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作成:2011/08/19
作成:2011/08/31

スティールヴァイパー氏族 Clan Steel Viper



 スティールヴァイパーはリバイバル作戦に参加したというのに、いまひとつ目立たない地味な氏族です。はっきりとした侵攻派でも守護派でもなく、それゆえ主役にも悪役にもなれないことがその原因でしょうか。
 侵攻派でないにもかかわらず、彼らは純血主義的で、軍にフリーボーンの戦士を使っていません(氏族で唯一)。3060年には、フリーボーンのダイアナ・プライドがブラッドネームを獲得したことから、ジェイドファルコンへの侵攻を仕掛けました。






スティールヴァイパー氏族 Clan Steel Viper

 アルカディアのスティールヴァイパー(コウテツクサリヘビ)は氏族宙域で最も危険な生き物のひとつである。同じ名前を持つスティールヴァイパー氏族は、トーテム動物の危険さを真似するためならなんでもやる。ほとんど孤立主義的なまでに内向きであるヴァイパーたちは、彼らだけがケレンスキーの真の理想を知ると考えている。それは協調によって新星間連盟が作られるということだ。


スティールヴァイパー統計

政治派閥: 守護派
首都: ニューケント
人口(氏族宙域): 5727万5000人(3060)
人口増加率: 1.8パーセント (72/54)
自給自足率: 91パーセント

指導者:
 氏族長: ペリガード・ザールマン
 副氏族長: ブレット・アンドリュース
 ローアマスター:アーサー・ストクラス
 科学長官:ガンザー(クロダ)
 商人代表:ターハン
 技術者長:ドル
 先任労働者:アルベルト

軍事:
 星団隊: 39
 軍艦: 15

氏族宙域:
 アルカディア (37パーセント)
 グラントステーション (55パーセント)
 ホーマー (15パーセント)
 マーシャル (15パーセント)
 ニューケント (66パーセント)


 我らの名前は、アルカディアのコウテツクサリヘビから着ている。獲物に巻きつき、強力な毒で動けなくする、身軽で恐ろしい捕食者だ。比類なきハンターであることから、ニコラス・ケレンスキーは氏族のトーテムにふさわしいと考えた。我ら、ヴァイパーはトーテムの強さを体現し、それが弱き種なら滅んでいただろう初期の災厄を乗り越えたのである。


歴史 History

 スティールヴァイパー氏族の初期は苦難に満ちたものだった。ペンタゴン世界の解放で活躍したのだが、エリー・キニスン氏族長が凶気に陥り、ニコラス・ケレンスキーの妻を暗殺しようとすると、長らく不安定の時代に入った。これを終わらせたのは、2860年、サンラ・マーサーの氏族長昇進であった。クロンダイク作戦の直後に、ニコラスとヴァイパー氏族長スティーブン・ブリーンが話し合ったのを知っていると主張したマーサーは氏族の支配権を勝ちとり、抜本的な改革を行った。

 最も重要な行動は、他氏族を不和をもたらす存在と呼び、ヴァイパーを他の氏族から孤立させたことである。すでに軍事的手腕に集中していたこの氏族の戦士たちはマーサー氏族長の理想を実現すべく、さらに自らを高めようとした……いつの日か、ヴァイパーは全氏族を率いて、中心領域に戻るのである。この目的があったにも関わらず、ヴァイパーは侵攻派の固い支持者とはならなかった。守護派にも侵攻派にもならず、自らの道を行ったのである。この立ち位置が、利己的で常軌を逸した族長会議との投票と組み合わされて、ヴァイパーはジェイドファルコンの敵意を買ったのだった。

 ヴァイパーは中心領域侵攻軍にその座を確保したのだが、最初は予備においやられたのをつまらなく思っていた。戦えないというのに、どうしたら軍を率いるという偉大な野望を実行できるのだろうか? シャワーズ大氏族長が死んで侵攻氏族がストラナメクティに戻らざるを得なくなったとき、ブリーン、ザールマン氏族長はヴァイパーを侵攻の正式な一員とするよう新大氏族長に陳情した。ウルリック・ケレンスキー大氏族長は認めたが、強制的に憎きジェイドファルコンと共同作業させたのである。

