テクニカルリードアウト:3039
TRO:3039は、TRO:3025(R)とTRO:3026(R)を組み合わせた、決定版的趣のあるテクニカルリードアウトです。データは3039年時点のものですが、気圏戦闘機については、3050年以降の新技術を使った改良型が紹介されています。
そのうちの一部を、テクニカルリードアウト:3039プレビュー(pdf)より。
そのうちの一部を、テクニカルリードアウト:3039プレビュー(pdf)より。
軽車両
パックラット長距離偵察車 PACKRAT LONG RANGE PATROL VEHICLE
重量: 20 トン 移動: 装輪 パワープラント: ドアマン120核融合 巡航速度: 75 キロメートル/時 最高速度: 118 キロメートル/時 装甲板: スタースラブ/1 武装: ホバースター20K・6連短距離ミサイル 1門 HS火炎放射器 1門 製造元: ボウイ工業、ギェナー戦闘車両 主要工場: カーリスル、ギェナー 通信システム: O/P コメッツ 照準・追尾システム: O/P 2000JSA
概要
パックラット長距離偵察車は、ロバートソン・テクノロジー社が、補給線を離れて長期間活動出来る単独襲撃偵察車両として設計したのがはじまりである。装甲が厚く、核融合炉を使用し、贅沢な内装のパックラットは、継承権戦争を通して幾度もその任務を達成してきた。
軍需産業の再生は他の車両と同じく、パックラットにも利益を与えている。現在、ライラ共和国のふたつの工場で生産されているパックラットは、第四次継承権戦争で破壊された中心領域の王家軍中に広まっている。
性能
ドアマン120核融合エンジンはパックラットを燃料補給から解放し、すばらしいスピードと他に並ぶもののない機動性を与える。装輪シャーシは長距離の移動に最適である。8本のラバータイヤは空気が抜けることがなく、オンロードでもオフロードでもあらゆる地形を走破可能である。4トンのスタースラブはこのクラスの車体にとってはとてつもない防護力を与え、その一方で6連ホバースター短距離ミサイルシステムが相当な弾幕射撃能力を与える。前線に立つことを想定していないのだが、パックラットは短時間の交戦に耐えることが出来る。
パックラットは歩兵輸送車ではないが、最大10名までの乗員を乗せることが可能である。このスペースにはたいてい情報分析官や潜入工作員のような専門家が乗り込む。背面に取り付けられ、ドアマンからパワー供給されるHS火炎放射器は、パックラットが発見された場合、すばらしい潜伏方法を提供する。
しかしながら、この車両で真に驚異的なのは、戦闘車両に搭載されるうちでは最も強力なもののひとつである、O/Pコメッツ通信システムだ。O/Pは継承国家の軍隊に再登場し始めた星間連盟時代のシステムには劣るのだが、地上波とECMを送信可能である。
配備
近代的な両工場はライラ共和国内にあるのだが、パックラットはすべての王家軍、大規模な辺境国家で見られる。傑出した長距離偵察車としての評判は、充分にふさわしいもので尊重されている。パックラットは特に、耐久性と多様性が高く評価される恒星連邦市民軍で人気がある。
継承権戦争の破壊により、ドアマン核融合エンジンは性能の低いICEに交換せざるを得なくなっていたが、3030年代の技術復興によって、ボウイ工業はパックラットを元の仕様で生産し始めることが可能となった。3040年、ボウイ工業の生産ラインが原型機を生産してから一年後、ギェナーはICEモデルの生産ラインを核融合モデル用に作り替えた。
派生型
戦闘車両の例に漏れず、パックラットには書ききれないほどの派生型、改造型が存在する。そのうちのいくつかは、各々の技術基盤による異なったやり方で同じ目標を目指している。カペラ大連邦国では、多くの車体がホバースター6連ミサイルを、豊富にあるホバーテック2連ミサイルに交換し、1個小隊の通常歩兵を輸送可能にしている。自由世界同盟の惑星市民軍は火炎放射器と乗員スペースを排除し、2門の中口径レーザーを載せている。
多数のICE搭載型パックラットが中心領域中に広まっているが、初期の整備報告書によると、核融合版を入手するために、これらの車体は修理不能と判断され、スクラップにされたという。
著名な戦車兵
ゲルハルト・ベルンハルト中尉: ベルンハルトとそのパックラット「ミッシー(娘さん)」はシュタイナー家の第26ライラ防衛軍第2大隊に配属されていた。ミッシーと当時軍曹だったベルンハルトは第四次継承権戦争でクリタ家を相手にかなりの戦術的成功を成し遂げ、名をあげた。ベルンハルトはクリタの側面を回り込み、それから中に突っ込んで、後方を偵察して、ライラのメック隊に情報を無線連絡した。相当数のロキチームをDCMS戦線の後方に運んだとの噂があるが、ベルンハルトがそれを認めたことはない。
カシラ・タケシ・オナキ: 第2ヴェガ軍団の偵察兵であるオナキは、現在、四両目のパックラットを操縦している。それまでの三両は、恒星連邦の世界を襲撃した際に、ダヴィオン家の各部隊との戦闘で失われた。オナキはダヴィオンのパトロールをかいくぐる達人であるが、待機中のクリタ部隊に情報を伝達すると、隠れるのをやめて、真のサムライがすべきこととして、近くの敵部隊との交戦を行う。現在までに、彼はダヴィオンの軽車両10両とワスプ2機を破壊している。
タイプ: パックラット長距離偵察車 技術ベース: 中心領域 移動: 装輪 重量: 20トン 戦闘価値: 344 装備重量 内部中枢: 2 エンジン: 120 6 タイプ: 核融合 巡航時: 7 限界時MP: 11 放熱器: 10 0 操縦装置: 1 浮上装置: 0 補助動力: 0 砲塔: 0 装甲板: 64 4 装甲値 前面 16 右/左側面 16/16 背面 16 武器・装備 配置 重量 SRM6 前面 3 弾薬(SRM)30 胴体 2 火炎放射器 背面 1 歩兵用ベイ 胴体 1
中心領域車両
ドリルソン重ホバー戦車 DRILLSON HEAVY HOVER TANK
重量: 50 トン 移動: ホバー パワープラント: マックスリフト215核融合 巡航速度: 97 キロメートル/時 最高速度: 151 キロメートル/時 装甲板: アークシールドヘビー 武装: サイクロプスアイ大口径レーザー 1門 ホバーテックSRM2 2門 ライトクロスボウLRM10 1門 キッカーマシンガン 2門 製造元: サイクロプス有限会社 主要工場: ニューアース 通信システム: サイクロプス1 照準・追尾システム: イビルアイ
概要
3025年、ニューアースのサイクロプス有限会社はドリルソン重ホバー戦車をライラ軍に出荷した。重装甲と速度と打撃力の組み合わせは、すぐさま偏屈なライラの将軍たちさえも虜にし、よってサイクロプスは中心領域全域からの注文に応えるため、人員削減を中止したのだった。特に第四次継承権戦争後は、この傾向が強かった。
第四次継承権戦争による大量殺戮は、LCAFの戦列に新しい車両で埋めねばならない穴が多数開いたことを意味した。そして恒星連邦との同盟により、新たな市場が開けることとなったのである。ダヴィオンの士官たちは、第四次戦争でのドリルソンの戦果に感銘を受け、AFFS補給部に可能な限り多数のドリルソンを買わせたのである。需要に応え、サイクロプスは3035年までに六本の生産ラインを開いた。
性能
ドリルソンの最大の売り物は電子装備である。イビルアイ目標捕捉照準システムは、バトルメックの照準システムにあるヘッドアップディスプレイとよく似た360度の革命的な視界を持ち、最高の在来型電子システムのひとつであることを第四次継承権戦争で証明した。
ドリルソンの主砲はサイクロプスアイ大口径レーザーシステムである。このサイクロプスアイのユニークな点は、他のレーザーのような長くて傷つきやすい「砲身」を使ってないことである。砲身の代わりに、砲塔のスリットから射撃し、これはドリルソンになめらかな流線型の印象を与えている。サイクロプスアイの作りは通常と異なっているが、性能自体は、ディヴァース・オプティクスやマーテルのような同等の他社製品とと大差ないものである。
