indexに戻る
作成:2002/02/08
更新:2013/09/28

エリダニ軽機隊



 Classic BattleTechより。
 ウルフ竜機兵団、ケルハウンドに匹敵する知名度と能力のある傭兵部隊でしょう。
 彼らはSLDF(星間連盟正規軍)に所属していましたが、本拠地のラサルハグから離れがたく、ケレンスキー将軍のエクソダスに同行しませんでした。今でも頑固なまでにSLDFの伝統を守り続けています。
 日本語版「メックウォリアーRPG」には1個連隊と書かれていますが、実際には3個連隊です。



エリダニ軽機隊
Eridani Light Horse

傭兵部隊(恒星連邦所属)

司令官:ネイサン・アームストロング名誉将軍
財政状況:良好
契約期限:3027年 11月
部隊規模:3個連隊
熟練度:古参兵(第71軽機連隊)
    古参兵(第21打撃連隊)
    エリート(第151軽機連隊)
戦車隊:あり
歩兵隊:あり
降下船:あり
航宙艦:あり
メック重量:軽量/中量級
気圏戦闘機重量:中量級




星間連盟防衛軍第3RCT; エリダニ軽機隊





第1連隊戦闘団の結成 Formation of the First Regimental Combat Teams:

 2651年、第一君主キャメロンは、演習として星間連盟軍の数個連隊を辺境世界共和国に送り込んだ。演習を視察した軍事分析家は、5個連隊に統率が欠けており、軍部内での対立があり、一般的な常識が欠けていると批判した報告書を提出した。第一君主の怒りを避けるため、軍最高司令部はすばやく数個連隊を連隊戦闘団に組織した。

 連体内での統率を深めるよう組織された彼ら(RCTsとして知られるようになった)は、4個連隊と1個支援部隊、輸送隊からなっていた。一人の士官(たいていは4個連隊で最も経験を積んだ指導者)が、共通の目的のため働くように4個連隊を訓練した。RCTsは、他の軍事構成と異なり、星間連盟の一区域に恒久的に配置された。そこで部隊は担当領域に精通し、親密な感情を持つようになったのである。これは彼らの利点になると推定された。



第3連隊戦闘団 The 3rd Regimental Combat Team

 2702年に結成された第3連隊戦闘団は、2個打撃連隊と2個軽機連隊で構成されている。第3RCTは、辺境の近くに配置されており、戦闘で自らの能力を示す機会がほとんどないにもかかわらず、常に訓練を行っている。士官たちは軍事的外交に熟達するようになった。クリタのプロパガンダ(彼らが占領軍以上のものではないとするもの)を交わす必要が、しばしばあったからだ。

 そのあいだ、マイケル・キャメロンが行った2650年の布告は、苦々しい実を結んだ。布告は王家に対して、大々的な軍備の削減を求めていた。その結果、クリタの数千人のメック戦士が、浪人となったのである(浪人とは主人を持たないサムライのことで、戦争の他には何も知らない)。他に彼らの技術を見せる手段がなかったため、彼らは互いに決闘で戦うようになり、それがドラコ連合内のブシドー戦士文化の再起を促したのである。これら浪人の多くが、精鋭のチャンピオンとなり、勇敢で名誉ある戦いによって、クリタの数百の世界にわたって尊敬されることとなったのである。

 2681年までに、もっと大きな挑戦の必要を感じたチャンピオンたちは、連合内でのもめ事に介入していた星間連盟に対して、政治的な声明を打ちだし始めた。彼らはメックとともに星間連盟の基地の隅々までねり歩き、「本当の戦士」と戦うために、SLDFの兵隊に挑戦を挑んだ。最初は乗り気でなかったキャメロンは、最終的に政治的プレッシャーと軍のプライドに負け、部下の兵士たちにこれらの決闘を受け入れる暗黙の許可を与えた。彼の最悪のおそれが現実化した。連合のチャンピオンは、星間連盟の最高の戦士を常にうち倒し、しばしば殺したのである。

 第3RCTが組織されるまでに、これらの決闘は20年近く続いていた。部隊は主にドラコ連合のスカンジナビアラサルハグ軍管区に配置されていた――この地域の民衆は常に反乱を煽られ、タキロー・クリタ大統領は暴動の可能性に怯えていた。SLDFは地元の守備隊より強力だと見られていた。クリタはラサルハグに矛先を向けた挑戦の準備を調えた。(SLDFに勝てば)民衆を充分に怖がらせることになると予期していたのだ。

 大統領が知ることができなかったのは、ガンスリンガープログラム最良の卒業生たちが、第3RCTに意図的に配分されていたことである。クリタの浪人と決闘することに特化して訓練されたガンスリンガー(ガンマン)たちは、一対一の戦いにおいて、まさに星間連盟防衛軍の白眉であった。2751年に決闘の実施が停止されるまでに、第3RCTは48の挑戦のうち、30の素晴らしい勝利を得て、10を引き分けたのである――この事実によって、クリタの愛国者たちは、彼らを受け入れることがなかった。他方では、(SLDFが)勝利を記録したときに、部隊の名誉をたたえるため、群衆がラサルハグ全惑星の通りでスウェーデン語の自由のスローガンを持ち、暴動鎮圧軍に蹴散らされるまでデモに参加したのである。大統領は彼の策略の結果に満足できなかったと考えられている。

 第3RCTから出現した最高のガンスリンガーは、カイル・セッションズ少佐である。彼はワイバーン級バトルメックを駆り、17の勝利を収め、2735年に引退するまで、たった一度の敗北を被っただけだった。



「エリダニ軽機隊」:功成る "Eridani Light Horse": Earning the Spurs

 しかしながら、勝利はしばしば高くつく。部隊と地元政府の対立は高まり、2749年、ラサルハグ国王の雇ったテロリストにより、第3RCTの司令官が暗殺される状況で沸点に達した。全4個連隊が動員され、不意をついて、地区内の全10世界の主要都市を占領した。23日間、バトルメックは都市を巡回し、ドラコ軍によるルシエンからの攻撃を待った。

 国王がエリダニのトロントハイム市に兵員を急送したとき、第3RCTのよく訓練された部隊が、問題なく彼らを追い払った。「エリダニ軽機隊」というあだ名は、彼らのシンパだったジャーナリストから受け取った。RCTのバトルメックが連合部隊を追い散らしたのを、彼は「エリダニの種牡馬が、ルシエンの太った不器用な牛を、元気に追い回した」とリポートした。この屈辱のあとで、ラサルハグ国王は、暗殺者を逮捕し、審理し、素早い裁判後に処刑するしかなかった。暗殺がドラコ連合に直接関係がある証拠として、タキロー・クリタ大統領は、彼の衝動的な配下を支持しようとはしなかったが、歴国王に取って代わろうともしなかった。しかしながら、この出来事は事態がまもなく全面的な事態に発展する前兆に過ぎなかった――星間連盟それ自体に危機が忍び寄っていたのだ。



隠れた戦争 Hidden Wars

 ラサルハグの国王の危機は、第一君主が死んだというニュースによって引き起こされた混乱のなかで、すぐさま色あせていった。第一君主サイモン・キャメロンは、2751年の2月、鉱業用ロボットによる異常な事故で殺された。彼の息子であるリチャードは8歳の子供に過ぎず、第一君主の座に収まるには10年早かった。この年月を使って、王家の君主たちは、彼らの力と地位を強化する策謀に動き始めた。最高議会によって摂政に命じられたSLDF司令官アレクサンドル・ケレンスキーが、政治的な陰謀、究極的には暴力を止めるためにできることはほとんどなかったのである。

 新たに名を授かったエリダニ軽機隊は、王家の国境にまたがる他の多くの部隊と同じように、小規模な宣戦布告なしの「海賊的襲撃」を1ダース捕らえた。その際に、急きょ塗装し直されたバトルメック、プロフェッショナルな戦術、そして戦艦が使用された。これらのなかで最悪だった事例は、第21打撃連隊に起きたものだ。クリタの守備隊がシュタイナーの攻撃から逃れるため、第21隊に強化基地の使用許可を求めたのだが、彼らは拒絶した。その拒絶に怒ったクリタの司令官は、第21隊を「反逆者」と呼び、基地への強襲を命じた。攻撃中止命令が出される前に、クリタの重戦車6両が破壊された。



第二次再統合戦争 The Second Reunification War

 そのあいだ、辺境でますます多くの税金と関税が、遠く離れた王家の利益のために徴収され、辺境での動乱はコントロールできなくなり拡大していった。破壊活動家は、SLDF基地、人員への攻撃を始めた。リチャード・キャメロンが成年に達し、第一君主となるまでに、星間連盟「占領軍」への宣戦布告なき戦争は、タウラス連合、カノープス統一政体、そしてより小さな外世界同盟へとわたって、猛威を振るった。

 キャメロンによる2763年の徴税布告で、辺境市民への負担はさらに増し、もはや我慢の限界となった。次の2年で、辺境での暴力が吹き上がり、そして2765年の1月13日、あるテロリストがタウラスの世界ピナードのシンプソン基地に、核兵器を撃ち込み、爆破、SLDF第265重強襲連隊を殲滅させた。18のタウラスの世界がすぐに星間連盟から脱退した。ケレンスキー将軍は、ニューヴァンデンバーグのタウラス軍と交渉しようと試みたのだが、タウラスとSLDF部隊の間の誤解が大規模な戦闘に発展してしまい、失敗することとなった。辺境全域で(ステファンの辺境世界共和国を除いて)、大規模な反乱が爆発した。

 不自然にも、辺境世界共和国の近くに配置されていたエリダニは、すぐに動員され、中心領域の反対側に送られた。そして2765年の終わりに、最初の大規模な戦闘降下を行った。第16機械化歩兵師団のメグレス撤退を援護するためであった。その年が終わるまでの間、RCTの連隊は、さまざまな世界において、大規模な部隊のために、前衛−側面分隊として活動し、いかに敵を出し抜くか、裏をかくかを経験を通して学んだ。

 12月に、ケレンスキー将軍は、SLDF全部隊の辺境からの撤退を命令した。ニューヴァンデンバーグへの新たな行動を翌年に控え、再結集し準備するためであった。エリダニは軽部隊なので要塞強襲には適さないと考えられ、元々配置されていたラサルハグへと転属されることとなった。辺境世界は星間連盟への忠誠を公然と固く誓ったままだったが、ケレンスキーはアマリスを少しも信用せず、エリダニはどのような動きにも対応する障壁を意味していたのである。



簒奪との戦い Against the Usurper

 2766年の12月27日、第一君主リチャード・キャメロンはステファン・アマリスに撃ち殺された。アマリスの軍勢は、中心領域のまさに中心である地球を支配下に置いたのである。タウラス軍とまだ交戦していたケレンスキーは、5月にニューヴァンデンバーグ戦役が成功裏に終わったとの報告を送るまで、その事実を知らなかった。アマリスは満足そうに答えた。彼は自らを新たな第一君主と呼び、この狂人の所行に加わらなかった場合は殺すとケレンスキーを脅したのだ。

