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作成:2012/11/25
更新:2016/09/18

エクスペリメンタル・テクニカルリードアウト



 XTROシリーズは、実験レベルの機体・装備をテーマにしたテクニカルリードアウト群です。ここに掲載されているメックや車両は、最低でもひとつの実験装備、特殊な装備を積んでいます。それら実験機のうち一部は、『テクニカルリードアウト・プロトタイプ』で実用化、量産化されました。

















中心領域メック(特殊部隊)


WGT-4NC ワイト・デズグラ WGT-4NC Wight Dezgra
実地試験概要: 新WGT-4NC・ハイブリッド・プロトタイプ
生産者/生産地点: ノヴァキャット / 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3074年?
非生産装備分析: 
 ヌル・シグネチャ・システム
 カメレオン・ライト・ポラリゼーション・シールド
 ウォッチドッグCEWS
 複合シャーシ
 氏族フェロファイバー


概要
 そのステルス性を理由に、20世紀の神話の不死生命体から名前を取られたWGT-4NCワイトは、他の派生型よりもその名にふさわしいものである。これまでで最もステルス性が高く、臆せぬヘッドハンターであるこの機種は、敵指揮部隊の「暗殺」に理想的なだけでなく、戦線後方の守りが薄い兵站部隊、補給庫を破壊するのにも優れているのだ。

 WGT-4NCは、複合フレーム、氏族仕様フェロファイバー装甲、中心領域XLエンジンのような先進装備を賢く使うことで、重量の1/4以上の戦闘装備を搭載することが可能になっている。これらの部品は、入手性を注意深く見て選ばれている……複合シャーシは見過ごされていた民間の先端航空宇宙サプライヤーから、装甲は稼働しているノヴァキャット氏族の工場から、エンジンはDCMSの備蓄から。ジャイロスコープは普及品の3トン型である。WGT-4NCが少量生産であることを考えると、レーザーと電子機器は、ダイアモンドシャーク商人とノヴァキャット工場からの入手で充分に需要がまかなえる。唯一のギャンブルは、ドラコ連合の業者が(ノヴァキャットの大規模な支援で)生産する、星間連盟スペックの先進ステルスシステムである。

 できあがったバトルメックは、高速地上速度、210メートルのジャンプ能力、ほぼどんな兵器にでも(少なくとも一発は)耐えられる生存性、バトルメックに乗ってない指揮官たちの脅威となる高精度パルスレーザーを持つ(メックに乗っている指揮官を素早く倒すには、1個星隊のWGT-4NCワイトが必要である)。性能の鍵となるのは、事実上この三百年間存在していなかったステルスシステムの組み合わせである……ヌル・シグネチャ・システムと、カメレオン・ライト・ポラリゼーション・シールドだ。これらはすべて、新型の強力なウォッチドッグ複合電子戦システムに裏打ちされる。

 WGT-4NCワイトは、各王家の特殊部隊は当然として、DCMSに喜んで迎えられることであろう。この機体はきわめて優れた襲撃機であり、優れたヘッドハンターである。しかし、驚くべきことに、王家バトルメックではないのだ。ノヴァキャット氏族がこれらの任務のためにこの機体を配備する――氏族の名誉の基準からは、一般にデズグラとされる任務だ。現在までに目撃されている少数のWGT-4NCは、ハイリスクな任務を課された不名誉なトゥルーボーン・メック戦士によって操縦されている。










中心領域メック(海賊)


HSN-7D2 ヘルスポーン・ハルパリン HSN-7D2 HELLSPAWN HALPERIN
実地試験概要: カスタムHSN-7Dシャーシ改装型
生産者/生産地点: 不明、トルトゥーガ?
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3072年?
非生産装備分析: 
 冷却ポッド
 エンジェルECMスート


概要
 南十字星境界域からの離脱者であるグレタ・ハルパリンは、傭兵になりすまし、小さな駐屯部隊に潜り込んで内側から攻撃する危険なメック戦士である。彼女は恒星連邦の辺境国境沿いで活動し、たいていはロッキー・ブラッドハンズと呼ばれる海賊襲撃部隊と協力する。ブラッドハンズ(よく悪名高いデス・コンソルト海賊団の影で活動する)は、恒星連邦の南十字星境界域とカペラ境界域の両方で襲撃、海賊行為を行う。3074年のマラグロッタで、グレタ・ハルパリンはこの海賊団の成功に寄与した。

 独立メック戦士になりすましたハルパリンは、城塞都市ハモンドの守りの要として雇われた。ブラッドハンズが城壁の向こうに現れると、ハルパリンは都市守備隊指揮官のクイックドロウを小隊から離れた陣地に誘い出し、彼を撃った。彼のヘルスポーンがどれだけ改造されているかを調べるため、回収されたROMが調査された。

 分析によると、ヘルスポーンは通常の長距離ミサイルラックを取り外し、射撃の早いロケットポッドを2門取り付けている。これがヘルスポーンに強力な近距離での弾幕を与える。加えて、4門の腕搭載ER中口径レーザー(パルス3門と交換されている)は、即座の追撃を可能とし、正確に放たれた場合は、用心深くない敵を行動不能にできる。そんなアルファストライクの後でさえも、プロトタイプ冷却ポッドがヘルスポーンを加熱せず、機動性を持った状態に保つ――そして実験用エンジェル級ECMスートがすべての通信を覆い尽くし、敵が仲間に警告したり、助けを呼ぶのを防ぎ、危険なほど容易に獲物を孤立させることができる。(これら実験用技術の出所は不明なままだが、トルトゥーガの海賊はソラリスVIIにまでつながっている可能性がある)

 指揮官が死亡すると、ハモンド砦の防衛は即座に崩壊し、ブラッドハンズは都市に押し入って、2000人以上の民間人を殺し、ハモンド防衛軍を皆殺しにした。都市を救うために援軍が到着するまでに、ブラッドハンズはすでに軌道上へと上がっていた。グレタ・ハルパリンは海賊と一緒に出発したと信じられており、よって旅人たちはヘルスポーンのパイロットが護衛を申し出たら注意するように警告される。










中心領域メック(海賊)


VTR-9K2 ヴィクター・セントジェームス VTR-9K2 VICTOR ST. JAMES
実地試験概要: カスタム・ヴィクター改装型
生産者/生産地点: 不明、ニューシルティス?
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3069年?
非生産装備分析: 
 パッチワーク・通常型/フェロファイバー装甲
 エンジン・スーパーチャージャー
 ロングトム間接砲
 中口径Xパルスレーザー


