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作成:2004/08/27
作成:2005/09/11

プロトメック ProtoMech



 プロトメックはスモークジャガー氏族が開発した2〜9トンの小型メックです。ちょうどバトルアーマーとバトルメックの中間にあたります。





 ハントレスの霧深いジャングルで、サーペント機動部隊は、まったく予期していなかった最新鋭の氏族技術と衝突した……軽量ですばしこいメック捕食者である。中心領域の戦士たちは後にそれをプロトメックと呼ぶのだと知った。物陰から飛び出て、突進してきたこれら半分の大きさのメックは、ジャングルに消えていく前に、敵を驚かせる短い仕事をした。

 スモークジャガーが敗北し、中心領域は捕獲したデータを分析する機会を得て、なじみのないマシンの歴史と能力を学んだ。すぐに他氏族の軍隊はプロトメック技術を得ることになるだろう。中心領域は戦う準備を整えないとならない。


プロトメックの歴史 HISTORY OF THE PROTOMECH

 ツカイード戦後、スモークジャガー氏族は深刻な問題に直面した。彼らが奪った中心領域の占領域はすべてドラコ連合からのものであった。この国の恐るべき戦士たちは、ブシドー(戦士の道)のドクトリンを持っており、それが彼らをタフに、弾力性に富んだ敵にしていたのだ。ジャガーは民間人と連合軍の兵士から常に嫌がらせ攻撃を受けていた。連合人の持つ複雑な名誉のシステムが、敗北を受け入れるのを妨げていたのである。ゲリラの暴動と襲撃が、ジャガーのバトルメック資源を限界まで引き延ばしていた。

 ジャガーが物質的に追い込まれたのはこれが初めてではない。過去何度もジャガーは自身を守るのに乏しい資源しか持ってなかった。そしてそのたびに、彼らは勝ち残り、再建してきたのである。30世紀後半のこと、スモークジャガーの科学者は、新たなバトルメックを作るには鉱物が足りないことを認め、将来あり得る中心領域侵攻に備え、革新的な解決法を考える必要に迫られていた。そうせねば、取り残されてしまう。


極秘計画 THE SECRET PLAN

 スモークジャガー氏族トップの科学者たちが、新しい兵器を作り始めた。それはバトルメックと成功したエレメンタルバトルアーマーを組み合わせたものである。バトルメックの半分の全長で、重量はほぼ1/10しかない。つまり炭素鋼、マイアマー、その他の稀少な製造用資源を1/10しか使わないということだ。小型のエンジンが製造コストをさらに押し下げ、資源を使わない一方で、より多くを製造できる。これらいわゆるプロトメックの5機からなる1個ポイントが、バトルアーマー1個ポイントのように同調して働き、1機のバトルメックと同等の効果を出す。その一方で必要な製造用資材はバトルメックの半分なのである。

 サリオ(鳥のウソ、最上位の科学者が携わるプロトメック開発計画のひとつ)もまた古代地球の神話から学び、それぞれのプロトメックに神話からコードネームを名付けた。開発が進むと、設計者たちはこれらの神話的なテーマをプロトメックの外見に盛り込んだ。恐ろしいデザインにすることで、プロトのパイロットたちが、敵を畏れさせるアドバンテージを得るだろうと、彼らは考えた。

 新型マシンが開発されたのと時を同じくして、ジャガーの遺伝科学者はそれにあったパイロットを創り始めた。プロトメック胴の狭苦しいスペースに収まるため、新しい人種は巨大なエレメンタルとは正反対に、気圏戦闘機パイロットよりも小さい必要があった。

 研究の過激な性質を考慮して、科学者たちは氏族長に計画を伝えることなく動き始めた。氏族長がこの新兵器の大量生産を考える前に、戦場で実力を証明せねばならないことを科学者たちは知っていた。それは計画が秘密裏に進行することを意味した。