 ケレンスキーは、辺境の全交戦国との停戦を一方的に宣言することで、アマリスに返答した。全軍をアマリスの辺境世界共和国に向けるための命令だった。

 エリダニは、ケレンスキー将軍の軍勢がタウラス連合から帰ってくるのを待っているあいだ、簒奪軍に対する襲撃の準備をしていたが、ドラコ連合宙域からの攻撃展開は拒否された。SLDFは知らないことだったが、ミノル・クリタ大統領の家族はアマリスの手により人質に取られており、連合はアマリスに敵対的と思われる行動をとれなかったのだ。ケニオン・マーリック総帥とのあいだで行われた最初の白熱した話し合いのあとで、軽機隊は公式な作戦基地を自由世界同盟に移し、そこに腰を据え、ただちに作戦を始めた。

 軽機隊が簒奪軍に正面からはかなわないことを悟ったエズラ・ブラッドレー大佐(RCT司令官)は、一撃離脱(ヒットエンドラン)攻撃を行うと決めた。目標は、地球周辺で防備が弱く、襲撃によってアマリスの防衛の準備を分裂させることができると予想された世界だった。以前、第34近衛バトルメック師団が、命令に背き、彼らの本拠地であるエピルソンインディを支援なしで取り返そうとしたことがあった。結果、宙域防衛システム(SDS)によって彼らは殲滅されたのだった。ブラッドレー大佐はこの不気味な教訓を心に留め、SDSに守られた世界への攻撃は、一回あたり自動防御ドローン数機の破壊を目指した調査作戦に制限した。

 エリダニは全ての連隊戦闘団と同じく、小規模な戦艦隊を保有しており、アマリスの補給船団やSDSドローンを攻撃するのに何度も出撃させ、うまく使った。イージス重巡洋艦SLSペンドルトンと、護衛である駆逐艦(ローラIII級SLSアルキメデス)は、常に目標を驚かせ、士気をくじくために、創造的戦術を使った。ある地点において、(辺境世界)共和国の機動艦隊は、小惑星帯に隠れ、ELHの艦船を誘因するために輸送団を使うことで、形勢をひっくり返しかけた。定期的な外部船体チェックの報告の際に、技術者のミスによって無線の沈黙が破られさえしなかったら、この策略はうまくいったろう。共和国の戦闘機が群れとなって隠れ家から出てきたまさにそのとき、エリダニの艦船は交戦を避け、星系外にジャンプすることができたのだった。

 そのあいだ、エリダニの部隊は、アマリスが保有するどの世界にでも可能なら降下し、補給庫と輸送ネットワークを襲撃した。3個海兵隊連隊がいまだにカーヴァーVで戦っており、他の世界においても小規模な部隊がゲリラ作戦を行っていたのだが、彼らにとってエリダニからの定期的な補給が頼みの綱であった。

 秘密裏に、ライラ共和国と恒星連邦もエリダニを支援しており、SLDF基地へのアクセスを準備し、また撤退路を用意することで部隊は予期せぬ作戦行動をとれたのである。シュタイナー、マーリック、ダヴィオンは、互いに互いを信用してなく、そのことでアマリスに対してより直接的な戦争に関わることはなかったのであるが、補給、弾薬、重要な諜報レポートを提供していたのだった。



アミティの裏切り Treachery on Amity

 ブラッドレーの計画は大いなる成功を収めた……第19打撃連隊がアミティに降下するまでは。第19打撃連隊は、ニューアース上に多数存在するバトルメック工場のひとつで分断作戦の任務についていたとき、3個重簒奪者連隊の待ち伏せにかかったのである。第19打撃隊の最高司令部内にいたクリタの工作員が、アマリスに襲撃を内通した。人質に取られた状況を解決するために、大統領が行った「誠意」の努力であった。同様に、連合はトロントハイムでの敗北に対する宿恨と、ガンスリンガー決闘で多くの浪人が撃破されたことに対する宿恨を持っていたのである。クリタが名誉を軽んじたことについて、誰も非難をしなかった。

 大統領の努力に対する代償としてクリタの家族が解放されることはなかった――第19打撃隊は完全に完膚無きまでに破壊され、エリダニ軽機隊はこのような裏切り行為を水に流したりはしなかった。

 仕返しの誘惑に強くかられながらも、ブラッドレー大佐は、軽機隊がケレンスキー将軍やその軍隊と合流するまで、一撃離脱戦術を続けた。ケレンスキー将軍が、2772年に、アマリスの辺境世界共和国征服から帰ってきたとき、マーリックは、SLDFの人員がマーリック宙域を基地に使う許可を無効にした。この動き(ケレンスキーに対する過去の恨みを返したように見える)によって、生き残ったエリダニは、それまで成功していた襲撃作戦をやめざるを得なくなり、迫り来る本当の戦争に備えるため、正規軍に再加入した。その後、大いなる歓喜を持って、エリダニ軽機隊は、地球解放を頂点とする長い血塗られた戦闘のなかで、第19打撃連隊の損失に対する復讐を行った。



地球解放 Liberation of Terra

 皇帝アマリスは、2774年に、要塞か戦略的防衛システムで保護された世界へと、軍隊を限定的に撤退させて、戦略上の失態をしでかした。12の世界が自発的に放棄され、ケレンスキー将軍の手に渡った。そのうちのふたつは、地球へ一回のジャンプで到達できたのだ。さらに、カーヴァーV奪還で、大いに志気が上がった。3個海兵隊連隊は激しい抵抗にあいながらも、エリダニの補給の助けを借りて、なんとか持ちこたえたのだ。ゆっくりと、しかし確実に、簒奪者は追い込まれていった。

 共和国が確保していた領域への強襲、解放された地域の統合に3年を費やしたが、2777年1月の下旬、地球に対する最後の強襲の準備が完全に整った。人類発祥の地を囲む8つの世界から、帰還した軍隊が、復讐に燃えた波(戦艦、気圏戦闘機、バトルメック、戦車、歩兵からなる)のように押し寄せた――怒り狂ったSLDFは、自動ハイテク防衛装置(自殺防衛装置)によって、星間連盟の全てを汚した男から人類のゆりかごを取り戻すのが困難となった。

 無慈悲で野蛮で残忍な戦いは、2779年にステファン・アマリス自身の命令により、最後の同盟部隊が降伏するまで続いた。北アメリカで行われた最後の戦役で、常に最前線の近くにいた軽機隊は、直接参加することはなかったものの、軍団レベルの斥候、側面部隊として働き、星間連盟宮廷奪還の目撃者となった。ステファン・アマリスは二週間後、処刑部隊に殺された。ケレンスキー自身が射殺の命令を下した。



エクソダス Exodus

 戦争の10年は過ぎ去り、それは正規軍にとっても同様であった。驚異的な平均損失率75%で、SLDFは打ちのめされた。最終的に最高評議会が解散し、王家の間で全面的な戦争が激発したとき、ケレンスキーの残った軍隊では止めるのが不可能であるのは明らかだった。近い将来の戦闘で王家のひとつに荷担するよりはと、年老いたケレンスキーは軍とともに中心領域を離れる準備を始めた。

 評議員たちが星間連盟の支配権を争っていたあいだ、エリダニ軽機隊はラサルハグ軍管区に帰還して、中立のままであろうと努力した。星間連盟を再生するために、ケレンスキー将軍から招集されるのを根気よく待った。

 しかしながら、いざ招集されると、その召喚命令は、残った星間連盟軍に加入し、永久に内地から離れるためのものだったのだ。エリダニはラサルハグの本拠地から出ていくことが出来なかった――彼らは友人や家から離れがたく感じるのと同様に、星間連盟から離れるのにも抵抗を感じていたのだ。第3RCTの数個小隊だけが、星間連盟を出ると決めた。第82重機兵大隊(ケレンスキー自身が指揮していたこともあった)の全軍は、残留を決めるまでに30分を使っただけだった。ブラッドレー大佐は、遺憾のコミュニケをケレンスキー将軍に送った。軽機隊は、星間連盟とケレンスキー将軍の双方に永遠の忠誠を誓い、その場に残り、星間連盟装甲軍の伝統を支えることを伝えた。

 2784年10月5日、脱出艦隊(エクソダスフリート)は、ニューサマルカンドから未知の辺境へとジャンプしていった。それから3世紀近く、彼らの姿を見たものはない。その日から、第3RCTは星間連盟の旗を降ろし、エリダニ部隊の標準的な半旗を下げたのである。そのような行動は、部隊の伝統のひとつとして、現在でも息づいている。



第一次継承権戦争  The First Succession War

 ケレンスキーがエクソダスしたあとの劫火のなか、軽機隊は騒ぎから距離を置いていた。ミノル・クリタ(ドラコ連合大統領)はブラッドレー大佐に対し、何度も雇用契約を申し出た。ブラッドレー大佐はその提案を拒絶した。彼の言葉によると、軽機隊は「小国家の、5人の小政治家」に従う意志などなく、ケレンスキー将軍の帰還にのみ関心を抱いていた。ミノルは部隊との取引を中止すると脅したときにだけ、軽機隊司令官の気を引くことができた。長い交渉により、両者は相互防衛、不可侵を取り決めた。エリダニ軽機隊がその惑星を防衛し、クリタに反抗しない限り、彼らがクリタ領内に存在することを認めた。

 軽機隊はライラ共和国による本拠地惑星への試験的な攻勢を簡単に処理した。しかしながら、ドラコ連合の反対側国境で、クリタは恒星連邦により災害的な被害を受けた。ケンタレスIVの戦いにおいて、ミノル・クリタは殺され、その狂気に満ちた息子ジンジローが跡を継いだ。2796年、ジンジローは約5200万人の民間人を虐殺し、父の死に対する復讐を行った。



撤兵  Evacuation

 ケンタレス大虐殺を聞き及んだあとで、軽機隊の部隊司令官は移動の準備を始めた。部隊の指揮官から未経験な隊員まで誰もが彼らの星から離れることをいやがったものの、隊員のほとんどは精神疾患的なジンジローとの対決が避けられないことに気づいていた。

 2798年までにエリダニ軽機隊のほとんどが行動を開始し、第8偵察大隊と第50重機兵大隊の扶養家族が惑星センダイを離れるのを待っていた。センダイの管理官は、部隊が惑星を放棄することに怒っており、彼らの家族を人質に取り、全部隊が武器を置いて彼に従うことを要求したのである。武装解除の最終期限が守られなかった場合は、2000人の扶養家族を処刑しろと部下に命じていた。

 これに激怒した第8、第50大隊が惑星に降り立った。結果的に戦いは一週間続き、すべての政府職員とドラコ連合のバトルメックが追いつめられ虐殺されて終わった。ラサルハグ軍管区内の近隣の惑星から軍勢が姿を現したが、管理官の行為を知らされると、すぐに撤退していった。第8、第50大隊が帰還した。この2部隊の士官たちは命令外で動いていたのだが、ブラッドレー大佐は彼らの辞職願いを受理しなかった。今日、第50重機兵隊(「血まみれ50」とあだ名されている)と第8偵察大隊は、軽機隊の扶養家族を守る伝統がある。

