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作成:2002/07/07
更新:2010/05/17

3025年以降の歴史



 日本語版「バトルテック」の世界は3025年でその歩みを止めています。しかし原著では、小説やサプリメントの展開で時代が進み、50年以上の歳月が経過しました。「メックウォリアー:ダークエイジ」に至っては、100年後の世界です。
 この空白を埋めるため、自分なりに中心領域の流れをまとめてみました。




2601-2750


星間連盟(スターリーグ)

 バトルテック世界の歴史を辿っていくと、必ず〈星間連盟〉に突き当たります。星間連盟が宇宙を統べていた時代、人類は繁栄の頂点にありました。恒星間の輸送・通信を筆頭に高度な技術が発展し、植民惑星と人口は増える一方でした。

 星間連盟は多くの国家が集まる連合組織です。その中心となっていたのが地球帝国とキャメロン家でした。そもそも星間連盟を作ったのが地球帝国(キャメロン家)であり、強大な軍事力を用いて、他の国家にむりやり加入を迫ったのです。それを可能としたのが画期的な巨大人型兵器バトルメックでした。他の国(王家)もバトルメック軍を常備していましたが、星間連盟防衛軍(SLDF)の技術と規模にはかないませんでした。

 星間連盟による平和と成長の時代は150年間続きました。



2751-2784


崩壊

 2751年、キャメロン家の当主が事故死し、8歳になるリチャードが王座につきました。摂政として彼をバックアップしたのが、星間連盟防衛軍のアレクサンドル・ケレンスキー将軍です。彼は有能で高潔な軍人でした。

 このころから星間連盟の支配力は衰えを見せ始め、そしてついには辺境で大規模な反乱が発生し、ケレンスキー将軍は地球を離れ、鎮圧に向かうこととなりました。

 ケレンスキーの代わりに地球とキャメロン家を守っていたのが、辺境世界共和国の王ステファン・アマリスという男です。彼は若いリチャード・キャメロンに取り入り、信頼を勝ち取っていました。しかし、2766年の12月、アマリスはとうとうその本性をあらわし、リチャードとキャメロン一族を文字通り皆殺しにします。そして我こそが星間連盟の新たな首長であると宣言したのです。

 辺境にいたアレクサンドル・ケレンスキーは、ステファン・アマリスに宣戦を布告します。その後、11年の時間と1億人もの死者を費やして、ようやくケレンスキーはアマリスを討ち取りました。しかし、かつての星間連盟は戻ってきませんでした……何しろキャメロン一族は根絶やしにされていたのですから。

 本来なら、キャメロン家にかわって、ケレンスキーが星間連盟首長(第一君主)の座につくべきでした。しかしケレンスキーは一軍人であることにこだわり、星間連盟に忠誠を誓い続けたのです。

 星間連盟に所属していた五大王家は、第一君主の座を狙って、評議会で言い争いを始めます。彼らはアマリスとケレンスキーの戦いに荷担せず、傍観者に徹していました。ケレンスキーは調停に勤めたものの、逆に評議会から星間連盟防衛長官の職を解かれてしまいます。やがて交渉決裂。五大王家はそれぞれ自国に戻り、戦力を動員し始めます。

 星間連盟の理想が崩壊する状況に落胆したアレクサンドル・ケレンスキーは、戦艦に乗り込み、星間連盟防衛軍の3/4を率いて、深宇宙のどこかに消えていきました。これを脱出(エクソダス)と言います。ケレンスキーはいずれ中心領域に帰還し、星間連盟を復興しようと考えていました。しかし、それ以降、彼らの消息はつかめていません。



2785-3025


終わりなき戦乱

 ケレンスキーという重しの外れた中心領域に、戦乱の嵐が吹き荒れました。互いの王家が、互いを攻撃し、都市や生産施設が大々的に破壊されたのです。この戦いは〈継承権戦争〉と呼ばれ、200年以上の長きに渡って続いているものの、決着はついていません。ただ破壊のみがもたらされました。

 戦争が長引くうちに、中心領域の技術力は衰えていきます。高度な技術を必要とするバトルメック、航宙艦は、生産技術が失われて、わずかに残った自動化工場でのみ生産が続けられています。もし工場設備が故障してしまったら、誰にも直せない状態です。王家軍は、これらの施設を直接攻撃せずに、占領しようと試みるようになりました。また貴重な航宙艦が攻撃されることもなくなりました。

 バトルメックも貴重品です。メック戦士(パイロット)たちは貴族として扱われ、メック(と地位)を親から子へと継承していきます。王家のリーダーたちも、ほとんどがメック戦士です。しかしスペアパーツと技術者の慢性的な不足によって、バトルメックの稼働率は下がりつつあります。戦場の内外で自機を失ったメック戦士は〈失機者〉として扱われ、特権もまた失います。



3025-3028


バトルテックユニバース

 初期の「バトルテック」「メックウォリアーRPG」は、この年代を舞台にしています。3025年に第三次継承権戦争が終結。来るべき新たな戦いに向けて、各勢力が陰謀や軍備を進めているという状況です。

 プレイヤーは、メック戦士や支援要員(技術者、偵察兵など)になり、過酷な戦場を生き抜きます。王家に雇われた傭兵としてプレイすることが多くなるでしょう。惑星防衛に、襲撃、反乱鎮圧、海賊退治……仕事は数え切れないほどです。宇宙のあちこちには、星間連盟時代の物資貯蔵庫が残されています。ファンタジーRPGのように、PCはこれらの遺跡に挑むこともあります。また世界観自体も、SFというより歴史をベースにしたファンタジーであると考えた方が理解しやすいかもしれません。


バトルメック

 身長20メートル前後の、巨大人型兵器です。日本のロボットアニメを模して作られたものですが、イメージは「ガンダム」や「マクロス」とまったく異なっています。まず空や宇宙を飛べません。地上専用です(ただしジャンプできる機種が存在します)。

 戦い方は装甲の削りあい。基本的に避けるという概念がありません。武器はオートキャノンやミサイル、レーザー砲などです。パンチにキックを使った格闘もできます。

 メックの重さは20トンから100トン。「重い方が強い」という鉄則が存在します。20トンの軽量級メックが5機集まっても、100トンの強襲級メックに勝つのは難しいでしょう。頭に操縦席があり、ここは装甲が薄いため、メックに共通の弱点です。ただしルール的に狙い撃ちは難しくなっています。


3025年の各勢力

・恒星連邦(ダヴィオン家)
 最も強大かつ強力な継承国家。効率的な軍事組織を持つ。ニューアヴァロン科学大学にて、旧時代の技術を取り戻すべく、研究を進めている。支配者は〈狐〉のハンス・ダヴィオン国王。

・ライラ共和国(シュタイナー家)
 タマラー協定、ドネガル保護領、スカイア連邦の3国からなる寄り合い所帯。貴族的であるのと同時に、商人の国で、経済的に他王家を凌駕している。現在、ドネガル系の国家主席カトリーナ・シュタイナーが国を指導している。

・ドラコ連合(クリタ家)
 日本人の子孫であるタカシ・クリタが権力を維持している。この国のメック戦士は「サムライ」であり、やや独特で非効率的な軍事システムが見られる。継承権戦争では、ライラ共和国タマラー協定領の半分を奪取した。

・自由世界同盟(マーリック家)
 数多の小国からなる連合国家。反乱と内戦が蔓延り、ヤノス・マーリック総帥は弟と戦ったことすらある。そういった事情により、国力を活かせないでいる。

・カペラ大連邦国(リャオ家)
 五大王家中、最も小さな国家。継承権戦争で恒星連邦に領地の半分を奪われた。陰謀家のマクシミリアン・リャオ首相は、うまく立ち回りされすれば、星間連盟首長の座を狙えると信じている。