前面に搭載されたクロスボウLRMシステムはドリルソンに長距離での火力を与え、一組のホバーテックSRM2と2門のキッカーマシンガンが近距離での火力を与える。だが、最高150キロメートル以上の時速が、ドリルソンにとって最高の守りなのである。
ライラの指揮官たちが真に信頼しているのは、その厚い装甲である。7トン近いアークシールド装甲を持つドリルソンは、多くのホバークラフトが吸収するよりも多いダメージに耐えることが出来るのである。
配備
3030年代に生産が急拡大したことで、ドリルソンは中心領域全体に広まったが、その大部分は同盟国家であるライラ共和国と恒星連邦にある。カペラは本車の大半を、国防市民軍とマッカロン装甲機兵団のような評価の高い傭兵隊にまとめている。
コムスターが(当時)公開されたばかりのコムガード用にドリルソンの購入を持ちかけたとの根強い噂がある。[編集者注:地球の工業センターがワード・オブ・ブレイクの手に落ちた後、ドリルソンがコムガードの編成に入ったのは事実である。しかし、星間連盟製の機体を装備していた3030年代のコムガードが、ドリルソンのような原始的な車両を購入したかは疑わしい]
派生型
ドリルソン唯一の工場製派生型は、長距離ミサイルを外して、追加のホバーテックランチャーを取り付けたものである。このモデルはLRMがほとんど使われない都市守備隊でよく使われる。カペラのドリルソンの大多数はこのモデルで、ドリルソンがあらわれるところならどこでも見かけられる。[編集者注:3039年、ドリルソンが射程の長いサイクロプスアイ大口径レーザーを載せているとの噂が駆けめぐった。現在、長射程大口径レーザーとして知られているものである。だが、知られている通り、サイクロプスの最初の改良型生産モデルは、3050年代に登場したストリークミサイルパックと大口径パルスレーザーを搭載したものである]
著名な戦車兵
ヘンリー・キャノン少佐: キャノン少佐指揮する自由世界同盟軍装甲2個中隊は、同盟内各地で行われる訓練で、仮想敵部隊(OpFor)を務めている。3039年時点で彼はタマリンドに駐留しており、近隣世界のマーリック市民軍を相手にしている。彼の部隊は、現在、ライラの襲撃隊を模しており、これは大量のドリルソンを持つことを意味している。この15年間、絶え間なく模擬戦を繰り広げたキャノン少佐は、FWLMにおける数少ない装甲戦の真のエキスパートであると考えられている。彼が得意としているのは、自身がかくれんぼと呼ぶ戦術である。ドリルソンやサラセンのような高速車両を使って、重部隊を隠した地形に敵を引き寄せるのである。訓練を受ける戦車兵の多くが、木立の周囲で孤立したドリルソンを追跡して、待ちかまえている2両のオントス戦車に遭遇することとなったのだった。
タイプ: ドリルソン 技術ベース: 中心領域 移動: ホバー 重量: 50トン 戦闘価値: 950 装備重量 内部中枢: 5 エンジン: 215 14.5 タイプ: 核融合 歩行: 9 走行: 14 放熱器: 10 0 操縦装置: 2.5 浮上装置: 5 砲塔: .5 装甲板: 104 6.5 装甲値 前面 24 右/左側面 19/19 背面 18 砲塔 24 武器・装備 配置 重量 大口径レーザー 砲塔 5 2 SRM2 砲塔 2 弾薬(SRM)50 胴体 1 LRM10 前面 5 弾薬(LRM)12 胴体 1 2 マシンガン 前面 1 弾薬(MG)100 胴体 .5
重車両
パイク支援車両 Pike support vehicle
重量: 60 トン 移動: 無限軌道 パワープラント: ジョーンズ180(エミッションキル搭載)ICE 巡航速度: 32 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 装甲板: スタースラブ/9 武装: ゼウスボルト・オートキャノン/2 3門 マークリン・ミニミサイルSRM2 2門 製造元: カノープス工業アルファ 主要工場: カノープス 通信システム: 統一政体アルファ 照準・追尾システム: 統一政体ガンマ
概要
パイク支援車両は、終わりなき継承権戦争(そして終わりなきメックの損耗)で優位を得ようとする、カイアラ・セントレラ総統の試みのひとつである……漸減するバトルメック隊の穴埋めとして、安価な戦闘車両を売り込もうとしたのだ。彼女が望んだのは、中心領域の軍事的紛争を支援し続けて、継承王家が消耗していくあいだに、統一政体のバトルメックを温存することだった。総統は、軍事車両を中心領域に輸出するのに必要な物流量を低く見積もっていた……航宙艦隊が減っていく中で、継承王家が達成したものを見落としていたのである。輸送船不足でセールスは不調だったにもかかわらず、パイクの残した遺産はその出自を越え、戦車史に名を残した。
性能
パイクは足の速い戦車ではなく、特に重武装でもなく――重装甲戦車でもない。目立つ外見ではないし、有名な工場で生産されているわけでもない。実際に、辺境生まれなのは、欠点だと考えられている。ハイテクの核融合エンジンを載せていないし、コムスター製の先端電子技術を使っていない。パイクが持っているものは、信頼性である。
その出自を考えると、パイクは実のところやや革新的な車両である。エミッションキル・システムがジョーンズ180ICEにつながれ、戦車の赤外線反応を隠そうとしている(あまり成功していない)。また、統一政体ガンマ・照準追尾システムは、革新的なレーダーシステムを採用し、ゼウスボルト・オートキャノン/2三門の命中精度を向上させている。キャノンは一発ごとのダメージが小さいが、三門一組で運用される。二門の短距離ミサイルラックは、ゼウスボルトの最低射程内に入り込んだ敵からパイクを守る。
配備
これまでのところ、パイク最大の購入者はコムスターである。彼らはこの戦車を、中心領域、辺境に多数ある小HPG施設の守備隊を強化するのに使っている。サンタンダーV近辺でヘルマー・ヴラセックの海賊団と大規模な交戦を繰り広げた後で、コムスターはパイク生産数の四年分を注文し、中心領域中に配備している。
パイク一両では火力が弱いことから、コムスターは独自の部隊編成(4両でなく6両を基本としている)を利用し、パイク5両とデモリッシャー重戦車1両を組ませている。三門のゼウスボルトキャノンはバトルメックをいらだたせるだけだが、15門となると最重量のバトルメックですらあっという間に破壊してしまうのである。小口径オートキャノンと戦う最も単純な戦術は、最低射程内に飛び込むことなので、コムスターの立案者は射程の短いデモリッシャー戦車を1両配置し、120メートル以内でこの集団を守らせた。
派生型
カノープス工業アルファはパイクのシャーシを使った派生型を製造していない。80年近くこの車体が生産され続けていることから、多数の独自改造型が存在している。各種のミサイル仕様、大口径キャノン仕様が一般的である。
著名な戦車兵
テオ・レイキンス大尉: レイキンス大尉は統一政体装甲軍のパイク部隊の隊員である。パイク――そして多数の重要な車両――の生産工場を守る主力防衛隊として、レイキンスの隊はパイクの強みと弱みを知り尽くしている。パイク24両からなるレイキンスの中隊(戦力二倍増強)は、工場群に近づく攻撃隊と戦う第一防衛戦である。特別製の強化陣地に入ったパイクは、砲塔だけを外に出し、攻撃隊が通らざるを得ないように作られた開けた進路に向けて砲撃する。大隊の残った戦力――ヘッツアー装輪強襲砲12両――は、遮蔽に隠れ続けて、パイクの作る「砲火の壁」を突破するのに成功した侵攻軍を近距離で待ち受けるのである。
カーラ・ラッシュ侍祭IV: ラッシュ侍祭は辺境のコムスターHPG施設に駐屯するパイクとデモリッシャーの特殊分遣隊――2個レベルII編成――を指揮している。蛮王ヘンドリック・グリムの宮廷に近い、オベロン連邦首都に配備されているラッシュ侍祭と車両群は、コムスターの軍事力を目に見える形で強く見せつけるものである。地元のオベロン防衛軍との演習中、ラッシュ侍祭の部隊は、敵指揮官のマシンを探し出して、集中射撃で撃墜する技に長けているのを実証して見せた。このコムガード部隊はスコーピオン作戦への参加を拒否し、それゆえ氏族守備隊による殲滅を免れたのだが、すぐにそこから立ち去らねばならなかった。
