テクニカルリードアウト:3145
TRO:3145シリーズは、聖戦から半世紀を経たダークエイジをテーマにしたテクニカルリードアウトです。HPG崩壊が3132年、スフィア共和国のフォートレス・リパブリック発動が3135年。それから10年経った3145年が時代設定となっています。かつてのダークエイジ・シリーズに登場していた機体が多数掲載されています。
中心領域バトルアーマー
レイス・バトルアーマー Wraith Battle Armor
レイスは、通常歩兵の支援、侵入・ピンポイント攻撃を行うために作られた。50年以上前にローグ・ベアを元に作られたレイスは、ラサルハグ・ドミニオンのバトルスーツ戦力の中心となっている。限られたサイズのものしかなかった前世紀の氏族製バトルスーツとは違って、レイスは部品の交換で外観を様々に変更可能であり、体型の異なる歩兵たちにあわせて簡単に調整できるのだ。しかし、この改造は複雑な兵站網を生み出すものであり、補給部はこの機体を嫌っている。
性能
レイスのHUDは最新技術を投入しており、そのうちのひとつが自動化された驚異度優先順位システムである。これは目標のタイプと距離に応じて、アイコンの大きさ、色、形を変えるというものだ。このシステムはユーザーがカスタマイズ可能であり、10の設定を保存することができる。
この機体はまた、オムニメック・ポッドのように交換可能で装填時間を劇的に減らす革命的な弾倉を採用している。残念ながら、武器搭載装置は組み込まれていない。
配備
3137年、ラサルハグ・ドミニオンは、ドラコ連合がセオドア・クリタの死に気を取られているのを利用し、新兵たちに実戦経験を与えるため一連の襲撃を行った。第4ベア正規隊がペシュト正規隊と戦ったスカイラーにおいて、レイスは活躍し、かなりの賞賛を獲得した。0200時、ラサルハグ・ドミニオンの降下船が、クロカワ・モータープールの上空に飛来し、バトルアーマー1個星隊(ほとんどがレイス)を降下させた。このバトルスーツ部隊は、即座に3個通常歩兵中隊の激しい抵抗に遭遇した。ドミニオン軍は、3時間かけて建物から建物への戦闘を行い、残った防衛部隊を車両作業ハンガーに追い込んだ。正面攻撃が失敗したあと、スターキャプテン・ヤノスは、2個ポイントのレイスを率いて迂回攻撃を行い、残りのバトルアーマーが歩兵を足止めした。レイスは建物の屋上にジャンプし、屋根に穴を空けて、ベイの中に降り立った。次の30分間で、彼らはベイからベイへの戦闘を行い、最終的にクリタ軍を破った一方でわずかな存在しか出さなかったのだ。
ウルフ氏族がライラ/マーリック国境に移動した際、放棄された土地を巡ってファルコン、ホース、ベアが互いに争った。3137年の初期の衝突において、ラサルハグ・ドミニオンの第4ベア正規隊がヘルズホースの第666機械化強襲星団隊とニューオスロで交戦した。1日におよぶ激しい戦いの後、どちらの部隊も優勢を得ることはなかった。ホースはラサルハグ・ドミニオンの指揮官を抹殺するために1個バトルアーマー星隊を派遣した。2個ポイントのレイスが強襲の先頭に立ち、密かに敵の警戒線をくぐり抜けた。彼らは移動本部を離れていたベアの指揮星隊とエレメンタル1個ポイントを迎撃した。撃ち始めると、見張りのメックがすぐに反応したのだが、星団隊の指揮幕僚を救うのには到着が遅すぎたのだった。
この攻撃は、ドミニオン軍の首を切り落とすどころか怒り狂わせる結果となり、攻撃は勢いを増した。ホースは獲得したわずかな土地をすぐに失い、守勢に回った。2週間後、ドミニオン軍が降下船にまで近づくと、ヘルズホースはこの世界を離れた。
著名な機体
スターコマンダー・ウィルフレッド: 第666機械化星団隊の一員であるウィルフレッドは、ニューオスロでヘッドハンター部隊を率いていた。ウィルフレッドは小部隊作戦に特化した優秀きわまりない戦術家である。ニューオスロでの成功に加え、ウィルフレッドは80以上の任務に成功している。氏族基準でも無愛想で無骨とされている彼は、ブラッドネームのスポンサーを探すのに失敗してきた。彼はグランドメレーに3回入ったが、いまだ第1ラウンドには到達していない。
スターキャプテン・アンドリュー・ヴォン: ヴォンは第62機械化星団隊の伝説であり、不服の神判に敗北した最多記録を持っている……203回である。驚くべきことに、彼は重傷を負うのを免れている。立て続けの失敗にもかかわらず、彼は星団隊内で特に人気があり、神判で勝利する力がないように思えるが戦場での活躍は際だったものである。6度、実戦で負傷した彼は、普通でないやり方として美顔処置を受けている。
タイプ: レイス・バトルアーマー 製造元: BA工場ガンマ 主工場: メンネドルフ 技術ベース(通常型): 氏族 技術ベース(対歩兵): 混合氏族 シャーシタイプ: 人型 重量等級: 中量級 最大重量: 1,000 kg バトルバリュー: 56(通常型) 55(対歩兵) 集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/不可 付記: 以下の機種別特徴を持つ。通常でない部品。 装備 装備欄数 重量 シャーシ: 250 kg 移動システム: 地上 MP: 1 0 kg ジャンプ MP: 3 150 kg マニピュレーター: 左腕: バトルクロウ(ビブロ) 50 kg 右腕: バトルクロウ(ビブロ) 50 kg 装甲(通常型): ベーシックステルス 300 kg 装甲値: 10 + 1 (兵士) 装甲(対歩兵): リアクティブ 350 kg 装甲値: 10 + 1 (兵士) 装備欄数 武器・装備 配置 (能力) 重量 通常型 マシンガン(50) 右腕 1 100 kg マシンガン(50) 左腕 1 100 kg 対歩兵――混合技術 ファイアドレークサポートニードラーIS(30) 右腕 1 50 kg ファイアドレークサポートニードラーIS(30) 右腕 1 50 kg 強化型センサー 胴体 1 45 kg 付記: 以下の機種別特徴を持つ。混乱させる。
中心領域バトルアーマー
クィリヌス・バトルアーマー QUIRINUS BATTLE ARMOR
世紀が変わる前に登場したクィリヌス・バトルスーツは、信頼できる中量級バトルアーマーとして名を上げた。本機種は地球で生産され、元自由世界同盟領域で市場を獲得している。32世紀前半の傭兵たちもまた、雇用者から支払いの代わりとしてクィリヌスを受け取っている。
性能
派手さはないのだが、クィリヌスは歩兵用バトルスーツとして確固たる評価を獲得した。評価の多くは、爆発ダメージに有効なリアクティブアーマーから来ている。この防御力こそが旧自由世界同盟でリアクティブアーマーが人気である理由のひとつだ……各地方政府は旧同盟のミサイル兵器好きを続けているのだ。
