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作成:2017/04/09
更新:2017/05/07

ウィドウメーカーの吸収 Widowmaker Absorption



 ウィドウメーカー氏族は、ニコラス殺しの大罪を犯し、ウルバリーン氏族の次に滅んだ氏族です。ブラックウィドウことナターシャ・ケレンスキーは、ウルフ氏族に吸収されたウィドウメーカー戦士の血統を引いています。
 "Operational Turning Points: Widowmaker Absorption"から、ウィドウメーカーが吸収に至った顛末を紹介します。






ほどける蜘蛛の巣 UNTANGLING THE WEB

 ウィドウメーカー氏族……ケレンスキーの氏族で二番目に消滅した彼らは、破滅に至る種をクロンダイク作戦の際にまいていた。2821年10月22日、ペンタゴンワールドのダグダ解放戦役の最中、ウィドウメーカーのマリエル・サンダース副族長は暗殺未遂により致命傷を負った。彼女が死ぬと、ウィドウメーカーは解放するはずのまさに市民への復讐を実行したのである。ケレンスキーはウィドウメーカーを戦闘から外した。よって、ウィドウメーカー氏族にできたのは、ウルフ氏族とジェイドファルコン氏族がウィドウメーカーのものだった戦争を終わらせるのを見て、怒りに震えることだけだった。

 2823年、ペンタゴンの戦場から回復した氏族の多くは、平時の困難に順応し、そしてウルバリーン氏族が氏族の道の理想に背いた最初の氏族となった。族長会議は、道に迷った仲間に罰を与えるために投票し、ウルバリーンの資源に対する所有の神判を宣言した。いくつかの氏族が参加したが、最後の枠はウルフ氏族とウィドウメーカー氏族が入札した。ウィドウメーカーは、クロンダイクでの栄光を盗んだウルフに嫌がらせをしたかったので、危険な水準にまで入札を下げて、それから撤退した。よって、ウルフは非常に少ない戦力で神判を実行せねばならなかった。ウルフが最小限の支援を受けてウルバリーンを負かすのに成功すると、ウィドウメーカーはウルフがインチキをしたと非難し、ウルフはウィドウメーカーが入札のシステムを悪用したと主張した。結果、遺恨は消えないものとなり、最終的にウィドウメーカーの運命を決めるものとなった。

 以降、この2氏族は激しいジャブの応戦を行った。ウルフとウィドウメーカーのあいだで実行された所有の神判は、多くの場合、族長会議が定めた戦闘のルールを無視するものであった。2833年、問題はついに危険なところにまで達した。ウィドウメーカー(民間階級に制限を課していることで長く知られていた)の商人階級が反旗を翻したのである。商人たちは族長会議へと公式な不満を提示し、ウィドウメーカー氏族長カル・ヨルゲンソンは関係する商人階級のリーダーたち全員を逮捕して処刑した。それからウィドウメーカーは、この社会不安を扇動したとしてウルフを非難し、ウルフ氏族長ジェローム・ウィンソンは拒否した。

 族長会議でウィンソンはウィドウメーカー氏族が統治の権利に足るか疑問を呈した。ヨルゲンソンは民間階級のことは内部の問題だとしたが、族長会議は却下し、ウィンソンがウィドウメーカーに対する吸収の神判を呼びかけた。この動議は通過した。ヨルゲンソンは即座に拒絶の神判を宣言した。

 拒絶の神判は、ニコラス・ケレンスキー大氏族長と族長会議のメンバーによって監督され、アイアンホールドのスタイツ平原で始まった。ヨルゲンソン指揮するウィドウメーカーの10個星隊は、ウィンソン指揮する11個ウルフ氏族星隊とぶつかった。戦いの始まりは素早く熾烈なもので、両氏族は正面強襲を採用し、あらゆる攻撃が許された。ウィンソンとヨルゲンソンは戦闘の最中に遭遇し、両者の間の不服の神判は1対1の戦闘となった。両陣営、族長会議のメックが二人の周囲に対等の環を作り、すべての目が戦いに注がれる中で、戦闘はすぐに膠着状態となった。

 最初にヨルゲンソンが有利となったように見えたが、ウィンソンの着実で調和のとれた射撃技術によって決闘の流れは引き戻された。ウィンソンがヨルゲンソンのハイランダーを破壊したかに見えたその寸前、ウィドウメーカーのメック1個星隊が対等の環を破り、氏族長を守りに走った。手順を破ったことへの対抗として、ケレンスキーと族長会議のメンバーたちはウィンソンを守るために急いだ。乱戦の中で、カル・ヨルゲンソンの大口径レーザーが放たれ、ケレンスキーのアトラスIIのコクピットを直撃した。残念ながら、医療的処置を持ってしても、先見の明を持った氏族の創設者を救うことはできなかった。意図的なものにせよ、あるいはまったくの偶然だったにせよ、ヨルゲンソン氏族長は自分の氏族の死刑執行令状にサインしてしまったのである。ニコラス・ケレンスキーの死は、ウィドウメーカーが拒絶の神判に負けたことを意味しており、氏族に残る権利をかけて戦う必要があった。

