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作成:2006/09/23
更新:2014/05/21

ミルスペック MilSpec



 Record Sheets: Phoenix Upgrades に掲載されている新型メック(派生型)の簡易テクニカルリードアウトです。年代は、3067年以降の聖戦期のもの。
 BattleCorps MilSpec より。











サンダーボルト Tinker, Sprinter and "Angry"
タイプ/モデル:TDR-11SE サンダーボルト TDR-11SE Thunderbolt
重量:65トン
シャーシ:アースワークスTDR II・エンドースティール
パワープラント:260マグナ・ライト核融合
巡航速度:43 キロメートル/時
最高速度:64 キロメートル/時
ジャンプジェット:チルトン466強化型
 ジャンプ能力:180メートル
装甲板:スターシールドA(CASE付)
武装:
 セレスアームズ・スラッシャー・スナブノーズPPC 1門
 ドゥームバド・マルチミサイルランチャー7 1門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 3門
製造元:アースワークス有限会社
 主要工場:キーストーン
通信システム:ネイル8000(ガーディアンECM付)
照準・追尾システム:RCAインスタトラック・マークX(ターゲティングコンピュータ付)


 ここ、自由世界の我々はサンダーボルトを愛している。オリオンに継ぐ、我が国の主力メックの一機である。我々は都合良く、この機体が元々カペラで設計されたことを忘れている。そして我らがいじくり回したのだ。際限なく。

 だが、他の国でもそうされている。

 近年の緊張と改装施設の供給過剰で、いくつかの興味深い改良型が現れた。最も一般的なのは、標準的な傭兵型のサンダーボルトである。カペラ製のスナブノーズPPCが右腕に搭載され、中口径レーザーの群れがバックアップする。しかし白眉となるのは胴体の巨大なドゥームバドMMLシステムである。これは旧式T-ボルトのSRMとLRMをひとまとめにしたものだ。エンドースティールとライト核融合エンジンが重量を軽減し、これらの危険な兵器と、六基の強化型ジャンプジェットを載せる余裕を作りだす。

 ライラは最新型のサンダーボルトを快速機とした。MASCが速度を時速90キロメートル近くにまで向上させ、その一方で、ガーディアンECMが高度な電子機器からこの機体を守る。武装はきわめて標準的――ERPPC、レーザー群――であるが、このメックの興味深い部分はほとんど撃墜が不可能と思われるところである。コンパクトエンジンと強化ジャイロは、このメックの撃墜スコアを得るために、胴のすべてを焼き尽くさないとならないことを意味する。

 三機目の派生型が少数だが稼働中で、私はこれに怒ってると言わざるを得ない。だれかが大型のエンジンを搭載し、このT-ボルトを高速にした……彼らは速くするためにMASCを付け加えたのだ。この機種は150メートルのジャンプ半径を持つ。重装甲。三重強化筋繊維。弱い者いじめをするガキ大将である。私はまだ武器に関する話さえしていないのに、だ。

 それはすべてエネルギー兵器である。2門のフシゴン・スナブノーズPPC。ER中口径レーザー群。2門の各種パルスレーザー。小型にしたウォーハンマーのようである。恐ろしい機体だ……もっとも、すべての武器をつなぐXLエンジンが、貫通ダメージに脆弱なことを認めざるを得ないが。私のこの機体と遭遇したくない。






グリフィンIIC5 Stalwart Nova Cat Weaponry
タイプ/モデル:グリフィンIIC5 Griffin IIC 5
重量:40トン
シャーシ:NCISタイプM・エンドースティール
パワープラント:240コンソリデーテッド核融合
巡航速度:64 キロメートル/時
最高速度:97 キロメートル/時
ジャンプジェット:ノースロップ・スターリフターM41
 ジャンプ能力:210メートル
装甲板:アルファコンパウンドフェロファイバー
武装:
 シリーズ34NC・ライトマシンガン 6門
 シリーズ7NC・ER大口径レーザー 1門
 シリーズ1NC・ER小口径レーザー 1門
製造元:イレース・アルファ、バーセラ・アルファ、ブリム・アイアンワークス
 主要工場:イレース、バーセラ、ブリム
通信システム:JNEインテグレーテッド
照準・追尾システム:ビルド3 CAT TTS


 グリフィンIICは、氏族宙域を離れる前からノヴァキャット氏族の標準的な二線級中メックであった。三カ所の工場(イレースから盗んだデータによる推測――確認のためバーセラ、ブリムに赴いたことはない、もちろん)での大量生産により、長年の間、臨時守備星団隊の目立った特徴になり続けたのである。ノヴァキャットがドラコ連合宙域に受け入れられてからも、この慣習は続いたのだが、ノヴァキャットはドラコで繰り返し起きている問題もまた引き継いでしまったのだった。

 グリフィンIICの対歩兵バージョンのデータを見た私は、ダイアモンドシャークの狂ったメック、ピラニアを思い出した。6門のライトマシンガンはこの最新型グリフィンに非装甲歩兵への射程と壊滅的火力を与えているが、バトルスーツ歩兵に対しても挑戦が行われるのではないかということを認めなければならない。

 その他の変更点は、武装の配置を若干変えたことである……小口径レーザーは胴に移され、ER大口径レーザーは頭部搭載となった。これはメック戦士でない私から見ると良い変更なのではないだろうか――コクピットのすぐ横に莫大なワット数があるというのがどういうことなのか私にはわからない。わからないが――おそらくノヴァキャットの乗り手たちはコクピットで涼を得ているのではないだろうか?

 本当に興味深いのは――私の目から見て想定外だったのは――強化型ジャンプジェットが組みこまれたことである。これによってグリフィンのジャンプ半径は210メートルにまで達している。驚くべきことは、研究によると、この機体が270メートルまで飛べたはずだということである。なぜこうなったのか、唯一理解できる説明は、通常のグリフィンIICを超える30メートルは敵を惑わすためのものだということである――あのグリフィンは遠くまで飛びすぎただけなのか、それとも幸運にもそれを成し遂げただけなのか?






オストスカウト Boring Recon? No More!
タイプ/モデル:オストスカウト OTT-10CS
重量:35トン
シャーシ:クルップ・エンドースティール
パワープラント:280VOX XL核融合
巡航速度:86 キロメートル/時
最高速度:129 キロメートル/時
ジャンプジェット:ローリングス45i
 ジャンプ能力:240メートル
装甲板:クルップ155
武装:
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 2門
製造元:クルップ兵器製作所
 主要工場:地球、オレステス
通信システム:エクセスター・ロングスキャン300(強化型C3付)
照準・追尾システム:TRSSイーグルアイ


 オストスカウトは常に中心領域で最高の偵察用バトルメックであると見なされてきた。非常に脆弱でまた需要が高かったことから、彼らは継承権戦争の時期にちょっとしたロステックであると見なされすらしたのである。グレイデスメモリーコアが解析されてからの技術的復興の時代、オストスカウトは新たな生命と新たな任務を与えられた。オストスカウトの名声は、新型の斥候メックが開発され使われるようになると、ゆっくり衰えていった。現代のメック戦士たちは、オストスカウトを驚異的と見なさず、信頼性があると見るようになり始めている。

 最近、コムスターが最新のアップグレードモデルを作成し、オストスカウトの支持者たちはこれを究極の偵察メックであるとして喝采を浴びせた。この機体はアクティブプローブ、ECMスーツ及びコムスター考案の新型C3iモジュールを搭載している。この機体は待ち望んでいる師団の元へと送られていった。だが、購入担当士官にとっては残念なことに、このメックはファンファーレを持って迎えられたわけではないのである。この偵察メックを与えられたメック戦士たちが不平を漏らし、また戦闘に加わらないようにされているとの静かな噂が広まっている。

 購入者たちは、非公式の不平を聞き、書類仕事をしてオストスカウトを改装するよう命令した。戦闘が出来るようにだ。

 新型の改装仕様は、高度なC3iモジュール以外をすべて取り外し、電子装置をローリング強化ジャンプジェットに交換して、このメックに300メートルのジャンプ半径を与えている。エクストラライトジャイロがエクストラライトエンジンの近くに載せられ、重量をさらに軽減している。二重効率放熱器が残ったスペースを埋め、この戦闘版新オストスカウトに熱の蓄積なしに最大限ジャンプし、レーザーを射撃する能力を与えている。

 実戦報告によると、パイロットたちは復讐心を持ってこの新型オストスカウトに乗り込み、その途方もない機動性を使って敵の近くに跳躍するか、あるいは敵陣の中に入り、仲間にC3データを転送する。固定観念を持った多くのパイロットたちはデリケートなオストスカウトが支援射撃すらしないことを学んでいるが、敵の多くはすぐにそれが克服されたことを知るのである。






ワスプ Solid Periphery Machinery
タイプ/モデル:ワスプ WSP-7MAF
重量:20トン
シャーシ:ヘルスポント・タイプW・エンドースティール
パワープラント:160 ヘルメス核融合
巡航速度:86 キロメートル/時
最高速度:129 キロメートル/時
ジャンプジェット:ヘルスポント・リーパーズ
 ジャンプ能力:240メートル
装甲板:ショレッサ328
武装:
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門
 ドゥームバド・マルチミサイルランチャー5 1門
製造元:ヘルスポント工業、タウラステリトリアル工業、デトロイト・コンソリッデート・メックワークス
 主要工場:シーアン、タウラス、デトロイト
通信システム:ヘルスポント・タイトビーム
照準・追尾システム:ラッドコムTXXI