配備
長く使われていることから、クィリヌスの使用事例は多いのだが、傭兵部隊「92奇襲部隊(Nine-two Commando)」に匹敵するほどの戦果を上げた例はほとんどない。92は小規模なグループであり、かろうじて強化中隊の規模なのだが、改造されたオーロラ級降下船ラディアンスを基盤に活動している。彼らは秘密作戦、特殊作戦を専門とする……彼らの契約が1、2ヶ月以上におよぶことはないが、歩兵大隊がうらやむほどの料金を請求している。3144年のマーカスにおいて、彼らは代金以上のものを得た。
共和国レムナントに雇われた92は、マーカスの後背地にある海賊前哨基地に潜入する任務を課された。マーカスにはレッドバーンの第VIIハスタティの一部が駐屯していたのだが、RAF軍は海賊の火砲基地に突撃するには重量が軽すぎたのである。92の計画立案者は、中隊のインフィルトレーターMkII小隊が夜間攻撃し、残りが攻撃のふりをするという作戦を選んだ。陽動攻撃は、大部分、アリス・オクィン中尉の小隊が実行し、92のVTOL飛行隊が支援することとなった。
陽動攻撃は夕暮れ直後に始まった。オクィン中尉のクィリヌス小隊は、借り受けたハスタティのAPCから下りて、LRM射程外に姿を現した。海賊のJESキャリアー数両が前進し、撃ち始めたが、オクィンの小隊は遮蔽とリアクティブアーマーを使ってこの攻撃を切り抜けた。いらだったJESの指揮官は海賊の即応部隊を呼び出した。この部隊はバトルスーツを追い払うために火砲基地から出動した。海賊が門を開け放つと、オクィンは隠蔽した待ち伏せ地点に後退する一方、インフィルトレーターMkIIがステルスVTOLで展開した。火砲基地からの救援要請が届いたのは、オクィンのクィリヌスがハスタティに支援を受けて、待ち伏せを仕掛けたときのことだった。それは数分以内に終わった……火砲基地から切り離された海賊たちは荒野へと逃げ込んだのだった。
3142年のザヴィザヴァで、不満分子の小グループがハリウェル市外部にある常備防衛軍のほぼ空の武器庫に突入し占拠した。フォートレスの中でRAFと共和国政府の改革に腹を立てていた彼らは、人質を取って、ザヴィザヴァ政府に変化を拒否するように要求した。この世界に残された軍隊は、エリー・パーヴィス軍曹に指揮されるクィリヌス1個分隊のみであった。出動を命じられたパーヴィス軍曹と分隊が本件に対応した。交渉から10時間で、不満分子たちは正常な思考を失っており、聞く耳を持ってないことが明らかになった。決意を示すために彼らが人質の一人を殺害した後、パーヴィス軍曹は、フェイスプレートを留めて、分隊を率い、不満分子たちが隠れている掩蔽壕に入った。
バトルアーマーですら、弾を通さないわけではない。パーヴィスの兵士たちのうち2名が掩蔽壕を守る手動兵器で負傷したが、最終的にパーヴィスと部下が掩蔽壕を突破し、犯罪者たちを攻撃した。人質を危険にさらしたくなかった彼らは、格闘戦で不満分子を攻撃しようとしたが、子供を盾にした首謀者に対して、軍曹はライトガウスライフルを使わざるを得なかった。閉鎖空間でガウスライフルを使ったことより、ほとんどすべての人質が鼓膜破裂し、数名が跳弾と破片で負傷したが、誰も死ぬことはなかった。
著名な機体
アリス・オクィン大尉: オクィン大尉は、マーカスでの契約後、92奇襲部隊の副指揮官に昇進した。彼女は軍隊での全キャリアをクィリヌス・スーツの中で過ごしたが、最初にスーツを使ったのは、ゾスマの常備防衛軍にいたときのことである。副指揮官として、彼女は部隊内にかなりの影響力を持つことになったが、追加のクィリヌス・バトルスーツを購入することはなさそうだ。このバトルアーマーは耐久性こそあるものの、特殊作戦には向いてないからだ。
エリー・パーヴィス軍曹: ザヴィザヴァの英雄であるパーヴィス軍曹と分隊は、ストーン・ラメントに異動となった。彼女はラメントで優秀さを見せ、現在ではホープウェル大佐と共にストーンの護衛を任されている。彼女はこれまでのところ、より評価の高いバトルスーツに交換するのを拒否している。
タイプ: クィリヌス・バトルアーマー 製造元: スターコープス工業 主工場: 地球 技術ベース: 中心領域(先進) シャーシタイプ: 人型 重量等級: 中量級 最大重量: 1,000 kg バトルバリュー: 42(ディヴィッド) 42(GL) 42(MG) 集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 可/可/可/不可 装備 装備欄数 重量 シャーシ: 175 kg 移動システム: 地上 MP: 1 0 kg ジャンプ MP: 3 150 kg マニピュレーター: 左腕: 通常型マニピュレーター 0 kg 右腕: バトルクロウ(ビブロ) 50 kg 装甲: リアクティブ 480 kg 装甲値: 8 + 1 (兵士) 装備欄数 武器・装備 配置 (能力) 重量 武器搭載装置 左腕 1(2) 10 kg ディヴィッド・ライトガウスライフル(20) 1 100 kg グレネードランチャー(20) 1 100 kg マシンガン(50) 1 100 kg ライトTAG(60射) 右腕 1 35 kg
氏族車両
ナコン装甲偵察車 Nacon Armored Scout
重量: 20トン 移動: 装輪 パワープラント: スターファイア180XL核融合 巡航速度: 108 キロメートル/時 最高速度: 162 キロメートル/時 装甲板: コンパウンド・アルファ・フェロファイバー 武装: システム4・ATM-6ランチャー 1門 シリーズ34NC・ライトマシンガン 2門 製造元: トレルシェア重工業 主要工場: ズテーテン 通信システム: バシックス200 照準・追尾システム: オプティサイト12
ジェイドファルコン氏族は、スフィア共和国へのデサントに必要とされる莫大な資源を見越して、偵察・斥候星隊を強化すべくナコン装甲偵察車を開発した。最速のバトルメックを除き、ほぼすべてのメックに同行できる速度を持ったナコンは、高速打撃を実行するというファルコンの戦闘哲学に則している一方、補充が困難なジェイドファルコンのバトルメック、パイロットの代わりに安価な犠牲となるのだ。
ナコンはマヤの戦争の神から名前を取っているが、攻撃能力が限られていることを考えると、公式の名称は幾分大げさなのではないかと戦車兵たちは考えている。その名にも関わらず、ナコンは与えられた仕事を果たしており、それはトレルシェアの期待を超えるものだったのである。
性能