 ツカイードでは、ヴァイパーは目標の直前で撤退せざるを得なくなった。しかしながら、退却によって戦力が保持され、戦闘に参加した氏族の中でもっとも死傷者数が少なく済んだ。相対的な強さによって、彼らは強制的な停戦を利用できる良いポジションについた。有名なのは、ジェイドファルコンから占領域の世界9つを奪ったことである。しかし、拒絶戦争後、内輪の争いによってファルコンの弱さを利用する似たような機会が得られた。3061年、彼らはジェイドファルコン占領域に対する大規模な作戦に着手し、1ダース以上の世界を獲得したが、予期せぬファルコンの逆襲により、勝ち取ったものは失われ、最終的に中心領域から完全に撤退することを余儀なくされたのである。


社会 Society

 サンラ・マーサーの時代、ヴァイパー社会は厳格にコントロールされていた。他の氏族が民間階級と他氏族の民間階級の限られたつきあいを認めている一方で、ヴァイパー社会はそのような親交を禁止している。外部と取引する商人階級などの常識的な例外はあるが、すべての会合は監視され、無用な接触は死を持って罰せられる。

 ヴァイパーの超ハードな戦士訓練プログラムは、平均以上のドロップアウト率と、民間階級にトゥルーボーンが多数という結果をもたらしている。突破率が2パーセントであることから失敗は烙印とならない。脱落したトゥルーボーンたちは新階級の指導者となることが多く、戦士とフリーボーンの民間人の架け橋となっている。この習慣は氏族内の結びつきを強め、良好な関係を築いている。

 偏執的なヴァイパーは部外者の受け入れに苦労するが、それらボンズマンたちはケレンスキーの真の理想に「帰ってきた」捨て子として歓迎される。部外者を氏族に入れれば、彼らのこれまでのやり方が間違っており、ヴァイパーの見方が優れていると気づくと信じているのだ。これは忠誠の転向を文化的に受け入れる氏族人に対してはうまく働いたが、中心領域占領域では有効ではなかった。ヴァイパーと中心領域市民のあいだの緊張は高まっていき、準軍事警察が社会的動揺を頻繁に取り締まった。ヴァイパーが強硬政策に流れていることは、戦士階級を割った。氏族長はサンラ・マーサーの教えから離れていると多くが考えた。ケレンスキーの理想に導かれなければ、氏族はもがくことになるだろうと彼らは感じた。

 一見したところひとつの氏族の敗北であるが、守護派のうち一部は、ヴァイパーの中心領域離脱を「氏族全体に取っての勝利」としている。この奇妙な意見はペリガード・ザールマンがウォルドルフでフリーボーン戦士の手によって敗北したことから来ている。ザールマンは氏族が敗北したことに怒っているが、個人的敗退については実利主義的である。報告が示唆するところによると、反フリーボーン的スタンスが氏族を弱体化させていることに彼は気づいているというのだ。この説にさらなる信憑性を与えるのは、ヴァイパー氏族長がアルカディアとニューケントの訓練施設で次の候補生たちに若干のフリーボーン戦士を加えたことである。しかしながら、アンドリュース副氏族長はこの命令に異議を唱えているようで、決断を覆すかもしれない。実際、本拠地への帰還中、ザールマンは指導権を求める挑戦を三度破っている。


軍事 Military

 軍事的に優秀であるという長い伝統にもかかわらず、ヴァイパーは侵攻氏族で最弱と見られている。最大戦力であっても、ヴァイパー氏族軍はジェイドファルコンより7個星団隊少ない。この理由の大半は、ヴァイパーの訓練プログラムにある。プログラムを突破する戦士の数が少ない上に、トゥルーボーンしか使わなかったからだ。ヴァイパーは近年の収穫の審判でも悪い結果を残し、取るに足りない利益と引き換えに、ウルフ氏族を相手に先制バッチェルを通して数個侵攻派星団隊を失った。しかしながら、ジェイドファルコン相手に敗北したことは、弱さの兆候としてみるべきではない。彼らは強い存在であり続け、本拠地で力を証明するかもしれない。実際、ザールマンの新兵募集自由化は、この氏族をさらに守護派的方向へ持っていくかもしれない。

 ヴァイパーは特定の兵器にこだわることがないが、通常歩兵の守備星団隊を大規模に使っている。前線部隊は、通常、45機のオムニメック、75名のエレメンタルからなる。ヴァイパーの戦術教義は気圏戦闘機支援に重きを置いていないので、15機のオムニ戦闘機が各星団隊に配備されるのみである。もっと多くの戦闘機がヴァイパーの海軍艦船に配備されている。折りにふれジェイドファルコン、スノウレイヴン氏族と敵対していることを考えると妥当だろう。この習慣はまたヴァイパー氏族軍に利用されそうな弱点を露呈している。近年の紛争でジェイドファルコン氏族は優位を得るのに成功し、ヴァイパーに大損害を与えたのだが、スティールヴァイパー氏族は、当面、この戦略を変えそうにない。


