indexに戻る
作成:2010/05/07
更新:2014/05/28

ウルフ・アンド・ブレイク



 「スターターブック:ウルフ・アンド・ブレイク」は、聖戦期のウルフ竜機兵団(ブラックウィドウ)とワード・オブ・ブレイク(オパクス・ヴェナトーリ)の戦闘を扱ったシナリオ集です。
 ウルフ竜機兵団とブレイク教団は聖戦が始まる前からカオス境界域で静かな争いを繰り広げており、3067年10月、ワコー大佐の反乱によりジェイム・ウルフが死亡(ザ・デイ)、12月、核攻撃と軌道爆撃でアウトリーチが死の星となりました(ザ・デイ・アフター)。
 生きのこった指揮官メーヴ・ウルフは、部隊の再生をブラックウィドウとステイシー・チャーチ大尉に託します。
 これと戦うのがブレイク軍のオパクス・ヴェナトーリ。サイボーグ戦士、マネイ・ドミニとブレイク特殊部隊(ライト・オブ・マンカインド)を組み合わせた超エリート部隊です。
 ウルフ竜機兵団の壊滅についてはシャドウ・オブ・フェイスを参照してください。




ブラックウィドウ中隊 THE BLACK WIDOW COMPANY

部隊: チャーチ独立中隊、ウルフ竜機兵団
別名: ブラックウィドウ中隊
所属: 傭兵
名目戦力: 3個バトルメック小隊



部隊編成 3072

指揮小隊
 大尉 ステイシー・チャーチ(ZEU-9WD ゼウスX・ステイシー) 2/1
 中尉 ジェイコブ・キンケイド(UZL-2S ウジエル・ジェイコブII) 3/2
 戦士 フランシーヌ(GRF-6S グリフィン・フランシスII) 3/3
 戦士 カルヴィン・マグダレーノ(BLR-4S バトルマスター・カルヴィンII) 3/2
火力小隊
 中尉 エイレネ・ロンデマ(GAL-4GLSA ギャロウグラス) 3/2
 戦士 オリン・フレッチャー(DV-7D デルヴィッシュ) 4/2
 戦士 ミッチェル・ラミレス(ARC-7S アーチャー) 4/3
 戦士 マックス・ヘンリクセン(CBR-02 コブラ) 4/3
偵察小隊
 戦士 ワイアット・ロルフェ(WLF-4WA ウルフハウンド) 3/2
 戦士 ニール・ギブソン(FFL-4DA ファイアフライ) 4/3
 戦士 ハル・ヨスト(TLN-5W タロン) 3/2
 戦士 ラッセル・マディソン(LCT-6M ローカスト) 3/3



 バトルメックが誕生して以来、それを操る者たちは、事実上、現代の騎士であると考えられてきた。中心領域の社会がすぐに取り入れた封建制は、この傾向を妨げることはなく、最終的に大衆たちはメック戦士(彼らがそう呼んだ)を正真正銘の英雄であり悪党であると見始めたのである。崇拝は狂信と貴族社会を生み出し、そして伝説が生み出された。エリート戦士たちの中隊、大隊、そして連隊までもが老いも若きも熱狂させ、これらのマシンを操る戦士たちはほとんど神々にまでなった。すべての世代が己の英雄を持っている。

 そしてブラックウィドウがやってきて、すべての伝説を色あせさせたのである。

――――オールドコンノート・プレス社『ウィドウテイル:ブラックウィドウの登場』、3073年



起源
 中心領域に入ってから10年近くが経った時のこと、竜機兵団は小規模な独立中隊を作り上げた。それは、はみ出し者や不満分子が、竜機兵団から追放、あるいは処刑される前に最後の居場所となる部隊である。ナターシャ・ケレンスキーという名前の若き中尉が、この中隊を率いるために昇進させられ、彼女の指揮の下、この中隊は中心領域でもっとも尊敬され、恐れられるバトルメック中隊となった。

 ブラックウィドウ中隊だ。

 ケレンスキー大尉は部下たちを厳しく訓練し、不逞の輩と役立たずからなる集団を傭兵界隈で最高のエリート中隊に変えた。彼らは自らの資質にあった単独での小部隊作戦を専門とした。竜機兵団指揮官、ジェイム・ウルフ大佐は、連隊という巨大なハンマーより、1個中隊という小さなメスが有用な状況があることをよく知っていた。ケレンスキー大尉の下、ウィドウ(ナターシャ・ケレンスキーのあだ名ブラックウィドウから命名された)は最も鋭いメスとなったのである。


伝説
 ケレンスキー独立中隊は、ウルフ竜機兵団が参加したほぼすべての主要な交戦を戦った。だが、彼らを有名にしたのは、最初の作戦行動、マーリック内戦でニューデロスのアントン・マーリック総司令部を強襲し、完全に破壊したことである。その後も彼らは、3019年のヘスペラスIIで橋頭堡を確保したことなど、さらなる勝利を重ねた。次々と舞い込む契約の中で、ウィドウは竜機兵団の旗が翻るところならどこでも、必要であった場所にいたのである。ミザリーにもだ。


変身
 第四次継承権戦争で大打撃を受けた後、ブラックウィドウはしばしの間、竜機兵団と共にアウトリーチへと避難した。中隊を大隊規模に拡大したナターシャ・ケレンスキー大佐(昇進)は、他の部隊が再建している間、ブラックウィドウ大隊を作戦に導いた。短期間のうちに、ブラックウィドウは全傭兵中で最精鋭となり、ウルフ大佐がベータ連隊を再建するまで戻ることはなかったのである。ケレンスキーは大隊をレムス(アウトリーチの小さい方の大陸)にある竜機兵団用の訓練施設に連れて行き、全竜機兵団をテストする剣となった。

 そして氏族が到来し、ブラックウィドウの時代は終わりを告げたのである。


ウルフ竜機兵団

 ウルフ竜機兵団の名前で知られている驚異的な傭兵部隊が、氏族宙域から来たウルフ氏族出身の強行偵察部隊のようなもので、中心領域侵攻の序章となったことは広く知られている。ジェイム・ウルフと部下たちは元氏族の戦士たちで、ナターシャ・ケレンスキーはブラッドネームを持ったひとりだった。

 竜機兵団がいつ氏族を捨て中心領域側についたのか正確なデータは存在しない。彼らが常にそれを意図しており、氏族の猛攻を押し返すのを助けるためかつての主君に牙を剥いたと考える者もいる。だが、知られているのは、3051年のいつかの時点でナターシャ・ケレンスキーが竜機兵団を離れ、ウルフ氏族に戻っていったことだ。

 一ヶ月後、彼女はウルフ氏族の長、氏族長の一人にして軍の指導者としてあらわれた。彼女はウルフを勝利から勝利に導いたが、出来るだけ人死にが少なくなるようにしていた。侵攻の指揮権をウルフが勝ち取るよう努力し――そして結果的に侵攻を終わらせたことは――様々な人間から裏切り者であると見られたが、結局のところ彼女は良心に従っただけなのである。

――オールドコンノート・プレス社『ウィドウテイル:ブラックウィドウの登場』、3073年



オナーネーム

 竜機兵団における秘密の習慣のひとつが、オナーネーム(名誉名)である。ブラッドネームを礎とする竜機兵団名誉名は竜機兵団の英雄たちから取られた名字である。特定の年代に達した竜機兵団員は、オナーネームを帯びる権利をかけた一連の神判に臨むことが出来る。だが、ブラッドネームと違って、オナーネームは年代ごとに決定される。よって、オナーネームの保有者の数に制限はないのである。

 竜機兵団員なら誰でもオナーネームを争うことが出来るが、特に鋼鉄の子宮で生まれ、3040年代、3050年代に竜機兵団のシブコで育った者たちがこの習慣を重んじている。シブコの多くが(氏族のように)竜機兵団の英雄の遺伝子遺産で作られているので、シブキッドが遺伝子提供者のオナーネームのために戦うのは珍しいことではない。



スパイダーの遺産
 ナターシャ・ケレンスキーがウルフ氏族に加わるために去った後、マッケンジー・ウルフ少佐がブラックウィドウの指揮を引き継ぎ、スパイダーウェブ大隊に改名した。ジェイム・ウルフの息子であったウルフ少佐は革新的で尊敬される指揮官であったが、前指揮官のような才能と、有名な父が得ていたような厳格な敬意を欠いていた。竜機兵団内戦が勃発して死ぬまで彼は大隊を率いた。

 内戦の混乱を抜け出したウルフスパイダー大隊は、ナターシャ・ケレンスキーの旧偵察小隊指揮官、ジョン"伊達者ジョニー"クレイヴェルに指揮されていた。ウルフスパイダーは次の10年間、竜機兵団のトラブルシューター(火消し)部隊として名をあげ、他の部隊には不可能な任務を達成することによってブラックウィドウの伝説を再燃させたのである。彼らは何度も戦い勝利した……ワード・オブ・ブレイクが裏切りと偽りと共にやってくるまで。以前のブラックウィドウのように彼らは戦線を維持し、血の代償を支払った。彼らはその日(ザ・デイ)ハーレフにいて戦った。

 ザ・デイ・アフターまで。


ウルフとワード

 ウルフ竜機兵団は常にコムスターに有名な不信を抱き、ワード・オブ・ブレイク一派が世俗化した教団から離脱した時、その憎悪を狂信者たちに移した。同盟傭兵軍(ワード・オブ・ブレイクの侵略からカオス境界域の自由を守り続けようとする傭兵部隊の合同軍)の創設は、ブレイク派の隠された悪意ある目的を食い止めるために竜機兵団がとった手段のひとつでしかなかった。竜機兵団の諜報部、ウルフネットは素早くブレイク派ROMとの隠れた戦争に乗り出した。悪名高き第7奇襲部隊、特殊作戦チームはウルフネットのオペレーターと組んで、カオス境界域のワード・オブ・ブレイク機関員に深刻な、しかし控えめな損害を与えたのである。

 ワードは物覚えが良かった。

 再生した星間連盟が11月に終焉する前でさえ、ブレイク派のエージェントは攻撃を加え、ハーレフへの奇襲テロ攻撃を後援し、傭兵による強襲を行ったのである。この世界にいた竜機兵団部隊はこの臆病な強襲を撃破することが出来たが、損害はきわめて高いものだった……竜機兵団の魂であるジェイム・ウルフが最後の決戦の中で戦死したのである。そして我が軍は警戒態勢を解かなかった者たちを皆殺しにし、再建を目指した。