概要
 タウラス連合が恒星連邦に侵攻した際、両陣営の若者が大勢殺された。死者の中にはAFFSのメック小隊指揮官、ベンジャミン・セントジェームスがいた。彼の小隊は、3069年、タウラス槍機兵団に包囲され、壊滅したのである。その苦々しいニュースが、ニューシルティスにいた父、ベネディクト・セントジェームス退役大佐の元に届いたとき、この男の神経は単純に切れてしまったと友人たちは語っている。直後、老セントジェームスは一族のヴィクターと共に、恒星連邦=タウラス連合国境に向かい、以来、消息不明になったとされている。

 公式にはそうなっている。

 3070年、重改造された漆黒のヴィクターが、オルガノでミュール級降下船から下りたのが目撃された。二日後、タウラス槍機兵団メック中隊指揮官、ユリシーズ・ヘイズの邸宅が、このバトルメックに破壊された。記録によると、ヘイズは若きベンジャミン・セントジェームスを殺した中隊の指揮官だったという。

 以来、この黒いヴィクターはタウラス内外の世界に出没している。2機のタウラスメックに忍び寄り、レイエスの町に入る姿が、3070年、ブロムヘッドでホログラフ撮影されている。確認されたすべての証拠によると、この黒いメックはセントジェームス大佐のヴィクターだというのだ。おそらくまだ大佐が持っているAFFSのコネを使って改造された、この再設計型VTR-9Kは、息子の復讐に突き動かされた男のための死の道具となっている。

 改造は本当に極端である。原型機のガウスライフルでは不足だと言うがごとく、セントジェームスは主兵器を巨大なロングトム間接砲に交換した――それはバトルメックが搭載できる最も強力な兵器かもしれない。バトルROMは歩く攻城砲のようにこのメックを使い、タウラス連合内の要塞化された地所を押し通る。反対の腕に載せられた2門の実験用Xパルスレーザーが徒歩の落伍者を掃討するのである。標準型装甲とフェロファイバー装甲のパッチワークがメックの装甲板を軽量化するが、伝統的に持っているジャンプジェットを維持するには充分でなかった。失われた機動性を補うために、スーパーチャージャーがエンジンに追加され、速度を90キロ近くにまで上げている。










中心領域メック(ガンスリンガー)


THG-11ECX サグ・ホセ THG-11ECX Thug Jose
実地試験概要: カスタムTHG-11E改装型
生産者/生産地点: マルテックス・コーポレーション/イラーイ
技術監督者: アブナー・ドラクロワ
プロジェクト開始日時: 2772年12月29日
非生産装備分析: 
 ヌル・シグネチャ・システム
 コマンド・コンソール


概要
 ホセ・マゼランは、ケレンスキーがアマリスと戦っていた時期に、アマリスに仕えていた傭兵であった。彼は特にサディスティックな男であり、待ち伏せとすでに傷を負った敵を攻撃するのを楽しんだ。ケレンスキーとの戦争が白熱するに従い、アマリスの将軍たちは彼の才能にますます高額の依頼料を支払うようになった。実際、イラーイでのある契約によってサグは改良され、さらに危険な道具と化した。雇い主はこのマシンに感服し、改造について相談し、マゼランと長期契約を結んだ。

 サグの代名詞となっているPPCは取り外され、長射程大口径レーザーに交換される一方、エクストラライト核融合エンジンを使うことによって、3門の短距離ミサイルランチャーを搭載するだけの重量が浮いている。よって、彼のサグは30本のSRMを一度に発射できるのだ。厚い装甲と兵器の大半を一度に射撃するに足る高性能装甲によって、サグ・ホセは優秀な待ち伏せ機となるが、マルテックスで終わりというわけではない。

 潜んだサグのステルス性を上げるため、捕獲したヌル・シグネチャ・システムが搭載されている。建物や森の中に注意深く身を潜めたサグは、敵のセンサーにほとんど探知されることがない。マゼランが待ち伏せ攻撃をしかけるタイミングのセンスは、辺境世界共和国で最高の士官すら上回るものであることから、マゼランと共に士官が乗るためのコマンド・コンソールが搭載され、マゼラン自身が攻撃に着手する貴重な瞬間に全体での待ち伏せ攻撃の開始を送信することができる。マゼランの戦闘を助けるために、4基のジャンプジェットが追加されサグに優れた機動力をもたらしている。

 ホセ・マゼランのサグは、星間連盟のニューアース強襲で炎の洗礼を与えられた。ここでマゼランはゴルフ市を守るアマリス大隊と共に配備され、SLDFの戦闘団と交戦を行った。マゼランのサグは病院をくりぬいた内側から防衛的待ち伏せを実施し、最初の攻撃で2機のワイバーンを粉砕した。一度戦闘に加わると、彼はジャンプジェットとヌル・シグネチャ・システムを使って、疑わぬSLDF機に次から次へと追加の戦術的待ち伏せをしかけた。サグのコクピットにいたアマリスの士官は、アマリス軍が破壊されるごとに精神的なバランスを崩していった――ついに撃墜されたマゼランのサグを調査した結果、拳銃で頭を撃ち抜いた死体が見つかったのだ。マゼランは後に処刑され、サグはスクラップとして売られた。










中心領域メック(最重要指名手配)


BL-X-KNTブラックナイト"レッドリーパー" BL-X-KNT Black Knight “Red Reaper”
実地試験概要: カスタムBL-9-KNT改装型
技術監督者: ヴァイニング・エンジニアリング・アンド・サルベージ・チーム
技術監督者: ロバート・グレイフィールド
プロジェクト開始日時: 3069年
非生産装備分析: 
 中口径Xパルスレーザー
 PPCキャパシター
 大型ヴィヴロブレード
 大型シールド


概要
 レジナルド・ファンジャスターはかつて中堅どころのソラリスVIIファイターであった。ワード・オブ・ブレイクがソラリスVIIを占領していたあいだ、彼はレジスタンスの側に立って戦い、レジスタンスで最も腕の立つ一人となるだけの戦闘の経験を得た。ワードがソラリスから撤退する4日前に、ファンジャスターは妻のメリッサがワードの手で殺されたことを知った。この時点で彼は精神に何らかの形で異常を来したようで、ワード・オブ・ブレイクに対する大暴れを始めた――加えて行く先にあるすべてが対象となった。ソラリスVIIのベテランたちやレジスタンスの仲間たちが彼を止めようとしたが、殺されるだけであった。

 占領が終わると、ファンジャスターは「ブレイク派の隠れ蓑」であるとして、新しく作られた政府に対するテロを続けた。直後に彼は惑星を離れるのに成功し、崩壊するブレイク保護領に深く侵入して個人的な十字軍を実行する決意を固めたようだ。共和国の創設が発表された直後、彼は姿を現し、現在の第VIII宙域、第IX宙域において、1ダースの事件を起こし、軍事・民間の目標を攻撃した。同時に、彼は地元・国際メディアにメッセージを送り、スフィア共和国を「偽の政府」と非難し、デヴリン・ストーンを「ワード・オブ・ブレイクの回し者」と宣言した。

