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作成:2021/01/03
更新:2021/01/17

レクイエム・フォー・ア・ブルースター Requiem for a Blue Star



 星間連盟崩壊直後のこと。
 SLDF第295バトルメック師団、通称ブルースター師団は、機械トラブルによってケレンスキー将軍のエグゾダスに遅刻したあげく、ドラコ連合国境からジャンプ数回の辺境で故障が再発し、エグゾダス艦隊に追いつく望みは完全に潰えました。
 彼らは仕方なく無人の惑星バッファロー・メドウズに降り立ち、独自に植民を開始します。しかし、出生率が上がることはなく、2800年代後半には全員が死に絶えてしまうのです。
 そして3150年、氏族が地球に侵攻するまさに直前に、残された第295師団の装備を巡って、ふたつの傭兵部隊、ラ・グランド・アルメ(La Grande Armée)とバートレット・ボクサーズ(Bartlett’s Boxers)が衝突しました。
 "Requiem for a Blue Star"は2019年の公式ワールドワイドイベントです。ファンたちによる戦いを集計して、結果が決まりました。






終着地点 FINAL STOP

天頂点
バッファローメドウズ、ドラコリーチ
2785年7月8日

 鋼鉄のデッキが息を吐くように最後の脈動をすると、すべては静かになった。厳しい顔をした機関士たちが目を細くして辺りを見回し、機関室を監視した。声はなく、動く者もいなかった。

 「艦の機関を停止せよ」。機関室の中央にいた禿げ男が単純な命令を下した。彼の声には権威の力がこもり、数秒以内に機関室のクルーたちが持ち場へと移動しはじめた。短い命令がいくつか発せられ、数秒でKFドライブが停止し始めた。ものの数分でKFドライブは回転を落とし、主機関室(3つの中で最大)は不気味なほど静かになった。

 その男、ホラティオ・ペトロニ艦長は、ゆっくりと機関室内をにらみつけ、ほとんど赤になっている状況表示盤に歩み寄った。彼の目はすでに分かっていたことを確認するために飛び回った。SLS〈ウルシー〉は最後のジャンプを行った。艦長は通信装置にまで歩き、黒い受話器をつかむと話し始めた。

 「艦橋。こちら主機関室。KFドライブのシャットダウンを完了。ドライブエンジンが作動します。全力機動スラストが可能になるまで90秒」

 ブリッジではサラ・ムベキ提督がうなずいて受話器を置いた。彼女はジェナ・ロマノフ少将(第295バトルメック師団司令官)と艦橋のクルーたちに向き直った。

 「完了した。仕事にかかれ」。サラが命令するやいなや、クルーたちは仕事を始めた。ドライブエンジンに火が入り、重力が艦に戻ってくると、サラはレーダープロットを確認した。エセックス級駆逐艦SLS〈ケープ・ボン〉とローラ級駆逐艦SLS〈プロテクター〉がこの巨大なポチョムキン級巡洋艦に付き従う一方で、同行する一握りの航宙艦から十数隻の降下船が切り離された。前方にあるのは、彼らの新たなすみかとなる小さな青い球体とぼんやり赤い星であった。



発掘地点デルタ
バッファローメドウズ、ドラコリーチ
3021年4月4日

 肉眼で見てもその丘は目を引くものではなかった。人類居住惑星のほとんどどこにでも点在しているような起伏があって草に覆われた高台。だが、何を探しているのか知っているような経験豊富な目を通すと、その丘はまったく別のストーリーを物語っている。リン・トラン侍祭は丘に目を向けるとすぐ、人の手による何かをそこに見いだした。周りの丘に比べると、曲線がスムーズすぎるのである。花崗岩は露出しておらず、それに気づくのは簡単だった。誰かがこの丘に大きく手を加えた。

 それまでの3ヶ月間、リンはバッファローメドウズで何もなく過ごしてきた。3ヶ月間、誰が住んでいたかに主眼を置いてきたのだ。最初の数週間、星間連盟時代の遺構を見ていることに気づいた後は興奮が続いた。だが、ケレンスキー関係が腰を落ち着けたにしては小規模すぎ、中心領域に近すぎることをはじき出してからは、探査局の考古学的発掘にありがちな単調さが戻ってきた。

 しかし、いま、リンは何かがそれを揺るがすだろうとわかっていた。チームに向かって双眼鏡を振って合図し、彼が見つけたものを指し示した。チームは理解してすぐに他のチームから何人かを呼んだ。バトルメック、ジャベリンが2機やってきて、そのあいだチームとプロウラーが丘に登った。ビーグル・アクティブ・プローブが丘の中にとても大きな磁気の存在を探知するまで時間はかからなかった。ジャベリンが跪き、掘り始めた。ものの数分間で彼らは金属に突き当たった。