タイプ: パイク支援車両 技術ベース: 中心領域 移動: 無限軌道 重量: 60トン 戦闘価値: 648 装備重量 内部中枢: 6 エンジン: 180 14 タイプ: ICE 巡航時: 3 限界時MP: 5 放熱器: 0 0 操縦装置: 3 浮上装置: 0 補助動力: 0 砲塔: 2 装甲板: 144 9 装甲値 前面 33 右/左側面 25/25 背面 25 砲塔 36 武器・装備 配置 重量 3 AC/2 砲塔 18 弾薬(AC)225 胴体 5 SRM2 前面 2 弾薬(SRM)50 胴体 1
重車両
デモリッシャー重戦車 DEMOLISHER HEAVY TANK
重量: 80 トン 移動: 無限軌道 パワープラント: ICE 巡航速度: 32 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 装甲板: デュランダル160スタンダード 武装: 185mm・ケムジェットガン・オートキャノン/20 2門 製造元: アルディス工業、ニューサマルカンド金属 主要工場: 地球、ベテルギウス(アルディス)、ニューサマルカンド(NSM) 通信システム: オミクロン5000 照準・追尾システム: オミクロンVII
概要
2767年、辺境世界共和国の兵士たちに奪取されたアルディス工業は、アレクサンドル・ケレンスキーの地球解放の際にほぼ壊滅した。ジェローム・ブレイクの地球再建プログラムの援助によって再建されたアルディスは、コムスターによる地球の中立の下で活動した。
第一次継承権戦争の初期にアルディス工業の技術者たちはメックの技術的問題に対する解決法を思いついた。その計画とはどのようなメックでも破壊できるほど強力な車両を作り出すことで、これはメック隊を持てない世界にとって魅力的だった。デモリッシャーと名付けられたこの戦車は2803年に登場し、戦場で最も致死的な車両としての評判を得た。
性能
砲塔に搭載された2門の185ミリ砲を持つデモリッシャーは威嚇的なマシンである。この巨大な兵器は普及している推進剤システムを使っている。混ぜ合わされた二種類の化学物質が巨大な弾頭を不幸な敵に推進させるのである。旧式モデルでは、この推進剤は莫大な熱を発生させた。その結果、車内は砲撃戦の最中に耐え難いほど高温となり、搭乗員たちは特殊な冷却スーツを着なければならなかったのである。現行モデルは、砲身からガスのほとんどを放出することでこの問題を解決した。
防衛用の車体として設計されたデモリッシャーは都市で最も有効である。隠れた場所から攻撃する2門の巨大オートキャノンは、強襲メックですら容易に撃墜してしまう。だが、副砲を欠いているので、敵の軽装甲車、歩兵に対し味方の歩兵を必要としている。
配備
初期のデモリッシャーは驚くべき成功を遂げた。メック隊を持たない多くの世界が、大量に本車を購入したのである。彼らはしばしばその他の重車両を入手しなかったので、この戦車は戦場のすべてを破壊する能力で知られるようになり、「メック殺し」の冠を得た。継承権戦争が産業基盤をすり減らしていくと、市民軍の使うデモリッシャーの多くが前線の戦闘部隊に移されるようになった。
2825年、元辺境世界共和国の兵士たちがクリタの世界ケッセルを襲撃した。防衛部隊がシュタイナー前線に再配備されたという情報をつかんでいた攻撃軍は、バトルメック2個小隊でケッセルの倉庫を守るデモリッシャー1個小隊に対処出来ると信じた。過信していた反逆軍は強襲級メック、ランページで防衛隊を脅して降伏に追い込もうとした。残念ながら、この計画は裏目に出た。デモリッシャー全4両がこの巨大なメックを撃ち、完全に破壊した。他の侵略者はクリタの装甲隊をすり減らすのを狙って、波状攻撃を行った。だが、この計画は前と同じようなもので、二機目のランページがラッキーショットで落とされると、生存者たちは何も持たず帰るのが賢明だと決めたのである。
3025年の後半、第5〈光の剣〉がダヴィオンの世界コンローを奪おうとした時のこと、ソレンセン・セイバーズの追撃小隊がセシアの町に入ろうとしたところで待ち伏せを受けた。レッドサンダーの名で知られる地元の抵抗軍は1両の古い「ディヴァステイター」を所有しており、この核融合版デモリッシャーを使って連合のエリートバトルメック小隊をひるませた。重オートキャノンの猛攻を受けたクリタ兵は急いで撤退した。
派生型
最初のMk.Iデモリッシャーは4トレッドのサスペンションシステムを使っている。この型が現代にいたるまでデモリッシャーであると考えられており、中心領域の各地でいまだ多数が使われている。2823年にMk.IIとして登場した現行の生産バージョンは、強化型サスペンションシステムを搭載しており、2トレッドである。一部の軍は、歩兵や軽車両に対処するために、装甲を外して防衛兵器を搭載している。
裕福な世界での販売を狙って、アルディスのエンジニアたちはデモリッシャーに核融合を搭載した。ディヴァステイターと名付けられたこの車両は3門のインテック小口径レーザー、ジッポー火炎放射器、ホリーSRM6ランチャーを追加している。
著名な戦車兵
ヒルデガルド: 「ヒルデガルド」は、マーリック国民軍が所有する、50度以上の交戦を生き延びたデモリッシャーの名前である。ほとんどすべての戦闘で、ヒルデガルドの搭乗員たちは戦死した。現在の搭乗員たちがどれだけ生き残れるかが、マーリック家の兵士たちの間で人気の賭けとなっている。
驚くべきことではないが、この車両への配属は懲罰任務である。戦車兵となった者たちは、ヒルデガルドが実戦投入される前に勤務評定を上げようと躍起になる。
セオドア・ジェイコブズ大尉: モバイルファイア傭兵装甲連隊の一員であるジェイコブズは恐れ知らずで勇敢との評価を確立している。いつも変わらずデモリッシャーの砲塔から強襲中隊の指揮をとるジェイコブズはいずれ大隊の指揮権を持つことになるだろうと信じられている。
タイプ: デモリッシャー重戦車 技術ベース: 中心領域 移動: 無限軌道 重量: 80トン 戦闘価値: 1069 装備重量 内部中枢: 8 エンジン: 240 23 タイプ: ICE 巡航時: 3 限界時MP: 5 放熱器: 0 0 操縦装置: 4 浮上装置: 0 補助動力: 0 砲塔: 3 装甲板: 160 10 装甲値 前面 40 右/左側面 30/30 背面 20 砲塔 40 武器・装備 配置 重量 2 AC/20 砲塔 28 弾薬(AC)40 胴体 4
中心領域バトルメック
ヴァルカン VL-2T Vulcan
重量: 40 トン シャーシ: メイザーテック500 パワープラント: ピットバン240 巡航速度: 64 キロメートル/時 最高速度: 97 キロメートル/時 ジャンプジェット: モデル9ピットバン ジャンプ能力: 180メートル 装甲板: スターガードI 武装: アームストロング・オートキャノン2 1門 ランデル中口径レーザー 1門 ファイアストーム火炎放射器 1門 スプレイブローニング・マシンガン 1門 製造元: ニカマチ・フュージョン・プロダクツLtd、コベントリ・メタルワークス 主要工場: テマタギ(ニカマチ)、コベントリ(CMW) 通信システム: ハートフォード200S 照準・追尾システム: ハートフォードTA10
概要
星間連盟防衛軍が辺境世界共和国占領下の地球帝国領に侵攻するに従い、多くの連盟メックが共和国の歩兵に倒され、実用的な対歩兵メックの需要は飛躍的に増していった。中心領域大都市の市内で繰り広げられた厳しい接近戦は、ヴァルカンの誕生に結びついたのである。
前進するSLDFがノースウィンドのメイザーテクノ社の生産ラインを解放すると、アレクサンドル・ケレンスキー将軍はラインを対歩兵バトルメック、新型機ヴァルカンの生産用に組み替えた。メイザーテクノの施設は星間連盟の崩壊後数ヶ月内に破壊されたのだが、設計仕様はライラ共和国、自由世界同盟の手に渡ったのだった。ヴァルカンは継承権戦争を通して、限定的な生産がされ続けている。
性能
ヴァルカンは最大数のジャンプジェットを装備し、市街戦機として比類無き機動性が与えられている。背面のジェットはたまった熱を放出する特殊な作りである。