 ファンジャスターの最も最近の攻撃は、パイクIVでヘーゲンドルフへの医療品・医療担当者を運んでいた人道支援車列に対するものであった。武装せず、護衛のない輸送車列は、小規模な市民軍部隊が駆けつけるまでに、全滅していた。その場に残っていたファンジャスターは、攻撃を仕掛けて、市民軍部隊もまた撃破し、生存者を誰一人として残すことはなかった。

 これらの攻撃で回収されたバトルROMによって、ファンジャスターのメック"レッド・リーパー"は重改造されたブラックナイト(ソラリスVII時代と武装が同じ)であることが判明した。大型のヴィヴロブレードとシールドによって、このメックは中世の騎士のような外観になった一方で、キャパシターで充電されるヘビーPPCが長射程のパンチ力をもたらしている。5門の中口径Xパルスレーザーが近距離での破壊的なダメージを出力する。彼はこれらレーザーを使って、軽メック、車両、歩兵に対処することで知られている。なぜなら、レーザーとPPCを一緒に使うと、放熱器の性能を超えるからだ。

 ファンジャスターの攻撃パターンは非常に不安定であり、「なにも聞かずに」彼を運んでくれる船を発見したときだけ、世界と世界を移動すると我々は信じている。従って、次にいつどこを攻撃するのか我々は決定できないでいる。この反逆者と遭遇した治安部隊は、彼が火力と格闘攻撃の真価を発揮する接近戦を試みてはならない。遠距離から交戦し、人口密集地帯から離れることが望ましく、可能であれば間接砲を使用すること。

 注意: 3069年以降のファンジャスターの写真は、中央犯罪データベースに存在しない。現在の写真はないのだが、年をとったことに加え、精神状態が悪いことを考えると、外見に気を配ってないと思われる。この理由から、現在の彼は、ファイルの写真よりもだらしなくなっているかもしれない。










中心領域メック(ガンスリンガー)


RF2-A ライフルマンIII RF2-A Rifleman III
実地試験概要: プロトタイプ・RFLアサルトシャーシ
技術監督者: クルップ兵器製作所
プロジェクト開始日時: 2776年1月1日
非生産装備分析: 
 ヌル・シグネチャ・システム


概要
 最初のメック、マッキーが戦車を踏みつけたそのときから、スーパーメックに関する怪しげな話はつきものであった。これらの話のうちひとつが、ケレンスキー将軍がステファン・アマリスの簒奪を打倒した地球陥落時のものである……メック殺しのライフルマンがジュネーヴで星間連盟防衛軍のメック1個中隊近くを倒したというのだ。この話は、長い間、中心領域中の酒場で語られてきたが、ジュネーヴの考古学者が古戦場を発掘し、条件にあうメックの残骸を発見した。

 90トンのライフルマンIIIは、記録上、最大重量のライフルマン系バトルメックであり、実際にその通りのものである。この遺物メックの右腕は完全に残っており、旧式のRFLモデルに使われている共通部品が機種の特定を容易にしている。コクピットを開けて、ROMを回収した科学者たちは、このメックの歴史を再構成することができた。本機はスクリーマーなどアマリスの「終末の日」メックの僚友機として、クルップ兵器製作所で設計された。発掘されたプロトタイプ機だけが、ケレンスキーの侵攻に間に合い、ROMによると撃墜されるまでに9機のSLDFバトルメックを破壊した(少なくとも1両の弾薬輸送車に支援されていた)。

 待ち伏せからの攻撃を念頭にしているライフルマンIIIは、物陰(たいていは建物)の内側に隠れ続けるために、ヌル・シグネチャ・システムを使っている。エクストラライトエンジンを使っているが、アーバンメックと同じくらいの鈍足である。放熱器は通常型だが、高性能なものは必要ない。搭載した兵器を戦闘に持ち込むためだけに設計されているのだ……4門のガウスライフルである。

 ライフルマンIIIは充分な装甲と弾薬を積んでないのだが、その役目には見事に適合している――隠れた場所から躍り出て、驚異的な物理的・心理的火力によって一番近くにいる敵を破壊するのである。回収されたROMによると、パイロットはパトロール隊を待ち伏せし、まず敵の指揮官を始末してから、次のメックを吹き飛ばし、それからダメージに屈したようだ。

 残骸を発掘した考古学者は、このROMをデヴリン・ストーンの当局に渡したが、データが利用されたかについての情報はない。現存する星間連盟の記録はライフルマンIIIに触れていないが、クルップは内部文章の閲覧を拒否している。










中心領域メック(傭兵)


"シュベーレ・グスタフ" "SCHWERER GUSTAV"
実地試験概要: カスタム・ハイブリッド・シャーシ
生産者/生産地点: フィールドセンター・ブラヴォー613、アークロイヤル
技術監督者: セルジ・イヴァノヴィッチ、テック長、トゥース・オブ・ユミル傭兵連隊
プロジェクト開始日時: 3073年
非生産装備分析: 
 ハイブリッド・シャーシ(通常型/エンドースティール)
 コマンド・コンソール
 ブラッドハウンド・アクティブプローブ
 バイナリ・レーザーキャノン
 氏族製ロータリーAC/5
 サンパー間接砲


概要
 噂によると、"シュベーレ・グスタフ"が誕生したのは、トゥース・オブ・ユミル傭兵連隊のテック長、セルジ・イヴァノヴィッチが、破壊され尽くしたウルフ竜機兵団アニヒレーターの残骸を六ヶ月以内に動かすところまで持って行けるかどうか、ケルハウンドのテック長、ダニエル・ホルスタインと賭けたところから始まるという。イヴァノヴィッチがいくつかのプランをあきらかにすると、酒場の賭けは生命を宿し、ケル大公からの援助を受けた。実験用の兵器システムを使うという「インスピレーション」に対し、追加の支援が与えられたのである。

 このメックの最終的な形は、中心領域と氏族で作られた実証済み技術とプロトタイプ技術の寄せ集めであった……まさに「フランケンメック」の定義そのものだ。"シュベーレ・グスタフ"と名付けられたこのハイブリッド機は、少なくとも6機のシャーシからパーツを集められている……とりわけ、解体されたアニヒレーター、残骸となったヴェルフォルジャー、スクラップのバーサーカーである。

 しかし、間に合わせに見えるのだが、驚くほど頑丈なフレームの中には、多数の新しいパーツが収められている。コンパクト・ジャイロが最低限のスペースで安定性を供給する一方、コマンドコンソールによって戦術士官を乗せるのが可能となっている。ブラッドハウンド・アクティブプローブは近くに隠れたどんな敵でも探知する能力を与える一方、その火力は氏族製ロータリーAC/5、バイナリ・レーザーキャノン、サンパー間接砲で構成される。

