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作成:2017/08/27
更新:2017/09/10

ターニングポイント: アークトゥルス Turning Points: Arcturus



 チャンドラセカール・クリタ。通称、アンクル・チャンディ。
 クリタ一族の変わり者である彼は、ドラコ連合で屈指の企業家にして、情報収集の達人であり、傭兵を活用することで知られています。
 聖戦において、ワード・オブ・ブレイク教団の謎を暴こうとした彼は、いわくある傭兵部隊を集めて、ライラのアークトゥルスに作戦拠点を作りました。
 これを知ったブレイク派は、エリート中のエリートであるベリス司教とオパクス・ヴェナトーリを送り込みます。






アークトゥルス ARCTURUS

 かつて、ライラ共和国の首都だったアークトゥルスは、現在では、半分放棄された都市と、偉大な過去を賞賛するモニュメントが点在し、退屈な農業生活に従事する陰気な人々のいる、活気のない惑星である。きょう、アークトゥルスにおいていまだ採掘・精練されている数少ない資源は、アテニア大陸北部の工業中心地マルチーマで生産に使われている。他の4つの大陸、ボレアス、チャドリック、ダスティーナ、ペンロッドは人口まばらだが、惑星の温暖な地域に位置している。だからアークトゥルスは自然と初期の共和国の首都になったのである。

 アークトゥルスはワード・オブ・ブレイクの聖戦による初期に、第二のチャンスを与えられた。伝説的なガブリエル遺跡を捜索するチャンドラセカール・クリタの活動拠点に理想的として選ばれたのである。共和国の内部に位置し、活用されてない施設が豊富にあることは、拡大する傭兵合同軍とエンジェルレクイエム作戦を支援するのに極めて有効だった。クリタ卿の合同軍が到着したことで、アークトゥルスの経済は待ち望んでいた刺激を受けた。ハチマン・タロー・エレクトロニクス社からの投資を受けて、かつて伝説的だったアークトゥルス・アームズのマルチーマ工場は、小規模な修理センターから完全な生産施設へと変貌を遂げた。

 残念ながら、チャンドラセカール・クリタの行動は、ワード・オブ・ブレイクの注意を引きつけ、面倒なクリタを始末するため軍隊が派遣された。3073年5月、ワード・オブ・ブレイクの攻撃を受けたアークトゥルスの人々は幸運だった……侵略者にほとんど無視されたのである。


隠されし世界を守れ PROTECTING THE HIDDEN

 聖戦が始まった時期に、チャンドラセカール・クリタは、隠されしファイブ(Hidden Five)の名前で知られるワード・オブ・ブレイクの秘密拠点について聞き及び、他に何を置いても優先される目標を設定した……隠されしファイブの場所を特定するのだ。ファイブを追いかける上で、「アンクル・チャンディ」はありとあらゆる手がかりを調査し、コムスターの元ROM司教ヴィクトリア・パードゥをリストのトップに置いた。

 パードゥ……聖戦が勃発してから逃げ続けている裏切り者のROMは、コムスターとワード・オブ・ブレイクの一番深い秘密のいくつかに関与していた。チャンドラセカール・クリタは、パードゥこそがファイブの秘密を解く鍵だと確信した。彼はパードゥ(3068年にコムスターを出奔し逃亡中)を探し出して捕まえるために悪名高いバウンティハンターを雇い入れた。

 パードゥはおびえており、追跡するのは容易でなかったが、バウンティハンターはこの挑戦を受けた。バウンティハンターにとっては不運にも、パードゥを探しているのは彼だけでなかった。秘密を守るために、ワード・オブ・ブレイクは最も信頼できる工作員――ベリス司教、マネイドミニのエリートオパクス・ヴェナトーリ指揮官――を派遣し、パードゥのもたらす危機を終わらせようとしたのである。どちらが先にパードゥを見つけ出すのか、危険な鬼ごっこが両陣営の間で続いた。

