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作成:2017/09/24
更新:2017/10/08

ターニングポイント: トルトゥーガ Turning Points: Tortuga



 トルトゥーガは中心領域の右下、恒星連邦の辺境にある海賊の世界です。
 聖戦期、ワード・オブ・ブレイクの支援を受け、トルトゥーガの海賊団が恒星連邦の辺境沿いを襲撃しました。内戦で傷を負い聖戦に苦しむ恒星連邦には、援軍を送るだけの余裕がありませんでした。防衛のため、辺境沿いの世界はフィルトヴェルト連合、マラグロッタ・コレクティブとして恒星連邦より独立します。
 3076年、フィルトヴェルト連合は、サンパース傭兵大隊をトルトゥーガに送り込みました。サンパースは強襲級メックを主体にする部隊で、特に指揮中隊は完全に強襲級メックのみで構成されています。






トルトゥーガ・プライム TORTUGA PRIME

 トルトゥーガ・プライムは、海賊が最初にこの宙域に入植して以来、トルトゥーガ・ドミニオンの主星となっている。何十年にもわたって、住人は厳しい地表の環境下で苦労をしてきた。地表の40パーセントは水に覆われてるのだが、人が飲むにはアルカリが強すぎるのである。人々は真水を得るのに広大な地下水に頼っているが、それでもなお大規模な処理が必要とされた。教育を受けていない地元民では運用できない故障した部品や装備を交換するためには、物資が豊富で維持管理されている世界への海賊襲撃が必要だった。この世界で最初の成功した統治者は、ポーラ"レディ・デス"トレヴァリンであった。彼女は厳しく不公平なカースト・システムを制定し、主に各国家から捕らえた奴隷によって維持した。彼女が恒星連邦に捕らえられ、投獄されると、部下たちは内輪もめを始め、複数の統一されてない海賊グループに分かれた。3042年に到着したフチダ機兵連隊がこれを変えた。彼らは1年をかけて刃向かった者たちを掃討し、ようやくトルトゥーガ・プライムに安定を戻したのである。

 フチダ機兵連隊の攻撃は、工業的、インフラ的な目標に的を絞ったものだった。停止した機械の交換部品を盗む代わりに、フチダ機兵連隊は小規模な産業基盤をまとめ上げた。これは海賊団が生産した最初のバトルメック、ブリガンドに結びついた。作っているのは、地元のヴェンジャンス・インコーポレーテッドであった。このいわゆる製造業者は、相当数の機械室とクレーン・ガントリーのある倉庫程度のものでしかないが、惑星のイメージを向上させ、トルトゥーガと似たような小規模な辺境勢力との貿易を開始した。ステータスの飛躍的向上によって、ワード・オブ・ブレイクの注意もまた集めることになった。

 ワード・オブ・ブレイクは、支援を獲得したり、秘密基地を建設するため、人里離れた土地を常に探していた。目的を進めるべく、ブレイク派はトルトゥーガ・プライムにBクラスのHPGを建設した。人類の宙域とつながったことで、海賊の本拠地はついに正統性のようなものを高めたのである。ブレイク派はさらに洗練されたモノレールを建設して歓心を買った……惑星最大の大陸トーメントにある7つの大都市をつなぐものである。それに加えて、ヴェンジャンス・インコーポレーテッドの生産能力と製品をアップグレードする秘密の支援を提供した。

 トルトゥーガ・プライムの隆盛は、レディ・デスが牢獄から舞い戻って、フチダ機兵連隊を撃破した際、完全に終わったかもしれない。幸運にも、彼女は不在の間の状況改善の本質的な価値を認識していた。声高な反対を排除した後、彼女は定期的な貢ぎ物が支払われる限り、この世界に手を出さないでおいた。デス・コンソルトがマラグロッタ地方を征服するため留守にした際は、ウィリアム・デラー司教が惑星の監督を任された。

