indexに戻る
作成:2006/02/03
更新:2020/01/26

星間連盟防衛軍 STAR LEAGUE DEFENSE FORCES



 かつて、中心領域から辺境にいたるまで、全宇宙に覇をとなえていたSLDF、星間連盟防衛軍。最盛期には、概算で2000個バトルメック連隊以上の規模がありました。現在でも、一部の傭兵隊や氏族、コムスターが、かつての伝統を受け継いでいます。




組織構成

 SLDFの組織は極めて複雑である。軍は職務、人員によって、15の司令部に分かれる。これだけ配置が複雑なのにもかかわらず、各司令部は最小限の人員で仕事をこなすのを誇っている。やや小規模な王家軍の、半分から、1/3で業務を行うことがしばしばある。各部局はコンピュータに大きく依存しており、過去にさかのぼって調べられるように常に記録がアップデートされている。記録のバックアップコピーは地球、火星、その他戦略地点のSLDF本部に置かれている。



人員補充・配属司令部

 人員補充・配属司令部の仕事は各部隊の戦力が完全に充足されるのを確実にすることである。新兵と新任士官をブートキャンプや養成校から最初の任地に輸送するのがその任務だ。これは段階的に達成される……巨大な輸送船群が集まった兵士たちを拾い上げ、適切な軍事地域内の人事センターに連れて行く。そこで兵士たちは小型船に乗り、それぞれの部隊に向かう。退役、負傷、戦死した者をSLDFから故郷に帰すのも人員補充・配属司令部の職務である。



司法司令部

 この部局の責務は、SLDFの行動規範と兵士たちに対する裁判である。星間連盟の兵士たちは10の異なった国から来ていることから、司法部はきわめてデリケートな任務に従事している。重罪で起訴された兵士たちは弁護士を付ける権利を持つ。

 法務部は戒厳令にある新たに占領された領土や、民衆による反乱の絶えない世界の統治を行う。再統合戦争後、星間連盟政府が民間行政官を任命するまで、法務部と軍政官が辺境の世界を管理していた。



補給司令部

 補給司令部は1億人の兵士の需要に応えるという一見不可能な仕事を行っていた。補給物資の輸送は補給司令部の主な職務であった。補給司令部はまた、SLDFの請負業者を監視し、SLDFの契約を満たしているか、品質は高いものであるか、外国に軍事上の機密を流していないかを確認する。



輸送司令部

 輸送司令部の職務は兵士と補給が目的地に到着するかを監視することである。その途方もない補給・兵員輸送艦隊を出来る限り有効に使い、出来る限り素早く貨物を届けるために、輸送司令部は複雑で大規模な工程表を整理している。これらの工程表は常にアップデートされ続ける。コンピュータは極高周波発生装置で結ばれ、星間連盟中の各惑星で船の往来が管理、整理、追跡される。



諜報司令部

 諜報司令部はSLDFの情報収集部隊である。彼らが見落としたり、重要でないと切り捨てたものが誰かにとって不幸な結果を招くことに気づいている諜報司令部のスタッフたちは、王家軍の戦力からテロリストのリーダーの個人的な好みまで、取るに足らないものでも集めている。これらのデータの断片は、まとめられ、担当の諜報部門に送られる。情報の大半は、工作員、SLDF基地の装備、遠隔地の聴音哨によって集められる。これら聴音哨の多くは諸惑星や衛星に仕掛けられた自動装置である。この情報の穴を埋めるために、諜報司令部は一般的な輸送船に見えるような特殊な戦艦を使っている。司令部はまた、地球で二カ所の養成校、ライリー諜報大学、サムソビッチ情報収集大学を運営している。



特殊部隊司令部

 特殊部隊司令部はエリート部隊の訓練と装備に責任を負っている。SAS、スペシャルアームドサービス部隊、通称ブラックハーツは、対スパイ、対テロ戦役の訓練を積んでいる。もうひとつの特殊部隊が全天候型戦闘軍団で、真空での戦闘や通常でない戦場(異常な重力など)で戦うために訓練したメック大隊群からなる。これらの部隊はフォール・ウェザー・フィーンド(悪天候の悪魔)の名で知られる。フライングライオンズ、正式名称、特殊航空大隊は、特に難しい任務を実行できる気圏戦闘機のエリート部隊である。この部隊には、デモンストレーションを行う精密飛行チームがある。



予備役司令部

 予備役司令部は予備役の兵士と補給を管理し、非常時に備え戦力を用意する。SLDFの退役者は予備部隊で重要な部分を果たす。兵士たちは正規隊を辞め予備役に入る際にしばしば昇進する。兵士たちの故郷に準備される装備はたいていが古いものだが、良い状態に保たれる。予備役司令隊はまた帝国の世界の惑星守備部隊を監督する。



通信司令部

 通信司令部は、多くの点で、コムスターの先駆者であった。その最も重要な役割は、数多くの部隊を通信網で繋ぐSLDFの移動HPGステーションを運営することである。移動HPGは星間連盟が作られてからわずか数年で開発され、帝国の最も厳重に守られた技術のひとつである。それは大型トラックによって牽引され、最小の降下船にでも楽に収容出来る。



総務司令部

 総務司令部はSLDF官僚組織の上位に位置する。星間連盟外交局だけがより巨大な組織である。総務司令部は他司令部の記録を集め、分類する。その大きさにもかかわらず、この司令部は著しく有能で、今日の巨大な官僚制度でありがちな大きなミスをしたことがない。また総務司令部はSLDFの軍養成校の多くとブートキャンプを運営している。



親衛隊司令部

 星間連盟の創設に際して、帝国装甲軍最高司令部はSLDF親衛隊司令部となった。HAF部隊はSLDFに完全に編入されたことから、単一の国家の兵士で占められる唯一の部隊となった親衛隊司令部は、親衛部隊に起こるかもしれない特別な問題を処理する。この司令部は第二のあまり知られてない任務を持つ。影の最高司令部として機能し、第一君主が親衛部隊に私的な命令を出すのが可能となる。この一例として、2699年、ジョナサン・キャメロンが親衛隊司令部を使って帝国部隊に20ガルテック兵器工廠を奪うよう命令した。彼らは帝国軍の秘密を加盟国に売ろうとしたのである。



加盟国連絡司令部

 この司令部は正規軍と加盟国の関係を保つことに責任を負う。連絡士官は連隊と民間人の緩衝となることから、SLDF基地、城塞で重要な存在である。連絡司令部の最も重要な役割は、兵士たちがクリタ人やライラ人ではなく星間連盟の市民でありその守護者と考えるのを確実にすることである。最初からキャメロン一族は、兵士たちが生まれや王家への忠誠心を脇にやらないとSLDFが機能しないことに気づいていた。SLDFの創設期、第一君主は各派閥の緊張を緩和するため連絡士官たちに頼った。士官たちは各国の違いを認識し理解するために必要な技能の追加訓練を受けており、隊員たちに協力の感覚を植え付けることが出来る。比較的スムーズで平和的な星間連盟軍の統合は、連絡司令部の能力の証左となっている。



医療司令部

 医療司令部はSLDFの兵士たちに看護を提供する責任を持つ。病院航宙艦、降下船艦隊、地上、海洋、航空機を持つ。その他にも、多数の軌道上病院、人口の多い惑星には巨大な医療施設群を所有する。医療司令部の技術力は多くの場合、常に中心領域で最先端のものだった。



最高司令部

 星間連盟防衛軍最高司令部は、業務隊の指揮官たちと、20の軍事管区、地区の指揮官たちからなる。最高司令部を統帥するのは、大将、SLDF指揮官である。

 SLDFの総本部と最高司令部の会議場は、ザ・シタデル(城塞)である。星間連盟宮殿の外に位置するザ・シタデルは、宇宙港の隣の黒い30階建てビルである。塔の上には、交通管制用の窓と監視デッキがある。基地の周囲には気圏戦闘機とメックの出入り口がある。この目立つビル(戦闘機が激突してもびくともしなかったほど強固)の地下に埋められているのは、SLDF本部の残りである。