武装には、小型だがきわめて信頼性の高いアームストロング・オートキャノンが含まれている。対メック用として搭載したものだが、よく建造物への攻撃に使用される。中口径レーザーはオートキャノンのバックアップだが、ヴァルカンの主武装は、高い連射速度のスプレイブローニング・マシンガンと、ファイアストーム火炎放射器である。この両兵器は、敵の歩兵を遮蔽に逃げまどわせるだろう。
ヴァルカンの装甲は中量級バトルメックにしては強くないが、敵である歩兵からの射撃には充分過ぎる防護を提供する。さらに、このメックの細いシルエットは敵にとって狙いを付けづらく、またこの形状からヴァルカンは「かかし」のあだ名を奉っている。手駆動装置がないのが、このメック、唯一の欠点である。致命的なものではないのだが、他のメックとの接近戦で不利となる。
配備
ヴァルカンは、ケレンスキー将軍の地球上陸の際に、前線に登場し、義勇兵連隊と共に行動して、タフな市街戦マシンであるとの評価を獲得した。星間連盟の崩壊後、各大王家は多数のヴァルカンを確保している。ライラ共和国と自由世界同盟のみがこの機体を製造できる現状において、稼働するヴァルカンの大半はこれら王家の部隊にある。
ダヴィオン家はクリタ家からケンタレスIVを取り戻すため、ヴァルカンを大規模に使った。ヴァルカンはアミッシュトン市、デイヴィスバリー市への逆襲の先頭に立ち、クリタの歩兵を駆逐した。メックの火炎放射器は、人口減少した大都市の大部分を破壊したのだが、両都市でクリタの守備隊を捕らえるか、殺すのに成功したのである。
リャオ家はヴァルカンの多くをサッフォに配置し、第一次継承権戦争中、世界がマーリック家の手で陥落した時に、多くが失われた。その結果、リャオ家のヴァルカンは他の大王家より少ないものとなっている。
派生型
メイザーテクノ社は派生型をいくつか試した。最も一般的なのは、VL-5Tで、アームストロング・オートキャノンをはずして、装甲2トン、放熱器2基、マクサム中口径レーザー3門を搭載している。恒星連邦のヴァルカンは多くがこのタイプである。
著名なメック戦士
メック戦士・リチャード・ティムス: リチャード・ティムスは、有名なティムス一族最後の生き残りである。ベソルド症候群(不治の病)をわずらっているティムスの余命はあと数年であった。彼は残った一族の領地をすべて売り払い、その金を、浪費的なライフルスタイルの維持と、ヴァルカンを完璧な状態に保つために使った。だが、ヘルム・メモリーコアがNAISに届いたそのとき、ティムスに関するすべては変わった。復活した最初の技術的驚異の中に、ベソルド症候群の治療法が入っていたのである。
新たな寿命を与えられたリチャードは、第三ダヴィオン近衛隊に仕え続け、ダヴィオン家の旗の下で新たな名声を確保している。
ソンドラ・ストヴァーストン中尉: ソンドラはシュタイナーの第20アークトゥルス防衛軍の1個中小隊を率いており、連隊で最高のメック戦士のひとりと考えられている。彼女のヴァルカン「ブラッドラスト」は戦闘スタイルを反映しブラウニッシュレッドに塗装されている。ソンドラはいかなる歩兵部隊にたいしても恐るべき驚異となる。歩兵小隊の最後のひとりまでを殺すとの評判を持っている。第四次継承権戦争で、ソンドラはバックミンスターの、ノスウィ湖周辺での戦闘に参加した。第6アーカブ軍団の機械化歩兵は、ソンドラとブラッドラストに直面するより先に、潰走したのだった。
メック戦士・ヴォーメル・ハイド: ヴォーメルはオリエント機兵連隊に配属されていた。未知の理由で追放された彼は、悪名高いレッドジャック・ライアンの下へと流れ着いた。彼のメックは悪い状態にあるが、ハイドは優秀なメック戦士であり、マーリック家と戦うために腕を磨き続けている。
タイプ: ヴァルカン 技術ベース: 中心領域 重量: 40トン 戦闘価値: 642 装備重量 内部中枢: 4 エンジン: 240 11.5 歩行: 6 走行: 9 ジャンプ: 6 放熱器: 10 0 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 80 5 内部中枢 装甲 頭部: 3 8 胴中央: 12 10 胴中央(背面): 6 左/右胴: 10 8 左/右胴(背面): 4 左/右腕: 6 6 左/右脚: 10 10 武器・装備 配置 装備欄数 重量 AC/2 右胴 1 6 弾薬(AC)45 右胴 1 1 中口径レーザー 左胴 1 1 火炎放射器 右腕 1 1 マシンガン 左腕 1 .5 弾薬(MG)200 左胴 1 1 ジャンプジェット 胴中央 2 1 ジャンプジェット 左胴 2 1 ジャンプジェット 右胴 2 1
中心領域バトルメック
オウサム AWS-8Q AWESOME
重量: 80 トン シャーシ: テクニクロン・タイプG パワープラント: ピットバン240 巡航速度: 32 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: デュラレックスヘビースペシャル 武装: クレウス荷電粒子砲 3門 ディヴァース・オプティクス・タイプ10 小口径レーザー 1門 製造元: テクニクロン製造 主要工場: サバンナ 通信システム: ガレットT19-G 照準・追尾システム: ダイナテック2780
概要
2665年、星間連盟向けにテクニクロンコングロマリットが投入したオウサムは、旧式化したSTR-2Cストライカーをベースに設計された。祖先ほどの速度はないが、オウサムはきわめて強力な強襲メックである。オウサムを持つ部隊と戦うよりはと、戦場から引くのは珍しいことではない。その性能と戦歴により、オウサムは中心領域で人気のあるありふれた強襲メックとなっている。
オウサムはたいてい、固定陣地への強襲か、敵の戦線を破るのに使われる。そして防衛任務にも求められる。オウサムを操縦するメック戦士たちは、最も烈しい戦闘に参加するか、最も重要な目標を得ることを求められる。もしくは、少なくともそのような目標を守ることになるだろう。
性能
オウサムの性能はほぼ3門のクレウス荷電粒子砲によってたっている。28基の放熱器に支援されるAWSは、その兵装から安定した強い弾幕を張る能力を持つ。ストライカーより1.5トン分の装甲を追加しているAWSは、バトルマスターよりも守りが厚いのである。
バトルメックの常として、オウサムにも欠点はある。長距離では破壊力がある一方で、接近戦では火力に劣る……近距離ではPPCの照準をあわせるのが難しいのだ。ディヴァース・オプティクス小口径レーザーと、その左の拳だけが、そのような時に役立つのである。機動性が減っていることは、PPCから逃れようとする高速な敵の側面攻撃に対して脆弱である。敵はバトルメックの中でも最も分厚い部類に入る背面装甲にぶつかることになるが、オウサムには背面、左腕搭載の兵器がないので、戦うチャンスがあるのだ。
AWSの弱点に気づいている指揮官によって適切に展開された場合、オウサムの隊列は(数機を含んでいるだけでも)、きわめて有効となり、停止ないし撃破するのは非常に難しくなるのである。
配備
オウサムはすべての王家軍で見られる存在である。自由世界同盟はオウサムを生産できる唯一の生産工場を支配しているので、どの王家よりも多くのオウサムを運用している。同盟内では、このメックに対する意見は多種多様なものである。その性能によって多くの賞賛を得ている一方で、その限られた機動性により性能を発揮するには多大な代償が必要であるともされている。他の王家でも似たようなことを言われているが、それはあくまで学問的な議論に終始するものである。オウサムを部隊に加えたがらない指揮官はほとんどいないのである。
派生型
エネルギー兵器を中心とするすべてのバトルメックと同じように、AWS-8Qは放熱器に多大な負荷をかけている。その結果として、一般的かつ広まっている派生型は、1門以上のPPCを取り外している。AWS-8RはPPCを大口径レーザー1門とLRM15ラック2門に交換している。8Rを元にした8Tは5基の放熱器を外して、大口径レーザー1門を追加している。最後の8V型は、胴のPPC2門を、大口径レーザー、LRMラック1門ずつに交換している。だが、レーザーはPPCの代用品とはならず、さらにLRMランチャーを追加したことは、弾薬兵器ならではの兵站、戦闘継続能力に問題を付け加える。よってこれらの派生型は一般に8Qより劣ると考えられている。