仲間と敵 Allies and Enemies

 侵攻派でも守護派でもないヴァイパーは、政治的派閥の両方から信用されていない。ヴァイパーの利己的な行動によりジェイドファルコン氏族と長いこと疎遠な関係となっており、また黄金世紀の軍事的征服、特にヘルゲート占領はスノウレイヴン氏族からの憎しみを買った。ヴァイパーの地上軍はちっぽけなレイヴン軍を上回るが、航空戦、艦隊戦ではレイヴンが圧倒し、卓越した政治的策謀でも同様である。この双方が彼らを手強い敵としている。

 最近、ヴァイパーはマーシャルの世界を共有するファイアマンドリルと疎遠になった。ヴァイパーがリバイバル作戦に選ばれたとき、彼らがサンラ・マーサーの理想の価値を証明し、すべての氏族を支配して帰還することになることを隣人たちに教えた。ヴァイパーと特に関係の良くなかったマンドリルはそのような傲慢を拒絶し、過去13年間、静かな敵対関係にある。


保有領土 Possessions

世界:5(すべて共有)

 二番目に氏族宙域での人口が少ないヴァイパーは、侵攻氏族だったことから幅広いリソースを入手することができた。しかし、征服した中心領域と協力するという彼らの夢は実現しなかった。果敢で多くを得るかもしれないジェイドファルコン占領域への攻撃は最終的に虚しいものとなった。氏族にとって、勝利はすべてであって、勝ちから程遠かったヴァイパーはヒジュラを受けざるを得ず、中心領域全体から撤退したのだった。

 氏族宙域での最近の領土再分配で、ヴァイパーはホーマーの領地を拡大しようとしたが、クラウドコブラに撃退されて、スノウレイヴンとの紛争に巻き込まれることとなった。戦いは18ヶ月続いたが、ヴァイパー有利で決着した。ニューケントは、他三氏族と共有しているのだが、事実上のスティールヴァイパー首都としての役割を果たし、ザールマン氏族長がヴァイパーの力を証明するための戦場として選ばれそうだ。




スティールヴァイパー氏族の人物


ペリガード・ザールマン氏族長

 背が高くひょろっとしているペリガード・ザールマン氏族長は、2メートル近くあるが、体重はわずか76キログラムである。彫りの深い顔に輝く彼の瞳は意思が強く計算高い。伝統的な価値観からするとザールマンは醜いのであるが、氏族の上級氏族長という立場にとってはほとんど問題ではない。

 用心深く計算高い指導者であるザールマンは、氏族評議会で侮りがたい存在である。アルファ銀河隊の指揮官であった彼は3045年に副氏族長となり、リバイバル作戦で氏族のため激しく戦った。ヴァイパーが神判で5番目となったことに失望したが、彼はヴァイパーが実戦に参加するであろうことに気づくほど実利主義的だった。

 ザールマンの氏族長への昇進は、ナタリー・ブリーン氏族長がツカイードからの撤退後に辞職したときのことだった。政治に精通していることの証として、彼はブリーンをアドバイザーとして残し、アルファ銀河隊指揮官、クリストファー・アフマドを副氏族長として任命した。アフマドを手駒として使い、ジェイドファルコンから9つの世界を奪い取ったのはザールマンである。ヴァイパー氏族軍を保護するために、神判を中止させたのも氏族長の先見の明だった。皮肉にも、ヴァイパーは強い立場にあったというのに、アフマドを左遷した後の政治的余波は、拒絶戦争後、ウルフとファルコンの弱点をつくのを妨げた。ザールマン氏族長はこれを氏族長として唯一の失敗であると考えている。

 氏族の内外で尊敬されているのだが、彼はその役割に落ち着かないでいる。ここ数ヶ月、ザールマンは注意をジェイドファルコン氏族に向けつつある。ファルコンはフリーボーンにブラッドネームを争う神判への参加を認めたのである。実際、ザールマンはすべての氏族に対する逸脱と侮蔑だとして、問題の戦士を「排除する」と公に宣言している。


ブレット・アンドリュース副氏族長

 第4ヴァイパーガードの元指揮官で、アンドリュース・ブラッドネーム一族の指導者であるブレット・アンドリュースはどこから見ても熱烈な侵攻派である。彼は傲慢で攻撃的、すぐに怒り、厳しい指揮官だとされている。また抜け目ない政治家でもあり、それは3057年のクンブレス襲撃で、彼の星団隊の戦士たちが敗北した大失態があったにも関わらず副氏族長に昇進したことで示されている。