 戦地では、最高司令部は戦闘巡洋艦(一部の兵器を取り外して通信機を取り付けている)の上で会議を行う。大将と幕僚たちは前線に入ることを想定されてないが、星間連盟指揮官の多くが危険に身をさらしたことがあり、繰り返しそうした者もいる。

 SLDF指導者たちの指揮スタイルはかなりの違いがあったことから、最高司令部の構成もまたそうなった。ある指揮官は数多くのアドバイザーを揃え、またある指揮官は1〜2名の近しい友人を信頼した。



正規軍司令部

 正規軍司令部は星間連盟の地上軍を統制している。この司令部は8つの副司令部に分かれ、それぞれの部門はその兵器と装備に責任を持つ。バトルメック副司令部は、SLDFの主力であったが、今日のように最重要というわけではなかった。装甲副司令部は戦闘車両とその兵士たちの運用を処理した。兵士副司令部は歩兵の権利を代表した。戦闘機副司令部は正規軍気圏戦闘機と搭乗員を担当した。砲兵副司令部はSLDFの多数の砲兵隊を統制した。技術副司令部はSLDFの魔術師的技術者たちの物資と装備を監視した。再補給副司令部は補給司令部からの物資を備蓄し、前線の兵士たちに分配する責務を負った。計画戦略副司令部は正規軍のシンクタンクである。高度なコンピュータに支援されたその予測は、正確に敵の行動を読んだ。



海軍司令部

 星間連盟海軍司令部は、軍が使う数千隻の艦船を統制し供給する。この司令部は6つの副司令部に分かれる。戦艦副司令部、降下船副司令部、海軍航空宇宙副司令部、輸送副司令部、海兵隊副司令部、計画戦略副司令部である。







部隊構成



軍集団 ARMY GROUPS

 星間連盟は10の軍事地区に分割され、そのそれぞれが加盟国、地方国家に対応している。5つの加盟国に対応する軍事地区は、さらに3つの管区に分割される。5つの王家それぞれの軍事地区に駐留する師団と連隊、付随する船舶と支援部隊は、1個軍集団を形成する。各軍集団は、加盟国家を支配する一族の名前を関する……マーリック軍集団、シュタイナー軍集団などである。軍集団の将軍は、軍事地区の最高権威であると同時に、加盟国家の政界でSLDFの代表とならねばならない。



 ARMIES

 星間連盟防衛軍には、20の軍が存在する。地球軍事地区の全師団、連隊、戦艦は、1個軍を形成している。地方国家のそれぞれに、各1個軍。王家軍事地区の3つの管区にも、1個軍ずつがある。典型的な軍は、3〜4個軍団を持ち、将軍(たまに提督)の指揮下にある。これらの軍はSLDFが大きく拡大する中で誕生した。再統一戦争の時期に各管区から、軍団を引き継いだのだった。



軍団 CORPS

 軍団は、互いに協力して戦い、訓練する、師団、連隊、戦艦のグループである。1個軍団は、1〜3個バトルメック師団、2〜7個歩兵師団、そして通常は多数の独立連隊を持つ。各軍団はまた、付随する戦艦、輸送艦も持つ。軍団の多くは、30個の居住世界とその周辺宇宙の防護に配備される。といっても、一部は100以上の世界を担当している。


地球帝国
 地球軍事地区(第1軍)
中心領域
 恒星連邦軍事地区(2軍、3軍、4軍)
 カペラ大連邦国軍事地区(5軍、6軍、7軍)
 自由世界同盟軍事地区(8軍、9軍、10軍)
 ライラ共和国軍事地区(11軍、12軍、13軍)
 ドラコ連合軍事地区(14軍、15軍、16軍)
辺境
 カノープス統一政体軍事地区(第17軍)
 外世界同盟軍事地区(第18軍)
 タウラス連合軍事地区(第19軍)
 辺境世界共和国軍事地区(第20軍)




師団 DIVISIONS

 師団は正規軍(Regular Army)の中枢である。各師団は1回のジャンプで到達できる宙域を担当する。まれに1個師団がとくに重要な惑星ひとつの防護を担当することがある。正規軍1個師団の構成は、各3個連隊からなる3個旅団と、予備部隊、戦闘機54機の地上航空大隊、支援部隊である。3個旅団より小さい師団や、4個旅団以上の師団も存在する。


バトルメック師団 BattleMech Division
 正規軍の攻撃手段が、バトルメック師団である。各師団は、2個バトルメック旅団、1個機械化歩兵旅団を持つ。

機械化歩兵師団 Mechanized Infantry Division
 機械化歩兵師団は、正規軍のほとんどをなしている。各師団は、2個機械化歩兵旅団、1個バトルメック旅団を持つ。1個バトルメック師団が敵の戦線に穴を開け、機械化歩兵師団はそれを広げるのが期待される。彼らはまた、防衛の矢面にも立つ。

歩兵師団 Infantry Division
 足が遅いが、車両に頼らない歩兵師団は、徒歩パトロール、たこつぼ塹壕の時代への先祖帰りである。歩兵師団は、深い森、山脈、都市のような車両が入れない地形で用いられる。各歩兵師団の構成は、2個歩兵旅団、1個軽メック旅団である。

ジャンプ歩兵師団 Jump Infantry Division
 ジャンプ歩兵師団は、奇襲と迅速が必要とされる任務に用いられる。これらの師団は、ジャンプ兵の2個旅団と、メック1個旅団からなる。師団はまた、ジャンプ兵を運び、守る、2個地上航空大隊を持つ。


バトルメック師団
   バトルメック旅団
      バトルメック連隊、バトルメック連隊、バトルメック連隊
   バトルメック旅団
      バトルメック連隊、バトルメック連隊、バトルメック連隊
   機械化歩兵旅団
      機械化歩兵連隊、機械化歩兵連隊、機械化歩兵連隊

機械化歩兵師団
   機械化歩兵旅団
      機械化歩兵連隊、機械化歩兵連隊、機械化歩兵連隊
   機械化歩兵旅団
      機械化歩兵連隊、機械化歩兵連隊、機械化歩兵連隊
   バトルメック旅団
      バトルメック連隊、バトルメック連隊、バトルメック連隊




連隊 REGIMENTS

 正規軍は7つの異なったタイプのバトルメック連隊を持つ。今日のバトルメック部隊と違って、中隊、大隊ですらもひとつの型のメックで構成されている。そのメック固有の弱点を突かれると弱いかもしれないが、整備と修理が大きく単純化された。SLDFは時折、このポリシーを破り、特殊な"マルチメック"中隊、"相棒"中隊を作った。これらの中隊は、違うタイプのメックに乗っているが、士官学校の友人であるメック戦士たちで構成されている。独立連隊に配備される。



戦列連隊 Line Regiments

 これらの連隊はバトルメック旅団で見られる。小隊−中隊−大隊−連隊のシンプルな組織は、今日のメック連隊によく似ている。違いは、ほとんどの戦列連隊が固有の気圏戦闘機隊を持たないことで、その代わりに航空支援を、師団の地上航空大隊か、軌道上の戦闘艦の艦隊航空大隊から得る。ほとんどの戦列連隊が、紋章のデザインに剣をあしらっている。


重強襲 Heavy Assault
 ほとんどのメック旅団のノックアウトパンチである、これら連隊は、重量級から強襲級のメックを持ち、4番目の中隊(間接砲)を持つ。