 ワードが戻ってくるまで、我らの頭上に星々を降らすまで。

――メーヴェ・ウルフの書き残しから



死地
 中心領域はすぐにも第一次継承権戦争以来体験したことがない規模の戦争に突入することになる。だが、アウトリーチの11月、12月、竜機兵団が戦い死んでいった間に、他の中心領域人は救済を求めて遠くターカッドを見ていたのである。傭兵による攻撃は撃退され、我らは周囲を見回し、状況を考慮したのである。

 12月の1日、我が軍はワードに使者を派遣した……彼らにも理解できるであろう言語で語りかけるためだ。ベータ連隊、ゼータ大隊、ディズマル・ディシンヘリテッド、リンドン大隊が地球に向け出港し、ワードが脆弱に過ぎることを占めそうとした。タスクフォース・ヴェンジャンスは12月の第二週に地球星系に入り、消滅した。彼らは火星の周辺、地表で最後の一人までが死に絶えたのである。

 それからワードは逆襲を行った。

 ワード・オブ・ブレイク市民軍の2個師団と数隻の戦艦がアウトリーチがアウトリーチに報復を行い、惑星上の兵士たちと支援部隊を我らと似たような激しさで叩いたのである。

 似たような……彼らは竜機兵団ではなかった。

 軌道上のブレイク派戦艦は、アウトバックの竜機兵団施設とロムルスの選ばれた目標(ハーレフ含む)を順番に爆撃していった。第二次ハーレフ戦が終わりに向かっていた時にさえ、ウルフスパイダーはワード・オブ・ブレイクを押し返そうとしていた。ガンマ旅団の生き残った一部と下請け契約したブロードソード軍団の支援を受けたウルフスパイダーは防衛軍を再編成し、攻撃部隊を後退させていたところだった。その時にブロードソードが裏切り、ウルフスパイダーは死んだのである。

 ウルフ将軍とアルファ旅団はクリスマスの直前に星系内に入り、ワード部隊を引き裂き、戦艦に大損害を与え、地上戦の流れを変えた。しばらくの間、彼らには希望があった。そして絶望に突き落とされたのである。敗北が差し迫っているのを感じたワード・オブ・ブレイクは賭け金を引き上げ、その後の予兆となることを行ったのである。


ブロードソード軍団

 元司教カーリ・マリタが率いる元コムガード兵士の小部隊、ブロードソード軍団は第一次ハーレフ戦のその時、現地におり、第二次ハーレフ戦が勃発した時にはブレイク派と戦うことを申し出た。自分たちで対処できるより多いワード・オブ・ブレイク部隊に直面した竜機兵団の士官たちは、多くの助力の申し出を受けていた。ブロードソードはクレイヴェル少佐の下につき、ハーレフ周辺で作戦を行うウルフスパイダー大隊の支援を命じられた。バトルマジックのような他の部隊は、竜機兵団の作戦を支援する別の任務を与えられた。そういった部隊の大半は、傭兵のすばらしき伝統の通りに戦い、契約の下で死んでいった。ブロードソードは裏切った。

 第二次ハーレフ戦が危機的なポイントに達したその時、軍団はウルフスパイダーに砲口を向け、身を守るチャンスを与えずタランチュラ三連星隊を粉砕し、ブラックウィドウ三連星隊を罠に陥れた。ステイシー・チャーチ大尉の機転と多数の部下の犠牲によってのみ、ウルフスパイダーは生き残り、アルファと共に12月の終わりに脱出できたのである。ブロードソードはワード・オブ・ブレイクとの契約下でアウトリーチに残り、生き延びた全竜機兵団員は裏切りに対し血の報復を加えることを誓ったのだった。

――MRBCの報告A3457-デルタ「違法傭兵の報告」、3070年12月



脱出
 ブレイク派の爆撃後、アウトリーチに残るのは死を意味することがメーヴ・ウルフにとっては明白だった。彼女は避難を開始し、乗せられるだけの竜機兵団員と一族郎党を乗せ、アークロイヤルへと向かった。生き残った最後の竜機兵団戦艦、イージス級〈アレクサンダー〉がその身を犠牲として竜機兵団の輸送船は脱出し、ガンマ旅団の残存兵力と他の志願兵がアウトリーチに残り、ブレイク侵攻軍に対するゲリラ戦を実施した。他の竜機兵団員はライラ同盟を縦断する長い旅に出た。

 3月、彼らがアークロイヤルに到着したまさにその時、メーヴ・ウルフはアウトリーチのガンマ戦士たちがすぐ持ちこたえられない状況に陥ったと聞き及んだ。彼女はケルハウンドと(放浪)ウルフ氏族の助力を請い、アウトリーチに戻って出来る限りの救出を行った。最終的に、竜機兵団数個中隊と数百人の民間人が脱出した。

 アウトリーチはついに陥落したのである。


痛みの時間
 3068年、3069年、竜機兵団はアークロイヤルで休息をとり、癒せるだけの傷を癒し、隊形の中から使える部分を探そうとした。諸連隊は壊滅し、第四次継承権戦争時より遙かに酷い状況であった。竜機兵団の岩盤であるゼータ大隊は火星の赤い砂の上で伏した。ジェイム・ウルフは死んだ。ウルフスパイダーは裏切りによって虐殺された。傭兵の評判は中心領域中で急降下し、最後の一撃としてデルタ連隊がバックミンスターで連合、ワード・オブ・ブレイクの策略の犠牲となり、死んだのだった。

 竜機兵団は死んだとは言えなかったが、かろうじて生きている状態だった。

 部隊を組み立てる最初の試みは派手に失敗した。メーヴは第四次継承権戦争時の青写真を使ってジェイム・ウルフのやり方を踏襲し、臨時中隊というコンセプトを復活させた。竜機兵団の旗を戦場に戻し、再生のプロセスを開始することができる強化大隊を作るという考えの下、4個中隊が結成された。数ヶ月の演習後、メーヴは彼らが竜機兵団であることを思い出させると決心し、合同訓練を行った。ケルハウンドのあるチームが対戦相手として志願し、このイベントを目当てにアークロイヤルを拠点とする様々な傭兵隊から観衆が集まった。

 竜機兵団は数分で撃破された。モーガン・ケルの温情により、交戦のROMは削除された……ハイパーパルスネットワークによってROMが広がるのを妨げたのである。メーヴは直ちに臨時中隊を解散し、設計図に立ち返った。もはや彼女には唯一のオプションしか残されてなかった。


復讐の時
 アウトリーチで生き残った唯一のウルフスパイダー中隊級指揮官は、ブラックウィドウ三連星隊指揮官、ステイシー・チャーチだった。それはメーヴ・ウルフにとっては当然の選択であり――二人は共にスパイダー・ウェブでエルソンの挑戦を戦った――象徴的に無視できないほど大きいものだった。

 ウルフ・スパイダーは再生したのだ。

 竜機兵団の生存者から1個中隊を作るというステイシー・チャーチの最初の試みは、臨時中隊と同じく無惨な失敗に終わった。ステイシーは自らを助ける士官を選んだ後で、志願者たちから1個中隊を結成し、ケルハウンドと(放浪)ウルフを相手にテストを行った。戦士たちをチームとして戦わせるため二週間の訓練が実行された。

 6日で3名の竜機兵団員が死んだ……自殺したのである。そのうちの一名はステイシーが偵察小隊長に選んだ士官で、ウルフハウンドを崖に走らせ岩に衝突し命を絶ったのだった。ステイシーはあきらめようとしたが、メーヴが計画を変え、ウルフスパイダーとは違う竜機兵団の伝説を復活させるよう説得した。ウルフスパイダーは死んだ。古き伝説を、恐怖の伝説を、蘇らせる時であった。ステイシーはついにこれを受け入れたが、メーヴが求める部隊をアークロイヤルで作り上げる方法はないことがわかっていた。もし新たなブラックウィドウを作りたいなら、安全な地にいる兵士たちより鍛えられた者たちが必要だった。古参兵である必要がある。不満分子である必要がある。ブレイクの弟子たちを殺すことが人生で唯一の目的というメック戦士たちである必要がある。

 ブラックウィドウは惑星を発ち、アウトリーチに向かった。


ゴースト
 3069年が終わるまでに、ワード・オブ・ブレイクはアウトリーチから引き上げていた。残されたのは2個の大規模な傭兵団と評判の悪い小傭兵隊群である。ブロードソード軍団は、ハーレフと降下港の廃墟を含む、ロムルス大陸を任された。ワナメーカーズ・ウィドウメーカーズ(竜機兵団と長年に渡って対立していた)はすぐにレムスを綿密に調べることとなった。これらふたつの部隊はいまだ惑星上に散らばるわずかな竜機兵団の抵抗セルを処理するのにふさわしいと考えられた。

 3069年の10月、ワード・オブ・ブレイクの使いがハーレフに特別な捕虜を連れてきた。タスクフォース・ヴェンジャンスの強襲の際に、ゼータ大隊の戦士数名が殺されず捕らえられていたのである。その中で最も重要だった捕虜は、ゼータ大隊の次席指揮官で、最も階級の高いタラ・ルーカス少佐だった。2年に渡る「処理」の後、彼女はアウトリーチに送られ、ブレイクの意志の神なる許しのシンボルとして、抵抗運動軍の前でパレードすることになった。護衛は少数で充分と考えられ、まずハーレフに立ち寄った。

 それが最後になった。

 アウトリーチからの撤退を拒否した部隊のひとつに、エレメンタル打撃星団隊(トード・フロム・ヘル)がいた。稼働するバトルスーツ1個星隊以下にまで減少していたのだが、エレメンタルたちは、都市の中心を進むルーカス少佐を乗せた小輸送隊を攻撃し、このゼータ指揮官を救出したのである。抵抗軍のリーダーをやっていたエルソン・ノヴァキャットは、彼女を恐慌状態から救い出すことを個人的な使命とした。数週間の献身の後、タラ・ルーカスは反応を示した。憎悪と復讐心から来る痛みで朦朧とした状態から抜け出したのである。


空からの異邦人
 ワード・オブ・ブレイクのアウトリーチ封鎖は、惑星内の船を重力圏外に出さないことを念頭に作られていた。よってブラックウィドウは3070年の前半にアウトリーチ近くのパイレーツポイントに出現し、このループホールを上手く突いたのである。チャーチ大尉とブラックウィドウ隊員を運んでいた小型のレパード級降下船は、気圏戦闘機隊に発見され攻撃されたが、なんとか積荷に損害を出すことなく降りることに成功した。

