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作成:2002/11/27
更新:2008/07/02

ブラックソーン



 1個中隊規模の傭兵部隊。
 隊長のジェレミア・ローズは未訳小説「D.R.T.」「Main Event」の主人公です。ノースウィンドハイランダーズに育ち、コムガードでツカイード戦を経験し、ソラリスVIIの闘士になり……と、主役らしい波瀾万丈の人生を送っています。シナリオ集「The Black Thorns」も出版されています。



ブラックソーン
The Black Thorns

傭兵部隊(ドラコ連合)

部隊司令官: ジェレミア・ローズ大尉
部隊規模:1個中隊
熟練度: 一般兵
忠誠度: 信頼できる
竜機兵団評価値: B



ブラックソーン The Black Thorns


部隊の歴史:

 ジェレミア・ローズは高名なノースウィンドハイランダーズの一員として生まれ、早いうちからメック戦士の訓練を始め、戦士だった母親の後を辿った。3039年戦争でダヴィオン家のために戦っていた母親が死ぬと、彼は深く傷つき怒り、ハイランダーズを離れてコムガード(コムスター軍)に入った。そうすることによって、ばかげた葛藤から逃れられると信じていた。彼の旅立ちは、ローズと父コーネリアスの間に永遠の溝を作り出した。父はダヴィオンの忠実な支持者のままであった。コムスターに仕えているあいだ、彼はいくつかの星系に駐屯した。彼が生まれつき備えていたメック操縦の才により、彼はすぐ司祭の階級を得た。氏族侵攻があったあいだ、ローズが駐屯していたのはルシエン(ドラコ連合首都惑星)だった。スモークジャガー氏族とノヴァキャット氏族が惑星を奪い取ろうとした、かの伝説的戦いが行われる以前から数年間居住していた。ローズはすぐさまルシエンを好きになり、ほとんど二番目の故郷となった。従って、コムスター司令官がコムガード現地軍に対し惑星防衛に参加してはならないと伝えたとき、彼は心の底から耐えられない気持ちを味わった。氏族が帝都を侵略しようと迫っても、ローズには座って見ているしかなかった。折良く、ケルハウンドとウルフ竜機兵団が駆けつけ、都市と惑星を守ったが、彼の受けた命令により、いままで気づいていなかったコムスターの側面がわかり、またそれが好きでないとはっきりした。ルシエンの戦いののち、彼は任務を辞することを試みた。しかし上層部は彼がコムガードから離れるのを許さなかった。

 結局、彼の部隊はツカイードに移動し、氏族の侵略に対する有名なクライマックスの戦いに参加した。ローズ隊はスモークジャガーと戦い、次にウルフ氏族と戦闘を行った。初期には成功を納めたにもかかわらず、ローズ隊の残りは、補給がほとんどないか、まったくない状況のなかで、絶えず性急な防御を強いられた。結局、ウルフの優れたメックはローズ隊を全滅するまで切り刻んだのである。コムガードは戦いに勝ったが、ローズの戦友は最後の戦いで全員が死んだ。最後の氏族が惑星から撤退するまでに、ローズだけが隊の中で唯一生き残り、彼のメック〈シューティスト〉は破壊された。

 幻滅していたローズは、代行のメックを待つよりはと辞職し、惑星ノースウィンドに帰っていった。あまり多くの時間をそこで過ごさなかったにもかかわらず、ハイランダーズは彼が古巣に戻るのを受け入れてくれると確かに感じていた。部隊は身内で固めることで有名だった。しかし彼の受け入れを認めたのは二人の戦士だけで、彼の望み(ノースウィンド隊で氏族と戦う)はうち砕かれてしまった。父(いまは上級テックでローズ家の長老)と会ったとき、ローズのプライドは苦いもので満たされた。父は「戦士会議」で彼に語った。コーネリアス・ローズは息子の計画の支援を拒否し、ハイランダーズに対氏族部隊を作るというジェレミアのチャンスは失われた。妹リアンナと半いとこだけが、彼の夢を強く信じて、ついていくこととなった。部隊を作り氏族を攻撃しようとまだ決心していたローズは、新しいメックを得るため、ゲームワールド「ソラリス」へ向かった。そのころリアンナはアウトリーチ(傭兵たちの星と呼ばれる)へ旅立っていた。