戦闘 Battle
 ほとんどのメック旅団の中核である、これら部隊は、中量級から重量級バトルメックで構成される。

打撃 Striker
 これら連隊は、偵察と突破攻撃に用いられる。軽量級、中量級バトルメックを使用し、少なくとも1個の可変バトルメック中隊を持つ。打撃連隊にはよく気圏戦闘機隊が付属する。




独立バトルメック連隊 Independent BattleMech Regiments

 これらの連隊は、師団の支援なしに行動できるようデザインされている。1個師団が相手するには小さいが、歩兵連隊群を使うには大きすぎる敵に対して使われる。独立連隊はよく歩兵師団と肩を並べて戦った。その独立した性質を維持するため、これらのメック連隊は、ジャンプ兵、ホバークラフト、戦車、戦闘機といった、メックではない兵器の中隊群を持っている。3種類の独立メック連隊を表すべく、SLDFは古代の騎兵部隊の名称を使っている。騎兵である感覚を維持するため、独立連隊はよく紋章に馬をあしらう。


竜機兵 Dragoon
 装備の良い敵に対し、正規軍は1個竜機兵連隊を送り込む。通常は、重、強襲バトルメック、戦車、ホバークラフトからなる。

軽機兵隊 Hussar
 軽機兵連隊は、SLDFでもっともよくある独立連隊である。中重量級のメック、戦車、ホバークラフトを使う。

軽機隊 Light Horse
 軽機連隊は非常に機動力がある。軽中量級の機体で構成されている。軽機部隊は偵察に重点が置かれている。各軽機連隊は、少なくとも2個の、情報収集メック(オストスカウトのような)、情報収集車両、通常型メックの偵察中隊を持つ。星間連盟は敵軍の規模をつかむために、よく軽機部隊をひとつの世界に降下させた。軽機連隊はまた、連隊戦闘団と呼ばれる即応部隊にまとめられた。




機兵、装甲、気圏、海軍連隊 Cavalry, Armored, Aerospace, And Naval Regiments

 CAAN連隊は、水の豊富な世界で使われることを想定にした、海兵隊である。バトルメック、戦車、ホバークラフト、戦闘機、海洋戦闘艦で構成される。



気圏戦闘機 AEROSPACE FIGHTERS

 SLDFは気圏戦闘機を四種類の部隊にまとめている。地上航空大隊、艦隊航空大隊、独立航空大隊、他の部隊に配属される戦闘機である。それぞれは固有の責務と任務を持つ。

 地上航空大隊(GAW)は師団に配属される。彼らは師団の航空優勢を保ち、地上部隊に火力支援を提供する。GAWには54機の気圏戦闘機を持ち、9個航空中隊にまとめられる。各航空中隊は1種類の戦闘機で構成される。各GAWはまた6個航空中隊の戦闘航空機54機と輸送航空機54機を持つ。滑走路を敷設し、格納庫、その他の建物を造るために、戦闘工兵の分遣隊が航空大隊に所属する。

 艦隊航空大隊(FAW)は星間連盟海軍が艦隊を機動部隊に組織する時に結成される。気圏戦闘機は降下船と戦艦に配属され、先任戦闘機パイロットの指揮の下まとめられる。FAWは補給船、兵員輸送船など、艦隊の装甲が薄い船を守る責任を負う。惑星強襲では、FAWは降下船に同行し、GAWかその部隊所属の戦闘機が交代するまで、降下地点の上空を守る。

 独立航空大隊(IAW)はどこにも所属していないGAWで、師団が追加の支援を必要とする時に配属される。各IAWには1個機械化歩兵大隊が所属する。これらの航空大隊とは別に、独立バトルメック連隊、装甲連隊には他の気圏戦闘機が所属する。たいてい戦闘機2機が連隊の各中隊に配備されるが、飛行場を共有する。



その他の部隊 OTHER UNITS

 装甲・歩兵連隊はSLDFにとってバトルメック連隊ほど重要でないが、総務士官たちは彼らの構成にいまだ注意を払っている。装甲部隊は戦列バトルメック連隊と同じ方法で組織される。強襲、重、中、軽戦車連隊で、それぞれは一種類の戦車を持つ。他にはホバークラフト、装輪装甲連隊がある。ほとんどの戦車連隊は対メック連隊として師団に配属されるか駐屯任務を与えられる。

 歩兵連隊の4種類は、機械化、通常、ジャンプ、海兵である。各連隊は現代の歩兵連隊と同じように3個中隊の3個大隊に組織される。中隊は3個小隊に分かれる。

 砲兵隊は砲兵連隊に組織され師団に所属する。時折、砲兵大隊は独立メック、装甲連隊に所属する。独自の特殊な航空輸送機を持った空中機動間接砲中隊群も存在する。



SLDF編成の一例
地球軍事地区 Terran Military Region
第1軍 (第I、第X、第XXI軍団)
司令部: 地球、火星

バトルメック師団: 7
機械化歩兵師団: 10
ジャンプ歩兵師団: 4
歩兵師団: 2
独立メック連隊: 15
独立歩兵連隊: 0
独立航空大隊: 1
CAAN連隊: 2

部隊

 第I軍団 I Corps
   第48親衛バトルメック師団 (ゴリアテ師団)
   第191親衛バトルメック師団 (ザヴィヤヴァ師団)
   第6親衛機械化歩兵師団
   第74機械化歩兵師団
   第156機械化歩兵師団
   第290機械化歩兵師団
   第89ジャンプ歩兵師団 (ガッチャス)
   第175ジャンプ歩兵師団 (ルソン・ナイファーズ)
   第34親衛近衛CAAN海兵連隊
   第277軽機連隊 (地球RCT)
   第138軽機兵連隊 (地球RCT)
   第118竜機兵連隊 (地球RCT)
   第593打撃連隊 (地球RCT)
   第406戦闘連隊
   第269独立航空大隊

 第X軍団 X Corps
   第7親衛バトルメック師団 (ケイド師団)
   第29バトルメック師団 (パリーフィーメ師団)
   第70歩兵師団
   第26機械化歩兵師団
   第36機械化歩兵師団
   第282機械化歩兵師団 (デネボラ師団)
   第56親衛ジャンプ歩兵師団
   第209軽機連隊
   第112親衛軽機兵連隊 (ヨセフのジョーク)
   第114軽機兵連隊
   第20竜機兵連隊

 第XXI軍団 XXI Corps
   第99バトルメック師団 (ゴグ師団)
   第138バトルメック師団 (ストーン・ウォール師団)
   第164バトルメック師団 (ハンニバル師団)
   第10歩兵師団 (ウェールズ師団)
   第92機械化歩兵師団
   第111機械化歩兵師団
   第203機械化歩兵師団
   第17ジャンプ歩兵師団 (ゴールデン・タロン)
   第8親衛CAAN海兵連隊 (黒海連隊)
   第35軽機連隊
   第51竜機兵連隊 (緑の悪魔)
   第32打撃連隊
   第201打撃連隊
   第12重強襲連隊
   第305親衛重強襲連隊




















フィールドマニュアル: SLDF

 人類の歴史において、星間連盟の総司令官ほど強大な権力が一人の人物の意思の下に集まった例は数えるほどしかない。確かに、歴史上、これほどの火力を支配した者はいないであろう。きょう、キャメロンスターの下で行進する軍団と師団は、星間連盟の始まりと成長の試練から生み出された。だが、現代のSLDFのひな形を明確したのは4つの紛争である。

 4つのうち、再統合戦争だけが「戦争」と呼ぶ価値がある。新生SLDFの全部隊が参加し、何百万もの兵士が戦い、負傷し、戦死し、各国が協力して参加した。3度のいわゆる秘匿戦争は規模において段違いだが、それでもSLDFの訓練と教義と演習に影響を与えた。