著名なメック戦士
ジャイルズ"爆竹"バーナーズ中尉: バーナーズは71機のメック撃墜を記録したクリタ家のエースオウサムメック戦士と考えられている。バーナーズの黒く塗られたオウサムによる小隊は、ブリオン軍団ウェルンケ大隊の大黒柱であり拳となっている。バーナーズのオウサム隊は、第四次継承権戦争中のデビッドでしんがりを務め、軍団が地元のコムスターステーションに入るまで、第12デネブ軽機隊を食い止めたのだった。
ダニエラ・ピーターソン中尉: チスホーム襲撃隊の一員、ピーターソンの小柄な体型と美しさはメック戦士としては珍しいもので、オウサムの外見と正反対である。彼女はその優秀な操縦技術でもって尊敬されており、バトルメックで見せる途方もない敏捷性と戦果が幾度も記録されている。機動性のないオウサムを自由に操っているように見える異常なまでの腕前によって、ピーターソンと彼女のオウサム"プリティベイビー"は、すべての継承国家で有名となった。ソラリスVIIのステイブルは法外な金銭的報酬を提示して加入を誘っているが、彼女は恒星連邦への忠誠を公言しており、退役するつもりはないとしている。
タイプ: オウサム 技術ベース: 中心領域 重量: 80トン 戦闘価値: 1605 装備重量 内部中枢: 8 エンジン: 240 11.5 歩行: 3 走行: 5 ジャンプ: 0 放熱器: 28 18 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 240 15 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 25 30 胴中央(背面): 19 左/右胴: 17 24 左/右胴(背面): 10 左/右腕: 13 24 左/右脚: 17 33 武器・装備 配置 装備欄数 重量 PPC 右腕 3 7 PPC 右胴 3 7 PPC 左胴 3 7 小口径レーザー 頭部 1 .5
中心領域バトルメック
アトラス AS7-D ATLAS
重量: 100 トン シャーシ: ファンデーション・タイプ10X パワープラント: ヴィラー300 巡航速度: 32 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: デュラレックス・スペシャルヘビー 武装: ディファイアンス・メックハンターオートキャノン 1門 ファーファイア・マキシラックLRM20 1門 ディファイアンスB3M中口径レーザー 4門 ターヘス・マキシSRM6 1門 製造元: ディファイアンス工業、ヨリ・メックワークス、インディペンデンス造兵廠 主要工場: ヘスペラスII(ディファイアンス)、アルナイル(ヨリ)、クエンティン(インディペンデンス) 通信システム: アンガスト・ディスコム 照準・追尾システム: アンガスト・アキュラシー
概要
アレクサンドル・ケレンスキー将軍はアトラスの設計要求を策定した際、「恐怖を味方にしてしまうような、考え得る限り強力で、最大限の防護力を持ち、最悪の予感を抱かせるメック」を作るべきだと語った。SLDF正規軍が王家の私兵部隊の軍拡に対する懸念を増しつつあるなかで、新型の強力なメックが必要とされていたのである。戦争が訪れ、ケレンスキー将軍とSLDFの大半が中心領域を見捨てたにも関わらず、アトラスはその目的にかなったのだった。
性能
アトラスを見た者が抱く印象は、その凶悪な外見である。その有名などくろの頭部が採用されるまでに一年の時間を要した。戦場にこのメックより巨大なメックはあるのだが、アトラスの存在感にかなうものはない。
強襲級メックとして、アトラスに並ぶものはほとんどない。胴に搭載された最大規模の長距離ミサイルランチャーが、アトラスに強力な長距離火力を与える。接近戦用には強力な兵器を束で抱えており、最も驚異的なのは、右胴の巨大なディファイアンス・メックハンター・オートキャノンである。弾薬は1個メック中隊を壊滅させるのに充分な量が積まれている。オートキャノンをバックアップするのが、6連短距離ミサイルシステム1門と、メックの全方位を守る中口径レーザー2門ずつだ。20基の放熱器によってアトラスはこの火力を自由自在に発揮することが出来、メック戦士の大半がこのメックを恐れているのは当然であろう。
アトラスよりも装甲を積んだメックは非常に少なく、そして全ての駆動装置(手含む)を搭載していることにより、このメックは格闘戦能力を与えられている。アトラスが軽量級メックを持ち上げおもちゃのように破壊したと言う伝説がメック戦士の間に残されているのである。
アトラスが弱点を持っているとしたら、それは低速であることだ。その他の強襲級メックも低速なのだが、アトラスから容易に逃げられるという事実は、このマシンに直面したメック戦士たちにとって希望となっている。
配備
アトラスは星間連盟用に作られたのだが、機体のほぼ全てが、ケレンスキー将軍の失踪後に生産された。以来、継承国家向けの供給が続けられており、全継承国家に限られた数量が分布している。アトラスは上級指揮官用の指揮機として使われることが多いが、一部の一般メック戦士が強襲小隊でも使用している。
派生型
その与えられた役割を完全に果たしているという単純な理由により、アトラスをいじろうとする軍は少ない。改造の試みはたいていにおいて失敗する。なぜなら、メックの動作を保つために多くの譲歩が必要となるからである。
著名なメック戦士
イアン・ダヴィオン国王: ハンス・ダヴィオンの前の恒星連邦国王だったイアン・ダヴィオンは、3013年、クリタ家と戦ったマローリーワールドの戦いで戦死した。国家の首長が戦闘に参加したことは嘲笑されているのだが、イアン・ダヴィオンはまず第一に戦士であり、第二に指導者だったのである。それゆえ部下たちは彼を愛していた。最後の戦いにおいて、ダヴィオン国王は、部下たちが脱出を図る間、ヨリナガ・クリタと第2〈光の剣〉連隊を相手に重要な山道を守っていた。ケルハウンドなど、他の部隊は彼を支援するために突き進んできたのだが、助けが来る前に、彼は撃墜されたのだった。
アーロン・ドシェヴィラー将軍: ケレンスキー将軍率いるSLDFの次席司令官であったドシェヴィラー将軍は、アマリスの最後の拠点に対する強襲に参加した。歴史の記録によるとケレンスキーのオリオンがゲートを蹴破ったことになっているが、ドシェヴィラーのアトラスが外壁を破壊したために、ケレンスキーはその有名なゲートに到達することが出来たのである。ドシェヴィラーがアトラスの重装甲を信じて、どれだけメックを簒奪者の砲火に晒したのか、メック戦士の言い伝えは詳細に物語っている。
キャサリーン・ヒーニー大将: ノンディ・シュタイナー上級元帥の幕僚であり、ライラ防衛軍の元連隊指揮官であったヒーニー大将は「保守的」戦術の支持者であった。彼女は下についたAFFS士官たちのアドバイスを常にはねのけ、ダヴィオン家との同盟によってLCAFにもたらされたいかなる戦術的革新をも無視した。彼女の下への配属を余儀なくされたAFFSは出来るだけ早い配置転換を上申し、そして不幸にも彼女の指揮下に置かれたダヴィオン部隊は無意味な命令に従わざるを得ないことにいらだつのだった。
タイプ: アトラス 技術ベース: 中心領域 重量: 100トン 戦闘価値: 1893 装備重量 内部中枢: 10 エンジン: 300 19 歩行: 3 走行: 5 ジャンプ: 0 放熱器: 20 10 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 304 19 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 31 47 胴中央(背面): 14 左/右胴: 21 32 左/右胴(背面): 10 左/右腕: 17 34 左/右脚: 21 41 武器・装備 配置 装備欄数 重量 AC/20 右胴 10 14 弾薬(AC)10 右胴 2 2 LRM20 左胴 5 10 弾薬(LRM)12 左胴 2 2 中口径レーザー 左胴 1 1 中口径レーザー 左胴 1 1 中口径レーザー 胴中央(背面) 2 2 LRM6 左胴 2 3 弾薬(LRM)15 左胴 1 1