・コムスター
 地球に本拠を構える中立組織。各国に恒星間通信(HPGパルス通信)を提供している。創設者ジェローム・ブレイクと科学技術を信仰する宗教的な団体である。メックを継承できなかった貴族の子弟が、この「聖ブレイク教団」に入団することも多い。裏では宇宙を支配する独自の策謀を続けている。

(注:これら五大国家の存在する範囲を〈中心領域〉と呼ぶ。地球を中心に数百光年である。中心領域の向こう側は、〈辺境〉で、中小国家や蛮王国が遍在している)


大同盟

 3020年ごろ、ライラ共和国のカトリーナ・シュタイナー国家主席は、長引く継承権戦争に飽き飽きし、他の国家指導者たちに和平調停を申し出ました。この声に応えたのが、恒星連邦のハンス・ダヴィオンです。両王家は、コムスターの仲介のもと、同盟を結びました。

 危機を感じた残りの継承武王三家も、カプテイン協約によって、緩やかな同盟関係を作り出しています。この時代、中心領域は大きくふたつの勢力に別れていると考えてもいいでしょう。





3028-3030


第四次継承権戦争

 3028年8月20日、ハンス・ダヴィオンとメリッサ・シュタイナーが結婚します。前者は恒星連邦の国王、後者はライラ共和国国家主席の娘です。 両国は、同盟のみにとどまらず、近い将来の国家併合を考えていました。ふたりの子供が新たな超大国を指導するというわけです。

 地球で開かれた結婚式には、各王家のリーダーが招かれていました。その場で、ハンス・ダヴィオン国王は、カペラ大連邦国(リャオ家)への宣戦布告を行います。彼の戦略目標は、地球周辺にあるリャオの惑星です。いわゆる地球回廊を造りだし、遠く離れた二国家をつなぐことを目論んでいました。

 こうして、ドラコ連合、自由世界同盟も巻き込んだ、第四次継承権戦争が始まったのです。戦争は比較的短い3年間で終わりました。しかしその規模と影響は大きなものでした。

 カペラ大連邦国は大敗北を喫し、領土の半分を失いました。恒星連邦=ライラ共和国同盟軍は各地で大勝利を納め、騒ぎが沈静化するまで多くの惑星を獲得しました。しかし恒星連邦はドラコ領域でいくつかの重要な惑星を失い、画竜点睛を欠きました。



3031-3039


内乱と新国家誕生

 第四次継承権戦争で最も大打撃を受けたのは、カペラ大連邦国です。元々脆弱であったこの小国は領土の半分を失いました。そのすべてが侵略のみによって、奪われたものではありません。

 第四次継承権戦争中の3029年にカペラ領内の一部が、新国家「聖アイヴス協定」として独立してしまいます。指導者は、マクシミリアン・リャオの娘キャンダス・リャオ。恒星連邦のスパイ(ジャスティン・キング=アラード)と結婚し、恒星連邦寄りの国家を作り上げました。

 カペラ軍の実質的な最高司令官であったパーヴェル・リジックは、地球周辺のサーナ共和区を率いて独立しました(チコノフ自由共和国)。しかし彼は3031年に暗殺され、新国家は連邦=共和国に吸収されてしまいます。

 このふたり、リャオを裏切ったつもりはありません。崩壊する国家のために最善手を打った結果が、独立だったのです。しかし、マクシミリアン・リャオ首相にとってみれば、実の娘と腹心に裏切られたことになります。彼は精神のバランスを失い、とても国家運営の出来る状態ではなくなりました。かわりに娘のロマーノ・リャオ(キャンダスの姉)がカペラ大連邦国の手綱を握ることとなります。

 第四次継承権戦争終結後すぐに、新たな国家消滅の危機がやってきました。自由世界同盟のアンドゥリエン公国が独立し、カノープス統一政体と同盟を結んで、カペラ大連邦国へと攻め込んできたのです。リャオ家の新リーダー、ロマーノ・リャオはなんとかこれを撃退し、国家再建への気運を盛り上げました。

 この時期に、もうひとつ大きな独立国が生まれています。3034年、ライラ共和国、ドラコ連合の間に出現した自由ラサルハグ共和国です。

 第四次継承権戦争でライラ共和国は、ドラコ連合ラサルハグ軍管区から多くの惑星を獲得しました。タマラー協定の旧領土です。バトルテック、メックウォリアーリプレイでシナリオソースにされていたように、この地域は独立心が旺盛です。現地の民衆は、クリタの支配から逃れるため、攻め込んできたシュタイナー軍に喜んで力を貸しました。しかしクリタ家を追い出したところで、シュタイナーが新たな支配者になっていることに気づきました。

 ラサルハグの人々は、今度はシュタイナーに対する抵抗運動を始めます。根負けしたシュタイナーはラサルハグ併合を諦め、新国家樹立を認めました。一方、コムスターと通じていたドラコ連合は、すぐさまこの独立国家を承認し、それだけでなく領内に残った旧ラサルハグ領(ラサルハグ軍管区)を手放しました。こうして3034年、完全な形で、自由ラサルハグ共和国が誕生したのです。

 しかしラサルハグ軍管区に駐留していたドラコ軍人たちは、この地域からの撤退をかたくなに拒んで、ドラコ連合上層部に反旗を翻しました。浪人戦争の勃発です。彼らの抵抗は長く続かず、3035年に自由ラサルハグ共和国=ドラコ連合=ライラ共和国の連合軍が勝利しました。

 このラサルハグ建国とほぼ同時期に、ライラ共和国内のスカイア連邦で独立運動が活発化しています(スカイア危機)。ラサルハグの独立により、ライラ共和国は、ドネガル保護領とスカイア連邦の2国で構成されることになりました。しかし、実権のほとんどは、ドネガル出身のシュタイナー家が占めているのです。非主流派たるスカイアが分離独立したがるのも当然といえましょう。またドネガルが勝手に押し進める連邦=共和国合併への反発も、背景のひとつです。

 結局、調停により、独立運動は消滅しました。しかし、ライラ共和国と、将来誕生する連邦=共和国にとって、スカイア連邦は大きなとげであり続けるのです。


見えない戦争

 恒星連邦とライラ共和国の同盟・併合は、中心領域のパワーバランスを著しく崩しました。超大国の出現に、他の三王家だけでなく、コムスターもまた脅威を感じます。この組織が中立を守るにせよ、陰謀を図るにせよ、特定の勢力が突出するのは好ましくないのです。

 第四次継承権戦争中、コムスターは恒星連邦を「破門」し、領内のHPG通信システムをすべて止めてしまいました。これを予期していた恒星連邦国王ハンス・ダヴィオンは、自前の設備と航宙艦を活用して、なんとか通信を確保し続けます。

 両者の対立は悪化を続け、3029年、恒星連邦正規軍がサーナのHPG施設を攻撃、報復としてコムスターがNAIS(ニューアヴァロン科学大学)を襲撃する事態にまで発展しました。同年、リャオ侵攻の経過に気をよくしたハンス・ダヴィオンは、コムスターと和解の協定を結びます。

 しかし第四次継承権戦争後も両勢力の抗争が依然として続いていました。この戦いの主力は、バトルメックでなく、水面下で暗躍するスパイです。恒星連邦は自国内からコムスターのROM(秘密諜報員)を一掃するため「オペレーションフラッシュエンド」を発動しました。この「情報戦」で数千名のエージェントが死亡し、コムスター、恒星連邦、双方の諜報網がずたずたに引き裂かれました。

 このように恒星連邦が消耗戦を繰り広げる一方で、コムスターとある種の同盟関係を結んだ人物もいます。ドラコ連合の次期大統領セオドア・クリタです。


竜の後継者

 ドラコ連合といえば、狡猾にして残虐。バトルテック世界においては、二流の悪役に過ぎません。第四次継承権戦争でも、タカシ・クリタ大統領は傭兵ウルフ竜機兵団との無意味な戦いに固執し、恒星連邦、ライラ共和国に領土を蹂躙されてしまいました。この老大国は滅びの道を歩みつつあるように見えました。

