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作成:2016/08/21
更新:2016/09/11

バウンティハンター The Bounty Hunter



 バウンティハンター(賞金稼ぎ)はバトルテックの初期から登場している有名キャラクターです。その特徴はなんといっても、常にパワーアーマー(ライト)を身にまとっており、正体がわからないことでしょう。
 彼の正体は……複数の人物です。2920年代からダークエイジまで活動しているバウンティハンターは、パワーアーマーを継承し、代替わりしているのです。
 特定できるバウンティハンターの中身は数名が存在します。ナターシャ・ケレンスキーからマローダーを奪い取った氏名不明の男。第四次継承権戦争の際に、バウンティハンターの身分を使って、グリーグ・サムソノフを討ったミチ・ノケツナ。ミチ・ノケツナに同行し、彼の後を継いだヴィク・トラヴァース。さらにその後を託されたウォルト・ウリズマンなどです。
 ヴィク・トラヴァースはだいたい3030年頃から3070年のあたりまで休みを挟みつつ活動し、聖戦においては、カイ・アラード=リャオを誘拐するという快挙を成し遂げています。後継者のウォルト・ウリズマンは、ワード・オブ・ブレイクのベリス司教に仲間を殺されながらも、単独で元ROM司教ヴィクトリア・パードゥの身柄を確保し、バウンティハンターとしての価値を証明しました。



ヴィク・トラヴァース Vic Travers
階級/地位:バウンティハンター
生まれ:3004年(3068年時点で64歳)
所属:バウンティハンター
故郷惑星:アナポリス
メック:マッドキャット・バウンティハンター2、マローダーIIバウンティハンター


メック戦士プロフィール

 バウンティハンターは間違いなく最も有名なメック戦士であり、真の名を知る者はほとんどいない。この世代のハンターは、現状、「ヴィク・トラヴァース」の名を使っている。これは最も可能性の高い偽名であるが、3028年から一貫して使い続けているようだ。この男の画像は存在する――しかし、トレードマークとなっているアーマーやメックの外にいるものはない。60代と思われている彼は年を感じさせ始めている。

 トラヴァースは、(前バウンティハンターと思われる)ミチ・ノケツナが彼を利用するまで、目立たずにいることに成功していた。ノケツナ自身はバウンティハンターの身分と装備をウルフ竜機兵団から受け継いだようだ。そのウルフ竜機兵団は3027年に元バウンティハンターから得ている。前任者に何が起きたのかは不明だが、噂によると竜機兵団が彼を殺したか、あるいは元バウンティハンターがキャリアのどこかの段階でノケツナとトラヴァースに出会っており、リタイアしたものとされる。

 ノケツナのバウンティハンターとしての期間は短かったが、ハンターの技術と身分を復讐の道具に使ったようである。トラヴァースのやり方はもっと実用的なものと思われる。我らが知っている限り、仕事の大多数は目立たないものであり、ごまかしと隠密活動によって成果を得ている。通例としてバウンティハンターは情報通であるが、中でもトラヴァースは情報収集活動を頼みとしている。情報の多くは、脅迫を使うか、あるいはおそらく地元の犯罪シンジケートとのコネクションを使って集めている。従来のバウンティハンターのやり方を少々逸脱しているが、ノケツナが目標に近づくために似たような手法を使ったことに留意すべきである。これは、トラヴァースがノケツナの情報収集活動の主力だったことを示唆しており、さらには犯罪組織とのコネクションがハンターの仲間だった時代から続いているかもしれないことを示している。

 トラヴァースのバウンティハンターとしての契約の大多数は、目標を「生死を問わず」捕まえるという通常の条項であるが、実際に大勢の目標が死んだ一方で、大半は生きたまま連行されている。これは慈悲を示しているというよりはマーケティング的なものかもしれない……潜在的な顧客の多数は目標を生きたまま捕まえるのは挑戦であると考えており、優秀な実績が高く評価されているのだ。

 我々はトラヴァースが競争相手を積極的に排除してきたとの強い徴候を得ている。3047年にイザベラ"ハイエナ"シグナス(新たなバウンティハンターと喧伝した人物)を人目につくところで残虐に処刑したときなどのように、これは暴力を持ってなされることがある。メーティキュレス・パースート傭兵チームを暴力的に抹殺したのも彼と仕業と思われる。他の例では、トラヴァースが関与したとの確かな証拠はほとんど出ていない。