 イヴァノヴィッチはホルスタインとの賭に勝った……"シュベーレ・グスタフ"は二ヶ月ちょうどで完成したのである。勝ち取ったのは――自慢する権利と上官からの賞賛の他に――ラチャン・カントリー・エール6ケースだったと言われている。このユニークな"グスタフ"は、指揮小隊の一部として消耗したトゥース・オブ・ユミルに加わってる。










中心領域車両(特殊部隊)


パックラット・ゲシュペンスト Pack Rat Gespenst
実地試験概要: カスタム・パックラット改装型
生産者/生産地点: ギナー・コンバットビークル社、ロキ技術支援部/不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3073年?
非生産装備分析: 
 車両用ステルスアーマー
 XXL核融合エンジン
 エンジェルECM
 ブラッドハウンド・アクティヴプローブ


概要
 車両用ステルスアーマーが普及したのに伴い、ほとんどどこにでもあるパックラット長距離偵察車のステルス版が登場したのは、驚くべき事ではない。同じく、ライラ同盟のような孤立地域を持つことで有名な政府が、ステルス装甲を核融合偵察車に載せるのも驚くべき事ではない。パックラット「ゲシュペンスト」(ゴースト)に関する初期の性能報告は、ありがちなものであった。ステルスと、おきまりのECM、ビーグルアクティヴプローブ。ストリークミサイルランチャーを通常のハーヴェスターから交換し、おそらくは追っ手をかわすためのER中口径レーザーを搭載している。

 この評価(ライラの内部文章から得られたと考えられていたもの)に問題があったと判明し始めたのは、ニューアースでロキのパックラット・ゲシュペンスト1個小隊が、ワード・オブ・ブレイク戦線の背後に姿を現したときのことである。この地域には、水深の深い川を渡らないと入れないのである。この矛盾に加えて、ゴーストは1個分隊のバトルアーマーを展開した。

 謎が深まったのは3078年である。このときゲシュペンストはサターン(太陽系第六惑星)の衛星タイタンで目撃され、タスクフォース・クロノスが到着する数日前に早期警戒装置を破壊した。これをなすには、炭化水素の沼地と小川を渡る必要があり、きわめて危険な環境下で活動する必要があるのだ。ゲシュペンストの電子装備の性能に対する報告は、ライラから「入手」したスペックを超えるものであり、兵器を載せる空間はなかった――作戦中に使われなかったのである。

 その後、地球解放時にロキのゲシュペンスト部隊(おおざっぱに2個小隊)と交流したことで、ゲシュペンストのスペックをより正確に推測することが可能となった(このパックラットがどれだけ"got spent"なのかという悪いジョークも助けになった)。この予算無制限な特殊部隊用車両は、単なる核融合エンジンではなく手作りのライラ製XXLエンジンを使っており、目を見張る地上速度を達成するのだ(オフロードでもスポーツカーのように走ることから、サスペンションも改造されていると予測される)。電子装置は最新鋭のブラッドハウンドとエンジェルであると同時に、通信用の「ファックス」マシンすら積んでいるかもしれない(これについては未確認)。あきらかに、環境シーリング、水陸両用システム、バトルスーツ4体分の内部区画を持つパックラット・ゲシュペンストは、不可欠である兵器を搭載するだけの重量を純粋に欠いている。

 バトルアーマー用区画は興味深いものである。4名1個分隊(それにちょっとした補給物資スペース)の空間を持つこの区画は、通常歩兵には不適当なものである……乗れるだけの重量の余裕はあるのだが、1個歩兵分隊にはかなり窮屈なのだ。










氏族VTOL(海賊)


アンフルP・ステルス ANHUR P-STEALTH
実地試験概要: カスタム・アンフル・ハイブリッド改装型
生産者/生産地点: 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 不明(3074年前)
非生産装備分析: 
 中心領域ガーディアンECM
 中心領域車両用ステルス装甲


概要
 氏族を食い物にする盗賊は、中心領域を相手にする者たちよりも少数派なのだが、恐ろしくないわけでも腕が劣るわけでもない――実際、氏族軍の防衛とぶつかるこれらの無法者たちは、中心領域を相手にする同業者たちよりも危険で恐れ知らずなのである。氏族を相手に彼らが成功を果たした――たいていは短期間でも――という事実は、「海賊は馬鹿なわけではない」という話の強い証明となっているのである。

 このような海賊団のひとつ(名前無し)が、3074年、コンスタンスでゴーストベアの訓練、駐屯基地を襲撃した。この勢力は、バトルメックを持ってなかったのだが、ホバークラフト、VTOLの高速機動グループを運用していた。この中には、鹵獲された高機動な改造型アンフル輸送機があった。このアンフルの操縦手――ビアンカ・ブヒンデュシュラとシェリー・ゲーブル――は、この海賊団のリーダーでないかと噂されている。

 コムスターは、海賊がアンフルを現在の仕様に改造するのに必要な装備(あるいは必要な技能)をどこで手に入れたのか、まだ特定できないでいるが、もたらされた結果については議論の余地が無い。機首にLRM15ラック2門を載せるため、輸送能力の大半を犠牲にしているこのVTOLは、優れた支援機、あるいは長距離襲撃機である。その性能は、中心領域製のステルス装甲板とECMで相当に強化されている(これはカペラ宙域への襲撃を行ったか、ブラックマーケットとの強いつながりを持つことを示唆している)。ステルス技術と戦うのになれていなかったゴーストベアは、苦労して反撃を行った。だが、ベアの防衛軍は地上のホバー戦車から攻撃を受けていたので、この陽動はきわめて有効だったのだ。

 この海賊団は3074年後半、ゴーストベアのブロードソード級降下船を捕獲したと伝えられたあとで姿を消した。しかしながら、コムスターはこの報告を確認できないでいる。ブロードソードをコンスタンス星系の外に運べる船はこの地域で活動していなかったのである。










中心領域車両(共和国I)


クアエストル機動戦術指揮HQ Quaestor Mobile Tactical Command HQ
実地試験概要: 生産シャーシ
生産者/生産地点: ダンカン・エンタープライズ、ムーア
技術監督者: ピエール・ヌーヴィル
プロジェクト開始日時: 3095年
非生産装備分析: 
 張り出し砲塔


概要
 プレトリアン、トリビューン機動HQは、スフィア共和国創設直後のカペラとの戦いで、RAF部隊に高度な連携をもたらした。その成功に中心領域中が興味を引きつけられたが、RAFは両HQに搭載された先進装備を渡したがらなかった。ビジネスチャンスをかぎつけたダンカン・エンタープライゼス社は輸出仕様の機動HQを作る部品のライセンス計画を記録的な早さで提出した。