 クラウゼヴィッツ曰く「戦争とは他の手段をもってする政治の延長である」であり、この1000年これを否定した者はなかった。しかし、我らは兵士であり、政策立案者ではない。我らは命令を受領し、任務を果たす。政治家たちは理解出来ない理由、受け入れられない理由で我らを死地に送り込むものである。だが、それでも我らは実行する。義務はもっと重要なものであり、星間連盟は総司令官の意思――あるいは第一君主の意思を越える何かに寄って立つからなのである。



再統合戦争 REUNIFICATION WAR

 サンティアゴの虐殺、ポルックス宣言、そしてその他の政治的社会的圧力(星間連盟と辺境4国家の戦争に結びついたもの)の関連性は、過去200年にわたり隅々まで研究されてきたが、我々は軍事的観点から始まりSLDFの組織とドクトリンにどう影響したかに至るまで基本的な部分をいくつか調べ上げた。

 辺境4国との20年にわたる戦役は、新生SLDFの戦闘能力と欠点の双方を露呈させた。その一方は、我が軍は最終的な勝利によって軍事力を証明したが、この勝利――最終的な勝利――が多かれ少なかれ当たり前のものであったことに触れないのは不誠実であろう。辺境の小規模で若い国家には、中心領域全体から集められた資源と永続的に戦う望みなどなかったのである。彼らもそれを知っていた。彼らに出来たのは――彼らがやり遂げる寸前であったのは――戦争を星間連盟が続けるにはコストがかかりすぎるものにすることであった。

 若者たちが遠い異国の戦場で殺されていると聞いて喜ぶ国民はいない。数百光年離れた世界の関係ない国境で、どうでもいい理由のために、戦闘と死者が発生するというのを好む人たちはもっと少ないだろう。犠牲者を充分に増やせば、再統合戦争に対する星間連盟の政策への支持を動かせるだろうことを辺境の指導者たちは知っていた。

 こうして生まれたのが……特にタウラス連合で使われたのが、人海戦術、テロリズム、核攻撃であった。タウラス人は辺境で最高の実利主義者で最高の国力を持っていた。タウラス連合の元帥たちは、自軍の小規模な艦隊と陸軍では迫り来る大軍を止める望みがないことがわかっていた。だが、戦えば血を流させることは出来た。そして充分に血を流させれば、もしかしたらSLDFは止まるかもしれない。カノープス統一政体と他の国はこのモデルを真似て絶望的な戦闘を繰り広げ、しばしばSLDFの侵略に対して不正規戦を行い、可能なあらゆる戦術とトリックを駆使し、敵に同じだけの損害を与えられるなら途方もない損害をも受け入れるのをためらわなかった。

 そして20年にわたり4つの戦線は血の海となった。

 それでも、星間連盟防衛軍は勝利を収めた。第一君主と最高評議会の命令が支持され、200年に渡って人類が統一された。再統合戦争という炎から多くの制度上・教義上の基準が作られ、以来それらは我らを支える助けとなってきた。

 第一の教義は忍耐である。星間連盟の兵士はけして諦めることがない。任務、義務、命令――すべてが最後の一兵、一発、負傷まで守られるのである。



第一次秘匿戦争 FIRST HIDDEN WAR

 第一次秘匿戦争は伝統的な感覚ではかろうじて戦争と呼べるものである。第一次秘匿戦争で師団や軍団が展開されることはなかった。軍が潰滅し数十万が殺される大規模な戦闘はなかった。巧妙な戦略的突破もなく、惑星の持ち主が変わることもなかった。第一次秘匿戦争は、士気、政策、教義の戦争であった。

 それは兵士と戦士が鎬を削る戦争だった。

 それは星間連盟とドラコ連合の――あるいはそれぞれの兵士たちの戦争であった。2650年に第一君主が出した勅令は、DCMSの戦士多数の権利を奪い、星間連盟結成時に戦力削減が命じられた時よりも大きな不満を引き起こした(このときは再統合戦争が不満のはけ口となった)。2650年の勅令が発布された時期、連合はウリゼン・クリタのコクガクで好戦的になり、ブシドーへの注目が増していた。マイケル・キャメロンの勅令で権利を失った戦士たちは、主君を持たぬ戦士、ローニンとなり、新主星ルシエンのクリタ政府は彼らの行動に対する責任を否認した。当初、これら兵士たちは互いに戦って自らの力を証明し、学校やドージョーを作ろうとした。このような戦士の常として、彼らはより大きな挑戦を追い求め、最終的に国内にいたガイジン(外国人)に目を向け始めた。

 SLDFとローニン軍の最初の決闘は2681年、ベンジャミンで発生した。第3ベンジャミン正規隊の達人、アマンダ・カズトヨがフォート・シャンドラに挑戦を行ったのである。最初、星間連盟軍はこの挑戦をはねのけたが、カズトヨは諦めなかった。10日間、彼女は門の前に立ち続けた。最終的に、ブラッドレー・グラバーズ中尉が上官の命令に反して挑戦を受けたが、10分以内に勝負は付いた。グラバーズがカズトヨに殺されてSLDFは激怒した。そして第一次秘匿戦争と呼ばれるものが始まったのである。

 それから70年間、SLDFとDCMSのローニンは300回以上の決闘を行い、最初は腕の立つドラコ連合の決闘士たちが優勢であった。最後には、SLDFが上級戦闘機動技能計画――ガンスリンガープログラムで食い止めた。

 歴史家たちはなぜ第一次秘匿戦争が戦争とさえ呼ばれたかについて熟考した……参加したのは旅団以下の兵士たちで、戦闘は遺恨試合に過ぎないものだったのである。その70年間で、ローニンと戦って失われたメックよりも、訓練中の事故で失われたメックのほうが多かったくらいである。戦死者はローニンよりも海賊によるものが多く、三世代にわたって連合にいたSLDF兵の90パーセント以上が決闘を目撃しさえしたのである。再統合戦争のような紛争と比べると、第一次秘匿戦争はハリケーンの日にホースで水を撒くようなものだった。

 第一次秘匿戦争に権威を与えたのは、それが表すものである。SLDF――星間連盟の全体――は、再統合戦争の余韻の中にいた。実戦に参加した古参兵たちは確かにそれを知っていたのだが、大人になった全世代の兵士たちが星間連盟は無敵だと知るようになった。理念の正しさが戦闘で証明されたのである。ローニンによる挑戦は士気を減衰させるものであった……SLDFが築き上げた無敵という思い上がりに水を差した。何百世紀も前にクラウゼヴィッツが見たように、戦争とはヒトが戦うものなのである。

 それゆえ反応があった。星間連盟中でローニンに対する大規模なプロパガンダ戦が行われ、ガンスリンガープログラムへの支出があった。最高司令部と第一君主は、SLDFがローニンの挑戦に応じなかったら、民衆の評価は下がるとわかっていた。SLDFは「単なる別の軍隊」になってしまうかもしれない。それは許されないことであった。

 第一次秘匿戦争は70年にわたって戦われた決闘であった――結果としてSLDFのアイデンティティはさらに強いものとなった。



第二次秘匿戦争 SECOND HIDDEN WAR

 第二次秘匿戦争は第一次よりも本物の戦争に近いのだが、SLDFの戦争というより星間連盟加盟国の戦争であった。最終的にSLDFが介入を求められたものの、関与した戦力は再統合戦争に比べるとほんの一部であった。第一次秘匿戦争のように、第二次のSLDFに対する影響は大半が教義と政治(第一次より直接的)に偏ったものであった。

 2696年、メアリー・ダヴィオン(ロジャー・ダヴィオン国王の娘)とソト・クリタ(ウリゼン・クリタの息子でタキロー・クリタ大統領の兄弟)が結婚した。1世紀前のテレーゼ・マーリックとウィリアム・リャオの結婚のように、これは政治的な爆弾となり、両家において好まれざるものであった。ダヴィオン家は継承法(メアリーの継承権を剥奪し、ジョセフ・ダヴィオンを後継にするもの)を制定してクリタによる乗っ取りの危機を排除したが、タキロー・クリタは問題を放置することはなかった。

