テクニカルリードアウト:プロトタイプ
『TRO:プロトタイプ』は、コムスターが3090年に出版したという体裁のテクニカルリードアウトです。掲載されているユニットは一部新型もありますが、ほとんどが旧式機を実験レベルの特殊な装備でアップグレードしたもの。エクスペリメンタル・テクニカルリード・シリーズ(3080年前後)が初出で、10年後の視点から改めて語られるといったユニット(元プロトタイプ?)が多くなってます。
機種ごとの癖のルール(整備しやすい、予備座席付き、装弾不良、生産終了など)が導入されているのも特徴です。
機種ごとの癖のルール(整備しやすい、予備座席付き、装弾不良、生産終了など)が導入されているのも特徴です。
中心領域バトルアーマー
グラディエイターS・エクソスケルトン GLADIATOR-S EXOSKELETON
ソラリスにおいてピットファイターというコンセプトは、聖戦がゲームワールドを襲ったときに、ちょうど流行し始めたところだった。単純な産業用エクソスケルトンを装備したこれらのファイターたちは、ソラリス社会のぎりぎりのところで生活を営み、ソラリスシティ郊外の小規模な会場で戦い、いつの日か大手ステイブル、組合のタレントスカウトが栄光の瞬間を目撃することを望んでいた。
聖戦はそのすべてを変えた。
エリック・グレイと彼のソラリス郷土防衛同盟(SHDL)がワード・オブ・ブレイク占領軍と戦うための反乱軍メンバーを活発に募集し始めると、SHDL前線部隊の多くがこれら不運なピットファイターたちで占められた。護衛、前衛斥候として使われたこれら男女は、腐敗したソラリス警察、ブレイク派歩兵と数多の銃撃戦を繰り広げた。
グラディエイター・エクソスケルトンの主要メーカーであるソラリス・アームズは、占領中、大打撃を被った。すべての製造施設が灰に変わり、在庫の大多数をSHDLに「取得」されたこの企業は、ソラリス解放後、損失を克服することができなかった。清算中、ソラリス・アームズの技術データはすべて、スターコープス社に売却された。この会社はヘザートン(タンジェリン砂漠周辺部の小都市)で人気のSHDLピットファイターのひとりアバシ・オテケを雇い入れた。
SHDLによるインターナショナルゾーンへの最高の攻撃で左足を失ったあと、もう戦えなくなったオテケは、古ぼけたグラディエイターを再設計するスターコープスの支援に尽力した。スパイダー(オテケ個人のカスタム機で、ソラリス・アームズで最後に生産された一機機)を元にしたいわゆるグラディエイターSシリーズは、エクソスケルトンの胴と両足にマグネティッククランプシステムを搭載している。ソラリス市地下トンネル網の金属で覆われた天井に隠れるオテケは、これらのクランプを使って天井にしがみつき続け、彼に気づいてないワード・オブ・ブレイクの上に飛び乗り、右手のヴィブロ・バトルクロウで切り裂くのである。
聖戦のバトルアーマー販売数は、大規模な軍隊が戦争遂行のためにできる限り多くの補給と交換部品を買い上げ始めたために、そのピークには売り上げの天井を破ることとなった。バトルアーマーは貴重品となり、傭兵市場で見つけるのは難しくなった。スターコープスなど数社は、傭兵やレジスタンスのような不正規部隊をチャンスと見て、軍事用に改造されたエクソスケルトンで需要を埋めようと動いた。通常のバトルスーツほど重装備でも重装甲でもないのだが、これらの武装エクソは安価な代行品となり、最小限の訓練で普通の歩兵が使うことができた。
オテケというメインコンサルタントを得たスターコープスは、元のグラディエイターをさらにいじった。電力供給とマイアマー構造を強化した彼らはスーツの速度を二倍とした。重兵器を搭載できなかった(スーツのバランスと重量がひどく崩れた)スターコープスは、2つの対歩兵武器搭載装置を両腕に載せている。
グラディエイターSは、バトルメックや車両につかまって素早く移動できるように、オテケ版のマグネティッククランプを載せ続けている。また、このスーツは小型化したメカニカルブースターを受け取り、短距離の30メートルジャンプが可能になった。これらのブースターは素早く移動するには完全に役に立たないが(新設計の脚とマイアマーがそれを担当する)、窮地に陥ったときに有用である。従ってグラディエイターSは大半の一階建ての建物を飛び越し、荒れた地形を必要に応じて通り抜けることが可能で、エクソスケルトンの活動を見たことがない敵を驚かせるのである。
スターコープスの販売戦略は、オテケが専用スーツで、ソラリス占領中、幾度かのピットファイトで成功した映像に頼っている。時折、オテケは興味を持った傭兵たちに、クランプとブースターを有効に使う戦術を教えている。
興味深いことに、グラディエイターSの生産はきわめて限られたものである。スターコープスは、本物のバトルスーツの代用とするには防護力が弱く、打撃力が不足していることを認め、このエクソスケルトンを市場にあふれさせるという決断はしなかった。それでも、このスーツは小規模な傭兵団(とくに半敵対的な環境で企業と守備契約を結んでいる部隊)のなかでいくらかの人気を獲得した。生産は受注生産方式で、エクソスケルトンが組み立て、配送される前に、支払額を交渉する。スターコープスはこのやり方でユーザーにあわせてテーラーメイドのスーツを作れるとも主張している。