 センダイを離れたあとで、エリダニ軽機隊は中心領域を横切り、自由世界同盟に入った。マーリックは傭兵契約が合意するまで滞在する場所をすぐに与えた。ブラッドレー大佐は、部隊の家族のための安全な惑星、安定した資源供給、妥当な支払いと引き替えに、自由世界同盟への忠誠を誓った



第二次継承権戦争  The Second Succession War

 次の30年間、エリダニ軽機隊はマーリックによる攻撃のなかで突出した活躍を見せ、ライラ保有領への攻撃の急先鋒となった。2853年のうちに、部隊はイリアンとモルゲスを奪い取り、一時的にコンパス座連邦を征服した。また彼らはクリタによる強襲から惑星ダナイスを守ったことで知られるようになった。デュドネは2860年の主な襲撃目標だった。ELH(エリダニ軽機隊)はライラの重メックに深刻な損害を与え、惑星上の工業施設のいくつかを破壊した。その後の2862年、重マーリック連隊に支援されながら、軽機隊は自由世界同盟のために惑星イリオンを獲得した。

 ライラ共和国の部隊は、軽機隊による魔法のような機動戦術で損害を被っていたにもかかわらず、彼らが名誉ある戦闘を求め続けることに対して尊敬せずにはいられなかった。部隊が戦闘で負けなければならない場合、軽機隊に負けるのがベストだと有名になった。



地位争い Dissension in the Ranks

 2866年、第三次継承権戦争が勃発。エリダニ軽機隊司令官ブロンソン大佐は、自由世界同盟と再交渉した。エリダニ軽機隊の働きに満足していた同盟議会は、軽機隊に有利な契約を結び、称号と補給所にアクセスする権利を与えた。

 この新しい契約は星間連盟の伝統に対する侵害でないかと、疑問を投げかけた隊員がいた。まるで傭兵部隊のように、ブロンソン大佐がエリダニ軽機隊を売り払ってしまったと彼らは感じた。第151連隊のジョンソン司令官が、異議派のリーダーとなった。しかしながら、ブロンソン大佐は、反対勢力を無視し、また星間連盟の伝統をも無視した。

 2869年、ジョンソン司令官と第151連隊は自由世界同盟を離れ、辺境に向かった。多数派である他の2個連隊も彼らに従った。ブロンソン大佐に残されたのは、家族、忠実な士官、忠実な2個小隊だけであった。部隊は小さくなってしまった。しかし財源的に豊かだったので、自由世界同盟周辺の辺境から澱のような人材を集め、傭兵隊に編入した。



名誉回復  Return to Duty

 傭兵生活から離れた軽機隊は、辺境において資源不足の状況が徐々に悪化していった。取引ができず、部隊は生き残るために貧弱な土地の耕作に頼らねばならなかった。2871年、蛮王軍の連隊がエリダニの補給基地を襲った。エリダニ軽機隊は襲撃者たちを撃退したが、蛮王軍は補給部品を破壊するか、すでに運び去っていた。

 軽機隊の士官たちは差し迫った危機を回避するため何日も協議した。最終的に、星間連盟の名誉と伝統を守るため、傭兵になることで妥協が果たされた。軽機隊は、星間連盟のシステムを踏襲し、その精神を忘れないようにした。すべてが決まったあとで、ジョンソン大佐は契約のため、ライラ共和国へ赴いた。シュタイナーはジョンソン大佐の申し出を受け入れ、部隊の一族のために惑星を与えた。エリダニの領地となったニューカールスルーへ移動中、不幸にもジョンソン大佐は死亡した。後継者となったジェニファー・ダークソンは名誉将軍を名乗った。3個連隊に威信をしめすためであり、またエリダニの伝統を忘れ傭兵的な考えに陥ったとき、すぐ辞職するためでもあった。

 2872年から2945年まで、エリダニ軽機隊はライラ共和国のためにクリタ国境を守った。中心領域内に彼らの勇名が広がっていった。クリタの軍隊は、エリダニの「早足に駆ける褐色の馬」のマークを畏れるようになった。

 2900年、第151軽機連隊が、クリタ家の支配する惑星ラダラーに降下した。この星には、わずか1個大隊の守備隊しかいないと予想されていた。オウプツモン、ティエル、ニューフライスブルグの3都市を素早く制圧したところで、第6、第8偵察大隊が、クリタの精鋭プロセルピナ戦闘部隊に遭遇した。プロセルピナ戦闘部隊は、エリダニの2個偵察大隊と、ニューフライスブルグで野営中の第50重機兵大隊を分断し、都市を包囲した。2個偵察大隊はプロセルピナ戦闘部隊を襲撃するだけの戦力がなかった。よって一撃離脱戦法を繰り返しクリタ軍を痛めつけた。結果、ニューフライスブルグを包囲していたプロセルピナ戦闘部隊は、相当に消耗した。第50重機兵大隊は包囲を突破し、降下船の待つ、オウプツモンへと引き返すことができた。その気迫溢れる戦い振りから第151軽機連隊は「黒馬連隊」という愛称を獲得した。



タマラー戦  Tamar Gambit

 2915年3月、ELHの第82重機兵大隊と第17偵察大隊が、シュタイナー4個連隊とともに、惑星タマラー防衛に駆けつけた。攻撃側のクリタ軍は精鋭第2〈光の剣〉連隊を含む15個連隊である。初期の複雑で心理学的な策謀は、シュタイナー軍を動揺させたかに見え、「リチャード中隊の攻撃」で知られる戦術テキストの不名誉な強襲の例となってしまった。しかしながら軽機隊は動かされず、雇用主が魔力を振り払うまで位置を保った。ドラコ軍が降りてから7ヶ月後、彼らは惑星撤退を余儀なくされた、タチアナ・シュタイナー国家主席は大胆な新しい計画を作り上げ、惑星防衛を指揮した。

 クリタが自軍の損害をELHの責任にすることをタチアナは正確に推測して、彼らに撤退を命じ、その動きを隠そうとしなかった。はたして、惑星を奪うための二度目の攻撃が始まったが、折良く近くの星系から援軍がやってきて阻止されただけだった。エリダニ自慢の機動力は、軽メックが欠けているシュタイナーの部隊とうまく結びつき、将来の攻撃でうまく補強されることとなった。このおとり戦術は著しく効果的で、ELHが共和国から離れるまで続けられた。



卑劣な背信  Treason Most Foul

 しかしすべてがうまくいったわけではない。2924年、エリダニ第50重機兵大隊がいたにも関わらず、共和国は惑星ウイングで自由世界同盟に敗北した。精鋭の「血まみれ50」は、前進するマーリックの「鷲」を防げなかったのだ。この成功でマーリックはさらなる襲撃をはじめ、刺激されたシュタイナーは報復攻撃に走った。

 報復攻撃のうちひとつは苦いものとなり、恐ろしい結果を引き起こした。敵に出し抜かれた第12ライラ正規軍は、激しく打ちのめされ、大勢のメック戦士が捕虜となった。この中にはミハイル・テルトレン大尉がいた。彼はねじ曲がった「ビジネス倫理」の個人的感覚を持っており、裏切り者としてマーリック家に仕えることとなった。マーリックは新年の寛大さを装いながら、テルトレン大尉を第12隊の人員とともに釈放した。彼はマーリックの工作員とコンタクトを取り、重要な軍事情報を流した。

 軍事計画を知る上層部にスパイがいるとの情報がどんどん積み上がっていくと、マクロ・シュタイナー国家主席は個人的な興味を持った。多くの襲撃を含む計略により、マクロは容疑を狭めていき、テルトレンに辿り着くことができた。テルトレンはばれたことに気づき、マーリック宙域へと逃亡を余儀なくされた。彼は英雄として歓迎され、第3マーリック国民軍司令官の座を与えられた。2925年、ライラ作戦部は、第3国民軍の戦績が向上していることと、その司令官がどうやって共和国の戦術に精通したかに、注意を向けた。エリダニ第5打撃大隊が、戦争の魔術師の捜索と殺害に選ばれた。

 第5大隊は、軌道上から危険な急角度で降下する技術を生かして、第3マーリック国民軍司令部のある都市のそばに、なんとか着地した。近隣のメック部隊から次々に援軍がやってくる戦場で、エリダニ軽機大隊は苦労してテルトレンを殺した。撃墜したマローダーのコクピットを引きはがして死体を確認した。そのニュースが届くと、共和国最高司令部中はほっと息をついた。

 他にもマーリック国境域での作戦は行われた。2971年、シュタイナー家は、ローリックに侵攻したマーリック第5正規襲撃隊(第12装甲、歩兵連隊の支援を受けていた)から、ローリックを再奪還する逆襲を仕掛けた。エリダニ第11、第17偵察大隊が、第12スターガード第二連隊と10個戦列連隊に援護されつつ、敵の占領地域に直接降り立ち、敵にいやがらせ攻撃をしかけ、マーリックに戦力を集中させなかった。そのあいだに、第12スターガードがディガー山道を強襲し、罠にかかったマーリック軍の主戦力を封じ込めた。山地での厳しいゲリラ戦を四ヶ月続けたあと、エリダニ軍はなんとか数に勝るマーリック軍を開けた平原に押しやった。そこにはライラ通常兵器部隊が待っていた。すぐに自由世界同盟軍は惑星から撤退した。

 名誉将軍ダークソンは2926年に引退し、モンゴメリー・ウイルソンが跡を引き継いだ。その後、エリダニ軽機隊の司令官は名誉将軍という階級を使うこととなった。ウイルソンは部隊を分割し、クリタ領内のカレドニア、ドーン、ホイールなどに幾度も襲撃を仕掛けた。星間連盟時代、エリダニ軽機隊の領地であった聖ヨハネを、第82重機兵大隊が二ヶ月間占領したこともあった。



カールスルーでの休息 VACATION ON NEW KARLSRUH

 軽機隊は幾度の襲撃に成功していたが、同時に損耗も激しかった。2946年、休息と補給のためニューカールスルーへの帰還を共和国軍が許可した。この間に、ウィルソン名誉将軍は、新兵を募集し、メックの修理をした。第21連隊の第3打撃大隊と第7打撃大隊は全面的な再編成が必要だった。ウィルソン名誉将軍とメック2個中隊が傭兵ギルドを訪れ、新たなる才能を探していたあいだ、第71連隊のハヴィエリ大佐が司令官の代わりを勤めた。

 同じ年、エリダニ軽機隊の動向が、ラッセル・ブロンソンの耳に届いた。この男は、2896年に追放された元エリダニ軽機隊司令官の息子であり、またブロンソン群団を指揮する傭兵隊長であった。ブロンソンは「反乱兵ども」に復讐すべく、恒星連邦との契約を破棄し、ニューカールスルーへ向かった。