 しかしドラコ連合には、セオドア・クリタがいました。タカシの息子である彼は、第四次継承権戦争中に、指揮下のヴェガ連隊と優れた戦略眼を駆使して、恒星連邦=ライラ共和国同盟軍の猛攻を食い止め、逆に恒星連邦からバトルメック工場のあるマーダックなどいくつかの惑星を奪い取る戦果を上げています。実のところ、この若者は、中心領域で一、二を争う戦術家、戦略家だったのです。

 タカシ・クリタもセオドアの才覚は認めざるを得ず、戦後「軍事の管領」というドラコ連合軍最高司令官の地位を与えました。実権を握ったセオドアは軍の刷新を押し進め、またコムスターや国内のヤクザ組織と密かに取引を行い、大きな後ろ盾を得ました。セオドアとドラコ連合は少しずつ力を蓄えていたのです。しかし、コムスターと戦い諜報力を落とした恒星連邦はこの事実に気づいていませんでした。

 3039年、恒星連邦=ライラ共和国同盟軍が、ドラコ連合領に雪崩を打って攻め込んできます。いわゆる3039年戦争の始まりです。ハンス・ダヴィオンは圧倒的な軍事力でドラコ連合を過去のものにしようと考えていました。

 セオドア・クリタ率いるドラコ正規軍はいったん引いて守勢にまわり、機を見て、数に勝る連邦=共和国への反撃を開始しました。戦場に投入されたのは、星間連盟技術を使った強力なバトルメック――コムスターから秘密裏に受け取った技術で製造した最新機でした。セオドアは連邦=共和国の侵攻を予測して、あらかじめ周到な防衛計画を進めていたのです。大規模な反攻作戦で、ドラコ連合は戦争初期に奪われた惑星のほとんどを取り戻し、恒星連邦からメック工場のある惑星クェンティン、イラーイなどを獲得しました。この結果、恒星連邦からは強襲級メックを生産する工場が無くなってしまっています。

 圧倒的な国力差があったにもかかわらず、セオドアは恒星連邦とハンス・ダヴィオンを相手に二度目の勝利をおさめたのです。時代の進んだバトルテック世界において、セオドアとドラコ連合は悪役どころか、主役の一翼を担う存在と化しています。



3040-3049


成長と平和

 それからの10年間、中心領域を平和が覆います。継承権戦争の時代は終わりを告げたのです。

 3028年に傭兵グレイデス軍団が発掘した星間連盟「図書館(グレイデスメモリーコア)」により、様々な技術が復活しました。航宙艦やバトルメックの生産が可能となり、XLエンジン、エンドースチールなど星間連盟時代の高度な装備が再登場しています。

 「図書館」の恩恵は民間にもおよび、産業用メック生産、食糧増産など、経済の活性化と人口増加をもたらしました。中心領域と同様に辺境のタウラス連合、マリウス帝国などもまた、大きな飛躍を遂げています。

 なお、この時期、自由世界同盟ではトーマス・マーリックが総帥になっています。彼はコムスターの元教団員です。バラバラだった自由世界同盟をひとつにまとめ上げ、強力な統一国家を作り上げました。

 3041年、恒星連邦とライラ共和国が正式に併合し、新国家〈連邦=共和国〉が発足しています。


3049年の各勢力

・連邦=共和国
 新たに誕生した大国。かつてのライラ共和国と恒星連邦からなる。中心領域の半分を占める。だが、合併のひずみは大きく、いくつもの不安要素を抱えている。王子ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンが、次代の国家指導者である。

・ドラコ連合
 この20年で大きく変化・刷新した国家。セオドアの影響力は強いものの、いまだにタカシ・クリタが大統領の地位にある。

・自由世界同盟
 トーマス・マーリックの指導力により、本来の国力を発揮しつつある。トーマスは爆弾テロで重傷を負ったが、コムスターの手により復活した。

・カペラ大連邦国
 いまだ第四次継承権戦争の傷は癒えていない。市民の生活は厳しい。

・自由ラサルハグ共和国
 旧ライラ共和国とドラコ連合のあいだに生まれた新国家。両大国に対しては中立的な立場を維持している。

・聖アイヴス協定
 連邦=共和国の属国のような存在である。 キャンダス・リャオの息子、カイ・アラード=リャオはニューアヴァロン科学大学に留学し、軍事訓練を受けている。



3050-3052


ケレンスキー将軍の帰還

 3049年、辺境で海賊を掃討していた傭兵部隊ケルハウンドは、突如、強力な敵部隊と遭遇し、司令官の息子フェラン・ケルが行方不明となります。彼は作戦中に死んだものとされました。このときはまだ、誰もその意味を深く考えませんでした。

 翌年――3050年の3月。中心領域は突如押し寄せた、謎の軍勢による大侵攻に直面します。氏族(クラン)を名乗る彼らは、強力なバトルメックとずば抜けたメック操縦技術、独特の軍事戦術を有しており、瞬く間に旧ライラ共和国、自由ラサルハグ共和国、ドラコ連合の諸惑星を征服していきました。中心領域は敗北と潰走を続け、わずかに二度の勝利を得たのみでした。

 惑星トワイクロスにおいては、ひとりの若いメック戦士が自機ハチェットマンを自爆させ、ジェイドファルコン氏族の精鋭部隊ファルコンガードを岩の下に生き埋めにしました。このメック戦士こそ、カイ・アラード=リャオ。聖アイヴス協定の第一王子です。

 もうひとつの勝利は、セオドア・クリタの息子、ホヒロ・クリタによるものでした。スモークジャガー氏族に捕まったホヒロ(星郎?)は捕虜収容所から脱走したあとで、ウォルコットにてスモークジャガー軍を破り、氏族の強力な装備を戦利品にしました。

 もっともこれらの事例は、局地的勝利に過ぎません。ほとんどの惑星において、中心領域軍は降伏を余儀なくされていたのです。氏族の快進撃により最も大きな被害を被ったのは、自由ラサルハグ共和国でした。領土の多くを失い、国家消滅の寸前まで追い込まれてしまいます。

 3050年10月には、ラサルハグ選定公ハーコン・マグヌッソンを乗せた航宙艦が、氏族戦艦の待ち伏せに会います。選定公はなんとか脱出しましたが、時間稼ぎしていた気圏戦闘機部隊が現場に取り残されました。このなかには、ラサルハグ有力者の娘であるティラ・ミラボーグも含まれていました。彼女は気圏戦闘機シロネで、氏族の旗艦ダイアーウルフに体当たり攻撃をしかけ、乗艦していた大族長レオ・シャワーを殺しました。これによって、氏族は侵攻を一時中止し、新しい大族長を選ぶため、本拠地に帰還することになります。


氏族(クラン)

 彼らは中心領域から脱出(エクソダス)したケレンスキー将軍と星間連盟防衛軍の末裔です。古いケレンスキー将軍の誓いを守り、星間連盟の理想を復活させるため、中心領域に帰ってきたのです。

 氏族の社会は、戦士を頂点とするカースト制です。人口の0.01%に過ぎない戦士階級が、全体を支配しています。階級の神判(決闘)に勝ち残った戦士が、より高い軍事階級につき、もっとも優れた者が各氏族の代表者である族長(カーン)となります。戦士のうちほとんどは遺伝子操作で生まれた「トゥルーボーン」です。男女から普通に生まれた人間は「フリーボーン」と呼ばれ、様々な差別を受けます。

 戦士たちだけでなく、彼らの使う装備もまた驚異です。星間連盟の技術を受け継ぐ氏族は、それを高度に発展させました。その代表格がオムニメックで、中心領域のバトルメックより数段優れた能力を有しています。中でも有名なのが、機動力、火力、装甲を高次元で兼ね備えた機体ティンバーウルフ(中心領域名マッドキャット)でしょう。また歩兵用の装甲服バトルアーマーが存在し、これを着て戦う遺伝子改良された身長2m以上の巨人たちは、エレメンタルと呼ばれています。