タイプ: グラディエイターS・エクソスケルトン 製造元: スターコープス工業 主工場: エムリスIV 装備レーティング: E/X-X-F/D 技術ベース: 中心領域(先進) シャーシタイプ: 人型 重量等級: エクソスケルトン 最大重量: 400 kg バトルバリュー: 9 集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/可 付記: ジャンプMPを使ったのと同じターンに対メック集団攻撃、脚部攻撃不可。以下の機種別特徴を持つ。整備困難。 装備 装備欄数 重量 シャーシ: 80 kg 移動システム: 地上 MP: 4 50 kg ジャンプ MP: 1 0 kg マニピュレーター: 左腕: 装甲グローブ 0 kg 右腕: バトルヴィブロクロウ 50 kg 装甲: 通常型 100 kg 装甲値: 2 + 1 (兵士) 装備欄数 武器・装備 配置 (能力) 重量 対歩兵武器搭載装置 右腕 1 5 kg 対歩兵武器搭載装置 左腕 1 5 kg マグネティッククランプ 胴体 1 30 kg メカニカルジャンプブースター - - 50 kg
中心領域バトルアーマー
グレイデス・ストライク GRAY DEATH STRIKE
3074年、グレイデス・テクノロジーズ社が事実上壊滅したことで、グレイデス・ストライク(GDストライク)の開発は突如として中断された。生き残ったプロトタイプはワード・オブ・ブレイク相手に期待されていた以上の戦果を上げたのだが、ワードがグレンガリーのバトルアーマー製造拠点に大打撃を与えたので、GDTは旧式スーツすら生産不可能となったのである。加えて、GDTの後援者であるディファイアンス工業がこの企業の支配権を得ると、すべてのバトルアーマー製造をフリーロの拠点に移すと決定し、長年にわたり続けられてきたグレンガリーでのバトルアーマーの生産は完全に停止した。
GDストライクのプロトタイプは氏族製の先進SRMシステムを装備していた。ディファイアンス工業は中心領域に友好的な氏族からこのランチャーを定期的に入手しようとしたのだが、ダイアモンドシャークでさえも、フル生産するのに充分な兵器の供給をしなかった。交渉が続いているかは不明であるが、3080年前半、GDストライクアーマーは中心領域のミサイルシステムで再設計され、年末までにはフル生産が可能となった。
このプロトタイプに大型のランチャーを搭載するため、設計士たちは別の部分を削除した。ふたつのバトルクロウが外され、代わりにより軽いふたつの通常型マニピュレーターが搭載され、またランチャーの弾倉も2射分に減らされている。このランチャーが通常の中心領域製であるという事実により、有効射程範囲は減少している。これはスーツの性能を大きく殺ぐものだ。だが、このミサイルシステムは発射後には投棄して新たな機動力を得ることができる。またGDストライクアーマーは、右腕にTAGを取り付けていることから、準誘導間接砲・ミサイルを誘導する観測手となることができる。兵士たちの一部はミサイルの弾薬を欠いていることと、補助兵器がないことに不満を述べているが、戦果と戦場からの報告はきわめて有望なものである。
これらの矛盾する意見は、着用者のこのスーツに対する誤解から来ている。バトルアーマー・パイロットの多くは、攻撃スーツの訓練を受けており、戦場の支援機として活動するという考えには慣れていないのだ。支援的な役割を果たすことで、バトルアーマー兵が生き残るチャンスは大きく増えるのだが、GDストライク兵の多くは戦闘の中心に突っ込むことを望んでいるのだ。
グレイデス・ストライクアーマーはよく旧式であるグレイデス通常型スーツと共に投入される。そのような編成での一般的な戦術は、ストライクスーツが最も装甲の厚い敵、陣地にミサイルの弾幕を浴びせ、それから通常型スーツが直接射撃兵器を使って残されたものを蹂躙することである。
450キログラムの通常型装甲を持つグレイデス・ストライクアーマーは、現在生産されている中心領域製中型スーツの中で最も装甲が厚い機種の一つであり、バトルメック兵器の多くに耐えることができる。ジャンプ能力を欠いているこのスーツは、きわめて強力な地上移動システムを持ち、開けた地形では時速32kmで移動可能である。小さな障害にも隠れられる能力は、スーツの大きさ、比較的高速なこととあわせ、ロックオンするのを非常に難しくしている。
現在、GDストライクスーツはライラ共和国のみに売却され、聖戦で大打撃を被ったバトルアーマーの損失を埋めている。これらのスーツは元自由世界同盟の断片となった世界に対する小規模な襲撃で主に使われている。共和国が唯一の買い手である一方、ディファイアンス工業は自社の保安部隊に多数を使っている。高額になるのだが、これらのディファイアンス保安モデルは、GDストライクスーツの生産モデルではなく、氏族技術を装備したプロトタイプであるかもしれない。この噂が本当であろうとなかろうと、ディファイアンスはこの2年間、防衛部隊を配備する必要がなかった。それにも関わらず、奇妙な生産数とコストから、なにかが起きていることが分析できる。
タイプ: グレイデス・ストライクアーマー 製造元: ディファイアンス工業 主工場: フリーロ 技術ベース: 中心領域 シャーシタイプ: 人型 重量等級: 中量級 最大重量: 1,000 kg バトルバリュー: 42 集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/可 付記: 以下の機種別特徴を持つ。敵を困惑させる外観。 装備 装備欄数 重量 シャーシ: 175 kg 移動システム: 地上 MP: 3 80 kg ジャンプ MP: 0 0 kg マニピュレーター: 左腕: 通常型マニピュレーター 0 kg 右腕: 通常型マニピュレーター 0 kg 装甲: 通常型 450 kg 装甲値: 9 + 1 (兵士) 装備欄数 武器・装備 配置 (能力) 重量 ライトTAG(60射) 右腕 1 35 kg 対歩兵武器搭載装置 左腕 1 5 kg SRM-3(2射) 着脱式ミサイルラック 胴体 3 250 kg