星間連盟バトルメック
ソーン THE-S Thorn
重量: 20 トン シャーシ: チャリオット・タイプII パワープラント: GM120 巡航速度: 64 キロメートル/時 最高速度: 97 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: デュラレックス 武装: ゼウス 5LRMランチャー 1門 へリオン・スピットファイア中口径レーザー 2門 製造元: フォード・ミリタリー・リミテッド(コムスター改造型) 主要工場: 地球 通信システム: オルムステッド30 照準・追尾システム: オミクロンVII
概要
初期型ソーンは2490年に登場したのだが、このTHE-F型は、バーガン工業が生産したLCT-1Vローカストとの激しい競争に直面した。帝国装甲軍がようやくソーンに興味を示したのは、最新の技術を使った改良型THE-Nが作られてからだった。
先端技術への依存は、ソーンの致命的な弱点となる。継承権戦争の大破壊は、大王家が星間連盟の崩壊から受け継いだ装備を生産、維持するのを不可能としたのである。コムガードの秘密部隊のみが、ソーンを稼働状態に保ち続けた。
31世紀、突如としてソーンはクリタ家に再登場した。(コムスターの)首位者ミンド・ウォータリーが、恒星連邦=ライラ共和国の連合に対抗しようと考えた結果だった。これを達成すべく、彼女は自由ラサルハグ共和国の誕生を後押しして、ライラ共和国とドラコ連合の間の防波堤とし、またドラコ連合を強化して、連邦=共和国との将来的な対決に備えたのである。首位者は、継承権戦争のあいだ地球に隠していた莫大な兵器の備蓄から、装備をクリタ家に供給した。だが、コムスターは地球帝国製の最先端技術を渡そうとはしなかった。先進の部品はすべて取り外され、この時代の同等品に交換された。DCMSが整備する資源と知識を持ってないため、と公式にはされた。
ソーンを改造する際、コムスターは古代のTHE-Fの設計図を使って、ドラコ連合用のTHE-Sソーンを生み出した。
性能
元来、ソーンは偵察メックになる予定だったのだが、より高速で、機動性に富んだライバル機との激しい競争に直面した。最終的に、本機は歩兵支援用メックとしてのニッチを見つけたが、偵察機狩りの任務でも成功を実証している。
THE-Sソーンは、エンドースティール内部構造と、細胞式弾薬収納装置を取り外している。これを行うためには、バトルメックの骨格の交換が必要となり――完全な分解と組み立てが作業に含まれていた――技術流出を避けたいコムスターの思惑が浮き彫りにされる結果となった。この工程を楽にしたのが、整備を簡素化するソーンの設計である。実際に技術者たちは、メックの手足にのぼって、内部から修理が可能だ。残念ながら、交換された内部構造は重量が二倍で、装甲0.5トン分の取り外しを余儀なくされた。
他の変更点は、オーパスIウルトラビーム通信システムから、より旧式なオルムステッド30への交換である。明らかにコムスターは、コムガードの通信を盗み聞きする能力をどの大王家にも与えたがっていなかった。オミクロンVII照準・追尾システムも取り替えられたものであるが、こちらはオリオン80システムの同等品である。
コクピットの下に直接配置されたへリオン・スピットファイア中口径レーザーは、メック戦士に熱い戦闘を提供する。ゼウス長射程ミサイルシステムは精度が高いが、格闘戦では損傷してしまいやすい。こうなると、ミサイル供給システムは故障し、ミサイルが上腕部に詰まってしまうかもしれない。弾薬が爆発し、ソーンを破壊する可能性がある。
配備
ドラコ連合はコムスターからの「贈り物」を使って、第四次継承権戦争中にライラの猛攻で壊滅した部隊を再建した。加えて、軍事の管領(最高司令官代理)セオドア・クリタは、連合の敵を驚かせる新部隊を作り上げた。
派生型
原型機のTHE-Fソーンは、コムスターがダウングレードしたTHE-Sと本質的に同じものである。THE-Fはもう使われていないが、たまに手足が、継承権戦争をくぐり抜けた機体に取り付けられているのが見られる。
クリタ家はコムスターから供給されたソーンの一部を改造し、LRMランチャーをSRM4に交換して、近距離火力を向上させている。より高速で機動力のあるジェンナーが使える現状において、このTHE-Tは不人気かつ珍しい存在のままである。
著名なメック戦士
武装戦士ダンカン・グッドヒュー: 第四次継承権戦争の前に、ミザリーで行われたウルフ竜騎兵団との決闘を生き残った、リュウケンのダンカンは、新ドクトリンをDCMSに広める、セオドア・クリタの中核幹部団の一員である。リュウケンが再建された際に、ダンカンは出身部隊、リュウケン=ゴに配属された。
コーサVIIにて、ダンカンとソーン"アイグチ"は、第2ニューアイバーセン追撃隊のLRM型ローカストと決闘を行った。
タイプ: ソーン 技術ベース: 中心領域 重量: 20トン 戦闘価値: 510 装備重量 内部中枢: 2 エンジン: 120 4 歩行: 6 走行: 9 ジャンプ: 0 放熱器: 10 0 ジャイロ: 2 操縦機器: 3 装甲板: 64 4 内部中枢 装甲 頭部: 3 8 胴中央: 6 8 胴中央(背面): 4 左/右胴: 5 6 左/右胴(背面): 3 左/右腕: 3 6 左/右脚: 4 7 武器・装備 配置 装備欄数 重量 LRM5 右腕 1 2 弾薬(LRM)24 右胴 1 1 中口径レーザー 頭部 1 1 中口径レーザー 左腕 1 1
星間連盟バトルメック
キングクラブ KGC-0000 KING CRAB
重量: 100 トン シャーシ: ホリスマークII パワープラント: ヴィラー300 巡航速度: 32 キロメートル/時 最高速度: 54 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: ヴァリアント・ラメラー 武装: インペレーターDオートキャノン 2門 ドゥームバド・長距離ミサイル15 1門 マグナ・マークIIIヘビーレーザー 1門 製造元: コサーラ造兵工廠 主要工場: 火星(2767年破壊)、ノースウィンド(2786年破壊) 通信システム: ダルバン・バーチャトーク 照準・追尾システム: ダルバンHi-Rez
概要
星間連盟の終焉期に登場したキングクラブは、一斉射でバトルメックを破壊、行動不能とする強襲級メックを作れというケレンスキー将軍の要求を満たしたものである。他の強襲級メックほどの装甲を載せていないのであるが、キングクラブとその後継機の火力は、その目的を見事に果たしている。
性能
KGC-0000の役割はきわめて単純なものである。立ちふさがるものあらば破壊するというものだ。その主砲、インペレーターDスーパーヘビーオートキャノンはこの仕事を簡単にやってのける。この2門から生み出されるダメージは最も頑丈なメックからすら装甲をはぎ取ってしまうのである。
オートキャノンは補強された腕部に搭載されることから、設計士たちは砲身に爪のような保護用の覆いをつけた。このカバーは戦闘中に開閉し、かにのはさみか爪のように見える……この特徴がメックを有名にし――そしてその名をもたらしたのだった。
打撃力が重視されたこの機体の大きな欠点は、長い交戦を行うのに必要な弾薬を欠いていることである。信頼性の高いマグナ・マークIIIヘビーレーザーを積んでいるが、パイロットにとって、長引く砲戦の最中に最後の弾薬が装填される音を聞くのは愉快なことではない。
ハイランダー、クロケット、サグなどと違い、使われている先進技術は装甲のみであるため、KGC-000キングクラブは継承権戦争時代の技術でも修理が容易である。逆説的な結果として、キングクラブは戦闘の最前線に残り、大多数が破壊されてしまった。第三次継承権戦争の終わりまでに残った機体はごくわずかである。
配備