 氏族は決して一枚岩ではありません。ウルフ氏族、ジェイドファルコン氏族、スモークジャガー氏族、ゴーストベア氏族等の動物名を冠した勢力に分かれています。中心領域に対する態度も、守護派(中心領域を教育し導いて星間連盟を復活させる)、侵攻派(中心領域を滅ぼして星間連盟を復活させる)と二分しています。


ウルフ竜機兵団

 この傭兵部隊は、3005年、どこからともなく中心領域に姿を現しました。出自は疑問であったものの、五大王家のすべてがウルフ竜機兵団を雇い、そのたびに彼らは勇猛果敢な戦いぶりを見せ、名実ともに最高の傭兵部隊の座を不動のものとしています。

 ウルフ竜機兵団の正体は、氏族が派遣した先遣部隊(スパイ)です。3000年当時、氏族内では侵攻派が勢力を強めており、守護派のウルフ氏族(中心領域と争いたくなかった)は中心領域に偵察部隊を送ることで妥協を計りました。その偵察部隊こそがウルフ竜機兵団であり、中心領域にやってきた彼らは傭兵を名乗り、各王家に仕えて情報を集めました。

 かの有名な"ブラックウイドウ"ナターシャ・ケレンスキーは、ウルフ氏族のトゥルーボーンです。まさしく人間離れした腕を持っているのも当然でしょう。といってもすべてのトゥルーボーンの戦士が、彼女ほど優秀なわけではありません。ナターシャ・ケレンスキーはその後ウルフ氏族長になるほどの傑出した存在です。

 第四次継承権戦争の直前、ウルフ竜機兵団は雇い主のドラコ連合と折り合いが悪くなり、惑星ミザリーで名誉をかけ激突する事態にまで発展します。この戦いで竜機兵団は部隊の2/3以上を失います。クリタ家はすべての傭兵を憎み、彼らを雇うことはなくなりました。

 その後、ダヴィオン家と契約した竜機兵団は、第四次継承権戦争中もクリタとの戦いを続けました。その後ウルフ竜機兵団は惑星アウトリーチを下賜され、この星でバトルメックの生産や傭兵部隊の仲介などの業務に乗り出します。

 3051年、ウルフ竜機兵団の最高司令官ジェイム・ウルフ大佐は、各王家の指導者をアウトリーチに呼び出し、自らの出自を明らかにします。この最強の傭兵部隊は、もはや氏族に従う気はありませんでした。氏族はどのような存在か、どのように戦うべきか、様々な情報を集まった指導者たちに伝えました。ナターシャ・ケレンスキーのみがウルフ氏族に帰還しました。

 3052年、侵攻を再開した氏族の部隊は、とうとうドラコ連合首都惑星ルシエンにその矛先を向けます。クリタ家と不戦同盟を結んだ連邦=共和国は、援軍としてウルフ竜機兵団、ケルハウンド(ウルフ竜機兵団に次ぐ能力を持つ傭兵)を送り、氏族の撃退に成功しました。

 ここにはふたつの和解が含まれています。まずドラコ連合と連邦=共和国、継承国家同士の和解。そしてドラコ連合とウルフ竜機兵団(及びすべての傭兵部隊)の和解です。中心領域では氏族に対抗するため、互いに協力する傾向が強まります。


ツカイードの戦い

 コムスター。この謎めいた集団は、中立の仮面の下に、鋭い牙を隠し持っています。彼らは早いうちから氏族と連絡を取り、中心領域と戦わせることで、両者の力を相殺させ、やがては自分たちの手で宇宙を支配しようと考えていました。しかし、氏族の最終目的地が地球(コムスターの本拠地)と知って、対決の意志を固めます。

 コムスター軍の戦司教(総司令官)アナスタシウス・フォヒトは地球を賭けた「所有の神判」を氏族に申し入れます。もし氏族が勝ったら地球を渡し、コムスターが勝ったら氏族は侵攻を15年停止する。以上が条件です。大氏族長ウルリック・ケレンスキーは挑戦を受けてたちました。

 3052年、自由ラサルハグ共和国の惑星ツカイード上で、コムガード25個師団(50個連隊)、氏族連合軍25個銀河隊(ギャラクシー)もの大軍が激突しました。コムガード(コムスター軍)は、氏族軍の補給路を断つ作戦に出ます。21日間に及ぶ大激戦の結果、ダイアモンドシャーク氏族、スティールバイパー氏族、ノヴァキャット氏族が、コムガードに敗北。ジェイドファルコン氏族とゴーストベア氏族が引き分け。勝利を得たのはウルフ氏族のみでした。ツカイードの戦いは、コムスターに軍配が上がり、条件通り15年の停戦が結ばれることとなったのです。

 同じころ、コムスターの指導者ミンド・ウォータリーは、HPG通信を使用不能にすることにより、氏族・中心領域双方を大混乱に巻き込もうと策謀していました(スコーピオン作戦)。しかしこれは失敗します。勝利を手に地球へ戻った戦司教アナスタシウス・フォヒトは、ミンド・ウォータリーを排斥、コムスターの改革に乗り出します。この動きに反対する一派がコムスターより離脱して、ワード・オブ・ブレイクを名乗ります。この狂信者たちは元コムスターのトーマス・マーリック総帥を頼り、自由世界同盟内の惑星ギブソンに居を構えました。



3053-3057


内部闘争

 この時期、各国で首長が代替わりします。連邦=共和国は、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオン(ハンス・ダヴィオンとメリッサ・シュタイナーの長男)が巨大な国家を支配します。ドラコ連合ではタカシ・クリタが腹を切り、既定路線通り息子のセオドア・クリタが王位を継承します。

 一方、カペラ大連邦国の新たな首相となったのは、スン=ツー・リャオという若者でした(スン=ツーは漢字にすると孫子)。彼は大きな目標、もしくは野望を抱いていました。第四次継承権戦争によって失われたかつての領土を取り戻そうというのです。その第一歩として、自由世界同盟と同盟関係を結びます。

 しかし自由世界同盟のトーマス・マーリック総帥に、連邦=共和国を攻撃する気は毛頭ありません。それどころか、氏族と戦うヴィクター国王に惜しみない援助を与えています。総帥の息子ジョシュア・マーリックが、ニューアヴァロンのNAISにて、白血病の治療を受けていたからです。

 スン=ツー・リャオにチャンスが巡ってきたのは、3057年のことです。NAIS医療チームの努力の甲斐なく、ジョシュア・マーリックは亡くなります。困ったヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンは、ジョシュアの替え玉を用意しました。これはすぐにばれて、マーリック総帥の怒りを買いました。

 こうして、連邦=共和国サーナ境界域(旧カペラ連邦サーナ共和区)への侵攻が始まったのです。攻めるはマーリック−リャオ同盟軍。守る連邦=共和国は氏族戦線に手一杯で、有効な戦力を割けませんでした。同盟軍は13の惑星を連邦=共和国から奪い去りました。

 このとき中心領域には、スン=ツーよりも大きな野望を抱いている人物がいました。キャサリン・シュタイナー=ダヴィオン。ヴィクター国王の妹です。彼女は兄に変わって連邦=共和国を支配したいと渇望していました。3055年には、計画の邪魔となるメリッサ・シュタイナー――実の母親を暗殺しているほどです。中心領域随一の謀略家といって間違いないでしょう。

 キャサリンは、替え玉の件でヴィクターを非難すると、旧ライラ共和国領を率いて独立してしまいます。この新国家をライラ同盟といいます。建国と同時に自らの名前をカトリーナ(偉大な祖母と同名)に変更。そして中立を宣言します。

 旧恒星連邦領にまで縮小した連邦=共和国は、独力でマーリック−リャオに対処せねばなりませんでした。苦慮したヴィクターは、自由世界同盟にかつての領土を返却し、うまく和平を勝ち取りました。同盟者を失ったリャオも、渋々、連邦=共和国との停戦に合意します。