中心領域車両
スカルカーMK.II SKULKER MK.II
重量: 20 トン 移動: 装輪 パワープラント: GMエレクトリック120燃料電池 巡航速度: 75 キロメートル/時 最高速度: 118 キロメートル/時 装甲板: プロテクテック・ライト 武装: インテック・ヘルボアラー中口径レーザー 3門 製造元: ジョイント・イクイップメント・システムズ 主要工場: パンポール 通信システム: コミュケ・イクイップメント(エンジェルECM付属) 照準・追尾システム: ターゲティングシステム2.3(ブラッドハウンドアクティブプローブ付属)
概要
人気のないJESIタクティカルミサイルキャリアをデビューさせた後、ジョイント・イクイップメント・システムズ社は評判と顧客の受けが大幅に低下した。生き残った各大手兵器製造業者は顧客を見つけるのに苦労しなかったのだが、JESは低価格な車両の多くを赤字で売却せねばならなかった。
この企業は、タクティカルミサイルキャリア以上の製品を提供できると市場に知らせる必要があることに気がついていた。パンポールでの選択肢は限られており、最新技術の入手は続行中の聖戦によって妨げられた。幸運なことにジャラスター・エアロスペース社との関係が報われ、共同開発により新型のブラッドハウンド・アクティブプローブとエンジェルECMシステムが生まれた。
JESの設計士たちは、この技術を素早く導入するには、古びたスカルカー偵察車の生産ラインに組み込むのがベストだとわかっていた。時代遅れで役立たずな車両だと考えられていたのだが、スカルカーの核融合エンジンは最新電子装備の搭載を可能にした。旧式のレーザーはスーテル・プレジションラインER中口径レーザーと交換された。完成したX-5型プロトタイプは目標を適切に達成したかのように見えた……新型の電子装備を展開するのに有用なプラットフォームであり、兵站は多く必要とせず、戦場で長期間活動でき、武装は強化された。
X-5は顧客を惹きつけるには高価すぎると後になって判明した。核融合エンジンによって上がった価格は、顧客が比較的損耗しやすい偵察機種に支払える額を超えており、移動システムが車輪だったことでさらに抵抗感が増した。
JESマーケティング部門のレノア・ヴィンセントは、リース・プログラムを考案してこのプロジェクトを救い、社から功績を認められた。各X-5プロトタイプは、名目上のリース費用だけで有名傭兵部隊いくつかに貸し出された。このスキームからの収入はわずかだったが、極めて高度で機能的な戦闘車両をJESが生産できるのを証明するという目標は達成されたのである。
その間、スカルカーの改修に適した燃料セルエンジンを生産するため、JESはパンポールのエンジン生産拠点に投資した。作業は3081年に完了し、3082年までに、新型スカルカーMk.IIが顧客向けに出荷された。この新しいエンジンによって、インテックレーザーへのダウングレードが余儀なくされ、全体的に速度が低下した。だが、このスカルカーはいまだエンジェルECMを使って攻撃を避けるのが可能であり、同じくブラッドハウンド・アクティブプローブを搭載し続けている。これによってスカルカーの偵察車としての性能は大きく向上したのだった。
性能
X-5より足の遅いMk.IIは、それでも原型のスカルカー装輪偵察車と同じ速度である。これは想定されている配備の大多数にとっては適切であり続けており、主砲の射程短縮についても動揺である。この大量生産モデルとプロトタイプの両方をよく知る戦車兵たちは、燃料セルエンジンに切り替えられたことで燃料が必要になったことを嘆いている。
配備
スカルカーMk.IIはすべて、恒星連邦の各所(長期契約にある傭兵部隊含む)に出荷されている。正確な販売データは存在しないが、AFFSでの配備は比較的多岐にわたり、各部隊が少なくとも数両の見本を手に入れようとしているのが示唆されている。エンジェルECMとブラッドハウンド・プローブの両方を安価に展開する手段がほとんどないことが、この決断に影響していることは間違いない。恒星連邦以外の国家と傭兵はこの車両を保有していないが、傭兵との長期契約のいくつかはまもなく終わることから、スカルカーMk.IIがダヴィオン家の雇用の外に出る可能性が生まれている。
派生型
スカルカーMk.IIの工場派生型は存在しないが、パンポールの衛星のひとつクレイゴールでJESによる環境密閉型の試験が行われているとの噂が存在する。これには大幅な改造が必要となり、エンジンと電子装備のレイアウトがどうなってるかは不明である。アイリシアン槍機兵団の第4特戦隊はスカルカーの装甲を外して、任務に応じた追加装備と補給物資を載せることで知られている。
タイプ: スカルカーMk.II 技術ベース: 中心領域(先進) 移動: 装輪 重量: 20トン 戦闘価値: 454 装備重量 内部中枢: 2 エンジン: 120 5 タイプ: 燃料電池 歩行: 7 走行: 11 放熱器: 3 2 操縦装置: 1 浮上装置: 0 補助動力: .1 砲塔: 0 装甲板: 72 4.5 装甲値 前面 18 右/左側面 18/18 背面 18 武器・装備 配置 重量 中口径レーザー 砲塔 1 エンジェルECMスート 胴体 2 ブラッドハウンドアクティブプローブ 胴体 2 付記: 以下の機種別特徴を持つ。 低性能、精密兵器(中口径レーザー)、トレーラーヒッチ。
氏族プロトメック