 ワスプは、ローカストやスティンガーとほぼ同じくらいの機数が活動している。ローカストよりは低速で、スティンガーはよりは数が少ないのだが、その一方で、ワスプは常にその速度と火力により軽メックパイロットたちのお気に入りとなってきたのだ。中口径レーザーと2門のミサイルはより大型のメックにかなわないが、ワスプは加熱せずコンスタントに射撃可能である――ワスプはその名の通り、予想もしなかった時に周囲を飛び回って刺し続けるのだ。

 (カノープス)統一政体はこの哲学を胸に、カペラの助力を借り、おそらくはデトロイトの工場を使ってワスプをさらに危険なものとした。

 出力160のエクストラライトエンジンが、この7MAF型ワスプを継承権戦争期のローカストと同速度にし、追加のジャンプジェットがスパイダーと同じジャンプ能力を与える。中口径レーザーはERモデルと交換されて射程を伸ばし、同時に左足の2連短距離ミサイルシステムが取り外され、左胴の5連マルチミサイルランチャーに交換された。長短距離ミサイル用の弾薬庫がランチャーの周囲にもうけられ、MAFワスプに他のメックを真似る能力を与える。我らはこの機体を上手くコピーできるのではないだろうか。

 考えてみる……このメックはスパイダーと同速度で同ジャンプ能力である。LRMを使えばホーネットの弾幕と同等であり、ハンマーの半分である。短距離ミサイルに切り替えれば、ディヴァース・オプティクスと組み合わせて、旧式のコマンドゥとほぼ同等の短距離射撃が可能である。旧型機がほとんど敵への嫌がらせにしか使えなかったのに比べ、この新型機は多くの任務に適しており、そのいくつかを一度に行える。

 辺境もたまには成功することがあるのだ。






スティンガー Faster Than a Falling Atlas
タイプ/モデル:スティンガー STG-5T
重量:20トン
シャーシ:アースワーク・STG II・スタンダード
パワープラント:120 VOX 核融合XL
巡航速度:64 キロメートル/時
最高速度:97 キロメートル/時
ジャンプジェット:ローリングス52スタンダードジャンプジェット
 ジャンプ能力:180メートル
装甲板:デュラレックス・ライトフェロファイバー
武装:
 ドゥームバド・マルチミサイルトリオ 2門
製造元:ヴァンデンバーグ機械工業、ピナード保護領有限会社、デトロイト・コンソリッデート・メックワークス
 主要工場:マクロードランド、ニューヴァンデンバーグ、デトロイト
通信システム:ガレットT10B
照準・追尾システム:O/P 911


 スティンガーはある時期の中心領域で最も生産されたバトルメックだったという名誉を得ている。その競争相手となったのは、ワスプやローカストだ。有名なローカストほどの知名度はないが、スティンガーは常に信頼に応え続け、それゆえ長期にわたって生産されてきたのである。

 さて、上記の事実と、売れ残ったバトルメックがほとんどないという事実がある。大量のテストベッドを前に、だれかが機体をいじり始めるのは時間の問題だった。

 辺境ではタウラス人が、メックを抜本的に作り直して軽弾幕打撃機とした――改装してるのか、一から生産しているのかは不明である。2門の3連マルチミサイルランチャーがスティンガーのパイロットに他の軽メック以上の柔軟性を与える。皮肉にも、このメックが最大の戦果を上げたのは、ホーネットに乗っていたダヴィオンの失機者に与えられた時のことである。タウラス人がMMLの扱いに困っているようなのを見ると、一定数が捕らえられたか回収されたと思われる。

 中心領域の向こうにいきなり現れた比較的シンプルな新モデルは、元の武装をすべて取り外して、中口径レーザーのあったところに、新型のフシゴンライトPPCを乗せている。この兵器はなじみ深い場所に載せられているが、旧型レーザーの倍の射程があるので、スティンガーのパイロットは訓練し直さねばならない。

 シュタイナー宙域では生存性が重視されているようだ――私が推測するところでは、機体を修理し続けるのはコスト高なので、最後まで戦い続けられるようにすると、この数年でライラは決めたのだろう。ヘビーフェロファイバーがメックの防護性を向上させ、2門のライトマシンガンが通常型と交換された。長射程中口径レーザーを載せられたライラのスティンガーは、遙か遠くから交戦可能である。ライラのメック戦士たちは敵に近づく前にダメージを与える多大なチャンスがあるかもしれない。

 もちろんのこと、スティンガー乗りたちは、倒れたアトラスより速く動くものに命中させることが出来るだろう。






ローカスト Speed Demon
タイプ/モデル:LCT-6M ローカスト
重量:20トン
シャーシ:コリアンII・デュラックス・エンドースティール
パワープラント:240ヘルメスXL核融合
巡航速度:151 キロメートル/時
最高速度:226 キロメートル/時
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:カロンFWLスペシャルフェロファイバー
武装:
 マグナMkIV・ER小口径レーザー 1門
 マグナMkVI・ER中口径レーザー 2門
製造元:コリアン・エンタープライズ
 主要工場:スチュアート
通信システム:ガレットT10B
照準・追尾システム:コリアン・カルクマスター


 小さなローカストはこの中心領域のいたるところで見られるメックである。両手両足の指で数えられないほどの派生型とワンオフ機が走り回っていると見られる。そして我々はそこに新たな1機を付け加える。

 ローカストは小さくて弱いメックである……200クリック(km)先から1時間で駆けつけてきてくれるものを弱いと呼ぶのであれば。しかし、本機は常に高速で、信頼性が高く、手に入りやすい。よってこの機体がいじくり回され続けるのに驚きは感じないのである。少なくとも、今回、彼らはうまくやったようだ。

 ここ、マーリック宙域で、我らは長年にわたって宇宙最速のローカストを市場に売り出してきた。これが最大のセールスポイントだったのである。わかるだろうか? ダート、ファイアボール、その他の鈍足マシンと戦うために、我らはローカストの最高速度を上げた。さらにスピードアップした最新モデルがアリス(マーリック)の改造工場から登場した。余分なレーザーを取り外して、マイアマー加速信号回路(MASC)を取り付け、大型エンジンを載せるためにエクストラライトジャイロを使っている。この新型ローカストは時速300キロを超えるのである!

 他の新型がダヴィオン宙域で観測されており、プレイアデス星団の頑固なタウラスの連中の手にある。彼らは既存のローカストに同サイズのエクストラライトエンジンを取り付け、装甲をフェロファイバーに積み替え、連結した三門のライトマシンガンを両腕のマシンガンアレイに取り付けている。これらは遭遇したダヴィオンRCTの歩兵隊を地獄にたたき落とし、崩壊した惑星市民軍に走り寄って破壊をもたらす。小型MGは通常型より火力に劣るのだが、射程距離は長い。これは敵が遮蔽に隠れる前に、なぎ倒すことが出来るかもしれないのを意味している。





バンシー Another Banshee rears its Death’s Head
タイプ/モデル:BNC-9S バンシー
重量:95トン
シャーシ:スターリーグXTスタンダード
パワープラント:285ピットバン・ライト核融合
巡航速度:32 km/h
最高速度:54 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:スターシールド・スタンダード(CASE付)
武装:
 ディファイアンス753 ヘビーPPC 1門
 ディファイアンスE3M 長射程中口径レーザー 3門
 ディファイアンスB3M 中口径レーザー 1門
 ディファイアンス250 ライトPPC 1門
 ポランド・メインモデルA・ガウスキャノン 1門
 ターヘス・マキシSRM-6ラック 1門
製造元:ディファイアンス・マニュファクチュアリング・アネックス
 主要工場:クァンジョン・ニ
通信システム:アングスト
照準・追尾システム:アングスト・エンハンスド・クリアービュー4B


 歴史上、バンシーの運勢は上下を繰り返した。7Sが、6Sを超える驚異的な成功を納めた後で、ディファイアンスは再びフラッグシップ機のアップグレードに目を向けたが、理想的な設計を求めてラインを止めたくはなかった。元辺境世界共和国の惑星の再生された工場を使用して、ディファイアンスは2機のモデルをテストし始めた。アックスをふるう8Sは良く知られることとなる……役員たちが計画していたのとは違った形で。ラインが組み替えられた直後に、ワード・オブ・ブレイクがヘスペラスIIを奪取し、その生産物を使用し始めたのである。

 死活的にキャッシュフローを必要としていたディファイアンスはクァンジョン・ニでこのモデルを出来る限り早く生産し続けた。だが、彼らは9Sのラインもまた持っており、生産し始めたのである。9Sバージョンの大半はアダム・シュタイナーの連合軍に送られ、ドネガルでワード・オブ・ブレイクに激しい衝撃を与えた。ブレイク軍がライラとの交戦にはいると、彼らはこの巨大な新型強襲級メックの真実を知ることになった。その速度は旧型の3Sと同じであるが、信頼性の高いピットバン285のライトバージョンを使用している。18トンの通常型装甲とCASEがこの低速度を相殺し、XLジャイロの使用が武装に回す分の重量を浮かせている。

