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作成:2002/07/16
更新:2011/09/08

グレイデス軍団  Gray Death Legion



 日本語環境で傭兵部隊といえば「ウルフ竜機兵団」と、この「グレイデス軍団」でしょう。邦訳バトルテック小説シリーズの主役として有名です。
 グレイデス軍団は惑星ヘルムで星間連盟の「図書館」を発見したあと、シュタイナー家と契約し、連隊規模まで部隊を拡大させます。3050年代でも超一流の傭兵部隊です。小説でおなじみの登場人物が部隊の中核を担っています。





 3021年、カーライル奇襲部隊として知られるライラ共和国の部隊は、トレルワン(ライラ宙域のコアワード境界に近い後背地の世界)の駐屯に送られた。3024年の冬、政治的に野心のあるクリタの貴族、ハシド・リコル公爵は、共和国と辺境の蛮王の協定をぶちこわしにしようとして――また戦術的に有利な惑星の支配権を奪おうとして、この世界に攻撃を仕掛けた。この攻撃で奇襲部隊は壊滅し、部隊指揮官のデュラント・カーライルは戦死、その息子のグレイソン・デス・カーライルを逃亡に追い込んだ。父の死の復讐を誓ったグレイソンは、トレル歩兵隊とリコル公爵所属メックとの交戦に巻き込まれた際にチャンスをつかんだ。動揺する歩兵たちの指揮をとったグレイソンはワスプを撃墜し、ローカストを完全な形で捕獲するのに成功した。これがグレイデス軍団の誕生である――戦力は動作するメック1機と若干の自動車化歩兵だった。

 トレルワンの戦いは部隊の性質と役割に影響を与えることとなった。深刻な数的不利を被ったグレイソンと部下たちは、補給物資とメックを求めてクリタの守備隊を襲撃し、大きな修理が必要なほどのダメージを受ける前に、マシンを戦場に戻した。だが彼の部隊が試練にうち勝ったのは、バトルメックに対して歩兵を使ったグレイソンの成功によってであった(この戦術は一般に、人員と生命を無駄にするものとされている)。軍団はこのコンセプトを確立し、31世紀の戦争において最も成功した諸兵科連合部隊のひとつとなったのである。

 グレイデス軍団は強敵に対する英雄的行動と、独特の効果的な戦術で知名度を上げたのだが、ヘルムの世界で名声と評判を獲得することになる……星間連盟時代のコンピュータメモリコアを再発見したのだ。イリアンのガース卿とコムスターの侍祭団が軍団に民間人虐殺の汚名を着せ、部隊をこの世界から追い出し、星間連盟の隠された基地を探そうと陰謀をたくらんだ。常に臨機応変のグレイデス軍団は、敵軍を逃れ、先に基地を発見した。彼らはなんとかコンピュータのメモリコアをコピーした。コアには航宙艦エンジンの設計図から、家畜の遺伝操作法のファイルまでの幅広い情報が納められていた。部隊は予期せぬ味方の助けを借りて、ヘルムから脱出した――古き敵のリコル公爵である。彼は個人的な理由から軍団の生存に手を貸したのだった。グレイデスメモリコア(として知られるようになる)のコピーは継承国家に行き渡り、失われた技術を取り戻す努力を促進させた。

 グレイデス軍団は惑星ズデーテンではじめて氏族の強大な力に直面した。敵軍の進んだ技術にとてもかなわないことに気がついたグレイソン・カーライルは、部隊を率いて戦いながらの撤退を行い、ジェイドファルコン第124打撃星団隊を手ひどく痛めつけた。この戦略によって、軍団の戦士たちは氏族との遭遇で誰もが直面するものを味わい、また防御不可能な陣地を守って自滅することから軍団を守ったのである。

 平和な一年のあいだ(訳注:3051年に氏族は一時本拠地へ帰還していた)、軍団は休息と修理のためパンドラに滞在し、中心領域で生産された先進技術の兵器をはじめて受け取り、氏族の再侵攻に備えた。ジェイドファルコン氏族がパンドラに降下したとき、彼らはグレイデス軍団の「笑う髑髏」の記章を見た。軍団は熾烈な戦いを進め、確かな技術とねばり強さでついにはファルコン軍を撃退した。

 3056の春、グレイソン・デス・カーライルはヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンへの忠誠を誓い、惑星グレンガリーを領地として受け取った。30年以上、任務から任務へと飛び回る生活を続けたあとで、軍団は忠誠の言葉の価値に見合った我が家を見つけたのである。ほとんどすぐ、ヴィクターに反抗していた勢力が、軍団から惑星を奪おうとした。スカイア分離派がグレンガリーを攻撃したとき、カーライル大佐はターカッドにいて、息子のアレクサンダーが部隊指揮の重荷を背負った。アレクサンダーは、数に勝る反乱軍を相手に、父親が援軍を連れてくるまでの7ヶ月間、惑星を守り抜き、自らが軍団司令官の後継者にふさわしいことを証明した。軍団にとって戦いの代償は高くついた。しかしこの傭兵がグレンガリーを故郷として受け取り、どんな犠牲を払っても守り抜くこともまた明らかになった。