 ウィドウメーカーの裏切り行為の結果に怒ったウィンソンと、ウルフ氏族全体は、目に入ったウィドウメーカーのすべてを攻撃した。吸収の神判は事実上の殲滅の神判になり、ウルフの戦士たちはアイアンホールドにいたウィドウメーカー全員を追い詰めていった。3日間にわたって、ウルフはアイアンホルドをさらい、ウィドウメーカーの戦士たちの痕跡を根絶していった。ヨルゲンソンは、拒絶の神判に負けて、吸収の神判を戦うのに備えて、待機していた。

 だが、ウィドウメーカーは意気消沈することなどなかった。ケレンスキーが死んだ後のウルフによる強襲の勢いは、完全に第194クルセイダー星団隊の不意を打ったが、ウィドウメーカーのスターコーネル・タムーラ・ヴィッカースは第194を立て直すのに成功し、デルティリ・タイガの展開地点を強襲してウルフを驚かせた。3日間におよぶアイアンホルドの戦いで、ヴィッカースはウルフの前衛部隊を押し込んで、どうにかHPG施設と小規模な補給庫を確保するのに成功した。来たるべき逆襲を遅らせるため、残った第194と第4ファングは立てこもった。この日が終わるまでに、ウルフ氏族はウィドウメーカーの陣地を蹂躙したが、損害はすでに出ていた。スターコーネル・ヴィッカースは、ウィドウメーカーの首都、ロッシェにメッセージを送り、攻撃が差し迫っていることを伝えた。このメッセージは、ダグダのそれなりに大きな飛び地領、ケレンスキー星団中の小規模な領地に中継された。ウィドウメーカーの重要でない飛び地領は、重要な資産の防衛を強化するために撤退した。

 ダグダでは、バーロック氏族とジェイドファルコン氏族が、ウィドウメーカーの脅威と戦うために、ウルフへの援助を申し出た(ジェイドファルコンは、事が終わった後に、ウィドウメーカーのダグダの財産を一部せしめるためだけに、支援を申し出たと後に明かした)。ウルフは渋々受け入れ、3氏族はウィドウメーカーの飛び地領に襲いかかって、共同作戦を行った。素早く、決定的な戦闘によって、ウィドウメーカーのメック戦士2人だけが生き残り、アイソーラとして捕らえられた。

 ウィドウメーカー氏族の首都、ロッシェでは、スパイダーホルムの軍事要塞が守りを固め、血塗られた戦いに備えた。カイル・ヴォーデルマルク副氏族長はアイアンホルドの混乱を使って虐殺を逃れるのに成功し、ウルフ氏族の強襲に対して残った氏族を率いた。ウィドウメーカーはウルフの牙に耐えきれず、スパイダーホルムは陥落することとなった――しかし、その前にヴォーデルマルク副氏族長は、広大な地下トンネル網を使って脱出するのに成功していたのである。

 ウルフはヴォーデルマルクを追って、プリアム高原のゴリアテスコーピオン飛び地領に近い、放棄された都市ポルトスにたどり着いた。スコーピオンの戦士たちは、戦闘を見ていた……ヴォーデルマルクがウルフを罠に引きずり込むのを。ウルフが危機に陥ったのが明らかとなると、ゴリアテスコーピオンのローアマスター・イーサン・モローは都市に突撃して、警告しようとした。スコーピオンの氏族長サイラス・エラムと一団がモローに続いてポルトスに入り、ウルフを助けようとした。だが、戦闘の最中、誰が撃ったのかわからない砲弾の弾幕が都市に降り注ぎ、エラム氏族長とヴォーデルマルク副氏族長を死に至らしめ、都市のかなりの部分を倒壊させた。最初、ジェローム・ウィンソンは激怒したが、すぐにイーサン・モローのスルカイデ(ニコラス・ケレンスキーからウルフ氏族全体に拡大したもの)を受け入れた。モローの誓い、スコーピオンの補助、エラム氏族長の悲劇的な死を公式に認めたウィンソンは、スパイダーホルムとロッシェにおけるウィドウメーカーの飛び地領の大半をスコーピオンに割譲した。

 ウィドウメーカーの上層部が消滅すると、氏族の残りは散り散りとなり、半ダースの世界で抵抗軍は簡単に追い詰められた。ウルフはニコラス・ケレンスキーの死に怒り狂っていたことから、生き残ってウルフの戦士階級に受け入れられたウィドウメーカーの戦士はほとんどいなかった。他の氏族を狼狽させたことに、ウルフはウィドウメーカーの資産すべてを要求し、ウィドウメーカーの民間階級はウルフによる統率を歓迎した。ジェイドファルコン氏族はこの考えに挑戦したが、族長会議はファルコンの指導部が拒絶の神判に敗北したあと、この争いを取り下げた。ウィドウメーカーの民間人と物資のすべてを組み入れると、ウルフは最も強力な氏族となり、ジェローム・ウィンソンは大氏族長として選出された。






人物 PERSONALITIES


ジェローム・ウィンソン
階級:氏族長、ウルフ氏族
生年:2755年(2834年時点で79歳)

 ライラ共和国のギャラリーで生まれたジェローム・ウィンソンは、アマリスのクーデターの際、SLDF少佐の階級まで瞬く間に昇進した。アレクサンドル・ケレンスキーの哲学に対する熱心な支持者であったウィンソンは、ケレンスキーと共に亡命し、妻を中心領域に残していくことを選んだ。アレクサンドルの息子に対して思いやりあふれる手ほどきを行ったことから、彼はニコラスの寵愛を獲得し、第二次エグゾダス後、最終的にウルフ氏族長の氏族長に任命されることとなった。