 リンは頭の中で素早くパズルを組み立てた。爆破の専門家がドアらしきものを丸ごと吹き飛ばすと、リンは気合いを入れた。ロープが穴に放りこまれ、約70フィートのところで底についた。ロープをプロウラーに結びつけた後、リンはカラビナを通して、穴に下りていった。サイリュームを半ダースばかり引っ張り出して折ると、別々の方向に投げ下ろす。下りる先に当面の障害物がないことを見て、もう少し降下し、それからヘルメットのライトを向けてあたりを見回した。この洞窟に何があるのかリンは即座に知った。

 「ブレイクの骨」。思わず悪態が口を突いて出た。「ベースキャンプに無線でここに来るように言え」。このメッセージが伝達されるまで短い沈黙があった。

 「ベースキャンプは誰が行けばいいか聞いてます」

 リンはこれが陳腐な決まり文句であることを知っていた。だが、暗闇の中で30フィートぶら下がり、200年ものの人工洞窟の中で、ヘッドライトとサイリュームにだけ照らされていると、そういうことは気にならなくなる。彼はもう一度見回して、自分を納得させると返答した。

 「全員だ」







ファインダーズ・キーパーズ FINDERS KEEPERS

状況
バッファローメドウズ、ドラコリーチ
3150年3月18日

 中心領域から消えて200年後、第295バトルメック師団の遺物が3021年に発見され、失われた星間連盟師団の運命を突き止めることが出来た。だが、コムスターにとって、これは歓迎されざるニュースであった。師団がジャンプしたのは中心領域からわずか数回のところで、極秘裏に装備を持ってくるには遠すぎたが、ライラ共和国と特にドラコ連合には近すぎて、彼らが手に入れるかもしれなかった。よって、コムスターはそれを隠して、130年間、このときまで秘密は保たれた。

 だが、人々は話し、秘密は漏れるものである。3150年、元の発見者たちの末裔が場所を指し示す情報に出くわした。これを人生をよくするチケットと見た末裔は、ひとりの入札者に情報を売り払った。だが、人々は話し、秘密は漏れるものである。すぐにも充分な情報が共和国のもとに届いた。彼らは地球を狙う者たちの手にこれらメックが届くことに関心を示さなかった。そしてレースが始まった。バッファロー・メドウズに急ぎ、第295の遺品を手に入れるのである。

 ラ・グランド・アルメが惑星降下したの同じ時に、バートレット・ボクサーズが星系にジャンプインした。2日分先行していたラ・グランド・アルメは急いで防衛を構築し、出来る限り多くの星間連盟メックを起動させ、持ち逃げするか、第295の施設を守るのに使おうとした。ラ・グランド・アルメは施設の東にある川に最初の防衛線を引いた。

攻撃側
 攻撃側は共和国が中心領域を不安定化するために創設した傭兵部隊、バートレット・ボクサーズである。

防衛側
 防衛側はラ・グランド・アルメ傭兵部隊である。







バートレット・ボクサーズ - トータルウォーフェアブリーフィング BARTLETT'S BOXERS - TOTAL WARFARE BRIEFING

目的
 防衛側が第295のメックを発掘するために活動していることを君は知っている。君に下された命令はメックが惑星を離れるのを妨げることだ。君はもうこれ以上彼らに時間の猶予を与えることが出来ない。君は素早くこの川を渡り、防衛側を撃破する必要がある。


 彼らがしようとしていることはわかる。勇敢な奴らだ。全体の利益のために部隊の一部を犠牲にしようというのだ。もし、彼らがこの川で我々を押しとどめられたなら、我らは間に合わないだろう。おそらく1個大隊分のメックを積み込んで、どこかに立ち去るはずだ。任務に対する献身とプロフェッショナリズムに感謝する。彼らが共和国と戦っているのは残念だ。同じように彼らを殺さないとならないだろう。

 ――スティーヴン・デファング大尉、バートレット・ボクサーズ、3150年3月20日



 もしそれが地球を救うために必要なことなら、ラ・グランド・アルメは死ぬことになる。

 ――トニー・ウィンタース大尉、バートレット・ボクサーズ、3150年3月18日


 ウィン・デ・ジール(バートレット・ボクサーズ): フォートレスの壁を越える志願者を募った時、ウィンは最初に手を上げた一人となった。ウィンの戦友たちは、辞書でウィンの次にある言葉は"wanderlust"(放浪者)だとジョークを飛ばす。どこかに行きたがる者にふさわしく、コクピットでの能力には素晴らしいものがある。敵も味方もメック戦士の多くが、彼女のメックはまるで人間のようになめらかに動くとの言葉を残している。
 ゲーム内ボーナス: ウィンはその場に敵ユニットがいないかのようにすり抜けて移動する能力を持つ。