 最初にアウトリーチの大地を踏みしめたバトルメックはステイシーのゼウスだった。その後にすぐジェイコブ・キンケイドのウジエルとエイレネ・ロンデマのギャロウグラスが続いた。降下船から最後に降りたのはマイケル・バーストゥのフェニックスホークで、メックベイから出るときに攻撃を受けた。気圏戦闘機に呼ばれたブロードソード軍団の1個レベルIIが、降りてくる降下船を見ていたのだ。

 ウィドウは直ちに攻撃を始め、ブロードソードのクリントを破壊し、イニシエイト、バッカニアに損害を与えた。ついに待ち望んでいた復讐の味を楽しんだウィドウは、ブロードソードの援軍に退路を阻まれそうになった……その前にキンケイドがそれに気づき、小隊員たちを都市の外に導いたのである。ブロードソードの一部がハーレフの外までウィドウを追撃し、マイケル・バーストゥがリッジに向けての退却中に戦死した。

 ウィドウの小隊が山に入ると、ブロードソードが彼ら捕らえようと準備を行った。2隻の降下船がブロードソードのメック2個部隊をリッジに輸送し、その間、戦車とメックの混成レベルIIが三名の傷ついた竜機兵団員を追撃した。彼らはついにロイヤルパスで遭遇し、竜機兵団の黒に赤のバトルメック3機は三倍以上の敵を相手にすることとなった。ステイシー・チャーチと他の二人は最期を覚悟したが、アウトリーチにいた竜機兵団の全員が死んだわけではなかったのである。

 フランシーヌという名の情熱的なシブキッドに率いられたぼろぼろの2個竜機兵団メック小隊がリッジから現れ、ブロードソードの戦車が突き進んでいたまさにその時、背後から攻撃を仕掛けた。最初のレーザーがブロードソードを切り裂くとすぐにウィドウは主導権を取り戻し、坂の上を攻撃して、ブロードソードの戦線に穴を開けた。抵抗軍のメック3機が犠牲となったが、ウィドウは追撃部隊の手が届かないリッジの荒野に逃れた。


傷ついた残留部隊
 次の数ヶ月間、ふたつの異なった抵抗グループが組織され、ロムルス全域で活動した。彼らはブロードソード軍団と他のブレイク派傭兵部隊を見つけると攻撃を加えた。グループの一方はウィドウと彼らを救った抵抗グループで、たいていはハーレフに目の届くリッジ周辺で活動した。もう片方は、より大規模(一堂に会した時は1個大隊に近い戦力)で、ハーレフとリッジの向こう側にある崩壊した都市、ニューワイアットを拠点に活動していた。エレメンタル打撃星団隊を中核に作られたこのグループは3070年の4月までにタラ・ルーカスが指揮をとるようになっていた。エルソン・ノヴァキャットがアン・ナムサン近郊の小競り合いで戦死した後に引き継いだのである。

 3070年の6月が終わるまでに両グループは互いの存在に気が付いた。第7奇襲部隊はロムルスを自由に動き回り(噂を信じるならレムスも)、発見したセルの間で情報をやりとりしていた。タラ・ルーカスとステイシー・チャーチの双方が互いのニュースに興味を引かれた。ステイシー・チャーチは火星で生き延びたものがいることに驚き、どうやって少佐が脱出したのか知りたがった一方で、タラ・ルーカスはブラックウィドウ中隊と自称している新部隊が信ずるに足るものなのか判断しようとした。


会合
 3070年の9月、両グループのリーダーたちはアン・ナムサンで会合を持つことに合意した。ステイシー・チャーチとジェイコブ・キンケイドが、タラ・ルーカス、その部下たちと会い、飲料会社の会議室で6時間の話し合いをもった。この会合を手配したのは、第7奇襲部隊のブラックウルフチームと、その指導者、ピーター・ホワイトホース中尉だった。両指揮官はワード・オブ・ブレイクとアウトリーチにおける傭兵の活動の情報に興味を持ち、ホワイトホースがもたらしたワナメーカーズ・ウィドウメーカーズ(レムスに到着したばかり)の状況に関する詳細な報告に感銘を受けた。だが、タラ・ルーカスがステイシー・チャーチに対し、特定の目標を攻撃するよう命令を出すと、会合は物別れに終わったのである。

 ブラックウィドウは常に独立部隊であり、メーヴ・ウルフ自身からの委任を受けていたステイシーはタラ・ルーカスに命令権があると認識しなかったのである。すべての情報を交換することと、出来るだけ多くの作戦を協調させることには同意したが、他の士官の下に入ることは拒絶した。会合は合意に至らず、中断といったところだったが、両指導者は以前より多い情報と小さくない希望を携えて基地に戻った。

 次の九ヶ月は、ワード・オブ・ブレイクのロムルス防衛軍にとって厳しい時間となった。ブラックウィドウ(少なくとも書類上は1個中隊にまで増強された)はハーレフ近郊の孤立したブロードソード守備隊を繰り返し叩き、その一方で、タラ・ルーカスのゴーストがロムルス全域の他の箇所で、小隊〜中隊規模の部隊を殲滅した。そして3071年の4月、最後の一撃がたたき込まれた。

 初めて共同作戦を行った二つのグループは、ブロードソード軍団をハーレフから釣り出すのに成功した……ブラックウィドウ中隊がリモートセンサーの範囲内を通って行進したのである。ブロードソード軍団のほぼ全隊が追撃を行った。そしてその中には指揮官のカーリ・マリタ司教、ハーレフの反逆者がいたのである。

 ちょうどリッジの入り口あたりで、ウィドウは追いつかれたことを認めた。ステイシー・チャーチ大尉は、ハーレフの反逆の件でカーリ・マリタに挑戦を行った。ブロードソードは拒絶し、攻撃のために密集して、固い決意と共に追いつめられたウィドウに向かった。最初の一斉射撃でまさに最初の一発がウィドウのスティンガーを破壊した。

 そして周囲は爆発に満たされた……タラ・ルーカスのゴーストが隠れ家から出てきて、砲撃を始めたのである。ブロードソードは勇敢に戦い、竜機兵団の多くを道連れにしたが、最終的にはカーリ・マリタを含む少数が離脱したのだった。ウィドウは小隊分の戦士とマシンにまで減少し、ゴーストはほぼ1個中隊になったが、ブロードソードは消滅した。カーリ・マリタは直後にアウトリーチから消えた。


流れが戻る
 軍団の殲滅に伴い、竜機兵団は名目上はともかく事実上ロムルスの支配を得た。他の小傭兵隊はハーレフの防衛施設や他のブレイク派要塞から出てきて戦うことはなさそうだった。そして狂信者たちが、すでに痛めつけられた惑星にさらなる大量破壊兵器を投じる危険性が常につきまとうことになったのである。タラ・ルーカスはロムルスのブレイク派の横行を排除するサーチアンドデストロイ作戦を支持したが、ステイシー・チャーチは再建を主張した。結局のところ、部隊の1/3が死に、それはゴーストの方も同じだったのだが、彼らには利用できるすばらしいリソースがあったのである。加えて、ブロードソードの殲滅により、ニューワイアットとハーレフの再建に従事する文字通り数百名の志願者を引きつけることが出来た。

 11月、ピーター・ホワイトホースがタラ・ルーカスとステイ・チャーチの会談の場に現れ、レムスのワナメーカーズ・ウィドウメーカーズに関する情報を開示した。この年、第7はウィドウメーカーズを悩ませているところで、彼らがレムスに残された竜機兵団の機密を暴くのをなんとか妨げているところだった。ホワイトホースは助けを求めるためロムルスに戻ってきた。第7を屈服させるために、相当数の竜機兵団郎党と無関係の民間人が狩り集められ、アウトバックの行政地区に拘留された。奇襲部隊は彼らを解放するために助けを求める必要があり、軍団が消滅した今、ロムルスの2グループが来てくれるかもしれないと感じたのである。

 ステイシー・チャーチは熱狂的に志願し、中隊戦力を回復させるに足る充分な新兵たちを引きつけることが出来た。タラ・ルーカスは当初渋っていたが、緊急の投票によって、彼女がいようといまいと部下たちは行ってしまうことを確信したのである。アルゴシャン海を渡るための準備が始められた。ヨルメナイの海峡を通る浅瀬のルートを探すべく、特殊偵察群の生存者が連れてこられたが、ホワイトホースが別のルートを持っていたと判明した。彼はティベリウスを持っていたのである。

 星間連盟の遺品であるティベリウスは、ロムルス、レムスの移動用に作られた潜水貨物船であり、第7は聖戦の前から密かに両大陸を移動するのに使っていた。この潜水艦はゴーストとウィドウの全戦闘部隊が船を渡るのに、充分な輸送量を持っていた。


強行突破
 行政地区への攻撃は竜機兵団の強襲の十八番となった。2年間のブロードソードに対する共同作戦で、ウィドウとゴーストはウィドウメーカーズと戦う自信を持っていた。第7はブラックウィドウの支援を受けて、ウィドウメーカーズに対するゲリラ戦を始め、その間、ゴーストが直接、行政地区を攻撃した。ウィドウがウィドウメーカーズの大半を行政地区から釣り出している間、第7が離脱して、ワナメーカーの降下地点の方角へ移動した。奇襲部隊の損害は激しいものだったが、彼らはウィドウメーカーの降下船、ユニオン級1隻と新型のオーロラ3隻を捕獲するのに成功した。ウィドウはウィドウメーカーズとの接触を保ち続け、常に彼らの遙か前方に居続けるのに成功し、激しい交戦を行う前に離れることが出来た。そしてゴーストが行政地区を急襲したのである。

 タラ・ルーカスが生き残ることはなかった。

 これを知ったブラックウィドウは方向転換して攻撃し、第7とゴーストの通常部隊が難民を降下船に乗せられるようにした。ゴーストのメック隊はウィドウに加わってウィドウメーカーズを行政地区から引き離し、アウトバックの荒れ地に退却させた。竜機兵団は追撃を行わず、LZと降下船に戻った。ここでしなければならない決断があった。


ウィドウは解き放たれる
 ウィドウはユニオン級降下船を得て、アウトリーチを離れることを発表した。ステイシー・チャーチはウィドウを完全な戦力に戻すのに必要なだけの志願者を得て、それから彼らがレムスで戦い続けられるように組織した。捕獲したオーロラの2隻は難民に渡され、第7が1隻を得た。ホワイトホースもまた惑星を離れ、奇襲部隊を率いて保護領中のブレイク派と戦うことを発表した。奪ったウィドウメーカーのHPGから事前に決められた信号が発せられ、脱出に必要なだけの航宙艦が呼ばれた。アウトリーチを発つ前に、ステイシー・チャーチはHPGを通じてアークロイヤルのメーヴ・ウルフへ短いメッセージを送った。

