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作成:2007/08/05
更新:2010/02/05

テクニカルリードアウト:3055 アップグレード



 『TRO:3055アップグレード』は、旧版の『TRO:3055』を、3067年の視点から改訂、増補したものです。元々の著者はコムスターで、ウルフ竜機兵団(ウルフネット)がアップグレード版をまとめました。
 そのうちの一部を、テクニカルリードアウト:3055 アップグレード・プレビュー(pdf)より。

















中心領域製バトルメック


ファイアボール FIREBALL ALM-7D
重量: 20 トン
シャーシ: コリアン・モデル334AA・エンドースティール
パワープラント: DAV 220 XL
巡航速度: 119 キロメートル/時
最高速度: 184 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: デュラレックス・ノヴァ
武装:
 ホバーテック・ストリークSRM2ラック 1門
 LFNラインブラッド・マシンガン 1門
製造元: コリアン・エンタープライズ
 主要工場: ニュー・アヴァロン
通信システム: リンクス−シュール
照準・追尾システム: コリアン Bテック




概要
 連邦=共和国の指揮官たちは、氏族の猛攻に対する戦略を考える一方、ニューアヴァロン科学大学の設計者たちと何度も話し合いを持った。議論で決まったことのひとつは、驚くほど致死的な氏族のエレメンタルと戦う重部隊を支援できる、軽量級バトルメックの製作だった。コリアン・エンタープライズは、ALM-7D ファイアボールへとつながる契約を獲得した。



性能
 氏族が現れ、中心領域をパニックに陥れるなか、大急ぎで作られたファイアボールは、戦闘中、高火力を維持し続けられる機体を想定していた。ホバーテック・ストリークSRM2を1門、LFNラインブラッド・マシンガンを1門だけ装備するファイアボールは、残念ながら、与えられた任務にふさわしくないと判明した。メック戦士の多くが、押し寄せるトード(エレメンタルは当初、連邦=共和国の兵士たちにそう呼ばれた)の群れに対した時に火力で負けてしまうと不平を並べた。

 この機体、唯一の取り柄が、尋常でない速度である。前線指揮官たちはすぐにファイアボールを、偵察、襲撃機とした。



配備
 連邦=共和国は、古参兵の部隊が氏族と対面する前線で、ALM-7Dの性能をテストした。運用上の実績を素早く積み上げるため、新人パイロットたちにメックが与えられた。このコンセプトは適切だったと証明され、連邦=共和国はこの手法を使い続けている。

 軽量級メックに関する幅広い経験を持つ、南十字星部隊、デネブ軽装甲機兵隊、ケチ戦闘部隊は、3053年に最初の出荷品を受け取った。日常的に襲撃がくり返される氏族前線において、ファイアボールが意図された役割にふさわしくないとの報告が届くまで、数週間しかかからなかった。だが、驚異的に高速な氏族のダッシャーすらも翻弄できる軽量級装備として、このメックは襲撃、偵察作戦における素晴らしい選択肢の一つとなった。

 皮肉にも、ファイアボールが関わった重戦闘は、ニューアヴァロン、コリアン・エンタープライズ工場の玄関で起きた。連邦=共和国内戦、ニューアヴァロン争奪戦のさなか、コリアン・エンタープライズは出来るだけ早くメックを製造しようとした……最初はカトリーナ派のため、次は同盟軍のために。ファイアボールは同盟軍偵察部隊の主柱となった。連邦=共和国内戦の集結後、ファイアボールはぼろぼろになったデネブ軽装甲機兵隊、ケチ戦闘部隊の再建で重要な位置を占めた。



派生型
 ファイアボールの登場以降、現地改修の成功が2種類の派生型を生み出した。この双方がメックの火力を増したものである。1種目のALM-8Dは、左胴にあるストリークSRM-2、弾薬を、中口径レーザー2門、追加装甲と交換したものである。同中隊内の別のテックは、損傷を受けたファイアボールの右胴にあった、マシンガン、弾薬を、中口径レーザー1門、追加装甲に交換し、ALM-9Dを生み出した。

 両派生型は良い成果を残し、コリアンエンタープライズが両タイプの部分生産を実施した。



著名なメック戦士

ソーニャ・デッカード大尉:3055年にNAISを出て、そのまま第10デネブ軽装甲機兵隊に配属されたソーニャは、連邦=共和国内戦、ニューアヴァロン争奪戦が始まるまでに、偵察中隊指揮官の地位に昇進していた。
 デッカード大尉は、流行のファッションに強い関心があり、あたかも戦場よりも、ファッションショーの舞台が、本来の居場所であるかのように見える。彼女は故メリッサ・シュタイナー=ダヴィオンにそっくりだと言いたいがために、長く厳しい努力をしてきた。彼女がキャサリン・シュタイナー=ダヴィオンを支持する理由は、政策よりも、似通ったファッションセンスによるものだと、彼女を嫌う者たちはよく主張している。

メック戦士ロバート・グレイ:メックの外では誰ともつきあわず、不機嫌なグレイは、戦闘で生き生きとするハンターであり、他のメックに忍び寄る、長く、苦しい時間を楽しむ。彼は才能豊かな偵察兵でもあり、第7南十字星部隊マッキノン中隊(マッキノン奇襲部隊、"フォックス・ティース")の古参隊員として、部隊の継続的な成功に寄与している。最初は、ようやく、古くてぼろぼろのスティンガーを新品メックと交換するのを喜んでいたグレイは、受け取ったファイアボールの豆鉄砲的な武装に感銘を受けず、すぐALM-8Dの現地改修を採用した。
 独立襲撃隊として、第7南十字星部隊から切り離されたマッキノン中隊は、連隊を襲った命運から逃れた。ライラ同盟中でヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンを追い回す敵軍から戦力を奪うため、一撃離脱線を開始したフォックス・ティースは、ロバート・グレイのサバイバル術に強く依存していた。





タイプ: ファイアボール
技術ベース: 中心領域
重量: 20トン
戦闘価値: 289

                          装備重量
内部中枢:     エンドースティール          1
エンジン:        220 XL             5
    歩行:        11
    走行:        17
    ジャンプ:       0
放熱器:          10              0
ジャイロ:                        3
操縦機器:                        3
装甲板:           64              4



        内部中枢    装甲
頭部:      3         9
胴中央:     6         9
胴中央(背面):           2
左/右胴:    5        8
左/右胴(背面):          2
左/右腕:    3        5
左/右脚:    4        7

武器・装備       配置    装備欄数    重量
ストリークSRM2     左胴      1      1.5
弾薬(ストリーク)50  左胴      1       1
マシンガン       右胴      1      .5
弾薬(MG)50      右胴      1       1











中心領域製バトルメック


ダート DART DRT-3S
重量: 25 トン
シャーシ: コベントリ・メタルワークスモデルD-3
パワープラント: VOX 225
巡航速度: 97 キロメートル/時
最高速度: 151 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: レキシントン・リミテッド
武装:
 マグナ200P小口径パルスレーザー 3門
製造元: コベントリ・メタルワークス
 主要工場: コベントリ
通信システム: サイクロプス14
照準・追尾システム: サイクロプス・マルチタスカー




概要
 弾薬兵器を使わない軽量級メックという、連邦=共和国の要求に沿って、設計、製造された、25トンのダートは、コベントリメタルワークスが共和国の輝かしい軍事企業のひとつであり続けるための努力のひとつに過ぎないものである。コストダウンのために新技術をほとんど使っていないダートは、首尾良くAFFCに採用され、ライラ、恒星連邦の両軍で使われ続けている。



性能
 高速で敏捷性のあるダートは精度の高い小口径パルスレーザー三門を搭載し、高速襲撃機としての役割を果たしている。この兵器は敵に与えるダメージが小さいのだが、集団になって行動するか、他の高速軽量機と組んで、低速で重量のある獲物(補給庫、指揮所のような固定目標の周囲によくいる)を圧倒できるかも知れない。



配備
 氏族侵攻の最中に登場した最初のダートは辺境で最初の実戦を経験した。海賊等を掃討し、比較的秘密裏に、その真価を試したのである。ツカイード戦後、試験に使われた機体の大半とコベントリの初期生産分は、氏族国境周辺のAFFC部隊に回され、3050年代から3060年代の前半にかけて、襲撃機としてさかんに用いられた。