 メアリーが死んだ直後、タキローはメアリーの長男であるヴィンセントが、ダヴィオンの玉座を継ぐべきだと主張した。ジョセフ・ダヴィオンは息子を後継者にして、それをはねのけた。タキローは意見を変えず、問題を星間連盟評議会に持ち込んだ。彼が提示した文章的な証拠によると、メアリーは権利を放棄したものの、子供たちに関してはそうではないことが示唆されていた。どちらかを支持したら政治的な衝撃波が発生するとわかっていた第一君主ジョナサン・キャメロンは問題に関わらないことを選び、調査委員会に申し立ての調査を命じる一方、お役所仕事に徹するよう強制した。

 2725年までに、タキローの委員会に対する忍耐は尽き果てた。DCMSは恒星連邦に侵攻した。AFFSは逆襲したが、クリタ軍の計画は周到なもので、すぐにロビンソンは危機に陥り、恒星連邦の中枢に魔の手が伸びた。連合はAFFSを撃破し、恒星連邦を粉砕することが出来たが、新たな敵に遭遇した。

 レベッカ・フェトラドラル総司令官がスムーザー作戦を発動したのである。5個師団が介入し、両軍を引き離して、秩序を回復した。兵士たちは平和のために必要なら何をしてもいいという特権をSLDFから与えられていた。このタスクフォースは5つの世界を目標にし、3つは即座に星間連盟の下に入った。平和は戻り、国境は戦前の状態にリセットされた。第一君主は両者を罰して、ダヴィオンの玉座に関するクリタの主張を永続的に否定した。この決断は星間連盟が崩落するその日までクリタをキャメロン一族に敵対させるものであった。同じくSLDFの介入で利益を得たダヴィオン一族もキャメロンがもっと早く動かなかったことに憤慨した。

 第二次秘匿戦争は、ご自慢の戦闘力とメック、戦車、戦艦の大軍を持つ星間連盟防衛軍が、失態を犯す人々により構成され、指揮されていることを示すものだった。第一君主ジョナサン・キャメロンはSLDFの大半から愛されていた……なぜなら、師団を創設し、施設を作り、ほぼすべての部隊で規模と予算を拡大したからである。政策を策定し、実行に移した上級士官たちにとっては――特にイコロール・フレダサ総司令官にとっては――ジョナサンは馬鹿者であった。ジョナサン・キャメロンは力の誇示と恐るべき無知のあいだで揺れ動いていた。SLDFの規模、威信、戦力を拡大してもなお、彼はダヴィオン継承戦争に介入するのを拒否したのである。フレダサと部下たちはこの紛争を職業上の失敗とみていた――どうして何も出来なかったのか? SLDFの任務は平和を守り維持することであるが、第一君主は任務の実行を許さなかった。

 もちろん、歴史はフレダサ総司令官が反逆で処刑されたことを記録しており、彼のいわゆる「反逆」について公式の記録はないものの、シタデル奥深くに眠るSLDFアーカイブにはフレダサのサクセッション作戦への言及が残されている。フェトラドラル総司令官がサクセッション作戦を知っていたかを示す材料は存在しないが、フレダサの副司令官だったことから知らなかったというのはないように思える。

 スムーザー作戦に参加した戦力は1個重軍団程度であったが、この作戦は広範囲に及ぶ帰結をもたらした。初めてSLDFは、加盟国家間のいわゆる内政問題に(大規模かつ公的な方法で)介入する権利を行使した。この前例はその後広範囲に波及することとなる。

 第二次秘匿戦争のまたひとつの影響は、連盟への忠誠が必ずしも第一君主への忠誠を意味するわけではないとSLDF幹部団の多くが気づいたことにある。長らくキャメロンによる治世の一部だった個人崇拝に初めて傷が入り、誰もフレダサと仲間たちのような過激な手段を望んでいなかったものの、壁は崩れ去ったのである。士官たちは「第一君主が何を考えているか」よりも「何が連盟にとってベストか」を判断の材料にするようになった。

 サイモン・キャメロンの息子リチャードが権力を握ると、この考え方は全面に出ることになる。



第三次秘匿戦争 THIRD HIDDEN WAR

 第三次秘匿戦争(大半のSLDF兵たちは単に戦争と呼んでいた)は、何らかの形ですでに始まっていた。それはもうひとつの再統合戦争というわけではないが、すぐに終わりそうもなかった。それは研磨して引き裂くような消耗戦であった。目に見える形での最大の被害者は2736年に終わった軍事オリンピックであるが、SLDFが終結させる道を見つけられないのなら、星間連盟が最後の被害者となる可能性があった。

 2741年の始め、中心領域のほぼすべての国境で襲撃が始まった。どの攻撃でも公式に関与を認めた国家および団体は存在しなかったが、装備と戦術の大まかな調査と攻撃後に集められた法医学的な証拠によって、大王家が互いを攻撃しているに他ならないとSLDF最高司令部は確信した。緊張の高まりと、ジョナサン・キャメロンの死後に支配が緩んでいたことが組み合わされ、星間連盟加盟国が意のままに行動するのを妨げるため出来ることはほとんどなかったのである。

 明白に、彼らは戦闘を望んでいた。

 2745年までに、サイモン・キャメロンは星間連盟評議会の会議に襲撃の件を提議することさえやめた。この問題は君主たちの口げんか――時折は殴り合い――を引き起こし、解決策に達したことはなかった。サイモンは問題をSLDFの手に託した。彼が問題をどう受け取っていたかは、2744年にケレンスキーに書面で与えた命令で要約される……曰く、盗賊を制圧せよ。交戦規定を自由に制定する許可を与えられたケレンスキーは、この命令を軍・軍団の司令官たちに委ね、自身は腐敗のないSLDFを作り上げる仕事に戻った――現在もこの仕事を続けている。

 第三次秘匿戦争は、2757年前後にだいたい「終結」した。サイモン・キャメロンの死とケレンスキー将軍の摂政によって、大王家はよりオープンなやり方で自分たちの目標を追求する自由を与えられた。彼らは2650年の第一君主勅令を修正し、王家軍の規模を二倍とし、過去10年渡って「追い求めて」きた「不正規」部隊の多くを公然と「統合」することが可能となった。未確認の大隊・連隊は互いに攻撃を続け、王家君主たちは辺境に注意を向けた。

 結局のところ――これら新連隊の資金はどこからか持ってくる必要があったのだ。


ビジネスはビジネス BUSINESS IS BUSINESS

 2741年、極めて装備の優れた盗賊団がジ・エッジを襲撃し、数百名の民間人を殺し、大量の原材料を盗んでいった。2742年にはLCAFとSLDFの両方が最高警戒態勢に入り、帝国からLICに提供された情報に従って、ライラのタスクフォースがビュートホルドを攻撃した。悪漢たちの基地で彼らが発見したのは、ドラコ連合が提供した物資と資金であった。最高評議会にこの情報が提示されると、大統領は告発を否定せず、「ビジネスはビジネスである(私情を挟むべきではない)」と発言し、ドラコ大統領とライラ国家主席の間で殴り合いが勃発した。火に油を注いだのは不快な人物で、他の評議員たちを苛立たせるのを好む粗暴な大酒飲みエワン・マーリックであった。ワレックス・リャオだけが内輪もめから身を遠ざけ、他の評議員たちから疑惑の目で見られたのだった。