 同輩の氏族長たちと違って、ウィンソンは神判や族長会議の場で攻撃を受けているときでも常に冷静を保っていた――唯一の例外は、ニコラス・ケレンスキーが死んだ直後である。ウィンソンの注意深い指導の下で、ウルフ氏族は20氏族の中で最初にクロンダイク作戦で戦う準備ができたと宣言した。戦場における生まれついてのリーダーシップによって、ウルフ氏族はエデン解放戦役で大きな成功を得た。これを見てケレンスキーはダグダの追加作戦にウルフを投入する決断を下したのである。

 2834年にケレンスキーが殺された後、ウィンソンは大氏族長として選出され、繁栄の時代に氏族を導いた。2851年、彼は激しい発作を起こし、運動機能を永久的に失った。障害を持ったまま指揮するよりも、彼は自分の人生を終わらせることを選んだのだった。






カル・ヨルゲンソン
階級:氏族長、ウィドウメーカー氏族
生年:2761年(2834年時点で73歳)

 全人生を通して、カル・ヨルゲンソンは兄弟へのライバル心をやる気として使ってきた。ドラコ連合、ラサルハグ管区の中等学校を卒業した後、彼は何かを追い求めては失敗するのを繰り返した。それは、弟のハンスが一緒にSLDFに入隊するよう説得し、カルが弟に続く決断をするまでだった。常にハンスの非の打ち所のない勤務成績の2歩後ろにいたカルは、弟が簡単に成功しているかのように見えることに憤慨し、軽率との評価を得て、上官が彼に注意を払うことになった。ハンスがケレンスキーのエグゾダスに加わることを選ぶと、カルもそうした。ペンタゴンに居住した後、ハンスは家族を養うためにSLDFからの名誉除隊を選んだが、カルはケレンスキーの厳しい評価をパスし、軍に残った。

 第二エグゾダスの後、カルはハンス(ペンタゴン内戦時に再入隊していた)と別の氏族にするよう求めた。新たな秩序の中で居場所を得たカルは、弟とスポットライトを共有するのを望んでいなかった。ニコラス・ケレンスキーがハンスに氏族長の地位を与えると、カルは何も受け取らなかったことに激怒した。注意深い計画によって、彼の評判はウィドウメーカーのジェイソン・カリッジ氏族長の耳に届き、クロンダイク作戦の間にマリエル・サンダース副氏族長が死ぬと、カリッジがカルを副氏族長として選出されるのは保証されたのだった。カリッジが死ぬと、カルはついに弟の成果を越えるところにまで上り詰めた。

 彼の勝利は短いものだった……なぜなら、ライバル心と災厄によって、ウィドウメーカー氏族の統率力はひどく損なわれたからだ。これはカルがケレンスキー大氏族長を殺すところにまで達し、最初の氏族長になれなかったことへの注意深く計画された復讐だという説までが出ている。大氏族長が死んだ現場での短い軍事法廷の後、カル・ヨルゲンソンは族長会議の場で公に処刑された。






タムーラ・ヴィッカース
階級:スターコーネル、第194クルセイダー星団隊、ウィドウメーカー氏族
生年:2760年(2834年時点で74歳)

 鉱業業界の有力者の娘として、タムーラ・ヴィッカースはライラ共和国のトレルシェア州で比較的裕福に育った。トレルワンはアマリスの地球帝国占領の戦闘から離れていたことから、彼女は危害を加えられることがなかったが、2771年、すべては変わった。海賊の攻撃(ドラコ連合が背後にいて、SLDFのいない隙を突いたと思われた)が惑星にやってきて、ヴィッカース鉱業のオフィスを破壊し、倉庫を空にした。タムーラは成人すると、そのような攻撃から惑星を守るため、トレルワンの市民軍に入隊した。そう遠くないうちに、地元のSLDF採用担当者が彼女の生まれ持った軍事的才能に気づき、彼女は第194機械化歩兵師団に席を見つけたのだった。

 ペンタゴン内戦時に大佐だったヴィッカースは、砲弾の流れ弾がバビロンの指揮所に落ちた際、頭部に重傷を負った。かろうじて生き延びたのだが、外傷によって彼女の中で大きな変化が生まれた。気分の移り変わりが激しすぎて、二つの人格に分裂したと部下に言われるまでになったのである。クロンダイク作戦のバビロン戦線の間、ヴィッカースは解放したある民間人グループに人道支援を行い、それから別のグループには厳しい罰を与えた――処刑したことすらあった。マリエル・サンダース副氏族長暗殺事件の後には、残酷な傾向がさらに強くなることとなった。

 ウィドウメーカーの事実上の殲滅戦の開幕において、ヴィッカースはできる限り持ちこたえ、ウルフがやってくると警告するのに成功した。彼女は生き残ってアブタカになったが、1年以内に死亡した。不服の神判で間違った側に関わったのである。






イーサン・モロー
階級:ローアマスター、ゴリアテスコーピオン氏族
生年:2747年(2834年時点で87歳)

