テクニカルリードアウト:3085
『TRO:3085』は、聖戦が終わり、スフィア共和国の国境線が確定した直後に年代をあわせたテクニカルリードアウトです。掲載されているのは、聖戦中、聖戦後の新型機、フェニックスアップグレードの派生型、特殊な歩兵など多岐にわたります。ダークエイジで見かけるユニットも多く、聖戦とダークエイジのミッシングリンクを埋めるような本と言えるかもしれません。
中心領域通常歩兵
ワード・オブ・ブレイク歩兵 Word of Blake Infantry
コムガードを生み出したのと同じ諸兵科連合哲学を受け継ぐワード・オブ・ブレイク市民軍は、戦闘部隊の重要な要素として歩兵に確固とした力点を置いている。費用を出し惜しみしないワードの歩兵部隊は、おそらく聖戦中の中心領域勢力のなかで最高の装備を持っていた。その大半が防衛任務、都市での鎮圧任務についていたにも関わらずだ。
聖戦中、エリートのマネイドミニがニュースのヘッドラインを占拠したのだが、ワード・オブ・ブレイクが配備する歩兵の大半は、保護領の領土を超えて、彼らの正規軍であるワード・オブ・ブレイク市民軍の中にいた。しかしながら、中心領域各国が攻勢に移るまでには、ブレイク歩兵の大半はブレイク保護領に組み込まれるか支援を行った。これら兵士の大半は、コムガードが氏族と戦った伝説的な戦いであるツカイードを経験した古参兵か、自由世界同盟やその他の親ブレイク国からの徴募兵か、保護領世界からの志願者だった。大多数が熱狂的で、合同軍が地球に突き進むあいだ死ぬまで戦った一方、保護領とワードの支配が崩壊するとこれら正規兵の多くが降伏するという傾向があったのである。
特殊歩兵
三段階の組織(保護領市民軍、ワード・オブ・ブレイク市民軍、マネイドミニ)のすべてで、ワードは任務にあわせて専門化された兵士を起用している。これらの特別な任務は、単に地元の状況と必要に応じただけのものではなく、経験レベル、狂信性、各地位の権限によって変わりがちであった。たとえば、エリートで致命的なドミニは治安任務や戦闘後の掃討にかり出されることはなく、それらの任務はたいてい保護領市民軍と正規ブレイク市民軍にそれぞれ任される。
具体例を出すと、ワード・オブ・ブレイクのNBC(核・生物・化学)特殊兵器チームは、核・化学攻撃が行われたあと、戦場を処理する通常の戦力である。汚染された環境で活動するために訓練され、装備を受け取っているこれらの機械化兵士たちは、通常のワード・オブ・ブレイクによる襲撃の最中か、その直後に現れることがよくあり、生存者を探して戦場を探し回り、必要に応じて捕虜をとっていく――あるいは、死んだと気づいていない愚かな敵を抹殺する。
一方、ブレイク保護領(プロパガンダに反し、すべての政府が望んでワードの下についたわけではなかった)では、暴動鎮圧が日常の任務となることがよくあった。目に見える民間被害を減らし、反対派の思惑通りになるのを避けるため、これら保護領市民軍「平和部隊」の多くが、殺人よりも鎮圧を目的にした非殺傷兵器のたぐいを使っている。18人の「準小隊」で活動することは、扱いにくい暴徒の側面に回り込むのを可能とし、より効果的に交戦するか、隠れた反乱軍が隠れている建物、その他の施設を掃討できるのである。
彼らの反対側にいるのは、もちろんのことマネイドミニの恐るべき突撃兵、悪名高き「タウ・ゾンビ」である(もっとも、タウはたいてい階級を指し示すものであり、これら分隊に通常使われるものではない)。分隊レベル以上で展開することがまれなこの「ゾンビ」たちは、歩兵に使われる最も有効なサイバー装備の集合体である……マイアマー、強化筋力、装甲、内蔵武器、重傷に抵抗する痛覚断絶。これらの兵士たちは降伏することがなく、逃げることもない。すさまじい重傷を負っても、敵小隊全体を皆殺しに、敵車両を破壊するのだ。
同じく独自の専門分野で有効なのが、いわゆる「タウ・レイス」である。偵察においてゾンビ突撃兵と同じ力を持つレイスたちは、優れたステルス装備と通信システムで強化し、友軍のC3ネットワークとリンク可能で、通常の部隊では比肩し得ない戦術的優位性を達成している。彼らは戦闘においても危険であるが、たいていは戦場の影で活動し、戦闘の統制を取り、重要な遠隔測定をより重量のある支援戦力に提供するのである。
中心領域通常歩兵
傭兵歩兵 Mercenary Infantry
男性の最も古い職業である傭兵は、過去1万年にわたって行われてきたすべての紛争の周辺部からど真ん中にまで存在していた。彼らがよく周辺に存在することは、すべての軍事作戦において地に足をつけることが必要があるという現実を忘れさせないことを意味する。多くの場合、装甲をまとった巨人、巨大戦車、山をも砕く火力が支配する戦場で戦う傭兵の歩兵たちは、誰よりも現代の戦場において変革を行い、適応せねばならなかったのだ。
これらの革新と適応は、彼らの価値を吟味するものである。我々の通常歩兵軍はうまく確立された一方で、その大半は守備隊程度の戦力である。より専門化された歩兵部隊を作るなら、傭兵が歩いてきた道に目を向けることは、未来の歩兵プログラムを策定する役に立つだろう。
主要歩兵
クラーケン・アンリーシュドは、水中戦・水陸両用戦の専門技術を持つ、高度に専門化された連隊である。カペラの世界、プリンキピアに駐屯していたクラーケンは、現地の盛況な造船産業を利用して、歩兵部隊向けに新しい装備を開発した。ハープーン・パラサブは小型の魚雷発射管を持つ、5人乗りの非加圧潜水艇である。搭乗者は、安全な装甲潜水艇からジャイロスラッグ・ライフルを射撃することが可能である。持続的に時速30kmを維持できるクラーケンのハープーン小隊群は、水中戦闘部隊の行動範囲と力を拡大させている。クラーケンの戦闘潜水艦と違って、この小型潜水艇は、素早く輸送機に積み込み、ものの数時間で惑星中のどこにでも展開可能である。これによって、バトルメックによる集団水中強襲すら脅かすほどの火力を持ち運ぶことができるのだ。
傭兵部隊、バトルコープス軍団は通常ならざる戦術で名高い。それによって彼らは幾度も(たとえかろうじてでも)生き延びてきたのである。小説に出てくる探偵シャーロック・ホームズの諜報網から名前を取った、バトルコープスのベーカー・ストリート・イレギュラーズは、非常に型破りな歩兵戦力である。聖戦の年若い戦争難民によって作られたイレギュラーズは、基礎戦闘訓練を受けているが、戦場に出ることを意図されてはいない。ティーンエイジャー(あるいはそれ以下)であるか、そう見えるイレギュラーズ隊員は、都市に潜って重要な情報を集めるのを目的としている。子供に注意を払う者はほとんどいないという原則に基づいて、イレギュラーズはSCOUR作戦の最中に重要な諜報作戦を成功させた。
典型的な歩兵部隊であるスチュワート・サポートは、前線の戦術で先導者になることはなかったものの、信頼の出来る駐屯、保安任務で確固たる評価を築き上げた。聖戦の混乱に落とされたスチュワートは、訓練から実施まで前線での戦闘ドクトリンを開発せねばならなかった。ニューカントンは3071年夏にワード・オブ・ブレイクが完全に支配したということになっていたが、この惑星から回収されたデータによると、この主張はいくらか事実と異なることが示されている。実際には、ワードがスチュワート・サポートを追い詰め殲滅するのにもう2年かかったのだ。長期の抵抗活動につながった戦術のひとつは、LRM/観測手チームの組み合わせである。携帯LRMを持つ重歩兵が遮蔽に隠れる一方、機動偵察歩兵が携帯式TAGで目標を測定する。これら少数のチームは、小規模さに比して遙かに大きい打撃を与え、ニューカントンの民衆に長い間感銘を与え続けたのである。
中心領域バトルアーマー
コピス強襲バトルアーマー KOPIS ASSAULT BATTLE ARMOR
オリエントにあるエトナ鋳造場のロンギヌス工場がブレイク派と思われる工作員によって破壊された時、トーマス・ハラスは代わりとなる生産施設の必要性を痛感した。ハラスは生産基盤の供給元を求めスターコープス社にアプローチした。彼らのエムリスIVの施設はしばらくのあいだ産業用の外骨格を生産しており、このゴリラ外骨格はほぼ宇宙中で受け入れられていた。スターコープスはバトルアーマースーツの生産に対して乗り気以上のものがあった。かつてこの市場に入ろうとしたときは、同盟のバトルアーマー設計を統制し続けようとする、自由世界政府とおそらくブレイク派によって妨害されてしまったのだ。生産施設を確保するのが第一の障害だった。最上級の強襲スーツを生産するためにはスターコープスがまだ持っていないレベルの技術的蓄積が必要とされた。