 3057年、カーライル大佐はカレドニアで負傷して、耳に重い障害を負い、戦闘においてメックを操縦するのが困難になった。さらに、新たに結成されたライラ同盟のキャサリン・シュタイナー=ダヴィオンは、軍団がカレドニア反乱軍(彼女が命名した)の側に立って契約を破棄したと宣言し、惑星グレンガリーを没収した。軍団は再度グレンガリーの守備を要望し、生き残るために戦った。このときローリー・カルマー=カーライルが部隊を率いた。グレイデス軍団は戦いに勝った、しかし人員・装備に莫大な損害をきたしていた。キャサリン・シュタイナー=ダヴィオンは、ライラ同盟への忠誠と引き替えにグレンガリーを軍団の所有地と認め、アレクサンダー・カーライルのライラ正規軍入隊を求めた。



司令
 グレイソン・デス・カーライル大佐がいまだ連隊を率いているが、ローリー・カルマー=カーライルとデイヴィス・マッコールがメックを使った作戦のすべてを扱う。カトリーナ(キャサリン)・シュタイナー=ダヴィオンをライラ同盟の正統な指導者として認めたカーライル大佐の決定は、良きにつけ悪しきにつけ部隊と王国を結びつけることとなった。



現有戦力・組織
 グレイデス軍団は均等に構成された1個諸兵科連合連隊で、連隊を完全な諸兵科連合能力を持つ2個部隊に容易に分けることが可能である。2個航空隊が通常の組織を厳守している一方、メック2個大隊と歩兵2個部隊は非公式な編成を使っている。グレイデス軍団は最近部隊編成表に加わった1個戦車中隊を使用している。連隊、部隊指揮官の命令にのみ従う独立偵察部隊である。

 軍団は氏族技術、中心領域の先進技術を平均以上に所有している。二度の氏族との交戦で多数の装備を回収し得たものの、部隊は氏族製のオムニメックを3機使っているだけだ。それらの機体は、連邦=共和国に売り払うには価値がありすぎると考えたのだ。残りは維持、修理が困難なために売却され、彼らの良く知られる技術自給能力を保っている。損耗したときに中心領域製のものと交換できさえすれば、軍団は氏族製の武器や装備を喜んで使用する。軍団のメックはほとんどが古いデザインであるが、その多くが氏族製の核融合エンジンを使っている。それらを使うリスクより、メリットのほうが大きいと隊員は信じているのだ。軍団のうち65%が中心領域の先進技術でアップグレードされていて、15%が氏族の標準レベルにあると、ウルフ竜機兵団は見積もっている。



技術・輸送支援
 軍団は平均以上の技術的自給能力を誇っている。すべてのメック戦士は補助整備士としての訓練を受けていて、自らのメックの通常整備に寄与している。メック、戦車、航空機部隊は、個別の技術支援スタッフを持ち、標準以下の整備とならないように確認させる。すべての歩兵は自分で整備を行う。これらの配置により、軍団は戦場で100%の支援を受け、本拠地グレンガリーにおいて、もしくは降下船にアクセスできる場合は150%近い数字となる。

 軍団は4隻の航宙艦を所有、運用している。現在の降下船は、ユニオン級が5隻、レパード級が2隻、ガゼル級が1隻、コンドル級が1隻である。



グレイデス軍団
 グレイデス軍団は中心領域で最も強い傭兵部隊の部類に入る。ノースウインドハイランダーズやエリダニ軽機隊のように団結し、ケルハウンドやウルフ竜機兵団のように鋼鉄のタフさを見せる軍団は、数々の戦役を戦い、勝利してきた。軍団は戦術、戦略の最先端に立ち続けるために最大限の努力を払う。

 ほぼすべての中隊及び大隊は、固有の紋章を保持している。そのうちのいくつかは「グレイデススカル」と同じように恐れられ尊敬されている。第2大隊ハサン暗殺部隊の紋章は有名で恐れられている。

竜機兵団評価値: A*



士官
 グレイソン・カーライルは現在、戦略指揮官として活動し、ローリー・カルマー=カーライルが軍団の野戦指揮官として連隊指揮小隊を引き継いだ。デイヴィス・マッコール中佐は軍団は本部中隊の12機のメックを指揮し、軍団の副指揮官を務める。軍団を再建しその能力を高めるため、彼はローリー・カルマー=カーライルとともに働いている。

 部隊の忠誠度「信頼できる」は、最近忠誠の対象をヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンからカトリーナへ変えた結果だ。



戦術
 グレイデス軍団は、強敵と戦うときや、地形に制限があるとき、もっとも良い戦いぶりを見せる。軍団と戦った者がしばしば発言するところによると、追いつめられた軍団員より傷ついたメックのほうが危険だとのことである。



グレイデス軍団司令部
強化中隊/エリート/信頼できる
指揮官: ローリー・カルマー=カーライル大佐
副指揮官/本部中隊指揮官: デイヴィス・マッコール中佐
 連隊指揮小隊は氏族の標準レベルにアップグレードされた4機のメックからなる。本部中隊には、軍団が持つ3機のオムニメックのうちの1機、コシが所属し、偵察任務に使われる。本部中隊の指揮小隊は中重量級マシンを使っていて、火力小隊は重強襲級、偵察小隊は足の速い4機の軽量級メックを使っている。このふたつの指揮部隊は強化中隊として運用されるか、もしくは分離して使われ、戦場でそれぞれ独立した指揮をとることが可能だ。



グレイデス軍団
2個大隊/エリート/信頼できる
第1大隊: ゴメス・クリストバル・ド・ヴィラール少佐
第2大隊: ハッサン・アリ・カレド少佐
 第1大隊は2個通常中隊で形成されている。第1中隊はデューモントドレッドノート隊で、重量級・強襲級マシンの指揮小隊、重量級の火力小隊、軽中量級の偵察小隊である。第2中隊も同じ編成であるが、軽量級小隊は、特殊偵察任務を行わない。