 少なくともひとつの事例において、トラヴァースはライバルの賞金稼ぎ集団に早期退職を促そうとしたことがある。3044年のこの事例は、(おそらく契約の条件として)比較的人目につく形で行われた。トラヴァースは競争相手を「買収」し、アーマーを来たまま、代金の一部、あるいは全額を支払ったのである。このグループ、カーソリアル・ハントは即座に現金化し、メンバー全員が引退した。一部は数年後に傭兵業界へと戻ったが、賞金稼ぎを専門にすることはなかった。

 3051年から3064年まで、世間(と諜報機関の大半)の前から姿を隠し、引退していたと推定される期間の後、トラヴァースは連邦共和国内戦でそれなりの活動を見せた。内戦が終わった後には再び消息不明となっており、二度目の引退をしたとする者もいる。


マッドキャット・バウンティハンター2

 この数年、GM製マローダーIIだけを使っているのが目撃されていることから、有名なマッドキャット・バウンティハンター(スモークジャガーから奪ったもの)は廃棄されたことが示唆されている。つい最近、トラヴァースは違った仕様のマッドキャットに再び乗っているようだが、前のマッドキャットのような摩耗、損害による問題は見せていない。これが示唆するのは 、彼が新しいオムニメックを手に入れたか、大規模なオーバーホールを行ったということである。


マローダーII・バウンティハンター

 ハンターのマローダーIIは良好な状態で整備され続けている。これは、GMが量産バージョンの試験として、宣伝として、バウンティーハンターにこのハイブリッドメックを提供したのではないかとの推測を呼んでいる。もしそれが本当ならば、GMは必要な各種氏族技術をそれなりの速度で生産する能力をまだ見せてはいない。


マローダー・バウンティハンター 3015

 ナターシャ・ケレンスキーの乗っていたマローダーは、辺境での任務中にいくらかの重い損害を被った後、3015年に改造された。老朽化したヴィラー300エンジンは、修理できる範囲を超えており、出力225の核融合炉に交換された。失われた機動性を埋め合わせるためにジャンプジェットが取り付けられ、GMワールウィンドが3門目のヘルスターPPCと交換されている。3門目の粒子砲と3門の追加MkIIレーザーは、星間連盟製の高性能放熱器(辺境での任務で発見されたロステック倉庫にあったもの)に大きく依存している。これだけ改良してなお、装甲を3トン分強化することが可能になっている。


マローダー・バウンティハンター 3044

 トラヴァースがM-7ガウスライフルと225XLエンジンの入手を成し遂げた後、マローダーは3044年に再びアップグレードされた。ガウスライフルは重量がありかさばることから、レーザー2門と放熱器3基を取り外さねばならなかった。同じく背中のヘルスターをガウスライフル、スラッグ16発を納めるために取り外している。残った両腕の粒子砲は、ERPPCに交換された。








ウォルト・ウリズマン Walt Urizeman
階級/地位:バウンティハンターのチーフテック
生まれ:3029年(3068年時点で39歳)
所属:バウンティハンター
故郷惑星:トーレンス
メック:コルドロン・ボーン A仕様 ウリズマン


メック戦士プロフィール

 たまに「ウォルト・ウリズマン」と呼ばれることもあるこの人物は、恒星連邦の世界「ゴールデンファイブ」のひとつであるトーレンスで生まれた。彼の家族はトーレンスの標準からすると比較的貧しかったようだが、それはウォルト家が中心領域の約90パーセントよりも裕福だったことを意味している。加えてウォルトはたぐいまれな技術教育を受けることが出来、連邦共和国装甲軍のバトルメック技術者として星々を巡った。5年に及ぶ勤務期間が終わると、ウォルトは出自の怪しい回収された氏族メックを使って傭兵になった。2つの傭兵部隊での勤務は短いものだったが、ぼろぼろになったバトルメックを「つばとチューインガム」で動かすことができる技術者との評判を固めた。残念なことに、この男はずば抜けたメック戦士というわけではない。彼の乗機はブルドッグ作戦の間に修理不能となり、その後まもなくバウンティハンターの技術者に転身した。