「ブラックウィドウ、帰還」




ブラックウィドウ隊員

ステイシー・チャーチ Stacy Church

階級/地位: 大尉/ブラックウィドウ指揮官
生誕年: 3036年(36歳、3072年時点)
所属: ウルフ竜機兵団
故郷惑星: カフ
メック: ZEU-9WD ゼウスX・ステイシー
 メック操縦技能: 2
 メック砲術技能: 1


ZEU-9WD ゼウスX・ステイシー
技術基盤:中心領域(実験型)
メック識別番号:ZEUX0003

重量:80トン
シャーシー:チャリオット・タイプIII
パワープラント:ディファイアンス・ライト320
巡航速度:43.2km/h
最高速度:64.8km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:なし
装甲板:
 ギャロウグラスリミテッド・フェロファイバー(CASE付)
 NAISブルーシールド・粒子フィールドダンパー
武装:
 ディファイアンス2002ヘビーPPC 1門
 ディファイアンス・ディスインテグレーターLB10-X 1門
 ディファイアンスB5L・長射程レーザー 2門
 BL-AM-WCアクチュエーター強化システム(E) 1基
製造元: ディファイアンス工業
通信システム: ターヘス・カリオペZE-2
照準・追尾システム: ターヘス・アレス-7


メック戦士プロフィール
 ステイシー・チャーチは竜機兵団のシブコで育ったが、中心領域の一族の生まれである。彼女は第四次継承権戦争と氏族侵攻の最中に受け入れられた多数の孤児の一人である。彼女は最初のテストで高い成績を残し、その点数でエルソンの挑戦の直前にスパイダーウェブ大隊の地位を獲得した。彼女は大隊の多数と同じ側に付き、竜機兵団反乱軍と戦った。

 この戦いとその他の紛争の報償として、ステイシーは3064年、ウルフスパイダー大隊の誉れ高きブラックウィドウ三連星隊の指揮権を与えられたのである。彼女の三連星隊はブロードソードの裏切りを生き延びた唯一の部隊だった。12月後半、アルファ旅団が残った竜機兵団をアウトリーチから撤退させた時に、彼女は負傷していたのだが残るよう嘆願した。


メックの来歴
 ステイシーが乗るゼウスは竜機兵団がアウトリーチに到着した際に、ケルハウンドから贈られた品である。この贈り物は、失ったものを取り返すために戦うチャンスが与えられたことを意味していた。3068年、メーヴ・ウルフが行った最初の決断のひとつは、聖戦の不確実性の中で、竜機兵団が失った生産設備を復活させないということだった。これによって竜機兵団の再装備は中心領域製に絞られることになり、ゼウスはこの好例であった。

 ゼウスXは中心領域で最先端の兵器(ケルハウンド、竜機兵団が入手できるもの)を搭載した実験用バトルメックである。ステイシーが以前に乗っていた氏族製マッドキャットとはほど遠いが、ゼウスの精度とハイテク防御装置はオムニメックと同じくらい致命的であることが判明した。

 さらに重要なのは、先進技術によってステイシーはワード・オブ・ブレイクが配備する最高の技術と接戦を演じることが出来るであろうことだ。これは実験用整備を使うリスクの割に合うものだが、大規模な修理施設から遠く離れた時には悪い状況に置かれるだろう。







フランシーヌ Francine

階級/地位: メック戦士/ウィドウ指揮小隊
生誕年: 3049年(23歳、3072年時点)
所属: ウルフ竜機兵団
故郷惑星: アウトリーチ
メック: GRF-6S グリフィン・フランシスII
 メック操縦技能: 3
 メック砲術技能: 3


メック戦士プロフィール
 ワード・オブ・ブレイクがアウトリーチを攻撃したのは、フランシーヌがシブコを出てから二週間たったときのことだった。ザ・デー・アフターまで、彼女の訓練中隊はハーレフ内外で侵攻してきたワード・オブ・ブレイク師団群と戦った。一族郎党の輸送車列をリッジ経由でアン・ナムサンに逃がす間、彼女は6機のブレイクメックを単独で倒し、竜機兵団で受けた訓練の証とした。竜機兵団の仲間たちが12月に脱出すると、フランシーヌはアウトリーチにとどまった。

 3070年、ステイシー・チャーチがアウトリーチに帰還して新しいブラックウィドウを作ると、フランシーヌは居場所を見つけることになった。ニューワイアットの廃墟で小グループと共に戦っていた彼女は、リッジのロイヤルパスを通るために戦う竜機兵団の小グループを発見し、助太刀して戦いの流れを変えるのを助けた。レジスタンスの戦士の中で、公式にブラックウィドウに加わったのは、フランシーヌが最初だった。


メックの来歴
 フランシーヌのグリフィンは新型機ではないが、鹵獲したブレイク技術(一部は他から鹵獲したもの)を寄せ集めることによって、年代物のバトルメックを危険な復讐の道具としている。敵の大半は、旧式のフシゴンPPCが強力なスナブノーズPPC交換されていること、核融合エンジンがスーパーチャージャー化されていること、実験技術の「光沢装甲」(ブレイクの新型ヴァリアブルレーザーにきわめて有効)が使われているなどとは、思いもしないのだ。







エイレネ・ロンデマ Eirene Rondema

階級/地位: 中尉/火力小隊長
生誕年: 3038年(34歳、3072年時点)
所属: ウルフ竜機兵団
故郷惑星: アウトリーチ
メック: GAL-4GLSA ギャロウグラス
 メック操縦技能: 3
 メック砲術技能: 2


メック戦士プロフィール
 エイレネ・ロンデマは、竜機兵団の伝説であるダニエル・ロンデマ(ミザリーの試練でクリタ家を相手に見事な戦果を残した中隊長)の姪である。ザ・デー、ザ・デー・アフターの前、エイレネはアルファ旅団で二期勤務し、チャーリー大隊の強襲中隊指揮官に昇進していた。第二次ハーレフ戦において彼女の中隊は勇敢に戦い、降下船への最後の退却中、しんがりとなった。最後の戦線を保持したのはエイレネ自身であり、ブレイクの集中砲火でマローダーIIが破壊されると緊急脱出を行った。悲劇的なことに、彼女は中隊で唯一生き残った隊員になってしまった……脱出した彼女は救出されて他の降下船に向かったのだが、中隊を載せたユニオン級は軌道上のブレイク戦艦に撃墜されたのだ。

 エイレネは大きなショックを受け、回復するまでの16ヶ月のほとんどをアークロイヤルの病院で過ごした。ステイシー・チャーチは彼女をアークロイヤルからアウトリーチに同行する戦士の一人に選んだ。リッジとニューワイアットの間の平原における戦いで、エイレネは苦悶の権化であるかのようにギャロウグラスを操った。


メックの来歴
 エイレネのギャロウグラス「フィーレル」は、3067年にブラックウェルの工場が壊される前に生産された最後の4GLSモデル(新たに登場した若干の差異がある4GLSA)である。この機体はアウトリーチ戦役で受けた戦傷というプライドを持っている。エイレネは塗装によって忘れがたい傷痕を残している。数多のブレイク派、ブレイク傭兵たちが、傷を帯びた黒と赤のギャロウグラスを見ては死んでいったのである。







マックス・ヘンリクセン Max Henricksen

階級/地位: メック戦士/ウィドウ火力小隊
生誕年: 3042年(30歳、3072年時点)
所属: ウルフ竜機兵団
故郷惑星: アウトリーチ
メック: CBR-02 コブラ
 メック操縦技能: 4
 メック砲術技能: 3


メック戦士プロフィール
 マックス・ヘンリクセンはブラックウィドウでいることを喜んでいる……それを少年時代の集大成であると考えているのだ。マックスは落ちぶれたネゴシエイターと、時代遅れの機械屋の息子として、ハーレフのどぎつくいかがわしい地区、テンプタウンで育った。成長すると、竜機兵団の本拠地防衛軍に入隊し、優秀な成績を残して、自分すら驚かせたのである。すぐさま彼は防衛軍の小隊指揮官に昇進し、第一次、第二次ハーレフ戦で最も困難な戦闘を行った。マックスの小隊はバトルマジックがハーレフ宇宙港で死ぬのを目撃した。彼の小隊(あるいはその残骸)はジェイム・ウルフを墓地まで護衛する儀仗兵となった。

 生まれながらのせびり屋であるマックスは、今ではその才能を保護領内にいるウィドウで役立てている。犯罪者たちの多くは、ブレイク派のやり方が氏族より抑圧的であることに気づき、喜んでマックスの手伝いをしている。チャーチ大尉とロンデマ中尉は、彼が持ってくる物資の出所がどこか聞き出すのを諦めた……常に補給不足で物資を死活的に必要としているという事実は、合法性に関する長年の懸念を相殺するものなのである。


メックの来歴
 マックスのコブラは、ザ・デー・アフターの直前にハーレフの戦いで鹵獲されたワード・オブ・ブレイク機である。マックスは優秀なメック戦士なのだが、戦友たちの個性に巻き込まれることはない。メックに名前を付けることはなく、一人でいるときは「マリリン」と呼ぶのみである。この機体のシステムは悪いタイミングで故障することがあり、ウィドウの技術者たちは理由を特定できていない。マックスは密かに他のメックの鹵獲を望んでいる……このコブラは呪われているのではないかと疑い始めているからだ。







ワイアット・ロルフェ Wyatt Rolfe

階級/地位: 中尉/ウィドウ偵察小隊長
生誕年: 3043年(29歳、3072年時点)
所属: ウルフ竜機兵団
故郷惑星: アークロイヤル
メック: WLF-4WA ウルフハウンド
 メック操縦技能: 3
 メック砲術技能: 2


メック戦士プロフィール
 ワイアット・ロルフェは竜機兵団生まれでもなければ、竜機兵団で訓練を受けたのでもない。彼はアークロイヤルで育ち、ケルハウンド第2連隊に入隊した。(放浪)ウルフ氏族のアウトリーチ救援軍に同行した小規模なハウンド分遣隊の一部として、ワイアットはハーレフの外部でワード・オブ・ブレイクと戦い、ガンマ旅団の消耗した戦士たちが脱出する時間を稼いだ。退却時、彼は包囲され、ヴェルフォルガーが破壊されると緊急脱出した。ハウンドとウルフ氏族は脱出したのだが、ワイアットはワード・オブ・ブレイクのパトロールから隠れた。最終的に、彼はアウトリーチに置き去りとなった。