 自由世界同盟のアビー管区で生まれたイーサン・モローは、SLDFが蛮族の攻撃から故郷の一帯を守ってくれるという感謝を持ちながら育った。彼はSLDFに入隊し、適性を持っていたことからアフロスのガンスリンガー・プログラムに参加した。注意深く交戦に望むそのやり方で彼は部下たちから大いに尊敬され、第15軍の第81バトルメック師団で高い地位を得ることになった。モローはアレクサンドル・ケレンスキーのエグゾダスに抵抗したが、最終的にモローと第81師団はケレンスキーの計画を信用したのだった。

 モローはペンタゴン内戦の初期に師団の将軍として残っていた。ケレンスキーの息子、ニコラスがSLDFにペンタゴンから離れて第二のエグゾダスをするよう熱心に勧めたとき、モローはもう遠くに行くのは難しいという誠実な手紙を送った。直後に、彼は戦死したと伝えられた。

 ニコラスの氏族がペンタゴンに戻ったあと、アイスヘリオンの戦士がモローズ・ダガーという黒曜石の層の上で、譫妄状態のモローを発見した。モローがまだ生きているのは奇跡だった……ゴリアテスコーピオンが致死量の毒で何度か彼を刺していたからだ。モローは氏族内で公に記録されている最初のスルカイとして、ニコラスに許しを求め、彼と彼の子孫を守るという約束をした。この宣誓は2834年に試された……ロッシェのウィドウメーカーがウルフの戦士を罠にかけたときのことである。モローはポートスの都市でゴリアテスコーピオンの突撃を率いて、罠を破った。

 2851年のファイアマンドリルとの交戦の間、モローのメックはマーシャルの沼にはまってしまった。彼はヘジラを求めたが、名誉なきマティラ=キャロルの戦士が彼をコクピットで殺し、従ってゴリアテスコーピオンの怒りを買ったのだった。








戦闘員 COMBATANT


第328強襲星団隊 [ウルフ氏族]
指揮官: スターコーネル・ヤル・ワード
平均経験: エリート
注記: 「ライオン・ハーテッド」こと第328強襲星団隊は、SLDFの歴史を保つことをニコラス・ケレンスキーに許された数少ない氏族部隊のひとつである。この部隊の場合、元となったのは第328親衛バトルメック師団だった。であるので、第328の戦士たちは、伝統と軍事的な優秀さを守ることに多大なプライドを持っている。第328は、氏族の命令に厳格に従っていることから、バトルメックの格闘攻撃禁止を最初に採用したウルフ部隊の中に入っている。




第341強襲星団隊 [ウルフ氏族]
指揮官: スターコーネル・アリシア・ラディック
平均経験: エリート
注記: SLDFに直接血統をさかのぼることのできる星団隊のひとつ、第341強襲星団隊「シルバーブリザード」は、たぐいまれな愛氏族心を持つとの評価を得ており、ウルフ氏族の指導部に欠点とも言えるほどの極端な忠誠心を持っている。その献身から、第341の戦士たちは氏族のリーダーたちを危険から守るために、道を外れることがあるだろう。部隊の外の戦士たちは――特にウルフ氏族の外の戦士たちは――このような行動を名誉に抵触するものと見ているが、ウィンソン氏族長は献身に謝意を示している。




第7戦闘星団隊 [ウルフ氏族]
指揮官: ブリッタ・ショー
平均経験: 一般兵
注記: 元々は多彩だったこの星団隊「ハングリーウルフ」は、歴史の初期に大きな挫折を味わった。ウルバリーン殲滅からそう遠くないうちに、ジェイドファルコンがエデンの神判で新しく結成された第7戦闘星団隊を粉砕したのである。ウルフ氏族は敗因を、長い戦闘のあいだに弾薬を使い果たしたこととした。それ故、スターコーネル・ショーはできる限り弾薬に頼らないメックで部隊を再建しようとした。成長痛を味わったあと、ショーは第7戦闘星団隊を長期間独立して活動する能力を持った部隊に作り上げた。この独立性から、第7は氏族で最高の盗賊狩り部隊となっている。




第11ウルフガード [ウルフ氏族]
指揮官: スターコーネル・マ・カーンズ
平均経験: 古参兵
注記: 創設されてからの10年間、第11ウルフガードは他氏族との神判でけして負けたことがないままでいる。これは星団隊内の戦士たちに圧倒的な優越感を与えている。必然たる最初の敗北が訪れたとき、彼らのプライドは崩壊してしまうのではないかと、フェトラドラル副氏族長は懸念を示している。戦意を高く保つため、そのときの打撃を小さくするため、副氏族長は「ライトニングパック」に対し、ウルフ氏族の生産ラインから中軽量メックを選ぶ許可を出している。




第194クルセイダー星団隊 [ウィドウメーカー氏族]
指揮官: スターコーネル・タムーラ・ヴィッカース
平均経験: エリート
注記: 最初に作られたウィドウメーカー部隊の一つである第194は、その名前を故サンダース副氏族長が所属していたSLDFの第194機械化歩兵師団からとっている。第194機械化歩兵師団は難民に対する人道支援をしたことで知られているのだが、第194クルセイダー星団隊の初期隊員はサンダース副氏族長の死後、ダグダの市民に最初に襲いかかった者たちだった。第194にはウィドウメーカー氏族で最高の、そして最も凶暴な戦士たちが一部所属しており、彼らは命令に文字通り従うのだった。この手順厳守と優秀さは、スターコーネル・ヴィッカースへの傾倒から来ているのではなく、彼女が理不尽な暴力に走る傾向があることから来ている。