 専門家は、この時期、ダート数機が侵攻氏族に捕獲され、他氏族と交換されて、侵攻後の数年間、守備隊の維持に使われたと考えている。この仮説は、なぜ中心領域軍がスモークジャガーの首都ハントレスで、ジャガーの記章を付けたダートと遭遇したのかを説明している。ツカイード後、スモークジャガーがダートを捕獲したという報告はないのである。



派生型
 4S、6Sの両派生型は、武器を中口径レーザーに交換し、機動性を保ったまま、射程と打撃力を上げている。6Sはレーザーのうち1門を取り外し、通常型装甲1トンに載せ替えている。両派生型は、既存のパーツを使って前線で加工されたものだったかもしれないが、現在、コベントリは3種類の型をすべて工場製のオプションとして提供している。



著名なメック戦士

メック戦士マグダ:スモークジャガー軽量級強襲星隊の一員だったメック戦士マグダは、ハントレス戦の際、第63ソラーマ星団隊に付けられていた。鹵獲した機体である彼女のDRT-3Sダートは、仲間の星隊員と共に、マイヤーと周囲の工場群の防衛を命じられ、第1カシル槍機兵隊の一部と交戦した。激しい防衛の間、マグダとジャガーの戦士数名は、槍機兵隊の歩兵・車両分遣隊の殲滅を命じられ、マグダ当人は槍機兵隊の1個ホバー戦車小隊の撃破を記録し、その後、損害を受けて武装をはぎ取られた。

 槍機兵隊のウルフハウンドへのやぶれかぶれの突撃の後、マグダは中心領域軍に捕らえられた。全盛期を過ぎて15年にもなるのだが、彼女は囚人として扱うのが信じがたいほど難しく、結局、ルーテラの臨時捕虜収容所から脱走した。現在の所在は不明である。

ヨナ・ケファー中尉:第1アラリオン猟兵隊のヨナ・ケファー中尉は自身を誇り高きカトリーナ派とし、連邦=共和国内戦で、幾度もヴィクター派と戦った。チコノフ戦で、猟兵隊とカトリーナ派部隊がヴィクター・シュタイナー=ダヴィオン軍を追撃していた間、ケファーとDRT-6S ダート「シャドウストーカー」は高速即応部隊の一部としての役割を果たし、チコグラッド近郊のアースワークス工場防衛の際には、偵察、妨害攻撃の両方を行った。

 メックの速度、増加装甲、中口径レーザーを活かしたケファーは、チコグラッド外縁部の戦闘で三度出撃し、少なくともメック1機、車両3両の撃墜を記録した。ターカッド争奪戦の最後の戦闘において、彼はその技量により、ケルハウンドのクーガーを相手にどうにか生き残ったのだった。





タイプ: ダート
技術ベース: 中心領域
重量: 25トン
戦闘価値: 289

                          装備重量
内部中枢:                       2.5
エンジン:         225             10
    歩行:         9
    走行:        14
    ジャンプ:       0
放熱器:          10              0
ジャイロ:                        3
操縦機器:                        3
装甲板:           56             3.5



        内部中枢    装甲
頭部:      3         6
胴中央:     8         7
胴中央(背面):           3
左/右胴:    6        7
左/右胴(背面):          3
左/右腕:    4        5
左/右脚:    6        5

武器・装備        配置    装備欄数    重量
小口径パルスレーザー   頭部      1       1
2 小口径パルスレーザー  中央胴      2       2











中心領域製バトルメック


ウォッチマン WTC-4M WATCHMAN
重量: 40 トン
シャーシ: ドゥウィニオン・スタンダード
パワープラント: ニッサン200
巡航速度: 54 キロメートル/時
最高速度: 86 キロメートル/時
ジャンプジェット: ハイルドコー・モデル12
 ジャンプ能力: 150メートル
装甲板: スターシールドA
武装:
 チスコンプ43スペシャル大口径レーザー 1門
 チスコンプ39中口径レーザー 2門
 スプレーブローニング・マシンガン 2門
製造元: ロビンソン・スタンダード・バトルワークス
 主要工場: ロビンソン
通信システム: アケルナルエレクトロニクス・HICS-11
照準・追尾システム: フェデレーテッドハンター




概要
 氏族侵攻が始まると、ハンス・ダヴィオン国王は連邦=共和国中から前線兵をかき集め、氏族の容赦ない前身を押しとどめようと、迫り来る大軍勢の前に配置した。これによって、国境地帯の多くは戦力不足で残されることになり、ドラコ境界域の指導者、サンドヴァル公は代償を求めた。前線部隊を戻すのが不可能で、その意志もなかったハンス国王は、ウォッチマンの設計、生産コストを負担することで、公爵を沈めたのだった。



性能
 コスト削減のため、AFFC補給部は、ウォッチマンのベースを現行モデルにすることを求めた。設計士たちはすぐエンフォーサーを新型バトルメックのベースとして選び、大量に残っている古いパーツを使うことにした。

 ウォッチマンの設計士たちはエンフォーサーのオートキャノンを下ろし、代わりに、チスコンプ39中口径レーザー2門を載せた。これは主に旧型デルヴィッシュで使われているものである。AFFCが要求仕様書に対歩兵兵器を追加すると、2門のスプレーブローニング・マシンガンが付け加えられた。

 コクピットの操縦装置は未経験なメック戦士が扱いやすいようにシンプルなものである。設計士たちはエンフォーサーの装甲を交換し、CASEとスターシールドAをその代わりとした。また、新たなジャンプジェットを付け加え、150メートルのジャンプ能力を与えている。これらのすべてがウォッチマンをわずか40トンとし、メックの価格をさらに魅力的なものとしたのである。



配備
 安物で初歩的なメックと見なされていたウォッチマンは、ほぼドラコ境界域内のみで使用され、長い間みじめな扱いを受けていた。連邦共和国内戦が始まり、サンドヴァル公爵がドラコ連合への強襲を行うと、ウォッチマンの頑丈さが証明された。

 このメックは、3062年と3063年のプロセルピナで、丈夫かつきわめて冗長性の高いバトルメックであるとの名声を得た(特にロビンソン戦闘訓練校の訓練生にとっては)。ロステックの満ちた現代の戦場で、明らかにローテクのウォッチマンは、深刻なダメージにも耐えることが出来た。交戦後、この機体は修理が容易で、すぐに戦線に戻すことが出来た……特にメック戦士たちが弾薬を満載しないことを覚えてからは。満載にしていた時でさえも、弾薬爆発によって破壊された胴の再生は、エンドースチールやXL核融合エンジンのような高度な技術を使用する機種よりも容易だったのである。

 性能に関する報告が行き渡ると、このメックの需要は生産能力を超えて高まった。サンドヴァル公爵は生産分を注意深く分け与え、彼の「古き敵」に対する戦役に、政治的、兵站的支援を与えてくれる者たちにのみ、このメックを渡した。戦争が終わるまでに、このメックは恒星連邦内で戦うほぼすべての部隊に行き渡り、連合連隊にも一定数がある。



派生型
 連邦共和国内戦でウォッチマンは新たな人気を確認したが、戦場で直面するメックの多くに撃ち負けることもまたすぐに露呈している。ロビンソン・スタンダード・バトルワークスのエンジニアたちは武装に改造を施し、大口径レーザーとマシンガンを、マグナヘルスターPPCと中口径レーザーに交換した。熱交換システムを高性能放熱器にし、スターガード・フェロファイバー装甲を載せることで、さらに戦闘能力が上昇している。



著名なメック戦士

セリ・トート少佐:3062年、連合がロビンソンを強襲した時に、ロビンソン戦闘訓練校の二年生であったトートは、訓練校の降下船に潜り込んで、12月にロビンソンを発った。発見された彼女は軟禁されたのだが、第1ロビンソン特戦隊の損害が大きくなると、戦死したパイロットが乗っていたウォッチマンを与えられた。機体にヴェンフル・ルシファーと名付けた彼女は、連合の反撃の対する直接の突撃を率いて名をあげた。第1特戦隊の損害が増えると、彼女はすぐ士官採用を勝ち取り、ニューアヴァロンの最後の戦いの時には、第2特戦隊の大隊指揮官にまで昇進したのである。