 書類上では、第2大隊は、第1、第4、第5中隊から組織されている。実際には、第1中隊はメック4機の指揮小隊である。第4中隊は、中量級指揮小隊、重量級攻撃小隊、偵察小隊からなる。第5中隊は、重量級の指揮小隊と重量級・強襲級の戦闘小隊がパンチ力を供給する。



デスイーグル
航空大隊/エリート/信頼できる
航空隊長/第1航空中隊: ジュリオ・ヴァーガス大尉
第2航空中隊: アマンダ・キャロル大尉
 デスイーグルは中量級、重量級の気圏戦闘機を好む。これにより、彼らは「ゲーム内」に長く滞在し、強い打撃を与えることが可能となっている。



第1グレイデス装甲偵察分遣隊:デスキャット
中隊/古参兵/信頼できる
装甲隊長: メーガン・パワーズ大尉
 12両の車両からなるこの戦車中隊は、偵察と一撃離脱戦闘を専門とする。この部隊の指揮官はどの戦場においても上級士官にのみ従う。パワーズ大尉は、軽スカウトアーマーの1個中隊を、常駐の所属部隊にしてほしいと要求している。



グレイデス歩兵隊
特殊/エリート/信頼できる
第1中隊: エサン・ラドクリフ大尉
第2中隊: トーマス・リオーネ少佐
  第3大隊: ジョン・オーウェンズ少佐
 第1中隊ブラックナイトは、現在、2個装甲歩兵中隊で編成されている。二番目の装甲歩兵中隊は、正規バトルスーツ兵1個分隊と、軽スカウト兵2個分隊を持っている。第2中隊パイクマンもまた実際には、装甲歩兵の完全1個中隊と、通常歩兵1個大隊(1個通常歩兵中隊、1個ジャンプ歩兵中隊、1個機械化歩兵中隊)からなる。








グレイデス軍団 3055 TO&E


指揮部隊
    グレイソン・デス・カーライル大佐
    デイヴィス・マッコール少佐、武器取扱責任者
  連隊指揮小隊
    バトルメック 4機
  本部中隊
    指揮小隊(バトルメック4機)
    火力小隊(バトルメック4機)
    偵察小隊(バトルメック4機)

第1バトルメック大隊
     ゴメス・クリストバル・ド・ヴィラール少佐
  第1バトルメック中隊(デューモントドレッドノート)
     指揮小隊(バトルメック4機)
     火力小隊(バトルメック4機)
     偵察小隊(バトルメック4機)
  第2バトルメック中隊(ハンニバル・シムズ大尉)
     指揮小隊(バトルメック4機)
     火力小隊(バトルメック4機)
     軽小隊(バトルメック4機)

第1中隊、グレイデス装甲歩兵隊(ブラックナイト)
    エサン・ラドクリフ大尉
  第1装甲歩兵小隊
    2個歩兵分隊
  第2装甲歩兵小隊
    2個歩兵分隊

第2バトルメック大隊
    ハッサン・アリ・カレド少佐
  第1バトルメック中隊
    大隊指揮小隊(バトルメック4機)
  第4バトルメック中隊
    指揮小隊(バトルメック4機)
    攻撃小隊(バトルメック4機)
    偵察小隊(バトルメック4機)
  第5バトルメック中隊
    指揮小隊(バトルメック4機)
    重小隊(バトルメック4機)
    戦闘小隊(バトルメック4機)

第2中隊、グレイデス装甲歩兵隊(パイクメン)
    トーマス・リオーネ大尉
  第1装甲歩兵小隊
    3個分隊
  第3大隊(ジョン・オーウェンズ少佐)
    第1通常歩兵中隊(1個ライフル小隊、1個SRM小隊、1個レーザー小隊)
    第2ジャンプ歩兵中隊(1個ライフル小隊、1個マシンガン小隊、1個SRM小隊)
    第3機械化歩兵中隊(1個ライフル小隊、1個マシンガン小隊、1個SRM小隊)

第1グレイデス装甲偵察分遣隊(デスキャット)
    メーガン・パワーズ大尉
    ラルストン・ホウツ軍曹
  第1戦車中隊
    第1小隊(4両)
    第2戦車小隊(4両)
    第3戦車小隊(4両)

気圏支援大隊
    ジュリオ・ヴァーガス大尉
  気圏戦闘機航空大隊(デスイーグル)
    第1気圏戦闘機中隊(戦闘機6機)
    第2気圏戦闘機中隊(戦闘機6機)

気圏輸送中隊
    1 マーチャント級航宙艦:インヴィディアス
    1 スカウト級航宙艦:ファントム
    2 インベーダー級航宙艦:レッドスカル、グレイスカル
    5 ユニオン級降下船:フォボス、デイモス、メダ、ルナ、エウロパ
    2 レパード級降下船:フギン、ムニン
    1 ガゼル級降下船:アンテロープ
    1 コンドル級降下船:ナイトホーク








連邦=共和国内戦

第五波 3065年6月〜3066年1月

ヘスペラスII

 ヘスペラスIIの領有は、ライラ同盟の支配権を狙う自由スカイアとカトリーナ派(Loyalists)の運命を決定づけることになるだろうと思われた。よって、両陣営は、この戦闘で傷ついた工業惑星にかなりのリソースをつぎ込んだ。惑星の守備隊は第15ライラ防衛軍と第36ライラ防衛軍である。前者は3057年の第14次ヘスペラス戦に参加したエリート部隊だが戦力低下しており、後者はヴィクター、カトリーナ双方への支援を拒否していた強力だが経験に劣る部隊である。