スヴァルトアールヴ・ウルトラ・プロトメック SVARTALFA ULTRA PROTOMECH
重量: 14 トン 移動: SVA-14グライダー パワープラント: 60核融合 巡航速度: 10 キロメートル/時、43 キロメートル/時(グライダー) 最高速度: 10 キロメートル/時、64 キロメートル/時(グライダー) 装甲板: ウルトラプロト・スタンダード 武装: 中口径ケミカルレーザー 2門 ストリークSRM6ランチャー 1門 マシンガン 1門 製造元: スヴェーデンボリ重工業 主要工場: キルヒバッハ 通信システム: プロト・タイプ4 照準・追尾システム: SAT-PM 1
概要
ダイアモンドシャークの貿易使節団から得た情報によると、ヘルズホース氏族が軽量級もしくは超軽量級のLAMを開発しているとの噂が複数存在していたようだ。遠方から撮影された画像もあったが、空を飛ぶ能力を持つということ以外、わかることはなかった。さらなる情報を求める作戦はすべて失敗に終わり、LAMが存在するという証拠のかけらさえも得られなかった。
六ヶ月前、ウルフ氏族がスヴァルトアールヴの実弾テスト対象となった。ウルフはスヴァルトアールヴがなんなのか知らなかった。メックにしては小さすぎ、バトルアーマーやプロトメックにしてはタフだった――彼らはそう考えた。彼らはついに理解することができたが、戦士たちにスヴァルトアールヴとの戦いを教えるのにはしばらくかかりそうだ。
性能
スヴァルトアールヴは巨大である。既存のプロトメックより1.5倍の重量を持ち、たいていの20トンバトルメックより厚い装甲を積んでいる。ヘビーガウスライフルの一発を至近距離から胸に食らってもなお移動し続ける事ができる。スヴァルトアールヴは、このような重プロトメックとしては恐ろしいことに、地面を非装甲歩兵よりも早く移動することができない。だが、カナズチ・バトルアーマーをイメージする前に、スヴァルトアールヴがLAMからそう遠く存在であることを知るべきである。本機種は気圏戦闘機にトランスフォームすることはできないが、限られた飛行能力を持つ。地面効果翼を使って、時速60キロメートル以上で地表の上を滑空できるのだ。スヴァルトアールヴは他の車両に頼って輸送されることから解放されている上、自由に戦場を動き回れるのだ。
タフで機動性のあるスヴァルトアールヴはパンチ力も持っている。ケミカルレーザー2門は、核融合でチャージする氏族製レーザーと同じ火力ではないが、中心領域のレーザーと同等である。ストリーク6連ミサイルは追加の火力を供給し、レーザーで空いた穴を利用することができる。対人支援用に、通常型マシンガンが大量の弾薬と共に胴に組み込まれる。ケミカルレーザーに燃料が必要なことは継続性を制限するが、通常のレーザーと違って放熱器を必要としないため、装甲を厚くすることが可能となり、ストリーク・ラックを組み込むことができた。
一目でわかる外見的違い以外にも、スヴァルトアールヴはほかのプロトメックとの違いを持つ。コクピットは通常のプロトメックより50パーセント大きい。大型の機体はさらなる制御を必要とする一方で、背の高いパイロットを考慮に入れてある。エレメンタルとして生まれたパイロットはスヴァルトアールヴに乗れるかもしれないが、小柄なパイロットにぴったりあうよう容易に調整可能である。ウィング・システムは輸送用に折りたたみ可能な上、地上において優れた機動力を提供する。折りたたみ式であることは、翼の強度も火力吸収能力も妨げてはいない。
配備
スヴァルトアールヴは最高の部隊の最高のパイロットにのみ託される。幾度かウルフに対する襲撃で使われたが、敵の防衛軍を打ち破り、有用性を証明してみせた。プロトメック1機相手に、中重量級メックを展開せねばならないことはウルフのメック戦士を苛立たせた一方で、バトルアーマーを使おうという試みは、装甲、火力、機動力で劣っていたことから失敗した。スヴァルトアールヴは自分たちより遙かに複雑な編成の部隊を相手にする、リソースの少ない部隊に提供される。こうすることによって、重量のある部隊が、数の少ない敵に専念できるのだ。
派生型
長距離戦を念頭において、ヘルズホースの科学者は胴に15連長距離ミサイルを搭載するのに成功した。その後、彼らは空間的余裕があることに気づき、もう1門の主砲を追加した。若干の装甲を取り外すことが必要となったが、このバージョンは持久力があり、10射分の弾薬を持つ。装甲が減ったにも関わらず、その優れた射程と火力は戦場で有効であると証明された。LRM装備のスヴァルトアールヴ1個ポイントと同行した観測機1機は、ウルフのメック星隊に、ベイン1機が森の後ろに隠れていると勘違いさせた。機動力を持ったスヴァルトアールヴは、観測機の陣地を交代し、ウルフを痛めつけようとした。観測機をすり抜けたウルフは森の中心に集まり、なにもないのを見ることとなったのだった。
タイプ: スヴァルトアールヴ・ウルトラ・プロトメック 技術ベース: 氏族プロトメック(アドバンスド) 重量: 14トン 戦闘価値: 540 装備 重量(KG) 内部中枢: 1400 エンジン: 60 1500 歩行: 1 走行: 1 WiGE巡航時: 4 WiGE限界時: 6 放熱器: 0 0 操縦機器: 750 装甲板: 65 3250 内部中枢 装甲 頭部: 4 9 胴中央: 14 23 左/右腕: 4/4 6/6 脚: 8 14 主砲: 2 2 武器・装備 配置 重量 中口径ケミカルレーザー 右腕 1000 弾薬(MCL)15 - 500 中口径ケミカルレーザー 左腕 1000 弾薬(MCL)15 - 500 マシンガン 胴 250 弾薬(MG)50 - 250 ストリークSRM6 主砲 3000 弾薬(ストリーク)10 - 600