ソラリスでの勝利:

 ローズはソラリスにほんの数週間いただけなのに、現地のメック・ステイブル運営者のあいだに騒ぎを引き起こしてしまった。彼の降下船はチャンピオンシップシーズンの最後の期間に降り立った。ローズはメックを得るためにすぐ見込みのありそうなチームのあいだをまわった。コムガードに仕えていた記録を、どのメック・ステイブルリーダーたちにも提示できなかったので、彼らのほとんどはローズがスパイであると反応を見せた。現地のオーナーも同様に彼がメックを買うのを許さなかった。彼がチャンピオンシップゲームに参加し、戦いのオッズが変わってしまうことを恐れたのである。絶望的な賭けを強いられたローズは、自ら機会を作り出し、チャンピオンシップゲームに参加した。一般的でない小隊対小隊の戦いで、賞品として借りたメックを使っていた。ローズの小隊は勝利をつかみ、彼がどうしても必要としていたメックを勝ち取った。試合のあと、一緒に戦ったふたりの戦士に、アウトリーチで組まないかと尋ねた。彼らは申し出を受け、ブラックソーンが誕生したのだった。


最初の契約:

 アウトリーチでは、リアンナ・ローズもまた駆け出し部隊のメンバー数名を集めていた。彼女が一番良い契約を嗅ぎ回っているあいだ、ローズはチームとして戦うために部隊の訓練を始めていた。しかしながら彼がやっと訓練を始めるとすぐに、ブラックソーンはウルフ竜機兵団と衝突してしまったのだ。戦闘シミュレーションで、竜機兵団のひとりが交戦ルールをやぶり、ソーンのメックを物理的に攻撃した。ソーンのパイロットは仕返しとして、竜機兵団のメックに手ひどいダメージを与え、そのパイロットを著しく負傷させた。公式な審問でソーンの間違いは晴れたものの、竜機兵団員の多くは「成り上がり」の傭兵に対し、悪感情を持ち続けている。周囲の状況が悪化するなかで、ソーンは最終的に契約(アウトリーチからすぐ離れること以外に内容がほとんどなかった)を選んだ。ブラックソーンは惑星ボルゲーゼ守備隊の核となることを了承した。連邦=共和国の星系で、ジェイドファルコン占領区域の近くだった。惑星はいますぐ防衛軍を必要としており、新兵募集に励んでいたローズは数週間で切り上げなければならなかった。そしてブラックソーンは7機のメックだけで最初の仕事に向かったのである。

 ボルゲーゼに辿り着いたソーンは、惑星統治議会メンバーの多くが彼らの存在に反対していることを知った。議会はアウトリーチで調印した契約を尊重することに合意し、傭兵がとどまることを許したにもかかわらず、ソーンとボルゲーゼ政府のあいだには緊張感が残っていた。ローズが受け入れた契約は、起こりうるジェイドファルコンの襲撃から、ソーンが惑星防衛の助けとなることを要求していた。しかし彼は、驚いたことに、市民の少数派と統治議会の少数が、現実に惑星の氏族を歓迎していることに気づいた。その週のうちに、ブラックソーンは氏族支持派、反氏族派の避雷針となった。

 正体不明の人間が降下船〈ブリストル〉を盗むと、問題は危機の域に達した。ブラックソーンは民間船に輸送を頼っていたのだ。統治議会(いまでは強硬な氏族支持派となっていた)は、ブラックソーンの盗みを非難し、彼らが無法者になったと宣言した。ソーンはボルゲーゼ惑星市民軍(最近対メック戦術訓練を受けていた)の数個部隊に追われ、荒野に逃げ出した。