メック戦士ピョートル・ブコビッチ:メック戦士ブコビッチは、FWLMでの20年間のほとんどを軍刑務所で過ごした。彼はバトルメックの優れた技術のみを持って、除隊、無期懲役を免れている――叔父が有名な議会議員であるという事実もある。彼は、3057年のウォセットで、第2共和国隊のある中尉からウォッチマンを奪い取った。第13マーリック市民軍で上官の中尉にやっているのと同じく、殴りつけて意識不明にしたのである。





タイプ: ウォッチマン
技術ベース: 中心領域
重量: 40トン
戦闘価値: 865

                          装備重量
内部中枢:                        4
エンジン:         200             8.5
    歩行:         5
    走行:         8
    ジャンプ:       5
放熱器:          12              2
ジャイロ:                        2
操縦機器:                        3
装甲板:          136             8.5



        内部中枢    装甲
頭部:      3         8
胴中央:    12        16
胴中央(背面):           8
左/右胴:    10        14
左/右胴(背面):          6
左/右腕:     6        12
左/右脚:    10        20

武器・装備       配置    装備欄数    重量
大口径レーザー     左腕      2       5
2 マシンガン      左腕      2       1
弾薬(MG)200      左胴      1       1
CASE          左胴      1       .5
2 中口径レーザー    右腕      2       2
ジャンプジェット    右脚      2       1
ジャンプジェット    左脚      2       1
ジャンプジェット    胴中央      1       .5











中心領域製バトルメック


ギャロウグラス GALLOWGLAS GAL-1GLS
重量: 70 トン
シャーシ: GLKWL-52gls
パワープラント: VOX 280
巡航速度: 43 キロメートル/時
最高速度: 65 キロメートル/時
ジャンプジェット: ジオテック300
 ジャンプ能力: 90メートル
装甲板: ヴァリアント・ラメラー
武装:
 ティーガルト・マグナム長射程PPC 1門
 サングロウ大口径レーザー 2門
 マグナ・クエーサー中口径パルスレーザー 2門
 マグナ・スターグロウ小口径レーザー 1門
製造元: ブラックウェル重工業
 主要工場: アウトリーチ
通信システム: ダルバン・マイクロニクス
照準・追尾システム: ダルバンHiRez II




概要
 ブラックウェル重工業が最近登場させたギャロウグラスは、エネルギー兵器の砲列を装備し、長距離でも近距離でも強力な敵と交戦可能な機体である――それは氏族の脅威と戦う時に必要な能力だ。ブラックウェルが販売しているモデルは、ウルフ竜機兵団の使っている機種とは異なる……といっても竜機兵団が配備している新型ギャロウグラスは少数なのだが。両者の違いは、竜機兵団が中心領域に提供していない独占技術にあるのだが、下位機種のギャロウグラスでさえも中心領域軍から歓迎されている。



性能
 ギャロウグラスのシャーシは、エンドースティールに、ヴァリアント・セラメントプレートが多層に組みこまれている。速度は重量級に比して平均的だが、ジオテック300ジャンプジェットが重量級メックに欠けている機動性を与える。

 最近再生産されたティーガルト・マグナム長射程PPCはギャロウグラスの主兵器で、強力なレーザー砲列にバックアップされる。ブラックウェルは一級品の電子機器を組みこむ一方、ダルバン・マイクロニクス社は、通信、火器管制システムを供給した。両者は容易にC3ネットワークと接続可能である。



配備
 竜機兵団は最近、部隊の損失を埋めるため、旧型のギャロウグラスをベータ、エプシロン連隊に移した。作戦可能な3個竜機兵団連隊は新しい3GLS、4GLSを配備している。ベータとエプシロンは3067年12月の終わりまでに新派生型を受け取るはずである。



派生型
 顧客たちはブラックウェルが氏族技術を使った竜機兵団専用機を生産していることに気づいて驚いた(そしていささか怒った)。通常型350エンジンと1基の追加ジャンプジェットを載せた竜機兵団仕様は、3基の放熱器を取り外し、大口径レーザーを3門の氏族ER中口径と交換している。腕の中口径パルスレーザーは氏族製小口径パルスレーザー群、氏族ERPPCに交換され、強力な長距離火力を提供する。

 またブラックウェルはGAL-2GLSを市場向けに生産している。ERPPCをガウスライフル1門、弾薬2トンと交換したこの機種は、放熱器8基、頭の小口径レーザー1門、中口径パルスレーザー1門を取り外している。CASEが右胴に組みこまれ、ガウスキャパシターの偶発的な爆発からエンジンとジャイロを守る。

 ベータ連隊がエプシロンエリダニで敗北した後、メーヴ・ウルフ将軍は竜機兵団の教義と装備の再評価を命じた。彼女は部隊が、中心領域の進化した戦場で、より無駄なく、高速で、火力を発揮できることを望んだ。ブラックウェル工業は2機種のギャロウグラスを持って、彼女の要望に応えた。

 3GLSは新型ライトエンジンを組みこんで、トン数を減らし、メックの速度を上げた。またブラックウェルの設計家は、ターゲティングコンピュータと連結する新型のダルバンHiRez III FCシステムを組みこんだ。レーザーのすべてが長射程バージョンにアップグレードされる。トリプルストレングスマイアマーが全体の性能を高め、装甲の強化で生存性を上げている。

 4GLS仕様は長射程レーザーで武装し、ジャンプジェットを装備する。



著名なメック戦士

サラ・マッカラン中尉:地球の古代にまで血統をさかのぼることが出来るハイランダー、サラ・マッカラン中尉は、そのハイランダーズと歴史に関する知識を誇っている。彼女の曾曾曾祖父、イアン・マッキントッシュはロイヤルブラックウォッチの生き残った隊員の一人で、アマリスの反乱の最中に姿を消している。ウェイサイドVで、彼女はギャロウグラス(バノックバーンと命名)に乗っていた。これは、ノースウィンドの有名なザ・キャッスルの戦いの後、ローレン・ジェフレイ少佐から与えられた機体である。マッカランは断固として戦い抜き、最後の戦いで負傷するまでに、5機のジャガー・オムニメックを撃墜した。3061年、彼女はハントレスで戦い、生き残って戦いの模様を伝えることになった。現在の彼女は、技量と勇気に敬意を表してウルフ竜機兵団から与えられた3GLSに乗っている。





タイプ: ギャロウグラス
技術ベース: 中心領域
重量: 70トン
戦闘価値: 1497

                          装備重量
内部中枢:     エンドースティール         3.5
エンジン:         280             16
    歩行:         4
    走行:         6
    ジャンプ:       3
放熱器:         18[36]             8
ジャイロ:                        3
操縦機器:                        3
装甲板:          192             12



        内部中枢    装甲
頭部:      3         9
胴中央:    22        30
胴中央(背面):           9
左/右胴:    15        23
左/右胴(背面):          7
左/右腕:    11        20
左/右脚:    15        22

武器・装備       配置    装備欄数    重量
ER PPC         右腕      3       7
2 大口径レーザー    右胴      4      10
2 中口径パルスレーザー 左腕      2       4
小口径レーザー     頭部      1       .5
ジャンプジェット    右脚      1       1
ジャンプジェット    左脚      1       1
ジャンプジェット    胴中央      1       1











中心領域製バトルメック


ファルコナー FLC-8R FALCONER
重量: 75 トン
シャーシ: マクラーレン-75B
パワープラント: GM375XL
巡航速度: 54 キロメートル/時
最高速度: 86 キロメートル/時
ジャンプジェット: デビルA7
 ジャンプ能力: 150メートル
装甲板: ヴァリアント・チェインメイル
武装:
 ディファイアンス1001長射程PPC 1門
 ディファイアンスB3M中口径レーザー 4門
 ポーランド・メインモデルA・ガウスライフル 1門
製造元: ターヘス工業、ゼネラルモータース
 主要工場: ターカッド、ニューヴァレンシア
通信システム: ターヘス・カリロペZE-2
照準・追尾システム: ターヘス・アレス-7i