 デラー司教は比較的何もしなかったが、惑星市民軍をワード・オブ・ブレイク流の編成に再組織した。彼はまたヴェンジャンス・インコーポレーテッドの戦闘車両に多額の資金を投じた。生産は遅々としたものだったが、突然の軍備増強によって、惑星の防衛部隊は少なくとも一桁多くなった。しつこく実弾演習を行ったことによって、無能でやる気のない者たちは排除され、大規模かつよく訓練された軍隊が生まれ、乗り込んでくる間抜けな者たちを驚かせるべく待ち構えたのである。


トルトゥーガ・プライムの海賊による撃退 REPULSED BY THE PIRATES ON TORTUGA PRIME

 ワード・オブ・ブレイクによる聖戦は、あらゆる意味でフィルトヴェルトの運勢を変えた。海賊による襲撃は、歴史上最高の水準にまで増加した。連邦共和国内戦ですでにAFFSが弱体化していた上に、残存戦力は恒星連邦中(特にニューアヴァロン)でブレイク派と戦って身をすり減らすのに忙しかった。境界域の君主たちが、伝統的な仇敵に怒りを向けたことは戦略の全体をよくする助けにはならなかった。

 頼るもののなくなったフィルトヴェルトは、恒星連邦からの独立を宣言し、近隣の世界と共にフィルトヴェルト連合を結成した。この新しい国家が焦点を合わせたのは、跳梁跋扈する海賊の横行から民を守ることであった。これは、海賊たちに私掠免状を発行し、よそに私掠船として送り込むことで一部達成された。この方針は限られた成功しかもたらさなかった。

 マラグロッタはフィルトヴェルトと同じ道を選び、各海賊団に依頼を行うというミスを犯した。マラグロッタ・コレクティブの市民たちには悲しむべきことに、これら海賊団の中にはデス・コンソルトがいたのである。デス・コンソルトは内側から防衛部隊を強襲し、マラグロッタ・コレクティブを支配した。

 フィルトヴェルトは私掠免状の発行を増やし、海賊を手なずけるため、さらに寛大な条件を申し出た。それでもなお、海賊の襲撃は頻度と大胆さを増した。3076年10月、呆然とするような一連の海賊襲撃が同時にフィルトヴェルト連合を叩いた。これらの襲撃は、この新興国の貧弱な産業基盤を標的としたものだった。急成長していたフィルトヴェルト市民軍は完全に面目を失い、貴重な補給を失う一方で、かなりの損害を出した。唯一面目を保ったのは、海賊をいくらか捕まえて尋問したことだった。彼らはトルトゥーガ・プライムから作戦を行っていることが明らかとなったのだ。

 連合評議会はサンパース、軍の中核をなしている傭兵部隊に対し、海賊を本拠地で罰するように命じた……トルトゥーガの軍需産業を排除するのが主な任務であった。サンパースは、復讐に燃える市民軍の支隊を連れてトルトゥーガ・ドミニオンに向かった。

 サンパースの指導者、バック・トリップ少佐は奇襲によって、敵が降下船から注意を外すことを期待していた。トリップと指揮中隊はレイダース・ルーストに降下したが、降下船はこのスプロール化した都市の外周部に居続けた。この計画はすぐに災厄であると明らかになった。

 トリップと強襲メックの中隊がストリキニーネ・スレイヴァーズと交戦していたあいだ、最悪のニュースが降下地点からやってきた。トルトゥーガ人が戦車の大軍で下船中の兵士たちを攻撃していたのである。サンパースと市民軍は大きな損害を出した。トリップと指揮中隊は離脱して、ただちに降下船へと向かい、海賊都市を突っ切るあいだ待ち伏せを切り抜けた。

 トリップが都市の外周にたどり着いたまさにそのとき、もうひとつのひどい報告がやってきた。トルトゥーガの戦車が市民軍の軍事境界線にたどり着くと、海賊は長年にわたって聖戦の戦場を蝕んできた戦術を解き放った。フィルトヴェルトの戦車と歩兵の中央で化学兵器を起爆したのである。損害は恐るべきものだった。生き残ったごくわずかな歩兵はこの事実に嘆き悲しんだ。戦車兵たちはもっとひどかった……整備不十分な車両はハッチを閉めた状態でも毒ガスが入ってきたのである。生き残った戦車兵はほとんどいなかった。