 ブロンソンの不意打ちは完全に成功した。ブロンソン群団が到着するまで12時間の猶予しかないなかで、ハヴィエリ大佐は家族を山に逃がすよう第50重機兵大隊と第8大隊に命令した。残った5大隊が、敵3個連隊に包囲された。ブロンソンは気圏戦闘機にカバーさせつつ、降下船を降下させた。しかし、エリダニ軽機隊はすぐに制空権を取り戻した。ブロンソンは奇襲に成功したあとで、だんだん不利になっていった。軽機隊の気圏戦闘機が、散在する降下船と残った重量級メックを破壊した。大胆にもブロンソンは、エリダニ軽機隊総司令部を捜索するため、部隊をせき立てた。ブロンソンの強襲小隊がより軽い敵部隊を連打し、エリダニの偵察大隊がスピードに劣る敵メックを翻弄する。チペワ気圏戦闘機がブロンソンのサイクロプスにミサイルを浴びせ、彼は失機者に成り下がった。奇跡的に助かったブロンソンは、復讐を誓い、ニューカールスルーから脱出した。

 エリダニ軽機隊は相当の被害を被ったものの、ブロンソンの部隊から、大量の物資を手に入れた。2949年まで、軽機隊はシュタイナーのために自由世界同盟と戦った。オリヴァー、セラ、オルラ・オーストレリス、コーシラの各星系は軽機隊の圧力を感じていた。エリダニの大隊が、ネイサン、プロキオン、フェン・ポーなど奥深くの軍事基地を襲撃した。2955年、カーストン名誉将軍がウィルソン名誉将軍の跡を継いだ。



ヘスペラスII防衛 Defense of Hesperus II

 2998年、シュタイナー家は惑星襲撃の計画を練っていた。目標はマーリックのカリダーサ。メック生産設備を持つ星である。攻撃部隊としてヘスペラスIIに駐屯していた5連個隊のうち3個連隊が集められた。代わりにエリダニ軽機隊の第21打撃連隊、第50重機兵大隊、第82重機兵大隊がヘスペラスIIに配備された。襲撃されたカリダーサのマーリック軍はヘスペラスIIが手薄だと気がつき、最高司令部にその旨を通告した。それを受けて、マーリックは偵察部隊を送ると決めた。自由世界同盟の降下船がヘスペラスIIを奇襲した。9個偵察中隊が各々の拠点に送りこまれた。ヘスペラスIIの守備隊長がエリダニ第21打撃連隊に「タロウラントから出て、敵の斥候員を探し出せ」と命令を下した。軽機隊のような偵察部隊に向いた任務である。しかし命令が下るのが遅すぎ、効果的に任務を達成することができなかった。すでにマーリック軍は重メック部隊を配備していて、第21連隊は相当の損害を受けた。

 数週間のうちに、マーリックは4個連隊をヘスペラスIIに派遣した。再び、守備隊長は軽機隊に迎撃を命じた。しかしエリダニ軽機隊の司令官は、マーリックの降下地点へ向かえとの命令を拒絶する。そしてヘスペラスII重工業地帯へと続く山道に砲兵部隊を配置した。侵略者たちがここを通ると知っていたのである。軽機隊はマーリック2個偵察中隊が横断していくのをやり過ごした。続いて、敵軍の大部分、3個連隊が通過しようとしていた。ロングトム砲が砲弾を浴びせ、山道を封鎖し、敵部隊を分断した。自由世界同盟軍はエリダニ軽機隊のメックと戦車の前でアヒルのように座り込む羽目となった。折良くシュタイナーの援軍が加わり、軽機隊は、分断した侵攻軍の片一方を圧倒することができた。残った敵軍のもう一方は惑星ヘスペラスIIから撤退した。

 3000年に入ってすぐ、クリタ家のメック3個連隊と支援部隊がヘスペラスIIを攻撃し、ライラ共和国の守備隊をうち負かした。残されたエリダニ軽機隊第1支援中隊が前進する敵から宇宙港を守ったので、シュタイナーの連隊が追いつき、工場防衛に間に合った。



ダヴィオン家との契約 Contract with Davion

 エリダニ軽機隊は第12次ヘスペラス防衛戦でもまた活躍した。しかしながら、軽機隊の指揮官たちは、驚くほど無能なシュタイナー軍上層部に不満を募らせていた。2999年、シュタイナー家との契約交渉が決裂した。カーストン名誉将軍はダヴィオン家に赴いた。3000年に雇用契約がまとまった。軽機隊はカールスルーを離れ、南十字星境界域のダービーに移動した。

 ダヴィオン公は軽機隊を中隊、大隊に分割し、クリタ、リャオへの陽動攻撃に投入した。これらの部隊は、激しく攻撃し、素早く移動したため、襲撃された惑星守備隊は、1個連隊に襲われたのだと勘違いした。これらの危険な襲撃任務で、軽機隊は多大なボーナスを受け取った。また、惑星を占領できると気づいたときは、襲撃シミュレーションが本物の侵略に変わった。

 3007年、ウルフ竜機兵団の本拠地であるニューバレンシアが、マッカロン装甲機兵団により攻撃された。これに激怒したイアン国王は、エリダニ軽機隊の3個連隊を救援に向かわせる。エリダニがニューバレンシアに近づくと、マッカロン装甲機兵団はしぶしぶ攻撃をやめ、撤退していった。到着したのは、もう「ビッグマック」が去ったあとだった。エリダニ軽機隊はニューバレンシアに着陸することもなく、帰っていった。

 3023年、カーストン名誉将軍は辞職し、アームストロングが司令官の座を継いだ。彼は最初の任務として、クリタの襲撃から惑星ホフを守るため、守備隊を組織した。この星にはマイストモーン研究所があった。クリタに雇われたウルフ竜機兵団が、エリダニの部隊を猛烈に叩いたが、軽機隊は敵を翻弄して、増援隊が来るまで戦線を保ち続けた。エリダニ軽機隊の損害は大きかった。彼らの戦いぶりに満足したダヴィオンは、部隊の再建を許した。

 軽機隊の兵士たちはダービーとニューアヴァロン科学大学(NAIS)で休暇を取った。NAISでは、新技術を研究するかたわら、戦闘、星間連盟、継承国家の歴史について講義した。3025年、エリダニ軽機隊は、ダヴィオンの旗のもと、ドラコ連合と戦っている。

 このあいだ、ダヴィオン家は軽機隊がどのように作戦を行うかを熱心に観察し、連隊戦闘団を恒星連邦軍に導入しようと考え始めた。ELHのシステムをコピーするのに充分なメック連隊を招集できず、そのかわりに彼はバランスがよく、高度に訓練された通常兵器部隊で代用させようと思いついた。これらの新しい軍事編成は演習で試された。中心領域において「狐」で知られるその男は、新しい軍隊のオプションをどのように使うのがベストか熟慮しはじめた。



第四次継承権戦争 The Fourth Succession War

 3028年8月20日、ハンス・ダヴィオン国王は地球で行われた自らの婚礼の席で、他国の政治指導者、要人の前にたち、運命的な言葉とともに花嫁へグラスを向けた。

「きみにカペラ大連邦国を贈ろう」

 「ラット作戦」は、新たに誕生した連邦=共和国と、カペラ大連邦の交戦開始の合図となった。エリダニ軽機隊が任されたのは、アルゴル強襲において、第151軽機連隊(「白馬」)が、第3ダヴィオン近衛隊を支援することである。アルゴルの防衛軍は第1アリアナ銃兵隊、この部隊は戦意と不運の両方で有名だった。

 銃兵隊の運勢は変わらなかった。最初に着陸したのは白馬連隊だった。重要な宇宙港から西へ数キロメートルの地点である。銃兵隊の第2大隊は不意を打たれてしまい、宇宙港の西10キロメートルの地点にいた。第151連隊は宇宙港に進軍し、機甲部隊を待ち伏せのために残しておいた。

 銃兵隊は第151連隊を背後から捕まえようと猛追したが、戦車隊のなかへ向こう見ずに突っこむ羽目になった。戦車隊は彼らをゆっくりと宇宙港へ戦術的撤退させた。銃兵隊と軽機隊の交戦がはじまると、第151連隊のメックは素早い円形機動戦術で銃兵隊の背後を突いた。それは、すでに破壊された宇宙港滑走路での戦闘で見せた戦術と同じものであった。5時間後、白馬連隊の人員は、第2大隊の残骸から回収(サルベージ)する作業に移った

 そのころ、第3ダヴィオン近衛隊は、トマーノ・リャオ(カペラ指導者の一族)率いる銃兵隊第3大隊に近接強襲をかけていた。第1大隊の戦闘部隊は殲滅されたのだが、リャオはなんとか逃げ延びた。

 友軍の運命を聞いた銃兵隊第3大隊は惑星から撤退した。惑星防衛のために、さらなるダヴィオン軍(ELHの第71軽機隊、第21打撃連隊を含む)がやってきた。

 ラット作戦の第四段階において、惑星カウィッチが軽機隊の新しい目標となった。3029年1月12日、リャオのつぎはぎの亜連隊(それまでの攻撃で壊滅した部隊から編成)は、防備が薄いと思われていた貯蔵庫の破壊を命じられた。そのうち武家のヒリツ家の大隊は目標に向かう途中、第21打撃連隊の装甲、歩兵部隊に不意打ちを受けた。その通常兵器部隊は、巧みな待ち伏せにつぐ待ち伏せで、(ヒリツ家に)戦術的撤退を強いた。その戦術はアルゴルで第151軽機隊が見せたものとよく似ていた。敵を痛めつけて、ウィンストン大佐はそのとき第21打撃隊のメックを行動に移らせた。3個大隊は、貯蔵庫への道を取り巻く丘を使い、ヒリツ家の大隊を包囲、破壊した。しかしながら、ウィンストン大佐は戦闘中に倒され、その後、連隊の野戦病院で死んだ。彼は唯一の戦死者だった。

 他の場所において、第1ダヴィオン近衛隊と第3南十字部隊RCTが、カウィッチの残ったカペラ抵抗軍を即座に掃討した。

 第四次継承権戦争の残りの期間、エリダニ軽機隊は予備戦力をつとめ、それ以上、敵と交戦しなかった。3029年から3039年まで、軽機隊はクリタ/ダヴィオン国境域に配置された。3039年戦争では、マッコブとロイヤルの反乱を支援するために雇われた。このふたつの作戦は成功し、失敗に終わった作戦全体の中で、小さななぐさめとなった。3039年のあと、エリダニはリャオから奪取した惑星サイフ、トールツリー、メンカリナンに配置され、3050年まで防衛任務をつとめた。このあいだにアドリアナ・ウィンストン大佐が部隊指揮をとった。



氏族侵攻 The Clan Invasion

 3050年に行われたジェイドファルコン、ゴーストベア、スモークジャガー、ウルフ各氏族の中心領域に対する攻撃は、完全な奇襲効果をもたらした。戦略的に不意を打たれ、周囲の隣人たちは信頼がおけず、支離滅裂な状況のなか、強襲された国家群がみせた最初の反応は、予備戦力を前線に送り抵抗を支えることだった。しかし多くのキーとなる部隊が、マーリック、リャオ、ダヴィオン国境域に残り、日和見主義的な攻撃の可能性に備えていた。

 軽機隊(陰鬱な平和のなかで、最良の装備を保つ余裕があった)は、リャオ/マーリック国境域に主力として温存されていた。3050年の終わりごろ、氏族戦線に戦力を移せるくらいにまで中心領域国家間の信頼が高まったころ、ELHは騒ぎの方へと押し出された。