 実際に、数十年の研究と数十機の試作品を費やしても、科学者たちはいまだ結果を残せないでいた。このマシンのコクピットは適切なサイズからは小さすぎ、遺伝子工学者たちはプロトメックを操縦するのにふさわしい新しい人種を産み出せなかったのである。


ブレイクスルー THE BREAKTHROUGH

 技術の進歩が最終的にプロトメックを実用化した。強化視覚(EI)の登場である。リバイバル作戦のあいだ、氏族の科学者はEIシステムを開発した。メック戦士、エレメンタルとマシンの接続を強化し、反応時間を向上させ、射撃の正確さを増すものだ。この技術には法外な代償がついてまわった。システムを完全に使うには、大規模な電子装備の移植手術が必要なのだ。皮膚の表面近くに見えるそれはやわらかく光る「タトゥー」であった。これらの移植は患者の神経によくない効果をもたらす。一定期間(たいたいは1〜5年)の後、患者は精神的に不安定になり、しばしば偏執狂になる。この移植は、稀にだが、死か緊張病をも引き起こす。

 危険がともなうために、最も攻撃的な侵攻派戦士だけがEI技術を使う。彼らのほとんどはEIタトゥーによる衰弱を撃退するためにすぐ薬の中毒になる。これらの欠点にもかかわらず、戦場におけるこういった戦士たちの恐怖に疑問を挟む者はいない。よってこの習慣は族長会議(通常は人工的な強化に眉をひそめる)から沈黙の認可を得ている。

 システムのさらなる改良が必要であるが、EIの基本的な概念は、ジャガーの科学者にとってプロトメック操縦の基礎となった。パイロットはプロトを神経で直接操縦することで、ジャイロスコープと通常サイズの操縦席を不要としたのである。こうして、パイロットに必要な胴のスペースと、武装の充分なスペースが確保されたのだった。


プロトメックのパイロット PROTOMECH PILOTS

 強化視覚によって技術的問題の打破に成功したものの、遺伝子の研究はかんばしい結果を残せなかった。新しい人種の戦士を産み出すことができず、スモークジャガー氏族は新型マシンのパイロットを得られなかった……例外は志願した気圏戦闘機パイロット(戦士階級に入る試練に失敗した者たち)である。この一時的な妥協でまた問題が解決された。

 ほとんどの氏族がそれを認めないだろうが、気圏戦闘機パイロットの血統を作る試みは基本的に失敗していた。鋭い感覚、反応時間の短縮、高G機動への耐性を組み合わせた気圏戦闘機パイロットは、氏族の遺伝子工学のもっとも極端な例である。こういった特徴を持ち合わせた人間は、ほとんどが滑稽なほどに小さく痩せていたが、特徴の副次的な効果として巨大な頭と目を持っていた。実際に、すべての効果が注入され、集中的な訓練を受けているにも関わらず、氏族のパイロットは中心領域の相手より劣っていることが証明された。

 この悲しい事実はプロトメックの設計者を負かさなかった。彼らは下層階級に格下げされる航空パイロットの増加を良い機会と見ていたのである。数年に渡って、ジャガーの戦士階層から外れたパイロットたちが、新戦闘機のテストをすると偽って、プロトメック計画に「割り当て」られた。こういったパイロットたちは戦士として氏族に仕えるチャンスを得たのである。

 航空パイロットはプロトメック操縦にあう多くの特徴を持ちあわせていた。彼らは背が低く、細く、プロトメックの狭い操縦席に適合したのである。その脳と循環器系は高Gの機動に耐えうる。これは偶然にも、プロトメックを直接操縦する神経インタフェースの負の面に抵抗できる能力を与えたのだ。

 プロトメックを操縦するあいだ、パイロットはプロトがあたかも自分の身体であるかのような感覚を味わう。彼はプロトメックの外部センサーを通して「見る」。身体を動かすと、代わりにプロトメックが移動する。実際の身体は命令に気づかず反応しない。パイロットは肉体がメックの胸内で曲がっていることにぼんやりと気づくだけだ。この動きから受ける筋肉のストレスは極めて高い。また典型的なプロトメックの軽やかな駆け足で揺れるパイロットは、コクピット内で相当な苦痛に耐えねばならない。