 サンパースのメック戦士はコクピットにいたため被害を免れ、降下船の船員たちはすぐにベイドアを閉めた。これによって、戦いに向かおうとした者たちと、すでに下りていた者たちが分かたれた。

 トリップと彼の指揮中隊はトルトゥーガ人の戦車の大軍を押し通って、降下船にたどり着いた。彼らが戦車に与えたダメージによって戦闘の流れは変わり、海賊たちはレイダーズ・ルーストに退却していった。

 トリップは荷物をまとめて即座に逃げるといううれしくない決断に直面したが、最悪の損害と完全な任務失敗と共に帰還するという選択肢はなかった。彼はヴェンジャンス・インコーポレーテッドを破壊してからフィルトヴェルトに帰還することを望み、残ると決断した。レイダーズ・ルースト上空を飛んだ降下船からのデータを分析したサンパースの指揮幕僚は、工場のありそうな場所を特定した。データが示しているところでは、宇宙港近くにあるヴェンジャンスの敷地は、車両の主要組み立て工場と倉庫であった。

 ヴェンジャンス・インコーポレーテッドを破壊するという試みは、トリップの不幸の連続となった。トルトゥーガ市民軍は致死的なほどに効果的だった。彼らはトリップ軍を待ち伏せし、虐殺した。トリップの最速のメックが目標地点に到着したが、足の遅い戦力とは切り離されてしまった。彼らはトルトゥーガの工業地点に軽微な打撃を与えたが、その一方、レイダーズ・ルーストの曲がりくねった土地に仕掛けられた多くの罠を逃れ得たわずかな者たちは幸運だったのである。

 サンパースは、自家製戦車の無数の砲門の下、トルトゥーガ・プライムから逃げだし、不名誉と共にフィルトヴェルトに帰還した。彼らはまだ傭兵という立場だったが、投獄される可能性があった。そうはならず、トリップは厳しく非難され、戦死者の家族を直々に訪問して、彼の作戦でどのように愛する者たちが犠牲になったのかを説明するように課されたのだった。

 しばらく、トルトゥーガ・プライムは平穏な状態に戻った。デス・コンソルトが潰滅し、マラグロッタは恒星連邦の支配に戻ったが、デラー司教は海賊の本拠地の支配を続けた。状況が変わったのは、聖戦がブレイク派に向かったときのことである。デラー司教は単純にブレイク派として知られていたことから逃げるのを選んだ。デラー司教の向かう先には死と破壊が残されたが、トルトゥーガは司教の比較的啓発的な指導から利益を得続けており、人々は彼の去った真空から新たな統治者が現れるのを待ったのだった。








指揮官 COMMANDERS


バック・トリップ
 階級: 少佐
 生年: 3036年(3076年時点で40歳)

 トリップは傭兵のライフスタイルの中で成長した。彼の父親、アントラー・ディヴィス・トリップは10年以上サンパースの指揮権第三位であり、連邦=共和国のライラ側に仕えていた際にスワン機士団との戦闘で死亡した。バック・トリップは父のオウサムを受け継ぎ、最終的にサンパースのメック戦士となった。彼は父が死んだのは部隊に先進技術がなかったからだと非難し、よって部隊の近代化を自身の目標とした。この目標を実現するため、彼は企業体としてのサンパースについて考え始めた。彼は企業の階層の一番下にいたので、ほとんど努力が実を結ぶことはなかった。本当の変化を起こすには、彼は指揮をする必要があった。