 3072年3月、パードゥは惑星ダルトンに姿を現し、ベリスとバウンティハンターの両方が激しく後を追った。最初に追いついたのはバウンティハンターの方で、パードゥに価値ある情報の開示を強要した……秘密の日記の場所である。ベリスより前にかろうじてこの日記を探し出すのに成功したバウンティハンターは、すんでのところでブレイクの手を逃れ、日記と共に惑星を脱した。なにも手にすることのなかったベリスは、単なる「生身」に敗北して、屈辱を受けると同時に青ざめた。それは、ベリスにとって屈辱的だった一方で、パードゥと日記の奪還に失敗したことに比べるとどうでもいいだった。バウンティハンターは危険な新しい敵を得たのである。

 分厚いパードゥの日記はチャンドラセカール・クリタの手にあり、彼が秘密を解き明かしてしまう可能性は大きかった。よってベリスはすぐに新しい戦略……日記を処分し、屈辱を与えた者たちに復讐を果たすであろうものを実行した。注意深く動いた彼は、アンクル・チャンディの組織内に入り込んだディープカバー・スリーパーエージェントの一団を起こした。ベリスはクリタの居場所、戦力、防衛に関する詳細な情報を集めた。チャンドラセカール・クリタが雇用している中で、最も危険な傭兵部隊の一つは、ペリフェリー・スターガードであった。かつてコムスター探査局の一員であったペリフェリー・スターガードは、最近になってチャンドラセカール・クリタの合同軍に加わっており、インターステラー・エクスペディションのミネソタ・トライブ研究に関わったことでよく知られていた。ベリスは問題を一度に片付けるチャンスとみた。3073年5月、攻撃部隊を組織した彼は、油断しているチャンドラセカール・クリタの傭兵合同軍に向かった。

 5月11日、ワード・オブ・ブレイクのタスクフォースはアークトゥルスに到着した。危険なマネイドミニの第40シャドウ師団、サリエル・コンクアラーズを中心に作られたタスクフォースは、バー・ブラックコブラと第2師団の諸レベルIIIの支援を受けていた。第40シャドウ師団に混ざったベリスとオパクス・ヴェナトーリの小規模な中核人員もまたブレイク軍に同行した。

 アークトゥルスのパイレーツポイントにジャンプしたワードは、防衛側に反応の時間をほとんど与えず、ぶ厚いエアカバーの下で惑星に向かって突き進んだ。血なまぐさい衝突の中で、マクファーデン・スカイレイダースとペリフェリー・スターガードの戦闘機が、ワードとブラックコブラの戦闘機を相当数撃墜し、その一方でデビル旅団の旧式ヴァルチャー級降下船サムハインが、ワード第2師団のユニオン級ピラー・オブ・ピーティを破壊した。抵抗の激しさにもかかわらず、ワードは防衛戦を突破し、惑星降下した。

 アークトゥルスの大気圏を降りていく第2師団の輸送船は、数個レベルIIを突撃降下させ、それから合同軍の火砲基地、補給庫の外に降り立った。第2師団は傭兵内部の情報提供者が指定した場所に正確に降り立ち、ケイオス・イレギュラーズが守る重要な補給庫の破壊に着手した。この元コムスターの傭兵部隊は狂信的な防衛の先頭に立って、ワードをその場に押しとどめ、その過程で重い損害を与えた。