 最初、部隊はズデーテンの予備戦力として使われた。しかし氏族の戦線が拡大したとき、戦略的襲撃によって、ジェイドファルコンの進軍を混乱させる機会が来たと思われた。結果、ELHは襲撃のため大隊規模まで分けられ、ファルコン/シュタイナーの境界に沿って分散していった。

 エリダニは幸運だった。遅れて前線に入ることにより、他の部隊(ひどい目にあっていた)から重要な情報を得られたからだ。ELHの士官たちは、氏族がこの1年で見せてきた戦術、能力と心理のデータにすっかりとりつかれてしまい、軽機隊の卓越した襲撃技術がこういうオーソドックスでない敵に通じるか試したがった。

 3051年の全期間にわたって、死んだ大族長レオ・シャワーの後任者を選出するために氏族が侵攻の再開を遅らせているあいだ、軽機隊はファルコンの戦線を攻撃し始め、たたきのめした。作戦は大胆かつ幾度も計算して実行された。彼らの好む戦術は以下のようなものである。追撃戦のさなか、敵の小部隊を撤退させるために、彼らの司令官に無線で連絡し、彼もしくは彼女に強い調子で宣告する。諸君は星間連盟の様々な法律に違反しており、星間連盟防衛軍(SLDF)の囚人として逮捕されることを考えるべきだ、と。通常、こうすると氏族の指揮官たちは正義感を盛り上がらせ、追撃にいっそうの拍車をかける――待ち伏せに気づかずに。ファルコンの上級指揮官が部下を抑えるまでに、この方法で2ダース以上のファルコン星隊が倒された。

 しかしながら氏族が前線での戦争物資の入手を、主に戦艦に護衛された輸送に頼り、また彼らが占領している地域の資源にそれほど依存しなかったので、真に補給線を分断するには、各地域の氏族が保有している貯蔵庫を襲うしかないとエリダニは決断した――そしてそれは大規模で技術的に優れた部隊(都市の中で防衛に当たっていた)を直接強襲することを意味していた。主に軽量級、中量級からなるエリダニに、そういった離れ業の達成を望めなかった。

 待ち伏せ作戦を進めていた小部隊は、補給線への襲撃から情報収集へと焦点を移した。エリダニの偵察活動で、ファルコンのオムニメックのデータ、機動スタイル、部隊の最新位置に関する情報が積み重なっていった。

 3051年の終わりにかけて、ELHは戦術的防衛と休息のため、オークニーへ3個連隊の再集結を命じた。フレッシュな状態にあった機甲、歩兵部隊(そのうちの数部隊は最近、対氏族戦術の訓練を受けていた)は、エリダニを支援するため一ヶ月以内に到着すると予想されていた。



オークニー Orkney

 軽機隊の運は3051年の12月17日に尽きた。その日、第1ファルコン打撃星団隊とスティールバイパー第104強襲星団隊を運んだ航宙船が、それぞれ1時間以内に星系内に到着した。ファルコンはすでにバッチェルを宣告していた。スターコーネル、ラード・ホイトは全兵力をもって、エリダニを一人残らず根絶させるつもりだった。彼と彼の幕僚たちは、星間連盟防衛軍第3連隊戦闘団(エリダニ軽機隊)が、アレクサンドル・ケレンスキーのエクソダスへの帯同を拒否した時点で、すべての権利を失ったと見ていた。

 アドリアナ・ウィンストン名誉将軍は、ELHを代表して短く返答した。彼女の部隊は名誉とともに、星間連盟の法、軍事規則、敬愛するケレンスキーがいたころのユニフォームを守り通していた。――これらはすべて氏族軍が持っていなかったものである

 ファルコン軍が星系内を最大噴射で進み、ウィンストン(彼女はすべてに深刻さと同じく楽しさを見つけているようにみえた)と星間連盟への反逆に関する非難を交わしあっていたとき、スティール・ヴァイパーが姿を現した。彼らの司令官であるスターコーネルフェン・ザールマンは、すぐにオークニーの所有の神判を求めた。バッチェルはもう始まっていると、ホイトは言い返し、すでに全軍を投入していた。

 ザールマンは笑い、うなずき、語った――全軍を所有の神判のバッチェルに入札したのだ。軽機隊に対する同じ入札がすでになされたのだから、両陣営が傭兵を攻撃し、ちょっとした雑用を片づけるのは合理的でないか? そのように、最初の戦いでベストを求める者は誰でも、次の戦いの準備をしているものだろう、クアイフ?(訳注:肯定的な答えを求めるときの接尾語) ホイトは渋々申し出を受けて、ザールマンが追いつくように部隊の侵攻を緩めた。

 140機のオムニメック(このうち半数が重量級か強襲級だった)と、60機の支援する気圏戦闘機に直面し、ウィンストン将軍は、約束した援軍が到着するまで、通常通り、丘に位置して、壮大なゲリラ戦を仕掛けるはずだった。

 不幸なことにこれは不可能だった。オークニー唯一の宇宙港は、海から1キロメートルに突出している土手の固い玄武岩の前に存在していた。宇宙港としては完璧である。

 もちろん、ハリケーンのシーズンが来たとき、不運にも宇宙港にいた場合は話が別だ。惑星オークニーにおいて、ハリケーンの完全な予報はできなかった。これらの期間、嵐が洪水を引き起こし100フィート近くの深さに氾濫してしまう。強い潮流はメックを土手から致死的な深みまで引きずる。干潮時および奇妙に静かな瞬間にだけ、小部隊が危険な箇所を突進することができた。

 到着した軽機隊は標準作戦手順に基づき、2個連隊が宇宙港を離れ、防衛線を構築し、残った第三部隊が予備部隊として保持する。AFFSの連絡士官は、ハリケーンが来るまでまだ三ヶ月あると再度保証し、エリダニは第71軽機隊と第21打撃連隊を土手の両側に待ち伏せさせた。嵐が通過するまで、降下船を使った作戦は選択肢になかった。

 第71連隊と第21連隊は、意志を持って塹壕を巡らせた。もし彼らが安全なところに逃げてしまえば、氏族は宇宙港に群がり、第151軽機連隊が嵐の中でどんなに抵抗しても、彼らと――そして連隊戦闘団の降下船を侵略することができるだろう。泥と横殴りの雨の中で働き、メックと歩兵はすぐに厚い泥に覆われた。大胆にも1ダースの民間人がホバートラックで波を割って突き進み、専門の機械設備を運び込んだ。最後の作業が終わったちょうどそのとき、氏族の降下船がオークニーの超高層大気圏に侵入した。

 ホイトとザールマンは嵐の外、エリダニの構築した防衛戦線の北50キロメートルに着地した。強風が近くへの着地を不可能にし、戦闘機の使用を妨げた。にもかかわらず、2個星団隊が並んで行進し、軽機連隊の待つ地点へと向かった。

 それからの戦いは6時間続いた。頑強で厳しい防衛を行ったにもかかわらず、エリダニのメックは敵を圧倒できず、撤退させることができなかった。宇宙港に位置するロングトム間接射撃砲、スナイパー間接射撃砲が、オムニメックの進路に炎の壁を作り、何機かを破壊するか駄目にした。しかし「歩く死」のほとんどは無慈悲な接近を続けた。軽量級メックはオムニメックが至近距離に近づくまで塹壕の中に身を潜め、そのときが来たら立ち上がって火力を集中し、破壊される前に敵を破壊しようと絶望的な試みを行っていた。中量級メックはより軽量の味方を援護しようとつとめ、目標を捉えるのを待ち、多少長い射程から攻撃した。戦車は慌てて泥とメックの背後に隠れ、可能な目標なら何でも撃ちまくった。

 そのとき奇跡が起こった。嵐の猛威が、多少収まったかにみえたのだ。逆流した津波は海岸をきれいにした。その機会を待っていた第151連隊は、姉妹連隊を救うため、土手を全力で横切って波のように氏族の連中に向かい、酒場の喧嘩のように、射撃、キック、パンチを浴びせた。ワスプ数機が一団となり、海を臨む崖でファイアーモスを袋だたきにした。彼らの前進は止まらず、氏族のメックは再編成のため後退した。

 合図をしたかのように、太陽が雲のあいまからあらわれて、嵐の終わりを示した。

 ウィンストン名誉将軍はスターコーネルザールマンを呼び出し、休養と怪我人の治療が許されるなら、オークニーから撤退する意志があることを告げた。ホイトは話に割り込んで猛烈な抗議を行ったものの、ザールマンは丁寧にウィンストンの申し出を受け入れた。結局、彼はファルコンと戦うためにそこにおり、撤退する敵と戦って戦力を消耗しても意味はなかった。ザールマンの援護なしにホイトはエリダニを攻撃する余裕がなく、その後の侵攻に必要なヴァイパーの戦力を失ってしまう危険があった。彼はしばらくの静かに頭を沸騰させ、そのあいだに傷をなめることを選んだ。

 軽機隊は攻撃の矢面に立ったものの、両陣営で被害は大きかった。しかしながら損害は物的なものであり、置き換えがきいた。――あたかも運勢がかわったかのように、パイロットや戦車兵は死ぬのではなく怪我をしていた。第21打撃連隊はメックと車両の半分を失っていた。第71軽機連隊はこれまでの間に事実上全滅していた。

 しかし60%の人員が生き残っており、負傷も合理的な治療で乗り切れるだろう。軽機隊は再建と修理の時間が必要だろう。しかし彼らは力強く戻ってくるだろう。

 そしてそのときホイトのオムニメックが再び押し寄せ、視界に入るものすべて――戦車、メック、医療テントを撃った。気圏戦闘機が上空から一見無作為に爆弾を投下した。MASHトラックが火球のなかで爆発し、患者は一瞬にして灰になった。

 ほとんど同時に、ザールマンの戦闘機が地平線上にあらわれ、攻撃者を攻撃するため2、3部隊に分かれた。看護兵は勇敢にも安全な場所に移動しようとし、荷電粒子砲かレーザーで蒸発させられた。鋼鉄の蛇がマーキングされた氏族のオムニメックが、ホイトの背後から攻撃を仕掛けたことにより、彼はエネルギーの多くを仲間の氏族人に向けることとなった。
 しかし損害は出ていた。野戦病院は納骨堂となってしまったのだ。一台のジープが破壊された景観の中を横切った。土手の両側に残された、エリダニの最後の車両だった。

 1時間以内にエリダニ軽機隊はオークニーを離れた。彼らの歴史上、ここまでの損失を被ったことはなく、無分別な事態に直面したこともなかった。第71軽機連隊全隊は、ペガサス偵察戦車小隊の司令官であるロイ・カルベック軍曹を除いて、消滅した。

 攻撃されたとき、カルベックの小隊はわずかな他の部隊と一緒に橋頭堡に残されており、機動防御により病院を守ろうとしていた。ファルコン軽量級オムニメック3機を破壊したものの、小戦車部隊は虐殺を止めることも、遅らせることも出来なかった。トーマンに到着すると、カルベックは第71連隊の少佐に名誉昇進し、新しい辞令を保留にされ、無期限の離隊許可を与えられた。彼が宇宙港のバーに入る姿が最後に目撃された。