 ウォルトは単なる達人技術者ではない。ヴィク・トラヴァースの指導の下、どうやら「現場」での作戦に秀でるようになったようで、バウンティハンターと取引する各種の政府、傭兵、犯罪者、貴族の柔軟かつ個人的な窓口として機能している。その才覚から、トラヴァースはウォルトに高度な責任と権限を与えているようだ。トラヴァース自ら広範囲な訓練を施しているという噂を鑑みるに、ウォルトはトラヴァース後継者として育成されているらしく、彼の戦闘技術は日進月歩となっている。

 現在、ウォルトは公式の階級(ハンターが正式とすることは滅多にない)においても先任順位においても、ハンターの組織の次席となっている。彼は現在のバウンティハンターに最も長く仕えているメンバーなのだ。


コルドロン・ボーン A

 ウリズマンのコルドロン・ボーンは抜群の状態に保たれており、特定の機体の癖は存在しない。現在は通常のアルファ仕様に設定されている。








クリスティーナ"クリス"サンテ Christina “Chris” Sante
階級/地位:メック戦士 / バウンティハンターのスペシャリスト
生まれ:3037年(3068年時点で31歳)
所属:バウンティハンター
故郷惑星:地球
メック:PHX-4L フェニックスホーク(サンテ)


メック戦士プロフィール

 "クリス"サンテはバウンティハンターの下についている、もう一人の高度な教育を受けた技術専門家である。伝えられるところでは、彼女の両親はアルディス・コーポレーションで勤務し、恒星連邦への軍需物資販売を監督していたという。地球の太陽まぶしいカリフォルニア地区で生まれ、教育を受けたのだが、彼女は幼少期の大半を恒星連邦(連邦共和国)で過ごし、ワード・オブ・ブレイクが地球を占領して軍需物資の輸出を制限すると、恒星連邦に移り住んだ。よって、両親のささやかな財産は失われたのだった。サンテがメック戦士としてAFFSに入隊したときに連邦共和国内戦が勃発し、忠誠心が揺れ動いていたそのタイミングで兄妹の諍いに足を踏み入れてしまった。任期を終えると、彼女はうんざりして最終的にソラリスVIIにたどり着き、バトルメック技術者として働き始めた。ここで電子装置に関する技術的知識と皮肉が地元の犯罪組織に気に入られ、メックを巧妙に破壊するため、また電子監視装置を作り上げて設置するために雇われたのだった。サンテのプロ意識と技能はヤクザに感銘を与え、彼らを通してバウンティハンターは彼女の才能に気づき始めた。

 サンテはきわめて熟達したバトルメック・パイロットであり(理由の一部はEIコンピューターのソフトウェアに慣れ親しんでいるところから来ている)、まずまずの砲手である。彼女は監視作戦でウォルトとサンディを助けることがよくあり、通常は電子的観測を行うが、個人を物理的に追跡するのに充分な技能を持ち合わせている。ウォルトと違って、サンテは人とやりとりする極めつけの達人というわけではないが、トラブルを避けるために作り話とブラフを操ることができる(雇い主のために各ステイブルのメックに破壊工作を仕掛けることがよくあった)。彼女は過小評価されがちである――アフリカ系混血のそれなりに魅力的な女性であり、若い外見であり、輝くような笑顔であることから、このテクノロジー大好きな女性が、内戦の参加者かつ危険な傭兵であることを疑う者はないのである。


PHX-4L フェニックスホーク(サンテ)

 サンテのフェニックスホークは、以下の機種別特徴を持つ。操縦しやすい(SO193ページ参照)。大口径レーザーは氏族製に交換されており、胴中央にTAGが追加されている。








アレクサンダー"サンディ"ロマノフ Alexander “Sandy” Romanov
階級/地位:メック戦士 / バウンティハンターのスペシャリスト
生まれ:3015年(3068年時点で53歳)
所属:バウンティハンター
故郷惑星:オーヴァン
メック:SHD-2H シャドウホーク(ロマノフ)


