっている。スカルヴォルの市民軍は急成長しており、1個装甲連隊、3個機械化歩兵連隊で構成されている。機械化歩兵はローテーションでウォリアーズに付属し、激しい訓練を積んでいる。

 最近、ケント少佐の中隊指揮官のあいだで内紛が起こり、第2、第3中隊の士官たちがいなくなった。新たに雇われた指揮官たちは兵士たちを統合できておらず、部隊全体の練度に悪影響があった。


グローリー・ウォリアーズ
 ウォリアーズは機動部隊であり、一番重い機体は60トンである。彼らは、数に優れる敵から離脱し、「周囲に溶け込んで」再び戦闘することを専門にしている。
 経験レベル: 新兵
 戦力編成: 1個中メック大隊


ケント・クラーク少佐
 ケント・クラーク少佐は、足を忍ばせるメック戦士である。コクピットの中でも外でも、部隊をテストするため、闇に紛れて忍び寄るのだ。彼の努力は結実し、身を隠す部隊の能力はキラービーに匹敵するものがあるが、カモフラージュなしでそれを行う。戦闘において、彼は敵に忍び寄って背後から攻撃するのを好む。彼のクイックドロウは、記章のない非常に装備の優れた襲撃部隊から回収した品である。乗っていたメック戦士は、包囲されると捕まるより自殺することを選んだ。
 乗機: クイックドロウ QKD-4G (継承権戦争後半)
 乗機: クイックドロウ QKD-5K (氏族侵攻初期)


第2スカルヴォル人民機械化連隊
 第2連隊は現在ウォリアーズに付けられており、対メック戦術の訓練をしている。
 経験レベル: 新兵
 戦力編成: 1個機械化歩兵連隊







グリム・デターミネーション Grim Determination

 グリム・デターミネーションは、恒星連邦と長年にわたって良い関係にあり、それは連邦共和国になっても続いた。たいていにおいて、この部隊はその名の通り、立て籠もって、まったくの気概と積極性によって、後退するのを拒絶する。このような強情な戦術の結果として、グリム・デターミネーションは深刻な損害を出すことがよくある。これを理由に、昔から4番目の大隊を連隊に加えている。余分な大隊による追加の火力は、たいてい予備に回り、デターミネーションが崩壊の間際に達したときに備える。そして、第4大隊は行動に移り、予想だにしていない敵を叩くのである。同じく、戦闘機大隊も4個の航空中隊からなり、指揮小隊はない。通常、各航空中隊はひとつの大隊の上空を戦闘空中哨戒し、敵の戦闘機が地上部隊を蹂躙できないようにする。デターミネーションは、百戦錬磨の戦車大隊も持っており、この部隊は特定のメック大隊に属することはなく、戦場の激戦地区を転々とする。

 グリム・デターミネーションの手腕が示されたのは、3046年、第12アトリアン竜機兵団がサーナに上陸し、長引くであろう戦役を始めたときのことだった。アトリアン竜機兵団は傭兵が防衛陣地にこもると予想したが、グリム・デターミネーションはテンゴ航空宇宙工場の要塞に隠れる代わりに、アトリアン竜機兵団と工場の間の風吹きすさぶ平原に整列した。アトリアン竜機兵団は最初に戦車大隊を使って側面を突こうとした。傭兵はこの装甲部隊を殲滅し、平原に整列して、アトリアン竜機兵団を待った。最終的に、竜機兵団はこれを受けた。重メックが傭兵に群がり、傭兵は冷静に砲撃を返した。最初の突撃は跳ね返され、二度目、三度目もそうなった。竜機兵団の3個大隊はすべて損害を受けていたが、指揮官はあきらめるのを拒否した。彼は残った全軍に最後の突撃を命じた。再び傭兵は立ちふさがり、両者が平野で衝突した。戦闘が終わると、竜機兵団は戦場から、そしてサーナから退却していった。1個大隊以上のメックがグリム・デターミネーションに加わり、戦場はサルベージ平野に改名された。


グリム・デターミネーション
 グリム・デターミネーションは攻勢時に守備的な行動をとるのを好み、敵に奇襲をかける地形・計画に通ずるようになった。各大隊は1個指揮小隊を持つ。第1大隊は主に重強襲メックを使い、第2大隊は重メック、第3大隊は中重メック、第4大隊は強襲メックを持つ。気圏戦闘機大隊は地上攻撃を実行可能だが、だいたいにおいて、戦場に接近する敵の航空戦力に対処するため哨戒を行っている。戦車大隊は、ホバークラフト、LRM戦車、強襲戦車の1個中隊を持つ。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個強化メック連隊、1個強化重気圏戦闘機大隊、1個車両大隊







レキシントン戦闘団 Lexington Combat Group

 レキシントン戦闘団はSLDFを祖に持つ大規模な傭兵団である。ケレンスキーがエグゾダスを計画していた時期、9人の近しい友人たち(全員が地球のレキシントン軍事養成校出身の上級指揮官)が自分たちの計画を練っていた。彼らはSLDFのあちらこちらから数百名の士官と下士官たちを募った。自分たちの部隊用に、彼らは共謀してブライアントに多数の物資を備蓄した。ケレンスキーが出発すると、彼らはブライアントに行って、レキシントン戦闘団を組織した。

 3世紀が経ち、戦闘団はすべての継承国家のために働いていたが、継承権戦争のほとんどを、また最後の100年間を、恒星連邦との契約下で過ごした。時折、雇用主との関係が悪くなった時はいつも、戦闘団のサービスを維持するために有利な長期契約をすることで克服された。この10年間、戦闘団は全機体を復興技術でアップグレードするため、多額の負債を負った。この負債によって、戦闘団は本質的にダヴィオン家の「直営店」と化した。自発的に借金を負ったので、戦闘団は怒ることなく、恒星連邦装甲軍との70年契約を選んだ。