 空で気圏戦闘機のドッグファイトが続く中、地上部隊のデビル旅団、クレセントホーク、スターシード、ペリフェリー・スターガードは来たるべき強襲に備えて緊急出動した。第40シャドウ師団とブラックコブラは、アルラミー(マルチーマ近くの丘にある小都市)の合同軍主力基地に近い別の場所に上陸し、定められた目標にまっすぐ突き進んだ。目標のうち最初のものはスターガードの野営地だった。ここでブレイク派はスターガードを殲滅するのに死力を尽くし、自殺攻撃さえ実施した。攻撃に直面したスターガードは輸送船に後退した。この瞬間、傭兵の中にいたブレイク派の工作員が姿を現した。隠した爆発物を使った裏切り者は、降下船に設置した爆弾を起爆させて、スターガードの全海軍支援を破壊した。これを行ったスターシードの裏切り者は即座に処刑されたが、取り返しは付かなかった。スターガードは戦闘で痛めつけられ、クレセントホークの懸命の努力によってスターガードの生き残った隊員2名だけが救出されたが、その過程でクレセントホークは気圏戦闘機を失っていた。第40シャドウ師団のクリーピング・デスIIIゼータは与えた損害に満足して撤退した。

 他の場所では、サリエルのベネヴォレント・スレイヤーズIIIシータとバーブラックコブラのファング大隊が、アルラミーの南にある合同軍二番目の空港に進んだ。合同軍の気圏戦闘機のために空港を確保せねばならなかったデビル旅団とスターシードの歩兵は正面から攻撃部隊にぶつかり、都市の外の丘で激しく交戦した。じりじりと押し戻されるデビル旅団は、戦うことなく1cmたりとも譲り渡すことはなかった。そのあいだ、マクファーデン・スカイライダースは空中と地上の目標に何ソーティも飛行し続けた。傭兵たちの全力をもってようやく、ブレイク派の前進は止まった。日暮れまでに悪天候が戦闘に大きな影響を及ぼしたが、傭兵たちはその場を保ち続けた。朝までにワードは前進を止めた。

 天候が悪くなると、ブレイク派は1日かけて安全に輸送船をすべて下ろした。そのあいだ、双方の地上部隊は互いに弱点を調査した。天気が一時的に良くなって、作戦基地が確保されると、ベリスは第40シャドウ師団に第2師団と交代するように命じ、ボロボロになった第2師団にはワードの輸送船を守るように課した。ブラックコブラ・ストライク中隊間接砲の支援を受けたマネイドミニは、5月14日の夜明け、ケイオス・イレギュラーズの陣地に挑戦した。クリタ合同軍から切り離されていたにもかかわらず、チョーラ大佐は戦闘が小康状態になったのを利用して鮮やかに防衛を強化する一方、シモンソン大佐は包囲を突破する計画を練った。深く潜ったイレギュラーズはブレイク派の攻撃に正面からぶつかったが、マクファーデン・スカイライダースとスターシードのバトルアーマーのタイムリーな支援のおかげで、ワードの二度目の前進を跳ね返すことができた。だが、彼らの陣地はすぐに不安定となった。

 5月15日、別の低気圧がやってきた。激しい雪と風がこの地域を覆うと、ベリスはチャンドラセカール・クリタの傭兵たちに打撃を与えたことに満足し、任務を完了すべき時が来たと判断した。彼はサリエル司教に全面強襲の実施を命じる一方、自身のオパクス・ヴェナトーリを素早く戦線の後方に滑り込ませた。デビル旅団、クレセントホーク、スターシードが命を賭けて戦う中で、ベリスと彼のチームは密かにチャンドラセカール・クリタの宿舎へと進み、クリタと、バウンティハンターと、パードゥの日記を始末しようとした。ベリスはバウンティハンターが立ちはだかるのを予想していなかった。注意深く行動していたにもかかわらず、ベリスがアークトゥルスにいると気づいていたチャンドラセカール・クリタは、安全なところに逃げ去っていた。

 バウンティハンターが、日記の奪還とチャンドラセカール・クリタの殺害に失敗したことを侮辱すると、ベリスは珍しいことに怒りで冷静さを失った。彼はバウンティハンターに襲いかかり、いつものようにまたも、バウンティハンターは生きたまま脱したのだった。

 チャンドラセカール・クリタと日記が消え去り、バウンティハンターが生きているという状況において、ベリスは何も得られなかったことを不承不承受け入れた。彼は退却を命じ、現れたときと同じく唐突に、ブレイク派は出発して、後には生き残りうろたえる傭兵が残された。アークトゥルスの戦いは終わったが、ワードの隠されしファイブのひとつは暴かれた。