 イヴァン・モラー(バートレット・ボクサーズ): 彼を知らない者たちにとって、イヴァンは社会病質者(サイコパス)である。彼が冷酷に見えるのを否定することは出来ない。しかしながら、イヴァンはスフィア共和国に全面的かつ絶対的な献身を示しているのである。彼は、歴史、心理学、戦争を研究した結果、共和国だけに歴史の流れと人類の残忍さに抵抗するチャンスがあると見た。イヴァンは共和国を守るためなら、どのような形の何でもする。
 ゲーム内ボーナス: イヴァンは1ターン使って目標を「分析」することが出来る。このとき許されるのは歩行のみで、武器の射撃も観測もしてはならない。次のターン、その目標に対してのダイスロールすべてに3を足すことが出来る。







ラ・グランド・アルメ - トータルウォーフェアブリーフィング LA GRANDE Armée - TOTAL WARFARE BRIEFING

目的
 君の発掘チームは第295のメック掘り出し作業を遂行中であり、その一部を再稼働させるのに成功した。君の目的は単純だ……彼らが必要とする時間を稼ぐのである。


 俺たちは中心領域の誰かを怒らせてしまった。この任務が無謀だったのかどうか分かったんじゃないかと思う。もし俺たちがやり遂げたのなら、引退することになるかもしれない。それだけ金持ちになれるだろうさ。

 ――トーマス・ラムジャシタ軍曹、ラ・グランド・アルメ、3150年3月19日



 この戦いで我らには……まあ、死んでしまうからそれはどうでもいい。

 ――デニス・ハーグ元帥、ラ・グランド・アルメ、3150年3月20日


 ニコラス・ダヴー(ラ・グランド・アルメ): 誰にでも癖はあるものである。地面のひび割れを踏まないように歩くものもいる。古代の野球カードを集めるものもいる。健康的ではないが、泥酔するまで飲むものもいる。ニコラスはナポレオン時代のすべてに執着している。デュドネ市民軍の隊員たちを説得して一緒に脱走した後、彼はラ・グランド・アルメの栄光に取り憑かれてしまった。名字をナポレオン時代の有名な元帥のものに改名し、その制服にあわせた塗装を開発し、麾下の小部隊を古き陸軍のように組織し、その名にふさわしい複数連隊の戦力を持つことを夢見始めたのである。
 ゲーム内ボーナス: ニコラスは名前をもらった人物のニックネーム「鉄の元帥」のように生きたいと願っている。ニコラスと彼の親衛隊(Imperial Guard)はダメージに由来する操縦スキルロールで転ぶことがない。

 デニス・ハーグ(ラ・グランド・アルメ): 宇宙にはルールがあり、ルールは守るべきものとされる。ルールには柔軟性があることをデニスに納得させた者はこれまで存在しない。こういった態度によって、ポイントバロー養成校での地位が犠牲になった。もっと歴史があってまともな傭兵部隊2つでの地位も失われた。だが、彼女の愚直さは、ラ・グランド・アルメでは強みと見られている。任務を実行するのに萎縮しないと見なされているのだ。部隊に加入してからの4年間で、デニスは第III軍団を職務遂行に熱心な確固たる戦力とした。
 ゲーム内ボーナス: ゲーム中に一回、デニスと第III軍団は、イニシアティブが判明したらすぐ、完全に1ターン実行することができる。だが、行動が終わると、ターンの残りには参加しない。防御用の目標移動修正は残るが、次のターンがスタートするまで行動することは出来ない。







…それは単純に川が曲がっていることを意味する …IT SIMPLY MEANS THE RIVER BENDS

状況
バッファローメドウズ、ドラコリーチ
3150年3月22日

 川での衝突の後、ラ・グランド・アルメはゆっくりと土地を明け渡し、星間連盟施設へと後退していった。敵を押しとどめるのを助けるため、あるいは任務成功のちょっとした証拠にするため、技術者たちは星間連盟メックの一部を稼働させる絶望的なレースを行っている。バートレット・ボクサーズが近づいてきたその時、戦いが死ぬまでのものになるのは間違いなかった。







バートレット・ボクサーズ - トータルウォーフェアブリーフィング BARTLETT'S BOXERS - TOTAL WARFARE BRIEFING

目的
 バートレット・ボクサーズはひとつの使命を帯びてやってきた……星間連盟メックがバランス・オブ・パワーを崩すのを妨害するのだ。目標達成のための手段は重要ではないが、施設内のメックがバッファローメドウズを離れるのは許されない。具体的な目標は以下の通りである。