 巧みな策謀によって充分な支持を得るまで数年がかかった。最終的に、彼は当時の指揮官を早期退職に追い込み、自身が取って代わった。トリップが指揮の座について、ビジネスとしてサンパースを運営すると、エダシク・モータースとの契約で、予算の許す限り先進技術をいくらでも購入できるという利益を得た。アップグレードはゆっくりとしたもので、落ちぶれているように見える部隊に腕の立つ技術者を惹きつけるため多額の支出が必要になった。それでも彼は目標に向かい続けた。技術スタッフがサンパースのメックを一機ずつアップグレードするのに成功し始めると、彼の努力はついに実を結んだ。

 カオス境界域で目立たなかった後、サンパースはもっと環境のいい辺境に移動した。アップグレードは停止することになったが、収入はよくなったのである。被害妄想の強いタウラス人は、実現しそうにない恒星連邦の攻撃を座して待つというだけで、サンパースに巨額を支払った。

 だが、国境が騒がしくなると、サンパースは戦闘から身を離して、高額の戦闘ボーナスの支払いを失った。よって、サンパースはタウラス連合を離れてフィルトヴェルトに向かい、ここで彼らの時代遅れだが整備のされた強襲級メックは、気前のいい支払いに加えて敬意を得たのである。各海賊との激しい戦闘によって、サンパースは試練を受けた。特に、戦術と数に優れるデスコンソルトとの戦闘では、数多の敗北を喫しかけたが、民衆の敬愛と感謝によって、フィルトヴェルト連合は故郷のように感じられたのだった。新国家との永久的な仕事がオファーされると、トリップはこれが最高のビジネス的決断であると気がついた。


ウィリアム・デラー
 階級: 司教(ワード・オブ・ブレイク)
 生年: 3032年(3076年時点で44歳)

 デラー司教はトルトゥーガ・プライムの連絡官としては成功しそうにない選択肢であった。連邦=共和国で育ったことで彼には軍事的な価値観が叩き込まれたが、人類全体のバランスを回復させるという彼の熱意は圧倒的なものだった。彼はコムスターに入団し、後にワード・オブ・ブレイクに移った。なぜなら、そうすることによって彼に違いがもたらされると感じたからである。それがどのような違いになるかについては考えが及ばなかった。

 ブレイク派はデラー司教の中に、組織に対する格段の親和性と、望んだ目標を達成するためには不快な手段でも受け入れる能力を見いだした。ヴェンジャンス・インコーポレーテッドがブリガンドをデビューさせると、ワードはこれに注目して、海賊の首都に投資した。真新しいB級HPGがトルトゥーガに設置されると、この世界は初めて他の人類と結ばれたのである。いまや、専門の信頼できる監督者が必要となった。ワードはデラーを選び、トルトゥーガ・プライムの代表とした。デラーは辺境での生活について知らなかったので、兄に息子の世話を任せていった。一人でデラーはトルトゥーガ・プライムに移住した。

 デラーの任務は、トルトゥーガ人と長期的で誠心誠意の関係を築くことだった。彼はレディ・デスとは距離を置こうとしたが、良い印象を与えたようだ。デスコンソルトがマラグロッタに向かうと、デラーはこの世界の指揮をとるようになった。地元民の敬愛を勝ち取るには、彼らの生活様式を守るのが最高のやり方だと知っていた。そうするために、彼は惑星の資源のすべてを防衛に向けた。直接投資と技術専門家によって、工場が出荷する製品の質と量は増大した。最初、彼はトルトゥーガ・プライムが奴隷を使うのを見逃したが、すぐに彼らの窮状を緩和し、各海賊団の奴隷経営を後退させていった。彼は適切な取り扱いと扶養の観点から、奴隷所有者のためのガイドラインを制定した。

 中心領域と辺境に解き放たれた聖戦の絶望的な状況、恐怖はデラーの心胆を寒からしめた。彼が送った通信は、ブレイク派の奮闘とは逆の哲学であることを明らかにした。ある日、監督者のチームが予告もなく到着し、デラーをその近くで隠すこともなく監視し始めた。彼に出来たのは、この世界を守ろうとすることだけだったが、脱出を計画し始めた。彼は監視する厳めしい顔のサイボーグたちが気づかないことを望んだ。