 この状況で、サーナ境界域には混沌がはびこりました。それぞれの惑星に、ヴィクター支持派、カトリーナ信奉者、リャオの工作員、マーリックの雇った傭兵……、あらゆる勢力が入り乱れる状況となったのです。この一帯は、カオス境界域(カオスマーチ)という新たな名前を授かりました(傭兵を主役としたTRPGキャンペーンを行うには絶好の舞台のようです)。

 そんな混乱をぬって、3058年、ワード・オブ・ブレイクが、コムスターの本拠地テラ(地球)を占領しました。氏族の再侵攻に備えていたコムスターは地球奪還を断念します。そしてそのあいだに狂信者の集団は着々と力を蓄えていくのです。


拒絶戦争

 一方の氏族内でも、二大勢力のウルフ氏族とジェイドファルコン氏族が、対立を始めていました。元々、ウルフ氏族は守護派、つまり中心領域を保護する考えを持っており、軍事力による侵攻に反対していました。ウルフ氏族出身の大氏族長ウルリック・ケレンスキーは、守護派の中心的人物です。そんな彼が、氏族の力を減じるためコムスターと密かに結び、ツカイードの戦いを起こしたのではないか――そう告発したのはジェイドファルコン氏族でした。

 3057年8月8日、族長会議での投票の結果、ウルリック・ケレンスキーは大族長の座を失ってしまいます。氏族では実力によって採決をひっくり返すことが可能です。ケレンスキーは、ジェイドファルコン氏族に対して拒絶の神判を宣言し、戦争による決着を試みました。これが拒絶戦争です。

 惑星トワイクロスにおいて、ジェイドファルコン氏族は氏族的でない待ち伏せ攻撃を仕掛け、大族長ウルリック・ケレンスキーを抹殺します。またウルフ氏族長ナターシャ・ケレンスキーが(信じられないことに)一騎打ちで敗北し、その波乱の生涯に幕を下ろします。拒絶戦争はジェイドファルコン氏族の勝利に終わりました。

 負けたウルフ氏族は、ジェイドファルコン氏族に吸収されてしまうかと思われました。しかしウルフ氏族の戦士ヴラッドが、ジェイドファルコン氏族の汚いやり口(ウルリック・ケレンスキーを待ち伏せ攻撃で倒した)を告発し、ジェイドファルコン氏族長に一対一の神判を求めました。この戦いで、ヴラッドは勝利を得て、自らの氏族を救いました。また彼は新たなウルフ氏族長となり、ワードのブラッドネームを獲得しました。

 拒絶戦争に際して、ウルリック・ケレンスキーはウルフ氏族内の守護派をあらかじめ中心領域に脱出させていました。脱出した「放浪ウルフ氏族」は、ライラ同盟のアークロイヤルに移動、傭兵部隊ケルハウンドと合流して、新たな勢力を作り出します。放浪ウルフ氏族のフェラン・ケル族長は、ケルハウンド司令官モーガン・ケルの息子です。3049年に海賊との戦いで死んだと思われていたフェランは、ウルフ氏族に捕らえられ、その実力がゆえに氏族内で大出世を遂げていたのです。

 こうしてヴラッド・ワード族長のウルフ氏族(侵攻派)と、フェラン・ケル族長の放浪ウルフ氏族(守護派)、ふたつのウルフ氏族が誕生しました。彼らは互いに反目し、融合は難しいと見られています。一方、氏族長を失ったジェイドファルコン氏族ではマーサ・プライドが新たなる族長となり、拒絶戦争からの回復を図ります。



3058-3060


星間連盟の復活

 3058年、拒絶戦争に勝ったジェイドファルコン氏族は停戦を破り、再び中心領域に侵攻。ライラ同盟のコベントリを占領します。新たな危機に及んで中心領域の各勢力はコベントリに連合軍を派遣し、なんとかジェイドファルコン軍を撤退させます。団結と勝利の結果、各王家はこれまでのいさかいを捨て、星間連盟を復活させることに同意しました。新星間連盟の第一君主となったのは、スン=ツー・リャオです(彼は祖父マクシミリアン・リャオの悲願を達成しました)。

 新しい星間連盟防衛軍(SLDF)が編成され、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンと戦司教アナスタシウス・フォヒトを中心に、ブルドッグ作戦を決行に移します。その目的はスモークジャガー氏族の殲滅。ひとつの氏族を滅ぼすことで、中心領域の能力を氏族に知らしめようというのです。3059年、数十個連隊からなる連合軍が、中心領域のスモークジャガー占領地域を四波に渡って攻撃し、すべての領土を取り戻すことに成功しました。このとき、ノヴァキャット氏族は神秘的な予知視に従い氏族を離れ、ドラコ連合の臣下となります。

 スモークジャガー氏族にとどめを刺すため、10個エリート連隊で編成されたサーペント機動部隊が、スモークジャガーの本拠地ハントレスへ侵攻。激戦の末、中心領域連合軍は、スモークジャガーの戦士階級を殲滅しました(市民階級は他氏族に吸収)。こうしてひとつの氏族が滅び去ったのです。

 戦いはまだ終わったわけではありません。SLDFはさらに、氏族の主星ストラナメクティへ移動し、侵攻の永久停止を賭けて神判を持ちかけます。これを大拒絶といいます。激しい戦いの結果、8戦5勝でSLDF側が勝利をつかみました。10年に渡る氏族の侵攻は、中心領域の勝利で終わりを告げたのです。


3060年の各勢力
・連邦=共和国
・ライラ同盟
・ドラコ連合(ノヴァキャット氏族含む)
・自由世界同盟
・カペラ大連邦国
・自由ラサルハグ共和国
・聖アイヴス協定
・ウルフ氏族占領地域
・ジェイドファルコン氏族占領地域
・スティールヴァイパー氏族占領地域
・ゴーストベア氏族(元自由ラサルハグ連合内の占領域に移住)
・アークロイヤル(ケルハウンド+放浪ウルフ氏族)
・辺境
・海賊
・コムスター
・ワード・オブ・ブレイク

・ウルフ氏族
・ジェイドファルコン氏族
・スティールヴァイパー氏族
・ダイアモンドシャーク氏族
・スノーレイヴン氏族
・ブラッドスピリット氏族
・クラウドコブラ氏族
・コヨーテ氏族
・ファイアマンドリル氏族
・ゴリアテスコーピオン氏族
・ヘルズホース氏族
・スターアダー氏族
・アイスヘリオン氏族





3060-3067


氏族紛争

 大拒絶後、氏族の本拠地では、大規模な所有の神判、つまり戦争が始まりました。氏族たちが争ったのは、スモークジャガー、ノヴァキャット、そしてゴーストベアの残した大規模な領土です。

 ノヴァキャットは中心領域に味方した罪を問われ、氏族から「放棄」されました。他氏族の攻撃を受け、多大な犠牲を払いながらも、ドラコ連合内に与えられた領土に撤退しています。一方、ゴーストベアは自主的に中心領域のラサルハグドミニオンへと集団移住していきました。数年前から密かに計画し、実行に移していたものです。

 領地を巡る戦いは、すべての氏族を巻き込み、絶え間なく続いています。確定した勝者や領土はなく、いずれ、より大規模な氏族内戦に結びつくことになります……。

 中心領域でも、氏族と氏族の争いが発生しました。スティールヴァイパーによる、ジェイドファルコン占領域侵攻がそれです。しかし、この攻撃は完全に失敗し、ヴァイパーは中心領域から撤退する事態に追い込まれます。

 ウルフ氏族は氏族最大級のゴーストベアに対応するため、ベアのライバル、ヘルズホースを呼び寄せて領土を与えました。


ブラックドラゴンソサエティ

 氏族から放棄されたノヴァキャット――。彼らはドラコ連合内に居住地を与えられましたが、そこもまた安住の地ではありませんでした。ドラコ人といえば、保守的な上に外国人嫌い。そんなドラコ人民が、元々侵略者であるノヴァキャット氏族を受け入れるはずがなかったのです。