ぼろぼろの防衛隊:

 守ると誓った兵士たちと戦うよりはいいと、ローズと部隊は、誰も住んでいないボルゲーゼの荒野で市民軍と追跡戦を行い、数週間、歩兵軍をやり過ごすことに成功した。しかしながら、結局のところ、追跡者によって深い森に追い込まれ、傭兵は戦うことになってしまったのである。戦闘がはじまったとき、ソーンはジェイドファルコン軍が星系内に到着し、惑星に近づいてくるのに気がついた。統治議会の名の下に動いていた代理人は氏族をボルゲーゼに招待し、統治者が変わることで得られる利益を狙い、全星系を侵略者に明け渡そうと計画していたのだ。懐疑的な申し出だったにもかかわらず、ジェイドファルコンの戦士はボルゲーゼの降伏を受け入れるか交戦入札を行った。氏族軍は強化襲撃部隊と大差のないものだった。しかしファルコンの強力なメックは惑星市民軍を上回っていた。特にボルゲーゼの最も優秀な部隊がソーンを追跡してしまっていたのである。市民軍が戦闘を中止し、戻るまでに、議事堂はファルコンの手中に収まっていることだろう。惑星内で、反氏族派の戦士によって操縦されているメックは、ブラックソーンだけだったのだが、彼らはジェイドファルコン氏族の占領に立ちふさがった。

 ブラックソーンはどうにか氏族支持派の市民軍を厳しい戦いで撃破した。市民軍のメック戦士のうち、一名が結局傭兵の側についたからである。簡単に必要な修理を行ったのち、ソーンは氏族と交戦するためボルゲーゼの議事堂に舞い戻った。一連の戦闘により、隊員アンガス・ロックハートの命が犠牲になった。ブラックソーンは惑星のコムスター施設構内に向かい、連邦=共和国装甲軍に対しメッセージを送り、大慌てで助けを嘆願した。氏族の小襲撃部隊は、惑星を守るために有能な敵と戦うのは気が進まず、補給物資がないなかでボルゲーゼから脱出した。


龍の仕事:

 グレイデス軍団がブラックソーン救援のためボルゲーゼに到着するまでに、ローズの部隊はすでにドラコ連合と契約を結び、ウォルコット防衛を引き受けていた。契約には追加支払金の契約が与えられていた。ソーンは特にそれらのものが好きだった。

 多くの傭兵司令官(彼らは連合が長いあいだ傭兵を軽蔑していたことについて鮮明な記憶を持っていた)と異なり、ローズは現実にクリタ家のための仕事を求めていた。彼はルシエンに長年住み込み、働いていた。ダヴィオン家よりクリタ家に忠誠心を抱いていたのである。

 ウォルコットは、中心領域への現実的に止められない侵攻の初期において、氏族が撃破された数少ない星系だった。星系を奪取することに失敗したスモークジャガー氏族は、もう二度と占領を試みないと合意した。しかしながら、氏族は惑星への襲撃を絶えず行って、全ウォルコット星系を包囲下においていた。中心領域軍にとって、ウォルコットは氏族前線の背後を突くのに最適な打撃・襲撃開始地点だった。ウォルコットでの仕事は危険な任務だったが、セオドア・クリタ大統領が複合的な契約と驚異的なボーナスをソーンに申し出たので、条件の良さに断り切れなかった。

 ドラコ連合軍はローズと残りのブラックソーンを氏族オムニ戦闘機が封鎖する惑星に運んだ。惑星への旅程はけして平和ではなかった。そしてローズは雇用主の悪い側面を見つけた。部隊の傭兵連絡司令官は前コムガード士官で、ローズと以前に争ったことがあったのだ。もし契約を断る理由があったら、彼は仕事を拒絶したかもしれない。しかしながら契約の特定の支払金によって、部隊の規模を完全中隊にまで成長させることができたのである。この時、ブラックソーンは首尾よく難を免れたように見えた。