 パイロットはあたかも自身がマシンであるかのように感じ、卓越したコントロールを与えられる。だが、この直接的な接続は、パイロットが痛みを感じることもまた意味する。弾薬誘爆時にメック戦士が神経ヘルメットを通じて受けるように、神経的なフィードバックを通してマシンから痛みを受ける。たとえば、プロトメックの腕が落ちたとき、あたかもほとんど自分の腕が引き裂かれたかのようなすさまじい痛みを加えられる。プロトメックのパイロットたちはこの効果に対処する訓練を特に受けているのだが、このような「幻痛」はいまだ戦闘中に弱点となる。

 人と機械の精神的結びつきは「神の観念」の類をもたらす。パイロットはもう止められないかのように感じるのである。マシンから離れるのを嫌がり、プロトメックが自身の身体であるかのように考え始めることすらする。幸運なことに、プロトメック1個ポイントは結束の強いチームである。問題となる前に、ポイントの他のメンバーがたいていはそのような態度をコントロールできる。コクピットの内外でポイントのメンバーは固まって行動し、事実上離れないのである。

 プロトメックに任命されたパイロットたちは、EIタトゥーを身体の隅々に入れる。厳しいプロトメック操縦席に対応するため、常に鍛えねばならない。この理由から、一般に彼らは筋骨隆々(航空パイロットに比べると)で、非常に健康だ。


プロトメック THE PROTOMECH

 典型的なプロトメックは4〜6メートルの高さで、2〜9トンの重量がある。パイロットは首のちょうど下の胸上部の小さな個室に入る。胴の残りはエンジン、武器、駆動系である。

 バトルアーマースーツより大きいがバトルメックより小さなプロトメックは、両タイプの兵器と同じ能力を持っている。その小さな身長でバトルメックには無理な地点に隠れられる。損害を負わずビルを通って移動することすらできる。

 もっとも小さいバトルメックと比べてすら、プロトメックそれぞれは印象的な武装を持っている。そして5機編成のポイントで運用されるので、プロトそれぞれ個別の欠点を、息を合わせた射撃で補うのである。

 プロトメックはまた丈夫である。バトルメックに比べて装甲が薄いのであるが、腕や頭を失った状態でさえ、戦闘能力を持ち続けるのである。

 パイロットは神経インタフェースを通し、プロトメックをあたかも自分の身体であるかのようにコントロールする。それがゆえにプロトメックのデザインは完全な人間型である。火力を補うため、プロトメックはメインガンと呼ばれる手持ちの大型兵器を携帯する。これらの武器は胴で支えるが、両手で撃つ。こうすることによって、手で大型のマシンガンを撃っているかのように、パイロットは武器の照準を調整できるのだ。この射撃方法は標準的な歩兵の武器に似ているので、プロトメックは訓練と正確さで大きな利点を得る――その一方でバトルメックとプロトメックのパイロットは、「身体」に直接装備された武器(不自然なもの)の正確な射撃を学ばねばならない。プロトメックはメインガンを、人が拳銃やライフルを扱うかのごとく、簡単に用いる。これが射線に自由度を与えるのである。


プロトメックの配備 PROTOMECH DEPLOYMENT

 ハントレス戦のとき、スモークジャガー氏族だけがプロトメック技術にアクセスできた。リンカーン・オシス大氏族長は、戦闘の後でその存在を知った。長い極秘計画に対する彼の怒りは、氏族の絶望的な状況、そして精強な敵に対するプロトの確かな成果で、やわらげられた。ハントレスでの絶望的な戦闘のさなか、ジャガーは致死的なまで効果的にプロトメックを使用した(究極的には敗北したのだが)。驚くべきデビューを飾ったこの過激な新マシンを、他の氏族は無視することができなかった。確かにプロトメック技術は他の氏族の手に渡っている最中である。侵攻派氏族が最初にプロトメックを展開すると思われる。戦士たちがもっとも強化視覚手術を受け入れそうだからである。