スターコープスはアリス・ルーセ=マーリック女公と接触することによってこの問題を解決した。購入の権利と引換に、ルーセ=マーリックはスターコープスが必要としていた技術的ノウハウを与えることに同意した。ルーセ=マーリックは大規模な抵抗軍のネットワークを使ってイリアン・バトルメックス社のトップ科学者と接触するのに成功した。ブレイクに支配されているが操業中だったイリアンから逃げ出したハイラム・サンダハール博士は大喜びでスターコープスに雇われ、すぐに彼らのバトルアーマー研究に取りかかった。ルーセ=マーリックが入手したブレイク派の技術資料を使ったサンダハールは素早く実地試験に出せる強襲スーツの試作品を作り出した。
イリアンが開発し続けていた強襲スーツを元にしたコピスはなによりも火力に主眼をおいている。他の強襲スーツと比較すると装甲が薄いのだが、それでも通称の氏族エレメンタルと同じ防護力を持つ。防御、地上速度と引換に、コピスはその重量の半分を攻撃用の装備に振り向けている。両方のヘビーバトルクローはほとんどすべての装甲と、建物、その他の障害物を引き裂くことができる。市街戦に最適のこれによって、本機はその主要任務を実行するためほとんどどこにでも移動することが可能だ。
ミサイルを大量搭載したスーツというトレンドから離れたコピスの設計士たちは一撃の火力と長時間の射撃を引換にした。彼らの決断によって、火力それ自体と、弾薬消費を恐れることなく臨機応変に目標を撃つ力が与えられたのである。コピスの主砲は2門のマーテル中口径レーザーである。これら2門の肩に搭載されたレーザーは一度の攻撃で中心領域バトルスーツの90パーセントを撃墜する能力を持ち、全1個分隊は軽量級バトルメックを脅かすことができる。腕搭載の対歩兵兵器搭載装置はコピスの攻撃能力を完成させる。
地球強襲のわずか数日前に公開された唯一の派生型は、地球解放の前には限られた使い方をされていた。この対人派生型は、地球の市街地を守っていると思われたワードの狂信的な歩兵に対処するため作られた。2門の中口径レーザーをパルスレーザー1門と火炎放射器1門に交換している。
最初のスーツが配備されたのは3077年である。アリス・ルーセ=マーリックが直接指揮する第12アトレウス竜機兵団に回されたスーツは、アリスのアウトリーチ解放に参加した。一連の短く激しい戦いで、アトレウス竜機兵団とその他の自由世界グループIはワナメーカーズ・ウィドウメーカーズに壊滅的打撃を加えた。ウィドウメーカーズの混成1個中隊がルーセ=マーリックの包囲を突破しようとしたとき、コピス・スーツは初の実戦を見た。スーツ2個分隊がVTOLによって後退する傭兵の前方に派遣された。コピス・スーツはヘビーバトルクロウを使って素早く道路に残骸を設置し、それから後退する中隊を待ち伏せた。ウィドウメーカーズが障害物を抜けるために速度低下すると16門のレーザーが放たれ、退却する傭兵の先頭にいたぼろぼろの部隊を行動不能、あるいは破壊した。合同軍が2分後に到着すると8機のコピス・スーツはウィドウメーカーズの80%を破壊しており、損失はスーツのうち3機だけだったのである。
コピスは地球解放作戦の際にかなりの数が存在し、以来、マーリック、オリエントのバトルアーマー部隊の中核となっている。この高性能スーツを取引材料として使うオリエントは、コピス・スーツをスフィア共和国に販売する代わりに、共和国宙域にある工場からアキレウスとファランクス・スーツを入手している。コピス・スーツと恒星連邦のグレネーディアを組ませると都市防衛で極めて有効であり、これら混成バトルアーマーチームの2、3個分隊を共和国の各市民軍に配備する計画が実行中と思われる。
タイプ: コピス 製造元: スターコープス工業 主工場: エムリスIV 技術ベース: 中心領域 シャーシタイプ: 人型 重量等級: 強襲級 最大重量: 2000 kg バトルバリュー: 78 (通常型) 57 (対歩兵型) 集団攻撃 /脚部攻撃/機械化/AP: 不可/不可/不可/可 付記: なし 装備 装備欄数 重量 シャーシ: 550 kg 移動システム(全型): 地上 MP: 1 0 kg ジャンプ MP: 0 0 kg マニピュレーター: 左腕: ヘビーバトルクロー 20 kg 右腕: ヘビーバトルクロー 20 kg 装甲: アドバンスド 5 400 kg 装甲値: 10 + 1 (兵士) 装備欄数 武器・装備 配置 (能力) 重量 通常型 対歩兵兵器搭載装置 右腕 1 5 kg 対歩兵兵器搭載装置 左腕 1 5 kg 2 中口径レーザー(30×2) 胴体 6 1000 kg 対歩兵型 対歩兵兵器搭載装置 右腕 1 5 kg 対歩兵兵器搭載装置 左腕 1 5 kg 2 中口径パルスレーザー(24) 胴体 3 805 kg 火炎放射器(30) 胴体 2 160 kg
中心領域製VTOL
アーロン打撃VTOL AERON STRIKE VTOL
重量: 25 トン 移動: VTOL パワープラント: ニッサン160XL核融合 巡航速度: 129 キロメートル/時 最高速度: 194 キロメートル/時 装甲板: デュラレックス・スーパーヘビー・フェロファイバー 武装: ヘリオン-a ER大口径レーザー 1門 製造元: ブルックス・インコーポレーテッド 主要工場: アンドゥリエン 通信システム: マクセル・1500ECM 照準・追尾システム: マクセル・TA65/照準・追尾
概要
ブルックス社のアーロン打撃VTOLは、3062年にワード・オブ・ブレイクが始めた設計の完成品である。最初のワードの設計は、推進器のテストとしてホークモスを使用した。ベクタードスラストエンジン用の繊細なローターを排除したワードはVTOLの生存性をあげることを望んでいた。プロトタイプはアウトリーチ争奪戦で使われたが、望んでいた生存性は実現されなかった。ワードはプロジェクトを延期し、シラノの生産をロイヤル仕様にすることにした。
若干のプロトタイプをのぞいて、この機種は3082年にブルックス・インコーポレーテッドがアーロンを送り出すまで見られることがなかった。SCOUR作戦後の混沌とした余波を利用したブルックス社は、消滅したマイケルソン重工業から技術を取得した(ベクタードスラストVTOLのプロトタイプの計画含む)。ワードがフル生産まで持っていくのは高価すぎると考えたところを、ブルックスは戦闘VTOL市場への完璧な参入であると見なした。
性能
ホークモスが3トンの内燃機関エンジンを使っていたのと同じところに、アーロンはニッサン160XL核融合エンジンを納めている。これはアーロンのコストを根本から増加させたが、巡航速度をホークモスの最高速度にまであげたのである。どのような交戦にも対応できる速度を持つアーロンはそのコントロールを利用する武装が必要だった。ヘリオン長射程大口径レーザーがこのVTOLに遠距離攻撃能力を与える。ヘリオンの有効射程のぎりぎりで行われる戦闘において、ターゲティングコンピュータはアーロンのパイロットに射撃の際の精度を与える。ターゲティングコンピュータの導入は、法律上の問題を生みだした。なぜなら、恒星連邦はワード・オブ・ブレイクに盗まれ、その後コピーされた最先端技術の拡散と戦い続けているからである。ステルス装甲を積むヘビーPPC装備の機種がダヴィオンの生産ラインから出ていることから、彼らの法務的な努力は成功しそうにない。
最後になるが、アーロンの防護はその速度と、3トンの通常型装甲、ガーディアンECMである。
配備
アンドゥリエン軍がまずアーロンを購入し、機体をすべての戦闘部隊に送った。最初の二年間これは続いた(アーロンはアンドゥリエン公国の外部でほとんど知られなかった)のだが、3084年、この機種の耐久性とアンドゥリエンが予算を必要としていたことが、公開市場に送られる理由となった。失敗したレグルス軍による襲撃のバトルROM映像など電撃的マーケティングで、アーロンは人気機種となり、ヘルズホース宙域のような遠距離から(ダイアモンドシャークの仲介を通して)注文があった。ブルックスはスフィア共和国とアンドゥリエン公国にのみ基本仕様を販売し、そのほかの顧客にはBAP仕様を売った(恒星連邦は野戦改修でダヴィオン製のターゲティングコンピュータを追加している)。