 エアサーファーズ(第36)は内戦が勃発した後でカトリーナへの支援を決め、ヘスペラス内での緊張は消滅した。だが、どちらの部隊も組織だった航空戦力を持っておらず、スカイアの反乱が勃発寸前となった時、国家主席(カトリーナ)は傭兵部隊のグレイデス軍団(第14次ヘスペラス戦に参加した部隊)を正規部隊の支援として工場惑星に送り込んだのだった。惑星にいた三番目の勢力はディファイアンス自衛軍(DSPF)……ディファイアンス・オブ・ヘスペラス社の最高の装備を使用し、LAAFの命令系統に属さず、ディファイアンス社のCEOにのみ従う企業軍部隊である。ヘスペラス公爵にしてディファイアンス社のCEO、ダニエル・ブリューアーが大尉としてグレイデス軍団に在籍していたにもかかわらず、DSPFは3057年の戦闘後、この傭兵隊をほとんど無視しており、両者の緊張は高まっていた。この反感は誤射事件により頂点に達した……6月22日、迷い込んだ軍団のパトロール隊が、ディファイアンスの城塞に近づきすぎてしまったのである。最後にアヴァロン級戦艦〈サイモン・ダヴィオン〉が惑星の防衛を完成させた。

 歴史家は6月15日を第15次ヘスペラス戦の開始日としている。この日、第22スカイア特戦隊の一部が密かにヘスペラス星系に侵入し、足がかりとなる世界に向かい始めたのだ。ヘスペラスIIIに向かった第22はスカイア主力部隊を待ち、首都マリア・エレジーにあるヘスペラスII最大の宇宙港に強襲を仕掛けることになっていた。6月23日、市民軍の戦闘機が特戦隊を発見し、計画は崩壊しかけたのだが、彼らが警報を発する前に撃ち落とすことが出来た。にもかかわらず、グレイデス軍団が行方不明になった戦闘機を探すSAR(捜索救難)任務を実行に移したのに伴い、フランシスコ・デ・アーガル大佐は計画を変更した。

 6月28日、フォックス級戦艦〈インディファティガブル〉、〈イラストリアス〉の支援を受けた第4スカイア特戦隊が到着すると、第22はヘスペラスIIIから飛び出して、グレイデスの戦闘機スクリーンを払いのけ、第二の降下地点、メルローズ谷の農地に降下した。ここで彼らは防衛隊の反応を促すべく、農場と作物に火を放った。1個傭兵大隊が駆けつけたが、最終的に撤退を強いられた。宇宙では、〈サイモン・ダヴィオン〉が向かってくる第4スカイアとの交戦に動き、2隻のフォックス級コルベットと衝突した。この攻撃で〈イラストリアス〉が破壊されたが、〈インディファティガブル〉の奇襲により、カトリーナ派戦艦への切り込み乗船が強行され、船は1時間以内に自由スカイアの手に落ちたのだった。新たに加わったこの艦は、すぐさま防衛隊を攻撃し、逃げる準備をしていたカトリーナ派の航宙艦2隻を破壊した。これが両陣営にとってどれだけ重要だったかが、この戦闘を左右することになった。

 キャラン湖沼に上陸し、ドゥラン発電所に向かったスカイア部隊は、第15ライラ防衛軍とGDL(グレイデス軍団)からの迎撃を受けた……しかし、カトリーナ派は不利な地形であることに気づき撤退した。彼らは半独立状態の第36を惑星の遠くモールドン鉱業コンビナートから呼び寄せようとしたが、これは無視され、ディファイアンス工場の防衛は、第15と傭兵隊の肩に重くのしかかったのである。防衛隊を驚かせたことに、両スカイア部隊の大半はそれぞれの陣地を離脱し、軌道上へと上がっていった。

 彼らの目標はすぐに明らかとなった……スカイアの戦闘機がDSPFの陣地を攻撃し始め、それから特戦隊が降下して接近戦を仕掛けたのである。企業市民軍はどうにか強襲を跳ね返したが、マグレフ・システム(マリア・エレジーと山脈をつなぐリニアモーターカー)を使って援軍に駆けつけたグレイデスの乗っていた列車が待ち伏せを受け、脱線すると、多大な損害を受けたのだった。

 圧倒的に不利であることに気づいた、第15のジーナ・チャンパ中将はコムスターを通してLAAF最高司令部に援軍の要請を行った。これをとどめようと必死なスカイアの指揮官、マーヴェリック・ウィリアム・ハリソン・フォン・フリッシュは、〈サイモン・ダヴィオン〉を呼び出し、HPG施設へのピンポイント攻撃を行わせた。自由スカイアの戦艦艦長はコムスター施設を崩壊させただけでなく、職権を超えて、マリア・エレジーの宇宙港に対し船の火力を解き放った。この攻撃は、宇宙港を基地として使っていた第15ライラ防衛軍を壊滅させ、2000人以上の歩兵、戦車兵、そして700人の民間人労働者を殺害した。フォン・フリッシュは戦慄したが、ヘスペラスを獲得することで汚されたスカイアの名誉を取り戻そうとした。