戦闘員 COMBATANT


トルトゥーガ・ファランクス[海賊]
指揮官: ポレマルコス・ナクサマンダー・アナバシス
平均経験: 古参兵
注記: ファランクスは3071年、ラックランドに完璧な襲撃を仕掛けるまで知られていなかった。これは試運転のような任務だったらしく、下位の各部隊は降下地点で分散し、それぞれ首都の別々の目標を攻撃して、市民軍が動き出しすらする前に降下船に戻って出発した。ファランクスは各種の好ましくない人物(連邦共和国内戦の戦争犯罪法廷から逃げ出した者たちなど)で構成されていると信じられている。ナクサマンダー・アナバシスはどの中心領域軍にいたのか不明であり、偽名であると思われる。彼は古代史を好むと見え、自身と部隊に古代の階級を使っている。彼は3個モラ(名目上中隊と同等)を監督している。ホプライト・モラ、サリッサ・モラ、ペルタスト・モラである。ホプライトは何でも屋であり、サリッサは長距離の専門家、ペルタストは高速の突撃兵となっている。各モラは3個ロコスからなる。各ロコスはバトルメック5機の部隊であるが、氏族とのつながりはなさそうだ。


ストリキニーネ・スレイバーズ[海賊]
指揮官: コマンダー・ナサニエル・ゴードン
平均経験: 古参兵
注記: ナサニエル・ゴードンは3066年、タウラス連合で奴隷商人として有罪の判決を受けた。当局は、マスコミに叩かれるのを避けるため、彼がマクロードランドから逃げ出したことを隠した。惑星を脱した彼は、トルトゥーガに向かい、古い戦友たちに再会した。何人かを殺した後、彼はスレイバーズを再建し、待ちかねる奴隷主たちのために大勢の奴隷を届けた。レディ・デスがトルトゥーガ・プライムを奪還すると、ゴードンの株は上昇した……レディ・デスはヴェンジャンス・インコーポレーテッドで働かせるために奴隷を求めていたからだ。金が入ったことで、スレイバーズは人命を尊重しない犯罪者で戦力強化し、残酷な1個大隊に拡大した。聖戦における活況の中で、恒星連邦と辺境の餌食を簡単に手に入れられるようになっただけでなく、デスコンソルトが出発したことでトルトゥーガ内での自由を得たのだった。


トルトゥーガ市民軍 [海賊]
指揮官: ウィリアム・デラー司教
平均経験: 古参兵
注記: トルトゥーガ市民軍は、デラー司教がトルトゥーガ・プライムの手綱を取るまでは、ほとんど存在しないも同然であった。トルトゥーガ・プライムにいた大勢の不名誉な戦士たちは、多数の戦車(ヴェンジャンス・インコーポレーテッドの搾取工場で奴隷たちが日夜ぶっ通しで生産しているもの)のいい戦車兵となった。絶え間ない訓練によって、部隊は砲術、操縦の腕を上げたのみならず、組織の面でも良化が見られた。市民軍はワード・オブ・ブレイクの組織を使っているが、諸兵科連合の統合はしていない。デラー司教は2個レベルIVにまで戦力を拡大した。各レベルIIIは独立部隊として活動し、各種の重要な箇所を任された。1個レベルIVはレイダーズルーストを守り、その一方で他のレベルIIIはトルトゥーガ・プライムの主要都市6箇所を守る。


サンパース強襲大隊 [フィルトヴェルト連合]
指揮官: バック・トリップ少佐
平均経験: 古参兵
注記: ヘレン・トレンピーロー侯爵がきわめて有利な条件でサンパースをフィルトヴェルト軍の恒久的な一員にするという申し出をしたにもかかわらず、サンパースは(傭兵として)フィルトヴェルト連合との契約を延長した。トリップ少佐は中隊、小隊の指揮官たちに相談した後で、この選択肢について熟慮した。3076年、海賊たちがフィルトヴェルトとブロークンホイールに大胆かつ狼狽するような襲撃を仕掛けた後、トルトゥーガ・プライムへの侵攻が命じられた。