3082年の後半、レグルス公国はオリエントとアンドゥリエンの間の独立世界を開拓するためエル・ギザへの調査襲撃に着手した。彼らは第4アンドゥリエン機兵隊と、アンドゥリエンとモシロ・アーキペラゴの間の相互防衛条約につっこんでしまった。第4アンドゥリエン機兵隊は降下したレグルスを追い掛け、彼らの降下船が回収に来るであろう地点を予想し、それからレグルスのバトルメックが通るであろう道にアーロン1個小隊を送り込んだ。険しい地形を使って、一撃離脱のポップアップ攻撃を仕掛けたアーロンは、軽メック中隊を悩ませ、メック3機を破壊し、生存者たちを待ち伏せ地点に追いやった。メックの半数が破壊されると、残ったレグルス人パイロットは逃げようとしたが、アーロンに切り刻まれるのみであった。レグルスのメックは1機も待っていた降下船にはたどり着けなかった。
派生型
ブルックスはターゲティングコンピュータの使用に絡む法的問題の複雑さについては無関心なのだが、コンピュータ生産の困難さと高価格をもたらす技術的ハードルに直面したままである。二機目の安価なバージョンは主力機種よりも普及している。BAPモデルはターゲティングコンピュータをビークル・アクティブ・プローブと1.5トン分のカーゴベイに交換し、リモートドローン輸送に便利である。アーロンBAPは狙撃機、深浸透偵察機としても有用である。
タイプ: アーロン 技術ベース: 中心領域 移動: VTOL 重量: 25トン 戦闘価値: 875 装備重量 内部中枢: 2.5 エンジン: 160 4.5 タイプ: XL核融合 巡航MP: 12 最高MP: 18 放熱器: 12 2 操縦装置: 1.5 浮上装置: 2.5 補助動力: 0 砲塔: 0 装甲板: 69 3.5 装甲値 前面 18 右/左側面 16/16 背面 17 砲塔 2 武器・装備 配置 重量 ER大口径レーザー 機首 5 ガーディアンECMスーツ 胴体 1.5 ターゲティングコンピュータ 胴体 2
中心領域製VTOL
トンボ超重輸送機 Tonbo Superheavy Transport
ブルドッグ作戦の間、諸外国の部隊は解放したすべての惑星で完全な回収権を享受した。だがこの回収品はしばしばひどく失望させられるものとなり、ある伝説が生まれた。巣のような降下船が着陸し、虫の群れを放って、スモークジャガー補給庫周辺を平らげていくというものである。最初これらの話は戦闘で疲弊したメック乗りたちのたわ言として処理されていた。そして3059年、エイボンで(ライラ)親衛隊の偵察カメラが一枚のホロ写真を撮影した。この写真には、虫のようなVTOLがマーズ強襲戦車を持ち上げ、ホバリングする空中船に運んでいく姿がおさめられていたのである。これらの機体にはクリタのマークがはっきり見えるのだが、3060年代から3070年代にかけて、このホロ写真は単に空想的な話、ばかげた話として処理された。
地球解放戦役の準備段階で、クリタ家は隠された秘密を明らかにした。その名の通りのトンボ(ドラゴンフライ)超重輸送機は、交戦地帯での回収と迂回強襲の戦闘輸送用に設計された大型支援VTOLである。重量56トンのトンボは4台のリフトホイストを使って100トン以上を輸送できる。この高い輸送力に加え、トンボは指揮統制中継用に完全な通信装置を備える。さらに内部ベイで歩兵中隊を輸送可能で、強襲の支援用、あるいは着陸時の対ヘッドハンター部隊用に、戦闘工兵か装甲歩兵を容易に展開可能である。
ワカザシ・エンタープライゼスがDCMSの仕様要求に基づきトンボを開発した。DCMSが求めていたのは、あらゆる地形で氏族の装備を回収できる機体であった。ブルドッグ作戦は実地試験で、特殊な改造が施されたローズ級降下船から中隊規模の部隊が展開された。トンボの存在は秘密に守られ、連合がブルドッグ作戦で公平な取り分以上を得るのを可能とした。その後の数十年で、トンボとローズはおおきな作戦の際にクリタ分の主要部隊に配属された。
ストーンの地球侵攻の前の作戦ブリーフィングで、トンボはドラコ連合専用機ではなくなった。アルバート・ベントン大佐はアテネ戦役にトンボの支援は必要ないとし、ジュネーブのレッドバーン将軍への支援を提案した。トンボの性能が披露された後で、この申し出は喜んで受け入れられたのだった。
トンボは合同軍の兵士たち(ドイツの南、オーストリアからブラティスラヴァに向かう)にその価値を証明した。レッドバーン・タスクフォースが通過するルートの南、アルプス山脈はブレイク派の要塞となる可能性があり、ここから側面攻撃が行われる危険性が極めて高かった。直接アルプスを攻撃するのは自殺行為である……山脈の自然の防衛力は非常に高く、道は破壊されるかブービートラップが仕掛けられていた。レッドバーン・タスクフォースはVTOLの大艦隊を送り込んだ……トンボとその護衛である。山のすそ野を通ったVTOLは道を迂回して、ブレイク派補給庫の真上に合同軍の部隊を降下させた。大規模な航空戦がヨーロッパで荒れ狂うなか、両陣営の戦闘機は拘束されており、トンボの貴重な貨物を守るには戦闘VTOLで充分だった。
合同軍はドイツとオーストリアを通過し、その間、タスクフォースはオーストリアにつっこんでアルプスを確保した。ブレイク派の集結地点であったインスブルックを無力化したあとで、グラーツが確保されると、地上軍は他部隊と合流するためにVTOL小艦隊を出発させた。このとき、トンボは最後の任務を受け取った。ブレイク派の生存者を東に追うリベレーターとフォックスティースに加われというものである。両部隊はウィーンが戦場となることを避けたが、ブラティスラバへの追撃を続けるなら市街戦は避けられないものであった。残ったトンボは素早くメックを積み、ブラティスラバを北から攻撃するためにカーペシアン山脈を飛び越えた。ブレイク派が西から都市に入ったその時、比較的動きが素早いこの航空機は、荷物を通りに降ろすのに成功し、彼らを驚かせた。市街地の損害は甚大なものだった一方で、この戦術により合同軍は守りの堅い地区に踏み込むことなくブレイクと同等の条件で都市に入ることが出来た。レッドバーン将軍の部隊にさらなる被害が出ることを妨げたのである。
戦役の残りの期間、トンボは弾薬と回収品を運び、兵站的な役割を請け負った。地球戦役により、クリタ卿はワカザシにVTOLを公開市場で売るのを許可する以外なくなってしまった。トンボの実用性はそれまでの神秘と同じものであった……販売を拒否したら、これは連合にとって広報的な災害に変わっていたかもしれない。外国人でも買えるようになったトンボは、ワカザシ・エンタープライゼスのベストセラーになった。
タイプ:トンボ
シャーシタイプ:VTOL(大型)
重量:56トン
装備レーティング:E/X-X-D/D
装備 重量 シャーシ/操縦装置: 14.5 エンジン/変速装置: 核融合 7 巡航MP: 6 最高MP: 9 放熱器: 0 0 燃料: 0 装甲板(BAR7): 60 2.5 内部中枢 装甲 前面: 6 18 左/右側面: 6 15/15 背面: 6 10 ローター: 6 2 武器・弾薬 配置 重量 4 リフトホイスト 胴体 12 サーチライト 前面 .5 サーチライト 後方 .5 通信装置 胴体 7 乗員:12名(士官2名+下士官/兵士10名) 貨物 歩兵隔室(12トン) 1ドア(後部) 付記:リフトホイストの合計輸送力(4/6)=112トン。
中心領域製バトルメック
プリフェクト PRF-1R Prefect
重量: 75 トン シャーシ: クルーシスIIIデラックス・エンドースティール パワープラント: プラズマスター375ライト 巡航速度: 54 キロメートル/時 最高速度: 86 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: デュラレックス・フェロファイバー 武装: ロードライト3・ヘビー荷電粒子砲 1門 ロードライト5・スナブノーズ荷電粒子砲 1門 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 2門 製造元: イリアン・バトルメック・アンリミテッド 主要工場: イリアン 通信システム: イリアン・テクノロジーズHMR-35s 照準・追尾システム: シンクトラッカー(39-42071)アルテミスIVシステム付属
概要