軽量で高速なナコンは、敵を捜索し、数発の命中弾を与え、それから仲間のバトルメックが致命的一撃を与えることを想定している。同クラスの車両の大半より多くの装甲を積んでおり、前面への集中した攻撃を耐えることができる……だが、パートナーのバトルメックが敵と交戦出来るようにナコンが離脱した時、背面の薄い装甲は問題を引き起こすことが多い。ナコンは歩兵の前衛に立ったり敵のおびき寄せを担当したとき最高の結果を残す。
配備
ナコン装甲偵察車は、大半がジェイドファルコン氏族、シーフォックス氏族の手にあるが、シーフォックスは相当数を傭兵隊に売却した。
ナコンは、ファルコンによる共和国第VIII宙域、第IX宙域へのデサントの際に、有効な働きを見せた。チャフィーの治安維持では、ファルコンに反抗する市民軍グループの鎮圧に、ナコン装甲偵察車が投入された。しかしながら、ナコンが真価を発揮したのは、3134年半ばのスカイア争奪戦だった。ウェストン・ハイツ外辺部の戦いで、共和国兵を狩り出すために、ナコンが偵察部隊の先陣に立った。ナコンは敵の攻撃を引き出すおとりとして何度も送られた。おとりを攻撃した敵は、より重量のあるファルコン戦力に飛びかかられ、重支援が来るまでナコンにしたたかに叩かれていることには気づかなかったのである。戦闘中に多数のナコンが破壊されたのだが、ファルコンはその貢献に注目した。
ナコンは氏族でない敵に対する偵察戦力の中では重要な部分をなしているが、氏族との交戦ではそうならないことが多い。3135年のズーテルメール襲撃で、第3ファルコン急襲星団隊は、第20ウルフ正規星団隊の1個守備星隊に、軽メックとナコンの1個二連星隊をぶつけた。ナコンの操縦手は、ウルフがナコンを無視して、メックに向かうと考えたが、実際には逆であった。ウルフは武器を装甲偵察車に向けることを選び、ファルコンのメックが支援する前に大半を始末したのである。
著名な機体
ポイントコマンダー・デーモン: 最初のナコンのキーを渡されたとき、ゼータ銀河隊第1混成星団隊のポイントコマンダー・デーモンが聞かされたのは、戦闘に入ったら平均で2分しか持たないだろうということだった。落胆させられたことに、彼はファルコンのデサントにおいて、数多の戦いを生き抜いたのである。エンジン区画火災と弾薬誘爆を生き抜き、ある戦いでは、ミサイルに側面のタイヤを引き裂かれて、3回も横転したが、死ぬことはなかった。デーモンは戦いの中で名誉ある死に方をしなければならなかったと信じているが、危険な状況に不用意に突っ込んで死のうとは考えていない。
戦士ヴィットーリア: シーフォックスのナコン操縦手の中で、ヴィットーリアはとんでもない向こう見ずである。彼女は不注意が原因でメック戦士の階級の神判に落ちたが、戦闘車両訓練を卒業し、スピーナ副氏族長領のデルタ・アイマグでの任務を得た。初陣となったのは、3139年のアトレウスである。彼女はナコンをレグルス兵の真ん中に突っ込ませて、死ぬ前の栄光的瞬間をつかみ取った。だが、RSMC(レグルス軍)のメック戦士たちは、メックに比べて脅威度が低いと判断し、メックの方を狙った。ヴィットーリアはこの戦術的ミスにつけ込んでダメージを与え、星隊の仲間がそこを狙えるようにした。以降、すべての戦闘で、彼女は守勢に回る振りをして、敵が星隊の仲間と交戦するのを誘い、それから戦闘に加わって撃ちまくるのである。
タイプ: ナコン 技術ベース: 中心領域 移動: 装輪 重量: 20トン 戦闘価値: 690 装備重量 内部中枢: 2 エンジン: 180 5.5 タイプ: XL核融合 巡航時MP: 10 限界時MP: 15 放熱器: 10 0 操縦装置: 1 浮上装置: 0 補助動力: 0 砲塔: 0 装甲板: 96 5 装甲値 前面 44 右/左側面 21/21 背面 10 武器・装備 配置 重量 ATM6 前面 3.5 弾薬(ATM)20 車体 2 2 ライトマシンガン 前面 .5 弾薬(ライトMG)100 車体 .5 付記: 以下の機種別特徴を持つ。整備が容易。
氏族バトルメック
コシ(通常型) KOSHI (STANDARD)
重量: 25 トン シャーシ: タイプ2・スタンダード・エンドースティール パワープラント: タイプII 175XL 巡航速度: 75 キロメートル/時 最高速度: 118 キロメートル/時 ジャンプジェット: グランドスラストMkI ジャンプ能力: 180メートル 装甲板: フォージングZM7・フェロファイバー 武装: タイプI・クロスパターンSRM4ランチャー 4門 製造元: 生産工場SFF-IT3 主要工場: CSFポセイドン・機動生産工場 通信システム: ネイル9000 照準・追尾システム: RCAインスタトラックMkVI
非オムニメック版のコシは、シーフォックスが広大な販売網を持っているおかげで、登場からすぐ中心領域中に広まった。傭兵たちはとくにコシを好んでいる。なぜなら武装が一種類なので、兵站が容易であるからだ。
性能
砲撃戦に耐えるだけの装甲がないことから、傭兵はたいていコシを偵察メックとする。メック戦士たちは特定の地域に突入し、隠れた敵を探知するためにアクティブ・プローブを利用する。コシのランチャーはしばらくのあいだ基地から離れていられるくらい充分な弾薬を積んでいる。
配備
ヴィクトリア戦争では両陣営の傭兵たちがコシを利用した。恒星連邦に雇われていたホルト・ヒルトッパーズのチャンピオン大隊は、カペラに雇われていたかつての経験を大いに利用した。ヒルトッパーズは偵察中隊(コシ1個小隊含む)をパーペチュアル・フォレストに送り込んだ。ここには、侵攻に直面して退却した傭兵部隊リーサル・インジェクションがいた。巨大な枝がコシのアクティブ・プローブを混乱させ、両軍は突如として出くわすこととなった。コシが高速であることから、戦いが面と向かっての殴り合いになることは回避された。両陣営は閉じ込められた地形の中で、機動性を最大限に利用した。
コシは巨木の枝を飛び回り、互いに武器を撃ちあった。火が付いたが、コシは素早く煙と炎を残して去った。戦いは乱戦となり、同士討ちが発生し、落とされた機体は置き去りにされた。ヒルトッパーズの数的優位が決定的な要因となった。偵察能力が排除されたリーサル・インジェクションは後退し、惑星を脱した。この世界はすぐにAFFSのものとなった。