概要
 ハンス・ダヴィオンは、3052年に非業の死を迎える直前、ジェイドファルコンを戦場で叩くことを望み、「ジェイドファルコンを飼い慣らす」ような機体を望んだ。



性能
 ファルコナーの仕様書が要求していたのは、氏族のオムニメックと1対1で戦えるメックというものだった。当時の中心領域はオムニメックを生産出来なかったのだが、ターヘス工業のエンジニアたちは氏族の数機種から特徴をコピーし、それを最高の復興技術と組み合わせた。

 ファルコナーのヴァリアント・チェインメイルアーマーと、改造型エンドースティールシャーシは、このマシンを堅固に守り、一方、エクストラライトエンジンとジャンプ能力が、この機体を中心領域で最も機動力のある重バトルメックとしている。

 ポーランド・ガウスライフルとディファイアンスER PPCは、正確で強力な長距離火力を生み出す。接近戦用には、4門の信頼性が高いディファイアンス中口径レーザーを持つ。このメックの真の弱点は廃熱能力にある……10基の高性能放熱器だけでは射撃を続けるのには不十分なのである。

 登場以来、ファルコナーの改良、数少ない弱点の改善の試みが幾度も繰り広げられてきた。これまでのところ原型機を超えるものはなく、ファルコナーの性能の証明となっている。



配備
 ファルコナーを最初に配備したのは、ダヴィオン重近衛隊、第10デネブ軽機兵隊(DLC)、第13アークトゥルス防衛軍などである。以降、本機は人気を博し、恒星連邦、ライラ軍に広がっていった。その要因となったのが、ズデーテンへの襲撃での大活躍である。軍事的には失敗と考えられたが、第5、第12DLCの攻撃によって、数百名の戦争捕虜が解放された。そしてファルコナーはその名を確立したのである。DLCのメック戦士たちは5機のプロトタイプ・ファルコナーを操り、21機撃墜というめざましい戦果を上げた。動作する状態でズデーテンを脱したメックは1機のみであったが、AFFCが本格生産をせっつくと、このメックの運命と伝説は隠されたのだった。

 元々はターヘス工業で設計、生産されていたのだが、キャサリン・シュタイナー=ダヴィオン国家主席がニューアヴァロンの支配権をつかんだ後、ゼネラルモーターのニューヴァレンシア工場がファルコナーのライセンス生産を始めた。この動きによって、ファルコナーはAFFSとLAAFの双方で最も重要な新型バトルメックの一機となったのである。加えて、コムガードとSLDFは新星間連盟の創設直後からファルコナーを購入し始めている。



著名なメック戦士

メック戦士リベカ: メック戦士の中には、英雄と悪党がいる。リベカがこの10年で積み上げてきた功績は悪名高いものだ。彼女はゲレイロ作戦の最中に最初の悪評を獲得した。シェンで第1マッカロン装甲機兵団に所属していた彼女は、第2連邦共和国隊のメック6機を単独で破壊した。手柄を認められなかった彼女は、無許可離隊し、敵陣に入り込んで、敵指揮官のファルコナーを盗み出してきた。これに対し、上官は彼女を逮捕したのである。彼女は見張り1名を殺して脱出し、病院でもう4名を殺し、ファルコナーに乗って、カオス境界域に消えていった。

 彼女はしばらくの間、世界から世界へと飛び回り、殺し屋として生計を立て、残虐との評判を重ねていった。その後、彼女はまたとない出会いを果たした。カシルの戦いで両陣営のメック戦士をつけ回していた時、賞金稼ぎのグリーンのマッドキャットに出くわしたのである。相手にしているのが何者か気づいていなかった彼女は氏族製メックを倒そうとした。だが、賞金稼ぎは簡単に彼女を片づけたのである。だが、彼はリベカを殺そうとはせず、断ることが出来ない申し出を持ちかけた。一週間以内に、メックは修理され、彼女は賞金稼ぎのチームに加わった。それ以来、撃墜記録と銀行口座残高と共に、残酷さに関する評判は高まっていったのである。

ロバート・マイケルビー侍祭Xエプシロン: マイケルビー侍祭はサーペント作戦の数ヶ月前にコムガードに加わった。第2師団に回された彼は、ハントレスの血なまぐさい戦いを直接目にした。戦友たちと違って彼は生き残ったが、かろうじてといったところで、深刻な精神的損傷を被った。戦場では彼とファルコナーは難敵である。戦場外では、彼はヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンの声高な反対者である。彼が非難しているのは、ハントレスで友人が死んだことだけでなく、連邦共和国内戦でコムスターが損害を負ったことにある。





タイプ: ファルコナー
技術ベース: 中心領域
重量: 75トン
戦闘価値: 1375

                          装備重量
内部中枢:      エンドースティール         4
エンジン:         375XL            19.5
    歩行:         5
    走行:         8
    ジャンプ:       5
放熱器:         10[20]             0
ジャイロ:                        4
操縦機器:                        3
装甲板:          184             11.5



        内部中枢    装甲
頭部:      3         9
胴中央:    23        31
胴中央(背面):           8
左/右胴:    16        21
左/右胴(背面):          6
左/右腕:    12        19
左/右脚:    16        22

武器・装備       配置    装備欄数    重量
ER PPC         左腕      3       7
2 中口径レーザー    左胴      2       2
ガウスライフル     右腕      7      15
弾薬(ガウス)16    右胴      2       2
2 中口径レーザー    右胴      2       2
ジャンプジェット    右脚      2       2
ジャンプジェット    左脚      2       2
ジャンプジェット    胴中央      1       1











中心領域製バトルメック


ペネトレーター PTR-4D PENETRATOR
重量: 75 トン
シャーシ: クルーシスG
パワープラント: ヴィラー300
巡航速度: 43 キロメートル/時
最高速度: 65 キロメートル/時
ジャンプジェット: アンダーソン398
 ジャンプ能力: 120メートル
装甲板: デュラックスヘビー
武装:
 ディヴァース・オプティクス・サンビーム ER大口径レーザー 2門
 スーテル・プレジションライン 中口径パルスレーザー 6門
 ヨリ・フライスウォッター・アンチミサイルシステム 1門
製造元: カロン工業
 主要工場: タロン
通信システム: ダルバン・マイクロニクス
照準・追尾システム: マツダ・センチネル




概要
 氏族戦線の戦闘映像を解析した結果、タロンのカロン工業は猛火力のブラックホーク・オムニメックをベースに新型のペネトレーターを設計した。3053年の7月、ペネトレーターが生産ラインから登場すると、カロン工業はこの重量級メックを連邦=共和国専用とするのに合意した。

 大成功したマーケティングの中で、カロンはこれらのメックの一機をソラリスVIIのセネタフ・ステイブルに贈った。セネタフのオーナー、伝説的なカイ・アラード=リャオがペネトレーターに乗って勝利に勝利を重ねると、カロンはAFFCの需要に応えるのに必死になったのだった。



性能
 エンドースティールの内部構造、XLエンジン、フェロファイバー装甲の時代に、ペネトレーターはいささか奇妙な存在かもしれない。このメックは基本構造に他で一般的な復興技術を使っていない。これはペネトレーターを比較的低速にするが、丈夫で、信頼性高く、安価にもしているのである。ジャンプジェットの導入が、最高速65キロの鈍足を多少相殺する。

 ペネトレーターの兵器と放熱器だけが先進技術を使っている。2門のディヴァース・オプティクス長射程大口径レーザーがまずまずの長距離火力を生み出し、6門のスーテル・プレジションライン中口径パルスレーザーが手痛い近距離火力を生み出す。

 防護面では、13トンのデュラックスヘビーアーマーを、胴中央のアンチミサイルシステムをバックアップする。ペネトレーターのパイロットたちはシステムの弾薬がエンジンの真下にあるのを批判するが、カロン工業は改良する動きを見せていない。