「剣を鍬に」キャンペーンを始めたデヴリン・ストーンは巨大なハンマーが必要なことを知るほどに実用主義であった。同時期、聖戦の恐るべき結末は、あまりに多くの世界(とその工場)をくすぶる廃墟に変えていた。
また、3082年後半、ストーンの情報ネットワークは、いくつかの企業が、軍需品の生産が妨害されるであろう訴訟を起こす秘密の会談を持っていることを知った。この情報は結実した……クルップ兵器製作所が地球侵攻の際のブタペスト工場破壊・略奪による損失の件で、3084年に各団体――ストーンとスフィア共和国含む――を告訴したのである。この恒星間コングロマリット(とその訴訟に加わった他団体)が使用した圧力戦術により、3085年までに各方面で先進技術の軍事生産が停滞し、共和国が新たな恒星間帝国となるべく最初の頼りない一歩を踏みしめようとしているその時に、各地で大規模な景気後退が起きると思われた。
雇用を創出し、軍事的な地位を固め(各方面でいまだ交戦中だった)、これらの訴訟がもたらす最悪の事態を避けるために、ストーンは新型バトルメックを発注した。聖戦初期(キタリーの再教育キャンプから脱したころ)のゲリラ戦から教訓を得たデヴリンは、弾薬を使わず、熱管理が効率的で、激しい攻撃に耐えながら素早く移動する、シンプルな設計を指示した。これは敵戦線の後方に落とされ、長期間、単独で活動するメックの設計ということになる。プリフェクトはこれらの要求の大半に合致していた一方で、ストーンは軍需産業を仲間に引き入れる一環として、いくつかの譲歩を行った。それはライトエンジン、エンドースティール、フェロファイバー装甲で、最大の譲歩はおそらくXLジャイロだったろう。
性能
イリアン社が新たに作られたスフィア共和国内で地球以外の場所に最大の軍事生産センターを持っていたことから、ストーンはすぐさまイリアンテクノロジーズに興味を抱いた。何週間にも及ぶ秘密の交渉のあと、非公開の協定が結ばれ、3083年にイリアンでの生産が始まった。イリアンはGLT-5Mギロチンのシャーシを使い、やや重く改造する一方で、開発期間を短くするため同じシステムの多くを採用した。
装備の大部分はイリアンテクノロジーズのものだが、いくつかは他社製品である。クエンティンのインディペンデンス工廠からはデュラレックス・フェロファイバー装甲が来ている。ストーンの最も価値ある成功のひとつとして、ルシエン・アーマーワークスの機動式工場から比較的新しい派生型PPCの完全な設計図が取得された(取引の詳細は非公開である)。スフィア共和国内のどの世界の経済発展も重要であったが、地球それ自体の再建をジャンプスタートするのは最重要であった。クアラルンプールのホリー工業(スターコープスの子会社)に資金が注がれ、死活されていた雇用が生み出された(同時に積極的な広報がなされたことは言うまでもない)。資金流入の直接的な結果が、プラズマライト375エクストラライトエンジン(スターコープス社のタナトス搭載)を「ライト」仕様に改造したことだった。最後にXLジャイロがクルップ兵器製作所と取り引きされた(今になってみると、きたる訴訟を避けるための試みであることは明白である)。ストーンとの裏取引があったにも関わらず、クルップが訴訟を起こした時、それは個人的な裏切りとなった。共和国、ストーン、クルップの間で妥協点が見つからなかったというのがその理由になっていそうである。最終的にプリフェクトは75トンのバトルメックにしては軽武装となった。だが、その機動力に匹敵する同重量の中心領域メックはほとんどない。重打撃/ゲリラ機という分野において、比類なきことをすぐに証明している。
配備
現在までごく少数のプリフェクトが生産されており、その大半が共和国のトライアリー・プロテクターズに配備されている。プリフェクト生産数とトライアリーの受領数が異なっているのは事実だが、ストーン総統が敵と同盟国を抑止するために秘密作戦を行う影の部隊を作ったとの噂には根拠がない。
派生型
知られている唯一の派生型(現在、実弾テスト中)は、重PPCと長射程中口径レーザーを取り外し、スナブノーズPPC1門とライトPPC2門を載せている。
タイプ: プリフェクト 技術ベース: 中心領域 重量: 75トン 戦闘価値: 1847 装備重量 内部中枢: エンドースティール 4 エンジン: 375ライト 29 歩行: 5 走行: 8 ジャンプ: 0 放熱器: 17[34] 7 ジャイロ: 2 操縦機器: 3 装甲板: 215 12 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 23 35 胴中央(背面): 9 左/右胴: 16 24 左/右胴(背面): 7 左/右腕: 12 22 左/右脚: 16 28 武器・装備 配置 装備欄数 重量 スナブノーズPPC 右腕 2 6 ヘビーPPC 右腕 4 10 ER中口径レーザー 左胴 1 1 ER中口径レーザー 右胴 1 1
中心領域バトルメック
アトラス AS7-K2 ATLAS
重量: 100 トン シャーシ: ファンデーション・タイプ10X パワープラント: ヴィラー400XL 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 64 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: デュラレックス・スペシャルヘビー(CASE付) 武装: インペレーター・ドラゴンファイア・ガウスライフル 1門 ヴィクトリー・ニッケル・アロイ/ディファイアンスモデル6・長射程大口径レーザー 2門 ガイデッドテクノロジーズ・セカンドジェネレーション・ストリークSRM6 2門 製造元: ディファイアンス工業、ヨリ・メックワークス 主要工場: フリロ、ヘスペラスII(ディファイアンス)、アルナイル(ヨリ) 通信システム: アンガスト・ディスコム(ガーディアンECM付) 照準・追尾システム: アンガスト・アキュラシー
概要
ワード・オブ・ブレイク軍の前にヘスペラスIIが失われたことで、ディファイアンス工業は他の工場で生産できるようなアトラスを作らねばならなくなった。フリロの生産ラインは強襲級メックの大規模生産を支援することはできなかったが、プロトタイプを生産することが出来た。ヘスペラスが解放されるまでに、ディファイアンスは解放された生産ラインで新型の限定的な生産を行う準備をしていた。戦場からの熱心な報告により、ディファイアンスは新型の生産を拡大し、ヘスペラスIIでアトラスIIとともに作り続けたのだった。数年前にヨリ・メックワークスは(スフィア)共和国内でこの型を生産するライセンスを得た。
性能
アトラス原型機の独特な装甲を使えなかったフリロの技術者たちは、フェロファイバー装甲に交換することを選択した。その結果、生まれたのは、第一次継承権戦争時に作られた「デスヘッド」とはまったく外見が違うバトルメックであった。旧型とまったく同じ装甲は積んでいないのだが、この仕様はCASEの組み込みと強力なECMの搭載によって足りない分を埋め合わせしている。
同じく、武器と装備が手に入りにくいことから、ディファイアンスがAS7-S型で使っていた武装を再考することになった。連合製のAS7-Kに感銘を受けたディファイアンスはAS7-K2として知られるようになるものを作り上げた。主砲である腕搭載のレーザーと右胴のガウスライフルは使い続けているのだが、副兵装はすべて取り外され、ガイデッドテクノロジーズ社の高度なストリークランチャーに交換されている。
最も重要な変更点は、ヴィラー300エンジンをより強力な出力400のユニットに交換したことである。新しいエンジンによって生み出された速度と機動性は、敵を驚かせることがよくある。たいていアトラスのメック戦士は誤解を誘発するためにわざと速度を落とすのだった。
配備
3082年に配備されて以来、ライラの士官たちは高速なアトラスを熱狂的に歓迎している。ブレイク派の最終的な敗北の後、トーマス・ホガース少将(調達部門の長に昇進した)は、ディファイアンス工業に生産の拡大を直々に求めた。3085年の時点で、LCAFで稼働するアトラス・バトルメックのうち約20パーセントがこの型である。その大半は、氏族に面する戦線と、不安定さを増しつつある自由世界同盟方面に集中配備されている。
ライラ軍からの注文を満たしたディファイアンス工業は新型アトラスをすべての希望者に販売している。現在では、中心領域中と辺境の一部でさえも見ることができる。