第4ファング星団隊 [ウィドウメーカー氏族]
指揮官: スターコーネル・シェローン・センダー
平均経験: 古参兵
注記: ジェイソン・カリッジ氏族長がクロンダイク後に行った計画のひとつ、第4ファング星団隊は戦った氏族との間で多大な議論を巻き起こしてきた。この星団隊のバトルメックは、二連星隊に組織されており、ウェブ星隊、パルプ星隊と名付けられたペアのハンターキラーチームとして活動する。第4ファングは囮戦術の達人であり、軽量のウェブ星隊が敵をおびき寄せる一方、重量のあるパルプ星隊が離脱した敵メックを予期せぬ方向から攻撃するのである。一部の敵部隊がこの戦術を不名誉でゼルブリゲンに反していると主張した一方、第4ファングはどの交戦においても意図的に決闘に干渉したことはないのである。従って、バトルROMの調査では、これまで決定的な証拠は挙がっていない。




第3戦闘星団隊 [ウィドウメーカー氏族]
指揮官: スターコーネル・マリア・アイザック
平均経験: 古参兵
注記: 第3戦闘星団隊のルーツは、スターコーネル・アイザックの元所属部隊、SLDF第146機械化歩兵師団にある。大氏族長は第146の名を使う許可を出さなかったのだが、アイザックは第146の伝統に従うことで部隊を精神的な後継者とした。戦闘終了時に彼らは弾薬を使って、かろうじて回収できる敵のハードウェアを鉄くずに変える。ウィドウメーカー氏族の者たちはこの習慣を浪費だとみており、従って氏族の道に反すると考えているが、スターコーネル・アイザックは伝統による士気向上はそれを相殺する価値があると主張している。




第1スピナー星団隊 [ウィドウメーカー氏族]
指揮官: スターコーネル・サンチアゴ・コナーズ
平均経験: エリート
注記: 第1スピナー星団隊の創設者は、クロンダイク作戦のあいだ、ウィドウメーカーで一番の成果を残したメック戦士たちであった。ニコラスがダグダ戦役の最後の場面でウィドウメーカーを外すと、第1スピナー星団隊の創設者となる戦士たちは自分たちに非があると感じた。なぜなら、彼らは民間人を脅さなかったからだ。第1スピナー星団隊は、戦場でめざましい成長をおさめたにも関わらず、時勢に取り残された冷酷で暴力的な部隊となった。よって、彼らは命令の文言にこだわることなく、命令の精神に従う傾向があり、敵メックが間抜けなほど接近してきたときには、格闘攻撃を行うのをためらわない。




第1015バーロックガード [バーロック氏族]
指揮官: スターコーネル・マキ・リン
平均経験: 古参兵
注記: クロンダイク作戦の後に結成された第1015バーロックガードは、だいたいにおいてバーロック氏族のダグダ飛び地領の火消し部隊として活動した。彼らは盗賊やその他の望ましくない者たちとの戦いで成功したことにプライドを持っている。氏族社会から放棄された者たちは、時折、第1015の防衛をすり抜けて、問題を起こそうとしたが、第1015は幅広いサーチ・アンド・デストロイの網を張り、深刻な被害を出すことなく、撤退に追いやったのだった。第1015はもっと名誉があり目立つような戦闘任務を求めたが、意図的にせよ、そうでないにせよ、現在の役割に残っている。




第1ファルコン打撃星団隊 [ジェイドファルコン氏族]
指揮官: スターコーネル・サミュエル・ヘルマー
平均経験: 古参兵
注記: 第1ファルコン打撃星団隊は、ファルコンのトーテムの神髄を表現している。ジェイドファルコンのように、彼らは素早く鋭い攻撃を仕掛け、装甲や手の込んだ戦術よりも機動性と火力に重きを置く。スターコーネル・ヘルマーは部下たちの手綱をしっかりと握っている。部下たちに怒りをぶつけることはなく、彼の影響下で打撃星団隊はぬきんでている。戦場にないときでさえも、ヘルマーは絶え間ない訓練で先に進んでいる。ヘルマーは第1ファルコン打撃星団隊の間で定期的な体育大会を開催するという伝統を始めた。優勝者は次の大会まで彼の副官となる。




第3スコーピオン胸甲騎兵隊 [ゴリアテスコーピオン氏族]
指揮官: ローアマスター・イーサン・モロー
平均経験: 古参兵
注記: ローアマスターが直々に選び抜いた部隊として、第3スコーピオン胸甲騎兵隊の全隊員は、イーサン・モローによる氏族史の記録を補佐している。見込みのある戦士は、星団隊に所属するため、モローが選んだ氏族のリメンバラスの一節を暗唱せねばならない。学者的でない少数の戦士たちが階級の神判によってこの条件を迂回しようとするが、ローアマスター・モローはそのすべてに勝利している。第3スコーピオン胸甲騎兵隊は戦場にないときは学者である一方、諸兵科連合戦術を好むことから、メック偏重の氏族に混乱を与えることがよくある。彼らのピンポイントの射撃精度は、見物人から羨望を買うことがある。








タッチポイント: アイアンホルド(一日目)