クールシュヴァル:

 ローズはノヴァキャット氏族占領域の奥深く、クールシュヴァル襲撃の契約を選んだ。氏族はクールシュヴァルに新しい工場群をほとんど完成させていた。現地の地下組織によると、ここを叩けば、惑星氏族軍の増強を数年遅らせられるとのことだった。しかしながら、惑星に向かう飛行中、オムニ戦闘機がソーンの降下船を待ち伏せしており、部隊のメックは目標から離れたところに降下せねばならなかった。ソーンが着地した瞬間、氏族のメックが攻撃してきた。しかしソーンは一連の戦闘により目標の近くで氏族のパイロットを撤退させた。メックとエレメンタルからなる氏族軍は、すでに傷ついたブラックソーンのメックを待ち伏せし酷く痛めつけた。現地の地下組織が到着し部隊を救った。ホバークラフトが打ちのめされたソーンを廃坑に導き、休息と修理をすることができたのだった。

 地下組織リーダーの話によると、部隊の降下船は地下組織の基地から数百キロメートルの地点に難着陸を強要され、氏族の手に固く握られているという。さらに悪いことに、最近、惑星守備隊はノヴァキャット機兵団によって増強されていた。前線部隊がローテーションで、休息と娯楽のためにクールシュヴァルに来ていたのだ。地下組織リーダーとの議論により、部隊が生き残る唯一のチャンスは捕獲された降下船を奪還し惑星を離れるしかないと、ローズは確信した。ブラックソーンは降下船員の救出と艦船周辺地域の奪還に成功した。そしてノヴァキャット指揮官を一騎打ちで破り、安全な通行を果たしたのである。


未来の計画:

 ソーンのウォルコット帰還に際して、ローズは、降下船〈ブリストル〉船長で長いこと恋人だったラッチェル・マクラウドと結婚した。彼はまだ氏族との戦いに燃えていたが、クールシュヴァルで部隊がほとんど崩壊していたため、注意深く炎の調節をしなければならなかった。ブラックソーンは現在、再建中であり、新兵の募集と訓練に集中している。他の追加契約の見通しも良いように見えたが、ローズはクールシュヴァルで直面した悲運から、部隊を回復させなければならないことを知っていた。そのときまで、ブラックソーンは訓練を続け、侵略者に逆襲する適切な時間を待ち続けている。


部隊特徴:

 ブラックソーンは中隊規模のバトルメック部隊である。戦場における損失と新兵補充で、部隊は成長し縮小してきた。部隊は現在12機のメックを持ち、4機メック編成の3個小隊で構成されている。ジェレミア・ローズ大尉はコムガードで訓練を受けたのに、この編成を選んだ(コムガードでは6機が基本である)。なぜなら副司令官の話によって、中心領域の古典的編成のほうが、新兵の訓練の助けとなり、補給の負担を緩和するだろうと確信したのである。

 指揮小隊は部隊の要である。この小隊は常に相当な損害を受け、たいてい修理を受けるのは最後となる。戦役のあいだ、これら重量級メックを維持するために、ローズはパイロットたちの経験を当てにする。ローズが戦略立案に注意の大部分を払わねばならないとき、問題をさけるため、護衛のメックとともに仕事をする。副司令官のリアンナ・ローズもまたこの小隊で戦っている。

 戦闘小隊はほとんどが重量級、強襲級メックで構成されている。防衛隊として動く場合、ソーンは司令小隊を強化するためにこれらのメックを利用する。攻撃隊のときは、目的を達成するのにしばしば必要となる追加のパンチ力を供給する。これらのメックは中隊でもっとも機動力に乏しいので、この小隊は固定目標を護衛するか、静止した目標を強襲する。ほとんどの場合、ローズはこの部隊に連絡士官をつける。5番目のメックを追加することにより、小隊の攻勢能力はさらに増強され、また連絡士官によりローズの手の届くところにおいておけるのである。