 遠距離で、このバンシーはヘビーPPCとガウスライフルを敵に見舞い、ライトPPCはほとんど泣きっ面に蜂となる。近づくユニットはこれらの弾幕に加えすぐさま3門の長射程中口径レーザーに気づくことになるだろう。そして最後には至近距離で通常型中口径レーザーと6連SRMを見る。14基の高性能放熱器は、パイロットが順番に武器を撃つ限り、発熱の問題なしにほとんどの武器を撃たせることができる。この火力と装甲がマシンを充分危険なものとするが、ライラは正確な射撃によってローブ野郎たちを驚かせた。

 そのうちの一部はシュタイナー将軍の訓練によるものなのは疑いようもないが、このバンシーのパイロットはすべての兵器(ミサイルシステム除く)に直結した8トンの巨大ターゲティングコンピュータの補助を受けているのである。目標に近づくと、バンシーはブレイクの最も傷ついた部分に照準をあわせる。弾のうち多くは外れるが、傷をえぐるのに充分な命中があり、敵を思っていたより早く落とすのである。ドネガルでの成功に伴い、ディファイアンスは9Sを限定生産し続けることになるだろう。





グリフィン Successful Endeavor on Marduk
タイプ/モデル:GRF-5K グリフィン
重量:55トン
シャーシ:アースワークスGRF
パワープラント:ディファイアンス275・ライト核融合
巡航速度:54 km/h
最高速度:86 km/h
ジャンプジェット:ローリングス55
 ジャンプ能力:240メートル
装甲板:スターシールドA(CASE付)
武装:
 ロードライト4・軽荷電粒子砲 1門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門
 シグンガLRM-10 1門
製造元:ヴィクトリー・インダストリーズ
 主要工場:マーダック
通信システム:ネイル6000
照準・追尾システム:RCAインスタトラック・マークX


 クリタ人は充分な量のグリフィンを入手できていないようだ。

 マーダックのヴィクトリー・インダストリーズはこの数世紀、グリフィンとウルバリーンを製造しているのだが、グリフィンの生産ライン一本だけでは、ドラゴンにとっては充分でないようである。昨年の後半、DCMSは(自由世界)同盟内の反アトレウス陣営と取り引きして、有利な価格でグリフィンの基本シャーシを購入し、それからマーダックのラインで改装を行った。新型のグリフィン5Kは地方部隊にまとまった数が届き始めたところである。数量は多いようだ。打撃力のあるパンサーやダイミョーと組んだ時、このメックは真価を発揮するだろう。

 偵察中隊の支援機として設計されたこの新型グリフィンは、打撃力より速度を重視している。祖父はいつも速度は命に等しいといつも言っていた。だからクリタ人がメックに施したのは、賢いやり方なのだろう。-5Kは強化ジャンプジェットを使用し、同クラスの他のメックよりもはるかに大きい240メートルものジャンプ半径を持つ。これは高名なレイスよりも上である。ライト・フェロファイバーはこのメックに適切な防護を与え、ライト核融合エンジンは生存性を保証する。

 実績のあるシグンガLRM-10が右の胴体に搭載され、装甲が再配置されているにもかかわらず、この新型に由緒ある原型機とよく似た外観を与えている。これを支援するのが、接近戦用のディヴァース・オプティクスER中口径レーザーと、長距離砲撃用のロードライト4軽荷電粒子砲である。ライトPPCはダメージを与える兵器というより妨害用であるが、グリフィンの機動力と耐久力と組み合わされた場合、相当な火力を生み出し、グリフィンを守るのである。CASEの搭載は、メック戦士が生き残り逃げるチャンスを増加させる。

 ライトPPC供給業者向けの図表から判断すると、ヴィクトリーの技術者たちは、その隣で一から生産しているメックよりも早く、グリフィンを仕上げているようだ。最大で見積もって28機から40機の新型5Kグリフィンが、ディーロン、ゲイルダン正規部隊に向かったと推測できるが、割り当てを守るため、あるいはセールスボーナスのために水増しされている可能性がある。産業データからの類推は危険なのである。

 リャオ宙域では、カペラ人がブレイク信徒から供給されていた多数のシャーシに改造を施し、シャドウ小隊に援護射撃を与えている。プラズマライフルがPPC(大連邦国内で一般的なもの)に交換されているが、その他の部分は何も変わっていない。私はスペック以上のデータはまだ見ていない。このデータを送ってくれた後で、マリルとは連絡が取れなくなっている。ヴィクトリアにいる彼女はちょっとしたエキサイティングな事態に巻き込まれたのかもしれない。彼女が無事なことを祈る……





オストロック Blakist In-Fighter
タイプ/モデル:OSR-5W オストロック
重量:60トン
シャーシ:セレスプレックス・オストロック・ライトエンドースティール
パワープラント:ディファイアンス300ライト核融合
巡航速度:54 km/h
最高速度:86 km/h
ジャンプジェット:ハイルドコー・モデル13
 ジャンプ能力:180メートル
装甲板:カロン・ユニティ・ウェーブ・フェロファイバー
武装:
 セレスアームズ・スラッシャー・スナブノーズPPC 2門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 2門
製造元:クレッスリー・ウォーワークス
 主要工場:エプシロン・エリダニ
通信システム:セレス金属モデル667(ガーディアンC3i付)
照準・追尾システム:セレス・ブルズアイ


 こそ泥である。奴らの全員が。単なるこそ泥だ。私は同じデータを三回比較してチェックしたが、それを否定することが出来ない。ワードはカペラ人のオストロックの設計を盗み、自分たちで使うためにエプシロン・エリダニの生産ラインで製造しているのだ。だが、ステルス装甲のカペラ版と違って、ブレイク版はフレームに組み込まれたC3i通信コンピュータの長所をフルに活用する接近戦機である。

 リャオ版にあった大口径レーザーは、一組のセレスアームズ・スラッシャー・スナブノーズ荷電粒子砲に交換され、入手しやすいディヴァース・オプティクスER中口径レーザーがしっくり収まっている。だがこの新兵器の鍵となるのは、ヘスペラス製のライト核融合エンジンである。これはPPCと超高密度のコンパクトジャイロを載せるのに必要な重量的余裕を生み出す。この組み合わせは、ブレイク派のオストロックを驚くほど撃墜しづらいものとする。落とすまでに、PPCと僚機からの攻撃が、我らにとって高くつくことを意味している。

 このオストロックがニューホームで傭兵と繰り広げた小競り合いの報告書が入手できた。峡谷の中で、新型オストロック2機を装備する1個レベルII部隊が、傭兵の中重量級2個小隊に待ち伏せを仕掛けた。ミサイル装備の機体が、峡谷の上で準備する一方、このオストロックが突撃を行った。

 最初の一斉射撃によって、ブレイク派のメック2機は傭兵のリーダーの乗ったカタパルトを倒した。狭い渓谷の中で、スラッシャー・スナブノーズPPCは特に危険なものだった。残りの傭兵がリーダーの復讐をしようとしたとき、ミサイル搭載機が砲火を開いた。私は祖父からウィングでの爆撃の話を聞いたことがある。私は、傭兵になにがあったかを想像出来る。

 私が復旧させたこのデータは、傭兵のバトルROMのひとつのものだ。記録されている最後の映像は、ブレイク派のオストロックが撃墜された機体を見下ろし、スラッシャーキャノンのキャパシターがスパークしているところである。キャノンが発光し、それからROMは停止した。

 ここでアイディアが尽き始めた。ワードはこれらのマシンの派生型を次々と作り始めている。そのうち一機は殺人兵器である。祖父は、それが良いマシンである以上に一人の兵士を作り出すためのものだと言っているが、ブレイク信徒たちは賭け金の分散を行っているようだ。

 私の頭の中で「潮流の変化」というフレーズが駆け回っている。そして今……潮流は赤色から愛国者たちの血に変わっているようだ。ワード・オブ・ブレイクは、王のように玉座に座り、潮流を満足げに眺めているのだ。





フェニックスホーク Capellan Mean Machine
タイプ/モデル:PXH-5L フェニックスホーク
重量:45トン
シャーシ:セレスプレックスIV・エンドースティール
パワープラント:ワーナー270M核融合
巡航速度:65 km/h
最高速度:97 km/h
ジャンプジェット:アンダーソン・プロップルジョン30
 ジャンプ能力:180メートル
装甲板:セレス金属ステルスアーマー
武装:
 セレスアームズ・プラズマライフル 1門
 セレスアームズ・長射程中口径レーザー 2門
製造元:セレス金属工業
 主要工場:聖アイヴス
通信システム:セレス金属モデル686(ガーディアンECM付)
照準・追尾システム:アップル・チャーチヒル2000


 カペラ人は、不誠実な小心者であるのが幸いし、ステルス装甲装備のバトルメックで多大な成功を収めた。これら特殊装備メックの小隊群は大連邦国のカペラ境界域侵攻でめざましい活躍を見せたが、良き修繕屋たちと同じように、カペラ戦略会議本部(Strategios)は既存の機体を評価して新技術を組み込むよう兵器設計者たちに命令した。

 彼らが文明的な行動をとるのに飽きて、三国同盟のパートナーの弱い部分を刺した時、彼らは出来の良い玩具を持つことになろう。

 新型のフェニックスホークはほとんど授かりものである。聖アイヴス製4L型の初期の成功を受け、エンジニアたちはこの機体を少しでも良くしようと、ちょっとした改良を施した。タイゲタ、ニューシルティスでの戦闘報告を参考に作業した彼らは、4Lの大口径レーザーを新型のクラッシャー・プラズマライフルに交換した。私はこの兵器に関する言及をカペラとブレイク派の各種ソースで見た……危険な兵器だということで意見が一致している。プラズマライフル、弾薬を載せる余裕を作るために、旧型のマシンガンとジャンプジェットは取り外されているが、プラズマライフルが強力な武器であるので、テストパイロットたちの大半は苦情を申し立てていない。