共和国でAS7-K2は指揮機として人気になった。デヴリン・ストーンの聖騎士たち数名がこのメックを乗機に選んだ。カーヴィルにおいて、フルトン一族が軍需物資償還プログラムに抵抗し、私的に保有するバトルメックの引き渡しを拒んだ。聖騎士デビッド・マッキノンが解決に動いたが、フルトン家はすべての平和的な解決法をはねのけ、共和国の代表に攻撃を仕掛けた。マッキノンのアトラスは継承権戦争時代のメック1個小隊による突撃に直面した。フルトン一族は聖騎士の手腕にも技術にもかなわなかった。最初に撃墜されたのはドラゴンで、ガウスライフルとレーザーの射撃で両断された。次にパンサーが足を切り裂かれて地に伏し、ジェンナーがストリークミサイルの雨あられで融解した。戦闘はホヒロ・フルトンのオウサムと、聖騎士マッキノンのアトラスの一対一となった。マッキノンは有利な速度と射程を使って、古びた強襲級をたたきのめしたのだった。
ダイアモンドシャーク氏族は3084年にディファイアンス工業から一期生産分の大半を購入した。氏族占領域での最近の報告は、AS7-K2の一部が氏族に配送され、中心領域には再販売されていないという噂に確証を与えている。
派生型
ディファイアンス工業は限られた数量のAS7-K3を生産している。このモデルは左胴のミサイルランチャー一基を外して、右胴のを4連にダウングレードしている。この改造によってジャンプジェットを積む余裕が生まれ、90メートルのジャンプが可能となっている。装甲1トンが追加され、このシャーシに搭載できる最大限の防護がなされている。恒星連邦もまたAS8-Dの少量生産を行っている。荷電粒子砲、マルチミサイルランチャー、ロータリーキャノンが幅広い火力を提供し、三重強化筋繊維によって格闘距離まで近づくことが出来るのである。
前線用の機体を求めているライラ装甲軍は、旧式のアトラスを惑星市民軍から引き上げている。このAS7-Drはディファイアンス・オートキャノンをヘビーPPCに交換している。浮いた重量を使ってSRMをアップグレードし、ECM、C3、放熱器二基を搭載している。
著名なメック戦士
リュディガー・シュタイナー大尉: 最初はラインハルト・シュタイナーの息子という血統が有名だったリュディガー・シュタイナーは、妹クラウディアの誘拐にまつわるドラマで名声を得た。彼がいらぬ手出しをして、海賊が犯罪に関与するのを許したと批判する者がいる一方で、彼のライラ・イレギュラーズが彼女の生命を救ったとする者もいる。誰も否定できないのは、彼が恐るべきパイロットだということである。救出中にアトラスAS7-K2を使って海賊のゴリアテ2機とマローダー1機を撃墜したのだ。
タイプ: アトラス 技術ベース: 中心領域 重量: 100トン 戦闘価値: 2160 装備重量 内部中枢: 10 エンジン: 400XL 26.5 歩行: 4 走行: 6 ジャンプ: 0 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 4 操縦機器: 3 装甲板: 295 16.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 31 42 胴中央(背面): 14 左/右胴: 21 31 左/右胴(背面): 10 左/右腕: 17 33 左/右脚: 21 41 武器・装備 配置 装備欄数 重量 ER大口径レーザー 右腕 2 5 ストリークSRM6 右胴 2 4.5 弾薬(ストリーク)30 右胴 2 2 弾薬(ガウス)16 右胴 2 2 CASE 右胴 1 .5 ガーディアンECM 胴中央 2 1.5 ガウスライフル 左胴 7 15 ストリークSRM6 左胴 2 4.5 ER大口径レーザー 左腕 2 5
中心領域降下船
インターディクター級"ポケット戦艦" Interdictor “Pocket WarShip”
聖戦後、ワード・オブ・ブレイクが使っていた戦闘マシンの多くが嫌悪感を持たれることになった。ブレイク派セレスティアル・オムニメックは、その高性能にも関わらず、操縦しようとする者はほとんどなかった。マネイ・ドミニのメック戦士がもたらす恐怖へのつながりがあまりに強かったからだ。他の機種、ギャラントとトラヤヌスなどは、それほどの重荷を背負っておらず、新生共和国と合同同盟軍で容易に居場所を得た。まれに、聖戦の恐怖と密接に結びついた機種が、あまりに重要であることから聖戦後も使われ続けている。インターディクター・ポケット戦艦もそのような一隻である。
Qシップ・ポケット戦艦よりは数が少ないのだが、インターディクターは最も船数の多い前線強襲船である。最初に目撃されたギャラリーから、地球軌道上での最後の宇宙戦まで、インターディクターはすべての大規模な戦いに姿をあらわし、一度ならず戦いをブレイクの側に傾けた。この目覚しい記録を考えると、共和国の旗の下で生産が続けられるのは自然な選択と言えた。戦艦戦力が使い果たされたことから、ポケット戦艦が共和国防衛艦隊のバックボーンとなり、アップグレードされたインターディクターが大きな役割を担った。
恒星連邦のアロンダイト級改修にヒントを得て、共和国のインターディクターはすべての艦載型ミサイルを取り外し、準艦載型キャノン(SCC)を搭載した。2門の機首搭載中口径SCCが主砲であり、両翼の準艦載型レーザーが長距離火力を与える。通常型の武装は、艦載型ミサイルを排除した分のスペースを有効利用している。すべてのMMLベイは三倍となり、充分な弾薬が長引く戦いに備える。追加のヘビーPPCは翼の全面に配置される。貨物ベイは減らされたが、バトルアーマー海兵36名用の標準居住区画を持ち、長期任務を可能としている。装甲は変更されていない、このSCCインターディクターはもともと危険だった船をさらに進化させている。
共和国のインターディクターの大半は郷土艦隊に配備されており、そのため実戦には参加していない。一隻は3084年8月ホルトに派遣された。装備の優れた海賊が、SCC装備型インターディクター・レパード級CV・混合戦闘機中隊との交戦を引き起こした。海賊のトライアンフは、航行不能になったマンモス級降下船への乗り込みを行っている最中だった。それを捕まえたと信じたレパードは、近接航空支援を提供するために動き、その間、インターディクターの海兵はバトルタクシーを使って乗り込みを阻止しようとした。レパードが近づくと、海賊の2隻目の降下船、アキレスがマンモスの死角から現れ、集中した一斉射でレパードを破壊した。インターディクターの指揮官は素早く動き、準艦載型キャノンの砲火を開く一方で、中距離まで近づいた。海賊のアキレスはすぐに圧倒され、レパードと同じ運命をたどった。
インターディクター級"ポケット戦艦"
タイプ:軍用航空機型
使用:ポケット戦艦
技術:中心領域(先進)
登場:3078年
重量:9400トン
戦闘価値:23727
大きさ
全長:175メートル
全幅:125メートル
全高:53メートル
燃料:400トン(12000)
トン/噴射日:1.84
安全噴射:7
最大噴射:11
放熱器:244(488)
中枢強度:25
装甲
機首:685
側面:513
背面:342
積荷
ベイ1:小型機格納庫(2) 2扉
ベイ2:積荷(385トン) 2扉
ライフボート:6
脱出ポッド:0
船員:士官5名、兵員9名、火器管制13名、搭乗員10名、バトルアーマー海兵36名
弾薬:中口径SCC弾薬30発(30トン)、軽SCC弾薬40発(20トン)、構成により429射から507射のMML弾薬(39トン)、240射の対ミサイル弾薬(20トン)
付記:重フェロアルミニウム装甲112.5トン搭載