 かつて賢人がこう言った、「ここに立つのは一人のみ」と。大氏族はいらない、星間連盟はいらない、地球帝国はいらない。ここに立つのは共和国のみ。共和国だけが民によって正しく動かされている。共和国だけがあらゆる者にとって良き未来を見せる。そして、共和国だけがこの大災害を抜け出て、中心領域を治める。わびしい辺境世界にいる半端で時代錯誤な傭兵部隊には、それを止めることなどできない。

 ――ジェレミー・サルディ中尉、バートレット・ボクサーズ、3150年3月21日



 容赦なく。もう充分だ。

 ――ハッサン・シーブルック中尉、バートレット・ボクサーズ、3150年3月21日


 リサ・ジョーンズ(バートレット・ボクサーズ): リサはバートレット・ボクサーズで3年勤務した末に、家族と呼び始めた部隊の背後に誰がいるのかを知った。それは彼女の忠誠心を弱めることなく、どちらかといえば部隊とその任務に新しい献身が向けられたようだ。だが、戦友たちは懸念を示し始めている……そのような熱狂的な献身は、今にも衝動的な死にリサを駆り立てるかもしれない。
 ゲーム内ボーナス: ゲーム中に1回、リサの部隊への献身を利用して、通常のターンの間に完全なボーナスターン(移動、射撃含む)を行うことが可能である。

 イーグル・マーリンセン(バートレット・ボクサーズ): 傭兵部隊は安定とルーチンにふさわしい場所ではない……特にそのルーチンがメックの回りで行われるのなら。イーグルのルーチンは砲術の腕を磨くことである。メックのパイロットにとっては素晴らしい特徴である一方、それは強迫観念の域に達しており、特に長距離射撃に取り憑かれている。
 ゲーム内ボーナス: イーグルの射撃は正確であることから、メックでの長距離射撃に2ダメージが追加されるが、短距離では2ダメージ減らされる。







ラ・グランド・アルメ - トータルウォーフェアブリーフィング LA GRANDE Armée - TOTAL WARFARE BRIEFING

目的
 君たちはこの惑星を探し、現地を偵察し、噂が事実なら報告するために雇われた。噂は事実だと確認されているので、君たちの望みは生き残って報告し、報酬を受け取るだけである。以下が君たちの目標だ。


 6個連隊分。事実上新品で、工場から出荷された星間連盟メックが6個連隊分。1個連隊分持って帰る余裕がないのは確かだが、1個中隊でも手に入れば最高だよ。それで、その仕事をするのは誰だ。俺だ。そして今、手に届く範囲の欲しかったおもちゃをすべて手に入れた。俺は馬鹿でかいおもちゃ屋にいるでかいガキなんだ。

 ――ジョセフ・バントゥー軍曹、ラ・グランド・アルメ、3150年3月21日



 誰かが「戦うには遅すぎる。戦いは今夜終わる」と言ったが一部だけあっている。まだ戦いは続いてるが、今夜終わるだろう。

 ――スン・ハヤカワ元帥、ラ・グランド・アルメ、3150年3月21日


 ピョートル・バーモンド(ラ・グランド・アルメ): ピョートルは共和国時代の大勢の人たちと同じやり方で学んだ……産業メックを操縦することで。その結果、木こりとして木々の間でどう動けばいいか多くを学び取ったのである。そして周囲の若者たちと同じように、無価値なブルーカラーとしての人生に飽きて不満を抱くようになった。グランド・アルメが彼の惑星で募兵を行った時に、彼は最初に契約した一人となった。地形をナビゲートする技術は、彼を部隊で非常に有用な人材としたのである。
 ゲーム内ボーナス: ピョートルは森ですべての移動ペナルティを無視する。

 ローマン・コー(ラ・グランド・アルメ): 幼少期に時代遅れの継承権戦争メックと氏族強襲メックの恐ろしい戦いを目撃したことで、ローマンはまず最初に一番大きい脅威を取り除くことの重要性を知った。戦友たちは彼の理論を理解しているが、自動的に実行することに頭を抱えている。実際、他のメック小隊指揮官たちの一部は、それに固執することに異議を唱えているのだ。
 ゲーム内ボーナス: 各ターンの開始時点でローマンは敵の氏族メック1機を指定する。存在しない場合は、大きい順に3機のメックを指定する。彼がそのメックに向かって移動する限り(GMが裁定する)、追加の目標移動修正を+1受け取り、1点でもダメージを与えたならすべての距離で1点のダメージを追加する。




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