 クリタ宙域では、新派生型が聖戦戦士たちを押し返すべく戦い始めている。スナブノーズPPC1門が、このPXHに至近距離の大きな打撃力を与え、また生産されたばかりのライトフェロファイバー装甲が、安いコストでちょっとした追加防護を与える。ライト核融合エンジンは、それほどの重量なしに出力を提供しているが、この新型フェニックスホークの成功の鍵は、間違いなく巨大な強化型ジャンプジェットにあるだろう。これがフェニックスホークを至近距離に動かし、ロードライト・スナブノーズが信じられないダメージを生み出すのである。

 実戦の報告は見ていないが、過去の経験からリャオは新型PXHをシャドウ小隊で使い続けることになると予想する。最低1機の支援メックと組むのが理にかなっていると、私や話したメック戦士たちは考えた。なぜなら、火力支援を受けて、プラズマライフルを外さない距離まで近づけるからだ。もしかしたら、バトルアーマーとチームを組むことになるかもしれない……バトルアーマーが目標のダメージと熱負担を利用するのだ!

 クリタ宙域では、古い機体と同じことになると確信している……、近づき、動き続け、すべてを地獄にたたき落とすだろう!





シャドウホークIIC Diamond Shark Makeover
タイプ/モデル:シャドウホークIIC5
重量:45トン
シャーシ:NCISエンドースティール・タイプM
パワープラント:コンソリデーテッド核融合270
巡航速度:65 km/h
最高速度:97 km/h
ジャンプジェット:ノースラップ・スターリフターズM45
 ジャンプ能力:180メートル
装甲板:アルファコンパウンド・フェロファイバー
武装:
 ゼータシリーズ・Xプラズマキャノン 2門
 タウII対人ガウスライフル 3門
製造元:トレルシェア重工業
 主要工場:トワイクロス
通信システム:JNEインテグレードテッド
照準・追尾システム:ビルド3 CAT TTS


 色々な友達がいると助かるものだ。私は、ライラ宙域への調査に行った友人ジミーから、このうわさのひとつを手に入れた。親切なことに彼は、メモリーコアから概略図を抜き出し、私に送ってくれたのである。

 ダイアモンドシャーク(ライラにいる連中のことだ)は、二線級シャドウホークIICの新型を生産しているところだ。セールスの情報はなかったが、ジミーは入手してみせると言い張っている。この新型シャドウホークは間違いなく中心領域での使用を念頭に設計されている――これまで見てきた中で最悪の対人バトルメックの一機である。

 中量級メックの平均的な速度と、軽量級の機動力を持つ、この新型シャドウホークIICは中心領域のどんな歩兵部隊でも容易に圧倒出来る能力を持つ。信じがたいほど強力なゼータシリーズ・プラズマキャノン一組が、このメックの主砲である。継承権戦争の数百年の中でも、我らはプラズマのかたまりのような歩兵にとって危険なものを作ることはできなかった。高速対人ガウスライフル(マシンガンと同程度に危険)がこれをバックアップする。

 セールスデータがないので、配備状況は予想できないが、これまでの慣習から、このバトルメックが中心領域に販売されることはなさそうである。これが意味するところは、いたるところの歩兵に対して、新たな命にかかわる驚異が生まれたことだ。

 ジミーの情報によれば、もう一機の派生型が中心領域(少なくとも辺境近辺)に現れている。ヘルズホース氏族が、新型シャドウホークIICの束をウルフ氏族占領域の征服に持ち込んだようなのだ。スペックを祖父に見せたところ、彼は口笛を吹いた。彼にとって、それは最高の賞賛なのである。

 だが、誰かにとっての悪いニュースだ。

 エクストラライトエンジンは、ヘルズホースの派生型を野獣に変える余分なトン数を与えている。左胴の大半を埋めるのが、ハイパーアサルトガウスと呼ばれるものだ。私はこれがなにか知らないが、この名前は好きになれない。武装をまとめ上げるレーザー群が、この中量級メックに、我らの重量級と戦う力を与えている。車両氏族(ヘルズホース)もまた、強力なバトルメックを作り出したように思える。ここにある参照データによると、シグルドと呼ばれる辺境世界の戦いで、1個星隊のシャドウホークIICが、ウルフ氏族の前線星隊を撃破したとのことである。

 その機体は彼らにとって充分に優れていると思われる。私にとってただ喜ばしいのは、彼らが中心領域の向こう側にいることである。





マローダーII Legacy of Outreach?
タイプ/モデル:MAD-4K マローダーII
重量:100トン
シャーシ:GMマローダー
パワープラント:GM300ライト核融合
巡航速度:32 km/h
最高速度:54 km/h
ジャンプジェット:チルトン850 MK.II
 ジャンプ能力:90メートル
装甲板:ヴァリアント・ラメラー
武装:
 ロードライト3重荷電粒子砲 2門
 ディヴァース・オプティクス ER小口径レーザー 2門
 ポーランド・メインモデルA・ガウスライフル 1門
製造元:GM/ブラックウェル
 主要工場:ニューヴァレンシア
通信システム:ブラックウェル・マルチリンク55
照準・追尾システム:ドラグウェル Hi-Rez IV


 アウトリーチの破壊と、それに伴う虐殺は、なにがウルフ竜機兵団の残した遺産かを決めるのが難しいのを意味している。彼らの武勇、決意、ねばり強さをあげることもできる。彼らが中心領域に持ち込んだ技術の価値を評価する者もあろう。あるいは、何年も前に彼らは氏族の驚異を我らに警告している。

 もしくは、あなたはマローダーIIを思い起こすかもしれない。

 竜機兵団が外部にマローダーIIを販売するようになってからも、この巨大なメックに対する数多のイメージがもたれてきた。バーバー・マローダーが、バーバー・マローダーIIsにアップグレードされた後、このイメージはさらにしっかりしたものとなっていった。竜機兵団とバーバー大隊が壊滅したというのに、そのイメージはほとんど低下していない。

 ドラコ連合は回収・修理したマローダーIIのシャーシを、危険な新型に改造している。2門のロードライト3重荷電粒子砲が、原型のヘルスターから交換され、ディヴァース・オプティクスER小口径レーザーがマーテル中口径から交換されている。MAD-5AのLB-10Xは、巨大なポーランド・メインモデルA・ガウスライフルとなった。この組み合わせが生み出すダメージは恐ろしいものである。連合を包囲しているブレイク派とスノウレイヴンに深刻な損害を与えるものとなるだろう。

 だが、悪いニュースもある。ブレイク派がアウトリーチを襲った際に、ブラックウェルの施設跡を略奪して、相当数の未完成シャーシを手に入れたようなのである。奴らは竜機兵団からヒントを得て、より高性能なマシンとしている。このバージョンはマローダーIIよりも、氏族の旧マローダーII Cに似ている。前腕のスナブノーズPPC一組がなじみのあるシルエットを作っているが、胴体のオートキャノン、ガウスライフルの代わりに、ワードはもう1門のPPC(ヘビータイプ)を使っている。これがさらに問題なのである。

 このマローダーIIは150メートルジャンプ出来る。他の派生型の1.5倍である。強化型ジャンプジェットが、100トンの金属製暴力を空に舞いあげ、開発したウルフ氏族を地獄に落とすのに充分な跳躍力を提供するのである。

 腐肉漁り(スカヴェンジャー)……すなわちブレイク派である。だが、気を付けねば、残されるのは骨だけになった我らの死体となるだろう。





ロングボウ StarCorp's New Nightmare Machine
タイプ/モデル:LGB-13C ロングボウ
重量:85トン
シャーシ:スターコープ100
パワープラント:ストランド=マーティン340XL
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:スタースラブ/12.5(CASE付き)
武装:
 ドゥームバド MML-7 6門
 ディヴァース・オプティクス ER小口径レーザー 3門
製造元:スターコープ工業
 主要工場:クロフトン
通信システム:O/P 3950 コムセット M7
照準・追尾システム:マーティン=キュアリー・ターシスXLR 2.2(アルテミスIVFCS付き)


 イリアンの社内において、我々は競争について話をしている。ディファイアンス工業はどのようにして評価のすべてを得ているのか、コリアン・エンタープライズはどのように技術的躍進の最先端に立ち続けているのか。イリアン・テクノロジーズは、どれほど多くのメックを生産しても、それにふさわしい尊敬を勝ち取れないように思えることについて、我らは不満を並べている。そして、我らはスターコープについして話している。ウォーハンマーのメーカーにして、ハイランダーのメーカーにして、エンペラーのメーカーだ。

 そしてロングボウである。ロングボウを忘れることができようか? 