 アナリストたちは、中心領域はこの新技術を採用しないと確信している。その第一の理由は、航空パイロットの血統も、操縦するのに必要なEI技術も両方とも持ち合わせていないからだ。中心領域がこられの技術を入手したとしても、強化視覚の身体を蝕む手術が必要なことで、充分な志願兵を集めるのは難しいだろう。








クリュサオル CHRYSAOR
重量: 6 トン
シャーシ: スタンダード
パワープラント: 55
巡航速度: 65 キロメートル/時
最高速度: 97 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
 ジャンプ能力: なし
装甲板: 通常
武装:
 ERマイクロレーザー 4門
製造元: スノウレイヴン氏族、ブラッドスピリット氏族
通信システム: 不明
照準・追尾システム: 不明


概要
 最初に量産体制に入ったのはセスロプスなのだが、クリュサオルは事実上、ブラッドスピリット、スノウレイヴン氏族の間で合意に達した2機のうち最初の1機であった。しかしながら、仕様を達成するのが不可能であると判明し、また故障が頻発したことから、設計まで戻って、最終的な生産版を完成させたのである。

 もしこれが不十分なものであったら、クリュサオルのイメージは最初の配備で取り返しのつかないものになっていたろう。スピリットのアルカディア飛び地領土を奪還する入札で、クリュサオル1個完全三連星隊が、オミクロン銀河隊の第171クリムゾンガードに配属された。だが、ガードの指揮官(スザンヌ・チャーチ)は、プロトメックの新たな役割を受け入れることができず、彼らを浪費した。これが、オミクロンがアルカディア飛地領をそう長く確保できなかった重大な理由のひとつになった。失敗の理由を「無価値な」プロトメックに押しつけたスターコーネル・チャーチは、この機体の撲滅を進めただけでなく、ブラッドスピリット内でのプロトメックに対する信用をおとしめようとした。

 だが、アンドレ・ブラッドスピリット(プロトメックパイロット)がスターコーネル・チャーチに対し、不服の神判を宣言した。挑戦に含まれる嘲りと公共性は無視できるものでなかった。そして、素晴らしい戦術を用いたアンドレはスターコーネルを下したのである。

能力
 クリュサオルは、速度、火力、装甲をうまくまとめた、信頼のおける中型機である。目立たぬ一方で、クリュサオルのワークホースデザインは、常に良い仕事をしてのけてきた。

配備
 ブラッドスピリット、スノウレイヴン氏族の双方が、クリュサオルを配備している。だが、不確かな数量が、ダイアモンドシャーク商人の手に渡っている。伝えられるところによると、アルカディアの大敗北の後、アンドレが評判を取り戻したにもかかわらず、割引価格で購入したとのことである。それ以来、中心領域の氏族に多数が売られたとの噂だ。

派生型
 精度と火力を引き替えにした派生型が登場している。長距離マイクロレーザー4門を、マイクロパルスレーザー2門と交換している。





タイプ: クリュサオル
技術ベース: 氏族プロトメック
重量: 6トン
戦闘価値: 101

装備                重量(KG)
内部中枢:                 600
エンジン:        55       1500
    歩行:        6
    走行:        9
    ジャンプ:      0
放熱器:          4       1000
操縦機器:                 500
装甲板:          28       1400

            内部中枢    装甲
頭部:           2         3
胴中央:          6        10
主砲           -        -
左/右腕:         2/2        4/4
脚:            4        7

武器・装備       配置      重量
1 ERマイクロレーザー  右腕       250
1 ERマイクロレーザー  左腕       250
2 ERマイクロレーザー   胴       500




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