コシは3140年にあった海賊のウィスコンシン襲撃を撃退する上でも大きな役割を果たした。ヘイトフル・サバイバーズ海賊団は退去して押し寄せ、大都市を荒らし回るために1個大隊のバトルメックが展開した。この世界の傭兵防衛軍、パンドラボックスが野蛮な海賊に立ち向かった。パンドラボックスは海賊の降下地点を探すために3個小隊のコシを送り込んだ。コシが最初に海賊の戦線をすり抜け、3機が失われた。敵の前衛部隊を置き去りにすると、1個小隊が重強襲級メックからなる海賊の指揮小隊に出くわした。通信がジャミングされ、報告を阻害されたことから、パンドラボックスのサラフィーナ・ブラック中尉は攻撃を命じた。激しい攻撃と、繰り返される一撃離脱によって、コシは敵のうち3機を破壊した。その中には海賊の指揮官がいたのである。それと引き替えにブラック中尉が殺された。他の小隊が海賊の降下船を発見し、砲撃を呼んだことは知らずに死んでいったのだった。
派生型
コシには二種類の有名な派生型がある。一機種目は、SRMラックを2門のストリークSRM6ランチャーに交換したもの。もう一機種は、SRMを、6門のヘビー小口径レーザー、MASC、先進電子装備のセット、ターゲティング・コンピュータと交換したものである。
著名な機体
候補生ソーグ、ドルヴォ、コールミデルニク: これら候補生たちは聖アイヴス軍事科学養成校で3130年のトップを争っていた。彼らのコシが消えたのは、3129年の定期的な哨戒任務中である。彼らは、3140年、傭兵ラヴァニオン・リデンプションの小隊指揮官たちとして姿を現した。彼らのコシは良い状態のままにあるが、彼らがどうやって現在の地位にたどり着いたかの謎は、聖アイヴス共和国を虜としている。ソーグは通常型コシ、ドルヴォはコシ2、コールミデルニクはコシ3に乗っている。
タイプ: コシ 技術ベース: 中心領域 重量: 25トン 戦闘価値: 760 装備重量 内部中枢: エンドースティール 1.5 エンジン: 175XL 3.5 歩行: 7 走行: 11 ジャンプ: 6 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 2 操縦機器: 3 装甲板: 67 3.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 8 10 胴中央(背面): 6 左/右胴: 6 7 左/右胴(背面): 5 左/右腕: 4 4 左/右脚: 6 5 武器・装備 配置 装備欄数 重量 2 SRM4 右腕 2 2 弾薬(SRM)50 右腕 2 2 ライトTAG 右胴 1 1 アクティブプローブ 頭部 1 1 2 SRM4 左腕 2 2 弾薬(SRM)25 左腕 1 1 ジャンプジェット 左脚 3 1.5 ジャンプジェット 右脚 3 1.5
氏族製バトルメック
ブラックホーク(通常型) Black Hawk (Standard)
重量: 50 トン シャーシ: タイプ3・スタンダード・エンドースティール パワープラント: フュージョン250XL 巡航速度: 54 キロメートル/時 最高速度: 86 キロメートル/時 ジャンプジェット: グランドスラストMk3 ジャンプ能力: 150メートル 装甲板: スタンダードYM17 武装: パターンJ4・SRM4ランチャー 4門 シリーズ7K・長射程大口径レーザー 2門 製造元: マニュファクチャリング・プラントSFF-IT5、マニュファクチャリング・サイト#3 主要工場: CSF〈クラーケン〉軌道製造施設、ニューオスロ 通信システム: ガレットT11-A 照準・追尾システム: スパー3Cタイトバンド
ヘルズホース氏族は、二線級バトルメックとして、普及したノヴァ・オムニメックの武装固定版であるブラックホークを開発した。ブラックホークは信頼性が高く、氏族占領域の限られた施設で簡単に生産することができた。シーフォックス氏族は中心領域向けに、旧式の洗練されてない安価なセンサー、兵器、通信システムを使ってブラックホークを生産した。
性能
頑丈なフレームと豊富な装甲によって、ブラックホークは同重量の中心領域バトルメックよりも敵の攻撃に耐えることができるのと同時に、低重心であることで安定性と機動力を持つ。たいていのバトルメックは、偵察、火力支援、防御など専門分野を持つところ、ブラックホークは何でも屋である。より足の速い偵察機や、優れた長距離攻撃機や、タフな格闘機が存在するかもしれないが、短距離ミサイルと長射程レーザーを組みあわせたブラックホークは、ほとんどいかなる戦闘状況にも対応できるのである。
配備
丈夫かつ安価なブラックホークは、傭兵部隊や独立惑星市民軍に選ばれる中量級バトルメックである。中心領域でこのマシンを使ってない軍隊を探すのは困難であろう。ブラックホークは氏族内でさえも(とくに放浪ウルフ、ヘルズホース、シーフォックスで)幅広く受け入れられている。
派生型
市場の需要に応じて、シーフォックス氏族は、二種類のブラックホーク派生型を用意した。ブラックホーク2は、4門のストリークSRM4を2門のATM6ランチャーに交換し、長射程、射撃精度、弾薬の選択権をもたらした。ブラックホーク3は合計6門のレーザーと、砲撃戦を続けるのに充分な追加放熱器を搭載している。
著名な機体
アブラム・エマニュエル中尉: ワイルドホースは資産奪還、人質救出、たまの懲罰攻撃などに特化した短期任務専門の傭兵部隊である。重量のあるバトルメックが敵メックと交戦し、引きつけているあいだ、アブラム・エマニュエル中尉はブラックホークを使って、機動歩兵からなる浸透・回収チームをエスコートし、支援・援護砲撃を提供する。ブラックホークのERレーザーは目標を遠距離から捉えられるのだが、エマニュエルは絶対に必要でない限り、レーザーを使うことはない。密集したフォーメーションの中で、敵を追い払うためにいつでも4門のSRM4を使うのだ――可能であれば、ダメージを最大限にするため、敵の目の前に来るまで待つ。このギリギリまで堪える戦術は、バトルメック相手では危険なのだが、軽戦車、車両、歩兵相手にはきわめて有効なのである。
シスター・アヨ・オルブムニ: 崩壊した自由世界同盟に放棄された独立世界である、資源豊富なシエンドゥは、よく海賊や領土拡大を求める近隣世界のターゲットになった。シエンドゥは立憲神権政治体制である……全惑星的な宗教であるシヴァ・ルワを信仰しない者は、国軍の入隊を禁じられているのだ。だが、か弱い獲物を予測している襲撃者たちは、シヴァ・ルワ教が戦争の商業化に反対していないという事実を知ることになる――それを教えるのは、シエンドゥ生まれの傭兵部隊、オゴウン・マシェットである。3140年のこと、深辺境を拠点に活動する海賊団、ヘリオン・ハーピーズがシエンドゥを攻撃し、惑星の主要鉱業地域4箇所に半中隊の中量級、重量級メックを落とした。ハーピーズのメック6機は、シェーヌセラ・ダイアモンド鉱山を目標とし、オゴウン・マシェットのブラックホークからなるメック小隊(シスター・アヨ・オルブムニ指揮)に遭遇した。襲撃隊のうちマーリンのみがジャンプ可能であることに気づいたオルブムニは、小隊に全機同時のアルファストライクを命じた。マーリンが撃つ前に、溶かしてやれということだ。それからオルブムニは機動防御を統制し、襲撃隊が岩場の地形に慣れていないことと、ブラックホークの優れた機動性を利用した。オルブムニは2機のラインホルダーを撃墜し、2人のシスターを支援して、ジャガーメック1機を倒した。残ったショックウェーブのハーピーは、1対4になったことに気づいて降伏したのだった。