 翌週、カトリーナ派と自由スカイアは陣地を争い、GDLが敵を陣地からつり出そうと一連の襲撃を仕掛けた。傭兵隊は成功を収めたが、7月8日、デイヴィス・マッコール中佐の戦死が軍団の戦意を失わせ、彼らは撤退していった。4日後、反乱軍に援軍が到着し、状況は悪化した。第32ライラ防衛軍(ロバート公爵に自由スカイアに加わるよう誘われた)がマリア・エレジーに降下する一方で、第17スカイア特戦隊が第36ライラ防衛軍を釘付けにすべく、モールドンに展開した。

 7月18日、反乱軍はディファイアンスの工場に対する攻勢に着手した。第32防衛軍RCT、第4スカイアRCT、第22スカイア連隊が、打撃を受けていた第15ライラ防衛軍RCTと、グレイデスの残存戦力に立ち向かった。戦いは血塗られたものとなり、すべての戦闘員に高い代償を支払わせた。第15ライラは第22スカイアを粉砕したが、GDLは2個自由スカイア部隊相手に戦線を保たざるを得なくなった。軍隊は強襲を阻止し、第32の指揮官アリス・ディを捕らえすらしたのだが――この成功は大変な代価を求めた。ヴィクターから脱出したローリー・カルマー=カーライル大佐が、スカイアの歩兵に殺されたのである。わずか1個中隊にまで減らされたグレイデス軍団は事実上消滅し、ブリューアー公爵を含む生存者たちはDSPFに編入されたのだった。








シュタイナー家 3067

軍需産業

グレイデステクノロジーズ(GDTECH)  
主要工場:イースト・ダンケルド(グレンガリー)  
CEO:リチャード・リオーネ  
主要製品:グレイデス通常型、スカウトバトルアーマー

プロフィール:
 ヘスペラスIIのディファイアンス工業が一部出資し、現在の提携先となっているグレイデス・テクノロジーズは、有名なグレイデス軍団傭兵隊の最後の本拠地であったグレンガリーでつい最近起業された新しい会社である。企業名と製品を傭兵団からとったグレイデス・テクノロジーズは、バトルアーマーを専門に生産する同盟で唯一の企業であり、傭兵やLAAFに販売を行っている。創業者のリチャード・リオーネ(軍団の歩兵隊指揮官、故トーマス・リオーネの従兄弟)は、通常型中心領域バトルスーツの新型の生産権についてDefHes(ディファイアンス社)と交渉しており、またLAAF用の新型バトルアーマーの契約を争っている。加えてこの企業は最近、DefHesからブリューアー軍団という「贈り物」を受け取った。この部隊は、壊滅したグレイデス軍団の生き残りから立ち上げられた企業保安軍で、ヘスペラスIIのブリューアー公爵からグレンガリーのグレイデス工場を守るよう配備された。噂によると、アレックス・カーライル(故グレイソン・カーライルと故ローリー・カルマー=カーライルの息子で、最近、LAAFを除隊した)が、すぐにも副指揮官として軍団に入隊するとされているが、噂は未確認のままである。








Jihad Hot Spots: 3070

グレンガリーの略奪
(3069年12月18日)
グレンガリー[INN] - 昨夜、シャンシィ平原は、グレイデス・テクノロジーズ工場を狙うブレイク兵によって、絶望的な戦いの現場となった。工場を守っていたのは、ブリューアー軍団――GDTへの投資を守るためにディファイアンス工業が派遣した保安軍である。

[聖ブレイクは人類にその時が来るまで、知識を守るよう我らに命じた。愚かにも、グレイデス軍団は、この40年間、中心領域を荒らし回ってきた破壊の魔神を解き放ってしまったのである]

 戦力不足の諸兵科連合大隊である軍団は、強固な防衛陣地を構築して戦闘を開始した。部隊には、壊滅したグレイデス軍団の元隊員がいたのだが、グレイデス軍団の伝説的な幸運は脇をすり抜けていった。大軍に直面した軍団はバトルメックの強襲で拘束され、甘い側面をさらしてしまった。そこを高速ホバー輸送車のバトルアーマー兵に叩かれたのである。

 陣地を危険にされられた軍団は工場まで戻ろうとしたが、重強化保安掩蔽壕にたどり着いたのは、わずかな歩兵と、脱出したメック戦士だけだった。勝てる見込みはなかったにもかかわらず、彼らは降伏を拒否し、ピュリファイアーの分隊が陣地を急襲するまで、数時間持ちこたえたのである。

 グレンガリー男爵、ハンス・デュヴァルは、LAAFが地球回廊内にある世界の防衛に失敗したのを声高に非難している。GDTの破壊は、阻むものがないように見えるワード・オブ・ブレイクによる一連の攻撃で最新のものである。








グレイデス軍団製バトルアーマー


グレイデススカウト


タイプ: グレイデススカウト
製造元: グレイデス・テクノロジーズ
    主工場: グレンガリー

技術ベース: 中心領域
シャーシタイプ: 人型
重量等級: 軽量級
最大重量: 750 kg
バトルバリュー: 13
集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/可
付記: なし

装備                       装備欄数    重量
シャーシ:                                 100 kg
移動システム:
    地上 MP:        1                       0 kg
    ジャンプ MP:    4                      75 kg
マニピュレーター:
    左腕:      装甲グローブ                0 kg
    右腕:       装甲グローブ                0 kg
装甲:             通常型                  200 kg
    装甲値:   4 + 1 (兵士)


                    装備欄数
武器・装備         配置    (能力)   重量
アクティブプローブ          胴体           2         250 kg
ジャンプブースター          胴体           2         250 kg