第1フィルトヴェルト市民軍 [フィルトヴェルト連合]
指揮官: エーリヒ・ルボー大佐
平均経験: 一般兵
注記: 第1市民軍はかつてフィルトヴェルト養成校訓練大隊であった。ルボー大佐はすぐにも最高司令官に昇進することを予期している。そうなると、彼はフィルトヴェルト軍の全体を指揮することになる。彼は兵士たちが戦えるように訓練することに自信を持っているが、新しい国家の軍隊の指揮をするということについて、それほど確信を持てないでいる。第1市民軍には献身的な兵士たちがいるが、新しく結成された第2、第3市民軍に中隊の指揮官たちを取られ、聖戦初期の海賊たちとの戦闘で得た経験を希釈化されてしまっている。現在、第1市民軍は1個大隊の戦力である。








ホイールを割る BREAKING THE WHEEL


状況
クイックセル工場
コネストガ、ブロークンホイール
フィルトヴェルト連合
3076年10月1日


 トルトゥーガ・プライムの海賊は、ブロークンホイールのクイックセル工場に白昼堂々の大胆な襲撃を仕掛けると決めた。あるいは、恒星連邦からの分離の前でさえも、フィルトヴェルト市民軍の状況が悪かったことを考えると、それほど大胆ではなかったかもしれない。それでもなお、地元民たちは出来る限りのことになる。予備兵たちはいつもの仕事から復帰し、持ち場に駆けつけた。残念ながら、彼らは全員が割り当てられた各種の政府・インフラ施設に向かい、企業の警備隊は惑星市民軍が来るまで耐えなければならなかったのだ。


結末
 海賊たちは惑星市民軍と企業警備隊に屈辱を与えた。運べるだけの略奪品と共に脱したのみならず、完成した車両の数台を徴発し降下船にまで走って行ったのである。海賊のトラックもまた荷台を満載にして走り去ったが、数両は市民軍が倒れる前に破壊された。工場自体には手を出さなかった唯一の理由は、再び襲撃を仕掛けられるからである。これはこの数ヶ月のフィルトヴェルト連合に対するやっかいな海賊の襲撃で最新のものだった。そして、最悪のものはまだ来ていなかった…








足を踏みならす STOMP THE FOOT…


状況
ドルウィニオン、カル=ボーイング工場
オラフバーグ、フィルトヴェルト
フィルトヴェルト連合
3076年10月2日


 デスコンソルトがマラグロッタを占領したことから、フィルトヴェルト連合はますます海賊のターゲットにされることとなった。海賊はより厚かましくなり、惑星フィルトヴェルトへの襲撃に着手した。二方面の攻撃で、海賊はオラフバーグのカル=ボーイング工場と、ソージャンの連合工廠工場の防衛砲塔に勇ましく立ち向かった。両工場を守るため、死に物狂いの防衛部隊は戦力を分けた。市民軍は貴重な工場と補給物資を救うためのみならず、海賊に大打撃を加えるために走った。


結末
 海賊は防衛部隊より先に工場にたどり着いた。彼らは砲塔をすべて片付け、倉庫の半分を奪い取った時点で市民軍が到着した。スピードのある海賊のメックは単純に市民軍のメックを置き去りにしていった。防衛部隊にとってわずかな慰めは、海賊が工場を攻撃しなかったことであった。