タイプ: ブラックホーク 技術ベース: 氏族 重量: 50 戦闘価値: 2183 装備重量 内部中枢: エンドースティール 2.5 エンジン: 250XL 6.5 歩行: 5 走行: 8 ジャンプ: 5 放熱器: 14[28] 4 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 136 8.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 16 19 胴中央(背面): 6 左/右胴: 12 14 左/右胴(背面): 5 左/右腕: 8 13 左/右脚: 12 19 武器・装備 配置 装備欄数 重量 2 ストリークSRM4 右腕 2 4 弾薬(ストリーク)50 右胴 2 2 ER大口径レーザー 右胴 1 4 ER大口径レーザー 左胴 1 4 弾薬(ストリーク)50 左胴 2 2 2 ストリークSRM4 左腕 2 4 ジャンプジェット 右胴 2 1 ジャンプジェット 胴中央 1 .5 ジャンプジェット 左胴 2 1
氏族製クアッドヴィー
サイラロス Cyllaros
重量: 55 トン シャーシ: チェストレグ・クアッドヴィー55.4・エンドースティール パワープラント: 275核融合 巡航速度: 54 キロメートル/時 最高速度: 86 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: コンパウンドH17・フェロファイバー 武装: モデルVi・強化ヘビー中口径レーザー 2門 タウII・対人ガウスライフル 2門 タイプXV"クロスボウ"LRM15ランチャー 1門 製造元: チェストレグ・インダストリプレックス・アルファ・アネックス 主要工場: チェストレグ 通信システム: CH2シリーズ(ECM統合型) 照準・追尾システム: バージョン・ガンマV・TTS
3130年代前半に開発が開始された時点で、サイラロスは「軍事技術の勇敢なる新分野」の始まりであった(少なくともヘルズホースの技術者たちが志したところは)。新世代の戦闘マシンを目指した本機は、バトルメックと戦闘車両のいいところ取りを望むホースの実験的概念、クアッドヴィー(QuadVee、四脚車両)の第一号機であった。
サイラロスの初陣は、3136年、よくある所有の神判で防衛に参加したときのことだんだ。このハイブリッド機が現代の戦場で居場所を見つけられのか定かでなかったが、サイラロスを失敗と見なすのは誤解であろう。車両として輸送・展開可能なバトルメックとして、可変式のサイラロスは油断した敵を驚かせることができる。本当の泣き所は、究極的に、遠い兄弟とも言えるLAMの問題点と同じところから来ている……二つの任務をこなそうとすると、どちらにも優れることがなくなるのだ。
性能
サイラロスの武装は、長射程のLRMから、対バトルアーマー・軽車両用のヘビーレーザー、対人兵器の組みあわせまで、接近してくる敵に大きな打撃を与えることに主眼を置いている。古典的な氏族重量メックと同じスピード、探知用のECMを持つこのメックは、主に対歩兵、電子戦、星隊用の火力支援に設計されたことが推測される。
配備
サイラロスの限界(全クアッドヴィーの限界ではないにしても)は、デルフの装甲板倉庫を巡る所有の神判の際に早速明らかとなった。ジェイドファルコン攻撃軍(ほぼメックで構成)と戦うホース防衛軍は1個二連星隊を展開した。そのうち1個星隊がすべてクアッドヴィーであり、2機がサイラロスだった。
クアッドヴィーは、最初、ファルコンの戦士たちを混乱させたのだが、ホースの搭乗員たちは柔軟性の優位性をフルに利用できなかったとの報告が残っている。サイラロスはとくにそうであった。初期の分散型コクピットを使っていたので、搭乗員間のコミュニケーションが妨げられたのである。クアッドヴィーのうち2機が神判のあいだずっと車両モードのままで行動し、敵の側面を突こうとした際、険しい地形にはまって破壊された。サイラロスの1機は旧式のクーガーと接近戦を繰り広げて、敗北した。ホースはこの日勝利を収めたが、5機の新型クアッドヴィーのうち4機がスクラップに成り果てたのだった。
デルフでの戦果はぱっとしないものだったが、サイラロスはフル生産に入った。その多くが、さらなる実戦テストのために二線級銀河隊に向かった。大半がエプシロン銀河隊(ストーンウォール旅団)に配備され、実戦は3138年までお預けとなった……このときウルフ氏族が放棄した占領域に、ホースとファルコンが押し寄せたのである。第9群星団隊のサイラロスは、ヴァインガルテン、タンハウゼン占領で限定的な戦闘に加わり、カースではラサルハグ・ドミニオン軍相手の小競り合いで支援役を務めた。
マルヴィナ・ヘイゼンと共にゴールデン・オルドゥンを戦ったクアッドヴィーは存在せず、中心領域兵士相手に戦ったとの記録も残されていない。むろんのこと、これは将来変わる可能性がある。ジェイドファルコンがライラ共和国への圧力をかけ続けており、ヘルズホースはその真後ろに続いているからだ。
著名な機体
スターコマンダー・アーロ: サイドマンの血族であるアーロは、クアッドヴィー・プログラムの英雄になると噂されている。エレメンタルとしての最初の階級の神判に落ちた後、彼は再テストでヘルズホースの戦車戦力に組み入れられ、第62機械化機兵隊でアテナの車長に昇進し、百発百中の射撃技術で評判となった。始まったばかりのクアッドヴィー・プロジェクトに、テスト搭乗員として招かれた彼は、現在、砲手席からサイラロスを指揮している。
アーロのサイラロスはデルフの神判で唯一生き残ったクアッドヴィーであり、この戦闘でメック1機撃墜を記録した唯一の新型機にもなった――仲間のサイラロスを落としたクーガーに対する共同撃墜である。もし、この成果がなかったら、ホース指導部は全プログラムを中止したかもしれないなどと噂されている。