 できあがったクアエストルはプレトリアンに似ていたが、トリビューンの重量と通常型のECM・通信装備を引き継ぐ一方、ブラッドハウンド・プローブとレーザーポイント防衛システムは持っていない。プレトリアンの上部構造を共有することにより、設計への投資金額は最小化されており――装甲は通常型の脆弱で安価なものを使っているのだが――生まれた車両はサイズが大きくなったが中は快適で広かった。大柄な上部構造は、残念ながら加速力を低下させるが、トリビューンと同じだけの速度を保つ努力が払われた。突き詰めると、買い手たちが求めているのは、並の装甲で、驚くほどスピードがあるが操作性はいまいちで、非常にお粗末な防御で、しっかりした通信中継能力を持つ指揮車両だった。それでも買い手たちは、スフィア共和国が提供するベストと思われるものを切望した。

 クアエストルはトリビューンと同じ通信能力を持ち、価格が安く、整備しやすいことから、共和国もまた本車を購入した。RAFは旅団に小隊規模のプレトリアン・トリビューンを配備する一方、必要とされる兵站の末端は正規連隊の責任になっている。クアエストルが存在することにより、RAFの常備防衛軍もまた機動HQを装備することが出来たのだ。

 カペラクルセイドは機動HQシリーズに関する共和国の輸出指針を変更させた……カイ・アラード=リャオ最期の地に燃え尽きたデスコマンドのクアエストルが残されていたのである。共和国の道具が中心領域最大の英雄の運命を変える手助けをしたことは明白であった。クアエストルが中心領域中に完全に行き渡っていたという現実があったことから、プレトリアンとトリビューンもまた公開市場に出すという決定がなされた(少なくとも共和国に友好的な国家のすべてに)。

 共和国で生産されている機動HQ3種類は事実上中心領域の国家すべてで増殖する一方、整備しやすく根本的に頑丈なクアエストルは、本当にどこにでもある存在となったのだった。










中心領域車両(海賊)


ミルミドンP(テイト) MYRMIDON P (TATE)
実地試験概要: カスタム・ミルミドン改装型
生産者/生産地点: 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 不明(3069年前)
非生産装備分析: 
 張り出し型砲塔


概要
 ブリード・ブローラーズの名で通った小規模な海賊団に属する、この改装型ミルミドンの戦車兵たちは、3075年のコロヴレティ襲撃の際に、パクストンで3つの病院を破壊したことで悪名高い。車長のテイト、砲手のモストゥ、操縦手のホーナーは、ブローラーズのメックが都市の防衛軍を釣り出した後で、パクストンに入った中隊規模の部隊の一部であった。

 ブローラーズの目標は、他惑星向けにバクスター金属が精錬した金属の倉庫だった。この倉庫は都市市民軍の戦車小隊(定数不足)と歩兵中隊に守られていた。ブローラーズは正面からの戦いで守備隊を破壊することもできたかもしれないが、そうする代わりにテイトと戦車兵たちは「ちょっとした陽動」をすることを選んだ。

 彼らが遭遇した最初の病院はほとんど無人だった――そこは都市の小規模な宇宙港(この六ヶ月間たいした発着はなかった)の近くにあった。だが、二番目の病院は診察中の集中治療医院だった。彼らはカスタム・ミルミドンのスナブノーズPPCを使って建物の構造を破壊し、それから逃げだそうとした者たちを副砲で皆殺しにした。側面の張り出し型砲塔に搭載されたこれらのマシンガンは、逃げる罪なき人々をあらゆる角度から攻撃するのを可能とした。三番目の病院は同じように扱われた――これによってついに倉庫の守備隊は引き出されたのである。

 鈍足な守備部隊が到着する前に、テイトのミルミドンは6キロメートル離れたところにおり、海賊の降下船に向かっていた。残ったブローラーズの通常部隊は、倉庫の中身を盗み取り、脱出し、バクスター金属に数十億クローナーの損害をもたらした。LAAFはテイトと戦車兵たちに200万クローナーの賞金をかけ、コムスターもそれに匹敵するCビルをかけている。










中心領域車両(最重要指名手配)


カルノフUR輸送機(ヘビーステルス) Karnov UR Transport (Heavy Stealth)
実地試験概要: カスタム・カルノフUR改装型
生産者/生産地点: 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3082年以前
非生産装備分析: 
 スーパーヘビーVTOL
 ジェットブースター
 車両用ステルス装甲
 エンジェルECMスート
 張り出し型砲塔


概要
 この「ヘビーステルス」バージョンのカルノフUR輸送機は、地球がワード・オブ・ブレイクから解放された後の3082年に最初に目撃された。それ以来、少なくとも4機のこれら重改造型VTOLが、盗賊として活動しているのが、共和国中で目撃されている。抵抗が予期される場合は、小型の戦闘VTOLと一緒に行動している。

 これまでのところ、この部隊は単純だが非常に効果的な作戦手法に従っている。この航空隊はゆっくりと目標区域に入り、探知されるのを避けるために非常に低い高度を飛ぶ――ステルス装甲はこの段階で非常に有用と証明された。目標区域に達すると、張り出し型砲塔のマシンガンが着陸地点の敵を掃討し、搭乗している兵士たちが抵抗に遭うことなく展開できるようにする。襲撃部隊は、近隣を漁り回る――たいていは小都市の商業地区・住宅地で、簡単に持って行けるもの、目にした価値あるものをすべて奪い取る。「マスターに選ばれし者」を自称するこのグループが犯行声明を出しており、「ヴィジョンに忠実な者たち」に分け与えるため、「マスターを裏切りし者」から奪っているのだと主張している。ブレイク派のテログループが抵抗活動を続ける手段として、火力過剰の些細な窃盗事件を起こすのは疑わしいのだが、奇妙な出来事は起きている。

 我々はこのグループの背後関係を特定できてないが、治安部隊が最も最近に起きた3083年12月3日のエプシロン・インディ攻撃において、カルノフの1機を撃ち落とすのに成功している。「マスターに選ばれし者」による攻撃はそれ以来、起きていないが、それにも関わらず、最重要指名手配リストに載り続けている。なぜなら、1機が失われて以来、活動拠点をただ単に移動させただけと疑ってるからだ。我が軍のテックは、VTOLからデータの少なくとも一部を回収できると保証し続けているが、墜落の最中か直後にメモリーは完全に抹消されている。より懸念されるのは、回収されたカルノフのパーツにシリアルナンバーがないことであり、どこでだれがこの機体を作ったのか特定を難しくしている。生き残った搭乗員はいなかったので、コンピュータのメモリーが唯一の調査対象となっている。

 それでもなお、墜落したVTOLはこの派生機に関する広範囲な技術データを提供してくれた。我々が長きにわたって疑ってきたように、このバージョンのカルノフは、通常型より大きくなっている。最高速度を130キロメートルに保つため、エクストラライト核融合エンジンが使用され、VTOLジェットブースターがさらなる推進力を与える。