 ウルフとハウンドが退却してからそう遠くないうちに、ワイアットはどうにかエルソン・ノヴァキャットの抵抗グループに加わった。非竜機兵団員として、彼は大部分が元氏族人のエレメンタル星団隊に疑われたが、すぐ居場所と鹵獲したウルフハウンドを得た。タラ・ルーカスが指揮を継いだ後、ワイアットは公式に竜機兵団に加入し、ゴーストの小隊指揮をオファーされた。彼はアウトリーチ戦役で活躍したが、突出した戦果を残したのはレムスの行政地区最後の強襲である。彼の小隊はウィドウ支援の先陣となる一方で、多数のウィドウメーカーズを行政地区から引き寄せた。その後、ステイシー・チャーチが直々に、小隊指揮官としてウィドウへの加入を求めたのだった。


メックの来歴
 ワイアットは偵察小隊の指揮権と、チャーチがアウトリーチに持ってきた新品に近いWLF-4WAの操縦権を勝ち取った(アウトリーチ戦役後)。ワイアットはゴーストとして一緒に戦い何度も修理されたWLF-1仕様のマシンを手放すという苦渋の選択を迫られた。それでも、新しい強力な技術(特にブレイクのC3システムと戦えるECM)が、彼の決断を促したのである。長年にわたりもっと重いマシンに乗っていたにもかかわらず、古い仕様のウルフハウンドを使っていた経験があったので、新型に簡単に慣れることができたのだった。














オパクス・ヴェナトーリ Opacus Venatori

部隊: オパクス・ヴェナトーリ、第52シャドウ師団
別名: シャドウハンターズ
所属: ワード・オブ・ブレイク
名目戦力: 2個レベルII



3072年12月29日

戦司教猊下

 数週間の苦労の末、エモリー司教(アポリオンが彼に「与えた」名前を使うことが出来ないのです)から内密にダウンロードしたファイルのドミニ暗号をついに突破しました。彼や彼のマスターがこれを知る方法はありません――火星のドミニ研究室に我らのエージェントがいるのは最高です。

 マスターがこのグループを隠匿するように命令したことから(アズラエルの仕事であると考えられる)、オパクス・ヴェナトーリの行動に関する書類がほとんど存在しないことを考えると、これは金脈です。シャドウハンターズでのエモリーの個人記録はきわめて有益であると判明しました。

 我らはこの情報を使うことが出来ます。さしあたり、この部隊の弱点であると思われるカーリ・マリタ司教に接触する準備を始めることを提案いたします。

 ご命令のままに

  "マーリン"



運命の誕生
 その時は気づかなかったのだが、我が真の目標は3066年1月21日に生まれた。中心領域中の多くの者たちは、火星からの静かな布告ではなく、もっと別の出来事が起きていたほうがよかったと願うことだろう。

 この日にオパクスは産み落とされ、ヴェナトーリは狩りのために現れたのである。

 口頭による簡潔な命令で生み出された2個小部隊は、私の運命と野心を取り囲み、ドミニ教団の中で堂々とそびえることになろう。マスターの命により、闇の恐怖(コンクラーベに足を踏み入れることすら想像してしまう)が具象化されたのだ。

 私が見たところでは――アポリオンが便宜を図ってくれたおかげでこの時の記録にアクセス出来た――マスターは両「ブレイクの手」におのれの武器を形作る権利を与えたようだ。小部隊が作られたのは、両者の力の頂点とするためである。彼らの力と運命を表すために、不信心者に罰を与えるために。

 この時点で、私のシャドウズとハンターズへの関与は間接的なものであった。私がわずかに知っているのは、あるライト・オブ・マンカインドの下級の教官――最も致死的な男女の訓練担当者――がこの2個部隊に影響を及ぼすことになることである。私の命運は最初から彼らと結びついていた。そして私はそれを知らなかった。

 真の召命が動いていたというのに、それすら知らなかったのである。


オパクス
 オブスキュア、またはシャドウズ(両方ともハイドミナス語を訳したもの)はマネイ・ドミニ司教アポリオンが作り出したものである。アポリオンは最初からこのグループを自身のエージェントにすることを求めていた――彼の力と権力の象徴である。彼らは地球で通常のライト・オブ・マンカインド(LoM、ブレイク特殊部隊)として訓練を受けた。最初に見たドミニだったので、私は彼らのことをよく覚えている。彼らは注目に値する――驚異的な反射神経、優れた感覚、バトルメックとの一体感は、機械と融合した人間という古代の神話が実現したかのようだった。

 当時、私は彼らがオパクスだと知らなかった。私が世話する中で、彼らはまさに他のLoMと同じように動いていた……唯一の違いは隔離されていたことである。実際、今考えてみると、このグループのリーダー――アヴィトゥと呼ばれる美女――のみが部隊全体の代弁を行っていた。彼らが最初に私の指導下を離れた後で、私はコンパス座について読んだ。私もまたレセプションでのマッキンタイア大統領のように立ちすくんだ。冷たく、固い表情に暗殺者の目……もちろん不可思議な改造が施されている。灼熱する目、固いワイヤー、鋼鉄の手。シリオンが一刻も早く逃げ出したのは当然である。

 もちろん、私は(ブラック)ウォリアーズの兵舎で取られたROMの書き起こしもまた読んでいる。「怠惰」「中身のないインチキ」「オートマトン」「洗脳されている」。戦闘で鍛えられた犯罪者である彼らには観察力がみじんもなかった。

 だが、彼らは何かを見たに違いない……ドナーはシリオンにウォリアーズの大部分を集めさせ、連邦から逃した。むろんのこと、アポリオンはドナーの策略に気づいており、反逆の最中にかなりの数を捕らえた。アポリオンは逃げたウォリアーズを追うために多数のワード軍を動員することはなく、より巧妙な――そして致死的な――方法で彼の力を証明することを決めた。

 彼はシャドウズを解き放ったのである。


容赦なく
 ウォリアーズは痕跡を消すために、陽動としていくつかの囮を放った。彼らが考えに入れてなかったのは、アヴィトゥの狡猾さである。そして国境の世界に沿って深く張り巡らせたROMの情報網である。

 シリオンが逃げ出して三ヶ月後、アヴィトゥは星図にない星系でウォリアーズを捕らえた。ここで彼らはシリオンの囮チームが戻ってくるのを待っていたのである。シリオンは囮がアヴィトゥの手で始末されたことに気づかなかったのだと思われる。おそらく、オパクスがウォリアーズの輸送船から酸素を抜いた時にそう気づいただろう。シャドウズの6名が外からブリッジに切り込んだ時のシリオンの顔が見たかったものだ。彼らは幸運であった……ヘビーマシンガンをジェルメーヌのフェイスプレートに撃ちこみ、倒すことが出来たからだ。だが、最後には彼らはその代償を支払った。真空で窒息しながら、ブラックウォリアーズは来るはずのない助けを求めて死んでいったのだ。全員が死んだ……一人をのぞいて。マイケル・シリオンは全クルーが死んでいくのを目撃させられたのである。

 アヴィトゥは宇宙空間に全てを残していった。

 警告であると後に彼女は語ってくれた。行方不明になったふたつの囮チームが死んだことを誤解無く伝えたかったのである。

 帰還命令が出た直後に、これが彼女をいらつかせたことを私は知っている。だがこの時、アポリオンには対処すべきもうひとつの危機があった。よって彼らは一人の囚人のみを梱包した――アポリオン司教への贈り物であり、彼らの成功の証である。

 次の目的地はジャーディン。マネイ・ドミニ司教の暗黒惑星である。


ヴェナトーリ
 オパクスと違って、ヴェナトーリ(ハンターズ)は別の目的のために作られた。ROM司教アレクサンダー・ケルノフとの間で対立が深まっていることに気づいたサン=ジャメは、自分の命令にのみ答える特殊エリート部隊を作るというマスターから与えられた機会に飛びついた。ケルノフがニューアヴァロンに行く前にした会話から私はこれを知った。彼は単純にアポリオンとサン=ジャメが注目されていることに嫉妬しており、同僚をいらだたせるために出来ることをしたのである。

 サン=ジャメはアポリオンのドミニプログラムに好奇心をそそられた。最初の隊員には、有名なROMドミニのエージェント2名がいた――初期のテストプログラムに対する志願者が含まれていたのである。実際、カフの大敗でトレモンティが死んだ後でさえ、キャメロンは私のLoMプログラムを通った新ドミニエージェントの一人を選ぶことを確実にした。

 アポリオンと異なり、サン=ジャメはヴェナトーリをひとつの目的に使用した。ウルフネットを混乱させることである。謎めいた傭兵団(アルティメットウォリアーズシリーズに最近登場した「ブラッディハンド」のシンボルを使う)に偽装した6名のエリート兵士たちはカオス境界域全域でウルフネットの工作員を狩り、根絶していった。これらの抹殺の大半は影で行われたが、ウルフネットをおびえさせるために、時折、派手で残虐になることがあった。

 そのうちひとつを私はまだ覚えている。とうてい受け入れられないものであるが――うまくやったことを認めざるを得ない。

 ヴェナトーリは3067年の春、傭兵に化けてアウトリーチに潜入した。この時までに、彼らは戦列を増やすべく、追加の兵士たちを雇っていた。後にニージョ司教はそれを使い捨ての駒にするつもりだったと語ってくれた――彼らはアウトリーチで全員が死に、ヴェナトーリの6名が脱出するのを保証したのである。

 公式報告によると、ヴェナトーリは首尾良くウルフネットのセーフハウスのひとつにたどり着き(ここで彼らはSAFEとロキからの二重スパイを「処理」していた)、ある晩、建物内にいたすべての工作員を抹殺した。夜が明けると、2名のウルフネット管理者、3名の情報提供者が死んでいるのが見つかった……全員が「自然死」であった。ああ、ウルフネットは誰が背後にいるかを知ったのだ。それから二日間、彼らはハーレフを洗い、囮と逃げ道のすべてを追跡した。最終的に得られたものはなにもなかった。

 その時からウルフネットは守勢に立たされた。ニージョとハンターズは他のROMチームが出来なかったひとつの任務を果たして見せた――ウルフネットの計画を狂わせたのである。自慢の竜機兵団諜報機関は、食べ頃の熟した実となったのである。

 そして彼らはもぎ取られた。ROMはヴェナトーリが開いたドアを通って攻撃し、カツオドリのようについばんだのである。竜機兵団がこれを予測できなかったのは当然だ。彼らはブラッディハンドという悪霊に目を奪われていたのだ。