 ソーンの偵察小隊はほぼ軽量級メックで構成されている。そのほとんどがジャンプ能力を持つ。氏族と戦う場合、軽量級メックはあまりもたないと予想されているにもかかわらず、ブラックソーンの偵察小隊は本当によくやってきた。通常、ローズはこの小隊は心底必要に迫られるまで、戦闘に参加させない。より重い敵小隊が抵抗にあいながらも動けるなら、主に敵を動かすように使う。オムニメックが中心領域の軽量級メックに与えるダメージから見て、ローズはこの小隊の仕事を斥候と偵察に限定している。


個人名簿:

(3054年、アウトリーチ)
ジェレミア・ローズ大尉 (操縦2、砲術1) CHR-3K チャージャー
リアンナ・ローズ (操縦4、砲術6) PHX-3D フェニックスホーク
アンガス・ロックハート (操縦4、砲術3) VLK-QD ヴァルキリー
バディカス・オーシー (操縦4、砲術4) SHD-2D2 シャドウホーク
エスメレルダ (操縦3、砲術2) WHM-7M ウォーハンマー
ホッグ (操縦4、砲術3) ZEU-6S ゼウス



(3057年7月13日)
指揮小隊    
大尉 ジェレミア・ローズ エリート マサカリ(プライム)
副司令官 リアンナ・ローズ 一般兵 PHX-3D フェニックスホーク
メック戦士 アンティッシュ・ベル 古参兵 BNS-5Cバンシー
メック戦士 ジャムシード・アイ=カリビ 一般兵 マッドキャット(プライム)

戦闘小隊    
中尉 エスメレルダ エリート マッドキャット(プライム)
メック戦士 バディカス・オーシー 一般兵 WHM-7Mウォーハンマー
メック戦士 ホッグ 古参兵 BLR-3Sバトルマスター
メック戦士 グレタ・ポデル 一般兵 CHR-3Kチャージャー

偵察小隊    
中尉 アイアス エリート レイヴン
メック戦士 ユーリ・ドグドロヴィッチ 古参兵 ダッシャー(D)
メック戦士 リーザ・リッピティキュー 一般兵 MCY-99マーキュリー
メック戦士 キャサリン“おてんば”キッティアルン 新兵 PNT-10Kパンサー



ジェレミア・ローズ:

 ブラックソーンの中隊司令官、ローズは最初ノースウィンドハイランダーズの中で成長し、のちにコムガードに仕えた。第一にローズは有能なリーダーで優れた戦術家である。しかし社交能力にはいささか欠けている。ボルゲーゼにて傭兵たちを急き立てることになったとき、ローズは自らのボスであることが、自分の好きな自由より意味があることに気づいた。クールシュヴァルで撃破されかけたあと、傭兵部隊では戦闘技術より効果的なリーダーシップが必要とされることを学んだ。広報活動がどんなに重要であるかを学んで、ローズは外交技術を高めるために努力している。

 ローズは氏族に復讐するのだという深い執念に突き動かされてきた。氏族はコムガードの彼の隊を破壊した。ツカイード戦役における最後の段階で、彼の全部隊が殺されると、ローズは復讐にとりつかれるようになった。時間が彼の怒りをいくらか軟化させた。しかし、以前の戦友たちとの記憶に誠実であろうとするなら、彼はいまだに氏族と戦わなければならないと感じている。彼の弱点は部隊員と結んだ個人的な関係である。ローズは部下の死のすべてに個人的な責任を感じ、彼らが死ぬのを防ぐために苦労するだろう。彼は、ついたり離れたりの関係であったラッチェル・マクラウドと、とうとう結婚する決意をした。しかし彼らの人生を取り巻く混沌により、困難がつきまとい続けるだろう。ラッチェルと双子の赤ん坊を深く愛しているにもかかわらず、彼はブラック・ソーンへの義務を第一に感じている。