 政治的逆境から逃れる能力と、無慈悲に敵を潰すことから、ザールマン氏族長は彼を下級氏族長の地位につけた。ザールマンはまた、アンドリュース副氏族長が心中を打ち明けたがり、信じるものを語るところに敬意を払っている。経験不足なのだが、アンドリュースはごますり野郎ではないのだ。ザールマンは一度ならず言い争いになったことで知られている。もっとも有名なのは、上級氏族長がナタリー・ブリーンと関係を続けていることである。氏族長はアンドリュースに期待しているが、野心にもまた警戒している。


ナタリー・ブリーン前氏族長

 ナタリー・ブリーンはツカイード以前にスティールヴァイパーを指揮していた。重症を負い、ヴァイパーが精彩を欠いたことから、彼女は戦いが終わったあとに辞職し、ザールマン氏族長の総司令部幕僚となった。隠遁した元氏族長を見た者は少ないが、定期的にクロスボウでテストに成功し、戦士の資格を保ち続けている。政敵たちは長いこと彼女をソラーマに送ろうとしているが、ほとんど成果は上がっていない。同じ批判者たちは、元氏族長がスティールヴァイパー氏族の族長会議での攻撃的な運動を扇動していると示唆している。ザールマン氏族長はこれらの言いがかりを否定しているが、ブリーンがスティールヴァイパー社会で実際になにをやっているのかは不明なままである。




スティールヴァイパー氏族 3067


To: ブレット・アンドリュース氏族長
From: ローアマスター・アーサー・ストクラス
Re: 状況報告

氏族長へ

 最近の事件はヴァイパーの問題解決能力を試した。他者が我らのケレンスキーの意思に関する見方を試そうとしたのである。あなたの前任者はジェイドファルコンとの交戦後、我らが氏族をつくり直そうとしました。氏族を活性化する彼のやり方が有効だったことは認めますが、多くの点で氏族創設者の意思を蔑ろにしていました。フリーバースどもが氏族軍に仕えることを意図していたならば、なぜニコラス・ケレンスキーは氏族を今のやり方で作ったのでしょうか? それにもかかわらず、この報告書が示すとおり、我々はこれまでより強くなっています。我らの強さに挑戦したものはおらず、中心領域のリソースを持って鍛え上げ、戦闘によって焼戻しされました。賢明なる上層部によって、我らは領土と影響力を大幅拡大する可能性を得たのです。

――アーサー・ストクラス、ローアマスター、3067年8月17日


概要

 大拒絶後の中心領域での活動は、始まりは良かったのだが、ジェイドファルコンの粘り強さと悪知恵にぶつかった。我々全員が知っているように、戦闘に勝つのはひとつの出来事だが、最終的な目的は戦争に勝つことなのだ。中心領域からのヒジュラを受け入れたザールマン氏族長の決断は、ひとつの段階において大きな敗北だが、大いなるチャンスでもあった。我々は領地から追い出されたが、部隊とともに整然と本拠地に帰還した。ツカイード戦役後の余波を反映したと多くが考えている。他者は我らが蘇ったファルコンの前に倒れ、鉤爪で切り裂かれ、腐肉になったと考えている。どれだけ間違っていることだろうか。

 くじけるようなことはなく、我らの決意は3061年の事件までに固いものとなり、我らの力とバイタリティーを証明するチャンスを喜んだ。スノウレイヴンが、その名前を腐肉喰らいから名付けられたことから予想できるかもしれないように、まず最初に我らの領土を強襲し、ホーマーに橋頭堡を確保した。だが、彼らの成功は、他の作戦から兵士を引きぬいて行っていたがために愚かなものとなった。中心領域から帰還した我らが彼らの不意を打ち、侵攻を跳ね返した。ゼルブリゲンがなければ、我らの領土に足を踏み入れたレイヴン軍を全滅させていたかもしれない。実際には、我らは彼らの防衛を調査し、面白い戦いになるように、彼らが力を発揮できるくらいの強さな圧力をかけた。我らが望むなら、彼らのリソースに対する神判に次ぐ神判を実施し、小さな領土に追い込むこともできた。しかし窮鼠を噛むのは、逆効果になる可能性がある。なので、止めの一撃を叩き込むため喉を引っ張り出すよりも、撤退させるにとどめたのである。