 ――『ウソの時代』より抜粋、ドネガル大学プレス、3066年刊




辺境の激化 THE PERIPHERY HEATS UP

 加盟国の軍隊は2752年に規模を増し始め、各国の国庫に多大な負担をかけた――第三次秘匿戦争最盛期の10年に及ぶ国境襲撃で、財政はすでに悪化していた。突如として「新しい」軍事部隊の支払いが負担になると、彼らは星間連盟の収入に頼った。既存の収入が不十分と判明すると、彼らは第一君主不在で監視者がいないのをいいことに、税金を増やして辺境から金を搾り取った。

 領邦国家の市民たちは、控えめに言っても、税務負担を好意的に受け取らなかった。

 2754年のあたりから、辺境世界の緊張――そして公然とした暴力――は膨れあがった。領邦国家のすべてで暴力が増加した……独立心の高いタウラスでは頻度、暴力性ともに最高で、カノープス統一政体、外世界同盟、辺境世界共和国ではそこまででもなかった。2750年代後半に第20軍が辺境世界共和国から撤退したことで辺境世界共和国での暴力は増大したが、第20軍は命令に反してゆっくりと撤退して、師団、連隊がライラと連合から展開し続けた。

 2760年代、中心領域と辺境で暴力がいや増した。王家部隊に大規模な統合があったにも関わらず、加盟国間の国境襲撃は拡大した。辺境は沸き立ち続け、時折沸騰した――最近のタウラス自由軍の活動では、平和を守るためケレンスキー将軍自身が現地に足を運んだ。カマデエールのTFA本部での勝利に伴い、最高司令部はタウラスでの緊張が緩和されることを望んでいるが、それを語るのはまだ早すぎるだろう。


総司令官 THE COMMANDING GENERALS

 星間連盟防衛軍の総司令官は星間連盟で二番目の権力者である。第一君主のみがSLDF総司令官に命令する権限を持つ。実際には、星間連盟評議会が第一君主の政策に影響を与えることから、いくらかの権限を持つが、それは法的権限ではない。



シャンドラ・ノラフ=キャメロン大将(2571年〜2575年) General Shandra Noruff-Cameron (2571-2575)

 第一君主イアン・キャメロンの妻であるシャンドラ・ノラフ=キャメロンは、最初の星間連盟防衛軍を形成し、組み上げる責務を負った。彼女は、敵意、憎しみ、全く異なる組織的・教義的な構造を克服せねばならなかった。再統合戦争を戦った軍隊は彼女が定めた概要にほぼ従っていたが、ノラフ=キャメロンは作戦指揮をとることがなかった……2575年に心臓発作を起こし、副司令官にその座を譲ったのだが、2600年に死亡するまで最高司令部で現役勤務を続けたのである。



カルロス・ダンマー・リー大将(2575年〜2597年) General Carlos Dangmar Lee (2575-2597)

 カルロス・リー大将は炎の洗礼を受け、生まれたばかりのSLDFを受け継ぎ、そのあいだ辺境国に対する戦争を遂行する責を負った。彼が指揮する間に、SLDFは戦闘で鍛えられたが、気難しい軍隊となった。彼は辺境で憎まれたが、中心領域ではSLDF初代作戦指揮官としての適応力と決断力で賞賛された。2597年、彼は20年以上続く戦争に疲れてて引退した。



ニコラス・キンノル大将(2598年〜2646年) General Nicholas Kinnol (2598-2646)

 平和が戻ると、キンノル大将はSLDFを今日まで続くその形に作り続けた。彼の指揮下で、SLDFは統一された軍隊となった。既存の王家で訓練された兵士ではなく、中心領域中から新兵を募り、訓練することがその一助となった。キンノル大将は復興後の好景気を利用して、SLDFと中心領域中の設備を拡大した。

 キンノル大将はまた星間連盟探索司令部の創設を監督した。これは海軍の附属司令部で、星間連盟国境の向こう側と加盟国内の虚空の星系を監視する責務を負う。探索司令部が発見した世界は、鉱物資源の貴重な供給地となり、数百に及ぶ新しい植民地の設立を促した。



キリアン・スクアーン=ターク大将(2646年〜2680年) General Killian Squarn-Turk (2646-2680)

 スクアーン=ターク大将はSLDFの拡大を続け、任期の間ほとんど目立つことはなかった。最も重要な事件は星間連盟加盟国・準加盟国の軍備をさらに削減するマイケル・キャメロンの2650年勅令であった。動員解除された兵士たち(SLDF含む)への幅広い政策の一環として、スクアーン=ターク大将は、復員手当で自分の装備を購入する許可を提案し、装備の優れた大規模な予備役を作り上げた。彼らは広まりつつある盗賊行為と無法の流れと戦う助けになると思われた。最高評議会で激しい議論が交わされたのだが、この法案は通過した。



ディヴィッド・ピーターソン海軍大将(2680年〜2707年) Admiral David Peterson (2680-2707)

 SLDFを指揮した唯一の海軍士官、ディヴィッド・ピーターソン海軍大将は、緊張が高まった時期に職務を行った。彼は陸軍と海軍の間にあった部門間対立の多くを終わらせるのを助け、両者の教義的な関係強化を促進した。ピーターソンはSLDFの決闘士にDCMSのライバルと戦うチャンスを与えることを目的とした上級戦闘機動技量プロジェクト(後にガンスリンガープロジェクトと呼ばれた)を監督した。また彼の在任期間には、論争の的になっているSDSシステムと数多の先進技術(王家軍に対してSLDFの技術優位を維持するために必要と、第一君主ジョナサンが主張したもの)が開発された。残念ながらピーターソン海軍大将は、これら技術が導入される前に降下船事故で死亡した。



イコロール・フレダサ大将(2707年〜2729年) General Ikolor Fredasa (2707-2729)

 ピーターソンの副司令官であったイコロール・フレダサ大将は、前任者の死後にSLDFの指揮をとり、1週間後に第一君主の追認を受けた。社交的で高圧的なフレダサは、前任者たちよりも知名度が高かった。なぜなら、政治、軍事メディアと同じく、上流階級担当記者の前に出ることがよくあったからだ。彼はSLDFの数多の改革と28世紀初期に配備された新技術で賞賛されたものの、大半はピーターソン海軍大将が着手したものだった。うぬぼれが強く、他人の功績を奪いたがるにも関わらず、フレダサは思慮深く知的な指揮官であり、星間連盟の理想に献身したが、彼の忠誠心は第一君主よりも星間連盟に向かっていたのである。

 結果として、ジョナサン・キャメロンの精神的不安定が明らかになると、フレダサは動くことを選び、ジョナサンの代わりとして妹のジョカスタを据えようと画策した。このクーデターは失敗した――フレダサと共謀者数名が処刑された――のだが、多くの点で彼の奮闘は成功していた。ジョカスタ・キャメロンが事実上の共同第一君主となり、星間連盟を破滅から救ったのである。



レベッカ・フェトラドラル大将(2729年〜2738年) General Rebecca Fetladral (2729-2738)

 長年にわたるジョナサン・キャメロンの友人であったレベッカ・フェトラドラルは、汚名を負ったフレダサの後任として自然な選択であった。彼女の短い任期は劇的なものであり、SLDFが拡大して新技術が生まれただけでなく、SDSシステムと多数のキャッスルブライアンが完成した。彼女はまた、演習だけでなく、ダヴィオン継承権戦争で両軍を引き離すなど平和維持活動でも、SLDFを高い作戦準備状態に保った。彼女の好戦的なスタンス(個人的な決意と、第一君主の星間連盟に災厄が降りかかるという未来像の組み合わせ)は、王家君主たちのあいだでまったく人気がなかった。彼らはSLDFが「力こぶを作る」のを非難し、よってフェトラドラル大将と評議会のあいだではほとんどいつも小競り合いが発生した。