配備
 氏族の驚異に常に晒されている連邦=共和国において、ペネトレーターの多くはライラ宙域に駐屯する部隊に送られた。3058年、共和国の半分が分離し、キャサリン・シュタイナー=ダヴィオンの下でライラ同盟が作られた後、ペネトレーターの多くはLAAFに収まった。

 連邦共和国内戦で、ペネトレーターは両陣営で活躍し、頑丈さをもう一度示すこととなった。弾薬を使わないことは、この戦争の代名詞となった機動戦に理想的であった。アーチャー・アヴェンジャーズのような同盟部隊は惑星飛び戦役を展開し、追いかけてくるカトリーナ派の常に1ジャンプ先にいた。信頼できる補給路がほとんどない状態で、アヴェンジャーズはその土地にあるものに頼らねばならなかった。弾薬と先進パーツをほとんど必要としなかったペネトレーターは理想的な戦闘ユニットであることを証明したのである。

 連邦共和国内戦の間、相当数のペネトレーターが傭兵部隊の手に落ちた。カロン工業は連邦=共和国(現在は恒星連邦)にのみ販売を行うという方針をすぐにも緩めるかもしれないと言われている。



派生型
 3053年の登場以来、いくつかの派生型が出ている。PTR-6Mは装甲1トン、中口径パルスレーザー2門を取り外し、5基の放熱器を追加する一方、PTR-6Sは1.5トン分の装甲を外し、ガーディアンECMを搭載している。

 加熱しない型を作ろうとして、カロンはミサイル装備仕様の実験を行った。このPTR-4Fは長射程大口径レーザー2門とパルスレーザー2門をフェデレーテッド10射ランチャー(アルテミスIV火器管制装備)と交換している。だが、この仕様は不人気で、限られた数量が生産されている。

 PTR-6Tは連邦共和国内戦間に登場した興味深い現地改修型である。中口径パルスレーザーを長射程中口径レーザーにして、ダヴィオン近衛隊の技術者たちは放熱器2基と先進型のターゲティングコンピュータを追加出来たのである。



著名なメック戦士

アーチャー・クリスティフォーリ将軍:スモークジャガー戦役に参加した、叙勲多数の古参兵、アーチャー・クリスティフォーリは、平和を求めて故郷のソーリンで隠退生活に入った。残念ながら、ソーリンは連邦共和国内戦の導火線となり、クリスティフォーリはすぐにソーリン市民軍を率いて、第15アークトゥルス防衛軍の一部と戦ったのである。カトリーナ・シュタイナー=ダヴィオンの下僕から故郷が解放されると、アーチャーは間に合わせの部隊(アーチャー・アヴェンジャーズ)を率いて、戦争に引き裂かれたライラ同盟を突き進み、その後、ジェイドファルコン侵入に対して大胆な逆襲を行った。

 数多の戦いを通して、アーチャーのペネトレーターは良く働き、特にハントレス戦後に、ディヴァース・オプティクス大口径レーザーを、氏族製の回収品と2基の追加放熱器に交換してからはそうだった。現在、新たに結成されたソーリン・フリーダム戦域市民軍の指揮官であるクリスティフォーリ将軍は、高い階級にふさわしい強襲級メックへのアップグレードを断っている。





タイプ: ペネトレーター
技術ベース: 中心領域
重量: 75トン
戦闘価値: 1375

                          装備重量
内部中枢:                       7.5
エンジン:         300             19
    歩行:         4
    走行:         6
    ジャンプ:       4
放熱器:         12[24]             2
ジャイロ:                        3
操縦機器:                        3
装甲板:          208             13



        内部中枢    装甲
頭部:      3         9
胴中央:    23        43
胴中央(背面):           9
左/右胴:    16        24
左/右胴(背面):          7
左/右腕:    12        21
左/右脚:    16        26

武器・装備       配置    装備欄数    重量
ER大口径レーザー    左腕      2       5
ER大口径レーザー    右腕      2       5
3 中口径パルスレーザー 左胴      3       6
3 中口径パルスレーザー 右胴      3       6
ジャンプジェット    右脚      2       2
ジャンプジェット    左脚      2       2











中心領域製バトルメック


ラクシャサ MDG-1A RAKSHASA
重量: 75 トン
シャーシ: GMマローダー・スペシャルMD
パワープラント: GMヴィラー375XL
巡航速度: 54 キロメートル/時
最高速度: 86 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: スターガード・フェロファイバー
武装:
 フェデレーテッド10連LRM 2門
 エクゾスター長射程大口径レーザー 2門
 マーテル中口径レーザー 2門
 マーテル中口径パルスレーザー 1門
製造元: ゼネラルモータース
 主要工場: カシル
通信システム: ダルバン・マイクロニクス
照準・追尾システム: シンクトラッカー(39-42071)アルテミスIVシステム付属




概要
 マッドキャットの性能に感銘を受けたNAISのエンジニアたちは、5年かけてマッドキャットの設計概要を模倣した。その結果、誕生したのがラクシャサである。名称は、敵の外見と技能を真似する神話生物から来ている。



性能
 GMマローダーのシャーシを大改造して作られたこのメックは、出来るだけの武装を積む余裕を作るために、エンドースティール技術とエクストラライト核融合エンジンを使っている。もちろんのこと、現代の中心領域技術は氏族の水準に遠く及ばないものであり、ラクシャサの設計者たちはやむをえずかなりの妥協をしたのだった。

 ラクシャサの武器は、両肩に搭載された2門のフェデレーテッド10連LRM(いずれもアルテミスIV火器管制システム付き)、両腕に搭載されたエクゾスター長射程大口径レーザーとマーテル中口径レーザーである。さらに1門のマーテル中口径パルスレーザーがラクシャサの武装を仕上げ、設計者たちが作ろうとしたマッドキャットの代役に近いものを完成させる。その射程と火力は、元になった氏族機に劣ることは明らかだが、他の中心領域の機種と比べると、ラクシャサは優れた精度、速度、機動性を持ち合わせた手に負えないメックなのである。



配備
 ラクシャサは元連邦=共和国のあちこちで見られるのだが、設計者たちが望んでいたような名声を得られなかった。初期の実戦テストでは、実射テストのように有望であることが判明した。連邦共和国=ウルフ氏族の共同タスクフォースが3055年に結成され、レッドコルセアと交戦した時のこと、2機のラクシャサがケルハウンドに急送され、アークロイヤルとエリッサで大成功を収めた。

 不運にも、2年後のゲレイロ作戦でこのメックはふさわしくない評価を得てしまった。第8連邦共和国RCTがセカンドトライ防衛に3機のラクシャサを投入し、そのうち2機はRCTの指揮中隊に配備されていた。この時、第8は薄く引き延ばされており、指揮官のミハエル・ワイントラウブ少将はカペラの大隊によって窮地に追い込まれた。ワイントラウブの護衛たちは激しく戦い、援軍が到着するまで30分以上稼いだのだが、その時までにラクシャサ両機は熱による弾薬誘爆で倒れたのだった。その過程で三機目のクルセイダーもまた失われたのだが、ワイントラウブは公然とラクシャサを非難し、もう彼のRCTには受け入れないことを約束したのである。



派生型
 最初のラクシャサが工場を出て以来、テストパイロットたちはひとつの重要な変更を推薦している――長射程大口径レーザーを通常型の大口径レーザーに交換するというものである。工場で生産されることはないのだが、このMDG-1B仕様への改良は比較的人気があり、容易に現地改修可能である。

 MDG-2Aは非常に人気の高い工場製の派生型である。近距離武装に注目した本機は、1門のロータリーAC/5、1門の大口径パルスレーザー、4門の中口径パルスレーザーを搭載する。より強力な砲撃が出来ることに加え、この派生型は熱効率に優れている。3年近くにおよぶカシルの戦いの頂点に登場した本機はすみやかにカペラ境界域のメック戦士のお気に入りとなった。



著名なメック戦士

ジェシカ・ニム曹長:ニム曹長はGMのカシル工場に配属されたAFFSのテックである。第1カペラ竜機兵団が戦闘の損害で人手不足となった時に、メックが操縦できるという理由でメック戦士になっただけなのだ。テックの志願兵チームを率いる彼女は最初のMDG-2Aを作りだし、自らその機体を操縦して実戦に投入した。最初の戦いで行動不能となったのだが、この仕様は成功を収めた。ニムは叙勲され、ラクシャサ-2Aの生産を任され、短いメック戦士としてのキャリアをほぼ終わらせたのだった。