 この発見は、聖戦とワード・オブ・ブレイクの終わりの始まりとなった。








戦闘員 COMBATANT


ケイオス・イレギュラーズ [傭兵]
指揮官: エアリアル・ペレグリン=シムソン大佐、オバダイア"ジェイク"チョーラ大佐
平均経験: 古参兵
注記: 海賊行為やワード・オブ・ブレイクとの共謀に関する噂が根強くあるにもかかわらず、チャンドラセカール・クリタはイレギュラーズを信頼しており、それはワードの侵略の際に報われた。火砲基地オノと貴重な補給物資を粘り強く守ったことで、エンジェル・レクイエム作戦の未来は救われたのである。


クレセントホーク [傭兵]
指揮官: ジェレミア・ヤングブラッド大尉
平均経験: 古参兵
注記: ジェイソン・ヤングブラッド率いるクレセントホークは、氏族が到来する以前に有名な傭兵中隊であった。現在、ジェイソンの息子、ジェレミア率いる新クレセントホークは、ワード・オブ・ブレイクとの戦闘で新たな伝説を打ち立てている。エリートのメック中隊であるホークは、ブレイクの攻撃の際に一度ならず仲間の傭兵たちを救援している。


デビル旅団 [傭兵]
指揮官: アレックス・ケラー少佐
平均経験: 古参兵
注記: 考古学とロステック探索の経験を持つ傭兵部隊、デビル旅団は雇用主のチャンドラセカール・クリタのおかげで、繰り返しワード・オブ・ブレイクに問題を与えている。3073年のアークトゥルス侵略で、ブレイク派はようやく傭兵に報復するチャンスを得たのだった。


マクファーデン・スカイライダース [傭兵]
指揮官: シーマス・マクファーデン海軍中佐
平均経験: 古参兵
注記: 比較的新しい傭兵団、スカイライダーズはアークトゥルス防衛において重要な役割を果たし、ワードの侵略に勇敢に挑戦して、チャンドラセカール・クリタ傭兵合同軍の貴重なメンバーとなった。


ペリフェリー・スターガード [傭兵]
指揮官: ジャニス・アナポリス大佐
平均経験: 一般兵
注記: かつてコムスター探査局との結びつきがあったPSGは、ミネソタトライブの航跡がある発掘の際にはその姿がよく見られた。何度も謎めいたグリーンゴーストに狙われたペリフェリー・スターガードは、どういうわけかワードのマネイドミニの怒りを買っている。


スターシード [傭兵]
指揮官: マルセル・ウェブ大尉
平均経験: エリート
注記: 謎に包まれた傭兵団、歩兵部隊のみのスターシードは、才能あふれる特殊部隊の隊員たちである。海兵切り込みと無重力作戦に精通しているシードは、非通常戦術にも同じくらい優れている。シードが元ライト・オブ・マンカインドやフューリーの兵士たちであるとの噂は根強い。疑いの目で見られるアークトゥルスの裏切りは、部隊を芯から揺さぶった。


第40シャドウ師団 [ワード・オブ・ブレイク]
指揮官: サリエル司教
平均経験: エリート
注記: 中心領域に最初に姿を現したシャドウ師団、第40はヘスペラスIIの防衛を痛めつけ、最終的に征服したのに加え、アークトゥルスのチャンドラセカール・クリタ傭兵合同軍をひどい目に遭わせた。強襲の先陣に立ったサリエル・コンクアラーズは、油断していた傭兵部隊に途方もない損害を与えたのだった。


第2師団 [ワード・オブ・ブレイク]
指揮官: ブライアン・ロアーズ司教II
平均経験:
注記: ワード・オブ・ブレイクで最も活動的で経験ある師団の一つ、第2師団は3070年にドネガルを占領し、それから3072年の破滅的なアークロイヤル強襲に参加し、3073年アークトゥルスにやってきた。ケイオス・イレギュラーズの手で重い損害を被った第2師団は、それにもかかわらず、傭兵たちが第40シャドウ師団の最初の攻撃に関与するのを防いだのだった。