ねぐらの中の襲撃者 RAIDERS IN THE ROOST


状況
メイソンズ・ボロー
レイダース・ルースト、トルトゥーガ・プライム
トルトゥーガ・ドミニオン、辺境
3076年12月5日


 バック・トリップ少佐は海賊の首都についてすぐ重い打撃を与えることを望んだ。彼は4隻の降下船に、レイダーズ・ルーストの上空を通過して降下地点に行くよう命じた。上空に達すると、指揮中隊は戦闘降下を実施した。それが幸運だったのか否かは、未来の歴史家が決めることであるが、彼らが降り立った場所はストリキニーネ・スレイバーズの基地と奴隷小屋の近くだったのである。海賊が全戦力を結集する前に、サンパースは攻撃した。最初はすべてが上手く行っているように見えた……


結末
 サンパースは上手くやっていた。まずはスレイバーズの要塞風本部から感謝する虜囚のグループを解放するのに成功した。それから、スレイバーズが現れた。サンパースはただ持ちこたえただけではなかった……スレイバーズの1個メック小隊を一度に殲滅して見せたのである。次に降下船からの救援要請を受け取った。トルトゥーガ人は降下地点を信じられないような数で攻撃し、降下船は敗北の危機に瀕していた。サンパースは躊躇なく戦線離脱し、隊形を保ったまま後退して、降下地点に向かった。時間が重要だったが、強襲メックはそれほど早く移動できなかった。そして、トルトゥーガ人は邪魔することなく都市を通してくれそうになかった……








降下地点の虐殺 THE LZ MASSACRE


状況
レイダース・ルースト外周部
トルトゥーガ・プライム
トルトゥーガ・ドミニオン、辺境
3076年12月5日


 フィルトヴェルトの降下船は、都市の外に上陸し、兵士を展開し始めた。市民軍は素早く移動し、この地域を確保した。歩兵は防衛境界線を構築し、戦車は歩兵小隊群の間に身を置いた。メックがベイから出ていたそのときに、トルトゥーガ人の逆襲が到着した。恐ろしい数で。


結末
 ポレマルコス・アナバシスは、卑怯にも化学兵器を使うと知ってぞっとした。デラー司教もまた恐怖した(この時点では、監督者たちが監視以外のことで忙しいと知っただけだった)というのに、アナバシスは都市内で暴走し始めた。彼はほかの都市に移住するために仲間を率いてレイダーズ・ルーストから出た。そのあいだ、デラー司教はトルトゥーガ市民軍に対し、例えサンパースがトルトゥーガ・プライムに進んでこようとも、攻撃を中断するよう命令した。

 怒り狂ったサンパースは復讐を望んだが、無益であることに気がついた。まだ数の面で大幅に劣勢であり、トルトゥーガ人は都市に退却していった。都市内でサンパースを撃破するために待ち伏せしているのは確実である。トリップはプライドを飲み込んで、降下船に離陸命令を下した。化学兵器から離れた新しい基地に移動するのである。それからテックたちは最速のペースで出来うる限りの修理を行った。サンパースはまだ一つの目的を達成しようとしていた。








復讐の追求 PURSUIT OF VENGEANCE


状況
ロビンフッド・レーン、ブラックベアード・パークウェイ
レイダース・ルースト、トルトゥーガ・プライム
トルトゥーガ・ドミニオン、辺境
3076年12月7日


 新たな降下地点を確保すると、サンパースは主目標を達成するために動いた……ヴェンジャンス・インコーポレーテッドの生産能力を破壊するのである。だが、まず最初に工場の場所を探さねばならなかった。上空を通過した時の情報と、指揮中隊が都市から脱出した際のセンサーデータによって、目標がありそうな場所がいくつか示された。サンパースは偵察を放った。近い場所から特定され、除外されていった。そうして、ロビンフッド・レーンとブラックベアード・パークウェイの交差点にある大きな建物が残された。狭い都市を銃弾が舐める中、偵察隊はこの地域を偵察するために到着したが、ECMに妨害されて遠くからスキャンすることは出来なかった。それから、彼らは驚くことになった……戦車が周囲の建物から出てきて、砲撃を開始したのだ。