 サン=ジャメは第三移行段階(Third Transfer)前の夏の間、ヴェナトーリを忙しいままにさせておいた。情報部員たちの排除がカオス境界域中で発生し、我らの情報提供者を守り、敵を抹殺した。それから予言の崩壊が起きた。

 すべてが変わったのだ。


台風の目
 混沌が噴出した時、LoMの作戦は素早く猛烈なものとなった。私は直接これを知っている……ニューホーム、エプシロン・エリダニ、ケイドでこのような任務を三度続けざまに実行したのである。不安定な世界でブレイン、ケルノフ、その他が培った権力基盤を守るため、我らは素早く動かねばならなかった。私が行わねばならなかった人殺しを知れば、生身の多くが青ざめるだろう。しかし、ふさわしい政府が権力を取り戻し、人々を戦争から引き離すためにはそれを行わねばならなかったのである。

 ついに新しくその名がついた保護領に平穏が戻り、ヴェナトーリは休息のため地球へと戻った。


ジャーディン
 オパクスにとって休息はまだ先の話だった。アポリオンと共に暗黒世界へと戻ったアヴィトゥと彼女のチームは、マスターの故郷が汚されていることに気がついた。傭兵考古学者のブルックリン・スティーブンスと彼女のチームがこの世界に偶然出くわしたのである。神聖な星系に足を踏み入れたというそれだけで、全員が命をねらわれるのに充分だった。

 初期の成功に満足していたアポリオンは、シャドウズを率いて、不幸な考古学者を(自由世界)同盟のほぼ全域に渡って追いかけ、逃げる傭兵を追いつめていった。使える限りの素質、戦術、道具を使って、オパクスは彼らを一人残らず墓へと送り込んだ。残ったのはスティーブンスだけだった。

 スカイア/同盟の紛争が急速に盛り上がっていく中で、ライラ宙域に逃れたスティーブンスには、もうどこにも逃げるところがなくなっていた。ドネガル宇宙港への思いがけない軌道爆撃によって、彼女の降下船とデータのほとんどが消滅し、オパクスは十日だけであるが彼女の足取りを失った。不屈のアヴィトゥは最大限の努力を払い、再び尻尾を捕まえた。スティーブンス――現在は一人で、誰も助けてくれる者がいない――は急いで同盟へと戻った。

 そしてアポリオンが設置した罠にまっすぐ突っ込んだのである。

 ジャーディンへの危機は終わり、アポリオンとオパクスは他の仕事のため地球へと帰還した。

 その仕事の一部に私は関わった。


運命の手
 3068年5月に私は初めてアポリオン司教と遭遇した。オパクスのことは知らなかったのだが――その時までに私は150名以上のLoM兵士を訓練していた――彼らの手腕と行状に感銘を受けていた。シャドウズの作戦行動を見たアポリオンは、さらなる訓練とさらなる時間が必要であることを知っていた――彼らは単なるエリートLoMチーム以上である必要があったのだ。彼らは超越している必要があった。

 そこに私がいた。

 彼は昇進のようなものを提示した――ROMとLoMから離れコンパス座に移されたのである。そこで私はオパクスのみならず、教団に入ったばかりの兵士たちを訓練した。当時、私は「生身(Frails、人工強化されていない常人)」に分類されていたが、単純に言って私はベストの中のベストだった。私はこれら次世代の戦士たちを訓練することが出来た。模擬戦闘でさえ、私は全員を撃墜することが出来た。もちろん、今では私は敵のことを知っている。一度敵を知ったなら、敵を攻撃する方法だけでなく、破る方法がわかるのである。

 ドミニにはそれが出来なかった。

 まだ。

 実際、私には他の選択肢があった。私はこれのために生まれてきたのだ。

 決断は簡単だった。


ディーロン
 いまだLoMの役割で使われていた――ケルノフの指揮の外で――ヴェナトーリは活気を失い始めた。破滅に直面する前に真の挑戦が必要だと認識していたサン=ジャメは、開花した保護領で最大の戦場にハンターズを送り込んだ。

 ディーロンである。

 連合産業地区の中心に位置する重要な世界であるディーロンは課外活動を行うのに最適の場所であった。この時、余分の兵士を浪費することが出来なかったことから、ハンターズを送り込んで火消しをさせるというのは容易な決断だった。

 保護領で数ヶ月間、反乱軍セルに浸透し破壊した彼らにとって、ディーロンでゲリラ戦を展開しているふたつの大集団を根絶するのは容易なことだった。原生林の奥深くの基地に黄昏の襲撃をかけたニージョとハンターズは、始まったばかりの戦争で最大の獲物を捕らえた。ホヒロ・クリタである。

 彼らはディバー市のメインストリートで連合の後継者のパレードを行い、この模様を放送した。しかし、クリタは手荒な扱いを受けることはなく、「選択」されることも、処刑されることもなかったが、拘留されて、ROMの施設に連れて行かれた。

 この静かなメッセージは誰にとっても明白なものだった。ディーロンは一時間以内に降伏し、すべての抵抗が終わったのである。

 貴族が血を流すことも苦しめられることもなかった。罰を与えられはしたが。

 ディーロンのワード兵の中で、ハンターズの評判は急上昇した。ワード市民軍が六ヶ月かけて出来なかったことを、彼らは一ヶ月でやってのけたのである。


対決
 3068年の後半、両エリート部隊は地球で傷ついた。プライドの問題として、アヴィトゥとニージョは一連の演習で互いに部隊をぶつけ合った。オパクスが小部隊任務でヴェナトーリを圧倒した一方、ヴェナトーリは大規模な戦闘演習でシャドウズを軽くあしらった。シューティストが暴発でハイランダーを倒しヒューズ侍祭を殺すと、両者のライバル心は激しく高まった。

 翌日、マークス侍祭はモリス侍祭との戦闘演習で重傷を負った。

 拡大する暴力に不快感を示した戦司教は訓練の一時停止を宣言した。四日後、苦々しいニュースがディーロンから届いた。

 ホヒロ・クリタが、ブラックウォッチの生存者と思われる者たちによって救出され、姿を消したのだ。


融合
 3069年1月21日、最初の布告からちょうど三年後、マスターは再び自らの手で問題を処理した。おそらく、この命令が両部隊を、衝撃、傲慢、非難の状態に投げ込んだのではないかと想像する。

 オパクスとヴェナトーリは合併することになったのである。

 マスターは確かに両部隊の実戦記録に感銘を受けていた。だが、両部隊の争いの拡大は、ある種、アポリオンとサン=ジャメの間にある問題の「典型と影」だったのである。この融合は、彼の手をともに取り戻すマスター流のやり方だった。

 このオパクス・ヴェナトーリ――生身の間では「シャドウ・ハンターズ」と呼ばれる――は、いまやブレイクの真の怒りを実行するための統合されたブレイクの手となったのである。シャドウ・ハンターズはひとつの最優先事項を課されていた。ブレイクの神意に反する者を狩り、抹殺するのだ。彼らの最初のテストは、当然、「ゴースト・オブ・ザ・ブラックウォッチ」の殲滅であった。彼らは、(ドラコ)連合唯一の後継者を我らの保護下から逃がし、我らの意志をないがしろにしたのである。

 連合、道を誤った我らが大儀の仲間。その産みの苦しみは、威厳ある国を引き裂いている。

 ブラックウォッチ――偽星間連盟の生き残り――は出しゃばってブレイクの意志を覆そうとした。その過ちによって彼らは狙われたのである。従って彼らは代償を支払うことになった。その哀れな魂を。


試練の時
 最初の試験として、オパクス・ヴェナトーリは通常市民軍の援軍としてムーアに送られた。作戦上の完全な権限を持つアヴィトゥとニージョは、敵の指揮系統を断ついくつかの任務を計画し実行した。モロポリスの中心にある有名な「地下室」がこれには含まれている。すべての任務が成功した一方で、市民軍は自らに課された責務を果たすことが出来ず、ムーアは陥落しなかった。

 だが、シャドウハンターズが団結力のある部隊でないというのは明白だった。それぞれは個別に活動し、しばしば相手を無視するか、あるいは敵対することさえあったのである。

 明らかに統合は問題だった。

 彼らにとっては幸運にも――そして私にとってはついに――戦司教はこれを理解したのである。アポリオンとの即座の協議の後、オパクス・ヴェナトーリは大きな仕事が必要であることに合意した。彼らは部隊を分解し、一から作り直すことを決めた。

 私には部隊の全指揮権が与えられたが、戦闘部隊には配属されなかった。アポリオンは後に彼とサン=ジャメが意見を異にしていたことを教えてくれた――アポリオンは私の昇進に反対していたのである。彼は私にコンパス座での新兵訓練を求めていた――時間のかかる事業であった。それに加え、私が肉体増強を行ったのはつい最近のことだったのである……恐ろしい訓練中の事故により、軟弱な肉の左腕を交換する幸運に見舞われたのだ。

 私は最大限の力で戦える状況にはなかった。

 それにもかかわらず、シャドウハンターズ再建の仕事は私に降りかかった。指揮権はアルツール・ニージョに与えられた。アヴィトゥには別の部隊での仕事が与えられた――第44シャドウ師団である。

 私は現在の隊員をそのまま登用し、3名だけ入れ替えた。

 私が行ったひとつの重要な変更はクロストレーニングである。最初の三ヶ月で使える時間のすべてを、彼らは車両、気圏戦闘機、バトルメック、そしてバトルアーマーのシミュレーターに注ぎ込んだのである。彼らは現在過去問わずあらゆる軍隊(樽で生まれた氏族ども含む)の中で最高の兵士にならねばならなかった。

 本質的に、各シャドウハンターは彼ら自身が純粋な兵器とならねばならなかった。

 新オパクス・ヴェナトーリの最初の試験は、デネブ・カイトス強襲であった。私はコンスタンティーヌ(我ら用に特別に改造された美しい新航宙艦)の艦橋からリアルタイム情報を見ていた。シャドウハンターズは適切な働きを見せ、デネブ軽機兵隊の大半を48時間で解体し、殲滅した。星系の古参兵部隊が殲滅されると、WOB市民軍は問題なく他部隊を処理したのである。

 成功に意気の揚がった我らはアケルナルに部隊を移した。ここで、我らは残忍であるが絶対必要な殺戮を行った。惑星上の貴族を一掃したのである。さらに、シャドウハンターズはノーザムを焼き尽くしそうになった燃料タンク火災の消火を助けた。専制的な貴族を排除し、大規模な災害が収まると、シャドウハンターズの評判はブレイク市民軍の中で上がった。