中心領域小船艇(海賊)


S7-P"スカラベ" S7-P "SCARAB"
実地試験概要: 改造型S7-Aバス・シャーシ
生産者/生産地点: 不明、トルトゥーガ?
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 不明(3069年前)
非生産装備分析: 
 ブービートラップ


概要
 海賊は他の犯罪者たちと同じように、一般市民を脅すための最も強力な武器を持っている。その恐怖は、海賊たちが民間人と同じ法や価値観に捕らわれず、望むものを得るため、躊躇も後悔もなく痛み、恐怖、冷血な殺人を使うだろうという印象の元になっている。海賊行為はしばしば無差別殺人となり、戦争の慣例に従わず、対応するチャンスも与えられない。

 多くの場合、海賊の被害者にとって最も恐ろしい考えは、海賊が自分の身の安全を顧みてないように見えることだ。

 S7-Aバスのような船艇は数千年にわたって使われている一方で、「スカラベ」星系内移動用シャトルはエロード・エスケープで使われ、恐るべき戦果を残した改造型である。この船が他にも存在し、ひとつの船種として定められるという確証があるのだ。この「スカラベ」が最初に使われた記録は以下のようなものである。エロード・エスケープの天頂点にいたインベーダー級航宙艦が、近くにいたバッカニア級輸送降下船の救難信号に応え、降下船の船員が乗ったシャトルを受け入れた。その一方、バッカニアの船員少数が暴走する降下船を制御するために残った。少なくとも、インベーダーはそういう話を聞かされた。

 ロックが開かれると、海賊の乗っ取り部隊が改造されたシャトルから現れ、航宙艦のシャトルベイの周辺に素早く橋頭堡を確保した。バッカニアが突如として「復旧」し、インベーダーの空いていたドッキング・カラーに向かうと、海賊のリーダー(名乗らなかったので、コムスターの記録には載っていない)は、スカラベのエンジンには大量の「ブービートラップ」爆薬が積まれており、航宙艦の艦長が航宙艦と降下船すべてを即座に放棄しない限り爆発させると宣言した。

 インベーダーの艦長は海賊との取引を拒否し、海賊が確保した区画の酸素を抜き始めた。海賊は素早く航宙艦にまだドッキングしていたトロイ級降下船に乗り込み、拿捕し、船を切り離した。トロイが離れるとすぐ、海賊のリーダーはインベーダーの艦橋に通信し、カメラに向かって笑いかけ、ブービートラップのトリガーを引いた。引き起こされた爆発は、インベーダー級の竜骨をへし折り、船員二人を除く全員と残っていた海賊たちを殺した。残った海賊は拿捕した降下船、今回の録画記録を持ち去った。以来、2隻の航宙艦が拿捕された……似たようなシャトルが船体に張り付き、ROMと同じ目に遭うと警告されたのである。










中心領域降下船(特殊部隊)


ヴァンパイアII Vampire II
実地試験概要: カスタム・ヴァンパイア改装型
生産者/生産地点: ジャラスター・エアロスペース / 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3070年
非生産装備分析: 
 レーザー・対ミサイルシステム
 Xパルスレーザー、大口径


概要
 ヴァンパイアIIは、ラビッド・フォックスが使っているかもしれないと噂される幽霊船である。その証拠は主に、ワード・オブ・ブレイクがリークしたAFFSの機密文章と、ラビッドフォックスの施設と疑われている二ヶ所の監視によるものである。ここにはヴァンパイアのランディングギアの痕跡が極端に深く残されていた。

 船名から分かるように、ヴァンパイアIIは既存の船に珍しい改造を施したものである……エンジンもフレームも強化することなく、原型艦より1.5倍大きくなっているのだ。実際、ワード・オブ・ブレイクがリークした文章へのコメントによると、技術管理者が要求した兵器を載せるために、ジャラスターは約1トン分の「不必要な」構造部品を削り取らされた取られたとされている(気密区画の素材を化学的に削り取って薄くするなど)。

 当然ながら、ヴァンパイアIIの加速は著しく弱いものであり、交換されてないドナヴァンXVIIIエンジンは最大3Gを生み出す。この加速の減少は良いことだ……なぜなら、過積載のスペースフレームは、3.5Gまでしか耐えられないからだ。重量が増えたこと、寸法の変化がないことが空力性能に影響することで、離陸・着陸速度をいくぶん増やす必要があるものの、その一方、低高度での飛行はスムーズなものとなっている。

 ヴァンパイアIIの歩兵ベイは4個バトルアーマー分隊の輸送用にアップグレードされており、歩兵ベイの設備は兵員区画よりも高い耐久性がある(正規の船室と同じ品質ではないが)。バトルアーマーを支援する物資の積載量は通常型のヴァンパイアよりわずかに増加しており、長期の活動が可能となっている。

 重量が大きくなった理由の一つは武装である……ヴァンパイアIIは原型のヴァンパイアよりも重武装なのだ。強襲級降下船にはまったくかなわないのだが、降下地点を機銃掃射するのに向いたエネルギー兵器を装備してしており、長期間再補給無しで活動することができる。その大幅に増加した放熱能力と、レーザー対ミサイルシステムは、ミサイル攻撃に対し優れた防御となり、他の船にも追加の防衛火力を供給可能である。

 最後に、ヴァンパイアIIはコクピットの背後と真下に大規模な指揮施設を備えている。洗練された通信装備と戦闘コンピューターが、士官たちに優れた戦場の展望を与える。ヴァンパイアIIは、疑いなくラビッド・フォックスに貢献する一方で、幕僚のための軽快な機動本部として通常AFFS戦力を支援することも目的とされている。










中心領域降下船(海賊)


レパードPA強襲船 LEOPARD-PA ASSAULT SHIP
実地試験概要: カスタムレパード級改装型
生産者/生産地点: 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3073年?
非生産装備分析: 
 PPCキャパシター
 バイナリー・レーザー・キャノン


概要
 500年以上にわたって使われ続けている降下船として、改造されたレパード級降下船の数はリスト化できないほど多い。一種類の船体があらゆる目的に使われており、海賊行為も例外ではない。しかしながら、3075年にリパルスで目撃された船は、レパードを強襲船として最適化した究極の一例かもしれない。

 カペラ科学財団の輸送船団(商用航宙艦3隻と護衛のレパードCV級1隻)が攻撃を受けたのは、訓練任務のためカノープス統一政体に向かっていたとき、リパルスの天底点である。この海賊小艦隊には、これまで目撃されたことがない仕様のレパードが含まれていた。このレパードはカペラの艦隊に接近し、船首の破滅的なPPC攻撃で護衛を手早く始末したのである。