 戦闘団は長年にわたりカペラ境界域の防衛戦力として重要な役割を果たしてきた。3個戦闘旅団のすべてが似たような構成で組織され、この数世代に恒星連邦で受け入れられてきたのと同じ戦術でメック、戦車、戦闘機、歩兵を組み合わせている。各戦闘団には降下船と航宙艦が所属している。

 戦闘団はあらゆるえこひいきを避けるために、昇進の際、入り組んだ過程を用いる。一等軍曹以上に昇進する下士官、ないし少佐以上に昇進する士官の全員が、三者会議の承認を受ける。この会議は、上級士官、中級士官、下士官、新兵のそれぞれによって構成される。


レキシントン戦闘団司令部
 第一次継承権戦争の際、第32偵察戦闘団に同行していた将軍が死亡すると、レキシントン戦闘団は混乱し、故郷のブライアントを征服されるという結末につながった。将軍を第32偵察の職務から解放するため、戦闘団司令部が作られ、将軍は事務上の問題と戦略関係全般に集中することが可能となった。このような歴史があるにもかかわらず、戦闘団司令部は、慣習的に第32偵察に所属する。全メックが重強襲級という点で、戦闘団司令部は第32偵察と趣を異にしている。第32偵察の任務にはそぐわないものであるが、作戦基地を守るのには最適である。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個強襲メック中隊、1個強襲車両中隊、1個歩兵中隊


第32偵察戦闘団
 第32戦闘団は、SLDFの第32偵察連隊だったころから、偵察、追撃、襲撃を専門としている。従って、メックと車両のすべてが軽量級で高速である。各大隊の第3中隊のみが重メック(重量級の中で最速のもの)を持つ。これら重メックは、第32偵察戦闘団の基地や間接砲大隊を守るために派遣されることがよくある。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個強化軽メック連隊、1個気圏戦闘機大隊、2個軽車両大隊、2個機械化歩兵大隊、1個間接砲大隊、1個空中(VTOL)大隊


第180竜機兵戦闘団
 マリー・ゴールデンハンマーズの名前で知られる第180竜機兵戦闘団は、低速で、破壊力のある強襲戦力である。この部隊の任務は、通常の場合、敵の要塞を落とし、占領することにある。重量のあるメックを使っているにもかかわらず、第180は敵が予想しているよりも素早く接近することで名高い。敵はよく、ゴールデンハンマーズの素早い反応と破滅的な火力に立ちすくむのである。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個強襲メック連隊、1個重気圏戦闘機大隊、2個重車両大隊、2個機械化歩兵大隊、1個間接砲大隊、1個空中大隊


第241戦闘戦闘団
 第241は、フレデリック・ガゼルズの名前で知られているにもかかわらず、ほぼ重メックを使っている。他の2個戦闘団と違って、第241は専門を持たない戦力である。単純に敵に応じて移動し、退却するか動きを止めるまで敵を殴り続ける。彼らはまた、ためらうことなく激しい戦闘のさなかへ、正確な戦闘降下することでも知られている。第191戦術戦闘機大隊は地上支援作戦の達人であり、第241の降下船や降下する兵士たちが狙われるのを妨げるのである。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個重メック連隊、1個重気圏戦闘機大隊、2個中車両大隊、2個機械化歩兵大隊、1個間接砲大隊、1個空中大隊


ジェームス・イスマイール中尉
 ジェームス・イスマイール中尉は、第180竜機兵戦闘団の第2大隊、第3中隊、第2小隊を指揮している。彼の最新マーリック型アーチャーは、接近戦用に改装されている……各LRM-20が4門のSRM-4に交換され、背面のレーザーを前面に持ってくるために火器管制システムが破棄されており、両レーザーはパルス版となっている。イスマイールは接近戦のために生きており、第180での訓練を愛している。ここで彼は、通常のスピードの限界を超えてアーチャーを動かすすべを教えられているのだ。
 乗機: アーチャー ARC-2R(継承権戦争後半)
 乗機: アーチャー ARC-4M改(氏族侵攻初期)







ラミリー襲撃隊 Ramilie’s Raiders

 ラミリー襲撃隊は、カノープス統一政体に専属で約30年間仕えている。この関係が始まったのは、ラミリー襲撃隊がカペラ大連邦国の契約違反に疲れ果てたときのことである。彼らは国境沿いの大連邦国の補給庫を襲撃することで、契約の終わりを発表し、辺境へと逃げていった。カペラ首相が傭兵の首に生死問わずの賞金を賭けていたにもかかわらず、カノープスは諸手を挙げて襲撃隊を歓迎した。部隊はこのとき大隊規模でしかなかったのだが、スピードに特化していたことで、統一政体の理想的な即応部隊となったのである。

 統一政体に仕えていたあいだ、襲撃隊の規模は二倍になった。指揮大隊は、主に高速の機動メック大隊のままである。だが、強襲大隊は軽量級メックを持っておらず、数少ない中量級メックはこの等級にしては最高の武器と装甲を持つものである。戦闘機と腕の立つパイロットが貴重な統一政体において、襲撃隊の戦闘機部隊は特に高く評価されている。各大隊は指揮小隊を持ち、ラミリー大佐は独立指揮小隊から指揮を行う。

 カノープス統一政体に長く仕え、隊員たちの多くが地元で生まれていることから、専門家たちは襲撃隊をカノープスの部隊であると考えている。


指揮小隊
 ニュートン・ラミリー大佐はかつてよりも実戦に参加しなくなっている。しかしながら、彼の指揮中隊は自分のメックを知り尽くした優秀なメック戦士で構成されている。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個中メック小隊


指揮大隊
 指揮大隊は完全に軽量級メック、高速中量級メックで構成され、その飛び抜けた迂回機動で名をはせている。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個軽メック大隊


強襲大隊
 強襲大隊は大半が重・強襲メックからなる強力な大隊である。各中隊の1個小隊は、ハンチバック、ウルバリーン、グリフィンなど、厚い装甲と火力のある兵器を装備した重めの中メックで構成される。大隊の指揮小隊は4機のアトラスという恐るべきものである。ラミリー大佐の息子、ニコラス・ラミリー少佐は、襲撃隊の標準塗装でなくつやなしのチャコールグレーを使い、デスヘッドのコクピットををスケルトンホワイトにしている。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個重メック大隊