 そのような一撃を見舞ったのは、3065年のことだった……それまでにテストし調査していた彼らの弱点を利用したのである。我らはレイヴンにセーフコンを求めなかった――彼らがそれを与えないと知っていたので、どんな場合でも無意味だったのである。我々は本拠地帰還後に戻ってきた新しい船とテクニックを使い、レイヴンの戦列を破り、工業の中心地であるルウムに兵士を上陸させた。レイヴンは降下船を攻撃したというのに、降下地点をかけた神判は容易に勝利し、ザールマン氏族長の命令により強襲のタイムテーブルは前倒しとなった。一週間以内に、我々はかなりの領地を得て、勝利に継ぐ勝利で拡大した。一ヶ月の戦いのあと、我らを撤退させたのは不幸な状況の組み合わせであった。腐肉喰らいどもは間違いなく、我らがひるんだと思ったことだろう。どれだけ戦争を理解していないことか。

 攻撃のテンポの加速は補給を逼迫させた。我らの強襲をゆるめたのは、スノウレイヴンの戦闘技術ではなく、これである。この世界上にある補給リソースは需要に対して不十分なものであり、強化されたレイヴンの惑星封鎖は新しい補給を妨げた。もちろん、それだけで我軍が撤退することはなかったろう。それはジェイドファルコンのギャラクシーコマンダー・ミーシャ・ヘルマーがもたらした脅威である……我らの新しい領土に対し、所有の神判を開始したのである。ザールマン氏族長は、こちら側の支出でファルコンの力を強くする意思を望まなかった――もしファルコンがレイヴンのリソースを奪いたいなら、その過程でレイヴンを傷つけることになるだろう――ということで、レイヴンの援軍が到着したころに自ら領地を縮小し始めた。上陸から一ヶ月後の10月22日、我が軍の降下船が撤退を開始した。ここで我らは意外性を見せず、船を守るためのヒジュラなしで退却し、レイヴン艦から深刻な被害を受けた。我が軍の戦艦が脱出路を確保しようとすると、損害はさらに拡大した。フレダサ級〈ピット・ヴァイパー〉が犠牲となり、〈プライド・オブ・ニューケント〉と〈サンラ・マーサー〉が大破した。我が氏族にとっては不幸なことに、ペリガード・ザールマン氏族長も戦死した一人だったのである。レイヴンの戦艦〈アヴァランチェ〉が彼の乗った降下船を破壊したのだった。

 この作戦で我らが得た領地はなく、大量の戦闘資材を失ったが(現在補充中)、この攻撃はレイヴンを守勢に回し、彼らの原材料備蓄を大きく減らした。以来、レイヴンは領土の拡大を諦め、傷をなめているようだ。我らの攻撃によって、明らかに彼らは今いる5つの世界に篭らざるを得なくなった。彼らはスティールヴァイパーの力に脅かされ、遠くない将来、籠の中にとらわれ続けることとなろう。


スティールヴァイパー氏族軍

 中心領域で10年過ごした後に帰還した我らが氏族軍は、精強かつ実戦で鍛えられ、残された弱者どもがしでかす何に対してでも準備ができている。腕のたつ兵士が大勢おり、資源が大きく減らされたことから、フリーバースの数を我が軍で増やすというペリガード・ザールマンの計画は放棄されたが、自らその価値を証明した者たちはヴァイパーに仕えるのを許されている。だが、ファルコンに対する敗北は我が兵士たちの心にのこっている。彼らは部外者とその仲間に対して我らが力を見せつけるチャンスを探している。


司令部・海軍戦力

 トリアッシュ親衛隊はルウム強襲を先導し、脱出したのは最後であった。氏族長は、彼らが残っているあいだは惑星を放棄したことにはならないと主張した。結果、親衛隊は大打撃を受け、その代表は破壊された氏族長の降下船である。最も名声あるスティールヴァイパーの部隊に加入する価値があるどうかを決める一年におよぶ神判の後、ようやく5個三連星隊の定員に戻ったところである。

 ヴァイパーの船はキャラック級〈プライド・オブ・ニューケント〉、ヴィンセント級〈コイルド・サーペント〉、ワールウィンド級〈コンストリクター〉〈スネーク・イン・ザ・グラス〉、エセックス級〈マーシャル・レガシー〉、ローラIII級〈スネークピット〉〈アナコンダ〉、イージス級〈スティール・パイソン〉、コングレス級〈スネークリーダー〉、ソビエツキー・ソユーズ級〈サンラ・マーサー〉、キャメロン級〈ザールマン・エンデバー〉、ポチョムキン級〈オフィディアン〉〈サーペンテス〉、ナイトロード級〈ダークアスプ〉である。