ハルヒコ・ナモナ軍曹:ウィズダム・オブ・ザ・ドラゴン校(ドラコ連合の名門校)を卒業したハルヒコ・ナモナは10年間龍に仕え、除隊した……DCMSの指揮官たちが「真のサムライ」の質を重視してないことに嫌気が差したのである。最終的に彼はソラリスVIIで同じ考えを持つ戦士たちの小グループを見つけた。リーグでそこそこの幸運を得ていただけだった彼はある戦いでラクシャサを勝ち取った。この時点から、ナモナとライジュー(メックにそう名付けた)は着実にランキングをのぼりはじめ、かなりのファンを獲得した。プロのギャンブラーとワナビーからなるファンたちは、彼をむりやりDCMSに戻らせた。リュウケン=ゴの単なる補充兵として入隊した彼は、ゴーストベアとの戦い、その後のジェームズ・サンドヴァル公爵の侵攻軍との戦いに間に合った。「真のサムライ」の典型である彼は戦友と敵から敬意を集めている。





タイプ: ラクシャサ
技術ベース: 中心領域
重量: 75トン
戦闘価値: 1412

                          装備重量
内部中枢:      エンドースティール         4
エンジン:         375XL           19.5
    歩行:         5
    走行:         8
    ジャンプ:       0
放熱器:         15[30]             5
ジャイロ:                        4
操縦機器:                        3
装甲板:          206             11.5



        内部中枢    装甲
頭部:      3         9
胴中央:    23        32
胴中央(背面):           9
左/右胴:    16        22
左/右胴(背面):          7
左/右腕:    12        21
左/右脚:    16        28

武器・装備       配置    装備欄数    重量
LRM10          右胴      2       5
アルテミスIV FCS    右胴      1       1
弾薬(LRM)12      右胴      1       1
LRM10          左胴      2       5
アルテミスIV FCS    左胴      1       1
弾薬(LRM)12      左胴      1       1
ER大口径レーザー    右腕      2       5
ER大口径レーザー    左腕      2       5
中口径レーザー     右腕      1       1
中口径レーザー     左腕      1       1
中口径パルスレーザー  左胴      1       2











氏族製オムニメック


ファントム PHANTOM
重量: 40 トン
シャーシ: タイプA・エンドースティール
パワープラント: ライト・フォース360(XL)
巡航速度: 97 キロメートル/時
最高速度: 151 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: コンポジットA-2フェロファイバー
武装:
 空きポッドスペース6.5トン
製造元: W-5製造施設、ウルフ氏族サイト1
 主要工場: エデン、アークロイヤル
通信システム: ホーラー79
照準・追尾システム: モデル92"ストーカー"




概要
 軽量級メックに対する相当な経験と、中心領域戦術の知識を備えていた、フェラン・ワード(現ケル)氏族長は、高速な中量級偵察オムニメックのコンセプトを限界まで詰めた。ファントムは、アイスフェレットと技術的に似通っているが、兵器と装甲をスピードと引き替えにしている。



性能
 通常仕様は、自身を守り、敵を発見するための充分な量の電子装備を備えているが、代償として武装を最小限にまで切りつめている。打撃部隊はA仕様を使用する(偵察任務は他のメックに行わせる)。この配置は、LRMとレーザーの組み合わせであるが、これでもアイスフェレットの火力にはかなわない。B仕様は、通常バージョンの電子装備をほとんどすべて取り外し、火力のある偵察ユニットを作り出した。短距離ミサイル2門と中口径レーザー1門が、この仕様を人気の高いものとしている。

 ファントムBと同じように、C配置はいくらか重武装で、9門の小口径レーザーと1門の中口径レーザーをターゲティング・コンピューターと結んでいる。とある中心領域の戦士は、「ファントムCに負けるのは、紙で百箇所を切られて、出血多量になって死ぬようなものだ」とコメントしている。

 ファントムDは中距離砲撃用の中口径レーザーを3門装備し、小口径レーザー1門とストリーク短距離ミサイルラック1門でバックアップする。ファントムEは最も重武装である。マイクロパルスレーザー7門とATM3をポッドの限界まで詰め込んでいる。だが、ATMランチャーは、その柔軟性の大半を失っている。なぜなら、この仕様は1タイプのATM弾薬しか搭載できないからだ。

 明らかにファントムCから着想を得た、H仕様は、重小口径レーザー6門と中口径パルスレーザーをターゲティング・コンピューターにリンクしている。



配備
 根本的に火力を欠くファントムの未来は、拒絶戦争とその後の侵攻派/守護派の分裂まで、不安定な状態にあった。前線部隊を再建する装備を血眼になって求めていた両グループは、ファントムの生産を続けた。(放浪)ウルフは、ブルドッグ作戦と、最近のジェイドファルコン氏族によるライラ同盟宙域侵攻で、ファントムの価値を証明した。ヴラッド・ワード氏族長のウルフは、「フリーバース」によって作られたデザインに感銘を受けていないが、慢性的な装備不足によって、本オムニメックの使用を続けざるを得ない状態である。アイスヘリオン、クラウドコブラ、スノウレイヴン、ゴリアテスコーピオンは、ヘルズホース氏族とジェイドファルコン氏族から、ファントムを入手した。これらはウルフから奪った装備だった。スコーピオンはファントムCにいたく感銘を受けてリバースエンジニアリングし、今ではこのオムニメックを独自に生産している。



著名なメック戦士

スターコマンダー・ロベルト:ホールのブラッドハウスの一員で、フェラン・ケル氏族長の熱心な支持者であるロベルトは、第1ウルフ打撃擲弾兵隊の軽偵察星隊を指揮している。メリッサ、ブレアの激戦で、傷つきやすい部隊を率いながら、比較的損害を受けなかったことは、彼の手腕の証明となっている。

メック戦士セラ:侵攻派の凋落に反感を持っている、老いた戦士のセラは、第103星団隊で支援的な役割を与えられるという屈辱を受けた。ファントムの火力は、以前乗っていたオムニメック、ティンバーウルフとは大違いであるが、生き残った敵は彼女の技術と攻撃性について証言している。





タイプ: ファントム
技術ベース: 氏族オムニメック
重量: 40トン
戦闘価値: 1029

                          装備重量
内部中枢:     エンドースティール          1
エンジン:        360 XL            16.5
    歩行:         9
    走行:        14
    ジャンプ:       0
放熱器:          12[24]             3
ジャイロ:                        4
操縦機器:                        3
装甲板:          115              6


        内部中枢    装甲
頭部:      3         9
胴中央:    12        12
胴中央(背面):           8
左/右胴:    10        11
左/右胴(背面):          7
左/右腕:    6        12
左/右脚:    10        13

重量・スペース配置
場所      固定装備         残りスペース
頭     1フェロファイバー         0
胴中央   1エンドースティール        1
右胴    2エンジン             8
      1エンドースティール
      1フェロファイバー
左胴    2エンジン             8
      1エンドースティール
      1フェロファイバー
右腕    1エンドースティール        6
      1フェロファイバー
左腕    1エンドースティール        6
      1フェロファイバー
右脚    1エンドースティール        0
      1フェロファイバー
左脚    1エンドースティール        0
      1フェロファイバー


武器・装備       配置    装備欄数    重量

基本仕様
ER中口径レーザー    右腕      1       1
ECMスーツ        右胴      1       1
LRM5          左腕      1       1
弾薬(LRM)24      左腕      1       1
TAG           左胴      1       1
ER小口径レーザー    左胴      1      0.5
アクティブ・プローブ  胴中央      1       1

A仕様
2 ER小口径レーザー   右腕      2       1
LRM5          右胴      1       1
弾薬(LRM)24      右胴      1       1
2 ER小口径レーザー   左腕      2       1
LRM5          左胴      1       1
ER小口径レーザー   左胴(背面)    1      0.5
ER小口径レーザー    胴中央      1      0.5
  バトルバリュー:1271