 ジョナサンが死んでサイモン・キャメロンが後を継ぐと、フェトラドラルは辞任して、副司令官をSLDFの指揮に推薦した。



アレクサンドル・ケレンスキー大将(2729年〜2738年) General Aleksandr Kerensky (2738-2802)

 SLDFを引き受けた時点で若干38歳だったアレクサンドル・ケレンスキーは、戦争と政治的紛争を目の当たりにし、自らの義務を果たす決意を固めた。ナーゲルリンク卒の彼は、フェトラドラル大将の引退に際してSLDFの指揮を引き継ぎ、即座に弱い連結部分を選別するキャンペーンに乗り出した。2740年の軍事オリンピックを中止にしたのは、彼の本気の最初の現れであり、先見の明を見せた瞬間でもあった――第三次秘匿戦争が勃発するとすぐに演習ではなく本物の危機に対応するSLDF師団、連隊が必要となったのである。

 ケレンスキー大将の遺産の最高到達点は、疑いようもなく第一君主リチャード・キャメロンの摂政となったことである。第一君主サイモン・キャメロンの死後、少数派だった時期にこの若者の監督を引き受けたケレンスキーは、若きリチャードの教育にとって不可欠な存在であった。リチャードが第一君主の座につくと、ケレンスキーは辺境に広まる社会不安に注意を向けた。








第1軍 FIRST ARMY

 星間連盟防衛軍の第1軍は、SLDFのエリートである。地球軍事区唯一の防衛部隊である彼らは帝国の防衛に全身を捧げている。第1軍団への配属はすべての師団、連隊指揮官が望む成功であり、師団のおよそ70パーセントが5年かあるいはもっと早く、ローテーションのスケジュールで他の配置に回される。彼らはホームライン要塞群での防衛を身につけるため激しく訓練され、機動侵攻に対応するため第1、第2艦隊と定期的に演習を行う。

 2757年、第1軍は地球帝国防衛のテストを意図した一連の演習、パースウェイシブ・フォースで侵略側と戦った。SLDF3個軍相当の統合戦力が最終的に第1軍の防衛を破ったのだが、第1軍の全3個軍団は下された指令を達成していた……結局のところ、帝国に侵略するためにSLDF3個軍相当の戦力を集められる軍隊は他に存在しないのである。

 帝国内でのその立場から、第1軍の正規師団でさえ、たいていは平均より優れた装備を持っている。普段は親衛部隊用の装備を生産しているハイテク工場を利用して、旧式マシンを現代の標準にアップグレードし、たとえ超先進の親衛部隊には及ばないとしても、加盟国家の軍隊よりはまだ数光年先を行っているのである。事実、このほぼ標準的なアップグレード手順は、師団群が2年ごとに第1軍をローテーションする理由の一つとなっている。



司令部 COMMAND

 サイナ・コゴ中将は親衛司令部の元長官であり、2760年にドシェヴィラーの後釜として第1軍の指揮をとるまでは、第191親衛バトルメック師団、第X軍団を指揮していた。彼女はニューアース軍事学校とガンスリンガー・プログラムを卒業し、2748年、自由世界宙域辺境の海賊前哨地に連隊を率いることで頭角を現した。正規の訴訟は行われなかったのだが、1個カペラ連隊が認可外で活動しているとJAG法務部を満足させるだけの証拠を集めたのだった。コゴは昇進し、勇士勲章を授与された。

 第1軍司令官としてコゴ中将は地球で半年を過ごし、第I軍団の展開を監督し、最高司令部と会議を行った。惑星外にいるときは、第X軍団、第XXI軍団の司令部を訪ねるか、第1、第2艦隊の演習を視察する。地球の宮廷が注目しているにもかかわらず、彼女は帝国に対する責務を真剣に考えている。



戦略概要 STRATEGIC OVERVIEW

 不定期の海賊襲撃をのぞいて、星間連盟の創設以来、帝国の安全に対する深刻な脅威は存在しない。時折、星間連盟加盟国の間で緊張が高まるものの、再統合戦争以来、SLDFはあからさまな軍事的攻撃を阻止するに足るほど強力なのである。だが、第三次秘匿戦争以降、いずこかの間抜けな加盟国の軍隊が非公認の兵士を使って帝国を攻撃するのに備えて、第1軍は有事の準備を進めていた。

 しかし、辺境が不穏になりつつあることで、正規軍司令部はさらなる兵士を探すこととなり、自然と第1軍は戦力引き抜きの候補となった。帝国にとって重要だったにもかかわらず、高度に訓練された第1軍の兵士たちは拡大する戦火をとどめるほどに精強なのである。コゴ中将はそのような再配置に強く反対しているのだが、正規軍と海軍の計画戦略副司令部は再配置計画の策定を開始している。

 この措置に対するいくらかの支援が、第一君主リチャードの「人類の故郷防衛協定」という形でもたらされた。これは、もし必要なら、辺境世界共和国の兵士たちが帝国内で任務に就くのを規定したものである。コゴ中将は公には第一君主の決断を支持するように気を配っているが、彼女の個人的な書状にはこの考えに対する本物の恐怖が表れている。



作戦 OPERATIONS

 第1軍の作戦テンポはほとんど絶え間ない訓練の一つである。コゴ中将は最高レベルの即応態勢にあると力説しており、軍団の司令官たちはこれに強く同意している。地球軍事区で本当の戦争はほとんど起きていないのだが、他地区の各軍を支援するため第XXI軍団の国境線にいる部隊がホームラインを横切って移動するのは珍しいことではない。全SLDFの筆頭軍として、第1軍はパレードと演習に時間を費やしている――それは師団長たちが部隊を訓練し、規律と軍事的誇りを植え付けるのに必要な行事なのだった。







第I軍団 I CORPS

 第I軍団はSLDFで最も名高い軍団であり、地球星系を守るというただひとつの責務を負っていることから、よく地球軍団と呼ばれる。この第1星間連盟軍団は、シャンドラ・ノラフ=キャメロンによって作られ、エリートの隊員たちは再統合戦争のスタート時にタウラス連合への強襲の先陣に立った。第I軍団こそが、エイモス・フォーラフの指揮の下で、ニューファンデンベルクの守備を下して、占領し、惑星タウラスへのドアを開いたその部隊なのである。

 現代においては、第I軍団はスターガード軍団の地球と星系を守るという責務を引き継いでいる。第I軍団への配属は士官にとってキャリアの頂点であり、軍団の下士官兵たちは最高のプロフェッショナルで忠誠心が高い。第I軍団の古参兵たちは任期が終わると地球で引退し、惑星上の予備兵をさらに増やすのであった。



司令部 COMMAND

 サー・ローレンス・シェリダン少将が、サリナスのカンザス・キャッスルブライアンから第I軍団を指揮している。キャメロン家のお気に入りであるシェリダン少将は、2751年以来このポストにあり、SLDFの軍団指揮官で最長の勤務の例となっている。2758年に彼を配置転換し、代わりに第XXI軍団司令のドシェヴィラー中将をつけるという試みがあったが、キャメロン家の後援によって妨げられた。キャメロン一族の避けられぬ力に屈したケレンスキー将軍は、命令を撤回し、シェリダンに指揮を続ける許可を出した。代わりに、ケレンスキーはドシェヴィラーを第1軍司令官に昇進させた。これはシェリダンを鼻であしらい、キャメロン家に対する反抗の意思であると多くは見ている。

 コネ起用にも関わらず、サー・ローレンスは才能ある軍団司令であり、任務を完全に全うするだけの能力を有している。彼はコゴ中将(指揮するはずだった部隊を奪われたと感じている)と軋轢があることで知られているが、任務に支障が出るのを許してはいない。



兵站 LOGISTICS

 星間連盟中枢の駐屯部隊として、第I軍団は何も求めることがない。地球の巨大な工廠が1個軍団が使うより遙かに多い物資を生産し、また帝国周辺のバトルメック、戦闘機製造業者が定期的に試験用の新型機を送ってくるのである(補給部の購買担当者の目を引いて、選ばれることを望んでいる)。