 戦いにおいて、ローズはほとんど根拠のない自信に溢れている。彼はブラックソーンの隊員に無謀な賭けを禁じているが、本人にこのルールは適用されない。ローズは彼がいないところに他のメック戦士を送ろうとせず、このことでとても好かれた司令官になっている。しかし彼自身はしばしば指揮技術が役に立たなくなるような前線にいるのである。


リアンナ・ローズ:

 その若さにもかかわらず、リアンナは有能な副司令官である。彼女は兵站の才を持っており、ブラックソーンのパーツ、物資を良い状態に保っている。リアンナは父と兄弟の中で育ち、ジェレミアが家を出たあと、メック戦士の訓練を積んだ(父は賛成しなかった)。彼女はクラスを主席で卒業し、優れたパイロットになった。部隊で最年少の彼女は、仲間の傭兵たちから望まない保護を引きつけてしまいしがちである。皆から愛されて、彼女は物静かな兄に優れた経理担当者として仕えている。

 リアンナの幼年期には問題があった。母の死で、彼女の心は非常にかき乱され、ジェレミアが家を出たことにより、心中の混乱は大きくなった。内向的な父親と接触するのは難しく、リアンナは残った兄弟のダニーに近づいていった。氏族侵攻の第一波でダニーが死に、リアンナはひどく落ち込んだ。月日がたち、彼女は活動的で衝動的になった。訓練に身を投じ、クラスを主席で卒業すると、報奨として最初のメック、真新しいフェニックスホークを与えられた。ローズがノースウィンドに戻ってきたとき、彼女は配属されるのを待っているところだった。

 ジェレミアは長く留守にしていたにもかかわらず、リアンナの人生の重要な部分をまだ占めていた。彼女は帰還を歓迎し、再び置いていかれるよりはと、ブラックソーン(新しい傭兵部隊のために彼女が決めた名称である)の最初の隊員になることを選んだ。傭兵としての人生は想像していたよりも刺激的なものとなった。ジェレミアのように、リアンナは戦友の死を自分の責任としてしまいがちであり、部隊を生かしておくためにはどんなことでもするだろう。


エスメレルダ:

 ジェレミア・ローズと行動を共にするようになるまで、エスメレルダはソラリスのゲームで生活をやりくりしてきた。最初はアウターサーキットで、のちにはソラリスシティで、彼女は数え切れないほど、決闘で戦ってきた。そのメック操縦の技能にもかかわらず、彼女は個人部門を勝ち進めなかった。しかしながらメック対メックの決闘が人気となったとき、惑星上の最高の闘技場で上昇していった。練られた計画とわずかな幸運により、ファーストクラスで戦えるほどのメックを購入でき、修理することができた。ローズがソラリスに着くと、彼とエスメレルダは小隊決闘で肩を並べて戦い、強く印象づけられた。彼女は闘技場を出て、ちょうど創設されたばかりの傭兵部隊の戦闘小隊司令官となった。

 エスメレルダは従軍した経験がなく、傭兵を続ける上で、メック決闘からまったく変わらなければならなかった。変わった方がいいと気づいたにもかかわらず、彼女は戦場の中でも外でも互いにサポートしあうチームになることを完全に受け入れたわけではない。戦闘か訓練のあいだ合理的に仲間たちと仕事をするが、非番にはひとりでいるか旧友のバディカス・オーシーと過ごす。戦場での人生を特に熱心に求めているが、その新しい状況に適応するため学ぶのはゆっくりとである。小隊員のほとんどはそのような彼女の発言を聞いて驚いているにもかかわらず、彼女自身は概してブラックソーンの隊員としての新しい人生を楽しんでいる。無愛想な態度はかわってなく、いまだほとんどの時間をバトルメックの修繕に使うことを好んでいる。

(エスメレルダはクールシュヴァルの作戦中に死亡した)


アイアス:

 アイアスは武家ヒリツから逃走した後、ブラックソーンに加わった。リャオ軍の手をかいくぐり、メックごとアウトリーチに降り立ったのである。いくつかの未来を注意深く検討した後、彼はローズを新たな指揮官に選んだ。一流の偵察兵であるアイアスは、小隊指揮官としての任務を苦もなくこなしている。小隊初代指揮官の死後、アイアスは黙って一時的な指揮をとり、氏族がボルゲーゼを離れた時には正式な昇進を拒否した。最終的に、彼はそれを受け入れた……その座にふさわしいと考えたというよりも、ローズの決断を尊重した結果である。

 生来、物静かで気取らないアイアスは、ブラックソーンに入る前の自分についてほとんど語らない。実のところ、彼はそれを忘れたがっている。有名なリャオの武家の一員として、彼は常に中心領域で最高の戦士たちの名にふさわしい価値を実証するのを求められてきた。加えて、彼は狂信的な愛国心を求められ、天帝(Celestial Throne、カペラ首相)から授けられたすべての教義に沿って生活せねばならなかった。もう求められたことはできないと気づいた時、アイアスは武家を離れ、その名においてなしてきた間違いを少しでも取り戻すことを選んだ。

 アイアスはブラックソーンの他隊員より広範囲な訓練を受けており、偵察小隊指揮官としてのみならず、部隊のちょっとした何でも屋を努める。だが、彼の持つ技能のいくつかは、極限時を除いて、使用を拒否している。

 氏族と戦っているのだが、アイアスはいつか連邦=共和国のために戦うという隠された望みを抱いている。そうすれば、ヒリツ家にいた時代に、ダヴィオンと戦った襲撃や小競り合いの返済が出来るかもしれないと彼は考えている。


ラッチェル・マクラウド:

 宇宙で生まれ育ったラッチェル・マクラウドは、足の下の固い地面よりも、金属のデッキに故郷を感じる。彼女にとって商人でいることは難しく、兵士でいることはほとんど不可能である。ユニオン級降下船〈ブリストル〉船長のマクラウドは、最初経済的な理由からブラックソーンを輸送することに合意した。銀行は彼女の愛するブリストルを抵当に入れており、金策に迫られていた。積荷が不足するなかで、傭兵をボルゲーゼに送らざるを得なかったのだ。最初の出会いから、マクラウドはジェレミア・ローズとつかずはなれずの関係を続け、それは結婚とブラックソーン正式入隊で安定化するまで続いた。彼女は自分が兵士だとかんがえていないものの、ゆっくりとそれになりつつある。

 時々、マクラウドはブリストルを抵当に入れている銀行家への借金で押しつぶされそうになる。一時期、海賊になるアイディアをもてあそんだが、義務を放棄して立ち去るには自分は正直すぎると悟った。その結果、古い船のパーツと補給をどうするか地上で算出し、多くの時間を費やすことになったのである。この努力に対して、リアンナ・ローズは大いなる助けとなった。

 宇宙空間において、マクラウドは完全に別人と化す。惑星にいるときは、彼女を追い回す責任から解放され、リラックスし陽気に活動できる。ローズはこのときの彼女と恋に落ち、ブリストルの権利を完全に買うことで、彼女の心配事すべてを取り去ってやりたいと望んでいる。






ブラックソーン 3067 THE BLACK THORNS: REBUILDING THE BURNT BRIDGES

 3054年の部隊創設からの10年、ブラックソーン指揮官ジェレミア・ローズは、氏族と戦うという個人的欲求と、家族と和解するという衝動の、細い糸の上を歩いてきた。父親、親戚の大半と疎遠になっているのだが、いつの日か傷を癒すとローズは誓っている。

 ゴーストベア戦争が勃発すると、DCMSは落ち込んだ士気を高めるために、どのような勝利でも欲しがるようになった。このとき、士気向上への貢献を望んでいたブラックソーンはイエルゼルスコーにジャンプし、数ヶ月のゲリラ戦役を行った。