 機に乗じて、かつてセオドア・クリタ大統領の暗殺をたくらんだ極右組織、黒竜会(ブラックドラゴンソサエティ)が活動を活発化させます。彼らは戦争を誘発するため、ドラコ正規軍に偽装して、ゴーストベア領、ライラ、恒星連邦のすべてに攻撃を仕掛けました。そして眠れる巨大な熊が目覚めてしまったのです。

 3064年、ゴーストベア戦争勃発。この当時、既知宇宙で最強ともいえる大軍勢が、なだれを打って、ドラコ連合の国境に押し寄せました。DCMS(ドラコ軍)とノヴァキャットは必死の防衛を行い、一年にわたり、血なまぐさい戦いが続きます。最終的に、この戦争を止めたのは、外部からの介入でした。チャンスと見た恒星連邦(ロビンソン家)とヘルズホースが、ドラコとベアの無防備な後方から強襲を仕掛けてきたのです。両国はこの新たな敵に向かうため、休戦を結びました。

 この後、恒星連邦軍とヘルズホース軍はすぐに撃退されました。しかし、この戦いは将来への禍根を残すことになります。


聖アイヴス戦争

 氏族宙域で大拒絶が行われていたそのころ、カペラ大連邦国の指導者、スン=ツー・リャオは陰謀を練っていました。彼の狙いはただひとつ、過去に奪われた旧領土の奪還です。彼は、カオス境界域で工作員を使い、独立世界を取り込んでいく一方、最大の目標である聖アイヴス協定に対しては、星間連盟第一君主の地位を利用し、攻撃を仕掛けます。

 このたくらみは途中で頓挫します。しかし、スン=ツーは辺境のタウラス連合・カノープス統一政体と同盟を結び、大きな援軍を得ます(三国同盟)。戦争遂行にあたって、自軍のみならず、外国の軍隊を使うあたりに、スン=ツーの謀略家としての才能が見え隠れしています。聖アイヴスは二年以上にわたって抵抗しましたが、結局、それ以上の被害を嫌って、カペラ大連邦国に戻る決断をしました。こうして、リャオ家は3025年時に保有していた領土をほぼすべて奪還したのです(カオス境界域除く)。


二人の後継者

 大拒絶のあと、氏族領域から中心領域に戻ってきたヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンは、留守中、連邦=共和国が妹カトリーナの手に落ちているのを目の当たりにします。摂政であった妹イボンヌが、未熟ゆえに、国家を姉に譲り渡してしまったのです。ヴィクターは氏族に勝った英雄であり、本来なら連邦=共和国の正統な後継者でしたが、内戦になるのを嫌って、ここはカトリーナに国を譲ります。彼の新たな役職は、SLDF最高司令官、そしてコムガードの戦司教です。前戦司教のアナスタシウス・フォヒトは常にヴィクターの味方でした。

 このまま中心領域にはしばしの安定が訪れるかに思われました。しかし、弟のアーサー(ダヴィオン=シュタイナーの末っ子)がカトリーナに暗殺されるに至ると、とうとうヴィクターは重い腰を上げて妹と戦う決意を固めます。結果、引き起こされたのが、破滅的な連邦=共和国内戦でした。

 兵を挙げたヴィクターは、ライラ辺境から出発し、中心領域を大きく「南下」して、カトリーナのいるニューアヴァロンを目指すことになります。ヴィクターの初戦はさんさんたる有様でした。対氏族戦の英雄、アダム・シュタイナーを相手に重傷を負い、あやうく負けてしまうところだったのです。仲間たちのおかげでどうにか勝利したヴィクターは、ジェイドファルコンの侵攻に備えてアダム・シュタイナーを残し、次の戦いへと向かいました。

 この連邦=共和国内戦で主な戦闘の舞台となったのは、バトルメックや気圏戦闘機の工場がある惑星です。ヴィクター率いる同盟軍は、コベントリ、アラリオンなど重要な世界を攻め落とし、恒星連邦側に向かう準備を整えます。ジェイドファルコンが突如としてライラに侵攻を仕掛けてきたのはこの時です。ジェイドファルコン軍は、国境線上の惑星ほぼすべてに強襲を行い、いともたやすく攻め落としていきました。内戦で傷ついたライラは危機に陥ります。

 が、連邦共和国にとっては幸運なことに、プライド氏族長の目的は、中心領域侵攻の再開ではなく、若い兵士たちの訓練だったのです。アダム・シュタイナー、ヴィクター派部隊が反撃を行い、ウルフがさらにファルコンの背後から襲いかかると、すぐにプライド氏族長は休戦を結びました。一時的にですが、危機は去ることになります……。


決着

 内戦において、ヴィクターは数多くの仲間、支援者を得ました。同盟軍には、連邦共和国兵の他に、馳せ参じた外国からの義勇兵(友人たち)、持ち場放棄してやってきたコムスター兵たちがいました。さらには、スン=ツー・リャオが援軍を送り、ワード・オブ・ブレイクさえもが暗黙の支持を与えたほどです。

 対照的に、カトリーナは余計な敵を増やしています。たとえば、中立派であったハセク家を信用せず、攻撃を仕掛けて、ヴィクター派にしてしまうなどです。これが両者の差を分けたのかもしれません。3067年、同盟軍の攻撃によって、とうとう恒星連邦の首都、ニューアヴァロンが陥落しました。この時、同時に、ピーター・シュタイナー=ダヴィオン(俗世から離れていたヴィクターの弟)率いる連合同盟軍が、ライラの首都ターカッドを攻め落としています。

 こうして、五年にわたった連邦=共和国内戦は終わりました。責任を感じたヴィクターは連邦=共和国を継ごうとはせず、ピーター(弟)とイボンヌ(妹)に任せ、コムスター戦司教の座に戻りました。捕らえられたカトリーナは、最終的にウルフ氏族のヴラッド・ワード氏族長の下へと行っています。



3067-3081


聖戦

 3067年11月、第四回星間連盟評議会開催。この会議で星間連盟の解散が決まりました……。これに絶望したのがワード・オブ・ブレイク教団です。彼らは星間連盟に加入し、独自の計画を実行に移そうと考えていました。

 怒ったブレイク教団は、ターカッド(ライラ共和国主星)、ニューアヴァロン(恒星連邦主星)に戦艦を差し向け、翻意を促しました。両国首脳がこれを拒否すると、戦艦の砲門が開かれ、地上に死の雨が降り注ぎます。これが、中心領域、いや人類宇宙を完膚無きまでに破壊することになる聖戦(Jihad)のはじまりです。

 ワード・オブ・ブレイクの真の目的は現在に至るまで判明していません。誰が何のために聖戦を始めたのか、本当のところはわかっていないのです。ともかく、彼らは戦艦、核生物兵器を使って、中心領域に恐怖と混乱をもたらしました。これはアマリス内戦と第一次、第二次継承権戦争を現代に再現したものといえるでしょう。

 ワード・オブ・ブレイクはいったいどこでこれほどの力を蓄えたのか? 答えは自由世界同盟にあります。トーマス・マーリック総帥はブレイク教団首位者として15年近くも狂信者たちを援助し、陰謀の苗床になっていました。それもそのはずで総帥はブレイク一派による替え玉だったのです……。

 聖戦勃発後、自由世界同盟は分裂し、同盟軍の戦艦と部隊の多くがブレイク派の手に落ちました。しかし、穏健派である偽トーマス自身はテロや破壊に荷担せず、反ブレイク派の一員として戦い、恐怖の時代を生き延びることになります。


崩壊する中心領域

 次々と各国の主星、重要世界を攻撃し、占領していくワード・オブ・ブレイク。しかし、攻撃を受けた各勢力は満足な反撃を行えませんでした。

 恒星連邦は、主星ニューアヴァロンをブレイクに包囲されていたにもかかわらず、現地の指揮官が勝手にカペラ、ドラコとの戦闘を始めてしまい、加えて、ブレイクに敵意と恐怖を煽られたタウラス連合が攻めてくるに至り、国家存亡の危機を迎えます。