 スターコープは輸出用の新型ロングボウ数機を公開している。 -13Cと名付けられた一機目はフラッグシップモデルである。最も目立つ変更点は、伝統的にのろまなロングボウをより速い機体についていけるようにするエクストラライト340エンジンである。その速度を最大限に利用するために、スターコープはLRMのかわりに7連ドゥームバド・マルチミサイルランチャーを6門(それぞれ独立したアルテミスIV火器管制装置付き)搭載した。弾薬マガジンは、ロングボウの胴の約30パーセントを占めているが、これらのランチャーの柔軟性は、多量の弾薬が受け入れられないリスクではなく、必要なものであるのを意味している。

 このモデルのロングボウはいたるところに出現している。私は目撃例だけでなく、弾薬の請求書によってもこの機体を追跡し始めている。なぜなら、これらのメックは、かつて見たどのバトルメックよりもミサイルを発射するからである(同シャーシの旧バージョン含む)。聞くところによると、スターコープは代金を支払える者にならだれにでもこのメックを販売しているようだ。これはMML技術が基地宙域の大半で急増していることを意味する。

 二機種目の-14Cは、エクストラライトエンジンを使っているが、レーティングをロングボウ原型機の255にダウングレードしている。余った重量は、7連MMLをフルサイズのドゥームバド9連に交換するのにつぎ込まれている。もうひとつの重要な変化は、小口径レーザーを中口径レーザーにしたことで、これはブレイク信徒のメック戦士が支援メックの近距離に踏み込むのを多少ためらわせるかもしれない。別のバージョンのように、-14Cは中心領域中に広がっているが、最も多くをそろえているのは恒星連邦である。単純に、生産地がそこにあるからだろう。

 三機目のメックは、数ヶ月前に聞きかじったHPGの噂から推測したものである。どうやらNAISはロングボウをライトオートキャノンの実験台としているようだ。大型ミサイルラック用のスペースには、キャノンの砲列を乗せる余裕があると証明されたが、彼らがプロトタイプの生産より先の段階に進んだかはわかっていない。私はニューアヴァロンの戦闘に参加した1機の奇妙なロングボウに関する文章を見たのだが、それはニューアヴァロンでのことである。何かが燃え上がった時、新型メックが見あたらなければ、みな心配し始めるものである。ダヴィオン人は修繕屋なのだ。





ゴリアテ Marian Might
タイプ/モデル:GOL-6H ゴリアテ
重量:80トン
シャーシ:アースワークス GOL Quad-A
パワープラント:ピットバン 320ライトフュージョン
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:デュラレックス・ヘビー(CASE付き)
武装:
 フシゴン・ストロングトゥース・ヘビーPPC 1門
 デルタ・ダート LRM-10 2門
 スプレイブロウニング・ライトマシンガン 6門
 ヘレスポントス・アレイ・アッセンブリーズ 2門
 ディファイアンス・レイザーバック・対バトルアーマーポッド 4門
製造元:なし
 主要工場:現地改修
通信システム:アングスト・クリアーチャンネル3G
照準・追尾システム:アングスト・クリアービュー・マルチタスク


 我らは、ワード・オブ・ブレイクが近隣の辺境国家と怪しげな関係を持っていたことを知っていた。過去、コンパス座連邦とマリア帝国の両国がワードを援助し、またワードから援助を受け取っていたのだが、ワードが連邦を占領したにすぎないことが明らかになってきた一方、報告によるとマリア人はワードを国から追いだしたとされている。

 明らかにブレイク派は何かを残していった。

 新型のゴリアテがマリア帝国内で目撃されている。かなりの映像とちょっとした推測をもとに、私は彼らがこの機体で何をしたかを当てることが出来る。我々はここ自由世界で充分な量の四脚強襲メックを生産し、いくらかの経験を得ている。マリアはエンジンをライト型に交換して、通常型のGOL-1Hシャーシを新たなモンスターに改造しているように、私には思える。エンジン交換によって、老朽化したPPCをフシゴン・ストロングトゥース・ヘビーPPCにする重量的余裕が生まれ、デルタダートLRMはそのまま搭載されている一方、マシンガンはそれぞれ3門のアレイド・ライトマシンガンに交換された。ワード・オブ・ブレイクと戦っているマリアの報告を見ると、新型のゴリアテはディファイアンス・レイザーバックBポッドを4門搭載していることに気づかされる。これらのシュレッダー兵器は、メックにまとわりついてくるピュリファイアー・バトルスーツに効く処方薬である。ここイリアンでもいくつか入手できるといいのだが。

 残念なことに、ホールにいるシェリーが、改修ヤードから出てくる別の新型メックの映像を送ってきた。明らかにワードが、ホワイトフレームの改良の結果に触発され、兄弟機にもそうすることを決めたのだ。新型のゴリアテは、2門のセレスアームズ・クラッシャー・プラズマライフルと中口径レーザーの砲列を装備し、ワード隊に届き始めたところである。私が見た映像は低解像度だったが、カペラ人から盗んだステルスアーマーを搭載しているからではないと考える。単にカメラの質が悪かったのだろう。

 だが、ともかく、ステルスアーマーはそこにある。

 中心領域の他の箇所からの報告によると、ゴリアテの評判は、我らがGOL-3Mを登場させて以来、上昇していることを示している。シュタイナーとダヴィオンは、各自の四脚強襲メックを生産するとすぐに部隊配備している。さらなる四脚バトルメックが、毎年生産されているところである。

 明らかにGOL-3Mによる実験は成功した。私はただ、ワードが我らの新機軸を我らに向けて、開発を後悔しないよう祈るばかりである。





ウルバリーン Alys Marik's Ace-in-the-Hole?
タイプ/モデル:WVR-9M ウルバリーン
重量:55トン
シャーシ:クルーシスA
パワープラント:ニッサン275XL
巡航速度:54 km/h
最高速度:86 km/h
ジャンプジェット:ノースラップ12000
 ジャンプ能力:150メートル
装甲板:スターシールドA(CASE付き)
武装:
 フシゴン・ストロングトゥース・ヘビーPPC 1門
 ガイデッドテクノロジーズ・第二世代ストリークSRM6 1門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門
製造元:なし
 主要工場:現地改修
通信システム:ガレットT-11B
照準・追尾システム:シンクトラッカー


 アリス・ルーセ=マーリック女公は隠れている。非難しているのではないことを心にとめてほしい。私もワードから隠れているのだ……ただし私には、後に付いてきて守ってくれるバトルメックと傭兵はないのだが。しかし、女公は良いアイディアを思いつき、私はそれを広めるべきだと考えた。ちょうどサーモポリスのデールが、そうするのに必要な情報を送ってくれた。以降、彼女からの連絡はないが、私はベストを尽くすのを望んでいる。

 ワード・オブ・ブレイクは大規模な工場施設を必要としている……旧型メックを、ここ数年で登場させた新型の恐ろしい派生型に改造するためのものだ。オーガスティンと周辺世界において、女公は遙かに小さいスペースしか必要としていない。アリス・ルーセ=マーリックは、工場でなく、移動式改造施設を使っているのだ。

 彼女は降下船を使用している。そのうちの数隻は、実際に彼女の勢力圏内を飛び交っているのだ。

 大口径化されたウルバリーンの報告は、ここ数ヶ月、私のファイルに入ってきているが、デールの送ってくれたスペックによって、自由世界同盟軍がとうとう中心領域の他国に追随したと言うことが出来る。LCCCの通信によると、現存するウルバリーンの約30パーセントが新型の-9M仕様に改造された。女公と関連のあるそれらユニットは、彼女の降下船の中で改造されている。

 -9Mは、FWLMに10年以上立派に仕えてきた-7M(開発されてから15年)の、かなり単純な改良型である。武装の併用は、祖父の時代の-6R型によく似ているが、さらなる打撃力を持っている。1門の強力なフシゴン・ストロングトゥース・ヘビーPPCが右の前腕に搭載され、便利な手駆動装置を使えるままにしている。イリアンがライセンス生産したガイデッドテクノロジーズ・ストリーク短距離ミサイルラック1門が、近距離でのパンチ力を提供する……フシゴンが敵の装甲にあけた大穴を狙うのにちょうどいい武器である。自衛用に、長射程レーザーもまた備わっているが、メック戦士の大半はこれを最後の手段とするようだ。これは間違いもしれないが、補修・交換記録によると、このレーザーは他の武器より使われていないのが見られる(模擬戦闘でさえも)。

 連合はコモド対バトルアーマーメックをより重量のあるメックで支援したいようで、新型ウルバリーンの一機をこの任務に選んだ。このバージョンは、ミサイル、マシンガン、スナブノーズPPCをでたらめに搭載している。これはウルバリーンKが、どんな目標にでも、すべての使える武器を撃つことを意味している。一組のBポッドがマシンの足首を守るが、真の驚異は装甲の下にある。三重強化マイアマーが、戦闘における肉体的な力を強化し、ソードは疑いようもなくこのメックで最も危険な武器となっている。

 私の知るある女性は、すばしこいピュリファイアーをそのターゲットにしてくれればいいと言っている。





マローダー New Death from IrTech
タイプ/モデル:MAD-9M2 マローダー
重量:75トン
シャーシ:GMマローダー
パワープラント:ヴィラー300XL
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:ヴァリアント・チェインメイル・フェロファイバー
武装:
 マグナ・スーパーノヴァ・ヘビーPPC 2門
 ガイデッドテクノロジーズ・第二世代ストリークSRM6 2門
製造元:イリアン・テクノロジーズ
 主要工場:イリアン
通信システム:ダルバン・マイクロニクス(ガーディアンECM付き)
照準・ダルバンHi-Rez(TAG付き)