スカイ・パイレーツ
 スカイ・パイレーツは中量級戦闘機の卓越した2個航空中隊である。護衛任務に秀でているが、大気圏内での戦闘では苦労している。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 2個航空中隊







第17偵察連隊 17th Recon Regiment

 第17偵察連隊、またの名をカマチョ機士団は、旅回りのサーカスと比べられるようなプロの傭兵部隊である――馬鹿にする者たちは実戦で第17を見ると口を濁らせるのであるが。

 自由世界同盟の国外居住者(主にトリニティ・ワールド出身)で構成される第17は、大半の期間を連邦共和国との契約で過ごした。最近、共和国の命を受けて行われたカペラの世界ラーシャへの襲撃で、第17の自信は砕かれることになった。ライフルと箒で武装した一人の民間人が、単独で第17のウルバリーンを行動不能としたのである。他の部隊では、このような屈辱を克服するのは難しいかもしれないが、カルロス・カマチョ大佐の娘、パトリシア・カマチョ中尉は、この勇敢なる女性を部隊に勧誘したのである。キャシー・スーザン少尉は第17での人生に適応しているところであり、カノープス統一政体との契約下でボーガン・リフトに駐屯していることで決意が試されることになりそうである。この契約は海賊団レッドライオンを討伐するためのものである……この任務においてスーザン少尉は偵察兵を任されている。


第17偵察連隊隊
 本連隊は3個大隊と1個連隊指揮小隊を持つ。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個軽メック連隊


偵察中隊
 偵察中隊は歩兵の特殊部隊であり、メック連隊の敵に隠れた敵を探し当て、待ち伏せの成功確率を大きく下げる達人である。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個歩兵中隊







スクリーミングイーグルス Screaming Eagles

 スクリーミングイーグルスは、SLDFのスターリングラード師団こと第250バトルメック師団の血を引いている。第7軍、第58軍団の一部としてカペラ大連邦国に配備され、第二次辺境反乱を終わらせるために派兵された。辺境の反乱軍を下した後、第250師団はケレンスキーの地球解放に加わった。しかしながら、将軍がエグゾダスを呼びかけると、中心領域を離れてエグゾダスに加わるかで師団は分裂した。第555、第556名誉旅団は残ることを選んだ。彼らは恒星連邦と契約することで傭兵としての仕事を始めた……ダヴィオン家がキャメロン家と星間連盟の理想に最も近いと考えたのである。両旅団は新しい人生に移る際に、スクリーミングイーグルスの名前を選んだ。

 第一次、第二次継承権戦争は、スクリーミングイーグルスと中心領域にとって過酷なものであり、戦争の数十年で2個旅団は壊滅した。最初に存在した6個連隊のうち2個連隊のみが生き残り、それに加えて1個戦車連隊、第77重装甲連隊があった。その後、戦力がこれを大きく下回ることはなかった……少なくとも長期間にわたっては。ずば抜けた評判を持つ最高級の傭兵部隊として、スクリーミングイーグルスは常に損害を素早く最高の人材で埋めてきた。AFFSの諸兵科連合戦術を採用した部隊は、長年をかけて戦闘機、歩兵連隊を追加した。

 第一次〜第三次継承権戦争のあいだ、スクリーミングイーグルスは恒星連邦軍の勇敢かつ名誉ある部隊であり続けた。これが変わったのは第四次継承権戦争時である。ニューカントンを攻撃した侵攻軍の一部だった第1スクリーミングイーグルスは、第4大連邦国予備機兵隊に繰り返し悩まされた。イーグルスは移動する第4予備機兵隊を足止めするのに失敗し続け、フラストレーションを募らせた。第4予備機兵隊をついにカントン川の岸壁に追い詰めたとき、カペラ人は降伏した。だが、オプソン・マティス大佐は、敵のメック戦士を拘束することなく、メックを増水した川に落としたのである。降伏した敵兵士を殺したことでマティス大佐は免職され、部隊とダヴィオン家との関係は緊張した。しかし、イーグルスは堪え忍び、連邦共和国に仕え続けた。

 3039年戦争はイーグルスにとって甘いものとはならなかった。ミスジャンプでエリデレIV征服に参加できなかった後、第1イーグルスはこの世界の守備部隊として残った。ドラコ連合のゴースト2個連隊が到着して奇襲をかけた際、イーグルスは戦力で大きく劣っていた。ゴースト連隊は星間連盟時代のメックを使い、その射程とダメージはイーグルスを上回っていたのである。第1イーグルスは戦力の半数を失い、降伏して、惨めな敗北とともに世界を離れた。

 3039年の低調な働きと、第四次継承権戦争中の不名誉な行動によって、イーグルスは不安定な立場に置かれた。AFFC最高司令部が彼らを信頼していないのはあからさまだった……辺境の国境沿いに配置されたのが証拠となるだろう。近くのフィルトヴェルト養成校は候補生の教練の支援を求めてくることはなく、その一方、トルトゥーガ・プライムはイーグルスが駐屯するマララン、セーデルテリエに海賊の襲撃部隊を日常的に送り込んだ。海賊が無傷だったり、略奪品と共に脱したことはまれだったものの、イーグルスは士気低下したままであり、汚された名誉を取り戻すことはできなかった。最高司令部はイーグルスとの契約更新を望まず、よって初めて恒星連邦以外の雇用主を探すことになったのである。

 イーグルスはきわめて有効な諸兵科連合部隊のままである。2個メック連隊の他に、戦闘機、戦闘車両、歩兵の各1個連隊を持っている。これらの部隊はメック連隊と連携をとることがよくあるが、独立して行動しても有効である。