 NAISが最初のプロトタイプ・バトルアーマーを生産した時、これらのアーマーは自然と、実地試験を行える最も忠誠度が高い、経験豊かな部隊に回された。ダヴィオン防衛軍やNAIS候補生部隊のような重要な隊に加え、NAISはグレイデス軍団に使用を求めた。

 傭兵隊は、おそらく感謝の意から、このような重要で機密の高いプロジェクトへの参加を許されたと思われる――3028年、軍団がヘルムで星間連盟期の総合的なコンピュータメモリコアを発見したことによって、NAISは多数の技術的なブレイクスルーを達成したのである。加えて、軍団の大規模な歩兵の運用、特に対歩兵戦でのものが、彼らをこの任務にふさわしいものとした。

 3050年、ズデーテンでのジェイドファルコンの手による敗北から再建した後で、軍団は試験用バトルアーマーと他の新型装備を援助として与えられた。兵士たちはスーツの性能に感銘を受けたのだが、改良点の長いリストをまとめ、NAISに送りつけた。同時に、軍団はスーツを調整できる高度に訓練された技術スタッフを持ち合わせており、NAISの官僚機構が設計の変更を施すのに数ヶ月、あるいは数年かかるかもしれないことがよくわかっていた。

 3051年の後半までに、軍団のエンジニアたちはグレイデス・バトルアーマーと呼ばれることになる二種類を作り上げていた。中量級の1機目が通常型中心領域アーマーに似た"通常型"スーツで、軽量級の2機目が"スカウトアーマー"である。前衛偵察任務用に設計されたスカウトスーツは、装甲の半分と内蔵兵器のすべてを取り外している。ジャンプパックの威力が増加し、複合センサーアレイが取り付けられている。通常型スーツのメカニカルクロウは完全に動作する装甲グローブに交換され、自由に歩兵用兵器、装備を使用可能で、効果的な対メック攻撃もまた行えるのである。

 軍団のスカウトアーマーはパンドラの世界でジェイドファルコンを相手にデビューを果たした。ヴァンドマールの町の近くの深いジャングルで交戦したスカウトスーツ着用の兵士たちは、高度なセンサーと強化された機動力をきわめて有効に使った。下生えから飛び出した軍団の装甲歩兵は奇襲に成功し、かばん爆弾を絶妙な位置に引っかけて、2機のオムニメックを破壊し、3機を移動不能とした。

 ツカイードの停戦後、グレイデス軍団はグレンガリーにおいて手作業で、限られた数量のスーツを生産し続けた。その大半は損失を埋めるのに使われたが、ごく一部が他の傭兵隊やLAAFに販売されたのである。グレイデス軍団は連邦共和国内戦中にヘスペラスIIで全滅し、カトリーナ派を支持するという愚かな選択からカーライル一族が持っていたグレンガリー男爵の爵位を奪われたが、グレイデス軽スカウトアーマーは新たに創設されたグレイデス・テクノロジーズ社(GDT)によって生産され続けている。ディファイアンス工業(ヘスペラスII)と、元グレイデス軍団技術者とのジョイントベンチャーであるGDTは、一定量のスカウトアーマーを生産し始めた。グレイデスの伝説を利用したこの企業は、すぐに買い手を見つけた。

 初期型インフィルトレーター・スーツの代わりがなかったLAAFは、間に合わせとしてスカウトアーマーを購入した。GDTは現在、同盟のニーズにあった新型の軽バトルアーマーを生産する契約を争っている。


著名な兵士

メーガン・パワーズ少佐: 自由世界同盟に生まれたメーガン・パワーズは、マーリック国民軍での10年に及ぶ勤務を終え、常にばらばらの国家を離れた。アウトリーチまで旅した彼女は、すぐにグレイデス軍団のリクルーターからのコンタクトを受けた。隠密作戦の才能を持つ経験豊かな歩兵として、パワーズはすぐさまラメジ少佐によって軍団の偵察隊に配属された。第二次スカイア反乱の後、彼女は大尉に昇進し、グレイデス軍団のバトルアーマー偵察中隊の指揮を任された。彼女の指揮の下、軍団の偵察装甲隊は名声を獲得した。

 パワーズ少佐は最期の運命を指揮分隊と共にした――3065年、グレイデス軍団最後の戦いとなったヘスペラスII戦で、バーサーカーに見分けもつかないほどに叩き潰されてしまったのである。

グーター・ベントナ中尉: 3067年に名門のナーゲルリンク養成校を卒業したベントナは、大幅に戦力低下した第24ライラ防衛軍の歩兵旅団に配属された。彼が最初に指揮したのは、グレイデス・軽スカウトアーマーの1個分隊である。一ヶ月後、グーターはターカッドに戻ってきた戦争のただ中にあった。宇宙からの爆撃を受けたベントナの分隊は、破壊を免れた第24の数少ない分隊のひとつだった。

 3069年の前半、ベントナの分隊は、ライラ兵の縦隊を待ち伏せしていたブレイク信徒の哨戒隊を偶然見つけだした。入念に敵の陣地を偵察した若き中尉は、危険にさらされた同胞に連絡を取った。情報を受け取った輸送隊は待ち伏せを迂回し、貴重な間接砲が雨を降らせブレイク派の陣地を破壊した。