タイプ: サイラロス 技術ベース: 氏族(先進) 重量: 55 戦闘価値: 1450 装備重量 内部中枢: エンドースティール 3 クアッドヴィー変換装置 6 エンジン: 250XL 15.5 歩行: 5 走行: 8 ジャンプ: 0 巡航時: 5 限界時: 8 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 3 操縦機器: 4 装甲板(フェロ): 144 7.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 18 17 胴中央(背面): 10 左/右胴: 13 16 左/右胴(背面): 8 左/右前脚: 13 15 左/右後脚: 13 15 武器・装備 配置 装備欄数 重量 強化ヘビー中口径レーザー 右胴 2 1 APガウスライフル 右胴 1 .5 弾薬(APガウス)40 右胴 1 1 ECM 右胴 1 1 LRM15 胴中央 2 3.5 弾薬(LMR)16 左胴 2 2 強化ヘビー中口径レーザー 左胴 2 1 APガウスライフル 左胴 1 .5 無限軌道 * 4 5.5 付記: *無限軌道は各脚の装備欄を1つずつ占有する。 以下の機種別特徴を持つ。悪評、操縦しづらい、脱出システムなし、通常でない部品
氏族製バトルメック
ジェイドホーク Jade Hawk
重量: 75 トン シャーシ: ダイナミックF14・エンドースティール パワープラント: スターファイア375XL 巡航速度: 54 キロメートル/時 最高速度: 86 キロメートル/時 ジャンプジェット: チルトン465(パーシャルウィング付き) ジャンプ能力: 90メートル 装甲板: ジャーラッサ325 武装: シリーズ1g・長射程小口径レーザー 4門 Mk.22・タイプIII・SRM6ランチャー 4門 製造元: ダイナミック軍需弾薬社 主要工場: ガラテア 通信システム: アングスト・クリアー・チャンネル6 照準・追尾システム: アングスト・アキュラシー
ジェイドホークは3135年前半にデビューし、大きな注目を集めた。ジェイドファルコンで作られたように見えるのだが、この機種はダイナミック軍需弾薬社(DOA社)がガラテアで製造し、傭兵に向けて売られている。RAFの工作員は技術的ノウハウがシーフォックス氏族から来ていると即座に結論づけた。
ジェイドホークは当時ギャラクシーコマンダーだったマルヴィナ・ヘイゼンの度重なる要請によって、ジェイドファルコン技術者階級が開発した。血に餓えたヘイゼンを軽蔑したとあるテックが、この計画をコピーしてシーフォックスに脱出した。他の氏族には使わせないという条件でデータが共有された。
性能
フランベルジュのトーテム的子孫である重量級のジェイドホークは、軍事的な戦力であると共にシンボルでもある。DOA社は、先進のマイアマー、スーパーチャージャーを取り付け、装飾用だったクロウをアップグレードすることで、ジェイドホークの戦力を積み上げた。RAFの戦闘報告が非難しているのは、長射程兵器がないこと、ジャンプジェットが最大限に積まれていないこと、脆弱なパーシャルウィングの交換部品をシーフォックスに頼らねばならないことである。
配備
ジェイドホークはほとんどすぐに傭兵のベストセラーとなった。重量級氏族メックを操縦するという名誉は、近距離でしか戦えない欠点を相殺するものである。フリーランサーたちは政府の許可なしに本機種を購入することができる。ソラリスVIIのアリーナ戦闘に最適の機体である。
ウルフ竜機兵団のあるメック戦士は、休暇の間、ジェイドホークをアリーナに持っていった。最初の試合でアトラスを破った(短距離ミサイルの一斉射撃で敵パイロットを愕然とさせ、それからアトラスの頭部をむしり取った)このメック戦士、セバスチャン・パシュケは、ジェイドホークのポテンシャルを見事に示して見せたのである。
ローニン・グループのような傭兵たちが、ジェイドホークの強さを完全にテストした。3135年8月、マーチソンでのドラゴンズ・フューリーとの衝突において、メック戦士アイコ・リョウハラは、フレーム小隊の仲間のLRM援護射撃を受けながら、驚くべき疾走能力を使って敵の指揮官に近づいた。この突進攻撃によりフューリーは退却したが、ほとんど自殺に他ならないものが相手を驚かせたという面が大きかった。戦闘の結果がDOA社にフィードバックされ、JHK-04が生み出されたのだった。
3136年10月、ウルフ氏族のスターキャプテン(当時)・アラリックによる懲罰襲撃で、ファルコンのジェイドホークが初めて表沙汰になった。平原からオグシュトレンブルグに攻撃をしかけたウルフ氏族メックの中軽量級3個小隊が偽装退却を行い、追撃するファルコン部隊を平原周辺の森に隠れたアラリック・ウルフの重星隊の腕に誘い出した。ジェイドホーク2機が両軍のあいだにジャンプし、ファルコンを救おうと無意味な試みを行った。ジェイドホークは両方とも失われたのだが、軽量級メックを一斉射で破壊し、エイリアンのような外見で恐怖を与え、ウルフ部隊に大きな損害を出したのだった。
派生型
氏族が使っているジェイドホークはJHK-03に似ているが、より高度な兵器を使っている一方で、格闘用武器を持っていない。さらに2機の派生型が存在し、ウィングを外してミサイルをアップグレードしたものと、さらにジェットを外して重レーザー群を付けたものである。DOAの支援モデル、JHK-04もまたジェットとウィングを持たない。この機種は輸入されたストリークLRMを装備し、進化型マイアマーを外しているが、接近戦用の戦闘クロウは付けたままにしている。
著名な機体
セリーナ・サントス中尉: セリーナ・サントスはジェイドホーク(ミラグロと命名)を買うのに充分なキャッシュを持ってスカイアに現れた。アヴァンティ・エンジェルスの記章を付けたこの機体は、中心領域で最初に有名になったジェイドホークだった。彼女はソロ契約でこのバトルメックをテストし、タイミングの幸運さで悪名を獲得したが、部隊に復帰したときにこの幸運は潰えた……3137年11月、プロミスド・ランドでカークパトリック・インヴェーダーズとの交戦中に戦死したのである。