 ウィドウメーカーよ! ヨルゲンソンによる拒絶の神判は無効となった。氏族法に則り、吸収の神判がいま始まった!
 ――ジェローム・ウィンソン氏族長、ウルフ氏族


 これまでウルフがこんな風に戦うのを見たことがなかった。あいつらはこちらの通信に応答しようとしていない。あいつらは挑戦を布告していない。あいつらは復讐の権化と化したようで、我々を罰そうとしている……我々が関わってもいない罪でだ!
 スターコーネル・センダーはウルフのエリーゼ・フェトラドラル副氏族長と話し合おうとして、メックを半分に引き裂かれるところであった。ウルフの3機が、スターキャプテン・ハーリングをまるで狩猟の獲物かのように仕留めた。ウルフが凶暴になっていることを考えると、私が生きているのは驚きであり、幸運であった。これが最後の日記になるのではないかと恐れている。
 ――ウィドウメーカー氏族、第4ファング星団隊、スターコマンダー・サイラスの個人的な日記


状況
ヴージュの丘
アイアンホルド
2834年10月7日


 大氏族長は死んだ。ウルフは報復に全精力を傾けた……敵であろうとそうでなかろうと道行くものすべてを破壊する、などということにならなかったのは、ひとえにウィンソン氏族長の節度あるリーダーシップがあったからだった。ウィドウメーカーの第194クルセイダー星団隊が四散すると、ウルフの第328強襲星団隊は、ウィドウメーカーの第4ファングをヴージュの丘まで追跡した。第4ファングは迂回して、アイアンホルドシティのドシェヴィラー降下港にある降下船まで逃げようとしたが、第328の仕事はそれを阻むことだったのである。


結末
 大氏族長の死後、すべては白紙に戻った。ウィンソン氏族長は、戦闘の初日にストイックな落ち着きを保っていたが、名誉ある決闘という要件を無効にし、ウィドウメーカーの脅威を終わらせるために自由に行動する許可をスターコーネルたちに出した。

 第328強襲星団隊はヴージュの丘で第4ファング星団隊の一部を足止めし、容赦なく串刺しにした。ライオンハーテッドの進撃を避けるのに成功したのは、わずかな二連星隊と1名の上級戦士だけだった。幸いなことに、第341強襲星団隊が待ち構えており、第4ファングの生存者たちをドシェヴィラー降下港から方向転換させたのだった。








タッチポイント: アイアンホルド(二日目)

 裏切り者のウィドウメーカーたちは、闇のどこかに蜘蛛の巣を作っている。我らがすべきことは、巣を探し出して、通れるように切り裂くことだ。
 ――エリーゼ・フェトラドラル副氏族長、ウルフ氏族


 創設者の聖なる記憶によれば、これは無法な神判だ! 我らの道を誤った氏族長は、昨日、拒絶の神判を遂行して敗北したが、ウルフは戦闘を終えておらず、一時停止することすらなかった。奴らにとってこれが吸収の神判の公式なバッチェルを実行する正しい手順なのだろうか? ケレンスキー大氏族長の遺体はまだ冷たくなっていないが、ウィンソンは我々を罰するために神聖なるルールを無視するのだろうか?
 正気を失ってしまったのだろうか?
 ――ウィドウメーカー氏族、第194クルセイダー星団隊、スターキャプテン・アリソン・パインの個人的な日記


状況
デルティーリ・タイガ
アイアンホルド
2834年10月8日


 ウィドウメーカーは、正面からの戦闘を避けて、地下に潜ったかのように見えた。空中偵察により、デルティーリ・タイガ地方の凍った森に第194クルセイダー星団隊の分隊と支援が隠れているらしいということが判明した。もし、ウィドウメーカーが出てきて戦うつもりがないというのなら、ウルフの第341強襲星団隊は敵を掃討しないとならなかった。さらに、ウィドウメーカーの補給物資を奪うことができたなら、なお良いだろう。

 だが、ウィドウメーカーの物資を破壊するのは不経済であり非氏族的であることから、スターコーネル・アリシア・ラディックはもし可能なら部下たちに物資を鹵獲するように命じた。しかしながら、ウルフの戦士たちは、危機的な状況にあった。それは寒さから来るものではない。ウルフたちは補給物資が蜘蛛の巣へと誘う罠だと信じていたのである。


結末
 罠の可能性を警戒していた第341強襲星団隊は、激しい吹雪の中を進軍し、待ち構えていたウィドウメーカーにまっすぐ突っ込んだ。突如として第194クルセイダーが姿を現すと、ウルフは大きな損害を被ったが、スターコーネル・ラディックの戦士たちは、雪が積もる中、立て直した。それでも第194クルセイダーはやられた分だけ相手にやり返したのである。天候がますます悪化し、ブリザードが吹き荒れると、どちらかが決定的な勝利を得る前に、ウルフ、ウィドウメーカーの双方ともに離脱して、その場を放棄せねばならなかった。第194クルセイダーはどうにか弾薬の一部を持って脱出することに成功したが、ガントリーを残していったことで、戦地での修理を実行する能力に大きな打撃を受けた。








タッチポイント: アイアンホルド(三日目)

 よくもこんなことができたものだ。大氏族長は――安らかに眠れ――民間人の被害を減らすために軍事規則を作ったのだが、ヴィッカースは戦士階級でない者たちの生命を危険にさらすことで、意図的に大氏族長の思い出を汚したのである。これらの悪事のために、我々はウィドウメーカーの裏切りの汚点をこの世界から消さねばならない。どのような犠牲を払おうとも。
 ――エリーゼ・フェトラドラル副氏族長、ウルフ氏族