 第29PGC(ゴーストベア臨時守備星団隊)は、補給基地への数度の襲撃を防いだ後で、敵のやり方に気付き、罠を仕掛けた……空の倉庫の中に1個三連星隊のメックを隠し、それから部隊が広く分散して、倉庫が手薄だとの情報を漏らしたのである。ジェレミアの妹、リアンナは部隊の半数を率いてこの倉庫に向かい、そしてこの時、待ち伏せによるアンラッキーショットで致命傷を負わされたのである。ジェレミアは彼女を奪還しようとしたが、ゴーストベアは許さなかった。これを成功させたのが新人のダン・ジャクソン軍曹だった。彼はゴーストベア指揮官への個人的な挑戦を成功させ、リアンナを含むソーンの全隊員が星系を離れ安全に自陣へと戻ったのである。リアンナの負傷は治療不可能なもので、現在、彼女は、マイアマー義肢を拒否して、四肢を使わずに生活している。

 この件が耳に及ぶと、初老のコーネリアス・ローズは発作を起こし、死ぬところであった。これが彼の見解と人柄に影響を与えたようで、ソーンにノースウィンドから募兵を行う権利を与える活動を積極的に行うのと同時に、ジェレミアに対して謝罪・和解の意を示している。個人的なロビー活動の最中に、老ローズはノースウィンド機兵連隊のローレン・ジェフレイ大佐との強い関わりを得た。

 幾度かの激しい議論が交わされたが、ノースウィンド戦士会議は、ブラックソーンに募兵を認めるかまだ決断を下していない。ジェレミアは、会議が友好的で、要望を即座に却下しなくなったことに喜んでいるのだが、唯一残された姉妹が障害を負ったことに苦しんでいる。

 ブラックソーンはフラットグレイの彩色を採用している。記章は花を咲かせた一輪の黒薔薇である。

竜機兵団評価値: A

士官
 妹に降りかかった事件の後、ジェレミア・ローズはユーモアを失い、部隊に対して多くを要求するようになった。態度の変化によって、これまで複雑になりがちなジェレミアの家族関係に安定性を与えてきた妻との間に摩擦が生じている。これまでのところ、対立は口論でしかないが、ジェレミアの身近なアドバイザーたちは、緊張が高まっているとして心配してる。

 ダン・ジャクソン中尉は、ツカイードで捕らえられたゴーストベアのメック戦士で、捕虜交換の際、氏族に戻らず、コムガードに残って働くことを選らんだ男だ。連邦共和国内戦が勃発すると、ジャクソンの上官は、戦いの外に身を置くコムスターの無能にうんざりして辞職した。ジャクソンと戦友たちは上官に続き、最終的にブラックソーンへの道を進んだ。ゴーストベアとの戦いで両足を失い、マイアマー義肢を付けたリアンナに、ジャクソンは助言と安らぎを与えるようになった。彼らは芽生えはじめた関係を持ち、そしてジェレミアは、祝福しているように見える(リアンナの痛みを和らげたいという気持ちが、反氏族感情に打ち勝った)。

戦術
 ブラックソーンは大規模な中隊であり、追加人数を待ち伏せに使うのを好む。戦闘小隊が隠れている間に、他の2個増強小隊が動いて、敵に戦力低下した中隊と戦っている印象を与えるのである。戦闘中にソーンは一定の割合で後退し、追跡隊をすり減らしていって、5機の重強襲級メックで奇襲をかけるのである。

支援
 ソーンはユニオン級降下船ブリストルを所有し、その戦闘機用ベイを改造して、バトルメック、追加貨物を固定し、追加パイロットを収容している。ブラックソーンは、船の技術支援に必要な約75パーセントを満たしている。

 ブラックソーン
 中隊/古参兵/信頼できる
 指揮官/ジェレミア・ローズ
 副指揮官/アヤックス中尉
 ローズは戦力過大な傭兵中隊を、各3個小隊にメック5機の、より氏族的な編成に組み直した。ローズの究極的な目的は、3個レベルII部隊(メック6機×3)である。中隊の約半数は氏族製のメック、兵器を装備する。




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