バー・ブラックコブラ [傭兵(ワード・オブ・ブレイク)]
指揮官: ダナ・バー大佐
平均経験: 古参兵
注記: 3068年、ディーロンでダナ・バーの父を失い打撃を受けたコブラは、ワード・オブ・ブレイクの手厚い保護の下で再び回復した。新しい人員と機材で損害を補充したブラックコブラは、バー大佐が指揮下の兵士たちに傾倒するのと同じくらい、ワードに傾倒している。


オパクス・ヴェナトーリ [ワード・オブ・ブレイク]
指揮官: ベリス司教
平均経験: エリート
注記: 名目上、第52シャドウ師団の一員であるオパクス・ヴェナトーリは、ワード・オブ・ブレイクのライト・オブ・マンカインドとマネイドミニからなる独立部隊である。この秘密作戦部隊は、カオス境界域におけるウルフネット情報網の破壊、ディーロンでのホヒロ・クリタ捕縛、デネブカイトスでのデネブ軽機兵隊殲滅、ギブソンにおけるニューギブソン自由同盟セルの血塗られた粛正など、ワードの成功に何度も関与してきた。
 オパクス・ヴェナトーリの正確な組織は不明だが、広く受け入れられているところでは、少なくとも2個レベルIIの戦力となり、ワード・オブ・ブレイクで最先端の装備を使うとされている。








炎と氷 FIRE AND ICE


状況
火砲基地オノ、アテニア
アークトゥルス、ライラ同盟
3073年5月11日


 ワード・オブ・ブレイクによる最初の地上攻撃は、アルラミ市外の丘にある合同軍火砲基地に対するものだった。ここで、チャンドラセカール・クリタの傭兵たちは、エンジェル・レクイエムに備えて、大規模な補給庫を建設していた。重要な目標としたベリスは、第2師団に補給物資と防衛部隊を破壊するように命じた。戦場に危険な突撃降下を見舞った第2師団は、カオス・イレギュラーズの防衛のまさしく中心に突っ込んでいった。


結末
 5月12日の黄昏、カオス・イレギュラーズは完全に包囲され、友軍の傭兵たちとの連絡が絶たれた。第2師団は、カオス・イレギュラーズに大打撃を与えたにもかかわらず、傭兵の防衛を突破できず、重い損害を被って退却した。「生身」の戦いぶりに感銘を受けなかったベリス司教は、傷を負った第2師団に降下船へと戻るよう命じた。第40シャドウ師団の分遣隊と交代させ、次の攻撃をより信頼のできる手に任せたのである。








死の宣告 SENTENCED TO DEATH


状況
火砲基地オノ、アテニア
アークトゥルス、ライラ同盟
3073年5月11日


 マルセル・ウェブは目をそらし、遠くを見つめた。すでに雪が降り始めており、ペリフェリー・スターガードの上空に立ちこめる黒く厚い煙はようやく消え始めていた。煙に目の焦点をあわせると、激しい砲撃の音が近づきつつあるように思えた。彼は「友人たち」について考えた。ジェリとエディー。手に付いた彼らの血。裏切り者、破壊工作員――それを考えるとウェブは吐き気を催した。やらねばならなかった――それは確実だ――だが、ウェブの魂はどれだけ犠牲になったのだろう?