武器 戦艦用兵器攻撃ダメージ(通常) 側面(発熱) 近 中 遠 超遠 クラス 機首(150点発熱) 2 中口径準艦載型キャノン 10(100) 10(100) - - 艦載型AC (30射) 3 ヘビーPPC 5(45) 5(45) - - PPC 3 MML9+アルテミスIV 4(42) 2(21) 2(21) - MML (52/44射) 3 大口径VSPレーザー 3(33) 3(27) - - レーザー 2 AMS(48射) 1(6) - - - AMS 左前/右前(132点発熱) 1 準艦載型レーザー 1(10) 1(10) 1(10) - 艦載型レーザー 3 ヘビーPPC 5(45) 5(45) - - PPC 3 MML9+アルテミスIV 4(42) 2(21) 2(21) - MML (52/44射) 3 大口径VSPレーザー 3(33) 3(27) - - レーザー 2 ERPPC 2(20) 2(20) 2(20) - PPC 2 AMS(48射) 1(6) - - - AMS 左後/右後(55点発熱) 1 ヘビーPPC 2(15) 2(15) - - PPC 4 大口径VSPレーザー 4(44) 3(28) - - レーザー 1 AMS(48射) 0(3) - - - AMS 船尾(75点発熱) 2 ヘビーPPC 3(30) 3(30) - - PPC 3 MML9+アルテミスIV 4(42) 2(21) 2(21) - MML (52/44射) 3 大口径VSPレーザー 3(33) 3(27) - - レーザー 1 AMS(48射) 0(3) - - - AMS
氏族バトルメック
アーバレスト Arbalest
重量: 25 トン シャーシ: スターリーグNCX パワープラント: ヴィラー125 巡航速度: 54 キロメートル/時 最高速度: 86 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: イレース・スタンダード 武装: シリーズ2a・マーク5・長射程中口径レーザー 2門 マーク46・タイプII・LRM10ランチャー 2門 製造元: イレース・アルファ 主要工場: イレース 通信システム: ラルドンR1(ECM付) 照準・追尾システム: ダルバン・ハイレッツII
概要
以前にノヴァキャットが開発したオセロットのように、アーバレストは二線級部隊を作り上げるプログラムの一環である。3077年に公開されたこの機体はノヴァキャットの不足する氏族技術を使わないことが重視された――従って、不足する製造施設への負担が最小化されている。
性能
軽バトルメックにしては低速なアーバレストの設計は武装に重きを置いている。そこは氏族技術が集中している場所でもある。2門のマーク46・タイプII・LRMランチャーは、まずまずの長距離火力を提供し、2門の腕搭載長射程中口径レーザーが近距離火力をトン数に比して事実上倍にする。精巧なC3システムの普及――特にブレイク軍において――に対処するため、このメックは強力なECMモジュールを装備する。アーバレストは前進し、敵の火器管制ネットワークを分断させることができる。これによって戦闘は氏族のメック戦士が戦いやすい一対一の戦闘に近いものとなる。
武器と装備の搭載は代償を伴うものである。アーバレストのとるに足らない装甲3.5トン分は長期戦においてはっきりとした不利となる。一撃離脱戦術が必要とされることは、多くの氏族メック戦士にとって収まりの悪いものである。
アーバレストのもうひとつの利点は、最小化の設計哲学によって、整備と修理が容易なことである。オムニ技術の洗練からはほど遠いのだが、多くの二線級部隊は整備する余裕が限られていることから、担当している技術者階級のあいだでこの新型は人気となっている。
配備
第二星間連盟の終焉とワード・オブ・ブレイクのどう猛な反応に直面したノヴァキャットは、オミクロン銀河隊を臨時部隊から完全な二線級部隊にすることで強化をはじめた。迅速で低コストの生産を意図していたアーバレストはこの計画にとって完璧であった。登場以来、このメックは他の二線級部隊にも(たまに前線部隊にも)配備されている。
アーバレスト初の実戦は3077年の前半で、パックハンター、ハ=オトコとともに戦った。ノヴァキャットのメック戦士はアーバレストのECMシステムを使って、ブレイク軍のC3ネットワークを妨害した。新型メックの多くが破壊されたが、彼らの犠牲によってワード・オブ・ブレイクの連携は阻害され、氏族の勝利を確実なものとしたのである。
3077年、ノヴァキャット・デルタ銀河隊のアーバレストは、シェラタンのワード・オブ・ブレイクと争った。この世界をかけた激しい戦いで、アーバレストは敵のC3ネットワークを無効化するのに有効であることを実証した。3078年、デルタはエプシロンエリダニでブレイク保護領市民軍の分隊とぶつかった。それまでの遭遇から学んでいたブレイク派は、戦闘の最初に高速なホバークラフトとバトルアーマーを展開し、アーバレストとECMを装備した機体を倒そうとした。勝利の犠牲はノヴァキャットにとってはるかに重いものとなったのだった。
取引の際にいつも抜け目のないダイアモンドシャーク氏族は、アーバレストの限定生産数回分と、ノヴァキャットが必要としていた氏族技術を交換した。これらのアーバレストはそれから傭兵部隊とスフィア共和国に売却された。キャマルの鉱業施設を守るために雇われた傭兵コヴナント奇襲部隊は、海賊の諸兵科連合軍を悩ませるためにアーバレスト2機を使った。傭兵のバトルメックは一連の待ち伏せを仕掛けて時間を稼ぎ、マシュー・コヴナント大尉が中隊の残りを再展開して、海賊を逃れられない罠に捕らえたのだった。
派生型
アーバレストの主要な派生型2機種がノヴァキャットにより導入されている。一機種目のアーバレスト2は、装甲を最大に搭載することによって、初期型の弱点を改善している。地上速度はMASCの導入により強化された。これらの変更を可能にするため、左胴のミサイルランチャーとマガジンが外されている。
アーバレスト3は接近戦とバトルアーマー戦に向いている。装甲をフェロファイバーにして防護力を高め、さらにはECMシステムを1.5トン分の装甲に交換して強化している。各腕のレーザーは2門の長射程小口径レーザーに交換されている。
タイプ: アーバレスト 技術ベース: 氏族 重量: 25トン 戦闘価値: 1029 装備重量 内部中枢: 2.5 エンジン: 125 4 歩行: 5 走行: 8 ジャンプ: 0 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 2 操縦機器: 3 装甲板: 56 3.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 8 胴中央: 8 8 胴中央(背面): 2 左/右胴: 6 5 左/右胴(背面): 2 左/右腕: 4 5 左/右脚: 6 7 武器・装備 配置 装備欄数 重量 ER中口径レーザー 右腕 1 1 LRM10 右胴 1 2.5 弾薬(LRM)12 左胴 1 1 ECMスーツ 頭部 1 1 LRM10 左胴 1 2.5 弾薬(LRM)12 左胴 1 1 ER中口径レーザー 左腕 1 1
プロジェクトフェニックス中心領域製バトルメック
サンダーボルト TDR-10M THUNDERBOLT
重量: 65 トン シャーシ: アースワークスTDR II デラックス・エンドースティール パワープラント: 260マグナライト軽核融合 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 64 キロメートル/時 ジャンプジェット: チルトン466 ジャンプ能力: 120メートル 装甲板: スターシールドA 武装: セレスアームズ・スラッシャー・スナブノーズPPC 1門 フシゴン・ストロングトゥース・ヘビーPPC 1門 フシゴン・ショートトゥース・ライトPPC 1門 ドゥームバド・マルチミサイルランチャー5 1門 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門 製造元: アースワークス・インコーポレーテッド 主要工場: キーストーン 通信システム: ネイル8000 照準・追尾システム: RCAインスタトラック・マークX
概要
サンダーボルトの設計は〈戦争の時代〉にさかのぼり、しばしば愛情を込めてT-ボルトと短縮系で呼ばれる。様々な弾薬を積んでいるにもかかわらず頑丈なことで知られているこの機種は、すべての大規模な軍隊と、ほとんどの小規模な軍隊で見られる。その耐久性と改造の容易なフレームは、この機種を現地改修用の人気メックとしている。改修の傾向は軍によって異なる。中心領域再建に伴い、アースワークスはキーストーンで生産されているサンダーボルトの改修を決めた。新型は賞賛されたが、真の評価を得るには実戦に参加する必要がある。
性能