タイプ: ジェイドホーク JHK-03 技術ベース: 氏族混成(先進) 重量: 75 戦闘価値: 2099 装備重量 内部中枢: エンドースティール 4 エンジン: 375XL 19.5 歩行: 5(6) 走行: 8(12) ジャンプ: 3* 放熱器: 12[24]* 2 ジャイロ: 4 操縦機器: 3 装甲板: 216 13.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 23 34 胴中央(背面): 11 左/右胴: 16 22 左/右胴(背面): 8 左/右腕: 12 22 左/右脚: 16 29 武器・装備 配置 装備欄数 重量 2 ER小口径レーザー 右腕 2 1 クロウ(中心領域) 右腕 5 5 2 SRM6 右胴 2 3 弾薬(SRM)15 右胴 1 1 スーパーチャージャー 胴中央 1 2 2 SRM6 左胴 2 3 弾薬(SRM)15 左胴 1 1 2 ER小口径レーザー 左腕 2 1 クロウ(中心領域) 左腕 5 5 パーシャルウィング* 右胴/左胴 3/3 4 トリプルストレングスマイアマー** 6 0 ジャンプジェット 右胴 1 1 ジャンプジェット 胴中央 1 1 ジャンプジェット 左胴 1 1 付記: *パーシャルウィングにより、ジャンプMP+1、通常の大気中では1ターンごとに3点放熱。 **トリプルストレングスマイアマーの装備欄は、左右脚、左右腕、左右胴に各1点ずつ。 以下の機種別特徴を持つ。防護型間接、補助座席。
中心領域バトルメック
マリス MAL-XT MALICE
重量: 100 トン シャーシ: ダイナミック・エンドースティール パワープラント: LTV400XL 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 64 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: デュレックス・ヘビー 武装: ミドロン・エクセル5SG・LB 5Xオートキャノン 4門 ディバース・オプティクス・サンファイア長射程中口径レーザー 4門 製造元: エリス・エンタープライゼス・デザイングループ、ダイナミック軍需弾薬社 主要工場: カポラ(エリス)、ガラテア(ダイナミック) 通信システム: ネイル8000 照準・追尾システム: ダイナテック2780
エリス・エンタープライゼス・デザイングループとダイナミック軍需弾薬社のジョイントヴェンチャーであるマルスは、ブラックアウトの直前に実戦配備についた。(少なくとも100トンメックにしては)高速な強襲機である本機は、ガラテアの傭兵バイヤーとカポラのRAF調達担当者にすぐさま受け入れられた。フォートレスによってエリス社は中心領域から切り離されたが、ダイナミック社はマリスを生産するとできるだけすぐに傭兵へと売却している。
性能
マリスの成功の重要部分は、100トンメックにしてはスピードがあることだ。この利点を維持するために、マリスの膝関節はダイナミック社の「デーモンレッグ」二重膝関節で守られている。ミドロン・エクセル・キャノンは実戦で証明された兵器であり、実績のあるディバース・オプティクス・キャノンがそれをバックアップする。このメックは分厚いデュラックス・ヘビー装甲を身にまとっている。
配備
マリスはガラテア防衛軍の両連隊、ガラテアを拠点に活動する様々な質の傭兵部隊で観ることができる。周辺で激しい戦いが起きていることから、マリスは相当な評価を得た。
3144年、ウィスキー・タンゴズという小規模な傭兵中隊が、ライラの世界ヴィンデミアトリクスを襲撃した――ガラテア防衛軍との契約下で、LCAFの補給庫を奪うためだった。タンゴズはかろうじて1個中隊の戦力であった。2機のマリスと支援するシャンドラ6両、ベヒモスII重戦車3両である。補給庫を防衛するのは、中メック小隊とバトルスーツ歩兵1個中隊であった。
タンゴズはシャンドラを使って、ライラ軍を釣り出そうとした。この偵察車両6両は補給庫に向かって疾走し、それから方向転回して、注意を惹きつけるためにSRMを一斉射した。シャンドラは敵メックを補給庫から引き出すのに成功したが、タンゴズの重量部隊が近寄ってくるのに気づかれてしまった。ライラのメックは、マリスとベヒモスが射程に入る前に、かろうじて方向転回する時間があっただけだった。バトルスーツが補給庫から出てくると戦闘が始まった。
マリスは二回撃った後で敵メックを無視して、ベヒモスに任せた。その代わり、長射程から迫ってくるバトルスーツに砲火を開いたのである。APCに乗っておらず開けた危険な地形を通って突進したバトルスーツ隊は、マリスの子弾頭ですさまじい損害を出した。自分たちの射程に入るまでに、戦闘可能なのはかろうじて1個小隊半だけであり、マリスの中口径レーザーの餌食になった。重武装・重装甲で容易にやられなかったベヒモスが押され始めると、シャンドラが戻ってきて、ライラメックの背面にミサイルを浴びせた。ライラは離脱し、傭兵に補給庫を明け渡したのだった。
派生型
新しいメックであるわりに、マリスには驚くべき数の派生型がある。オートキャノンのうち2門をLB 10-Xにアップグレードするか、特殊弾頭を使うためにライトオートキャノンに交換する。これらはすべて強力なマシンである。最も珍しいYZ型、エリス製のスペシャル氏族バージョンは、混合技術で作られた移動する大量虐殺である。
著名な機体
ニコラス・オリーンス: オリーンスはウィスキー・タンゴズでマリスに乗っていたパイロットの一人である。元LCAFのメック戦士である彼は、ライラの戦術に長じていたことから、ヴィンデミアトリクス襲撃の指揮をとった。彼はライラのメック戦士たちが、物理的に追いつけないのに、シャンドラを追いかけると知っていた。なぜなら、昇進のために、勝利という栄光を求めるだろうからだ。彼は戻ってからガラテア防衛軍の連隊に入るよう誘われたが、ウィスキー・タンゴズ全体の指揮をとるために固持した。
ザビーネ・ウエストヘブン少佐: ウエストヘブン少佐は、ツォリコフェンを拠点に活動する第XVIハスタティの3個襲撃部隊を監督し、フォートレスの秘密を守るために厳しい規律を保っている。彼女は定期的に訓練に参加し、YZマリスを演習場に持ち出して、部下たちが最も危険な敵とも戦えるのを確実にしようとする。だが、何度も要請しているのだが、フォートレスを超えて襲撃部隊に同行する許可は出ていない。
タイプ: マリス 技術ベース: 中心領域 重量: 100トン 戦闘価値: 1852 装備重量 内部中枢: エンドースティール 5 エンジン: 400XL 26.5 歩行: 4 走行: 6 ジャンプ: 0 放熱器: 12[24] 3 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 307 19.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 31 42 胴中央(背面): 20 左/右胴: 21 30 左/右胴(背面): 12 左/右腕: 17 34 左/右脚: 21 42 武器・装備 配置 装備欄数 重量 LB 5-X AC 右腕 5 8 ER中口径レーザー 右腕 1 1 LB 5-X AC 右胴 5 8 ER中口径レーザー 右胴 1 1 弾薬(LB-X)20 右胴 2 2 LB 5-X AC 左胴 5 8 ER中口径レーザー 左胴 1 1 弾薬(LB-X)20 左胴 2 2 LB 5-X AC 左腕 5 8 ER中口径レーザー 左腕 1 1 付記: 以下の機種別特徴を持つ。防護型間接。