中心領域バトルメック
ウルサス3 URSUS 3
重量: 50 トン シャーシ: バーガンXIV パワープラント: 核融合200 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 64 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: コンパウンドA2・フェロファイバー(CASEII付き) 武装: OVR-Pプロトメック・オートキャノン 2門 モデルVi・強化ヘビー中口径レーザー 2門 タウII・対人ガウスライフル 3門 タイプ10x長射程火炎放射器 1門 製造元: ベルガン工業 主要工場: アルシャイン 通信システム: ガレットT10B(ウォッチドッグCEWS付き) 照準・追尾システム: RCAインスタトラックMk.VI(ウォッチドッグCEWS付き)
概要
ウルサスPRは実験段階のシステムを既存の技術に統合するためのテストベッドとなった。シンプルで実証済みのシャーシを持つウルサスは、この役目のプラットフォームとして理想的だった。だが、3078年12月31日の事件によって、ウルサスPRは、ベルガン工業が出荷する最も不吉なメックのひとつとして、生産に入ることとなったのである。
このオムニ=パラダイス爆破事件は、ゴーストベア氏族との統一に対するラサルハグ人の態度のターニングポイントとなった。分離した社会としては普通のことだが、ラサルハグ人の一部は氏族に加わるのに熱心で有り、一部は敵対的であり、たいていは昨日と同じ今日を求めているだけだった。もしかしたら、よりよい今日を。モトスタンドの抵抗運動は、氏族の支配なしの生活がよいのかどうかを問い続けることで、この態度を利用していた。モトスタンドの軍事部門は暴力に訴えるが、それは小規模かつ氏族を目標にしたもので、自由サラルハグ共和国の歴史を考えると、当然のものだった。オムニ=パラダイス爆破は、大規模で、公的なもので、共和国の英雄を一人殺した。クリスチアン・マンスドッターは、氏族の協力者かもしれないが、彼の共和国に対する忠誠と愛情を疑うものはなかった。爆破犯がラドスタットから回収されたブレイク派の装備を使ったとの文章がアルシャイン・インクワイアラーにリークされると、広報活動の失態は災厄になった。民間部門の異議申し立てにもかかわらず、モトスタンドはほんの数日で、認められた存在から触れたくない存在に変わったのである。
性能
3079年までに、ウォッチ/ミミルのハイブリッドは有効な対ゲリラ部隊となっていた。戦闘部隊であるとの公の印象にもかかわらず、その大きな成功は、ミミルが持つ古い反乱軍とのつながりを使って、抵抗活動を平和交渉の場に変えたところから来ていた。ウォッチは3079年後に大衆が求めるまで、固い目標に対するより暴力的なやり方に使う装備を持っていなかった。彼らが必要としていたのは、ジェイドファルコンの暴動鎮圧用戦車のようなものだった。データベースの調査によって、ウルサスPRが理想的なプラットフォームであると判明し、若干の改造のあと、このプロトタイプは三機種目のウルサス改修型として戦場に送られた。
ウルサス3は効果的な戦闘車両ではないが、もとよりそのように意図されていたわけではない。あらゆる種類の歩兵と戦うのに有効な柔軟性の高い兵器を搭載しているのである。左腕の対人ガウスライフル3門とER火炎放射器の性能は明白なものとして、右腕の新型プロトメック・オートキャノンは、民衆用のフレシェット弾や建物用の装甲貫通弾など様々な弾薬を使用できる。強化ヘビーレーザーは、固い目標に対する追加の性能を与え、ウォッチドッグCEWSは基本的な電子線能力を提供する。
根本的に速度と長射程兵器を欠いていることをのぞいて、ウルサス3最大の欠点は、大量の弾薬を積んでいることである。CASE IIはこれをある程度軽減するために使われている。CASE IIは少なくともメックを守るが、連続的な誘爆の可能性があるので、パイロットたちは装甲を奪われたら撤退するように勧められる。
配備
最初のウルサス3は3079年に配備され、3080年前半に若干の機体がこの型に改修された。ウォッチの装備に不可欠なものとされていることから、ドミニオン中の世界に供給するため、3085年までにフル生産となった。この役割を考えると、本機種はメック戦士が好む乗機ではなく、敬遠されている。しかし、テストダウンしたメック戦士が補充されるウォッチでは、メック戦士が昇進することはほとんどないので、パイロットを探すのに苦労はなかった。
ウルサス3は通常、予備機として運用され、モトスタンドが掩蔽壕のような固い場所にこもったときに呼び出される。民間用武器の大半に耐えられるウルサス3は射程内に移動し、建物を破壊し、逃げようとしたもの全員を倒すこととなる。プレードリッツではウルサス3を暴動鎮圧機として使おうとしたが、避けられない事態が起きる前に、素早い拒絶の神判で地元のウォッチ指揮官が交代させられた。
モトスタンドがほぼ解散したことで、ウォッチがこのような重量のある機体を何に使うのかは不確かなものとなった。なので、いったん補充が終わったら、生産はスペアパーツをのぞいて終了しそうである。