 第I軍団の任務の一つは、20ある地球のキャッスルブライアンを回って、備蓄と消耗品が使用可能であるのを確認することである。この任務は地球RCTの4個連隊が実行することが多いが、演習の際には各師団が少なくともひとつのキャッスルブライアンを巡ることがよくある。

 完全な2個親衛バトルメック師団を持つ第I軍団の兵站は、たいていの軍団よりも親衛司令部を通しているのだが、それが軍団の成績に影響することはない。シェリダン少将のIIa(補給科)は親衛司令部の補給担当者とつきあうのに慣れている以上のものがあるのだ。



独立連隊 INDEPENDENT REGIMENTS

 第I軍団の独立連隊は活発な連隊群で、第I軍団の他部隊と第1、第2艦隊向けに攻撃をシミュレートするため、地球星系内を移動している。第34親衛CAAN海兵連隊と第406戦闘連隊は、名目上、地球の環太平洋沿岸を基地としているが、一年の内何ヶ月も兵舎を離れて過ごしている。

 第277軽機兵連隊、第138装甲機兵連隊、第118竜機兵連隊、第593打撃連隊は、永続的に地球連隊戦闘団に所属している。この4個連隊からなる部隊は、第I軍団各師団のアグレッサー部隊になっていることが多いが、任務のためにしばしば火星、金星を巡る。大半が軽機兵連隊で構成される他RCTと違って、地球RCTはいくつかの等級の連隊で作られ、戦術にバラエティを与えている。

 第269独立航空大隊もまた直接第I軍団に所属しており、敵が予測していないかもしれない強力な予備航空戦力を与える。サー・ローレンスはパースウェイシブ・フォース作戦の際にこの航空大隊を獲得しており、これまでのところ持ち続けるのに成功している。



第48親衛バトルメック師団(ゴリアテ師団) 48TH ROYAL BATTLEMECH DIVISION (The Goliath Division)
指揮官: サー・チャールズ・ラデスク少将

 ゴリアテ師団は第I軍団の主力攻勢師団である。(ありそうにない地球攻撃における)その任務は機動部隊として出来うる限り動き続けることである。そういうものとして、ゴリアテ師団は地球上の任地を六ヶ月ごとに移動して、周囲の地形について詳しく学んでいる。士官たちは盤上の戦術演習をほとんど常に行い、ラデスク少将は毎年少なくとも4つの問題点を洗い出すように命じている。

 チャールズ・ラデスク少将(ナイト・オブ・ソードの一員)は2758年からゴリアテ師団を指揮しており、師団を地球以外に配置するという提案を拒否し続けている。彼は地球の防衛を個人的な使命と見ている……ほとんど強迫観念であるにも関わらず、親衛司令部は彼を司令官の座に置き続けている。結局のところ、それは彼の使命なのである。



第191親衛バトルメック師団 (ザヴィヤヴァ師団)  191ST ROYAL BATTLEMECH DIVISION (The Zavijava Division)
指揮官: エステバン・グリーン少将

 ザヴィヤヴァ師団は2720年から主力防衛戦力として北アメリカに配置されている。この師団の司令部はフォートノックスにあるが、各旅団はこの大陸のキャッスルブライアンに展開中である。例外はもちろん、ユニティシティの星間連盟宮殿に配備される親衛ブラックウォッチ連隊である。

 ブラックウォッチは第一君主の護衛連隊である。この部隊はいまだ諸兵科連合を中心に作られている数少ない正規連隊の一つである……2個メック大隊が重火力を供給し、正規軍、海軍海兵隊から引き抜かれた1個歩兵大隊が警備を行う。1個地上航空大隊もまた連隊に所属する。ブラックウォッチは、どこであろうとも第一君主と一族の護衛を行う。



第89ジャンプ歩兵師団 (ガッチャス)  89TH JUMP INFANTRY DIVISION(The Gotchas)
指揮官: アドリアンヌ・ド・ジャック少将

 ガッチャスは即応部隊で、第48親衛バトルメック師団が招集を行って侵略者を叩きのめすまで、足止めするよう設計されている。そのようなものとして、この師団は1個連隊を常時12時間体制で待機させている。ド・ジャック少将は、指揮統制が反応時間を越えると信じて、司令部をユニティシティのシタデルに置き続けている。

 第892旅団は完全な空中機動部隊である。各旅団の3個ジャンプ歩兵連隊はパラトループ連隊に認定されており、戦術的展開(ティルトウィングVTOL機に搭乗)、戦略的展開(準軌道小輸送艇を使用)両方の訓練を行っている。パースウェイシブ・フォース作戦の最終段階において、第892はものの数時間でサンフランシスコからマニラに再展開し、攻撃側の背後に展開して、前進を止めたのだった。



第175ジャンプ歩兵師団 (ルソン・ナイファーズ)  175TH JUMP INFANTRY DIVISION (The Luzon Knifers)
指揮官: ゲンナジー・チャパエフ少将

 ガッチャスと同じようにルソン・ナイファーズは地球の安全を脅かすあらゆる侵攻に、素早く対応する任務を帯びているが、第89師団が地球内での展開に主眼を置いている一方で、第175師団は火星に重点を置いている。必要に応じて太陽系のどこにでも師団を運ぶため、強襲降下船と兵員輸送船の常設艦隊が維持されており、師団の幕僚たちが両ジャンプポイントに常駐して早期警戒と任務の割り当てを行う。

 その任務の性質上、両歩兵師団はゼロGと真空での戦闘を訓練している。この師団のメック旅団はジャンプ可能なバトルメックを完全に装備しており、火星の低い重力を最大限に利用する訓練をしている。訓練での事故率は平均以上であるが、師団を鍛え続けるためのコストとしてチャパエフ少将は受け入れている。



第156機械化歩兵師団 (ステラー・ウィンド)  156TH MECHANIZED INFANTRY DIVISION (Stellar Wind)
指揮官: ラナ・アマラパーヴァティ少将

 カイロ・キャッスルブライアンに陣取る第156MIはアフリカ大陸と小アジアの防衛を託されている。アマラパーヴァティ少将の兵士たちは、最近地球に到着し(2763年に第14軍での勤務から戻った)、いまだこの要塞に慣れている最中である。

 第1561旅団は2個大隊分の戦力が低下している。2763年後半、第1734戦闘連隊は軌道降下の練習を行い、2個大隊の輸送船が軌道で衝突した。両船の総員が失われ、第I軍団が過去10年で被った最大の損失となった。法務司令部の調査は、降下船のパイロットの一人が、よその船の降下進路に迷い込んだと結論づけた。旅団の指揮官はこの理由に安堵し、第1734連隊の大佐は早期退職を受け入れた。



第290機械化歩兵師団 (ハンマーアンドネイル)  290TH MECHANIZED INFANTRY DIVISION (Hammer and Nails)
指揮官: ブリアナ・フォード少将

 第290機械化歩兵師団は第I軍団のトラブルシューター師団である。ほとんどいつも旅団サイズのタスクグループに分割し、地球RCTやその他の独立連隊には大きすぎる任務をこなしている。2764年前半以来、第2901旅団はタイタンに配備され、タイタン造船所の地上インフラを支えている。第2902旅団は南極大陸を拠点とし、密輸業者の積み替え倉庫を探している。

 第2903旅団は小惑星帯の企業定期船に分散し、ベルター民衆による海賊行為を取り締まろうとしている。シェリダン少将は第269独立航空大隊を第2903旅団に派遣したが、重航空宇宙支援があってもなお、小惑星帯は効率的に巡回するには広すぎるのである。




indexに戻る
inserted by FC2 system