中心領域製バトルメック
ポセイドン PSD-V2 POSEIDON
重量: 125 トン シャーシ: ロードスP・エンドースティール パワープラント: プラズマスター375XL 巡航速度: 32 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: マクシミリアン320(CASEII付属) 武装: ハイペリオン・ランス長射程中口径レーザー 2門 ハイペリオン・レイ長射程小口径レーザー 3門 ハイペリオン・タイタンボルト長射程荷電粒子砲 2門 ロングファイア・ライトLRM5ランチャー 2門 スコーベル・ドロトニックMRM20ランチャー 1門 ハーヴェスト2K・SRM2ランチャー 3門 ボロンティオス・タイトストリーム・エレクトロマグネティック・パルスキャノン 1門 タイタン・トレッドAポッド 6門 製造元: ロードス・ファウンドリー 主要工場: デビルズ・ロック 通信システム: タイタン・シャウトMk.IVA 照準・追尾システム: タイタン・ヴァンテージMk.II(アポロFCS付属)
バトルメックの黎明期から、技術者たちはいわゆる「100トンの壁」を破る歩行マシンを作ろうとしてきたようだが、この100トンという数字は、作動する多数の部品で作られたフレームにあまりに過大な負担を強いるものであった。旧星間連盟の時代、これを克服しようと試行錯誤が繰り返されたが、「アマリス・フォーリー」ことマタルを筆頭にすべてが失敗に終わった。実用的なスーパーヘビー・メックが登場したのは聖戦が終わる時期であるが、地球に降り懸かった荒廃と、ワード・オブ・ブレイクの研究から生まれたという汚名により、大きく、強く、優れたメックを作るという考えは一時的に禁止されることになった。スポンサーとなる国家が宇宙的な平和を推進し、軍隊を必要最小限に抑えたので、それはなおさらだった。
だが、スフィア共和国がチャンスに飛びつく準備をしていなかったわけではない。ブラックアウト後に戦争が勃発し、フォートレスの壁が持ち上がるとすぐロードス・プロジェクトはトップギアに入った――その目的は、まさに究極のメックを共和国にもたらすことだった。
性能
PSD-V2 ポセイドンは、スフィア共和国で最初のスーパーヘビー・バトルメック、二脚仕様のオルカの精神的な後継機種である。ワード・オブ・ブレイクのオメガが元になっているオルカ・プロジェクトは、プロトタイプ・モデル複数機が生産された直後にモスボールされた。オルカから得られた教訓はほとんど忘れ去られたが、エンドースティール骨格や強化間接の開発に影響を与えた。安定性と戦場での柔軟性が強化された最初の三脚スーパーヘビー・プロトタイプは、地球の秘密工場から登場し、突然表れた敵に向かっていった……共和国の上院議員である。
配備
ポセイドンはロードス・プロジェクトによって作られた最初の三脚スーパーヘビー("コロッサル"と呼ばれることが多い)であったが、それが喧伝されることは無かった。より重量のあるアレスと違って、ポセイドンはモジュラー・テクノロジーを搭載していない。よって、最初の遭遇を生き残った者は、数多くの特徴から容易に見分けることができる。
本機のプロトタイプは、地球にあるセルビアの試験場で初陣を見た。3135年、反乱上院議員軍がここの極秘工場を奪おうとしたのである。テストベッドのPSD-X1モデル2機は、反乱軍にとって完全な不意打ちとなった。その衝撃的な外見は、武器による攻撃とほぼ同じくらい、反乱軍を驚かせたのだ。交戦の全容は、試験場の共和国忠誠派指揮官が情報管制し、後にはレヴィン総統が直々に秘密指定としたが、戦果の詳細を受けて改良がなされ、完成型であるPSD-V2の登場につながった。
現時点で、ポセイドン級、アレス級スーパーヘビー・トライポッドはRAFの最も信頼できる部隊のみが使っている。防衛任務にのみ投入されるのが大半である。
著名な機体
ジャック・ウルフキャッスル大尉: ウルフキャッスル中尉(当時)は、セルビアでプロトタイプX1のヘルメットをかぶり、初めて実戦を経験したポセイドン・パイロットの一人になるという栄誉に属した。彼は一人で機体を操縦しており(3人用コクピットシステムがまだ完全に確立されておらず、搭載されていなかった)、不完全な目標捕捉システムを使わされていたのだが、機体の威圧感と、自称「スプレー・アンド・プレー(ばらまいてから祈る)」射撃の組みあわせによって、首尾良く反乱上院議員軍を押し戻すのに成功したのだった。
勇敢さと忠誠心を認められたウルフキャッスルは大尉に昇進し、最初に完成したV2型ポセイドンの一機を与えられた。現在、リバティのストーン・フューリーに配属されている彼は、古参メック戦士たちと共に腕を磨いており、スーパーヘビー・トライポッドの完全な1個小隊を率いている。彼の戦闘スタイルは、主砲で衝撃を与えることに主眼を置いている。正確な射撃よりも、稲光と轟音を浴びせるようなオーバーキル攻撃と飽和射撃で、敵の士気を崩壊させるのである。
タイプ: ポセイドン 技術ベース: 中心領域混成(先進) 重量: 125 戦闘価値: 3760 装備重量 内部中枢: エンドースティール 14 エンジン: 375XL 19.5 歩行: 3 走行: 5 ジャンプ: 0 放熱器: 20[40] 10 ジャイロ: 8 操縦機器: 5 装甲板: 384 24 内部中枢 装甲 頭部: 4 12 胴中央: 38 55 胴中央(背面): 21 左/右胴: 26 40 左/右胴(背面): 12 左/右腕: 21 36 左/右脚: 26 40 武器・装備 配置 装備欄数 重量 MRM20 右腕 2 7 アポロFCS 右腕 1 1 TSEMP 右腕 3 6 ER中口径レーザー(氏族) 右胴 1 1 ER小口径レーザー(氏族) 右胴 1 .5 LRM5 右胴 1 2 SRM2 右胴 1 1 弾薬(SRM)50 右胴 1 1 弾薬(MRM)50 右胴 1 1 CASEII 右胴 1 1 ER小口径レーザー(氏族) 胴中央 1 .5 SRM2 胴中央 1 1 ER中口径レーザー(氏族) 左胴 1 1 ER小口径レーザー(氏族) 左胴 1 .5 LRM5 左胴 1 2 SRM2 左胴 1 1 弾薬(LRM)24 左胴 1 1 CASEII 左胴 1 1 2 ERPPC(氏族) 左腕 2 12 2 Aポッド 右脚 2 1 2 Aポッド 中央脚 2 1 2 Aポッド 右脚 2 1