タイプ: ウルサス3 技術ベース: 氏族(先進) 重量: 50トン 戦闘価値: 1284 装備重量 内部中枢: 5 エンジン: 200 8.5 歩行: 4 走行: 6 ジャンプ: 0 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 2 操縦機器: 3 装甲板: 163 8.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 16 25 胴中央(背面): 7 左/右胴: 12 18 左/右胴(背面): 5 左/右腕: 8 15 左/右脚: 12 23 武器・装備 配置 装備欄数 重量 2 プロトメックAC/8 右腕 8 11 弾薬(PAC)30 右胴 3 3 CASEII 右胴 1 .5 強化ヘビー中口径レーザー 右胴 2 1 ER火炎放射器 頭部 1 1 ウォッチドッグCEWS 胴中央 2 1.5 強化ヘビー中口径レーザー 左胴 2 1 3 対人ガウスライフル 左腕 3 1.5 弾薬(対人ガウス)80 左腕 2 2 CASEII 左腕 1 .5
氏族バトルメック
マッドキャットMK.II強化型 MAD CAT MK. II-ENHANCED
重量: 90 トン シャーシ: DSAM エンドー4 パワープラント: タイプ79 360XL核融合 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 ジャンプジェット: グランドスラストMk.5 ジャンプ能力: 120メートル 装甲板: ダブル・フォージドZX20硬化型(CASE付) 武装: スターライトC2・長射程大口径パルスレーザー 2門 シリーズ2b・長射程中口径レーザー 2門 タイプX"ショートボウ"LRM10ランチャー 2門 製造元: プラントDSF-IT1 主要工場: イタビアナ 通信システム: メガバンド・システム21 照準・追尾システム: ディートラック・スート4
概要
長年の間、ベストセラーだったのだが、より現代的なメックが登場したことから、マッドキャットII原型機の売り上げは3080年前後から下がり始め、それが続いていた。マッドキャットII強化型の開発(マッドキャットIIの栄光を取り戻すことを意図していた)は3082年に始まった――ダイアモンドシャークの宣伝文句によると最初の「改良された強襲メック」ということである。
現在の売り上げは、彼らの考えが正しかったことを証明しているようだ……このメックはダイアモンドシャークで最も売れる製品のひとつで、これに匹敵するのは新型のマッドキャットIIIのみである。このマッドキャットII強化型の登場によって、マッドキャットは三機種の派生型を生み出したこれまでで最も成功した氏族機となった。
最終設計型は3084年半ばに生産に入り、これはマッドキャットII原型機の異様に短い開発期間と似通っていた。これは普通なら、急いで生産に入り、実地試験と問題解決の時間がなかったことを意味するが、今回はそうなっていない。この強襲メックは問題や設計ミスの兆候を見せておらず、それどころか見事に動作しているのだ。
性能
マッドキャットII原型機のような打撃力は持っていないのだが、マッドキャットII強化型は遙かに大きいダメージを受けることができる。25トンもの硬化型装甲(hardened armor、このメックが開発されるわずか1年前に大量生産開始した)を搭載しているこの90トンメックは、ほとんど無限の砲撃を受けることができる。中心領域の設計士たちはこのメックをでかい図体と呼んでいるが、氏族たちはそれについて気にしてないようだ。彼らにとって、効率性は美しさにまさるのである。それにも関わらず、マッドキャットII強化型はまだマッドキャットに似ている。
実験段階を終えて、3084年から大量生産されている長射程パルスレーザーは、ダイアモンドシャークが見逃すことができなかったものである。このマッドキャットII強化型は、2門のスターライトC2・長射程大口径パルスレーザーを積んでおり、強力な長距離火力を与えられている。このレーザーは原型機にあった旧式の10連長距離ミサイルランチャーでバックアップされる。なぜダイアモンドシャークが大型ランチャーを搭載するチャンスをふいにしたかは不明である。
接近戦用に、マッドキャットII強化型は2門のシリーズ2b・長射程中口径レーザーを持ち、ミサイル・ランチャーの弾薬が切れたときか、あまりに近くで戦闘が始まったときのバックアップとする。120メートルのジャンプ範囲を利用するこの機種は、背後から素早く敵を叩き、それからオーバーヒートのリスクを冒すことなく、ジャンプで消えていくのである。
配備
マッドキャットII強化型は、すべての中心領域氏族の氏族軍で見られる。これはノヴァキャットや放浪ウルフの中でさえもだ。このふたつの放棄された氏族は、他の氏族からの政治的圧力により、ダイアモンドシャークから直接購入することはできないが、仲介役を通して購入可能である。
このメックはウルフが多量に採用している。ヘルズホースとの国境紛争でこのメックはきわめて有用だと証明されている。2機のマッドキャットII強化型がゼルブリゲンに則り戦ったとの証拠のない報告が存在する。装甲が厚いことから、この決闘は他の戦闘よりも長く続き、両メックが崩壊して終わった。我らはこれらの噂が本当だと確かめることはできなかったが、装甲が吸収できる打撃の量を考えると、もっともらしく聞こえるものである。
ゴーストベア・ドミニオンはこのメックを二線級部隊に配備し始め、恐るべき火力をサラルハグ出身の兵士に託している。