アルファ銀河隊(スティールヴァイパー銀河隊)

 スティールヴァイパー銀河隊は、中心領域から離脱したときに深い恥辱に見舞われた。2個星団隊を完全に失うのと同時に、他の部隊は深刻な損害を負った。したがって、ギャラクシーコマンダー・ホスキンスが部隊をルウム強襲の先陣にしたのは名誉の問題であった。アルファ銀河隊はこの紛争で良いところを見せたが、被った損失はいまだ回復出来ていない。


ベータ銀河隊(スティールファングス銀河隊)

 スティールファングスはそれなりの形で中心領域からの離脱を生き残り、スノウレイヴンをホーマーから追い出す際に主力となった。デルタとともに、ベータ銀河隊は氏族軍の即応部隊となり、直属の航宙艦と戦艦は素早い移動と効率の良さを可能とした。スティールファング強襲星隊の戦艦群はアルファ銀河隊のルウム退却のスクリーンとなる海軍予備に加わり、莫大な犠牲を支払った。この海軍星隊は損傷を負った船の修理を終えておらず、スターアドミラル・タムは、〈ピットヴァイパー〉の損失をうめるため、海軍予備から〈コンストリクター〉の放出を要請している。


ガンマ銀河隊(ストライキング・サーペント銀河隊)

 ストライキング・サーペントは中心領域からの退却の際に、ひどい損害を負い、第51、第94戦闘星団隊をイワン・シンクレア指揮下の一部隊に合併することになった。ガンマ銀河隊は過去5年にわたって再建しているが、他氏族に対する襲撃での損失は、ギャラクシーコマンダー・アンドリュースが第51を再建するのを妨げている。


デルタ銀河隊(フェル・ド・ランス銀河隊)

 10年にわたって、フェル・ド・ランス銀河隊は氏族本拠地で唯一の前線戦闘部隊であり、よって常に他氏族からの圧力にさらされていた。氏族軍全体が氏族宙域に帰還したことで、デルタ銀河隊には待ち望んでいた休息と修復の機会が与えられ、補給状況が劇的に良化した。ニコール・ホスキンスは、31歳で副氏族長となり、リスターであり続けている。彼女の冷たく計算高い態度は、よくアンドリュース氏族長との対立を引き起こす。彼は年上であるにも関わらず、ホスキンスほどの戦闘記録と経験を欠いているのだ。


ニュー銀河隊(ブトー銀河隊)

 ニュー銀河隊は、ホーマーではクラウドコブラとスノウレイヴンの矢面にたち、マーシャルではファイアマンドリルとゴリアテスコーピオンの矢面に立った。ギャラクシーコマンダー・モファットの熟達した指揮は、これら暗黒の日々に氏族が生き残った主因となった。ニコール・ホスキンスの成功がなかったら、キャロン・モファットが新たな副氏族長となっていたかもしれない。ニュー銀河隊は公的な命名の儀式によって、準前線銀河隊として認識されているが、ギャラクシーコマンダーは部隊をエプシロン銀河隊への改名を拒否している。


ゼータ銀河隊

 ゼータ銀河隊は、フリーボーン兵士を使うというザールマン氏族長の実験の舞台となった。よって、第二線銀河隊を含め、他の部隊から馬鹿にされている。


ロー銀河隊

 ロー銀河隊のライラ同盟とジェイドファルコン、ウルフ氏族に対する経験は、この銀河帯を前線部隊のステータスにアップグレードするか、少なくとも二線級以上として扱うべきとの提案をもたらした。しかしながら、テストダウンされた戦士、年老いた戦士の存在が、これまでのところそのような動きを妨げている。


カイ銀河隊

 カイ銀河隊はこの数年で打撃を受けたが、外部の敵にやられたわけではない。装備の優れたカイは、損害を被った前線部隊を埋めるために戦士とマシンを引きぬかれたのだ。現在、この銀河隊はわずか2個星団隊の戦士のみを展開し、書類上の戦力は60%である。


オメガ銀河隊

 中心領域の領地を失ったことで、オメガ銀河隊の士気は崩壊し、それ以来、この部隊は不満分子とデズグラの集積場と化している。ギャラクシーコマンダー・コクランは奇跡的にこの部隊の手綱を握り続けているが、ヒジュラ戦争以来、彼の正気は疑わしいものである。




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