 ようやく。

 自由世界同盟国内において、PPCの生産は常に不足していた。生産された少数は、スティングレイの維持や、降下船の武装など、重要なところに回された。だが、もう過去の話である。今では、必要な分を満たし、余剰を輸出できるだけの生産量がある。

 いま我らの手にはスーパーノヴァがある。そして憎きブレイクどもがこれを盗んだのだ。

 イリアンの技術者たちは、イリアンが保護領に加わったちょうどそのころに、-9M2マローダー用の生産ラインを完成させた。これまでのところ、生産されたすべてが、ワードオブブレイク市民軍と、保護領市民軍の数少ないバトルメック装備部隊に向かっている。我らが生産し、やつらが取っていくのだ。なんという損失であろうか。

 -9M2は、ドラコ連合から「取得」した技術をベースにした新型マグナ・スーパーノヴァ・ヘビーPPCを装備している。この2門の砲は、旧式マローダーのPPCレーザーと交換されているのだが、真の驚異は、ライセンス生産された2門のガイデッドテクノロジーズ・第二世代ストリークSRM6にある。ヘビーPPCが穴をうがち、そこに驚異の制度を誇るストリークランチャーがミサイルを浴びせるのだ。これは恐ろしいコンビネーションだが、私は欠点を見逃していることを願っている。ワードがこれらの優れたマシンを我々に差し向けているからだ。

 ここに非ブレイク軍が-9M2を使っているとの報告がちらほらあるのだが、いずれも実証は出来ていない。このメックを積んだ降下船が行方不明になったとの報告を見たが、撃墜されたのか、捕らえられたのか、単に別のところに行ってしまったのかは不明だ。この種のデータには近づけないのだ。

 だが、私は新型カペラモデルの略図を見た。もちろん、ステルス装甲を装備しているのであるが、三重強化マイアマーの装備で、さらなる強化がなされている。両手装備のPPCはクラッシャー・プラズマライフルに交換され、右胴のヘルスターPPCがバックアップする。三重強化マイアマーの供給するスピードとパワーを持つこのマローダーは、強力な敵となるだろう。私に出来るのは、盗まれた-9M2と対抗できるくらいに強力なことを望むことだけだ。

 初期の改良型は中心領域と辺境でいまだよく見かける存在である。特に、タウラス連合は出来る限りを生産し、プレイアデスに送り出している。既知宙域を行き交う傭兵隊(その生活手段を激しく非難されふらついている)は、マローダーに出来うる限りのアップグレードを加えている。聖戦で物的需要が跳ね上がっている現状にあっても、彼らは資源を探し出し、メックに最新の技術を搭載しようとしている。ブレイク派が、雇用してない傭兵隊を氏族的なまでに憎んでいるのを考えると、誰が彼らに出し惜しみをしているのか、私にはわからない。





ウォーハンマー Old Made New Again
タイプ/モデル:WHM-8K ウォーハンマー
重量:70トン
シャーシ:スターフレーム・ヘビーエンドースティール
パワープラント:GM280核融合
巡航速度:43 km/h
最高速度:64 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:ヴァリアント・リングメイル・ライトフェロファイバー
武装:
 ロードライト3・重荷電粒子ビーム砲 2門
 ガイデッドテクノロジーズ・第二世代ストリークSRM4 1門
製造元:現地改修
 主要工場:なし
通信システム:ガレットT-60ファストスキャン(C3付き)
照準・追尾システム:ガレットF22C


 ナターシャ・ケレンスキーを真似る者たちは数限りなくいるが、そういった連中がバラエティに富んでいることは、私の興味をそそっている。現在生産されている派生型が数限りないことに、その理由があるのかもしれない。私は、中心領域、辺境近隣の戦場に広まっている三機種のデータを手に入れた。

 どれだけの派生型が現存しているのか、私にはもうわからないが、中心領域国家のすべてが少なくとも一機種のウォーハンマーを使っていると、私は伝えることが出来る。これらメックがどれだけ恐るべきものだったのか、メック戦士だった祖父が語ったところを、私は伝えることが出来る。中心領域の各国がワードオブブレイクと戦うためにこの強力兵器を作っているのがうれしいと、私は伝えることが出来る。また、これらの機体に関するすべてを、私は伝えることが出来る。

 クリタ宙域には改修施設があり(どこにあるかは不明)、現存する竜のウォーハンマーをブレイク狩りマシンに変えている。通常の武装のすべては取り外され、ガイデッドテクノロジーズのストリークSRMと、ロードライトのヘビーPPCに交換されている。この連合製兵器(ヘビーPPC)は、あらゆる点で間違いなく氏族製ERPPCに匹敵している。射程と重量はその例外だが、ブレイク派と戦う時には効果的だと実証されるだろう。輸入品のライトフェロファイバー装甲は防護を強化しているが、本当の防御的価値は、ヘビーPPCの攻撃的価値からもたらされているはずだ。

 タウラス人は貯め込んだウォーハンマーを新装備で改修しているが、この装備がどこから来たのか不明である。もちろん予想は出来るのだが、ちゃんとしたデータはない。私が持っているのは、タウラスがウォーハンマーを中心に新しい重機兵部隊を立ち上げ、プレイアデスに配備しているとの報告である。エクストラライトエンジンが、この10Tをダヴィオンの9Dと同じ速度にしているが、真の驚異は強化型ジャンプジェットと高性能放熱器である。210メートルのジャンプ半径を持つこの辺境製ウォーハンマーは歓迎されざる奇襲となるだろう。

 私の知る最新型はヴァリスでローニン・インコーポレーテッドが生産中の、ライトガウスライフルを副兵装と交換した、準標準型ウォーハンマーである。明らかに長距離戦機として作られたこのメックの性能について、私はなにも知らない。付記すべきは、聖戦が勃発する直前に、ローニンの工場の近くで戦闘が起きたらしいことである。

 タウラス製を除いて、他のウォーハンマーはワードの弱い部分を悩ませることになるはずである。ブレイクは奪取した工場の生産分をすべて手にしており、よってウォーハンマーが足りなくなることはない。やつらがどの型のウォーハンマーと戦っているのか迷わせ続けていれば、それはこちらにとって有利となる。

 我々はあらゆる優位を利用せねばならない。





アーチャー Archer
タイプ/モデル:ARC-7S アーチャー
重量:70トン
シャーシ:アースワークス・アーチャー
パワープラント:280エダシク・ライト
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:デュラレックス・ガーディアン・ヘビーフェロファイバー(CASE付)
武装:
 ホバーテック・ストリークSRM-2 2門
 ドゥームバドLRM-20 2門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門
 マグナ200P小口径パルスレーザー 1門
製造元:ボウィ工業
 主要工場:カーライル
通信システム:Neil 9000
照準・追尾システム:RCAインスタトラック・マークXII(アルテミスIV付)


 もうひとつの伝説。もうひとつの改修。

 アーチャーはおそらく中心領域で最も一般的なバトルメックである。前の世代で最も有名なメック戦士二名がアーチャーを操縦していた……ジェイム・ウルフとモーガン・ケルだ。この三百年でメック戦士たちの大半は、アーチャーが最上級の支援用メックにしてすばらしい指揮バトルメックであることを学んだ。現在、中心領域のほぼすべての国家が最低一機種の派生型を生産し、辺境の少なくとも一国が同じくそうしている。

 シュタイナー宙域にいる友人のフランツが、「借用した」データをいくつか送ってくれた。カーライルにあるボウィ工業の残った工場からのものである。そのほか――ワイアットのボウィと、アラリオンのボウィは、双方ともワードオブブレイクの攻撃の犠牲となったのだが、LAAFは残った工場に充分な資源を提供し、ライラ同盟装甲軍が使うアーチャー級バトルメックの数を確保し続けている。

 データによると、このアーチャーは由緒正しい2Rの流れに沿っている。一組のドゥームバド長距離ミサイルラックが、アルテミスIV火器管制システムと接続される。我らは自由世界製の出来がどれくらいいいかよく知っている――4Mを20年間使い続けてきたのだ。これらの砲撃兵器を支援するのは、ホバーテック・ストリークSRM-2と1門のレーザー兵器の組み合わせである。シュタイナーの配備データは手に入らなかったが、ヘスペラスとコベントリが占領されるか制圧される状況において、フル生産以外で満足できるとはとても想像できない。

 新型アーチャー最大の変化は、ライト核融合エンジンと、デュラレックス社の新型ガーディアン・ヘビーフェロファイバーを搭載したことである。明確にLAAFは、アーチャーを倒すのがブレイク信徒にとって高くつくのを意図している。私自身、スカイアとのばかげた戦争が沈静化したことに感謝している。我が軍の若い兵士たちが、この新型アーチャーと戦うのは望んでいない。

 連合のクリタ人エンジニアもまた、柔軟性の高いシグンガ・マルチミサイルランチャーとロードライトのライトPPCを使用し、アーチャーに手を加えている。シュタイナー版ほど重装甲ではないが、エクストラライトエンジンを使ってないことは、たとえ通常型装甲であっても、このアーチャーを撃墜しにくいものとしている。連合の石頭なサムライでも、この価値は認めるだろうと確信している。

 ブレイク派の新型アーチャーについてはデータがない。高性能と思われるが、残念ながらまだこの機体を見ていない。私には、これらアーチャーがワードオブブレイク側の悩みの種になること、アーチャーを倒すのに忙殺されて自分たちの機体を生産できないことを願うしかできない。