 その後、グーターは、輸送隊にピーター・シュタイナー=ダヴィオン国家主席がいたことを知ったのである。








グレイデス通常型バトルアーマー


タイプ: グレイデス中型
製造元: グレイデス・テクノロジーズ
    主工場: グレンガリー

技術ベース: 中心領域
シャーシタイプ: 人型
重量等級: 中量級
最大重量: 1,000 kg
バトルバリュー:
   36 (小口径レーザー)
   31 (火炎放射器)
   30 (マシンガン)
   34 (SRM)
   41 (軽無反動ライフル)
集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/可
付記: なし

装備                       装備欄数    重量
シャーシ:                                 175 kg
移動システム:
    地上 MP:        3                      80 kg
    ジャンプ MP:    0                       0 kg
マニピュレーター:
    左腕:      バトルクロウ               15 kg
    右腕:         なし
装甲:             通常型                  450 kg
    装甲値:   9 + 1 (兵士)


                    装備欄数
武器・装備         配置    (能力)   重量
武器搭載装置        右腕     1(2)       10 kg
    小口径レーザー            -            2         200 kg
    火炎放射器                -            1         150 kg
    マシンガン                -            1         100 kg
    SRM 1 (4 装備欄)          -            2         100 kg
    軽無反動ライフル      -            2         175 kg
対歩兵武器搭載装置      左腕           1           5 kg
強化型センサー             胴体           1          65 kg


 グレイデス通常型バトルアーマーが作られたのは、軽スカウトアーマーと同じように、NAISがグレイデス軍団にプロトタイプのバトルアーマーを実戦テストのために支給した後でのことである。兵士たちの意見に応じて、軍団の技術者たちは、歩兵支援用の対歩兵武器と強化型センサー一式を追加し、NAIS支給型の性能を向上させた。この改造でジャンプパックが取り外された。しかしながら、より安価かつ整備が容易になった。このバトルアーマーは、マイアマー筋繊維のおかげで、高度な機動性を維持しており、戦場を30km以上で駆け抜けることができる。一般的な武装選択は、小口径レーザー、マシンガン、火炎放射器か、短装SRMランチャー(ミサイルマガジン4つ付き)である。

 グレイデス通常型バトルアーマースーツは、バトルメックと戦う通常歩兵の強化が意図されている。スーツの厚い装甲は、砲弾から身を守るだけでなく、バトルメックと戦う兵士が体感する裸でいるかのような感覚を減少させる。装着者の力を増幅することによって、危険な対メック攻撃を成功させるチャンスを増す。

 軍団の新型バトルアーマーは、パンドラの対ジェイドファルコン戦でデビューした。ヴァンドマールの町近くのうっそうとしたジャングルで戦闘を行い、軍団が氏族の侵攻軍に勝利する決定打となったのだ。ツカイードの停戦後の数年で、グレイデス通常型バトルアーマーは、各種敵との交戦で勝利して、その価値を実証し続けた。軽スカウトバージョンと同じく、通常型スーツはグレンガリーで軍団の手によって製造されていた。この傭兵隊が戦場で失った分を埋めるだけの限定生産であった。だが、軍団はたまに他の傭兵部隊やLAAFに少量を売却していた。

 3065年、グレイデス軍団はヘスペラスIIで破壊された。アレックス・カーライルが父の部隊を再建するだろうと誰もが思っていた。だが連邦=共和国内戦が猛威を振るう中で、LAAF(ライラ軍)は彼を手放したがらなかった。それからカーライル一族は、グレンガリーの爵位と領地を取り上げられた。そして、たとえアレックスが資金を調達できたとしても、軍団の再建にはレーティング・コードが足りないと、傭兵評価・雇用委員会は残念そうに伝えた。伝説的なグレイソン・デス・カーライルの存在なくしては、これまでに評判を汚してきた、軍団の契約破棄・雇用主変更の悪い習慣は相殺できない。

 だが、グレイデスバトルアーマーは、制作者たちよりも長生きした。ディファイアンス工業の助けを借りて、リチャード・レオネ(軍団歩兵隊前指揮官トーマス・レオネのいとこ)と、ヘスペラスII の地獄のなかで生き残った少数の支援スタッフが、グレイデス・テクノロジーズ(GDT)を創設したのである。グレンガリーに拠点を構えるGDTは、ライラ同盟で唯一のバトルアーマー専門メーカーである。軽スカウトアーマーと通常型アーマーは、LAAFと傭兵に販売されている。市場を広げるために、最近、軽無反動ライフルを搭載した通常型の新ヴァリアントが登場した。


著名な兵士

ヴァンス・レッディング少佐: 傭兵モバイル・ファイアが数個分隊のバトルアーマーを受け取ったとき(キャサリン・シュタイナー=ダヴィオンへの支援に対する報奨だった)、ヴァンス・レッディングは喜んだ。老犬に新しい芸を教えられることを証明するため、レッディングはすぐにグレイデス通常型スーツの操作方法を学んだ。

 ドナルド・ムーアの忠実な支援者のひとりであるレッディングは、年老いたフレッド・ローランサンを部隊から追い出す陰謀に加わり、ムーア家の者を先祖代々の地位にもどした。3068年にワード・オブ・ブレイクと契約して以来、モバイル・ファイアはブレイク保護領の世界に配備され、コムスターが後援するゲリラ活動に対処している。この役割のなかで、グレイデス通常型バトルアーマー(とその高度なセンサー)は、非常に価値があると実証された。


イヴリン・ホクナ大尉: その疑うべくもない評判から、ケンタウリ第21槍機兵隊は、グレイデス軍団がバトルアーマーを供給した最初の部隊のひとつとなった。イヴリン・ホクナの手に、第50中隊保安小隊を組織する仕事が託された。氏族の大軍勢と戦った不幸な兵士たちの生き残りから漏れ伝わってくる、バトルアーマーの性能の話を聞き及び、魅了された生粋の槍機兵隊員は、この任務に飛びついた。