武装は完全に変更されている。ライト、スナブノーズからなるごった煮の粒子砲が左胴に収まる。右腕には、軽いメックを貫通できる強力なヘビーPPCがある。PPCを支援する、胴搭載の長射程中口径レーザーは、原型機にあった3門のレーザーを思い起こさせるものである。火力を仕上げるのは、多用途のマルチミサイルランチャーだ。PPCとマルチミサイルランチャーから放たれるLRMの組み合わせが、このメックに強力な長距離打撃力を与える。戦闘が接近戦に移ると、スナブノーズPPCとレーザーが射撃を続ける間、ミサイルランチャーをSRMにスイッチしPPCのあけた穴を狙うことが可能である。
エンドースティールのフレームには、搭載できるほぼ最大の装甲が積まれる。これが、5連ミサイルの2トン分で脆弱になったライトエンジンを守っている。この新型を配備されたメック戦士たちは、絶賛では弾薬の連鎖爆発から身を守れないとよく不平を述べている。
配備
10M型は一般市場で元自由世界国家、近隣の共和国、各種傭兵部隊に販売されている。キーストンは他の国で他のバージョンのサンダーボルトと競合することを予期していない。彼らは10Mをカペラ大連邦国とドラコ連合に売り込もうとして、違った結果を得ている。連合はほとんど興味を示さなかったが、大連邦国は受け入れているようだ。彼らは徐々に減っていくサンダーボルト隊をまだ補充していないのである。
派生型
多数の国がサンダーボルトを作っているので、機種による多数の違いが生まれ続けている。おそらく最も予期できないものは、原型機より火力の劣るタウラス仕様であろう。装備しているのは10連LRMと、ライトPPC2門、ER中口径レーザーのみだ。だが、時速90キロ以上の最高速度を持つことから、旧機種に間違われることはないだろう。聖戦の以前、自由世界同盟は10Mに似た機種を作り、様々な国家に販売していた。この派生型はヘビー、ライトPPCの代わりにジャンプ能力を強化し、追加のレーザー群と大型ミサイルラック1門を持っている。加えて大量のエレクトロニクスにより戦場でさらに優位な存在となった。
これまでとは異なるドラコ連合の派生型は、しばしば恒星連邦製と間違われる。元々はノ=ダチのテストベッドだった本機は、聖戦中に改良され一般的な改修型となった。三重強化筋繊維(トリプル・ストレングス・マイアマー)、エネルギー兵器、ジャンプジェットを中心に作られ、改良されたエンジンを載せられている。ライラ人は三重強化筋繊維とエネルギー兵器の似たような仕様機を持つが、こちらはERPPCにより長射程を得ている一方、コンパクトエンジンとヘビーデューティージャイロによりほぼ破壊不可能となっている。
ワード・オブ・ブレイクはニューアヴァロン占領の間、TDR-NAISを用い、目的に沿った改造を行った。RACとターゲティングコンピュータが外され、大口径VSPとライトPPC一門ずつが搭載された。市街戦能力を高めるため、電子装置一式とBポッドが追加されている。
著名なメック戦士
エディー・エデルミラ大尉: アンドゥリエン特戦隊の中隊指揮官であるエデルミラは部隊が始まって以来在籍している。3083年のカペラ侵攻の間、彼はインフェルノとひっきりなしの移動によってリャオ軍をいらだたせ続けた。彼は侵攻軍が撤退するまでに3機の撃墜を記録し、彼の中隊はメックと車両合計15機を撃破したのだった。
タイプ: サンダーボルト 技術ベース: 中心領域 重量: 65トン 戦闘価値: 1727 装備重量 内部中枢: エンドースティール 3.5 エンジン: 260ライト 10.5 歩行: 4 走行: 6 ジャンプ: 4 放熱器: 13[26] 3 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 208 13 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 21 31 胴中央(背面): 10 左/右胴: 15 22 左/右胴(背面): 8 左/右腕: 10 20 左/右脚: 15 29 武器・装備 配置 装備欄数 重量 ヘビーPPC 右腕 4 10 MML5 右胴 3 3 弾薬(MML)48/40 左胴 2 2 スナブノーズPPC 左胴 2 6 ライトPPC 左胴 1 33 ER中口径レーザー 左胴 1 1 ジャンプジェット 右脚 2 2 ジャンプジェット 左脚 2 2
星間連盟バトルメック
フェニックスホークIIC7 PHOENIX HAWK IIC 7
重量: 80 トン シャーシ: DSAM 4 パワープラント: タイプ81・320XL核融合 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 64 キロメートル/時 ジャンプジェット: トレルシェア・ロングリフターズ・強化ジャンプジェット ジャンプ能力: 180メートル 装甲板: AM15 武装: タイプKOV・LB-10Xオートキャノン 2門 マーク3・ER中口径レーザー 2門 シリーズ4・ストリークSRM4 2門 製造元: トレルシェア重工業 主要工場: トワイクロス 通信システム: メガバンド・システム21 照準・追尾システム: Dトラック・スート4
概要
ダイアモンドシャークはスティールヴァイパーから旧式のフェニックスホークIICを取得するのに成功し、トレルシェアの工場で少なくとも6機のバージョンを生産している。これは本当に素晴らしい生産能力である。シャークは彼ら自身と氏族・中心領域の顧客のニーズを満たすに足る、全フェニックスホークIICと他のメック数機種を生産してるようなのだ。彼らはトレルシェア重工業を大幅にアップグレードしたようだ。
フェニックスホークの最新型は大口径のオートキャノンを搭載するために、広い胴のウェポンベイを使い続けているが、支援兵器がさらに目を見張るものである……2門のER中口径レーザーと、2門のストリークSRM4だ。IIC6が使っているのと同じ強化ジャンプジェットで機動性は保たれている。たとえ氏族の技術が頂点に達しているとしても、重兵装な上に強化ジャンプジェットシステムの重量が倍以上になっていることから、シャークの技術者たちはジャンプの範囲とエンジン出力を落とさねばならなかった。
性能
派生型7は優秀な中距離ファイターだが、車両と戦うときや、他のメックがあけた装甲の穴を狙うときに、より有効である。シャークは彼らの領地と利益を守るために相当数のIIC7を配備し、空からの驚異と戦う達人であることを実証した。しかしながら、兄弟機に勝るということはないようだ。強化ジャンプジェットを持ってしても、通常型のフェニックスホークIICをわずかに上回る程度のジャンプ能力しかなく、移動速度で劣るシリーズ唯一の機種なのだ。IIC6の素晴らしいジャンプ能力は高い代償をもたらすものであったかもしれない一方で、IIC7の火力は典型的なものではなく、移動力も同様だ。IIC3、4などの他のダイアモンドシャークバージョンや、ウルトラAC/10搭載の原型機と比べても、この機種は妥協的なものであるようだ。
配備
IIC7の大半は、3078年の早い内には、ダイアモンドシャークの守備部隊に配備されていた。氏族はこの機種を買えるようだが、配備しているのは例外なく少数である。よく見られるのは中心領域の傭兵部隊で、正規部隊にもそれなりにある。IIC7の性能は氏族の標準からするとたいしたことがないかもしれないが、中心領域の基準からすると依然として飛び抜けているのだ。性能が二流であることは、シャークが選んだ顧客に対する他氏族からの不安をある程度減少させるかもしれない。IIC7はダイアモンドシャークが友好価格でストーン連合軍に提供した数機種のうちの一機であった。
派生型
最近作られたもう一機のフェニックスホークIICは派生型5で、HAG20を2門とAPガウス兵器4門を積んでいる。このIIC5はダイアモンドシャークとその他の氏族で一般的になりつつあるが、元々はスターアダー製であるとされる。中心領域の部隊のあいだで見られるようになったのはつい最近だ。
派生型6は通常の設計からはずれた興味深いもう一機である。装甲を増やし、強化ジャンプジェットによって240メートルのジャンプ能力を持つ、このIIC6はこれまで作られたなかで最も機動力の高い強襲級メックである。結果的に、その武装はたいしたものでなく、攻撃用に4門のヘビー中口径レーザーを搭載するのみである。腕搭載のプラズマキャノンがこれを支援し、IIC6が中口径レーザーの射程内に入るまでに目標を痛めつけるにたる充分な弾薬を持つ。ターゲティングコンピュータが射撃の精度を高めているが、連続射撃すると放熱システムに多大な負担がかかる。