第1スクリーミングイーグルス
 第1スクリーミングイーグルスは中メック連隊である。各大隊の指揮小隊は重メックで構成されており、連隊で最も足の遅いメック小隊となっている。それぞれの中隊には軽メック小隊があり、前衛斥候を務める一方、高速中メックの2個小隊が後に続いていく。第1イーグルスは直接交戦する前にダイビングイーグルスの第1航空大隊が敵を爆撃してくれることをあてにしている。なぜなら、第1は側面機動や斜形攻撃を好むからだ。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個中メック連隊


第2スクリーミングイーグルス
 第2スクリーミングイーグルスの各大隊は特定の専門を持っている。第1大隊は夜間戦闘に優れ、第2大隊は浸透部隊であり、第3大隊は距離交戦を専門として超長距離から正確な射撃で敵を破壊する。第1イーグルスと同じように、第2イーグルスは中メック連隊であるが、指揮小隊が中量級である。各大隊は1個重メック小隊を持っており、第77重装甲連隊の戦車が第2に付けられるときは一緒に加わる。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個中メック連隊


ダイビングイーグルス
 ダイビングイーグルスは、3個戦闘機大隊と1個指揮航空中隊(各大隊の指揮小隊)からなる1個連隊である。各大隊は重戦闘機のみを使っており、たいていは積めるだけ爆弾を積んでいる。これら戦闘機は厚い装甲のおかげで食らいついた敵戦闘機の攻撃に耐えることができ、爆弾を投下すると、航空優勢を求めて交戦する。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個重気圏戦闘機連隊


第77重装甲連隊
 第77重装甲連隊はイーグルスの元になったSLDF旅団で唯一残った装甲部隊である。戦車は主に重量級か強襲級であり、第1、第2イーグルスの軽量級メックが開けた穴を維持するのに使われる。第77はいずれかのメック連隊と統合することで、個別に戦う以上のシナジーを発揮する。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個重車両連隊


ネステッドイーグルス
 ネステッドイーグルスは、スクリーミングイーグルスの歩兵連隊である。たいていの場合は、基地の警備を任されている。しかし、戦闘に臨む場合は、他の部隊を支援するためにジャンプ歩兵大隊群を使用する。最も活躍するのは、市街地で活動するときである。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個歩兵連隊


シンディ"シン"ヨハンソン少佐
 シンディ・ヨハンソン少佐は、非番の時は遊び人として知られているが、シカダの中にいるときは猛烈な難敵である。その機動技術によって敵の火線をすり抜け、正確な射撃を返すのである。第2スクリーミングイーグルスの副指揮官として、彼女は連隊にかなりの影響力を振るっている。だが、規律上の問題によって、それ以上の昇進は妨げられている。彼女は、イーグルスを辞め、もっと評判が良く、たまの海賊襲撃よりも戦闘の機会が多いであろう部隊に移ることをちょくちょく考えている。彼女のメックは試験モデルであり、どこでどのようにこの機体を得たのか知っている者はいない。聞かれると、彼女はウィンクして笑顔を向けるのである。この機体に搭載されている多数の先進技術は、戦場においてよく問題を引き起こしている。
 乗機: シカダ CDA-3C(継承権戦争後半)
 乗機: シカダ CDA-3F(氏族侵攻初期)







シモンソン・カットスロート Simonson’s Cutthroats

 シモンソン・カットスロートは、長いことマギー・カットスロートの名前で知られていた……第三次継承権戦争の間、ほぼドラコ連合に仕えていた部隊である。2935年、カットスロートはライラ共和国のアレクサンドリアに上陸したが、補給庫を狙った攻撃はすぐに状況が悪化した。第20アークトゥルス防衛軍とアレクサンドリア市民軍が共同で防衛を行い、傭兵を降下船から切り離したのだ。後退できなくなったカットスロートは援軍を呼んだ。DCMS兵が到着すると、共和国もまた援軍を呼ぶこととなり、帰結として膠着の消耗戦が発生した。カットスロートは2年後、ついにDCMSと共に退却し、第三次継承権戦争における共和国と連合の間で行われた最大の戦闘が終わったのだった。この取るに足らない紛争に、7個連隊以上が参加した。

 第四次継承権戦争にかけて、カットスロートはDCMSの要として残り、「傭兵に死を」布告の後でさえも戦った。しかしながら、ドラコ市民に抗議と破壊行為の対象にされるようになった。カットスロートがドラコ連合との契約下で、グローヴェルドIIIに侵攻し、征服したあと、部隊の副指揮官がゲリラ兵士に暗殺された。代わりの副指揮官、マシュー・シモンソンは、辛辣な反傭兵批判を理由に反乱を起こし、部隊の多くが彼に従った。最終的にアンドリュー・マギー大佐は敗北し、生き残り、改名したカットスロートは、ドラコ連合との免責条項を行使し、大佐となったシモンソンに従ってガラテアへと向かった。彼らは新国家連邦=共和国と契約し、以来、とどまり続けている。

 マシュー・サイモンの息子、ジェリは数年前に部隊を引き継ぎ、自身の息子ヴィクターをいつの日か継承させるため育成している。


シモンソン・カットスロート
 カットスロートはゲリラスタイルの戦いに特化している。彼らが成功するのは、敵戦線の後方で長期間活動し、補給線、敵司令部、通信本部を破壊するときのことである。その結果、メックのほぼすべてが、弾薬兵器よりもエネルギー兵器を使っている。ステルス戦術、カモフラージュ技術によって、カットスロートは見つからずに移動することができる……適切な環境でバトルメックのセンサーを使っても見つからないのだ。バトルメックがパトロールしていたにもかかわらず、カットスロートに至近距離から奇襲されたとの報告が多数残されている。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個中メック連隊


ヴィクター・シモンソン大尉
 ヴィクター・シモンソン大尉は、ジェリ・シモンソン大佐の息子で、カットスロート第1大隊の第2中隊を指揮している。彼は戦闘に没頭するよう訓練されているので、戦闘全体を見渡すよりも、ひとつの目標に集中してしまうことがよくある。カットスロートの得意とするステルス戦術に加えて、ヴィクターは側面迂回機動の訓練を中隊に施している。連隊の大半は中速度のメックであるが、ヴィクターの中隊はすべてが高速の中軽量級メックである。彼らは側面機動を訓練しており、それなりに熟達した騎兵戦力となっている。
 乗機: スパイダー SDR-5V