ノースウィンドにあったコサーラの主工場は第一次継承権戦争の初期に破壊され、コサーラ火星工場はジェローム・ブレイクの命により修理され、モスボールされた。31世紀の初期、コムスターの秘密備蓄物資を増やすため、コサーラは機体の再生産を命じられた。数世紀のうちに、備蓄がいくらか消耗していたのである。
キングクラブの大半は、ケレンスキー将軍とともにエグゾダスし、その中にはプロトタイプのKGC-010が含まれていた。中心領域に存在する-010は知られていない。
派生型
KGC-010は初期型の-000と共に開発されたが、ヘルスター・マグナ開発のプロトタイプPPCを使っていた。これらのPPCは外部の「砲身」を必要とせず、胴体の中に埋め込まれる。冷却スリーブがPPCの後方に取り付けられ、メックの背中から突きだし、トゲのような外観となっている。PPCの砲口の周囲には、特殊な設計のホリーSRM6システムがある。ペアとなっているこのふたつの兵器は、-010に新たな外観を与えている。
またKGC-010はLB-10Xクラスターキャノンを両腕に搭載している。弾薬を胴のCASEで守り、高性能放熱器を使っているこのプロトタイプ・キングクラブは接近戦で衝撃を与える。冷却翼から放たれる膨大な熱放散波とPPC発射の際の奇妙な色の組み合わせは、KGC-010が配備されていた短い間、真の恐怖となっていた。
この型の成功に関心を引かれたケレンスキーは全010をエグゾダスに持っていった。この機種の設計仕様はその後の継承権戦争のさなかに失われていった……存在が知られたのでさえつい最近のことなのである。
著名なメック戦士
リサ・ブハーリン: ブラックハーツ――星間連盟の対テロ部隊スペシャルアームドサービス(SAS)の隊員だったと思われるリサ・ブハーリンは、地球が占領されていた間、アマリス軍を混乱させる助けとなっていた。サンドハースト士官学校の学者だった彼女は、ヨーロッパと中央アジアに対する詳しい知識を使って、アマリス竜機兵団と戦う反乱軍を支援した。彼女は物覚えが早く、GMの設計事務所から奪還されたKGC-010数機のうち1機を操縦することになった。リサは仲間たちと共にケレンスキー将軍の招待を受け、中心領域からエグゾダスしていった。
コリント・ブロディ: ナイトウィッチ警備保障の社長であるブロディは貴重なKGC-000を所有している、数少ない個人オーナーの一人である。機体の出所は謎に包まれている……社内の噂によると、ブロディの祖父は第三次継承権戦争の最中にカフでロステックを発見したとのことである。通常、ナイトウォッチ社は企業警備にのみ雇われる。部隊は3038年より地球のセッカリス・メタルワークス社との契約下にある。
タイプ: キングクラブ 技術ベース: 中心領域 重量: 100トン 戦闘価値: 1810 装備重量 内部中枢: 10 エンジン: 300 19 歩行: 3 走行: 5 ジャンプ: 0 放熱器: 15 5 ジャイロ: 3 操縦機器: 3 装甲板: 272 17 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 31 39 胴中央(背面): 12 左/右胴: 21 29 左/右胴(背面): 10 左/右腕: 17 33 左/右脚: 21 34 武器・装備 配置 装備欄数 重量 AC/20 左胴/左腕 10 14 弾薬(AC)5 左胴 1 1 AC/20 右胴/右腕 10 14 弾薬(AC)5 右胴 1 1 LRM15 左胴 3 7 弾薬(LRM)8 左胴 1 1 大口径レーザー 右胴 2 5
気圏戦闘機
気圏戦闘機はバトルメックより古い存在で、登場したのは、地球同盟の軍指揮官たちが、強情な植民地を宇宙から急襲する際に、降下部隊を援護する手段を必要とした時のことである。軌道船は、輸送シャトルを十分にエスコートしたが、大気圏内に入り、通常型戦闘機と戦うのは不可能であった。これが、二つの役割を受け持つ気圏戦闘機の開発に結びき、元の設計者たちですら考えていなかった、すばらしい性能を発揮したのである。
戦闘機は付け足しのように扱われることもあった一方で、どのような作戦計画でも重要な役割を果たしてきた。地上支援作戦の際に強力かつ正確な間接砲となるだけでなく、支援しようとする敵戦闘機から味方を守るガーディアンとなった。戦線の弱点を突破しようとする部隊は、駆けつけた航空中隊の支援によって、撃退されることだろう……戦闘機は数分で戦場を駆け抜けることができるのだ。時には、戦闘が起こらずに勝敗が決まることもあった。これは一方が戦闘機を持ち、もう一方が持っていなかったときのことである。
批判があるとしたら、航空戦闘部隊は、惑星を奪取することも、確保し続けることもできないことだろう――できるのは地に足をつけたものだけだ。これは事実だが、訓練、装備の行き届いた航空戦闘部隊は、よく地上部隊の戦力を激増させる。ふたつの陸軍が地上で遭遇するその前にさえ、敵軍を痛めつける(完全に破壊できないにせよ)のである。
ほとんどすべてのバトルメック連隊は、数個航空中隊の気圏戦闘機を各種の任務用に保有する(敵輸送機迎撃、深宇宙護衛、地上支援など)。パイロットたちが持つ名誉と気高さは、地上のいとこ、メック戦士にのみ匹敵する。事実、かつてのダヴィオン家では、民衆がメック戦士よりも気圏パイロットたちを偶像化し、両者の間で大規模な対立が起きたのである。
[ヴィクター、これまでのテクニカルリードアウトは、この20年で登場した気圏戦闘機の改良型についてふれていない。エラッタを出して、ファイルを修正する代わりに、簡潔にすませるべく、「改良型」という最新機に関する小項目を挿入した。また、見落とされがちな戦闘機、サムライの項目が含まれている――フォヒト]
トランスグレッサー TR-13 Transgressor
重量: 75 トン フレーム: サローヤン13 パワープラント: ローリングス300 装甲板: サローヤン・スタンダード 武装: セリテックス・ラジオニック大口径レーザー 3門 カジュカ2型"ブライト・ブロッサム"中口径レーザー 4門 製造元: サローヤン・スペシャル・プロダクション 主要工場: シーアン 通信システム: デュオテック95 照準・追尾システム: ラドコムT11
概要
リャオ家で使用されている主力重戦闘機、トランスグレッサーは対降下船航空中隊でその姿がよく見られ、重要な星系に多数存が在する。現在、継承国家でもっともバランスが良いとされるこの戦闘機は、大連邦国の厚遇されている指揮官に対する報償となっている(どの重量の航空中隊においても)。
性能
トランスグレッサーは優れた格闘戦闘機であり、地上支援機である。火力の大半をミサイル、オートキャノンに依存している戦闘機がある一方で、この75トンのトランスグレッサーは、三門の大口径レーザーを両翼と機首に配置している。中口径レーザーがそれぞれをバックアップし、尾翼に据え付けられた四門目のレーザーが、背後に迫る軽量級戦闘機から機体を守る。25基の放熱器は、重火器の連射を可能とし、熱がたまらないようにする。パイロットたちは熱の心配をせず、敵の陣形を掃射できるのである。
配備
第四次継承権戦争後、カペラ大連邦国内で、トランジット2種類、トランスグレッサー1種類が生産されている状況において、CCAFの気圏戦闘機隊はすぐにトップヘビーとなった。これは部隊を平均よりタフとしたが、生き残った者たちは、ダヴィオンの軽戦闘機と交戦すると背中を取られてしまうことに気づいたのである。これはすでに低下していた士気をさらに下げる結果となった。
3039年に行われた、バートン連隊のアディックス襲撃で、マッカロン装甲機兵団は多数の宇宙港、民間の建物を破壊した一方、多大な損害を被り、惑星からの退却を余儀なくされた。民間被害に怒った第2ダヴィオン近衛隊と境界域市民軍は、深追いして、しんがりの気圏戦闘機と激しいドッグファイトを繰り広げた。装甲機兵団のトランスグレッサー1個航空中隊は、いかなる犠牲を払っても輸送船を守る責務を負った。互いへの援護のため、薄く広がったダヴィオンの高速戦闘機は、猛攻撃にさらされることなく背後にまわりこむことはできなかった。トランスグレッサー航空中隊は、友軍のユニオン1隻が破壊された後に撤退しなかった唯一の戦闘機隊であった。彼らは撃墜される前に、倍の敵を撃破したのだった。