B仕様
SRM4          右腕      1       1
弾薬(SRM)24      右腕      1       1
ER小口径レーザー   右胴(背面)    1      0.5
SRM4          左腕      1       1
弾薬(SRM)24      左腕      1       1
アクティブ・プローブ  左胴      1       1
ER中口径レーザー    腕中央      1       1
  バトルバリュー:966

C仕様
4 ER小口径レーザー   右腕      4       2
火炎放射器      右胴(背面)    1      0.5
4 ER小口径レーザー   左腕      4       2
ER中口径レーザー    左胴      1       1
照準コンピューター   胴中央      1       1
  バトルバリュー:1413

D仕様
SRM4(ストリーク)   右腕      1       2
弾薬(ストリーク)25  右腕      1       1
ER小口径レーザー    右腕      1      0.5
2 ER中口径レーザー   左腕      2       2
ER中口径レーザー    腕中央      1       1
  バトルバリュー:1443

E仕様
4 マイクロパルスレーザー 右腕     4       2
ATM3           左胴     2      1.5
弾薬(ATM)20       左胴     1       1
3 マイクロパルスレーザー 左腕     3      1.5
  バトルバリュー:836

H仕様
3 重小口径レーザー   右腕      3       1.5
火炎放射器       左胴      1      0.5
照準コンピューター   胴中央      1       1
中口径パルスレーザー  左胴      1       2
3 重小口径レーザー   左腕      3       1.5
  バトルバリュー:967











中心領域製"フェニックス"バトルメック


ネクサスII NXS2-A NEXUS II
重量: 25 トン
シャーシ: スコーベル100-ROB エンドースティール
パワープラント: Vox-LE 200 ライトエンジン
巡航速度: 86 キロメートル/時
最高速度: 130 キロメートル/時
ジャンプジェット: ローリングス55
 ジャンプ能力: 180メートル
装甲板: クラップ200
武装:
 ディヴァース・オプティックス長射程中口径レーザー  2門
 ディヴァース・オプティックス長射程小口径レーザー  2門
製造元: スコーベル・メックワークス
 主要工場: ロシア、地球
通信システム: エクステール・ロングスキャン200、C3iコンピュータ付
照準・追尾システム: ガレットT15J




概要:
 総合的に見て、ネクサスは充分な戦果を残せなかった。ライジンと同じように、装甲の薄さと、長射程火力の不足が、オデュッセウス作戦での異常な戦闘損耗率をもたらした。スピードがこの欠点をいくらか補ったが、目標に近づいた時には優位性が失われてしまったのである。ネクサスのパイロットの多くは、優れた射程と操縦性を持つマングースと戦わねばならないことに、強い不満を漏らした。

 ネクサスのパイロットたちは、前線での戦闘に適合出来るよう、即座のオーバーホールを戦司教サン=ジャメに陳情した。収集したデータをすべて吟味した後、サン=ジャメは時間が出来次第、メックの問題解決に取り組むと同意した。最近のアップグレードで、ネクサスはようやく注目を集めた。限られた内部のスペースしか使えなかったブレイク派のエンジニアは、内部強度を弱めかねない変更を加えるよりも、ゼロからの再設計を選んだ。サン=ジャメは計画を承認し、ネクサスIIのため生産ラインを組み直すように命じた。

 ブレイク派のエンジニアは、ライラ同盟のカトリーナシュタイナー=ダヴィオンのおかげで、軽量級メックにつきもののスペース問題を解決することが出来た。ネクサスIIの速度と操縦性を上げるために、元国家主席=女王との技術交換で入手した新型のライトエンジンを、彼らは組み込んだ。



性能:
 XLエンジンの使用は、普通、通常型エンジンを使った時よりも、メックの生存性を落としてしまう。だが、ライラのライトエンジンは、このようなトレードオフを引き起こさない。新型エンジンによって、ネクサスIIの速力アップが可能となり、その速度は同級のメックの大半と同等であるか、上回っている。エンジニアたちは元の設計にあったジャンプジェットをそのままにして操縦性を確保し、またレベルII規模での作戦に正確な同調を加えるためにC3iシステムを取り付けた。

 重量とスペースの制限は、別の問題を作った……武装である。ネクサスのパイロットたちと話しあった上で、エンジニアたちはER中口径、小口径レーザーを取り付け、メックのスピードを補い完璧なものとした。エンドースティールは使い続けられているが、装甲をフェロファイバーから3.5トンの通常型に変更して、防護力をほぼ二倍とし、新たな外観が与えられた。



配備:
 第3師団は3066年の終わりまでに、最初の生産二回分の大半を受け取り、ネクサスの損失を回復した。他の師団はその後すぐに新型を受領した。



派生型:
 NXS1-Aに基づくNXS1-Bは、先祖返りしたネクサスIIである。中口径パルスレーザーを、長射程中口径レーザー、長射程小口径レーザー1門に交換し、AMSと通常型中口径レーザーを外している。これによって、ジャンプジェット1基、改良型C3コンピュータ、フェロファイバー装甲4トンを追加可能となったのである。

 現在、もう1種のネクサスII派生型の存在が知られている。NXS2-Bは長射程小口径レーザー2門、ジャンプジェットを、ガーディアンECM、ビーグル・アクティブ・プローブ、TAGに交換している。ステルス装甲の追加が、NXS2-Bを最先端の偵察用メックとした。





NXS2-A ネクサスII
タイプ: ネクサス
技術ベース: 中心領域
重量: 25トン
戦闘価値: 689

                          装備重量
内部中枢:     エンドースティール         1.5
エンジン:        200 ライト          6.5
    歩行:         8
    走行:        12
    ジャンプ:       6
放熱器:          10[20]            0
ジャイロ:                        2
操縦機器:                        3
装甲板:           58             3.5



        内部中枢    装甲
頭部:      3         8
胴中央:     8         7
胴中央(背面):           3
左/右胴:    6        5
左/右胴(背面):          2
左/右腕:    4        5
左/右脚:    6        7

武器・装備       配置    装備欄数    重量
ER中口径レーザー    右腕      1       1
ER小口径レーザー    右腕      1       .5
ER中口径レーザー    左腕      1       1
ER小口径レーザー    左腕      1       .5
C3iコンピュータ    胴中央      2      2.5
ジャンプジェット    右胴      1       .5
ジャンプジェット    左胴      1       .5
ジャンプジェット    右脚      2       1
ジャンプジェット    左脚      2       1









氏族製"フェニックス"バトルメック


バブーン 2 baboon 2
重量: 20 トン
シャーシ: タイプ-Aエンドースティール
パワープラント: ジェネラルシステム 120 XL
巡航速度: 65 キロメートル/時
最高速度: 97 キロメートル/時、130 キロメートル/時(MASC使用時)
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: タイプ2フェロファイバー、CASE付き
武装:
 CC3ラック・アドバンスド・タクティカル・ミサイルシステム 4門
製造元: ノヴィー・ミンスキー兵器工廠
 主要工場: ニュー・ケント
通信システム: メーサー973
照準・追尾システム: GEGパターン490/1




概要:
 ホーラー(中心領域ではバブーンと呼ばれる)は、ジェイドファルコン氏族の二線級星団隊で最初に目撃された。当初はこの氏族特有の機体だと考えられたが、その後、スノウレイヴン、スターアダー、スティールヴァイパーの中に姿を現している。

 スティールヴァイパーは、ジェイドファルコンに中心領域の占領地帯から追い出された後、氏族の本拠地に帰還し、軍を再編した。前線部隊の変更に加えて、二線級部隊の多くに新人、新装備が大量流入した。マタドール、スキュラ、フェニックスホークIICヘビーレーザー派生型、新型ヴァイパーのような機体を持つ、スティールヴァイパーは重部隊の要求に力を注いだ。だが、より軽装備の二線級バトルメック隊は後回しになった。ヴァイパー氏族長はこの不均衡を是正するに見合った機体を求め、最終的に成功しているバブーンを選んだ。