 第151軽機隊は最小限の損害を受けたままだったが、第21打撃は第1装甲歩兵隊と第3打撃大隊を失い、半分の力にまで打ち減らされていた。全部隊は喪に入り、損害回復のためマーリック国境近くのチューリッヒに移動した。



ブラッドライト Bloodright

 しかしながら軽機隊は氏族の裏切り行為の最後を見てはいなかったのである。3053年、スティールヴァイパーとノヴァキャットのメック戦士数名が中心領域において殺人の猛威を巻き起こした。ハリス家の人員を探し出し、彼らの血統を根絶やしにするため、純粋に選び抜かれた虐殺を行ったのである。数世紀前、明らかにハリスを遠く離れた祖先が、氏族の権威に対する反乱に参加した。反乱軍が押さえつけられると、ニコラス・ケレンスキー――氏族の社会システムの創設者――は宣言する。反乱軍に関連した遺伝子遺産を完全に破壊した者には、誰であってもブラッドネームが与えられる、と。

 この特典により、ヴァイパーとキャットはハリス家に対するブラッドライトの神判に走り、姓を求める優秀な戦士が残虐な暗殺者に変わった。

(訳注:2823年、氏族のひとつであるウルヴァリーン氏族が、氏族全体とニコラス・ケレンスキーに反旗を翻しました。彼らは「破滅の神判」の対象となり、ウルヴァリーンに関するすべてが氏族社会から抹殺されています。その一部が脱出に成功し、今も宇宙のどこかに隠れているようです)

 遙か昔に滅ぼされたウルヴァリーン氏族の遺伝子タイプを引いている三人が知られている。そのうちのひとりは、エリダニ軽機隊、アンドリュー・ハリス中尉である。彼の姉妹であるクリスティンと、兄弟であるレオナルドが殺され、殺人者に関する明白な証拠があった。アンドリューは司令官のもとに行き、そして罠を仕掛けた。

 攻撃は危ういところで妨害されたが、生き残った氏族人はなんとか惑星を脱出し、気圏戦闘機2個小隊からうまく逃げ、無線で「中心領域の野蛮さ」に対する不平を大声でわめきながら、彼らの航宙艦に戻っていった。第8偵察大隊、第50重機兵大隊の司令官は、エリダニの扶養家族と一族を防護する伝統に従い、今後の遭遇においてスティールヴァイパー氏族とノヴァキャット氏族を生きて脱出させないことを誓った。



停戦期間 Truce Period

 3054年、生き残った部隊が修理、編成され、ELHはキクユとモグヨロド(中心領域戦線の最左側面)に配置された。オークニーとチューリッヒにおける行動の謝罪であるかのように、ジェイドファルコン氏族とスティールヴァイパー氏族は、どちらの星系も侵攻の対象にはしなかった。この分野において、ELHは休養とたまの襲撃に満足していた。資源を保持して、第21打撃連隊を元の戦力に戻すことに目を向け、第71連隊の復活に続くことができた。軽機隊のリーダーたちは「イージス計画」と呼ばれるものと、それが実行されるか否かについて真剣に話し始めた。



星間連盟再興 Rebirth of the Star League

 3058年10月3日、全中心領域の指導者がターカッドに集められ、氏族との戦争をどのように進めていくのが良いかを議論した。話し合いのあいだ、戦司教アナスタシウス・フォヒトは、指導者たちが政治的体制と同盟連合軍を作り、氏族に対する統一戦線を形成してはどうかと提案した。

 集められた指導者たちは了承し、新しい星間連盟憲章を起草する歴史的な一歩を踏み出した。スン−ツー・リャオ(カペラ大連邦国首相)が儀礼的な地位である第一君主に指定された。星間連盟防衛軍が再創設され、中心領域のあらゆるところから集まった者たちが軍事組織に編入された。エリダニ軽機隊は、自然に新戦闘軍の中核部隊となった。

(訳注:省略されていますが、エリダニ軽機隊は3058年にコベントリの戦いで、ジェイドファルコン氏族と戦っています)



サーペント機動部隊 Task Force Serpent

 新SLDFは「ブルドッグ作戦」――スモークジャガー氏族を殲滅する壮大な戦略に任じられた。この作戦により、もし中心領域への攻撃を続けるならジャガーと同様に根絶させられてしまうかもしれないと、他の氏族に考えさることができるかもしれなかった。ブルドッグ作戦は、ドラコ連合に所属していた星系を奪還する目的で、いくつかの侵攻波に分かれて行われた。

 しかしながらジャガーの息の根を完全に止めるためには、本拠地であるハントレスを奪い、保持しなければならなかった。この気力をくじかれるような任務が、サーペント機動部隊に命じられた。部隊は10個エリート連隊から構成されており、エリダニ軽機隊が中核となっていた。星間連盟守護者の誇りをもう一度手にするために、軽機隊員は自らの意志で任務にあたった。

 3060年の暮れ、ハントレスが直接に攻撃されたとき、本拠地惑星の守備隊指揮官ルッソー・ハウェルが自由に使えたのは臨時2個銀河隊で、ジャガーにとって考えうる最後のものだった。しかしサーペント機動部隊が星系に辿り着いても、彼らは戦いに尻込みしたりしなかった。惑星を横断する際の痛ましい激突で、両陣営に莫大な損害が出た。

 援軍を欲していたハウェルは、プロトメックと呼ばれる致死的な戦闘マシンを投入した。これらの小型メックは、気圏戦闘機パイロットになれなかった者たちが操縦しており、新型の強化画像処理システムを使っている。このEIシステムと、改良型装甲、武器により、プロトメックのパイロットは破壊される前に、サーペント軍に相当のダメージを与えた。にもかかわらず、数日後、戦闘はほぼ終了し、サーペント機動部隊は最後のジャガー守備隊を破壊した。

 スモークジャガー中心領域駐屯軍の残存兵力が回復と修理のためハントレスに戻ったとき、サーペント機動部隊は戦闘後の休息をとっていた。ギャラクシーコマンダー、ハン・メータ率いるジャガー隊は、本拠地が中心領域の手にあるのを見つけてショックを受け、残忍な逆襲を始めた。2個銀河隊のジャガー隊が容赦なくサーペント部隊(精鋭だが打ちのめされていた)を叩いた。戦闘に入ってから数日後、大族長リンカーン・オシスと彼のボディーガード部隊がハントレスに到着し、逆襲の指揮を執った。両陣営とも60%を超える損害を被っていて、多くのパイロットが死に、数百のメックが戦場のあちこちに横たわっていた。

 ジャガーは残存兵力を使って最後の逆襲を始めた。その戦闘で中心領域はほとんど負けそうになっていた――もし優秀で勇敢なエリダニ軽機隊がいなかったら、である。ELH部隊は戦線を維持したが、甚大な代償を支払った。彼らのリーダー、アリアナ・ウィンストンが戦闘の最後の瞬間に殺されたのである。ウィンストンの死は戦役のターニングポイントとなった。最後の戦いが始まる前に、他の機動部隊を率いていたヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンがハントレスの星系内に到着した。元気な部隊が彼に率いられ、数日以内に素早くジャガーの抵抗軍を追いつめ、殲滅した。中心領域にとって不幸なことに、大族長リンカーン・オシスは一握りの戦士とともにストラナメクティへの脱出に成功していた。

 ハントレスの戦いで軽機隊の60%近くが破壊されていた。殺害されたウィンストン将軍もその数に入っている。しかしジャガーを破壊したことは、氏族に対しての勝利だった。今日、エリダニは再建され、停戦ラインを超えてくるかもしれない氏族との戦いに備えている。そして星間連盟軍の一部として課されるすべてを防衛している。





部隊の特徴 3025  Unit Description

 エリダニ軽機隊は、星間連盟装甲軍(SLAF)の伝統と誇りを保持することに専念している。私たちの最大の目標は、中心領域の隅々まで、その力と栄光を知らしめることだ。我々はこれからもこの慈善活動を楽しむだろう。

――-アームストロング将軍、ELH訓練校卒業式にて、3024年



契約条件  Contract Requirements

 エリダニ軽機隊における主な問題点は技術者(テック)不足にある。よって軽機隊の司令官たちは、雇用主に対し、メックの修理と整備をする支援要員を要求してきた。さらに、地元の企業と予備パーツについて交渉をする権利も要求した。王家の軍事官僚たちは、傭兵部隊の補給を怠るかもしれないからだ。

 多くの傭兵部隊と同じように軽機隊も隊員の家族を扶養する土地を希望する。部隊の一体感を維持するためにも、これは重要なポイントであった。また彼らは、古のアレス条約を破るような行いは拒絶する。彼らはけして民間人を攻撃しないし、人々に不当な害を与えないし、囚人を処刑することもない。

 契約の中で通常と異なる点は、エリダニの技術者を研究・開発施設に出入りさせなければならないことだろう。雇い主の中にはこれを嫌がるものもいたが、エリダニ軽機隊のメックを戦闘状態に保つメリットもあった。ずる賢いハンス・ダヴィオンだけがこの契約をうまく回避した。彼は傭兵部隊がニューアヴァロン科学大学へ立ち入るのを許した。ここには最高のスタッフがいる。アームストロング将軍は笑いながらその条件を受け入れた。

 エリダニ軽機隊は恒星連邦との関係に満足している。ダヴィオン公は軽機隊を優遇しており、正当な価格でメックを売っている。アームストロング将軍はダヴィオン公を尊敬しており、その関係を長く続けようと考えている。



任務の例  Typical Mission Work

 エリダニ軽機隊は大規模攻勢に熟練していて、惑星襲撃任務に魔法のような手腕を振るう。彼らの素早い攻撃を真似て、ライラ共和国軍ウィンフィールド隊をはじめ、数多くの襲撃部隊が誕生している。それら模倣者とエリダニ隊の違いは、技術と整合性にある。

1,偵察隊が降下する間、気圏戦闘機が敵航空基地を攻撃する。
2,敵の交信能力を殺ぐため、偵察小隊が通信施設を攻撃する。
3,気圏戦闘機が制空権を確保し、指揮小隊、打撃小隊が惑星に降下する。
4,部隊が目標を攻撃する。降下船が、戦車、砲兵隊、歩兵を集結地点に輸送し、低軌道に移動する。
5,予定時間のあとで、指揮小隊、打撃小隊、偵察小隊が攻撃をやめ、集結地点に向かう。
6,支援小隊が、部隊の撤退を支援する。降下船がすべての人員を乗せ離陸する。



部隊の伝統  Unit Traditions

 エリダニ軽機隊は、中心領域でもっとも伝統を重視する傭兵部隊であり、その有名な歴史と厳格な誇りのための行事や儀式が数多くある。それを見た部外者の一部は、まるで宗教のようだとコメントしている。

 例えば、第50重機兵大隊と第8偵察大隊は、センダイにいる家族たちを守ると誓約させられる。民間人の輸送をエスコートするか、居留地の護衛をする。第50重機兵大隊と第8偵察大隊だけが扶養家族の安全を背負っている。