結末
 偵察隊は待ち伏せされ、血の池の中でほとんど全滅しかけた。保管されていた弾薬が突如爆発したことで、サンパースは脱出が可能になった……衝撃波によってトルトゥーガ市民軍の戦車兵たちが昏倒し、メックのうち一部が罠を逃れ得たのである。鹵獲した海賊のECMジャマーを自分たちのために使うことで、この脱出は助けられた。だが、脱出の混乱によって、偵察メックはレイダーズ・ルーストの迷路の中で迷子になった。友軍に合流する前に、大半が捕まり、一人ずつ殺された。小グループがどうにか合流を成し遂げ、それからヴェンジャンス社が秘密にしそうな非常に興味深い場所に出くわした…








復讐の発見 DISCOVERING VENGEANCE


状況
トレヴァリン・ストリート、レイダーズアレイ
レイダース・ルースト、トルトゥーガ・プライム
トルトゥーガ・ドミニオン、辺境
3076年12月7日


 サンパースの1個小隊は、悲惨に終わったヴェンジャンス・インコーポレーテッドの捜索・破壊任務の後、撤退する味方から切り離された。降下船に戻る安全な道を探していた際、彼らは倉庫群に出くわした。一部の倉庫の中には、ユニークな仕様のブリガンド・バトルメックがあり、素早く攻撃を仕掛けてきた。通常、軽メック4機からなる1個小隊は、サンパースの1個小隊には立ち向かおうとしない。だが、密集した都市内において、サンパースは機動で劣ったのである。そして、追撃する戦車が背中から迫っていた……


結末
 ブリガンドの知られざる派生型による奇襲と、追撃する戦車の組み合わせによって、サンパースは万力に挟まれてしまった。だが、優れた装甲と兵器を使って、彼らはその場を踏みしめ、この攻撃を跳ね返した。敵メックが逃走に移ると、サンパースは立ち止まって倉庫に火を放ち、設計技術データの記録が破壊された。こうして、サンパースはバトルROMのデータによる不完全な設計仕様を報告せざるを得なくなったのである。だが、彼らは未知の能力を持ったメックとの将来の交戦に備えたのである。








絶望的な反抗 DESPERATE DISOBEDIENCE


状況
トレヴァリン宮殿
レイダース・ルースト、トルトゥーガ・プライム
トルトゥーガ・ドミニオン、辺境
3076年12月7日


 トリップの命令は明白だった。ヴェンジャンス・インコーポレーテッドを狙うのだ。復讐するのに無駄な時間は残されていなかった。だが、第3中隊の進路は、デラー司教の住居に近すぎた。確かに、大量の戦車がこの地域を守っていたが、誰かが声明を出さねばならなかったのである。


結末
 敵のバトルメックがやってくるとすぐに、デラー司教は宮殿から脱出した。サンパースは宮殿には来ず、近隣を荒らし回り、数十の建物のがれきという大きな傷痕を残していった。それを恥辱に感じたのか、デラー司教はこのような大規模な破壊に対し応じずにはいらなかった。彼は全市民軍に、サンパースを都市とトルトゥーガ・プライムから追い出すように命じた。








トルトゥーガ・プライムでの衰勢再び WASTING AWAY AGAIN ON TORTUGA PRIME


状況
レイダース・ルースト外周部
レイダース・ルースト、トルトゥーガ・プライム
トルトゥーガ・ドミニオン、辺境
3076年12月7日


 第3中隊はデラー司教の宮殿と周辺を攻撃した時に、蜂の巣をつついてしまった。司教はまさに戦車の海をサンパースに送り込んだ。いずれにしても、海賊の首都におけるサンパースの時間は終わったのである。


結末
 バック・トリップ少佐は小さくなっていくトルトゥーガ・プライムを見つめていた。もう二度とこの地獄は見たくなかった。彼は戦力の半分を失った――第1フィルトヴェルトを含めるともっとだ。彼はそれについて考えまいとした。代わりに彼はこの敗北から戦訓を得ようとした。だが、敗北の味は、あらゆる自己分析を妨げたのだった。




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