性能:
 新型のアドバンスド・タクティカル・ミサイル(ATM)システムは、異様なまでに柔軟性があると実証された。なので、いつかSRM、LRMに取って代わる日が来ると信じている科学者たちもいる。このATMが持つ、戦況によって射程の違うミサイルを使用する能力は、オムニメックのような武装を載せ替える能力を欠く二線級バトルメックにとって最適なものである。

 新型バブーンはLRMランチャーを4門のATM-3に交換している。長距離から相手を苦しめるか、近づいて強烈な一撃をお見舞いすることが出来る。増強弾倉を持つこのメックは、ATMの弾薬を混ぜて持ち運べる。といっても、一度に全射程の弾薬を積む能力はない。

 4門の新兵器を20トンのシャーシに詰め込むために、スティールヴァイパーの科学者は、小型の120XLエンジンを搭載し、MASCを使ってメックのスピードを上げた。こういった変更は、バブーンの外観に数多くの小さな変化をもらした。

 火力支援ユニットとならない時、バブーンはしばしば偵察、前衛を任される。この役割に、GEGパターン490/1センサーは最適なものである。



配備:
 ヴァイパーとスノウレイヴンとの絶え間ない戦いの中で、バブーンは何度も真価を発揮した。二線級部隊(有名なゼータ、ロー銀河隊)に配備されたバブーンは、ATMランチャーを用い、仲間の星隊員のため、効果的な対空砲火を提供した。

 アップデートされたバブーン数機がスノウレイヴンの手に落ち、レイヴンの新設ゼータ銀河隊で任務に就いた。ATMはプロトメック隊の支援に理想的な兵器であることが実証されている。



派生型:
 スノウレイヴンは多数の捕獲したバブーンを改装した。デビルと呼ばれるこのバージョンは、ATMを、長射程PPC1門、ターゲティングコンピュータに交換している。





タイプ: ホーラー
中心領域名: バブーン
技術ベース: 氏族
重量: 20トン
戦闘価値: 634

                          装備重量
内部中枢:     エンドースティール          1
エンジン:        120 XL             2
    歩行:         6
    走行:         9(12)
    ジャンプ:       0
放熱器:          10[20]            0
ジャイロ:                        2
操縦機器:                        3
装甲板:           58              3



        内部中枢    装甲
頭部:      3         7
胴中央:     6         9
胴中央(背面):           2
左/右胴:    5        7
左/右胴(背面):          2
左/右腕:    3        5
左/右脚:    4        6

武器・装備       配置    装備欄数    重量
4 ATM3         右胴      8       6
弾薬(ATM)40      右胴      2       2
MASC          胴中央      1       1











氏族製オムニ戦闘機


バシキール BASHKIR
重量: 20 トン
フレーム: Mk7
パワープラント: 220XL核融合
装甲板: ルウム・スティールフォージ9 フェロアルミニウム
武装:
 ポッドスペース4.5トン
製造元: クレスト・ファウンドリーズ
 主要工場: ルウム
通信システム: レイヴンアイ6
照準・追尾システム: ホーク・パターン7




概要
 バシキールは、氏族で使われている、もっとも軽量級かつ高速なオムニ戦闘機である。小型なことから、装甲、ペイロード、航続時間は限られたものであるが、近似機のバンダルのように、バシキールの速度は偵察任務や、無防備な目標への高速打撃に理想的である。



性能
 俊敏で機動力に長けたバシキールは、限られた燃料しか持っておらず、それが低空での航続時間を制限している。本機との遭遇は、高空か宇宙(惰性で進める)での可能性が高い。その製造手法によって、高G機動が可能だが、1〜2発の有効な命中弾で、無力化されるか、破壊されてしまう。

 バシキールの基本仕様(スティール・ヴァイパー氏族でもっともよく見られる)は、接近戦兵器に集中しており、至近距離のドッグファイトで力を発揮する。通常、このモデルは即応航空優勢を任され、中心領域のスパローホークと同じような仕事をこなす。

 A仕様はミサイルとエネルギーの組み合わせを反転させ、ダメージをわずかに減らしながらも、敵を削る能力を獲得し、ラッキーショットの可能性を増やした。B型は火力を射程と引き替えにしている。その両翼下のミサイルパックで、他のバシキールモデルよりも長距離射程を与えられている。

 もっとも戦闘継続能力があり――従って長時間作戦でよく使われる――C、D仕様は、双方ともエネルギー兵器のみを使っている。D仕様はダメージで優位を持つが、Cの方は射程が長い。双方ともバシキールの熱管理システムに相当な負担をかけているが、限界までいくことはない。



配備
 元々はスノウレイヴン氏族の手で開発された、少数のバシキール戦闘機は全氏族で見られる。スモークジャガーは侵攻氏族で最大数を所有していた。星間連盟軍が彼らに勝利したことで、多数の機体が戦利品となった。次に本機を使用しているのは、ノヴァキャットであるが、少数機がDCMS、AFFS、LAAFにある。



著名なメック戦士

バシキール 971/J22 "アブタカ":一部の氏族――ゴリアテスコーピオンが最も有名――は、戦士のコーデックスに加えて、メックや戦闘機の戦歴を記録している。特定のマシンに名誉や栄光があるとは考えられていないものの、選ばれた少数の機体はそれを操縦するパイロットよりも尊敬されることとなる。このような航空機の一機が、バシキール 971/J22である。3036年にスノウレイヴンの工廠から出て、1年後にゴリアテスコーピオンに売却され、ダグダ、マーシャルでの一連の神判で使われた。3045年に起きた、このような神判において、本機はスティールヴァイパーの手に渡り、中心領域に送られる機動部隊の一部となった。ツカイード戦や大拒絶後のファルコン戦など、いくつかの重要な戦闘に投入された。ヴァイパーの氏族本拠地帰還で、971/J22は故郷のルウムに持ち込まれ、そこでレイヴンが製造以来、30年ぶりに再奪取を果たしたのである。

ボンズマン・サイモン:全王家軍中、DCMSは最大規模の捕獲した氏族装備――バトルアーマー、メックと同じく、オムニ戦闘機――を使っている。サイモン・ピエール大尉に操縦されているバシキールは、その典型例である。ピエールの技量は海軍本部の注意を引き、価値ある氏族の回収品を与えられた。ブルドッグ作戦とゴーストベア紛争で良い戦果を残している。戦闘機の先進技術によって、氏族と対等に戦うことができ、技量を披露することができたのである。だが、彼の成功はベアを動かし、結局、大尉と機体は捕らえられたのである。彼の勇気を評価して、サイモン・ピエールはボンドコードの名誉を受けた。





タイプ: バシキール
技術ベース: 氏族オムニ戦闘機
重量: 20トン
戦闘価値: 1112

                          装備重量
エンジン:        220 XL             5
  安全噴射:        13
  最大噴射:        20
中枢強度:         13              1
放熱器:          11 [22]           0
燃料:           240              3
操縦機器:                        3
装甲板:           67             3.5

        装甲    空きスペース
機首:       19         5
左/右翼:    17/17      4/4
後面:       14        5


武器・弾薬       配置 重量 熱 近 中 遠 超遠

基本仕様
ER小口径レーザー    機首   0.5   2   5   -   -   -
ストリークSRM2     機首    1    2   4   4   -   -
弾薬(ストリーク)50    -     1
ER中口径レーザー    右翼    1    5   7   7   -   -
ER中口径レーザー    左翼    1    5   7   7   -   -

A仕様
SRM6               機首   1.5   4   8   -   -   -
弾薬(SRM)15           -     1
中口径パルスレーザー  機首    2    4   7   7   -   -
  戦闘価値: 767

B仕様
ER小口径レーザー    機首   0.5   2   5   -   -   -
LRM6               右翼    1    2   3   3   3   -
弾薬(LRM)24           -     1
LRM6               左翼    1    2   3   3   3   -
弾薬(LRM)24           -     1
  戦闘価値: 689

C仕様
ER大口径レーザー    機首    4   12  10  10  10  10
ER小口径レーザー    機首   0.5   2   5   -   -   -
  戦闘価値: 1088

D仕様
重大口径レーザー    機首    4    7  10  10   -   -
重小口径レーザー    機首   0.5   3   6   -   -   -
  戦闘価値: 1022




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