 彼らは二本の旗竿と共に従軍する。一本はエリダニの軍旗用、もう一本は彼らの雇い主の軍旗用である。しかし、他の傭兵部隊と違い、雇い主の旗を実際に翻すことはない。一本の旗竿はむき出しのまま、もう一本にはエリダニ軽機隊の半旗が常に掲げられている。元々、エリダニの軍旗は「サンイエローの円盤の上で闊歩する馬」だった。これに黒い横線を加わえ、ケレンスキー将軍脱出(エクソダス)の悲しみを表している。

 軽機隊員は、奇妙な伝統によって、アミティで大損害を受けた第19打撃連隊について思い返す。3人の連隊司令官が、エリダニ軽機隊総司令官と会うときは、第19連隊用会議机を使う。さらに司令官はその場で犠牲者たちに祈りの言葉を捧げる。軽機隊に貢献した名誉ある退役軍人は、第19連隊の正式な隊員となる。彼らは第19連隊のピン(立ち上がる野生馬)を受け取る。エリダニ軽機隊に対する働きと献身の誇りとなっている。

 軽機隊員たちは、大勝利の記念日、特別な誕生日を祝い、敗戦、悲劇的な死の記念日を悼む。最もおごそかな哀悼は、ケレンスキーがエクソダスした日に行われる。社会インフラのうち、あまり重要でないものは休止され、ほとんどの人々が中央公園に集まる。儀仗兵が星間連盟の旗を解き、いつもは使われていないポールに掲げる。ブラッドレー大佐がケレンスキー将軍に送った、中心領域に留まる旨の通信文書を、基地司令官が読み上げる。儀仗兵が旗を降ろし、音楽隊による星間連盟賛歌が演奏される。

 3058年、エリダニ軽機隊は星間連盟防衛軍に編入され、対スモークジャガー氏族"サーペント機動部隊"の中核として、ハントレスへ送られた。部隊の60%近くがハントレスの戦いで破壊され、ウインストン将軍が死亡した。しかしスモークジャガーをうち倒し、勝利を得た。今日、エリダニ軽機隊は再建中であり、休戦ラインを超えてくるかもしれない氏族軍を防衛する星間連盟正規軍の一部となっている。



エリダニ部隊記章  Eridani Crests

 エリダニ軽機隊の各メックは、胸の前部に「早足に駆ける褐色の馬」をまとっている。右肩に連隊パッチ、第21隊は青の月、第151隊は黒馬、第71隊は白馬である。その下に大隊章、第50重機兵隊なら大きな血の赤の「50」、第17偵察大隊なら絶叫する鷲の頭部だ。中隊番号とパッチは、大隊章の下に位置する。

 第3打撃大隊の疫病を運ぶネズミ、第3偵察中隊の血まみれナイフ、第11偵察中隊のユニコーンパッチ、第1支援中隊のきわどいパッチなど、普通でない部隊パッチもある。全ての人員は、エリダニ、連隊、大隊、中隊のパッチをつけ、さらにランス(メック小隊)かプラトーン(その他の小隊)の部隊章をつけるものもいる。

 オークニーでの戦いの直後、第71軽機隊の唯一の生存者(第11偵察中隊員)が、酒を飲んで死のうとしたあとにミステリアスな失踪を遂げたという噂もある。さらに驚くべき話があり、この孤独な兵士は高位のエリダニ士官として帰還し、人の形をしたユニコーン(第11偵察隊のパッチによく似ている)に肉体が変化したというのだ。諜報工作員は、この空想上の話を、軍事データパックに入れる余地がないことに気づいたのだった。











所属隊員 3025 SELECTED PERSONALITIES

名前: ネイサン・L・アームストロング名誉将軍
役職: 指揮官、エリダニ軽機隊
 ライラ共和国の貧しい家庭に育ったアームストロングは、エリダニ軽機隊を指揮することになった最初の部外者である。クリタの襲撃で家族が殺されると、軽機隊内のある家族が彼を引き取った。彼は肉体的・精神的スキルで仲間に感銘を与え、それは軽機隊の効率的な教育システムでさらに育まれた。18歳になった彼はメックを受け取り、偵察小隊に加入した。ここで彼は驚くべき戦闘能力を見せつけたのである。
 アームストロングはエリダニ軽機隊を二年間指揮している。彼は部下の全員を知っており、部下たちは彼を愛し、尊敬している。彼が唯一恐れていることは、恒星連邦とエリダニ最高司令部のあいだで絆が強まっていることから、再び、そのアイデンティティを喪失してしまうかもしれないということである。彼は軽機隊の民間部門チーフ、ジュリア・アームストロングと結婚している。

名前: ロバート・グリーン=ダヴィオン少佐
役職: 恒星連邦代表
 物腰が柔らかく、洗練された男であるグリーン=ダヴィオン少佐は、軽機隊とダヴィオン国王の連絡士官である。エリダニ隊員の大半が彼と仲良くしているが、彼の冷たい態度は、一部の士官を苛立たせている。彼らはグリーン=ダヴィオンの鋭く、腹黒い内面を信用していないのだ。マイケル・ハセク=ダヴィオンとハンス・ダヴィオンの摩擦に気づいているグリーン=ダヴィオン少佐は、争いになったときに備えて、両者との友好を保ち続けている。彼は軽機隊の伝統を「魅力的」と考えている。

名前: ウィリアム・エリック・ピーターセン大佐
役職: 指揮官、第71軽機隊連隊
 アームストロング名誉将軍は、ホワイトホース連隊の指揮権をピーターセン大佐に与えた。彼が部隊の悪い態度を変えるだろうことがわかっていたのである。13年間かけて、大佐はホワイトホース連隊をダークホース連隊に近いところまで引き上げた。思いやりと厳しさを持ってして、彼は隊員たちに自尊心を植え付けたのである。
 意志の強いピーターセンは、完成されたリーダーにして戦術家である。非番中、彼はジャズ・カルテットの一員としてトランペットの名手になる。いずれアームストロング将軍の後継者になるであろうという噂を彼は否定しているが、密かに喜んでいる。

名前: スティーブ・グレイ少佐
役職: 指揮官、第11偵察大隊、第71連隊
 グレイ少佐は二年におよぶ不在からちょうど戻ったところである。ホフでのウルフ竜機兵団との戦闘の際、彼のメックは頭部に直撃を受け、全身がほぼ炎上し、腕と足が失われた。外科医が取り付けたバイオ四肢によって、完全にとはいかないが、元の力の大半を取り戻している。新しいメックを得たグレイ少佐は、復讐の機会をうかがっている。

名前: ジム・マクラッケン少佐
役職: 指揮官、第17偵察大隊、第71連隊
 古代格闘技の研究者であるマクラッケン少佐は、静かに研究を行っている。このノルディックの巨人は、ふだん物静かであるが、簡単に友達を作る。野心に欠けるが、彼は昇進を続けている。その手腕と着実なところが、彼を生まれつきのリーダーとしているのだ。ダヴィオン官僚内の裕福な政治家である両親は、いやしい傭兵という身分に耐えられず、エリダニ軽機隊に入隊した息子を勘当した。

名前: ジョージ・トーマス少佐
役職: 指揮官、第82重機兵大隊、第71連隊
 巨体のトーマス少佐は、第82がパンチ力を持った大隊であるとの評価を体現している。彼はメックの前進・後退に支援砲撃を提供するべく、珍しい兵科混合の第1支援中隊を作り上げた。
 トーマス少佐はエリダニ軽機隊とその伝統にどこまでも忠実であり、部下たちもそうなるよう練習を欠かさない。彼が礼服を着ることは少なく、汚れたしわくちゃの緑を好む。左目から頬にかけては長い傷痕がある。連隊間の体育コンテストでのサーベル決闘でついたものだ。

名前: グレッグ・オリファント大尉
役職: 指揮官、第4重強襲中隊、第82大隊、第71連隊
 オリファント大尉は奇妙なユーモアを持っている。完全に規則に反して、彼のバンシーは巨大な道化師のベル付き帽子をかぶっている。さらに、にやりとした笑いを頭部にペイントしている。それにふさわしい「宮廷道化師」という名前のついたこの機体は、軽機隊で最も風変わりなメックである。戦闘のプレッシャーでさえも、彼の心意気をくじくことはないが、この軽薄さはピーターセンとのあいだでよくトラブルを引き起こしている。

名前: チャールズ・K・ウィンストン大佐
役職: 指揮官、第21打撃連隊
 63歳であるウィンストン大佐はエリダニ軽機隊で最高齢の戦闘職種士官であるが、彼の精力と手腕は、半分の年齢の男たちに匹敵するものである。小柄で痩せた外見は、部下の戦士たちを鼓舞し、恐れさせる雷のような声とは対称的なものである。
 ウィンストン大佐の私生活は遙かに穏やかなものである。彼は30年前にMASHの医者と結婚した。娘の一人はメック戦士であり、もう一人は歴史家である。家族と担当医とアームストロング将軍だけが、心臓の疾患を知っている。戦闘中に心臓発作に見舞われ、部下たちを危険にさらしたくないので、彼は一年以内に引退する計画でいる。

名前: ジャマル・フォーリヒー少佐
役職: 指揮官、第3打撃大隊、第21打撃連隊
 あるシュタイナーの都市に置き去りとされているのを発見されたジャマル・フォーリヒーは、エリダニの伝統に芯まで浸かって育った。ケレンスキー将軍がいつか戻ってくると信じている彼は、自由時間を星間連盟防衛軍の歴史研究に費やしている。野心的なのだが、昇進のためにエリダニの規範に反することは絶対にない。ハセク=ダヴィオン公爵の工作員たちが、シルティス機兵連隊(ハセク=ダヴィオンの護衛)での地位を約束しているが、拒絶している。

名前: デュアン・ブロックウェイ
役職: 指揮小隊、第9中隊、第3大隊、第21連隊
 メック戦士ブロックウェイは、非常に不吉な状況でケントリック中隊に加入した。エリダニ戦闘学校を卒業したあと、彼の父である第9中隊のブロックウェイ中尉が、疑わしい死を遂げたのである。中隊内に(あるいは軽機隊全体)に殺人の容疑者はいそうにないのだが、デュアンは犯人を見つけるため第9中隊に加わった。かつて非常にのんきだった男は、いまや沈み込み、鷹のように一同を見張っている。

名前: アール・ダークソン少佐
役職: 指揮官、第5打撃大隊、第21連隊
 ダークソン少佐はライラ共和国の小貴族の四男である。地元の市民軍に所属していた彼は、マーリックの攻撃の後、完全に動作するメックを発見したのだった。それから彼は、傭兵での生活がエキサイティングで栄光に満ちあふれたものだと考え、軽機隊に入隊した。
 現在40歳である彼の野心はいくらか冷めたものとなっている。ダークソンは無謀な戦士たちに我慢している。なぜならそれは彼が若いころに感染したものだからだ。趣味として、彼は愛機の「ワイルド・サイド」をいじっている。彼と技術者たちは、メックにいくつかの改造を施し、NAIS教員たちの興味を引いている。