 それから、ROMは私たちに真実の行方を知らせた。

 ついにオパクス・ヴェナトーリは狩りの準備を終えたのである。

 あるいはそう私は考えた。


ゴースト狩り
 私はアケルナルのシャドウハンターズを離れ、アポリオンの要求通り、指揮回路を通って火星に戻った。部隊が探索を続けていたその時、私は初めてデボン・コートランド侍祭に会い、彼が設計を助けたセレスティアルを見つめた。美しいマシンだった。アポリオンの命により、2機のプロトタイプが実地試験のため、オパクス・ヴェナトーリに渡された。

 ニージョ司教はすぐに手がかりを嗅ぎつけたが、アケルナルに到着するのが遅すぎたので彼らを捕らえることが出来なかった。その代わりにニージョはここ数ヶ月で急に現れたいくつかのゲリラセルを一掃し、非常に優れた敵の想像図を組み立てた。

 デスコマンドで訓練を受けたローレン・ジェイフレイに指揮され、傭兵、DCMS、ブラックウォッチの寄せ集めで作られたこの部隊は、慈悲深い我らからノースウィンドを解放するというジェイフレイの探求の旅だということが明らかになった。

 ジェイフレイは頭でなく心で決めた愚かな任務に従事していた。

 それこそが人間の弱点である。

 ROMはノースウィンド星系で起きたことについてニージョに伝えた。違法なビーコンが星系の端から発信されていた。だが、ニージョは信号を押さえはせず、すばらしい計画を企てた……私はどうかと思っていたのだが。

 ニージョはビーコンに関する噂を広めた。信憑性を増すために、メッセージの一部は録音され、数名の商船船長に渡されすらした。コンスタンティーヌはこの星系にジャンプインし、シャドウハンターズを下ろしてからジャンプアウトした。

 ジェイフレイは思惑通り到着し、罠を警戒しているようだった。

 彼らが活躍したことを認めてやろう――人生がこれにかかってるかのごとく戦った。ニージョは自らの計画に慢心し、敵を過小評価していた。そして自らの生命を代価にすることとなったのである。セレスティアルのプロトタイプ1機が破壊された……幸運にもゴーストに回収されることはなかったのだが。

 サン=ジャメとアポリオンの両方が激怒し、私はその嵐を乗り切った。オパクス・ヴェナトーリは優れたゲリラ戦の専門家であるのは明白だが、いまだ統一を欠いていたのである。

 ゴーストは我らをひいきにした、本当に――彼らは野蛮な炎で我らを一掃し、トゥルー・フェイスフルだけが生き残ったのである。残った者たちは敵を痛めつけた、問題なく。だが、オパクス・ヴェナトーリは追撃出来なかった。彼らは機械、肉体、精神のすべてに酷い傷を負っていたのである。

 そう、ハムレットの幽霊がハムレットに教えたように、我らにもそうしたのである。

 我らが傲慢さにおぼれることはもうないだろう。ブレイクの意志は我らにさらに多くを求めている。生命だけでなく、魂、心、気迫を求めているのだ。

 そして私たちはゴーストに借りがあるのではないか? 彼らがまたあらわれることがあらば、返済することになるだろう。


上昇
 ノースウィンドでのシャドウハンターズの試練の時、私もまた自身の試練を受けていた。アポリオンの要求によって、私はもうひとつのトランスフォーメーションを実行した――C8E-Yトリプルコアプロセッサーを追加したのである――、それから瞑想と個人的な内省の時間に入った。12月29日――ゴーストが組織的に燃やされ、残りくずと化していたのと同日――私はマネイ・ドミニの地位に昇った。

 その時、私は古い人生――心痛、損失、死、寿命――を脱ぎ捨て、生まれ変わったのである。

 ベリスが私の名前になった。今や私は地獄の支配者であった。

 すべての支配者が武器を必要とする。理想を護るための剣。そして知恵を作り鍛えるための槌。私の武器はオパクス・ヴェナトーリとなった。ニージョの死に伴い、私は彼らの長となった。

 もう私が彼らを訓練することはないだろう。いま私は彼らを率いよう。

 オパクス・ヴェナトーリは、私が生まれ変わったその運命的な日に、ブレイクの意志の暴力的で必要な延長となったのだ。


蒼ざめた馬来る
 我々は3070年の大半をカペラ国境沿いの反体制分子狩りに費やした。ツァンシェン・ディ・グァンは潰しがたいタフなセルであった。だがあらゆるナットには弱点があるものだ。我々はカペラのナットを砕くのがかなり上手になった。

 非常に、非常にすばらしい。

 そのような掃除の最中に、私はある作戦命令を受け取った。カイフェンの下級HPG技術者、オペレーターの一人を抹殺せよというのだ。だが、さらに驚かされるのが、リャオの偽の神の命令により、カペラ人たちが技術者数名を処刑して、カイフェンの無辜の民を進んで通信断絶の状態に追い込んだことである。

 ああ、我らはこれを処理した。

 マスキロフカにメッセージを送ることが出来たと確信している。間違いなく、彼らは夜尿症の悪夢を長きに渡って見ることだろう。


悪夢を作り上げる
 次の18ヶ月については正直に言って記憶が乏しい。作戦ファイルにアクセスして、簡単に時間、日時、惑星、地域を確認出来ることは分かっている。だが、本当に正直に言って、なぜそうすべきなのか? 我らの任務は、私が見るところでは、戦争阻止のためのものである。ブレイクの英知にたてつく者に何が起きるのか真の恐怖を教えてやることより、ブレイクの意志に反抗する者たちを食い止めるより良い方法があるだろうか?

 私たちは国境を動き回り、ゲリラ・セル、自称救世主たちを撲滅した。噂を聞き及んだ時には、必ずエリートグループを片づけた。我らは、ミミール、ロキ、ラビッド・フォックス、マスク、ブレイクズ・レイス、さらには崩壊した星間連盟から残された裏切り者のフューリーチームさえも倒したのである。

 生き残った者はなかった。彼らは過去の脅威であった。彼らは死んだ。

 我らが失ったのはウサリだけであった……ソーリンのライラ貴族が最後の抵抗を行い、「自慢の」ファフニールでそうしたのである。私は喜んでこの強襲級マシンの過ちをただしてやり、それはライラの操り人形のように倒れたのだった。

 だが、我らの真の目的はいまだ見つかっていないのを私は知っている。作られたばかりの安息の場所からガンを切除するのがそのひとつである。我らに仇なす者どもを倒すのがもうひとつ。ある日のこと、王家は我らを取り囲み、門に殺到してくることだろう。

 テルモピュライの300名の戦士たちのように、我らはそれを遅らせる以上のことをするだろう。

 先日、インターナル・オベディエンス紙が我らを過剰に賞賛しているのを見かけた。我らを伝説的なケルハウンドやオトモ、さらにはブラックウィドウと同じ扱いをしていたのである。

 けしからぬことである。

 我らは彼らより優れているのだ。


衝突
 すぐに保護領は静かになった。そして、我らはとどまることなく、ギブソンに移動した。

 突如としてあらわれたニューギブソン自由同盟を叩き潰すにはさほどかからなかった。だが、NGFLはいくらかの不平分子を残したのではないかと恐れている……孤立した連中が優勢を失ったと気づくことを望む。さもなくば、彼らは無知の中で死んでいくだろう――ブレイクの英知を広めるための恥ずべき方法である。

 我らはまだギブソンにいて、ROMが出来るよりも繊細な問題を扱うことになる……だがマスターが呼んだ時には、我らは応じる。そうせねばならない。選択の余地はない。

 そして、私は、火星を離れられるように、オブリビオンでの最終試験が終わるのを待っているところだ。その間、我々は短い休息を上手く使った――新たな強化、セレスティアル用の新ポッド――我々はみな、シャドウズに戻りたがった。狩りのために。

 私はマリタ司教が挑戦に臨める状態にあるのか完全に確信していない。彼女が明らかに報復を求めているのは厄介である。だが、彼女の不満を沈めている時間はないのである。

 我々はマスターからの命令を得た。

 新たな害虫が家の中に蔓延しているように見える。これまで我らがそう考えた者たちは、死に、いなくなり、処理された。もちろん、目標はこれまでに我らが叩いた連中ではなかったが、か弱き生身である。

 よって、もちろん、我らは呼び出された。我らはいつもそうする。

 いわゆる「ブラックウィドウ」はまさに――その名の通りである。彼らはアウトリーチで死んだはずだった。

 彼らは私たちに殺されるために復活しただけだ。ゴキブリは核の惨事を生き残れるかもしれない。だが、奴等は裁きの冷たく固い鋼鉄を生き抜くことは出来ない。

 今、狩りを始める。











プライオリティ アルファ=オミクロン=ロー

スペクター・ベリスへ

 添付したのは貴下の目標リストの完全版で、私からの追記を付けてある。

 マスターの命令は明快にして疑う余地はない。貴下が誓約の通り命令に従うことに期待する。私はそれぞれの目標に分類コードを割り振って、貴下がマスターの思し召しを実行する優先順位をはっきりさせた。

 軍司教は彼の目標をここに付け加えた。私は上辺を守るために、それらをそのままにしておいた。分類はそれに従うものである。

 貴下が主任務に失敗することがないこと、忠誠心を疑う必要がないことはわかっている。貴下は地球の忠実なる息子であり、ブレイクの精神に秘められた本質を実行するだろう。

アポリオン司教




等級:プリモリス・ドミニ
目標:ブラックウィドウ中隊
指揮官:ステイシー・チャーチ
最終目撃地点:アウトリーチ
概要:竜機兵団の呪われし生きのこりにして、保護領世界での反乱活動の扇動者である彼らは、保護領資産の窃盗と、市民、人員の殺人で指名手配されている。ROMは彼らが保護領内でウルフネットを再建したと信じている。非常に危険だと思われる。可能であれば逮捕し、処刑してもいい。

等級:プリモリス・ドミニ
目標:デビル旅団
指揮官:アレックス・ケラー
最終目撃地点:アークトゥルス
概要:NDHMCの窃盗と、ROMに検疫された星系への侵入で指名手配。保護領施設への侵入、スパイ活動、密輸。躊躇なく処分せよ。可能なら盗まれた資産を奪還し、不可能なら処理せよ。