 ツカイードにあるフォヒト軍事大学の施設使用許可を受けたホクナ大尉は、即座に新部隊を訓練し組織することができた。さらに、ノヴァキャットのエレメンタルたちとバトルアーマー作戦に関して議論する機会を得たのである――そのなかにはサンティン・ウェスト族長自身もいた。こうしてイヴリンは、他の中心領域軍指揮官たちが知らないような、バトルアーマー作戦に対する貴重な洞察を得たのである。

 槍機兵隊は3057年の時点ですでにブレイク信徒の計画とぶつかっていた。このとき彼らは虜囚となり、ワード・オブ・ブレイク市民軍が傭兵を装って、コムスターの守る地球に侵入したのである。ブレイク信徒がツカイードを強襲した際、ハシュケル大佐はもう二度と一族郎党を人質にはしないと決心していた。キラービーの航宙艦〈クイーン・ビー〉の助けを借りて、ホクナ大尉と中隊は、槍機兵隊の負傷者と一族郎党を脱出させたのだった。








グレイデス"ストライクスーツ" Gray Death “Strike Suit”

フィールドテスト総括: カスタムGDTスタンダード・ハイブリッドリフィット
生産者/所在: グレイデス・テクノロジーズ、グレンガリー
主任技術者: ブライアン・キニスン
計画開始日時: 3073年
非製造装備分析: 氏族製アドバンスドSRM3ランチャー

概要
 聖戦の初期、ワード・オブ・ブレイク軍がグレンガリーのグレイデス・テクノロジーズ、バトルアーマー工場を攻撃し、広範囲な打撃を与え、守っていたブリューアー軍団を一掃した。奇妙にも、この攻撃で高名な傭兵部隊グレイデス軍団の生き残った隊員(その多くが、我が社のグレンガリーでの投資を守るため保安部隊に仕えていた)が事実上壊滅した一方で、GDTの全生産施設が閉鎖されたわけではなかった。襲撃後の復旧作業中、この企業は、ワードと戦うためのより性能が高そうなバトルアーマーを生産するために、リソースのうちいくらかを注ぎこむことに成功した。そのうち1機が通常型グレイデス・バトルスーツの複合技術派生型である。

 グレイデス・ストライクスーツと名付けられたこの新型は、ベースとなったGDT製中型バトルアーマーと同じ機動力、装甲を持っているが、強化型センサーと武器搭載装置(通常型アーマーを氏族のエレメンタルに対する回答としていたもの)を使っていない。この装備の代わりに、GDストライクスーツは、友軍の関節砲・準誘導兵器を誘導する固定型のライトTAGシステムを搭載し、氏族製の強化3連SRMでバックアップする。(これらの兵器は、捕獲された氏族兵器を元に現地のディファイアンス社内で生産されているが、必要な時間とコストを考えると、LAAFに捕獲された氏族技術を要請するか、ケルのウルフ、ダイアモンドシャークから直接購入したほうが経済的である。変更を加えることなく生産するならそうするべきだ)

 3073年に登場した、通常型SRMより射程の長いGDストライクスーツは、やってくる敵が予期するより早く攻撃可能で、また3射分の弾薬を持つこのスーツは歩兵を分散させ、軽量級メックを足止めするのに十分な火力を持つ。このスーツが持つ奇襲性は、ベリス司教のオパクス・ヴェナトゥーリの強襲を短時間払いのけ、もしかしたら周辺都市、地方での入念な抵抗活動掃討を促したかもしれない。二つ目のバトルクロウを持ち、対歩兵武器搭載装置を使い続けているGDストライクスーツは、接近戦で歩兵部隊に対してより有効であり、3074年のベリスによる攻撃に同行した支援兵士たちにたいてい大打撃を与えた。

 3074年、GDTの生産ラインに多大な損害が与えられたことと、我が社がフリーロに全生産拠点を移したことから、GDストライクスーツの未来は宙に浮いているが、未来のどこかの時点で生産を再開するべきである。有り得そうな変更点は、氏族スペックのSRMをもっと使いやすい中心領域ランチャーに変更するか、上述の通り、より中心領域に友好的な氏族から継続的に入手するべきだろう。


タイプ: グレイデス"ストライクスーツ"
製造元: グレイデス・テクノロジーズ
    主工場: グレンガリー

技術ベース: 混合(実験)
シャーシタイプ: 人型
重量等級: 中量級
最大重量: 1,000 kg
バトルバリュー: 63
集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/可
付記: アドバンスドSRMは、GDストライクスーツが、
    対バトルテック脚部攻撃・集団攻撃をする前に投棄せねばならない

装備                       装備欄数    重量
シャーシ:                                 175 kg
移動システム:
    地上 MP:        3                      80 kg
    ジャンプ MP:    0                       0 kg
マニピュレーター:
    左腕:      バトルクロウ               15 kg
    右腕:       バトルクロウ               15 kg
装甲:             通常型                  450 kg
    装甲値:   9 + 1 (兵士)


                    装備欄数
武器・装備          配置    (能力)   重量
ライトTAG(60射)             右腕           1          35 kg
対歩兵武器搭載装置        左腕           1           5 kg
着脱可能
 アドバンスドSRM3(C)(3射)  胴体           4          65 kg








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