ウォーハンマーIIC WARHAMMER IIC
タイプ/モデル:ウォーハンマーIIC5
重量:80トン
シャーシ:SFX-80エンドー
パワープラント:タイプ10 320 核融合
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:フォージングZM15・フェロファイバー
武装:
 タイプ0 HAG-20 2門
 シリーズ2D-2・ヘビー中口径レーザー 4門
 ストリークSRM4 1門
製造元:トレルシェア重工業
 主要工場:トワイクロス
通信システム:TDWS-37 マーク2.2
照準・追尾システム:"ヘルメス"CT-44


 我々はウォーハンマーを知っている。継承権戦争の間、ウォーハンマーほど恐れられるメックは他にそうなかった。中心領域の全王国がウォーハンマーと戦い、そして史上最も有名な傭兵であるナターシャ・ケレンスキーが竜機兵団での長いキャリアを通してこの機体を活用した。氏族でも同じように敬意を払われていることが予想される。

 氏族占領域内では、ダイアモンドシャークの小規模な部隊がウォーハンマーIICをよく使っている。トワイクロスにあるトレルシェアの工場群から、新しい派生型がごく少数登場したところだ。このことは、シャークがこの派生型のテストをしているか、あるいは生産分の残りを他氏族に売ったことを表している。シャークのやり方を考えると、前者より後者なのでないかと私は考えている。

 このダイアモンドシャークのメックは、おなじみのPPCに替えてハイパーアサルトガウス2門を積んでいる。弾薬を大量消費できる分だけ積んでいることを、私は予想するのみである。これらの長距離兵器を支援するのが、4門のヘビー中口径レーザーと短距離ミサイルの砲列である。間違いなくこれは伝統に譲歩したものだろう。私は概略図やデータを入手できなかったのだが、トワイクロス宇宙港を通る輸送の送付先データから、部品の推測が可能である。ダイアモンドシャークに頭を押さえられていても、市民たちは私に(あるいは私が知る人々に)不適切な情報を送るくらいには不満を抱いているのである。

 もう一機のウォーハンマーIICはドラコ連合内で発見された。ここでは、最近やってきたスノウレイヴンが、ゲイルダンであらゆる活動の痕跡を根絶しようと忙しくしているところである。これらのマシンは新規生産でなく、現地改修である。ウォーハンマーIICの副兵器が胴装備のHAG30と交換されている。スノウレイヴンはPPCを搭載したままとし、これがこの派生型を長距離で手強い相手としている。連合のサムライたちにはよくわかっていることだろう。

 私はハイパーアサルトガウスガンの魅力を理解し始めている。ダイアモンドシャーク(と、入手できるすべての氏族)は、搭載出来る機体にはすべて搭載しているようだ。メック戦士たちは常に「長射程、低発熱」を口にし、この兵器がその典型であると思われる。射程は通常型ガウスライフルすらしのぎ、我らのライトガウスガンに匹敵する。だが、その真価は強いダメージを与える可能性にある。

 ダイアモンドシャークは売ってくれるのだろうか? 氏族人たちと同額の支払いでいいのだろうか?





フェニックスホークIIC PHOENIX HAWK IIC
タイプ/モデル:フェニックスホークIIC6
重量:80トン
シャーシ:DSAM4
パワープラント:タイプ79 400XL 核融合
巡航速度:54 km/h
最高速度:86 km/h
ジャンプジェット:トレルシェア・ロングリフターズ
 ジャンプ能力:240メートル
装甲板:フォージングAM15・フェロファイバー
武装:
 ゼータシリーズ・Xプラズマキャノン 2門
 シリーズ2D-2・ヘビー中口径レーザー 2門
製造元:トレルシェア重工業
 主要工場:トワイクロス
通信システム:メガバンド・システム21
照準・追尾システム:Dtrac Suite 4a (TC)


 氏族がフェニックスホークの強襲級バージョンを作ったとの話を聞いた時、最初、私は嘲笑した。その仕様書を学校で見たが、笑いがやむことはなかった。なぜかというと、氏族は充分に高速な強襲級メックを作るのには成功したのだが、重量にふさわしい武装を搭載できなかったのである。私はこの機体のことを忘れ、もっと興味深いメックの研究に戻った。

 それは昨日までのことだった。

 ダンテ探偵局はフェニックスホークIIC新規派生型2機分のデータを持ってきた。そのうち一機が私に恐怖を感じさせたのである。新型ライフルマンIICと同じ技術を使って、トワイクロスにいるダイアモンドシャークのエンジニアたちは最善を尽くした。

 現行生産型のトレルシェア製フェニックスホークIICは、ペアになった武器を二組積んでいる。新型のゼータシリーズ・Xプラズマキャノン2門が、氏族製の強力なヘビーレーザーと組み合わされて、相当な火力を発揮しているのだが、真の驚異は、8基の強化型ジャンプジェットである。この80トンのフェニックスホークは、45トンの旧型機よりも大きなジャンプ半径を持つのだ! メック戦士たちと議論を行い、このような大型メックが一度でこれほどまでにジャンプできることは、危険なほど予測不可能であると理解した。

 もう1機の新型フェニックスホークはゴーストベア氏族軍に現れたものだ。ジミーの部下たちは、ラサルハグ宙域を通して、すぐにこのデータを届けてよこした。この新フェニックスホークIICがブレイク信徒の血をすすったことを思うと、安心感が広がる。チャージャーと同じ速度を持ち、新型HAGのペア、APガウスライフルのカルテットを持つ強襲級メックは、ワードのレベルII部隊を、まるで小麦を刈る大鎌のようになぎ倒していくだろう。

 唯一わからなかったのは、ゴーストベアがアルシャインや他のところに、フェニックスホークIIC専用の生産ラインを持っていないということだ。HAGはヘルズホースとの結びつきを示しているが、この憎みあっている2氏族がそうすることはまずありそうにない。私はこのメック2機のビジュアルROMを並べて初めて類似性に気が付いた。それはかき集めることができたトワイクロスのトレルシェア工場に関するわずかな生産数情報に導くに足るものだったのである。

 ダイアモンドシャークはフレームを製造し、それをゴーストベアに輸出している。シャーシやそのほかの部品の送り状は、シャーク自身が使う派生型のものよりも多いのだが、武器の数は一致する。いかなる理由があろうとも、ダイアモンドシャークはこれらを製造しており、私は良い気分にはなれない。彼らはラサルハグ内でブレイク派を殺している。もし彼らが中心領域に入ってきたとしたら!





クルセイダー CRUSADER
タイプ/モデル:CRD-7W クルセイダー
重量:65トン
シャーシ:クルーシスB
パワープラント:ヘルメス260XL
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:カロンFWLスペシャル・ライトフェロファイバー(CASE付)
武装:
 クルップMML-9  2門
 クルップMML-5  2門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 2門
製造元:なし - 改修計画
 主要工場:タロン
通信システム:ガレットT-11A C3付き
照準・追尾システム:ガレットD2j(アルテミスIV FCS付)


 これを書いていると胸が痛む。ここ、マーリック宙域でどれほどクルセイダーが愛されていることか。だが、このバトルメックを奪い、生産しているのは、ワード・オブ・ブレイクのようなのである。惑星ホールにいるシェリーが、改修計画の概要を送ってくれた。これを読むと、なぜワードが廃棄されたCRD-5Mクルセイダーをすべて買い占めたかが理解できる。連中は、クルセイダーの装備をはぎ取り、それから再構築して、代表的な支援メックを作り上げるのである。その強さは、我らに幾分の問題を引き起こすに足るものである。

 連中は-5Mのヘルメス・エクストラライトエンジンを搭載し続けている一方で、新型のエクストラライトジャイロを付けるために、胴に余裕を持たせた。浮いた重量は武装に回され、また新型のライト・フェロファイバー装甲への交換を余儀なくされている。

 二組のクルップ製新型マルチミサイルランチャーが、5Mの旧型LRM、SRMと交換され、ほぼ同等の砲撃力を柔軟性と引き替えにしている。各ランチャーは、ミサイル誘導アルテミスポッドを装備しているが、本当の脅威は、このクルセイダーが搭載できる弾薬の幅広さにある。ワードが容易に同盟製特殊ミサイル弾頭を入手出来る現状において、このクルセイダーは単純に弾薬の切り替えでオムニメックよりも予測不可能になりうるのである。

 2門の中口径レーザーがこのメックの防御兵器となっているが、そう言い切ることはできない。4門の各ランチャーからいつでも別々のミサイルを発射できるとなれば、この機体から常に離れている必要があるだろう。このモンスターが解き放たれた時に、その射程内にいたら、損害を受ける。それを心に留めるべきである。

 だが、良いニュースもある。エクストラライトエンジンと、巨大な弾薬庫用スペースの組み合わせは、左右胴への貫通弾がメックの一方の胴を破壊する素晴らしいチャンスを生み出すのを意味している。弾薬は腕に搭載され、胴はCASEに守られているのだが、CASEは中心領域製である。よって、腕が爆発すると、メックの内部を破壊し尽くし、行動不能にするだろう。

 ガウスライフル。PPC、大口径オートキャノン。使える武器なら何でも。撃たれる前に、このクルセイダーを撃つべきだ。全武装を対ミサイルシステムに変更でもしない限り、すべての射程で滅多撃ちにされてしまうだろう。