 この攻撃の記録によると、海賊のレパードはふたつの気圏戦闘機ベイをそのままにしているが、メック格納庫をふたつの小船艇用ベイ(それぞれバトルタクシーを収める)に転換している。両タクシーは拿捕した船に海賊の敵船乗り込み兵を送り込むためにあるので、我らのアナリストはこのレパードには乗り込み兵を収めるための歩兵ベイがあると推測している。これだけでもレパードPAは宇宙船で危険な敵となるのだが、海賊はレパードの兵器もまた重改造した。

 旧式レパードの通常型PPC2門の代わりに、5門のERPPC(捕獲したPPCキャパシターで強化される)を持つPA型は、小型戦艦すら敬意を払うような前面砲列を形成している。LRMランチャーはアルテミスIV射撃管制システムでアップグレードされ、レーザー兵装はパルス兵器を近接砲として使い、出所不明の旧式バイナリーレーザーキャノンでバックアップされる。観測された限り、レパードPAは兵器の大半を射撃するのに充分な放熱器を保持しており、ビジュアルスキャンによると、追加の装甲が付けられているという。このような改造には、船の構造の強化が必要とされるが、現時点では未確認である。

 アナリストたちが懸念しているのは、改造が大規模におよぶことである――このレパードPAは改造に専門の造船所が必要とされ、また現在操業している大手の造船所がこのようなアップグレード・パッケージを提供しているという記録は存在しないのである。海賊が造船所を使ったというのは当惑させられることであり、どこで改造が行われたのか突き止めために資源が使われている。










中心領域戦艦(ガンスリンガー)


キマグレ・サプライズ Kimagure Surprise
実地試験概要: 修正キマグレ船体改装型
生産者/生産地点: SLDF海軍開発局
技術監督者: ジャスパー・コクレーン
プロジェクト開始日時: 2756年2月2日
非生産装備分析: 
 ライト・マスドライバー


概要
 SLS〈サプライズ〉は、2756年、ベリンダ・ペイス艦長の下で就役し、帝国本土艦隊に配属された星間連盟海軍のキマグレ級追撃巡洋艦である。不確かな研究を下地に、〈サプライズ〉は軌道造船所のひとつに持ち込まれ、それから9ヶ月間姿を消した。姿を現したとき、前面に大きな砲門があり、側面には武装が何もないのが目撃されている。〈サプライズ〉は試験のためにタウラス連合近くの辺境に帆を向け、小規模な監視用艦隊が後に続いた。

 タウラス連合からジャンプ3回の試射場に入ると、〈サプライズ〉は戦闘態勢に入り、目標の小惑星に向かっていった。近くの降下船・戦艦から見学者が見守る中、ペイス艦長は主砲を起動し撃つように命じた。ここに星間連盟戦艦初のライト・マスドライバーによる射撃が行われたのである。

 SLDF造船業界内で人気の艦船用巨大ガウスライフルに理論面で似ているマスドライバーは、さらに巨大な重量を驚くべき速度で目標に投げつけ、純粋な運動エネルギーによって破壊した。生じたダメージは最大級の艦船用ガウスキャノンより大きく、SLDFの提督たちは大いに感心した。むろんのこと、〈サプライズ〉の乗員たちはすでにいくつかの結論に達していた。

 第一にこの兵器は大量の電力を消費した。よって、船内の配線盤いくつかが突然の電力消費の負荷で吹き飛んだのである。〈サプライズ〉の前面、側面兵器は、マスドライバーの発射後、数分間、使用不能となった。また、設計士たちは、反動がこれほど大きく、これほど早く来るとは計算していなかった――砲撃によって主砲後方の12区画分、船体がゆがみ、船尾から遠くにいた船員たちは「嫌な振動」を報告している。下士官たちは相当数の気密シールが破裂したのを報告し、ダメージコントロールチームを派遣した。〈サプライズ〉の航海日誌によると、ペイス艦長は「もう一発撃ったら、バラバラになるだろう」と言ったという。

 SLDFの提督たちはこれらの欠点に失望せず、即座に〈サプライズ〉の構造材と電力配線網の強化を主眼に置いた再設計を命じたが、歴史的な事件によって手が付けられることはなかった。アマリス内戦が勃発したとき、〈サプライズ〉はタイタンの造船所で半分解体されており、ペイス艦長はアマリス海軍の手に渡るよりはと自沈処分を命じたのだった。










中心領域バトルアーマー(最重要指名手配)


グラウンドホッグ"マスターシーフ" Groundhog “Master Thief”
実地試験概要: カスタム・グラウンドホッグ改装型
生産者/生産地点: 不明
技術監督者: 不明
プロジェクト開始日時: 3072年?
非生産装備分析: 
 バトルアーマー・マイアマー・ブースター


概要
 フランク・オテガは、現代における数少ない本物の大泥棒である。彼の「キャリア」は、14歳のときに自由世界同盟で始まった。これまでに彼は何度か捕まった(そして脱獄した)のだが、どれだけの額の金と宝石を盗んだのか、お茶よりコーヒーが好きということ以外については聴取を拒否している。きわめて丁重な態度とあわせて――窃盗中に起こされた損害に対していつも謝罪の手紙を送るという習慣によって追跡しやすくなっている――彼は「義賊」としてあちこちの界隈で知られるようになった。

 彼が最後に捕まったのは、3076年の恒星連邦でのことである。これまでにいくら盗んだのか訪ねられると、現時点では32億コムスタービルと、30トンのダイヤモンドと答えた。これがもし本当ならば、彼は中心領域で最もリッチな男ということになる。オテガはまたも脱獄に成功したが、押収された装備もまた取り返していた。この遭遇から、当局は彼のエグゾスケルトンの技術的データを得ている。

 オテガは現在ゴーストベアドミニオンで活動中であるが、そこでの仕事が終わったらスフィア共和国に移動して来そうな兆候がある。国から国へと飛び回るやり方は、彼独特の奇妙なパターンであり、次に移る前に3回攻撃することを好む。さらに彼が好むのは、「ほとんど不可能」な目標から盗むことだ。この一例が、3073年に地球の銀行を立て続けに3回襲ったケースだ。この強盗を調査した地球の治安部隊の報告では、三度目の襲撃を「天才のやり口」と渋々表現している……なぜなら、そのとき銀行には2個レベルIのバトルアーマー兵がいたからだ。その日、オテガは(あるいは仲間は)どうやってか兵士の水に一服盛って、夜に戻ってきた。警備の者たちは熟睡していた。どのように強盗が行われたかは、再構成することができる……オテガの謝罪の手紙には、どのように薬を持ったのか、将来似たようなことを避けるにはどうしたらいいかのヒントが語られていたからだ。