スミッソン・チャイニーズ・バンディッツ Smithson’s Chinese Bandits

 スミッソン・チャイニーズ・バンディッツは、第二次・第三次継承権戦争時に生まれた。2つの傭兵部隊、ドーソン・リバーレイダースとジェイドウォリアーズが、職務怠慢によってカペラ大連邦国から追い出されたときのことである。実際には、カペラの連絡士官が傭兵への支払いを着服しており、よって2つの傭兵部隊は恒星連邦の襲撃部隊との戦闘を拒否した(それぞれブライトン、リリボウでのもの)という経緯がある。両部隊は数日と置かないタイミングでガラテアに到着し、同じ腐敗した高官の犠牲になっていたことを知って、部隊を合併させた。軽いリバーレイダースと重いウォリアーズは、カペラ大連邦国への愛を持たない2個連隊の強力な傭兵部隊となった。彼らはチャイニーズ・バンディッツと名前をつけ、ウォリアーズの指揮官アラン・スミッソンがダイスのゲームでリバーレイダースの指揮官を下し、部隊の指揮をとった。部隊は最初の数十年間、ライラの下で過ごし、その後、自由世界同盟が元雇い主のカペラに報復するチャンスを与えた。

 部隊はこの1世紀間、恒星連邦、自由世界同盟のために戦い、主に後者が多かった。彼らの契約では、カペラでない敵と戦うときは憎きカペラと戦う時よりも多額の報酬を受け取ることが保証されている。これによって、カペラと戦うことが増えるのである。

 バンディッツはマーリック内戦でヤノス・マーリック総帥を支持し、フエンテスでウルフ竜機兵団と短時間遭遇した。第四次継承権戦争では、バンディッツはライラ共和国のミルトンに侵攻、占領した。それ以降、ミルトンに腰を落ち着けた部隊は、キルクバックンとアスンシオンから大連邦国の国境を越えて幾度かの襲撃を受けている。


第1スミッソン・チャイニーズ・バンディッツ
 バンディッツは伝統的なバトルメックの組織を使っている。重量のある第2大隊がゆっくりと移動する間、軽量な第1、第3大隊が敵の側面を打つ。ジャングルと森の地形をバンディッツは好んでいる。第1の重戦闘機大隊、エア・バンディッツは常に航空優勢を争い敵の戦闘機を殲滅したら、地上攻撃に着手する。歩兵と戦車の混成部隊、グラウンド・バンディッツは市街戦を得意とし、一方のメック部隊は狭い都市の外に身を置く。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個メック連隊、1個重気圏戦闘機大隊、1個歩兵大隊、1個車両大隊


第2スミッソン・チャイニーズ・バンディッツ
 第2バンディッツは第1バンディッツと同じ組織を使っているが、険しい地形での戦闘を専門とする。第1大隊は山岳戦の専門家であり、第2大隊は砂漠・無酸素でベストを発揮し、第3大隊は市街地で圧倒的である。スカイバンディッツは中量級、重量級を使用し、敵戦闘機とのドッグファイトを専門とする。ロック・バンディッツは、グラウンド・バンディッツと広範囲な訓練を行い、同じ戦術的専門性を共有している。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個メック連隊、1個重気圏戦闘機大隊、1個歩兵大隊、1個車両大隊


リサ・ゴンパース中尉
 リサ・ゴンパース中尉は、第2バンディッツの第3大隊で、1個小隊を率いている。彼女のクルセイダーは、ブラックマーケットで入手されたものである。彼女のLRMは敵に近づくための援護を提供する手段に過ぎない……敵に突撃する際のゴンパース中尉の驚異的な命中精度は、戦闘において致命的に効果的であるとの評判を確立している。
 乗機: クルセイダー CRD-3K


メック戦士ウェンドル・ピューリタンII
 ピューリタンは一族のメックが補給部の手でスクラップにされる予定なのを知って、ライラ共和国を離れた。第四次継承権戦争後、彼は機体の維持に苦労し、損傷したPPCの代わりを入手することが出来ず、大口径レーザーを使っている。PPCの火力を失ってしまったのだが、彼は喜んで浮いたトンを装甲の追加に回した。
 乗機: スコーピオン SCP-1N ウェンドル
 乗機: スコーピオン SCP-1N ウェンドル2







第12スターガード 12th Star Guards

 第12スターガードはエグゾダスせずに残ったSLDF2個連隊から始まった。この第42打撃連隊と第10重強襲連隊は、カペラ大連邦国と契約を結んで、12個の星系の防衛を任された。ここから名前を取って第12スターガードとしたのである。

 第12スターガードは最初の2個連隊から継承権戦争中に規模を増やし、第二次継承権戦争のあるときには7個連隊にまで膨張している。ドラコ連合に仕えるあいだ、1個連隊が反乱を起こし、逃走した……連合が1年近く給料を支払わなかったのである。もう1個連隊が連合に見捨てられて恒星連邦に撃破され、ドラコ連合との関係は終わりを告げた。

 その後、第12スターガードはライラ共和国と恒星連邦を行ったり来たりして、時折、給与問題やその他の士気に影響を与える行動に対処した。第12スターガードは2つの国が合併して以来、連邦共和国の雇用下に残った。

 第12スターガードは数世紀にわたって星間連盟の伝統を数多く維持しており、それが戦闘中でも彼らにある種の忍耐を与えている。敵軍が報告するところでは、戦術的に有利な配置をしても、簡単に裏をかかれるとのことである。第12スターガードは攻撃に秀でているが、守勢をやや苦手としている。