メック戦士プロフィール

 メック戦士 "サンディ"ロマノフは、ベテラン中のベテランであり、あるいは少なくともそのように振る舞う。冷淡で、無口で、しゃがれ声で、シニカルで、常に軍隊カットで、ひとにらみすれば大人をたじろがせることができる。この「ベテラン」は好きなときに態度を変えることが可能で、賞金首を追う時には群衆に紛れ込むが、非番の時には元に戻る。

 ロマノフの軍事キャリアは40年にも及ぶ。カペラ市民軍の「青年団」で偵察兵を務めていた時代に、祖国が第四次継承権戦争で大敗を喫するという侮辱を被ったのだが、彼自身は実戦に参加することがなかった。のちに彼はCCAFに入隊し、傑出した試験結果を残して、ロマノフ・リャオの再建された軍隊でメック戦士の座を射止めた。彼はアンドゥリエン公国とカノープス統一政体に対する紛争に下級メック戦士として参加し、その後、ロマーノ首相の常軌を逸したパラノイアによって傭兵業界に追い立てられ、個人のバトルメックを持ってないことから車両の砲兵から始めざるを得なかった。彼がメック戦士の座を取り戻したのは、敵メックを回収可能な状態で撃墜し、功績を主張したときのことである。

 ロマノフは堅実な操縦手であり、ずば抜けた砲手である。キャリアを通して、彼は静かに中心領域で最高のメックエースの一人となった。この事実はほとんど知られていない……様々な傭兵部隊に雇われていたからであり、公にすることに興味を持っていないと思われるからである。この控えめな態度と腕前があったからこそ、ヴィク・トラヴァースは彼を雇ったのだ。バウンティハンターの指揮下で、ロマノフは小隊の主力を努めており、メックの外にいるときは「直接行動のスペシャリスト」として頭脳労働役のメンバーたちをバックアップする。

 軍歴の中で、ロマノフは腕に重度のやけどを負い、両腕の肘から下をマイアマー人工義肢にしている。この義肢は飛び抜けて高性能であり、本物の筋肉と事実上区別がつかない。


SHD-2H シャドウホーク(ロマノフ)

 サンディのシャドウホークは以下の機種別特徴を持つ。強化生命維持装置(SO195ページ参照)。この機体は、ヘビーPPC1門、ライトPPC1門、高性能放熱器、TAG1基を持つ。ジャンプジェットは150メートルの飛距離に強化されている。








ロバート"ボブ"ファレル Robert “Bob” Farrell
階級/地位:メック戦士 / スペシャリスト
生まれ:3032年(3068年時点で36歳)
所属:バウンティハンター
故郷惑星:クレイブルック
メック:JVN-11D ジャベリン(ファレル)


メック戦士プロフィール

 "ボブ"ファレルは第1自由世界同盟軍団で長年過ごし、そのあいだにメックの内外で偵察兵として腕を上げることとなった。ゲレイロ作戦の間、彼はよくメックを荒野に止めて、自分の足で(あるいは盗んだ民間車両で)サーナ境界域の各世界の街や都市を調査した。よって彼は地元の民衆に紛れ込むことができるのである。

 ファレルは個人的な罪の意識により、任期が終わるとFWLMを離れた。ゲレイロ作戦の間、彼はカーキ色の制服を着たジュニア森林レンジャーの集団を境界域市民軍の兵士と見誤ったのである。ジュニアレンジャーは砲弾を浴びた。軍事法廷において彼の過失は許されたが、ファレルは自分を許すことはなく、最終的にソラリスに赴いて、冷酷な(そして古めかしい)私立探偵として働いたのである。事情により、アリーナでバトルメックの操縦に戻されることになったのは、その後のことである。ヴィク・トラヴァースはクリス・サンテの助言により彼を雇ったと伝えられている。なぜなら、ファレルは組織犯罪を行ったサンテの逃亡を何度か助けたことがあったからだ。

 ファレルはウォルトのような社交性は持ち合わせていないが、幾度か公式の捜査訓練を(完了してないにせよ)受講した有能な調査員である。彼は細かいところに気づく目を持っており、それがトラヴァースの偵察メックパイロット、捜査員として役に立っている。サンテほど技術に精通しているわけではないのだが、彼は入手した電子ファイルから有用なデータを取り出す達人である。改造されたJVN-11Dに乗ったファレルは、直接的な戦闘を避け、ハンター小隊のために偵察兵と観測手を務めている。