派生型
この数十年で唯一の派生型、TR-14は、大口径レーザーと装甲1トンを、AC/20、弾薬2トンと交換している。これはオーバーヒートの危険性を排除し、トランスグレッサーを大型のトランジットとしている。パイロットたちは、短い射程と少ない弾薬について文句を言っている。なぜなら、戦闘が長引くと、TR-14の火力は1/3になってしまうからである。
改良型
最初の改良型トランスグレッサーは、スン=ツー・リャオとイシス・マーリックの婚約発表直後に登場した。TR-13Aと命名されたこれは単なる現地改修モデルで、放熱器を高性能型に、大口径レーザーを長射程型に交換している。TR-16現地改修キットは、3058年、不評だったTR-14派生型向けに登場した。高性能放熱器10基と、フェロアルミニウム装甲11トンを搭載した本機の主武装は、機首に取り付けられた二門のガウスライフル(弾薬3トン)である。TR-14のパイロットたちは、この改修キットを待ち望んでおり、出来うる限り早く入手するようにしている。だが、装甲の交換には、計画の倍の時間がかかると判明した。
最新型のTR-15(3071年配備)は、高性能放熱器、長射程中口径レーザー群、長射程大口径レーザー1門を搭載している。エクストラライトエンジンの使用は、両翼の大口径レーザーを重PPCに換装するのを可能とし、13.5トンのフェロアルミニウム装甲が機体を守る。これらのモデルは、工場で作られた最初の改良型トランスグレッサーで、現地改修キットの機種とは対照的である。生産ラインから出荷された最初の6機は、惑星リャオ上空での勇気を評し、航空連隊ヘルズブラックエースに贈られた。
著名なパイロット
ベンジャミン・シュー中尉: シュー少尉(当時)は、声高な聖アイヴス奪還主張者で、あつい忠誠心を持っていたにもかかわらず、ロマーノ・リャオの大量粛正で検挙されるのを恐れ、3035年、トランスグレッサーとともにカペラ大連邦国を逃げ出した。待機していた降下船(追放された傭兵部隊、ヘルズブラックエースが脱出用に派遣したもの)に向けて飛行していた彼は、哨戒中のトランジット1個小隊に捕まり、攻撃を受けた。長い射程と技術によって、彼は2機の戦闘機を片づけることができたが、ひどい損害を被り、航行不能となって、深宇宙で降下船のクレーン(本来は地上での荷下ろし用)を使って回収されるのを余儀なくされたのだった。
タイプ: トランスグレッサー 技術ベース: 中心領域 重量: 75トン 戦闘価値: 1449 装備重量 エンジン: 300 19 安全噴射: 6 最大噴射: 9 中枢強度: 7 放熱器: 25 15 燃料: 400 5 操縦機器: 3 装甲板: 224 14 装甲 機首: 82 両翼: 51 後面: 40 武器・弾薬 配置 重量 熱 近 中 遠 超遠 大口径レーザー 機首 5 8 8 8 - - 中口径レーザー 機首 1 3 5 - - - 大口径レーザー 右翼 5 8 8 8 - - 中口径レーザー 右翼 1 3 5 - - - 大口径レーザー 左翼 5 8 8 8 - - 中口径レーザー 左翼 1 3 5 - - - 中口径レーザー 尾翼 1 3 5 - - -
プロジェクトフェニックス・バトルメック
ロングボウ LGB-0W LONGBOW
"ロングボウの堂々とした外観は3060年代に変更され、敵に恐怖を与えるような新しいもっと強力なイメージが作られた"
重量: 85 トン シャーシ: スターコープス100LGB パワープラント: ストランド340 巡航速度: 43 キロメートル/時 最高速度: 64 キロメートル/時 ジャンプジェット: なし ジャンプ能力: なし 装甲板: スタースラブ/9.5 Mk II 武装: ホリーLRM20 2門 デルタダートLRM5 2門 チスコンプ32小口径レーザー 1門 製造元: スターコープス工業 主要工場: クロフトン、ローブルグ、エムリスIV(3014年破壊) 通信システム: O/P 3000 コムセット 照準・追尾システム: オクタゴン・タートラック・システムC
概要
スターコープス社は、強力な火力支援機として、また地球帝国が〈戦争の時代〉の間注意深く守っていたアーチャーへの自由世界同盟による返答として、ロングボウを開発した。同盟はこのメックに満足していた一方で、虚を突かれたのは、スターコープスが多国籍企業であるのを利用して、〈戦争の時代〉の終わりに全大王家にロングボウを供給したことだった(皮肉にも、自由世界同盟は帝国以外でアーチャーを買った最初の王家となった)。継承権戦争の破壊にもかかわらず、ふたつの工場が現在まで生き残っており、三番目は3014年のアントン公爵の反乱で深刻な被害を負った後、ほぼ再建された。パイロットに人気のあるメックではないのだが、ロングボウ本体とスペアパーツが入手しやすかったことから、安定して売れたのだった。
性能
ロングボウはそのサイズに比して良好なスピードを持ち、重強襲機と歩調を合わせることが出来る。50門のLRMを持つロングボウは強力なミサイル支援を行えるが、バックアップの小口径レーザーは事実上役に立たない。ロングボウは大きい方のランチャーによる射撃を続けることが出来るが、全砲門を一度に開けると、放熱器の性能を超えてしまう。もっと深刻なのは、ロングボウの装甲がサイズに比して薄いことであり、メック戦士に接近戦を避けることを強いている。
配備
ロングボウは大規模な軍隊ならどこででも発見することが出来る。3039年現在、自由世界同盟と連邦共和国がロングボウの大半を保有している。だが、スターコープスは補修用パーツを販売し続け、連合、大連邦国、辺境が備蓄分を維持するのを可能としている。
第三次継承権戦争でカペラがキタリーへの逆襲を行い、ロングボウの1個小隊が最前線に立たされることとなった。ロングボウはセンチュリオンとヴィクターに支援を行い、カペラのメックをすぐに撃墜した。恒星連邦が勝つかと思われたと思われたその時、カペラの斥候メック1個小隊がダヴィオンの戦線をすり抜けた。ロングボウは軽武装のスティンガーに対してすら身を守れず、2機だけが撤退に成功した。戦いは一進一退となった……生き残ったロングボウが戻ってくるまで。2機のデルヴィッシュと組んだロングボウはリャオの部隊を惑星から追い出すのを助けたのだった。
派生型
LGB-7Qは、小型のストランド255エンジンを使うことで、OWの問題点の多くを解消している。浮いた分の重量で、5トン分の装甲、9基の放熱器を追加し、小口径レーザーを中口径2門に交換している。これらの性能向上にもかかわらず、OWほどの商業的成功を達成することはなかった。
著名なメック戦士
セドリック・スヴェインソン中尉: 第5〈光の剣〉の隊員であるスヴェインソンは、ソレンソン・セイバーズの火力小隊指揮官としてロングボウに乗っていた。優れたパイロットである一方、彼は小隊に対する砲撃の指示を得意としていた。彼はまたラサルハグ地下抵抗組織を公然と支持しており、3034年の3月、自由ラサルハグ共和国成立直後、部隊を無許可で離脱した。悲劇的にも、誰でも自由にDCMSを離れラサルハグ王家軍に入っても良いとの公式声明が届く一日前に、スヴェインソンはセイバーズの戦友の手で殺されたのだった。
タイプ: ロングボウ 技術ベース: 中心領域 重量: 85トン 戦闘価値: 1377 装備重量 内部中枢: 8.5 エンジン: 340 27 歩行: 4 走行: 6 ジャンプ: 0 放熱器: 13 3 ジャイロ: 4 操縦機器: 3 装甲板: 144 9 内部中枢 装甲 頭部: 3 9 胴中央: 27 21 胴中央(背面): 10 左/右胴: 18 18 左/右胴(背面): 7 左/右腕: 14 9 左/右脚: 18 18 武器・装備 配置 装備欄数 重量 LRM20 右腕 5 10 弾薬(LRM)12 右胴 2 2 LRM20 左腕 5 10 弾薬(LRM)12 左胴 2 2 LRM5 右胴 1 2 LRM5 左胴 1 2 弾薬(LRM)48 胴中央 2 2 小口径レーザー 頭部 1 .5