ガード・プライマリ
 ガード・プライマリは第12スターガードの指揮中隊であり、各連隊の4個指揮小隊からなる。4個連隊は、通常、別々の世界に配置されることから、ガード・プライマリがひとつの部隊になることはまれである。だが、毎年の演習では、互いに戦う模擬戦の間、ガード・プライマリ自体が成果を監視すべく各連隊に配置される。
 経験レベル: エリート
 戦力編成: 1個強化メック中隊


第1連隊"リバーズ・ギャンブラーズ"
 第1連隊は部隊の主力である。第12スターガードの指揮官、チャールズ・カランザ大佐は、通常、司令部で全連隊の配置を監督している。だが、彼が戦闘に参加する時には、兵士たちは良いところを見せようと普段以上の成果を残すものであった。第1連隊は、大半が中量級メック、高速重メックである。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個中メック連隊


第2連隊"オヘル・へビーズ"
 第2連隊はドラコ連合の二心で失われた戦友たちに敬意を表して、連合への遺恨を強く抱いている。ドラコ連合の部隊やその同盟軍と戦う彼らの勢いは、雇用主である連邦共和国に強い印象を与えた。第1、第2大隊は重強襲級メックを使い、第3大隊は中軽量級メックを展開する。
 経験レベル: 一般兵
 戦力編成: 1個中メック連隊


第3連隊"ページェット・ウォーポニーズ"
 第3は長距離砲撃戦を専門とし、それに集中しすぎているがゆえに接近戦は不得手となっている。距離を取っての戦いを好むことで、地形に隠れる技術が発展した。第3連隊は各中隊に、中量級、重量級、強襲級メックを混ぜて使っている。
 経験レベル: 古参兵
 戦力編成: 1個重メック連隊


第7連隊"スコヴィ・アイアンメン"
 第7は諸兵科連合連隊である。この部隊は比較的新しく、いまだ個々の戦士の技量を伸ばすために訓練中である。だが、連邦共和国RCTとの激しい訓練によって、各種タイプの部隊間の運用がスムーズになっている。連隊は森林での戦闘を専門とする。第7は高速の中量級メック、高速装輪戦車、ホバー戦車、ジャンプ歩兵を持つ。
 経験レベル: 新兵
 戦力編成: 1個軽メック大隊、1個軽車両大隊、1個歩兵大隊


リーフ・フォガティ大尉
 リーフ・フォガティ大尉は3049年のノイジエル・サマーゲームスに参加した。彼はチャンピオンになれなかったが、ずば抜けた戦果で数多の傭兵リクルーターの目を引いたのだった。5つの部隊が競争し、第12スターガードの第3連隊が彼を勝ち取った。準決勝進出の賞品であるマローダーは、アイカーにある第3の基地に到着したばかりなのだが、第12スターガードで最新鋭である。フォガティはまだ新しい環境に慣れている段階である……彼はよく命令を無視し、同僚を残して側面攻撃をするなど、ベストと判断したことを実行する。
 乗機: マローダー MAD-5S









バウンティハンター The Bounty Hunter

 歴史上最も謎深き傭兵は、おそらくバウンティハンターである。最初のバウンティハンターの本名を知っている者はいないが、数世紀にわたって複数人がバウンティハンターの身分を使ってきたと一般に信じられている。時折は友好的にこの役割が受け継がれたこともあるが、そうでない場合は前任者のバウンティハンターを殺して後を継ぐようだ。

 バウンティハンターは、多くの場合、信頼できるアシスタント3人と一緒に仕事を行う。この全員がエリートのメック戦士である。バウンティハンター自身は、クレジット記号をちりばめたブライトグリーンのメックを常に操縦している。バウンティハンターのメックは常に最高の状態にあり、時折は星間連盟技術、先進技術を搭載することがある。バウンティハンターの最新のメックは、ナターシャ・ケレンスキーを倒して奪ったマローダーである。戦場での並外れた実績によってバウンティハンターの腕前は証明されているが、星間連盟製よりも高度な兵器や部品を使用しているとの噂がある。

 バウンティハンターは最高の報酬を提供する最高に難しい契約のみを受ける。ハンターの戦闘は長く続かず、目標を倒して戦場を去っていく。攻撃しない限り、他に手を出すことはない……攻撃した場合は容赦なく撃破される。

 バウンティハンターのターゲットはしばしば裏切り者か目立つ目標である。雇用主はたいてい王家君主か、それに匹敵する富を持ちハンターの法外な料金を払える人物である。








未所属メック戦士 Unaffiliated MechWarriors


ミハエル・ミュラー
 ミハエル・ミュラーは常に大金の支払日に目を光らせて傭兵部隊から傭兵部隊へと飛び回っている。彼はスペシャリストであり、オリオンのオートキャノンとLRMをスナイパー間接砲1門に交換している。射撃の達人であるミハエルは、敵の集まっているところに最大限の効果でもってして巧みに砲弾を降らせる。だが、彼には横柄な面があり、「敵を近づけるな!」が充分にできないことに文句を言って、部隊を離れたことが何度かある。
 乗機: オリオン ON1-K (ミュラー)


ファイサル・ブハーリー
 ブハーリー一族はタマラーを拠点とする恒星間貿易企業を運営しており、最初のタマラー兄弟と後の指導者であるケルスワ家との婚姻関係がある。ファイサルは家と家族を守るために傭兵部隊に入隊した。彼は裏切られたと感じた……最初はシュタイナー家がラサルハグ共和国を作ったとき、二度目は連邦共和国が氏族に対してタマラーの防衛を不十分なものとしたときに。
 氏族侵攻がタマラーに近づくと、ファイサルはタマラー防衛に加わるために離隊を求め、許可された。ファイサルは第26ライラ防衛軍と契約して仲間の傭兵たちとの1個メック小隊を率いたが、彼のトレビュシェットは破壊され、ライラ防衛軍と共に撤退するのを余儀なくされた。彼は元の部隊に戻り、氏族と戦った経験を持つ数少ない英雄として歓迎を受けた。
 乗機: トレビュシェット TBT-5N
 乗機: トレビュシェット TBT-7M