 小隊の他隊員と違って、ボブは家族を持っている。彼の妻はソラリスVIIの荒野に住んでおり、息子を育てている。


JVN-11D ジャベリン

 ファレルのジャベリンは以下の機種別特徴を持つ。強化通信機(SO195ページ参照)、バランスが悪い(SO199ページ参照)。中口径パルスレーザーは中口径Xパルスレーザーに交換されており、C3スレイブは氏族アクティブプローブに交換されている。








おまえが悪いんじゃない Don’t Make It Personal


状況
第51水浄化プラント
パーカシー、恒星連邦
3068年1月11日


 エリートメック戦士を雇うのは難しい……特に王家連隊の外では。エリートの飛び抜けた技能は引く手あまたであり、際だった成果を残す。彼らがわざわざ仕事を探す必要はない――メックを持っている限りは――そしてそのことを知っている。この傲慢さは彼らが仕事に注ぎ込む極度の情熱という形で表されることがよくある。エリートのメック戦士たちは命令系統の上から命令を受けるのを(あるいはアドバイスでさえも)拒否することがある……特にその「上官」が腕に劣る場合は。

 エリートメック戦士と共に働く雇用主が遭遇する最大の問題は、彼らを小規模な部隊に配備するのが難しいことだ。膨らんだ自尊心と競争心が、自分より優れているかもしれない他者との協力を拒絶するからである。

 同時に、典型的なメック戦士たちの小部隊がエゴを捨て去り協力しようとするときでも、結果は悲惨なものとなりうる――発見された第51水浄化プラントを守っている傭兵たちのように。


攻撃側
 攻撃側はバウンティハンターの仲間4名からなり、それぞれのバトルメックに乗っている。


防衛側
 防衛側はロードン・ロングトムという部隊名の諸兵科連合傭兵部隊である(その名に反して、間接砲を持っていない)。戦力は少なくとも1個バトルメック小隊(最大メック8機)、1個車両小隊、1個歩兵中隊を含む。


結末
 この攻撃は、守備側の傭兵を潰走させるのに成功した。追加の援軍はカルヴァン胸甲機兵隊を呼ぶという形でなされた。








ひとつ質問がある I Have a Question


状況
エンゼンブル・ヒルズ
パーカシー、恒星連邦
3068年1月11日


 賞金という最後のゴールに至る最初の一歩は、情報収集である。借金漬けの傭兵中隊指揮官、ヘクター・カルヴァンはまさに必要な情報を持っていた。カルヴァン胸甲機兵隊は、パーカシーで長期の駐屯契約を履行して約1年間経っており、もう4年が残されていた。

 バウンティハンターの計画の要点は、仲間を使って近くの水浄化プラントを攻撃し、カルヴァン胸甲機兵隊に「海賊」と交戦していると思わせるところにあった。それは成功し、バウンティハンターはメック中隊を自ら待ち伏せすることが可能になり、最初の砲戦でオストロックを倒した。残りは10機であった。


結末
 ハンターの仲間が現れるまでに、カルヴァン胸甲機兵隊の残りは基地へと退却していた――そして完全に落ち着きをなくした傭兵隊長は、中心領域で二番目に悪名高いバトルスーツの男に直面したのだった。








獲物への鍵 Means To An End


ミッション・ブリーフィング Mission Briefing
 獲物を捕らえるチャンスを得るには、なんらかの手段が必要だとハンターは判断した。公爵の若い娘であるメリッサ・アラード=リャオは完璧な人質だった。カイ・アラード=リャオが自らの身を差し出すのは確実であろう。

 幸いなことに、ヘクター・カルヴァンの息子は、メリッサの幼なじみの一人であった。ヘクターはフェルナンド・カルヴァンを探す情報を提供し、次にフェルナンドはセントアイヴスのティアン=タンにあるメリッサのセーフハウスを特定する情報を提供した。両者がターゲットに警告するのを妨げるため、ハンターはカルヴァン親子を改造型ミュール級降下船ル・ブランに拘留し続けた。