タイプ: マッドキャットMK.II強化型 技術ベース: 氏族(先進) 重量: 90トン 戦闘価値: 2732 装備重量 内部中枢: エンドースティール 4.5 エンジン: 360XL 16.5 歩行: 4 走行: 5 ジャンプ: 4 放熱器: 18[36] 8 ジャイロ: 4 操縦機器: 3 装甲板(硬化型): 200 25 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 29 30 胴中央(背面): 15 左/右胴: 19 22 左/右胴(背面): 8 左/右腕: 15 20 左/右脚: 19 23 武器・装備 配置 装備欄数 重量 ER大口径パルスレーザー 右腕 3 6 ER中口径レーザー 右腕 1 1 LRM10 右胴 1 2.5 弾薬(LRM)12 右胴 1 1 LRM10 左胴 1 2.5 弾薬(LRM)12 左胴 1 1 ER大口径パルスレーザー 左腕 3 6 ER中口径レーザー 左腕 1 1 ジャンプジェット 右胴 2 2 ジャンプジェット 左胴 2 2 付記: 硬化型装甲によって走行MPが1減少。 以下の機種別特徴を持つ。防護型間接、補助座席。
中心領域戦闘機
ルシファーIII LCR-3 LUCIFER III
重量: 65 トン フレーム: シピル300 パワープラント: エダシクモータース195XL 装甲板: シピルスーパーフェロアルミニウム 武装: ディファイアンス・ダイアルスコープ・モデルA・ボンバストレーザー 1門 コベントリ・コメット・長射程ミサイルランチャー 2門 ディファイアンス・X5M・中口径Xパルスレーザー 製造元: シピル・カンパニー 主要工場: スカイア 通信システム: O/P AIR 900 照準・追尾システム: O/P 3000
概要
聖戦で発生した数多の損害の中に、ルシファーを生産していたロッキード/CBM社のドネガル工場がある。長きにわたってルシファーはライラ航空宇宙軍の必需品であり、ドネガルの工場と共にルシファーが失われてしまうのではないかと危惧されている。最終的に生き残れるかどうかは、試験状態にある実験型が鍵になるだろう。
ザイドリッツ戦闘機の製造業者、シピル・コーポレーションがルシファーの実験版(兵器の試験プラットフォームとして予定された)を生産する任務を課されていた。LCF-X30と名付けられた機体は3074年に完成した。エクストラライト核融合エンジンが使える重量を大きく増やしたが、内部のスペースもまた奪っていった。プロジェクトの技術スタッフにとって、予定されていた兵器パッケージをフレームに組み込むのが最も困難な課題となった。プログラムの他部分は遙かに円滑に進んだ。
スカイアでのトライアルは有望であったことから、ライラの高官たちはLCF-X30の量産バージョンについて考え始めた。あいにくにも、必要な部品のいくつかはまったく足りてないか、単純に存在しなかった――ルシファーのエアフレームもそうだった。ロッキードのドネガル工廠は灰になり、この戦闘機の基本構造を生産する施設はなかった。シピル社はLCF-X30プロトタイプを元に新しいフレームのリバースエンジニアに成功したが、新型ルシファーを実現するには、政界と産業界の協調が必要だった。
ライラ最高司令部がこのプロジェクトを支持したことは大いに有益だったが、3081年にスカイアが誕生したスフィア共和国に編入したあと、共和国の軍部がさらに重みを加えたのである。両国の政治的・経済的圧力を受けたシピル社はスカイアの工場をどうにか拡大してみせた。友好国数カ国の最も信頼できるサプライヤーが、新型ルシファーに使われる部品の生産に選ばれた。新造のエアフレームと専用の兵器を使っていたことから、この機体は新型の戦闘機、ルシファーIIIとして披露されることになった。
性能
ルシファーIIIは、たいていの気圏戦闘機が交戦できないような遠距離での交戦用に作られている。コベントリ・コメット・長射程ミサイルランチャー2門を搭載し、氏族機に匹敵する最大射程から攻撃可能である。この長距離弾幕能力は、最新型戦闘機の強化された機動力とスピードを相殺するためのものである。
接近戦用に、ルシファーIIIはもともと強力なバイナリレーザーシステムを搭載していたが、熱問題が繰り返し発生したことから、設計チームは別の解決法を探さねばならなかった。1門のディファイアンス・ダイアルスコープ・モデルA・ボンバストレーザーが、ほぼ同じ火力と判明し、熱はもっと管理しやすかった。扱いやすかった上に、ミサイルランチャーの弾薬を2倍にすることが可能となったのである。
最大噴射、機動性、許容応力は、ライラ主力戦闘機の誤差の範囲内に収まっている。ルシファーIIIには、強化型のエレクトロニクスと、背中に食らいつくのを思いとどまらせるための機尾中口径Xパルスレーザーが搭載されている。ライラ最高司令部の一部はルシファーがお払い箱になると予想していたが、ルシファーIIIは年老いた軍馬に新しい命を与えたのである。
配備
シピル社は最初の生産分を、地元の連帯の印として、スカイア・イェーガーズに出荷した。ドネガル防衛軍もルシファーの工場があった記念として初期の出荷分を受け取った。以降、王室親衛隊、ライラ防衛軍、ライラ正規隊が新型ルシファーIIIを要請している。旧型と同じように、本機はライラ気圏戦闘機部門の主力となっている。
スフィア共和国において、ルシファーIIIはいくつかの部隊、特にハスタティセンチネルやプリンキペスガードでまとまった数が存在する。
タイプ: ルシファーIII(先進) 技術ベース: 中心領域 重量: 65トン 戦闘価値: 2356 装備重量 エンジン: 195XL 4 安全噴射: 5 最大噴射: 8 中枢強度: 6 放熱器: 13[26] 3 燃料: 400 5 操縦機器: 3 装甲板: 376 21 装甲 機首: 119 両翼: 86/86 後面: 85 武器・弾薬 配置 重量 熱 近 中 遠 超遠 ボンバストレーザー 機首 7 12 12 12 - - 長射程LRM10 右翼 8 6 6 6 6 6 弾薬(ELRM)18 - 2 長射程LRM10 左翼 8 6 6 6 6 6 弾薬(ELRM)18 - 2 中口径Xパルスレーザー 機尾 2 6 6 - - - 付記: 以下の機種別特徴を持つ。脱出困難、操縦容易、補助座席。