著名なメック戦士
メック戦士スティーヴン・ハウスパイ: トール・ハンマー(傭兵隊)エイブル砲兵中隊に配属されているメック戦士・ハウスパイは、部隊で最高の航空機撃墜記録を持っている。彼の撃墜スコアの大半は、どこからかフェニックスホークIIC7を取得してから稼いだものである。ハウスパイはメックの機動力を最大限に使用する傾向がある。敵の攻撃に割り込むために、戦場の複数の前線を素早く移動するのだ。ほとんどの対空メック・車両は停止して交戦するが、ハウスパイは優れた機動性と成功率の高さで名声をうち立てた。
タイプ: フェニックスホークIIC 技術ベース: 氏族 重量: 80トン 戦闘価値: 2219 装備重量 内部中枢: エンドースティール 4 エンジン: 320XL 11.5 歩行: 4 走行: 6 ジャンプ: 6 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 4 操縦機器: 3 装甲板: 232 14.5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 25 36 胴中央(背面): 9 左/右胴: 17 26 左/右胴(背面): 7 左/右腕: 13 25 左/右脚: 17 31 武器・装備 配置 装備欄数 重量 ER中口径レーザー 右腕 1 1 LB10-X AC 右胴 5 10 弾薬(LB-X)20 右腕 2 2 2 ストリークSRM4 胴中央 2 4 弾薬(ストリーク)25 頭部 1 1 LB10-X AC 左胴 5 10 弾薬(LB-X)20 左腕 2 2 ER中口径レーザー 左腕 1 1 強化ジャンプジェット 右脚 2 2 2 強化ジャンプジェット 右胴 4 4 2 強化ジャンプジェット 左胴 4 4 強化ジャンプジェット 左脚 2 2
中心領域製LAM
スティンガーLAM・マークI ATG-A1 Stinger LAM MK I
重量: 30 トン シャーシ: レグザテック300 パワープラント: GM180 巡航速度: 64 キロメートル/時 最高速度: 97 キロメートル/時 ジャンプジェット: GM ATO100 ジャンプ能力: 180メートル 装甲板: リーゼ-100 武装: ラッカー-IV中口径パルスレーザー 1門 ラッカー-II小口径パルスレーザー 1門 製造元: レグザテック工業 主要工場: イレース 通信システム: O/P 900 照準・追尾システム: O/P LAMTRACK 45
概要
シャドウホークLAMで無駄足を踏んだあと、SLDFの調達担当者たちが新しいランド=エア・バトルメックについて寡黙であったのはよく理解できる。両取り的な設計は、特殊な戦闘任務(LAMのコンセプトの正反対)を除いて、きわめて限られたものだった。すべてが変わったのは2688年、レグザテック工業が、三段変形(後に通常型と呼ばれるようになる)用のランド=エアメック変形装備と共に超先進のスティンガーLAMを完成させたときのことである。この洗練された強力な機体――元のスティンガーをほぼあらゆる方面で強化したのと同時に地上移動速度を保っている――は、軍事の分野に押し寄せた嵐であった。それはあたかも、マッキーのそのすぐ次に、ピラジャーが登場したかのようだった。それくらい大きな技術的飛躍があったのだ。
性能
スティンガーLAMは、後の機種のように、元のシャーシより10トン増えているが、増えた分のスペースと重量を見事に使っている。この新LAMはスティンガーに比べて地上速度もジャンプ範囲も失っておらず、追加の装甲防護を得ている。武装のペイロードも大きくアップグレードされ、通常型レーザーとマシンガンがパルスレーザー群に交換されている。10基の高性能放熱器は、この武装にとって充分以上の冷却を提供する。
その結果が、きわめて柔軟性が高く完成度の高い軽バトルメックであり、軽気圏戦闘機としても長所を加えられている。驚くべき機動性を誇るエアモックモードは、ほんの飾りである。
配備
星間連盟防衛軍はスティンガーLAMにスリルを感じ、数千機注文したが、レグザテック社はSTG-A1の代わりにSTG-A5スティンガー・マークIIが登場するまで、約200機を出荷できただけだった。A1が地球帝国の親衛師団に残った一方、A5は中心領域と辺境の隅々にまで広まった。
スティンガーLAMは2690年の前半に戦火の洗礼を受けた。それは地球のオールトの雲に核兵器工場があるとの噂が帝国司令部に届いたときのことである。辺境の分離主義者がテロ攻撃を計画していると恐怖したSLDFは、スティンガーLAM群と新型のワスプLAM4機からなる緊急攻撃部隊をスクランブル発進させた。スティンガーの航空宇宙優勢を受けたワスプは、アローIV・ATGMで工場を破壊した。この強襲はだれもが思っていたよりも上手くいき、すべてのLAMが無傷で戻ってきたのだった。
派生型
興味深いことに、スティンガーLAMの最も一般的な派生型であるSTG-A5は、実のところSLDFがマークII型を求める前に設計が行われていた。A1は優れたマシンである一方、高価であり、レグザテック社はSLDFの親衛師団が買いたがるよりも多くのメックを売りたがったのである。STG-A5はパルスレーザーをすべて通常型の中口径レーザーに交換し、放熱器を通常型にダウングレードしている。SLDFはダウングレードに興味を示さなかったが、A5はそれでも優れた高速偵察機であり、諸外国への最新兵器技術開示を最小限にしている。もう一機種のSTG-A10は、A5の腕搭載中口径レーザーを2門の小口径レーザーに交換している。この型はドラコ連合でよく見られるものだった。
レグザテック社は、大型XLエンジン、フェロファイバー装甲、エンドースティール構造、追加武器、装甲を用いて、さらに高度なスティンガーLAMを計画していたが、ランド=エアメックの限られたシャーシに、かさばる新型軽量装備を組み込むのは不可能と証明された。近年、一部で強化ジャンプジェットと共に複合構造を組み込むことが示唆されている。だが、LAM復活に本気を示している軍、企業がないことから、このようなアイディアは理論上のままになっている。
著名なメック戦士
サイモン・ラストラーII世大尉: かつてスカイア特戦隊の一員だったサイモン・ラストラーは、第四次継承権戦争と3039年戦争でクリタ家相手に英雄的な戦いを見せた後、中隊指揮官に昇進した。上官は、彼が熟達したパイロットなのではなく、幸運なだけかもしれないと恐れたが、これに根拠はなかったと証明された。不幸にも、ラストラー大尉は誕生したばかりの自由ラサルハグ共和国国境に送られ、3051年、ウルフ氏族の気圏戦闘機に撃ち落とされる最期を迎えたのだった。
メック戦士・クルト・ブルンナー: シェーファー一族の目立たない血統に生まれたゴリアテスコーピオン氏族のメック戦士であるクルトは、中心領域に帰還することを夢見ていた。「竜機兵団の妥協」が発表されたとき、クルトはチャンスに飛びつき、ジェイム、ジョシュア・ウルフ軍に加わる神判を経験した。恒星連邦にたどり着いた際、クルト(ブルンナーの名字を使っていた)は、継承国家群がいかに堕落したかに幻滅を感じた。彼はミザリーで戦死した。それは若き情熱の苦い影であった。
タイプ: スティンガーLAM・マークI 技術ベース: 中心領域(先進) 重量: 30トン 戦闘価値: 788 装備重量 内部中枢: 3 LAM変形装備: 3 エンジン: 180 7 歩行: 6 走行: 9 ジャンプ: 6 エアメック巡航: 18 エアメック最高: 24 安全噴射: 6 最大噴射: 9 放熱器: 10[20] 0 ジャイロ: 2 操縦機器: 3 燃料: 0 損害基準点: 10 装甲板: 80 5 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 10 12 胴中央(背面): 3 左/右胴: 7 9 左/右胴(背面): 3 左/右腕: 5 6 左/右脚: 7 10 武器・装備 配置 装備欄数 重量 中口径パルスレーザー 右胴 1 2 小口径パルスレーザー 右腕 1 1 小口径パルスレーザー 左腕 1 1 ジャンプジェット 右脚 3 1.5 ジャンプジェット 左脚 3 1.5