アセット Assets
 このミッションに使用可能なアセットは、バウンティハンターのカスタム・パワーアーマー、個人武器・装備のすべて、追加の装備を得るためのブラックマーケットとのコンタクト数名。入手性D以上の装備は、この任務の時間軸には入手できない。ハンターのメックは、理論上使用可能だが、あくまで最後の手段としてのみである……バウンティハンターはアラード=リャオ公爵本人に向かう準備ができるまで目立ちたくないと考えている。


任務成功条件 Mission Success Conditions
 メリッサ・アラード=リャオを生かしたまま最小限の負傷で捕まえること。邪魔をしそうな人物に手がかりを与えないこと。


妨害 Opposition
 メリッサ・アラード=リャオはティーンエイジャーの高校生である。両親は娘が比較的普通の人生を送ることを望み、偽の身分で高校に入れた。学校の関係者はうすうすこれに感づいており、大企業家の娘と考え、多額の「寄付」の結果としてボディガードが入るのを許している。メリッサはこの処置に憤慨しており、父が兄のディヴィッドと疎遠になった原因と感じている。これらの事実にかかわらず、常に4人のボディガードが彼女の近くに控えている。総数では12名のボディガードと6名の監視要員である。


 Enemies
 ボディガードは高度に訓練を積んだマスキロフカの工作員であり、長年に及ぶ護衛の経験を積んでいる。


地元の状況 Local Conditions
 セーフハウスは孤立した田舎の大邸宅に似た強化建造物であり、メリッサ、世話人(執事、掃除人、料理人、庭師)、4名の護衛が住むのに充分な大きさがある。この建物は首都ティアン=タンの高級住宅街にある。


結末 Aftermath
 セーフハウスへの素早く残忍な攻撃により、メリッサは捕らえられ、薬物で眠らされた。ここにいた護衛は全員殺され、生存者は残されなかった。セーフハウスは捜査を難しくするために破壊され、囮として自由世界同盟の関与を疑わせる手がかりが残された。マスキロフカはすぐに見破ったが、本当にそうだった場合に備えて最小限の資源を割いた。その一方、資源の大部分は、本物の犯人を追うために注がれた。

 彼らが思ってもいなかったのは、まったく同じ日に、バウンティハンターが再び攻撃を行ったことである…








こちらの要求を聞くことになる You’ll Accept My Offer


状況
リーニン・グローブ
セントアイヴス、カペラ大連邦国
3068年6月25日


 貨幣記号をちりばめたグリーンのマッドキャットが、第1聖アイヴス槍機兵団1個大隊の前に立ちふさがった。

 「カイ・アラード=リャオ。こちらはバウンティハンターだ。おまえの娘は預かっている。一対一の勝負をしろ。勝敗がどうなろうと、部下が娘を解放する。もし逃げるか、メック戦士たちがこちらに来たら、おまえの娘は死ぬ。直ちに。もしおまえが負けたら、こちらと一緒に来てもらう。返答は? 5秒だけ待つ」

 5秒後、グレーとアイボリーのリョウケンが前進した。「言うとおりにしよう。バウンティハンター」


結末 Aftermath
 槍騎兵隊のメック戦士35名を驚かせたことに、カイ・アラード=リャオがバウンティハンターを下すことはなかった。伝説的な決闘の間、2機のメックは通信のやりとりを行ったが、内容は誰にもわからなかった。バウンティハンターは、足を引きずって降下船に戻る前に、大破したマッドキャットのコクピットに中心領域で二番目のメック戦士を乗せていった。

 セントアイブス槍機兵団は、ハンターが目的地にゆっくりと進む間、500メートルの距離を保って後に続いた。離陸するときには全連隊がハンターの降下船を取り囲み、航宙艦に進むときには第1セントアイヴス航空槍機兵団が後を追った。

 一発たりとも撃つことはなかった……娘が見つかるまで撃つなとの囚われの公爵の命令に縛られていたのである。そして、カイがセントアイヴスに戻ることをバウンティハンターとの決闘の前に誓ったとき、全員がそれを信じたのである。

 航宙艦がセントアイヴスを発ってから2時間後、メリッサ・アラード=リャオは無傷で発見された。誘拐されていたあいだ、彼女は眠らされていたのだった。




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