サラ・ターナー大尉
 サラ・ターナー大尉は襲撃を専門とする「カンガルー」中隊を率いている。彼女はメックでも、二本の足でも、立ち止まることがない。メックの外にいるときの彼女は熱心な格闘家であり、テコンドーの大会やエキシビションを見つけたら必ず出場している。
 氏族侵攻の初期に、ターナーはデルヴィッシュをオーバーホールする交渉をした……アップグレードされたエンジンと高性能放熱器によって、オーバーヒートすることなく、すべての火力を使うことが可能になっている。
 乗機: デルヴィッシュ DV-6M
 乗機: デルヴィッシュ DV-6M(ターナー)


チャールズ・ベア
 ネイティブアメリカンの血統を持つ第三世代のメック戦士、ベアはタウ・ケチ・レンジャー部隊、ケンタウリ第21槍機兵団、グレイデス軍団などといった著名な部隊に仕えてきた。
 物静かで幾分秘密主義のベアは仲間のメック戦士たちと関わろうとしない。友好的でない態度にもかかわらず、戦場での腕前と戦友への忠誠心によって、彼は大いに尊敬されている。若いメック戦士たちは、この謎めいた背の高い男に畏怖と少なからぬ恐怖の目を向けている。
 乗機: クルセイダー CRD-3R (ベア)


"エル・グアポ"大尉
 イラーイを本拠地とするオールドクロウ傭兵中隊の指揮官、"エル・グアポ"の名でのみ知られるこの男は、酒豪であることと、汚い戦い方で悪名高い。エル・グアポはカスタム化されたバンシーに乗っており、この機体を第19ゲイルダン正規隊から盗み取って以来、コンスタントにアップグレードしている――この行動によって、傭兵部隊とゲイルダン正規隊のあいだの対立は深まっている。
 乗機: バンシー BNC-3E
 乗機: バンシー BNC-3E(エル・グアポ)










テクニカルリードアウト


オストスカウト OTT-7J Ostscout
重量: 35 トン
シャーシ: ケル/S
パワープラント: VOX280
巡航速度: 86 キロメートル/時
最高速度: 129 キロメートル/時
ジャンプジェット: オストマンSct-A
 ジャンプ能力: 240メートル
装甲板: デュラレックス・ライト
武装:
 トローネルII中口径レーザー 1門
製造元: コング・インターステラー・コーポレーション
通信システム: バレット4000
照準・追尾システム: TRSS.2L3


 オストスカウトは作られたときから偵察機の典型となっている。そのスピードについてこられるメックはほとんどなく、きわめて優秀なジャンプ能力を持つオストスカウトは、敵の陣地を発見した後、戦闘を逃れることで長年にわたって知られてきた。王家軍が秘蔵していることから、傭兵部隊で見かけることはそう多くない。継承権戦争の破壊があったにもかかわらず、大半のオストスカウトは戦闘を避けて良好な状態を保っている。



性能
 オストスカウトはローカストのスピードに匹敵する数少ないバトルメックであるが、ジャンプジェットを持つことで、ローカストの偵察能力を上回ることが出来た。星間連盟でも最上級のセンサー群は、オストスカウトに比類なき索敵能力を与えている。自己防衛能力としてレーザー1門を持つが、撃ち合いに参加せねばならない際には、メック戦士は失機者になる危機に瀕する。



配備
 3016年に起きた「聖燭節の虐殺」の後、ブラックハット海賊団の追跡は、オストスカウトの魔術的なスキャン能力が大いに助けとなった。数年前にヘルマー・ヴァラセクの襲撃部隊によって鹵獲されたこのオストスカウトは、ポルトスでブラックハットの作戦拠点が目撃されたと伝わった後、広範囲に活動した。ヴァラセクはブラックハットがスカールヴォルで民間人を殺戮したことについては気にしていなかった。ヴァラセクが求めていたのは、彼の権威に背いたこと、金、メック、装備を盗んでいったことに対する復讐である。探索を始めてから7週間後、オストスカウトはブラックハットの基地を特定した。だが、サンタンダー・キラーズが集結する前に、ブラックハットはオストスカウトを見つけて攻撃した。ブラックハットにはオストスカウトを捕まえるチャンスがなく、オストスカウトのパイロット、ホンド・ジョーンズはオープン通信チャンネルで大々的に挑発を行った。ブラックハットがしてやられたことに気づく前に、オストスカウトに誘導されたサンタンダー・キラーズが攻撃を加えたのだった。

 ハンス・ダヴィオンがすべての可変メック(LAM)を退役させた後、代替として元LAMパイロットの1/4がオストスカウトを受け取った。彼らは珍しいオストスカウト小隊を組み、第3ダヴィオン近衛隊に転属となった。第四次継承権戦争で、この小隊は第3ダヴィオン近衛隊の成功要因となった。アルゴルにおいて、第3ダヴィオン近衛隊は第1アリアナ機兵連隊の大半を殲滅した。ニンポーにおいて、彼らは繰り返しマクリモン軽機兵隊の偵察部隊を探り当てた。そのような任務の際、友軍の戦線から遠く離れたオストスカウト4機は、敵を逃がすよりも交戦することを選んだ。飛び回ったオストスカウトは、敵の砲撃を回避し、貧弱なレーザーの正確な砲撃を集中させて、マクリモン軽機兵隊を麓の要塞に押し戻した。同じ戦術により、スローカムではマクリモン軽機兵隊の第2大隊が撃破可能となった。第3ダヴィオン近衛隊がアザハに到着すると、この惑星を守る装備の悪い市民軍を撃破するのに、オストスカウト小隊はほとんど必要がなかった。オストスカウト小隊は完全な形で生き延びたが、3039年戦争の前には散り散りになっていた。以上は複数のオストスカウトが共同で活動した数少ない例となっている。



派生型
 オストスカウトで唯一知られている派生型は、中口径レーザーの代わりに目標捕捉装置を取り付けた現代型改装である。このメックは戦闘に入るのを想定していないことから、半可通が予想するほど不評ではない。