状況
降下港、アルラミ
アークトゥルス、ライラ同盟
3073年5月11日


 降下地点から激しく押し進んだマネイドミニのクリーピングデスIIIゼータは狂乱状態に陥り、ペリフェリー・スターガードを殲滅するため、向こう見ずに身を投げ出した。降下船の周囲に結集したスターガードは裏切りによって打撃を受けた。


結末
 ワードのペリフェリー・スターガードに対する強襲は極めて破壊的なものだった。自殺的な攻撃とPSGを意図的に狙ったことで、隊員のほとんどが犠牲となった。だが、それすら最悪ではなかった。スターシーズに潜り込んでいたROMの破壊工作員がPSGの降下船を爆破したのである。戦死者の中にはPSGの海洋支援群全体が含まれており、クレセントホークスが折良く到着したことで完全な全滅は妨げられた。この裏切りを個人的な失敗と考えたマルセル・ウェブ大尉は、自分の手で裏切り者を処刑した。








折れた翼 BROKEN WING


状況
アルラミー、アテニア
アークトゥルス、ライラ同盟
3073年5月15日


 陽動を必要としていたベリスは、サリエルとサリエル・コンクアラーズを差し向けて、傭兵を攻撃させた。すでに崖っぷちにいたクリタの合同軍は、殲滅の瀬戸際にあった。


結末
 サリエル・コンクアラーズの攻撃は陽動のはずだったが、戦士たちは鬼神のごとく戦った。切り込まれたジェレミア・ヤングブラッドと部下たちはまさに命を賭けて戦い、ワード兵が予期せず退却したことで完全な崩壊を免れたのだった。それでもこの小さな部隊にとって損害は重いものだった。クレセントホークの1/4が地に伏し、ヤングブラッド自身はブレイク派のヴァンキッシャーとやり合って、片腕を失った。ワードに突破されることを恐れたチャンドラセカール・クリタは、パードゥの日記と共にアークトゥルスを脱する準備を行った。








ゲストを歓迎してやってください PLEASE WELCOME OUR GUEST

 ベリスのアークエンジェルの中でスピーカーが音を立てたのは、ターゲティングコンピュータが最初に反応してから1秒後のことだった。聞き慣れた不気味な声が静かなコクピットを含み笑いで満たす。
「おやおやおや、ミスター・トースター。また出会ったようだな……」


状況
アルラミー、アテニア
アークトゥルス、ライラ同盟
3073年5月15日


 サリエルと悪天候を利用して、傭兵の戦線に侵入したベリスとオパクス・ヴェナトーリは、アルラミーの中心にあるアンクル・チャンディの宿舎に向かった。雪に覆われ放棄された通りをゆっくり進むベリスは、獲物が待ち構えているのを見て驚いた。チームが任務を達成できると信頼していたベリスは、殺しのために動いた……バウンティハンターを永遠に葬り去るのだ。


結末
 ワードの攻撃部隊がハンターの仲間やハチマン・タロー社の保安部隊と争う間、ベリスとバウンティハンターは1対1の戦闘に入り、オープン回線で互いに舌戦を交わした。
 最初からベリスは決闘を支配し、激しい弾幕を見舞って、バウンティハンターのメックをほとんど行動不能にしかけた。交戦で大きな損害を負ったバウンティハンターはゆっくりと応戦し、ベリスはとどめを刺すために動いた。バウンティハンターを仕留めるのに先進的なインプラントを利用したベリスは、PPCをマローダーIIのコクピットに直撃させ、中にいた乗り手を一瞬で焼き殺した。
 得意げになったベリスは、バウンティハンターの声が再び通信システムから聞こえてくるなど予想もしていなかった。なんとベリスが処刑したのは偽物だったのである。またも巧みに欺いて見せた本物のバウンティハンターは、気取った声でチャンドラセカール・クリタと共に安全などこかにいることをベリスに伝えた。
 ベリスは再び失敗したのだ。
 同じ男に二度もやられたことに憤慨したのだが、ベリスの顔にはゆっくりと笑顔が広がった。コクピットの中で、新しい計画が生まれ始めた。問題にけりをつける復讐の計画である。
 バウンティハンターの最後の言葉が生身の耳に残るなか、ベリスは惑星からの撤退を命じた。彼らの任務は、不完全であるが、終わったのである。




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