氏族降下船
アウトポスト・ディフェンダー OUTPOST DEFENDER
3081年1月12日、ウルフ氏族ガンマ銀河隊の記章を帯びたブロードソード級降下船3隻が、チェストレグの空に飛来した。神判は宣言されなかったが、タマラーはヘルズホース氏族が宇宙のどこにいるのか思い知らせてやる時が来たと感じていたのである。ブダペストとセゲドを避けたウルフの小部隊は、惑星の反対側にある二番目の工場を狙った。この部隊が目標に近づくと、警報が鳴り響き、先頭のブロードソードが火の玉となって空から落ちた。戦闘機のため必死に空をスキャンした残りの降下船は、高度を下げ、急いで着陸し、すぐさま敵降下船からの砲撃を受ける羽目になった。次に何が起きたかは確かでないのだが、地上で破壊されるのを避けるため両降下船が離陸した一方、メックは間接砲を排除するために前進した。要塞に挟まれ、地上の降下船から砲撃を受けているとの報告をメックから受けた二隻目のブロードソードは、支援をしようとしたが、艦載級ミサイルで撃墜された。最後のブロードソードは脱出し、中心領域はアウトポスト・ディフェンダーを知ったのだった。
ヘルズホース氏族軍に関する他の報告と同じく、詳細は大まかなものである。ヘルズホース氏族は機動強化防衛地点のようなものとしてアウトポストを改造したようだ。参考にしたフォートレス級と同じように、これらの改造型アウトポストは、機首に間接砲を取り付けているが、フォートレスとは違って、2門のキラーホエールミサイルを搭載している。結果は奇妙な組みあわせである。艦載級ミサイルと間接砲は、目的が違うものであり、混乱した戦術オプションが残された。
通常のドクトリンが示唆するところでは、このアウトポストは原型機(固い防衛を突破できる高速降下船)の強化型である。これは地表ではわからなくもないが、2門の艦載級ミサイルは艦載級兵器として考えると最小限のものである。実際に、この改造型降下船はこの部分でたいして性能が上がってないのに、輸送能力の大半を犠牲にしているのである。
ウルフ氏族による攻撃失敗は、別の見方を示すものである。地上に陣取ったアウトポスト・ディフェンダーは機動惑星防衛システムとして機能することができる。降下船であることから、必要なところに移動するのが比較的簡単なのだ。間接砲がこの役割上、大きな意味を持つ。対空システムとして使える上に、降下船周辺を支配下に置けるからだ。ウルフ氏族の報告は、地上の降下船の周辺に野戦強化陣地が築かれていることを示唆している。兵士を載せていることと、その武装をあわせて考えると、アウトポスト・ディフェンダーを攻撃するのは比較的危険なことと言えよう。
重要な問題は、これら包囲戦術の有効性である。搭載された武装の実用的な射程は比較的短いものであり、アウトポスト・ディフェンダーの影響範囲を制限することになる。これら地上の船を無視するのは簡単である。足の遅い戦車、バトルアーマーを持つヘルズホース氏族にはふさわしいかもしれないが、迂回されてしまう可能性はあまりに明白なのだ。
アウトポスト・ディフェンダー級降下船
タイプ:軍用球形型
使用:強襲降下船
技術:氏族(先進)
登場:3080年
重量:7000トン
戦闘価値:15825
大きさ
全長:127メートル
全幅:127メートル
全高:101メートル
燃料:150トン(4500)
トン/噴射日:1.84
安全噴射:5
最大噴射:8
放熱器:195(390)
中枢強度:20
装甲
機首:360
側面:355
背面:350
積荷
ベイ1:戦闘機(10機) 4扉
ベイ2:バトルアーマー(5ポイント) 1扉
ベイ3:積荷(909トン) 1扉
ライフボート:5
脱出ポッド:10
船員:士官3名、兵員5名、火器管制10名、搭乗員50名
付記:重フェロアルミニウム装甲56トン搭載
間接砲は降下船が着陸しているときにのみ使用可能
武器 戦艦用兵器攻撃ダメージ(通常) 側面(発熱) 近 中 遠 超遠 クラス 機首(168点発熱) 2 キラーホエール 8(80) 8(80) 8(80) 8(80) 艦載型ミサイル (20射) 5 アローIVミサイル 10(100) 10(100) 10(100) 10(100) 間接砲 4 ER大口径レーザー 4(40) 4(40) 4(40) 4(40) レーザー 5 中口径パルスレーザー 4(35) 4(35) - - パルスレーザー 2 レーザー対ミサイルシステム - - - - 近接防衛 左前/右前(66点発熱) 3 ER大口径レーザー 3(30) 3(30) 3(30) 3(30) レーザー 5 中口径パルスレーザー 4(35) 4(35) - - パルスレーザー 2 レーザー対ミサイルシステム - - - - 近接防衛 左後/右後(50点発熱) 2 ER大口径レーザー 2(20) 2(20) 2(20) 2(20) レーザー 4 中口径パルスレーザー 3(28) 3(28) - - パルスレーザー 2 レーザー対ミサイルシステム - - - - 近接防衛 船尾(50点発熱) 2 ER大口径レーザー 2(20) 2(20) 2(20) 2(20) レーザー 4 中口径パルスレーザー 3(28) 3(28) - - パルスレーザー 2 レーザー対ミサイルシステム - - - - 近接防衛