 仲間たちよ、我々はこの惑星を離れられそうにない。それを、私は受け入れた。だが、たった一度の行動でウルフが過剰反応して野放しになっているのは見過ごせないことだ――それがヨルゲンソン氏族長の悪意によるものであれ、事故であれ。何が起きたにせよ、我々は同胞たちに伝えなければならない。我らは受け継ぎし遺産を知らしめねばならず、それは敵に感染して、内部から蝕むことになるかもしれない。
 奴らの兵器が我々を捉える前に、できる限り多くの忌まわしい狂犬どもを駆除してやるのだ。
 ――ウィドウメーカー氏族、第194クルセイダー星団隊、スターコーネル・タムーラ・ヴィッカース


状況
アイアンホルド・シティ外周部
アイアンホルド
2834年10月9日


 惑星上にいるウィドウメーカーの崩壊した残存戦力は、アイアンホルド・シティ外周の都市部に集結した。ウルフは、ジェイドファルコンの主張を無視して、激しい追撃をした。ウィンソン氏族長は、ウルフ氏族が創設者の選びし氏族として大氏族長の死に単独で復讐するべきだと信じて、ファルコンからの通信を拒否したのだ。だが、ウルフがここでウィドウメーカーを止めることができたとしても、氏族創設者が生き返るわけではない。


結末
 ジェイドファルコンは幸せではなかった。ウィドウメーカーが何をしようとしてるのか理解すると、第89ファルコン打撃星団隊は両氏族の側面に衝突した。ウルフの氏族長たちは戦力を二手に分けた。ひとつはファルコンを寄せ付けないことに全力を尽くし、もうひとつはウィドウメーカーが惑星外にメッセージを送るのを止めるのに集中するのである。だが、ウルフの行動は無益であった……電力喪失で使えなくなるわずか数分前に、HPG送信機は再調整され、通信を行っていたのである。ウルフとファルコンの両方がウィドウメーカーに襲いかかり、残された敵メックはなかった。
 スターコーネル・タムーラ・ヴィッカースはがれきの中から発見され、星団隊で唯一生き残った隊員となった。続く放棄の神判により、ヨルゲンソン氏族長の陰謀に関与した罪はすべて免罪となった。
 ファルコンの労働者と技術者は短期間でHPGを復旧させたが、都市外周部への損害を完全に復興するのには数ヶ月がかかった。








タッチポイント: ダグダ

 氏族の創設者、ニコラス・ケレンスキー大氏族長が残したものに尽くすため、この脅威を見つけ次第追い詰めねばならない。ダグダの海の中だろうと、ロッシェの嵐の中だろうと、奴らの巣の中で奴らを追い詰め、罪に対する報いを与えることになろう。
 慈悲を与えるなかれ。躊躇するなかれ。
 そして、我らはこれを忘れる。かつてしたように。これからするように。
 ――ジェローム・ウィンソン氏族長、ウルフ氏族


 そのときが来た。我らの敵はとうとう門前に到着した。12年前に大いなる悲劇があったその場所に。我らは武器を下ろし、降伏して、ヨルゲンソン氏族長の行動に関わりがないことを主張して、過失から逃れるのを選ぶことができる。さもなくば戦うかだ。だが、ウルフが血塗られていることを考えると、降伏はありそうにない。我らは戦わねばならない……マリエル・サンダース副氏族長が求めたように。そして、氏族の道が求めるのなら、我らは死ななければならない。
 ――ウィドウメーカー氏族、第3戦闘星団隊、スターコーネル・マリア・アイザックの個人的な日記


状況
ポイント・サンダース、ドラサ岬
ダグダ
2834年11月7日


 ダグダでウィドウメーカーを追い詰めるために、バーロック氏族、ジェイドファルコン氏族の兵士たちが、ウルフ氏族の報復を助けるのに志願した。この3個星団隊は獲物を追いかけて火山性の岬にたどり着いた。そこは、クロンダイク作戦の際、ウィドウメーカーのマリエル・サンダース副氏族長が暗殺された場所からそう遠くないところだった。侮辱としてウルフが意図的にそうしたかどうかは推測するしかない。後ろは切り立った崖、前は敵のメックという状況において、残ったダグダのウィドウメーカーには逃げるところなどなかった。


結末
 追い詰められた第3戦闘星団隊はドラサ岬でこれまでになかった戦いぶりを見せた。第3戦闘星団隊の戦士たちは敵に挑戦すると、ウルフ氏族のスターコーネル・ブリッタ・ショーは、氏族の道に背いたと思っていた裏切り者が名誉を見せたことに驚き、指揮下の第7戦闘星団隊に決闘を尊重するよう命令を下した。まもなくウィドウメーカーが負けよりも遙かに多い勝ちを積み重ねたことから、ショーはゼルブリゲンを放棄した。乱戦は、岬の切り立った絶壁においての、ショーとスターコーネル・マリア・アイザックのメックの殴り合いとなった。流れ弾が二人のスターコーネルを崖から突き落とした。残った第3戦闘星団隊は崩壊し、簡単に倒せる的となった。