著名な機体

ルポ"ローンウルフ"デルヴェッキオ大尉:デルヴェッキオ大尉は第32偵察戦闘団で偵察のスペシャリストとしてよく知られている。レキシントン戦闘団の一員として、デルヴェッキオ大尉は頻繁にランダムなパトロールに出かけ、数日帰ってこないこともあった。彼のオストスカウトは星間連盟の時代から第32戦闘団にある。オストスカウトに3024年から乗っているのだが、デルヴェッキオ大尉は戦闘を行わないという偵察の精神を遵守していることから、敵の砲火を受けたことはない。メックに精通している彼はセンサーを遠距離から巧みに操り、近代的なECM装備で忍び寄る敵にはスピードをもって逃げ切るのだった。





ウォーハンマー WHM-6R Warhammer
重量: 70 トン
シャーシ: スターコープス100
パワープラント: VOX280
巡航速度: 43 キロメートル/時
最高速度: 64 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: リヴァイアサン・プラス
武装:
 ドナールPPC 2門
 マーテル中口径レーザー 2門
 マグナ小口径レーザー 2門
 ホリー6連短距離ミサイル 1門
 スプレイ・ブローニング・マシンガン 2門
製造元: スターコープス工業、オリベッティ工廠
    ヴァンダーベルク機械化工業、タウラス国防工業
通信システム: O/P 3000 COMSET
照準・追尾システム: O/P 1500 ARB


 ウォーハンマーは歴史上最も成功し、大量生産されたバトルメックの1機種である。スターコープス工業は「同重量以下のどんなメックでも撃破、大破するのに充分な火力を持った機動メック」を提供した。その優先順位は、戦闘における耐久性よりも火力であった。王家軍は大量のウォーハンマーを保有しており、傭兵部隊にも数え切れないほどがある。



性能
 ウォーハンマーは印象的な武装を搭載しており、ミサイルをのぞいて左右対称に配置している。敵のメック戦士は当然長距離兵器を恐れるが、短距離火力はメックと歩兵の両方の撃破を意図している。ある点において、このような大型メックに対歩兵兵器を組み込むのは余計に見えるかもしれないが、ウォーハンマーは歩兵が待ち伏せしている可能性の高い市街地に先頭で踏み込むことがよくあるのだ。他の重メックとは違い、ウォーハンマーは装甲を犠牲にして敵にダメージを与える。装甲が薄いことで、無謀なメック戦士たちの命が散っていくのである。



配備
 3019年、ウルフ竜機兵団はヤノス・マーリック総帥の命令でヘスペラスIIを強襲した。竜機兵団連隊が、第24ライラ防衛軍、第3親衛隊、シェン・ホットヘッズ、ハンセン荒くれ機兵団の防衛線を突破するのに失敗すると、この戦いは停滞した。黒のウォーハンマーを駆るナターシャ・ケレンスキー大尉は、小川を守る1個メック小隊に奇襲を仕掛け、ディファイアンス工業の工場地区に押し進んだ。この突破攻撃を止めたのは、ハンセン荒くれ機兵団の頑強で死にものぐるいの奮闘だった。ケレンスキーは荒くれ機兵団に大損害を与え、ディファイアンス工業の入り口で1ダース以上の撃墜を記録した。彼女はよく言われるウォーハンマーの欠点を無視し、より優れているとされるメックと交戦した。カヴァノー"ピンポイント"ストライカー少佐はオウサムでケレンスキーを食い止めようとし、その生命を代償とした。自己犠牲的な勇気によって、荒くれ機兵団の中量級小隊がケレンスキーの進路に入った……ケレンスキーはフェニックスホークとグリフィンを破壊する一方で、彼女の指揮小隊はスコーピオンを片付けた。シャドウホークだけが1機残り、勇敢なパイロットは敵に身を投じた。ケレンスキーはその勇気に敬意を払い、このメックを行動不能にするだけにとどめた。このメック戦士、セレスト・リオは、荒くれ機兵団内で長きにわたり尊敬されるキャリアを過ごした。

 ウォーハンマーが行った最悪の行為の中に、3007年、マッカロン装甲機兵団の「ホットハンマー」1個小隊がニューバレンシアの村と町を破壊したというものがある。「ニューバレンシアで火炎放射器が赤く輝いた」というのが、マッカロン装甲機兵団が残したこの虐殺行為に関する唯一の報告であったが、装甲機兵団が望んでいたようにウルフ竜機兵団をおびき寄せることはできなかった。防衛境界線から離れる代わりに、ジェイム・ウルフ大佐はフェニックスホークの1個小隊を送り込んで、虐殺加害者の捜索と待ち伏せを行わせた。足の速い中量級メックは、レイテランド郊外パクストンの燃えさかるがれきの中でウォーハンマーを翻弄した。ウルフ竜機兵団に戻ったフェニックスホークは1機のみだったが、マッカロン装甲機兵団に戻ったウォーハンマーはなかった。



派生型
 数世紀の歴史を持つ他のバトルメックと同様に、ウォーハンマーは数多の派生型をそろえている。あるタイプは絶望から生まれた……正規の交換部品が不足し完全に武装を変更した。またあるタイプは、各国家の好みに根ざしている。あるタイプは放熱器を追加し、またあるタイプは比較的薄い装甲を強化している。王家が復興技術でこの古式ゆかしいメックを強化するに従い、新しい派生型が生まれつつある。



著名な機体

リース・マクギー大尉:マクギー大尉は、マクギー・カットスロートの元指揮官、アンドリュー・マクギー大佐の孫である。リースは不満を持った隊員の一人であり、彼らが第四次継承権戦争後にドラコ連合からの離脱を呼びかけると、最終的に大々的な反乱へと発展した。リースはカットスロートの支配権をかけた戦いの最中、同じ一族を撃つのを余儀なくされた。マシュー・シモンソンのクーデターが終わると、彼はマクギー家の最年少に中隊の指揮権を与えた。




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