 ドラコ連合では、主星ルシエンの支配権をかけて、連合、ブレイク、ブラックドラゴンによる三つどもえの戦いが始まります。この戦いでは核兵器が使われ、ルシエンは回復不能なまでのダメージを受けました。3069年には、ブレイクに踊らされたスノウレイヴンが連合を攻撃。翌年、セオドア・クリタが死亡します。息子のホヒロが大統領の座を継ぎましたが、内乱と外敵により、やはり国家滅亡の瀬戸際にまで追い込まれます。

 コムスターは、地球奪還作戦の失敗と、ブレイクによる本拠地ツカイード強襲・包囲で、半壊しました。さらには、首位者がドラコ連合のスパイであったことが暴露され、暗殺されます。前戦司教フォヒトの正体もまたブレイクによって白日の下にさらされます……彼は戦死したことになっていたシュタイナー家の一族だったのです。この件で、コムスターは完全に求心力を失いました。

 謀略と情報操作もまた、ブレイクの強力な武器だったといえるでしょう。宇宙には疑惑と不信が満ちてしまったのです。


ターカッドの鍵

 聖戦が始まったその時から、ライラの主星、ターカッドはワード・オブ・ブレイクの戦艦によって包囲・封鎖されていました。この船こそ、ライラ共和国所属、LCSインビンシブル。かつて、ジャンプミスによって失われた、継承権戦争最後の戦艦です。これをブレイクは手にしており、ターカッド攻撃にもちいたのです。ライラ人としてはショックだったことでしょう。

 さらにショックと思われるのが、ヘスペラスIIがブレイク軍の前に陥落したことです。巨大なバトルメック工場を持つこの惑星は、かつて幾度となく侵略を受けても、けして失われることがありませんでした。そのヘスペラスが占領されたのです。この惑星だけでなく、ブレイク軍は、工業惑星ドネガル、コベントリ、ゲームワールド・ソラリス、傭兵の星ガラテアなど、ライラの重要世界を次々と手中におさめていきます。

 ライラの国家主席ピーター・シュタイナーは、ターカッドに閉じこめられてしまい、満足に国家の指揮を執れませんでした(さらにこの時期、ライラはマーリックやジェイドファルコンによる攻撃まで受けています)。救出作戦が失敗すると、ピーターはアダム・シュタイナーに国家主席の座を譲ります。


ヴィクター連合軍

 中心領域の危機に際し、コムスター軍司教のヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンは、コムガード、ライラ軍、放浪ウルフ、ジェイドファルコン(形だけの参加)の連合軍を編成し、ライラ同盟のターカッドとドネガルをワード占領軍から解放しました(このとき、アダム・シュタイナーは救出されたピーターに国家主席の地位を返還しています)。

 3073年1月、ヴィクターは反ブレイクの拠点たるアークロイヤルに、中心領域、氏族の要人を集め、サミットを開催します。ここで反ブレイク連合軍を作り上げるのに成功したら、対スモークジャガー多国籍軍の再現といえるでしょう。しかし、ワードは希望のすべてを吹き飛ばしました。爆弾テロにより、参加者の多数を死傷させたのです(いわゆるドナー爆弾)。

 サミットの失敗でヴィクターによる連合軍は潰えました。もしかしたらこのことは彼が聖戦というストーリーの主役にはなれないことを意味していたのかもしれません。


デヴリン・ストーン連合軍

 3071年、ひとりの男が惑星キタリーにあるワード・オブ・ブレイク「再教育センター」からの逃亡に成功します。彼は、デイビット・リーア教授(カイ・アラード=リャオの息子)とともに抵抗軍を組織し、ブレイク軍相手に勝利を収め、多くの志願兵を集めました。この男の名はデヴリン・ストーン。過去の記録が残っていない謎の人物です。

 3073年8月、デヴリン・ストーンと仲間たちはツカイードに姿を現し、ゴーストベアとの神判を行って、HPG施設の利用権を一年間獲得し、ここを臨時司令部としました。10月、彼は、デイビット・リーアの紹介で中心領域の指導者たちと顔を合わせ、やがてブレイクを打破するのみならず、スフィア共和国を産み出すことになります。

 彼の連合軍を構成するのは、ライラ同盟、ドラコ連合、恒星連邦、ウルフ氏族、ジェイドファルコン氏族、ノヴァキャット氏族です。このうち、ノヴァキャットは強烈にストーンを支持し、わざわざストーンが神判を行って、連合軍に参加した部隊の一部をドラコ連合領土に戻したほどでした。

 ツカイードでの会談後、ピーター・シュタイナー=ダヴィオンは暗殺によって死亡しました。彼はアダム・シュタイナーを後継者に指名し、正式に彼が新国家主席となります。


謎の動きを見せるゴーストベア

 聖戦において、ワード・オブ・ブレイク軍にはじめて効果のある反撃を行ったのはゴーストベア氏族でしょう。彼らは3070年にツカイードを解放し、自由ラサルハグ共和国をゴーストベア・ドミニオンに吸収しました(ラサルハグ・ドミニオン、レイザルハーグ統制の誕生)。

 その後、彼らはストーン連合軍に参加せず、ほぼ独力でブレイク軍と戦います。その攻撃は苛烈で奇妙なものでした。ドミニオン軍は主にドラコのブレイク軍と戦い、彼らを文字通り皆殺しにすると、惑星を占領することなく次の惑星へと向かっていきました。しかしただ戦うだけでなく、戦場の残骸の中で何かを探し、サンプルを採集していたのです。

 彼らは聖戦とワード・オブ・ブレイク教団の背後にある何かを知り、独自の目的と熱意で交戦を行っていたのかもしれません。



3081-3129


中心領域共和国

 ワード・オブ・ブレイクに勝利したデヴリン・ストーンは、地球周辺に新国家スフィア共和国を建国します。各勢力から多様な移民を受け入れ、同時に軍備を削減することにより、他国がうらやむようなふたつの美徳……平和と経済発展を獲得しました。成功を目の当たりにした中心領域の諸国は、デブリンストーンの平和政策に追従。バトルメックはその数を大幅に減らすこととなったのです。

 全ての国家が、スフィア共和国に友好的だったわけではありません。スン=ツー・リャオのカペラ大連邦国は、領土の割譲に難色を示し、軍事的な衝突が発生しました。3085年に和平が結ばれたものの、テロや内乱が起きるなど、その後もリャオ国境で騒ぎが収まることはありませんでした。しかし中心領域全体では、おおむね平和が保たれました。



3130-


暗黒時代

 3130年、デヴリン・ストーンが引退。そして謎の失踪。

 2年後の3132年8月、コムスターのHPG星間通信網が原因不明の停止。スフィア共和国の各惑星間で通信が途絶えます。これを機に、スフィア共和国内にくすぶっていた争いの火種が激しく燃え上がりはじめました。当初内戦だった戦いは、外部の勢力と結びつき、スフィア共和国への侵攻と変わります。

 この時代、デヴリン・ストーンの政策により、バトルメックが貴重なものとなっていたため、武装した産業用メックが広く使われました。

 3134年、スフィア共和国の重要人物であった聖騎士ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンが暗殺されます。犯人は共和国を乗っ取ろうとする国内の政治家貴族グループでした。彼らの陰謀は地球での軍事的敗北によって阻止されましたが、騎士たちは共和国への義務か故郷への忠誠かの選択を迫られることになります。

 内部の反乱と、外部からの侵攻――まさに内憂外患の状況において、新総統ヨナ・レヴィンは、「フォートレス・リパブリック」の実行を宣言します。これはスフィア共和国の中心部分に兵を引き、外部とのすべての交通・通信を断つというものです。レヴィンはスフィア共和国を生き残らせ、中心領域に和平をもたらすためいつか帰還することを約束しました。