等級:プリモリス・ドミニ
目標:ゴースト・オブ・ブラックウォッチ
指揮官:ローレン・ジェフレイ
最終目撃地点:アリーヤ
概要:貴下の部隊と関わったことのある彼らは3069年、ROMがノースウィンドに仕掛けた罠から逃げ出した。また我らの保護拘置下にあったホヒロ・クリタを誘拐し、保護領の世界のいくつかでスパイ、極秘活動を行っている。彼らはノースウィンドの保安に対する脅威である。全隊員とデータを捕らえ、処刑せよ。

等級:プリモリス・ドミニ
目標:タラ・ルーカス
地位:竜機兵団指揮官
最終目撃地点:アウトリーチ
概要:脱獄囚。保護領に対する犯罪で指名手配される。躊躇なく処分せよ。武装しており危険と考えられる。

等級:マヌス・エヴェルソール
目標:賞金稼ぎ
指揮官:不明
最終目撃地点:アークトゥルス
概要:この傭兵はこの5年で企業重役、保護領指揮官の死に関与した容疑者である。彼の雇用主(たち)は不明。彼はバックミンスターにおける第45師団の攻撃を交わし、ツンリダ司教を殺した。逮捕し処刑せよ。すべての財産を没収せよ。

等級:マヌス・エヴェルソール
目標:ウルフネット / 第7奇襲部隊
指揮官:ピーター・ホワイトホース
最終目撃地点:アウトリーチ
概要:竜機兵団の呪われし生きのこりである彼らは、アウトリーチにおける反乱活動の扇動の主犯であると思われ、窃盗、スパイ活動、殺人、破壊工作で指名手配される。ROMは彼らが保護領の諜報保安に対する最大の脅威であると見なしている。他の保護領諸惑星において、反乱グループを結成していると推測される。工作員と思われる者は逮捕し処刑せよ。

等級:マヌス・エヴェルソール
目標:ヴィクトリア・パードゥ
地位:コムスターROM司教
最終目撃地点:ヘスペラスII
概要:彼女はROMの重要参考人であるが、現時点でどっちつかずの状態にあると思われる。躊躇なく処分し、すべての資産を処理せよ。武装しており、きわめて危険と思われる。

等級:マヌス・エヴェルソール
目標:AMC部隊バトルコープス
指揮官:ジョーイ・ニコル
最終目撃地点:クズー
概要:保護領の貿易の妨害、反乱セルの補給・訓練、スパイ活動で指名手配される。他のAMC部隊、竜機兵団残存兵力との共謀が確認されている。全隊員を逮捕するか処刑し、残った装備をすべて押収せよ。

等級:マヌス・エヴェルソール
目標:ディファレイ家
家長:サイード・ディファレイ
最終目撃地点:ハマル
概要:この小貴族一家は保護領政府の妨害を行っている。彼らは地元の反乱セルを匿い、補給を行った容疑がかけられている。一族と家系のすべてを処理せよ。地元政府のためすべての領地と財産を取得せよ。

等級:バラトロ・ドミニ
目標:スターシーズ
指揮官:マルセル・ウェブ
最終目撃地点:オレステス
概要:オレステスの保護領施設に対する窃盗と海賊行為、保護領の貿易の妨害、ROM工作員複数の殺害で指名手配。スパイ活動と破壊活動に熟達している。処刑推奨、逮捕可。この部隊とヴェナトーリの間に私的なつながりがあることは分かっている。これが問題にならないと信じている。

等級:バラトロ・ドミニ
目標:ギャリン・ラトロニス司教
仲間:ダブニー・オコネル、保安部長
最終目撃地点:シェラタン
概要:汚職、保護領の権力の乱用、横領、保護領資産の悪用、人道に対する犯罪で指名手配。逮捕推奨、処分可。新知事の就任は地元政府によってなされるだろう。

等級:バラトロ・ドミニ
目標:デーモン・ギョーム
地位:ブラックウェル・コーポレーション会長
最終目撃地点:アークロイヤル
概要:重要参考人にして逃亡者である。スパイ活動、破壊工作、保護領内の危険分子の支援と扇動で指名手配される。保護領の資産の窃盗を行った。逮捕が推奨される。抹殺可。

等級:バラトロ・ドミニ
目標:「プロメテウス」
地位:不明
最終目撃地点:不明
概要:ROM内のもぐら(潜入工作員)と確認されているが居場所は不明である。この重要参考人に関する情報はすべて編集しROM司教の元へ送るように。




オパクス・ヴェナトーリ隊員

ベリス BERITH

階級/地位: スペクター司教オミクロン、オパクス・ヴェナトーリ高位指揮官
生誕年: 3030年(43歳、3073年時点)
所属: ワード・オブ・ブレイク(地球)
故郷惑星: 地球
メック: C-ANG-O アークエンジェル・ベリス
 メック操縦技能: 2(強化無し)
 メック砲術技能: 1(強化無し)


C-ANG-O アークエンジェル・ベリス
技術基盤:中心領域(実験型)
メック識別番号:CANGO-3892-7

重量:100トン
シャーシー:セレスティアル・エンドースティール・オプティマル-10
パワープラント:300GMコンパクト
巡航速度:36km/h
最高速度:54km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:なし
装甲板:
 ディヴァイン・セッカリス-10
武装:
 キングスローター-9・ヘビーPPC(C9キャパシター付) 1門
 キングスローター-4・ヘビーPPC(C4キャパシター付) 2門
 ラムテック5500V・中口径可変速度レーザー 1門
 キングスローター-00・スナブノーズPPC 1門
製造元: セッカリス・メタルワークス(火星)
通信システム: スターリンク 955G-C3i
照準・追尾システム: スターライト・コムスタットV


メック戦士プロフィール
 「ベンジャミン・エモリー」として生まれたベリスの最初の実戦は、ツカイードの「悪魔の浴槽」と呼ばれる地獄のような地形での、スティールヴァイパーとの戦いだった。途方もない天性の戦闘技術を見せつけた彼は、すぐさまROMのブレイクズレイス部門(特殊部隊)に進んだ。コムスターの新しい世俗的な政策を完全に受け入れたわけではないのだが、ワード・オブ・ブレイクに離脱することは出来なかった。しかし地球に忠誠を誓っていたのである。

 ベリスの目を引く記録と優れた戦闘技術は、彼をライト・オブ・マンカインド(LoM)の指導的な教官の一人とした。3068年、アポリオンにアプローチされるまで、ベリスは教官、最も優秀なLoM小分隊指揮官の両方の役割を果たした。聖戦が始まってから最初の数ヶ月で、ベリスは保護領内の各世界に14回の出撃を率い、損害はチームのうち2名だけだった。

 コンパス座での突発的な訓練中の事故でベリスの左腕は失われた。優れたサイバネティクスに交換した後、彼はより熱狂的な転向者であるマネイドミニのトップ教官の一人となった。ベリスは、トリプルコアプロセッサー、埋め込み式通信機、新型サイバネティックアイ、第二世代VDNIシステムなど、他の強化も受け入れた。

 ベリス司教の最も大きな強みは外交手腕である。「ベルベットの手袋の下の、鋼鉄の拳」の交渉に固執しているのだが、必要ならその力を使うのをためらったりはしない。より熱狂的なドミニたちは、ベリスが生身に同情的なのを弱点と見ているが、彼らは、驚異的な(だが単なる)兵士が作戦を指揮したら、任務が行き詰まってしまうのをまだ理解してないのである。


メックの来歴
 新型VDNI装備のアークエンジェルを渡されたのはつい最近なのだが、ベリスはこの「ガーディアン」に愛着を抱きつつあり、すでに武装を最適化している。ガーディアンは部隊が通常使うチャーコールでなく緋色を使い、マネイ・ドミニの上位階級に上がったことを誇示している。







カーリ・マリタ Kari Marita

階級/地位: 准司教オミクロン・エプシロンII、オパクス・ヴェナトーリ副指揮官
生誕年: 3020年(53歳、3073年時点)
所属: ワード・オブ・ブレイク(部外者)
故郷惑星: ブリード
メック: KGC-008 キングクラブ
 メック操縦技能: 2
 メック砲術技能: 3


KGC-008 キングクラブ
技術基盤:中心領域
メック識別番号:KGC008NW4992

重量:100トン
シャーシー:ホリスマークII
パワープラント:300ヴィラー
巡航速度:32km/h
最高速度:54km/h
ジャンプジェット:カーティスジェット100
 ジャンプ能力:90メートル
装甲板:
 アルディスXスタンダード
武装:
 キングスローター-9・ヘビーPPC 2門
 ミドロン・モデルD・ライトオートキャノン2 2門
 ディヴァース・オプティクス・ER中口径レーザー 2門
製造元: コサーラ造兵工廠(ノースウィンド)
通信システム: ダルバン・コムライン・シリーズECM(C3i付)
照準・追尾システム: ダルバンHiRez-B


メック戦士プロフィール
 ツカイードの生き残りであるカーリ・マリタは、コムスターが元王家貴族の傀儡に過ぎなくなってしまったという苦々しい事実に直面した。3061年、彼女と指揮下の30パーセントはコムスターを離脱し、アウトリーチに集った。 カリスマと鋭い戦術センスを使って彼女とブロードソード軍団はAMCに加入するのに成功し、ワコーの反乱と戦い、後の運命的な裏切りに突入する準備を行った。彼女の行動は、ワードのアウトリーチの勝利を確実なものとし、中心領域でもっとも傭兵部隊のひとつを抹殺した。あるいは、彼女はそう考えた。

 マリタ司教は、軍団の全滅と再生したブラックウィドウを取り逃したことの責任を負っている。打ちひしがれたマリタは火星に呼び戻された……失敗の責任を取らされて処刑されることを予期していた。いまやウィドウに報復するという強い宿望に取り憑かれた彼女の判断は時に曇ることがある――これによりシャドウハンターズ隊員の目から見るとお荷物となっている。


メックの来歴
 事実上、星間連盟の末期に発注されたキングクラブは、指揮機であるアトラス強襲級メックを補佐するため、撃ちあいする機体として設計された。ほとんど改造されてこなかったマリタのキングクラブ――「リベンジ」と呼ばれている――は、200年に渡って生き延び、コムスターとワード・オブ・ブレイクで使われてきた。

 元の武装をすべて取り外し、大規模な再建を行ったリベンジは、コサーラ造兵工廠の新型KGC-008生産ラインの最後のプロトタイプである。特にこのキングクラブは教団内でひとつの名声を持っている……その歴史上、パイロットが操縦中に死んだことがないのだ。

 リベンジはまだシャドウハンターズの塗装を使ってない。彼女のメックは黒く塗られたままにあり、ブレイクの意志を達成出来なかったことから魂に穴が開いたことを表している。




indexに戻る
inserted by FC2 system