 戦闘の直後、ウルフがファルコンに援軍の報償としてドラサの飛び地領を割譲する気がないことを、第1ファルコン打撃隊のスターコーネル・サミュエル・ヘルマーは知った。怒った彼は即座に飛び地領に対する所有の神判を求めた。スターコーネル・サミュエル・ヘルマーは神判が始まってから数分以内に死亡し、第1ファルコン打撃隊は士気低下ですぐに崩壊した。








タッチポイント: ロッシェ(スパイダーホルム)

 狭まっていく蜘蛛の巣のように、創設者を殺した者たちは、暗闇の閉所に後退し、我々が迷宮の奥深くに入っていくというミスを犯すのを待っている。だが、テセウスのように、我々は迷路をたどり、中に住むミノタウロスを倒すことだろう。
 ――ジェローム・ウィンソン氏族長、ウルフ氏族


 忘れるな、まだ負けたわけではない! この吸収の神判はまだ終了していない。我が氏族の仲間たちは他の世界での戦闘で倒れたが、我らはウルフの優位と抑圧というどうにもならない壁に立ち向かっている。立ち向かえ、兄弟たちよ! 立ち向かって、明日につなげるのだ!
 ――ウィドウメーカー氏族、カイル・ヴォーデルマルク副氏族長によるスパイダーホルム防衛軍への演説


状況
スパイダーホルム
ロッシェ
2834年12月11日


 ウルフが到着し、ウィドウメーカーの玄関をノックした。カイル・ヴォーデルマルク副氏族長は残った物資のすべてをスパイダーホルム……ウィドウメーカーの無秩序に広がった軍事施設群に注ぎ込んだ。氏族宙域におけるウィドウメーカー最後の拠点として、戦士たちは氏族として生き残る権利をかけて死力を尽くして防衛を行うように命じられた。


結末
 スパイダーホルムの守りを破るのは、ウィドウメーカーの吸収を通して最大の挑戦であることが証明された。第11ウルフガードは要塞の外周部で残虐な第1スピナー星団隊と対面し、ほぼ五分五分となった。だが、ヴォーデルマルク副氏族長を大いに驚かせたのは、第5臨時守備星団隊の通常部隊がウルフの攻撃をひっくり返したことだった。ウルフが戦略的後退を始めたそのとき、第11ウルフガードの自殺的な1個星隊が後退命令を無視して、スパイダーホルム最初の門を突破した。守りが弱まったのを見たヴォーデルマルク副氏族長は、スパイダーホルムの中に撤退した……要塞の中でウルフを負かすことを望んだのである。第5PGCは圧力の下で崩壊し、第1スピナーは逃げ出した。第11ウルフガードはスパイダーホルム内に進出したが、大規模な人狩りを行っても、なにも見つけられなかった。カイル・ヴォーデルマルクは消えたのである。








タッチポイント: ロッシェ(スルカイレーデ)

 ぐずぐずするな、ガード! スコーピオンが来るぞ!
 ――スターコーネル・マ・カーンズ、第11ウルフガード


 ウルフは我らに降りかかったすべての恐ろしいことに責任がある。奴らはクロンダイクの栄光を盗みさり、我らを所有の神判の目標とし、さらには民間人の反乱を煽りさえしたのだ。さあ、奴らに報いを与えねばならない。
 独りよがりな犬畜生もとに、立ちふさがったことを後悔させねばならない。奴らのあごが迫っているが、端から端まで全員を刺してやることになるだろう。死んだウィドウメーカーの牙でさえも、世界一タフな人間を殺すだけの毒を持っているのだ。
 ――ウィドウメーカー氏族、カイル・ヴォーデルマルク副氏族長の個人的な日記


状況
ポルトス
ロッシェ
2834年12月15日


 ウルフ氏族は、逃げ足の速いウィドウメーカー副氏族長を見つけようとして、ひどい失敗に終わっていた。第11ウルフガードはそこかしこで小規模な抵抗に遭遇したが、カイル・ヴォーデルマルク副氏族長と第1スピナー星団隊の生き残りはいまだ野放しだった。噂によると、ウィドウメーカーの小規模な部隊が、プリアム高原にあるゴリアテスコーピオン氏族の飛び地領の周辺どこかにいるということになっていた。この地域で唯一目立つのはポルトス、戦略的にも軍事的にも重要でない放棄された小さい都市だった。


結末
 ポルトスの市内でカイル・ヴォーデルマルク副氏族長は罠を発動させて、ウルフの不意を打った。ゴリアテスコーピオンのローアマスター、イーサン・モローは、創設者の氏族に対してスルカイレーデを全うすべく、ゴリアテスコーピオンを率いて突撃し、戦闘中のウルフを破滅から救おうとした。ヴォーデルマルクは臆面もなくゴリアテスコーピオン氏族長、サイラス・エラムに一対一の戦闘を挑戦したが、この決闘中、誰が撃ったのかわからない砲弾が戦場に着弾し、エラムとヴォーデルマルクの両方を殺した。残った第1スピナー星団隊は、砲撃と、ウルフ、スコーピオンの最後の猛攻の中で、しおれていったのだった。


"創設者の令により、
ウィドウメーカー氏族は消滅した。
戦士たちは屈服し
聖なる戦闘のさなかへ
そして向こうから出ることはなかった"
――リメンバランス(ウルフ氏族)第174章、12節、1〜5行目




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