勢力解説


〈辺境〉


リムコレクション Rim Collection

 3048年、シュタイナー寄りの辺境に誕生した新国家。6つの星系と800万の人々からなる。かつてはステファン・アマリス率いる辺境世界同盟の一部であった。度重なる海賊の襲撃が、再統合の理由のひとつ。傭兵部隊エイブル・エースが国家防衛の礎となっている。初代大統領は、自由世界同盟から流れてきた社会学者ジェイムス・モロニー。3060年に暗殺され、ロバーツ大統領が跡を継ぐ。




〈氏族〉


ダイアモンドシャーク Diamond Shark (守護派)

 かつてはシーフォックスという名称であったが、スノウレイヴン氏族の策略に引っかかり、「ダイアモンドシャーク」に改名した(ダークエイジシリーズの時代には、シーフォックスの名を取り戻している)。商売の上手さで有名。商人の輸送船に戦士の護衛を付け、相手を問わず取引にいそしんでいる。もちろん「名誉」や「守護派」といったことを重んじるが、ビジネスほどではない。ボンズマンも利益を得る手段のひとつである。これまでにダイアモンドシャークが出荷したもっとも有名な商品は、強襲級バトルメック「マッドキャットMKII」だろう。


ヘルズホース Hell's Horses (侵攻派)

 歩兵や車両といった通常兵器をこよなく愛す氏族。創設者は、SLDF第35歩兵師団司令官である。氏族には珍しく、諸兵科連合を重視する。エレメンタル分野のトップランナーで、重装甲のバトルアーマー「ノーム」を開発している。氏族軍内に通常歩兵と装甲車両で編成された三連星隊が多数存在する。戦士階級に二度目の「階級の神判」を許しており、一度神判に失敗した者でも、メック戦士なら戦車兵、エレメンタルなら通常歩兵、パイロットなら艦船員になるチャンスが与えられる。

 伝統的にゴーストベア氏族が仇敵である。3060年代の初期、侵攻派ウルフ氏族はゴーストベアとの紛争に対処するため、ヘルズホースに国境線の世界3つを引き渡した。中心領域に進出したヘルズホースは、ウルフ氏族の同盟者、もしくは舎弟のように振る舞っている。どちらかといえば、消極的で主体性に欠ける氏族である。


スノーレイヴン Snow Raven (守護派)

 強力な航空部隊と艦隊を持つ氏族。創設者はSLDF航空大隊元司令官のステファン・マッケナ。設立初期に、エクソダス内戦と対ウルバリーン氏族戦で多大な被害を被り、航空宇宙戦力を中心に再建を進めた。代わりに地上戦力が不足している。氏族軍内に、メック、エレメンタル、気圏戦闘機を1個星隊ずつ組み合わせた、三連隊(トライアド)と呼ばれる独特の編成が存在する。攻撃よりも防御に向いた戦力である。

 社会組織は排他的。他氏族のボンズマンがなかなか受け入れられず、たとえ戦士になれても昇進が難しい。優れた政治・外交手腕を持つ。氏族による中心領域侵攻において、スノーレイヴンは、強力な艦隊を利用して、輸送任務にあたった。また、ゴーストベアとノヴァキャットの中心領域移住を手伝い、代金として彼らが氏族宙域に残した旧領土を受け取った。


ゴーストベア Ghost Bear (守護派)

 珍しいことに、家族という概念を感じさせる氏族である。軍内には他氏族より多くのエレメンタルが所属している。すべての戦士たちは個人戦闘訓練を行う。ゴーストベアは戦闘機パイロットにメック戦士の遺伝子タイプを使っているが、これは小柄になりがちな従来の戦闘機パイロットでは格闘能力が不足するからではないかと言われている。

 ゴーストベアは守護派でありながら、中心領域侵攻に参加し、ドラコ連合、自由ラサルハグ連合の領土を獲得している。市民階級の扱いになれているだけあって、占領域の経営に成功した。やがて中心領域への完全移住を決意するにいたる。2隻のリヴァイアサン級輸送艦(25万人の市民が搭乗可能)と、スノウレイヴン氏族の輸送支援によって、極秘移住作戦は成功した。リヴァイアサン級はその後、大型空母に改装された。

 3060年、放浪ウルフ氏族との神判の過程で、ラグナー・マグヌッソンをボンズマンにした。この聡明なメック戦士は自由ラサルハグ共和国の皇太子だった。のちに、自由ラサルハグ共和国とゴーストベアは合併し、ラグナーが指導者になっている。


ジェイドファルコン Jade Falcon (侵攻派)

 氏族の創設者ニコラス・ケレンスキーはジェイドファルコン氏族に入る予定であった。しかしファルコンの戦果を不満に思い、ウルフ氏族入りする。そのときから、ファルコン(侵攻派)とウルフ(守護派)は永遠のライバルである。

 リバイバル作戦では、シュタイナー領を攻略していった。その後、ツカイードで引き分ける。謀略に長けたジェイドファルコン氏族長は、停戦を反古にしようと策を練った。その結果、拒絶戦争でウルフ氏族と争い、勝利を得たものの、氏族長は殺されたのだった。

 新族長マーサ・プライドは、フリーボーンの戦士で戦力の回復を図り、ダイアナ・プライド(英雄エイダン・プライドの実の娘)にはブラッドネームを得る機会すら与えた。それを大義名分に、長年、敵同士だったスティールヴァイパー氏族から攻撃を受ける。

 ダイアナ・プライドはスティールヴァイパー氏族長のメックを撃墜し、父に劣らぬ英雄となった。なお、エイダン・プライドとマーサ・プライドは遺伝子兄弟にあたる。ダイアナはいわば氏族長の姪である。


コヨーテ Coyote (守護派)

 守護派のなかでもっとも保守的な氏族。ウルフ氏族と近い関係にある。ネイティブアメリカンに似た神秘的な儀式の習慣を続けている。オムニメックを開発した氏族でもあり、守備隊にすらオムニメックを数多く配備している(他の氏族はたいてい二線級メックを使う)。一方、通常兵器はほとんどない。最近、軍の刷新を行った。


ブラッドスピリット Blood Spirit (侵攻派)

 歴史の初期に他氏族と争い、領地の大半を失うなど弱体化した。以降、孤立を深めている。領土惑星はたったひとつだけである。それでもファイアマンドリルからオムニメック技術を、スノーレイヴンから戦艦数隻と二線級メックを入手するくらいはした。またハントレスの戦いでプロトメックを得た。

 3059年、旧敵であるバーロック氏族がスターアダー氏族に吸収されることになった。このときブラッドスピリットは攻撃を仕掛けたのだが、返り討ちにあい、5個銀河隊を失ったのだった。星団隊は、ニコラス・ケレンスキーが考案した3個メック三連星隊、1個歩兵(エレメンタル)三連星隊、1個装甲三連星隊で編成される。


スターアダー Star Adder (侵攻派)

 おそらく残留氏族でもっとも強力と思われる。リバイバル作戦、ツカイード戦には参加していないが、大拒絶では自由世界同盟軍に勝利した。バーロック氏族と協定を結んで成長した。だが、3058年、彼らが無法者階級とかかわっているに気づき、バーロック氏族全体を吸収する。軍は「総合力」を重視しており、特定の兵科を集めたりしたりしない。だが歩兵(エレメンタル)の不足が弱点である。海軍力はスノウ・レイヴンに次ぐ。カッパ銀河隊は氏族で珍しい演習用「仮想敵」部隊である。


ゴリアテスコーピオン Goliath Scorpion (守護派)

 サソリの毒を使って「ヴィジョン探究」を行うなど変わった精神文化を持つ。また放浪的なライフスタイルを取っていることから、技術・経済の発展が妨げられ、他氏族の襲撃を受けた。軍事力の弱さに気づいた氏族長は、スノーレイヴンと取り引きして航空戦力を増強するなどしている。





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