 ミスター・オテガの重改造されたグラウンドホッグ・エグゾスケルトンは、3072年に初めて姿を現した。通常型のグラウンドホッグと同じ最高速度に達するが、実験型のマイアマー・ブースター・システムによってそれが実現されているのである。彼の敵のほとんどが徒歩であることを考えると、追加のスピードブーストは事実上必要ないように見えることから、ドアを安全にちょうつがいから外すためにもこの装備を使っているのではないかと我らは信じている。このスーツが持つ25キログラムの収容スペースは通常型グラウンドホッグよりも大幅に少ないのだが、彼が現金とダイアモンドを好んでいることを考えると、大金を運ぶには充分以上のものがある。

 オテガのスーツは武装していないが、直面したときには怪力に注意が必要である。しかしながら、オテガは暴力的な男ではない。もし彼を取り囲んで、脱出できない状態に置いたならば、エグゾスケルトンを脱ぐように丁寧な要求を行うべきである。平和裏に降伏させるのにそれで十分かもしれない。










中心領域バトルアーマー(共和国I)


"スラット"(グレイデス)ソラーマ・スーツ "Surat" (Gray Death) Solahma Suit
実地試験概要: カスタマイズドGDスタンダード(ティピカル)ハイブリッド改装型
生産者/生産地点: 各種
技術監督者: なし
プロジェクト開始日時: 約3090年
非生産装備分析: 
 混合技術(氏族装甲、ヘビー小口径レーザー)


概要
 "スラット"は氏族の俗称であり、歩兵に対して使われるときは、鹵獲・接収された中心領域バトルスーツ(氏族の装甲と武器で改装し、ソラーマ部隊に投じられたもの)を指すことがほとんどである。このような部隊で見られる狂信的な「火力がすべてに勝る」ドクトリンが、バトルメックでのものを越えているのは、やっかいな問題であった。

 だが、これらの改装は、氏族の病的なドクトリンを考えると、理にかなうものであった……現在でもなお、ソラーマの兵士たちは死を望んでいるのである。これら使い捨て戦力のスーツにハージェルを使うのは馬鹿げている……特にハージェルがこの数十年で貴重になってからは。通常の中心領域スーツに単純な氏族装甲板を取り付けて、他にはアップグレードしないと、ハージェルのシーリングがオミットされたことで、他の中型バトルアーマーをしのぐような大型武器を搭載するだけの余裕が生まれる。これらの現地改修スーツのさらなる恩恵は、かき集めた部品による収まりの悪いでっち上げであるにも関わらず、容易にすべての体格(筋骨隆々としたエレンメタルから、徴募された中心領域の駐屯兵まで)に適合し、維持費用が明らかに安価なことである。

 中心領域でも種類が多いのは、グレイデス系統の製品である。中でも、単純で地上型のスタンダードとストライクは、コンバージョンに理想的なように見える。これら改装型は、3091年に失敗した海賊の襲撃で初めて見られた。民間の降下船に中継された映像(受け取った直後に離陸した)によると、海賊側小隊長のジェンナーはグレイデス・スタンダード・スーツの部隊の中に走って行った。だが、コクピットはヘビーレーザーのものにしか見えないエネルギーの本流に晒された。レーザーが輝いた後、コクピットだけでなく、胴中央の大部分が消失していたのだった。

 ヘビーレーザーはバトルアーマーの兵器としてはうまくないものである――歩兵が使用するためのパワーパックを取り付けられるのだが、バトルメックに搭載するよりも重量がかさんでしまうのだ。だが、通常の中心領域バトルアーマーと違って、グレイデススーツは氏族技術で軽量化されればヘビーレーザーを取り扱うことが可能である。そうすることによって一線級のスーツに使われる資源が浪費されることもなかった。

 明らかに、スーツの全体的なコンセプトと利用方法は、氏族軍内で「本物のエレメンタル」に嫌悪感に他ならないものを与えている。それがなぜグレイデス・ソラーマスーツや類似機種に、侮蔑的な名称が染みついているかの理由になっている。ただし、氏族の惑星への攻撃を行う者は、歩兵駐屯部隊の本当に壊滅的なレベルの火力に留意すべきという事実は変わらないものである。










中心領域バトルアーマー(特殊部隊)


ピュリファイアー・テラ Purifier Terra
実地試験概要: カスタム・ピュリファイアー・ハイブリッド改装型
生産者/生産地点: 地球?
技術監督者: 管区知事ラマ43世
プロジェクト開始日時: 3075年
非生産装備分析: 
 氏族製装甲
 氏族製バトルアーマー兵器


概要
 ワード・オブ・ブレイクは、前線の兵士たち(特にマネイドミニ)のために6機種の新しいバトルスーツを導入したが、テラセクや保護領惑星市民軍がこれらのスーツを広く使えたわけではなかった。従って、地球区、タイランド管区の知事が、地元の「準軍事」部隊用の普及型バトルアーマースーツの開発を依頼した。ワード・オブ・ブレイクの監督下で提供されたこの「ピュリファイアー」は、反抗的な地球人に対する警察活動向けに重改造されており、擬態装甲を通常型装甲に交換しているが、モジュラー兵器マウントによって幅広いタイプの武器を携行可能である。

 ピュリファイアー・ポリスは大量生産され、ワードが最後に行った焦土核攻撃によって生まれた北アメリカの難民を取り締まるのに広く使われた。非常に血なまぐさく厳しいものだったが、これらの活動によって難民の群れが北アメリカのインフラを崩壊させるのを防ぎ、被災していない地域が立ち直れるようにしたのである。

 「ピュリファイアー・ポリス」の興味深い派生型が、エリートのテラセク部隊の中で見られた――この戦力はワード・オブ・ブレイクとは無関係だったようだ。戦闘で破壊された実物がわずかに二体のみ発見され、素早く発見した合同軍の手の中に消えていった。これらの「ピュリファイアー・テラ」は、地元で生産された氏族品質の装甲を搭載している。このような高品質の装備を生産できる地球の製造施設が捜索されたが、このような調査は後にデヴリン・ストーン自身により妨害された。合同軍が目標地点のそれぞれを徹底的に調べ上げたしたことを考えると、製造施設を突き止めるのに失敗したことは、地元で作られたのではなく、氏族との取引で入手したか、鹵獲した備蓄品を使ったことを示唆するものである。一方で、トルネードG17プログラムの文章は、ワードが氏族品質物資・装備を地球のどこかで生産していることを強く示唆している。

 ピュリファイアー・テラは、先進装備・兵器を使っていること以外に、抜本的な性能の変化はないのだが、できあがったものは、氏族の信頼性が高いエレメンタル・アーマーのほぼコピーであった。そうなる要因は主に、400kg分の脱着式兵器マウント(左腕)を持つことから来ているようだ。分厚い氏族装甲は、胴体と右腕に兵器を載せるスペースを生み出しているが、地球開放以前にそのような派生型が作られたということはないようだ。




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