名前: ジェイムソン・ナイジェル少佐
役職: 指揮官、第7打撃大隊、第21連隊
 "気むずかし屋"の異名を持つこの男は、笑顔や興奮したところを見せることが滅多にない。軽機隊支援部門の貧しい両親の下に生まれたナイジェルは、壮大で勇敢な傭兵生活の背後に汚れたものを見ている。彼を現在の地位まで押し上げたのは、ひとえにメック操縦技術と戦闘での機転(両方共に移動遊園地で偶然見いだされた)によるものである。
 彼の唯一の友人はブシャール少佐であるが、ブシャールが第7大隊の第27中隊指揮官に昇進して以来、友好関係は相当に緊張したものとなっている。

名前: ピエール・ブシャール少佐
役職: 指揮官、第27中隊、第7大隊、第21連隊
 5ヶ月前、恰幅がよくパイプをくわえたブシャール少佐は、アームストロング将軍の副官であった。燃料タンクの爆発事故で2名のメック戦士と第27中隊指揮官が死んだ後、アームストロング将軍はブシャールを中隊指揮官に任命した。
 ブシャールの友人であるナイジェル少佐は、彼に指揮権を取られると信じている。ブシャールはナイジェルのパラノイアを笑い、次の機会があったら飲もうと誘っている。

名前: "ロック"ペロー少佐
役職: 指揮官、第1装甲歩兵大隊、第21連隊
 比較的若いペロー少佐はエリダニの中で育った。テックの息子であるこのハンサムな黒い男性は、常に装甲車両への興味を抱き続けていた。16歳で彼は第1装甲歩兵大隊に戦車兵として入隊した。それ以来、彼のキャリアは急速に前進し、30歳で、史上最年少の大隊指揮官となったのである。彼は非常に人柄の良い人物であり、すぐ笑い、即座に部下たちを守る。
 ペローが恒星連邦の連絡士官の一人と恋に落ちたとき、グリーン=ダヴィオン少佐は恋の芽を摘むためにその女性士官を異動とした。その後、彼は密かにであるが、ダヴィオン少佐に対する恨みを抱いている。

名前: ロバート・C・フェアチャイルド大佐
役職: 指揮官、第151軽機連隊
 フェアチャイルド大佐は、3人の連隊指揮官で最年少である。この41歳は、一年間ダークホース連隊の指揮をとっており、前任者である高名なアームストロングの後継者としての価値を証明している。比較的物静かなのであるが、非常に大胆で物議を醸す決断を行う。彼は伝統に縛られた傭兵部隊の変化を求める最も率直な支持者である。
 フェアチャイルド大佐は、グリーン=ダヴィオン少佐の親友であり、彼のことを模範的な士官であると考えている。最近のグリーン=ダヴィオン少佐に関する噂は、彼を積極的に守る方向に働いている。

名前: エドワード・スティムソン少佐
役職: 指揮官、第6偵察大隊、第151連隊
 スティムソン少佐は、長い歴史を持つ高名な士官一族の出身である。先祖の評判に恥じない戦いぶりを見せているのだが、彼は管理・経営の面で劣っている。その結果、彼の大隊は補給の不足に苦しみ、統制を欠いている。
 昇進に際し、スティムソン少佐は重メックを断り、指揮小隊を軽メックのみで編成した。戦いを決するためにこの軽小隊を使うことはできないのだが、優れた速度により必要なところにはどこにでも行くことができるのだ。

名前: アンソニー・ガスカ少佐
役職: 指揮官、第8大隊、第151連隊
 思春期の心を持った中年であるガスカ少佐は、非常に自由奔放であり、ハンサムな外見を鼻にかけている。暇なとき、彼は自動車とジェット機のレースを行う。この操作能力と器用さが、彼のウォーハンマー"キスミー"を非常に優雅な敵としている。
 ガスカの思春期的な心は、エリダニの女性、特にメック戦士に迷惑をかけてきた。彼は二度、ハラスメントの嫌疑で将軍の前に引き出されており、次は降格に直面するものと思われる。

名前: ベス・ダンカン中尉
役職: 打撃小隊、第9偵察中隊、第8偵察大隊、第151連隊
 ダンカン中尉はウォン・ラックナー戦車を母親から受け継いだ。父親はエリダニ戦闘学校で新兵に教える退役メック戦士であり、祖父は気圏戦闘機パイロットであり、兄は歩兵士官であり、姉は降下船の船員として働いている。結果、ダンカンは各種兵器とどう働けばいいか知るようになった。上官は抜け目なく戦う彼女に目を付けている。

名前: サイモン・T・クローガー・ジュニア少佐
役職: 指揮官、第50重機兵大隊、第151連隊
 血まみれ50指揮官の座は世襲制となっている。クローガー少佐は、テラー・クローガー少佐から数えて七代目である。テラーは、2798年、エリダニの家族が殺されたことに対する報復としてセンダイ強襲を率いた。痩せていて眼鏡をかけたサイモンは、大隊指揮官というよりコンピューターのオペレーターに見える。バトルマスター(テラー・クローガーから引き継いだ家宝)を操縦するときのみ、彼の育ちが現れるのである。







部隊編成表 3025  TO&E

エリダニ軽機隊 第3連隊戦闘団 3rd Regimental Combat Team


▽ エリダニ軽機隊最高司令部

指揮小隊(メック3機)
降下船グループ 5隻 オーバーロード級
10隻 ユニオン級
1隻 レパード級
1隻 エクスカリバー級
3隻 ガゼル級
2隻 トライアンフ級
航宙艦グループ 3隻 モノリス級
3隻 スターロード級
6隻 インベーダー級
補給・技術部 602個支援分隊
第21打撃連隊
第71軽機連隊
第151軽機連隊



▽ 第71軽機連隊

連隊指揮中隊 指揮小隊(メック4機)
護衛小隊(メック4機)
間接砲小隊(メック1機、戦車2両、間接砲4門)
第1機械化歩兵小隊(マシンガン)
第1機械化歩兵小隊(火炎放射器)
第11偵察大隊 大隊指揮小隊(メック4機、間接砲1門)
第3偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機、戦車2両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、火炎放射器)
第10偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック3機、間接砲1門)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)
第11偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機、戦車2両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、火炎放射器)
第17偵察大隊(スクリーミング・イーグルス) 大隊指揮小隊(メック4機、間接砲2門)
第14偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機、戦車2両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)
第16偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機、戦車2両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)
第101航空機兵隊 指揮小隊(LAM2機、気圏戦闘機2機)
打撃小隊(LAM2機、気圏戦闘機1機)
偵察小隊(LAM2機、気圏戦闘機2機)
第82重機兵大隊(ケレンスキーのお気に入り) 大隊指揮小隊(メック4機、間接砲2門)
第41支援中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック2機、気圏戦闘機2機)
支援小隊(重戦車1両、間接砲3門)
第81戦車中隊 指揮小隊(重戦車4両)
火力小隊(軽戦車4両)
打撃小隊(軽戦車4両)
第12機械化歩兵中隊 アルファ歩兵小隊(機械化、レーザー)
ブラボー歩兵小隊(機械化、レーザー)
チャーリー歩兵小隊(機械化、レーザー)
デルタ歩兵小隊(機械化、レーザー)
第4重強襲中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
偵察小隊(メック4機)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
第6重強襲中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
偵察小隊(メック4機)
航空小隊(気圏戦闘機2機)



▽ 第21打撃連隊

連隊指揮中隊 指揮小隊(メック4機)
護衛小隊(メック4機)
間接砲小隊(メック1機、戦車2両、間接砲4門)
第1機械化歩兵小隊(マシンガン)
第1機械化歩兵小隊(火炎放射器)
第3打撃大隊 大隊指揮小隊(メック4機)
第9中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
偵察小隊(メック4機)
第14中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
偵察小隊(メック3機)
第85中隊 指揮小隊(気圏戦闘機2機)
支援小隊(気圏戦闘機2機)
打撃小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(気圏戦闘機2機)
第5打撃大隊 大隊指揮小隊(メック4機)
第4中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
偵察小隊(メック4機)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
第7中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
偵察小隊(メック4機)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
第25重強襲中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
第1航空小隊(気圏戦闘機2機)
第2航空小隊(気圏戦闘機2機)
第7打撃大隊 大隊指揮小隊(メック4機)
第11中隊 レッドセブン小隊(メック4機)
ブルーセブン小隊(メック4機)
ゴールドセブン小隊(メック4機、気圏戦闘機1機)
第12中隊 シルバー小隊(メック4機)
ブラック小隊(メック4機)
パープル小隊(メック4機)
ブラウン小隊(気圏戦闘機2機)
第27中隊 グリーン小隊(メック4機)
ホワイト小隊(メック3機)
プラチナ小隊(メック2機、LAM1機、気圏戦闘機1機)
第1装甲歩兵大隊 大隊指揮小隊(メック4機)
"ブリキ缶"中隊 指揮小隊(重戦車5両)
打撃小隊(軽戦車6両)
偵察小隊(軽戦車6両)
アルファ中隊 第1歩兵小隊(機械化歩兵、レーザー)
第2歩兵小隊(機械化歩兵、レーザー)
第3歩兵小隊(機械化歩兵、SRM)
第4歩兵小隊(機械化歩兵、SRM)
ブラボー中隊 第1歩兵小隊(ジャンプ、ライフル)
第2歩兵小隊(ジャンプ、マシンガン)
第3歩兵小隊(ジャンプ、レーザー)
ブーマー中隊 指揮小隊(間接砲3門)
対空小隊(メック4機)



▽ 第151軽機連隊

連隊指揮中隊 指揮小隊(メック4機)
護衛小隊(メック4機)
間接砲小隊(メック1機、間接砲6門)
第1機械化歩兵小隊(マシンガン)
第2機械化歩兵小隊(火炎放射器)
第50重機兵大隊(血まみれ50) 大隊指揮小隊(メック4機、間接砲2門、機械化歩兵、レーザー1個小隊)
第1偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
支援小隊(戦車4両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車4両)
第1重強襲中隊 指揮小隊(メック4機)
第7機械化歩兵小隊(火炎放射器)
打撃小隊(メック4機、戦車3両)
偵察小隊(メック4機)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
第3重強襲中隊 指揮小隊(メック4機)
第4機械化歩兵小隊(レーザー)
打撃小隊(メック4機、戦車3両)
偵察小隊(メック4機、気圏戦闘機1機)
第8偵察大隊 大隊指揮小隊(メック4機、間接砲2門)
第5偵察中隊 指揮小隊(メック3機、LAM1機)
打撃小隊(メック4機、戦車3両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)
第6偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機、戦車3両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車2両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)
第9偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機、戦車3両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車3両、ジャンプ歩兵2個分隊、ライフル)
第6偵察大隊 大隊指揮小隊(メック4機)
第2偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
支援小隊(戦車4両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車3両、ジャンプ歩兵2個分隊、ライフル)
第4偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック4機)
支援小隊(戦車4両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車3両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)
第8偵察中隊 指揮小隊(メック4機)
打撃小隊(メック3機、戦車1両)
支援小隊(戦車4両)
航空小隊(気圏戦闘機2機)
偵察小隊(メック1機、戦車3両、ジャンプ歩兵1個分隊、ライフル)




indexに戻る
inserted by FC2 system