 常の通り、撃たれる前に撃つのだ。





ライフルマン Rifleman
タイプ/モデル:RFL-6D ライフルマン
重量:60トン
シャーシ:カロン・タイプXVエンドースティール
パワープラント:GM300XL
巡航速度:54 km/h
最高速度:85 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:カロン・ロイヤルスター
武装:
 ミドロン・スネークキラーLAC5 4門
 ブライト・ブロッサム ER中口径レーザー 2門
製造元:カロン兵器工廠
 主要工場:タロン
通信システム:ガレットT-11A C3付き
照準・追尾システム:ガレットD2j


 ダヴィオン家はライフルマンを愛している。少なくとも、彼らはオートキャノンを愛している。その証拠が、ライフルマン、ジャガーメック、エンフォーサーである。

 すべてが恒星連邦メックのトレードマークだ。そして、すべてがオートキャノンを装備している。ブラックウィンド槍機兵隊の核攻撃がタロンのカロン兵器工廠を壊滅させる前に、少数の新型ライフルマンが脱出していたとの噂を聞いても、私は驚かなかった。私は仕様書を注文してしばらく待った。それから仕様書を祖父に送った。彼はライフルマンに乗っていたのである。ここに、祖父からの返信がある。


拝啓、リュディア

 この新型に付いているのは何だろう? 大きすぎる。この新型はドリスにはまったく似ていない。私は装甲がない状態のドリスを、半ダースに及ぶ同盟世界で戦わせてきた。私は若い連中が軟弱になってきたと考える。この間、ヘクター・ラミレスと話した――ヘクターを覚えているか? おまえと一緒にダンスに行ったあの立派なジョアンの父親だぞ? さておき、ヘクターが言うには、プリンスフィールドの新規卒業生はみんな強襲級メックに乗りたがるそうだ。全員が、だ。誓って言うが、私の時代には――


 オーケー、少し飛ばそう。


 とにかく、このライフルマンだ。このダヴィオン型は手強い兵器となるだろう。4門のオートキャノンと、エンフォーサー並みの速度だって? ヒュー。開けた地形でこいつに捕まりたくない。が、この速度があれば、それは簡単だろう。

 なぜ、おまえがこれをタウラスのライフルマンと言ったかはわからない。これはダヴィオンのメックだ、愛しき孫よ。熱管理と照準用のスーパーコンピューターでわかる。辺境でも、メックの照準をつけるのに人は必要ないと思うが、ライトオートキャノン/ライトPPCに撃たれた者は何で撃たれたかを知るだろう。さて、もう一度教えて欲しい。このステルス装甲とやらはなんだ? 60トンのバトルメックにステルス性を与えられると本気で考える者はいないだろう? これはリャオの馬鹿げた曲芸のような……


 祖父が変わり者であるのは知っているが、彼の洞察はたいてい正しいものである。私はもう少し調査を進めた。先頃、タウラスがダヴィオンからオストロックの計画を盗もうとして埃を巻き上げたのは、今回のスパイ活動のための欺瞞工作だったように見える。さもなくば、他の誰かが、ライトオートキャノンとターゲティングコンピューターを与えているのだ。誰がそうしたのだ?

 もし、その質問をあなたがまだ知らないのなら、まあ……、あなたは不注意である。






オストソル OSTSOL
タイプ/モデル:OTL-8D オストソル
重量:60トン
シャーシ:ケル/H
パワープラント:GM300ライト
巡航速度:54 km/h
最高速度:85 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:ヴァリアント・プレート・フェロファイバー
武装:
 ミドロン・スネークキラーLAC5 2門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 2門
 ディファイアンス・モデル1002・ライトPPC 1門
製造元:ロビンソン・スタンダード・バトルワークス(工場改修)
 主要工場:ロビンソン
通信システム:バレット509p
照準・追尾システム:フェデレーテッド・ストーカー(ターゲティングモジュール付)


 ロビンソンの改修プログラムは、あらゆる点から見て、めざましい成功をあげた。だが、先月ルートミスで届いたこのHPGのパケットを公開しようと思う。


閣下へ

 ロビンソンのオストソル用新型兵器パッケージの進捗が続いています。私たちはこの数年間、サンドヴァル家の努力の成果を享受している一方、新技術が登場しており、聖戦士たちを追い出したいなら、これらの技術で優位を得なければなりません。私たちは利用できるわずかなシャーシを使った新型オストソルの注文を受けました。

 ライトPPC(聖戦士に占領される前にヘスペラスから来た、おそらく最後の積荷)は、ドラコ境界域版小口径パルスレーザー群を外した場所にぴったりと収まりました。もしこの派生型が成功したのなら、ライトPPCの輸入元を探さねばならないでしょう……今、ヘスペラスは当然ながら閉ざされています。私たちはさらに、大口径レーザーと交換する充分な数のライトオートキャノンを確保しました。設計チームは、最新型キャノンに特化した弾薬でなく、既存の弾薬が使えるように、この改造を命じたのです。中口径レーザー一組に変更は加えられていません……素晴らしい支援火器です。

 大口径レーザーを取り外したことによって、放熱器のいくつかが不要になり、三重強化筋繊維を使う理由がなくなりました。よって、我らはこのシャーシのコストを減らしたのです。ですが、我らの投資を守るため、ヴァリアント・システム社と契約し、新型のプレートヘビーフェロファイバーを使用しました。加えて、脆弱なエクストラライトエンジンは、ちょうど入手できるようになった、より丈夫なライトモデルに取り替えられました。

 以上を総合すると、兄よ、この新型オストソルは我が軍を強化することでしょう。そして、サンドヴァル家が契約を取り、これらの仕様を取得すれば、我が国をさらに強くするのに役立つでしょう。しかし、私が懸念しているのは――


 通信が良いところで途切れてると腹が立たないだろうか? これを誰が書いているのか、誰に書いているのかはわからないが、この情報の裏は取ってある。RSBは少なくとも1ダースのオストソルをこのやり方で改造し、新たなライトPPCの供給源を探しまわっている。誰かが(サンドヴァルでなかったとしても)この改修機から利益を得ているように見える。

 そして、彼らはそれをブレイク信徒に対して使っている。文句を言う者があろうか?






マローダーIIC Marauder IIC
タイプ/モデル:マローダーIIC5
重量:85トン
シャーシ:SA-850 ライト
パワープラント:コンソリッデーテッド核融合340
巡航速度:43 km/h
最高速度:65 km/h
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:フォージングMD4フェロファイバー
武装:
 タイプDDS"キングストン" ER PPC 2門
 タウII対人ガウスライフル 2門
 タイプ0 HAG-20 1門
製造元:オリベッティ・ウェポンリー
 主要工場:ズデーテン
通信システム:シリーズ D8 CC-25Xa
照準・追尾システム:"ヘルメス" CT-42 Mk. II


 これらのIICメックが嫌いになり始めている。なぜ氏族はオムニメックだけにとどまらず、我らの旧式メックの強力な新バージョンを作るのだろうか? 今調べていたこのマローダーIICを見て欲しい。ここにある自由世界やダヴィオン宙域の新型マローダーは恐るべきものであるが、このベヒモスとは比べものにならない。

 不名誉な烙印を押されたジェイドファルコンのメック戦士たちが、ズデーテン製のターキナ・オムニメックに乗せられているとの報告は、我らにとって僥倖である。単純に製造地が違うという理由で、ズデーテン製のメックを劣っていると制限したがるのなら、それは中心領域にとって有利である。我らは氏族と戦うために、優位のすべてを利用する必要があると誰もが認めている。この新型のマローダーIICにも同じ烙印が押されるかもしれない。というのも、本機はターキナが生産されている施設の別棟で製造されているのである。

(訳注:ジェイドファルコン製強襲級オムニメック、ターキナは、氏族宙域と中心領域の二箇所で生産されています。このうち前者にはトゥルーボーンの戦士が乗り、後者は不名誉な中心領域製としてフリーボーンに回されます)

 慣れ親しんだ旧来のマローダーの外見は変わっていない。2門の氏族製ERPPCが前腕に搭載され、対人ガウスライフルがお馴染みの中口径レーザーと取り替えられている。その真骨頂は、伝統的なGMワールウィンドキャノンと同じ場所に載せられた巨大なHAG-20である。まるでファルコンは原型のマローダーの美学を作り直そうとしているように見える。こうしてこの手強いマシンは戦士たちの拒絶反応を引き起こさず済んでいるのである。だが、誰かがこのような優れたマシンを嫌がるところは想像できない。本機は、エクストラライトエンジンや効率的な熱管理のような目に見えない恐怖は載せていない。ただ純粋な恐怖なのである。

 最初のマローダーがそうであったように。

 探偵局はラサルハグ宙域からのROMを持ってきてくれた。そこに1機のマローダーIICのデータがあったのだが、他に自分の目で見た以上のものは集まらなかった。その機体は見たことのある大型HAG2門だけを搭載し、ジャンプする。それが今伝えられるすべてであるが、私はゴーストベアの世界から来る他のデータに目を光らせ続けている。

 旧来のマローダーIICはまだまだ氏族占領域中でありふれた存在である。しかし、氏族がブレイク派やシュタイナーのように改修センターを設置する徴候は見られない。オーガスティン公爵が行っているのと同じ移動改修センターの方式を選ぶ可能性はあるが、いずれどこかで何らかのデータを見ることになるだろうと思っている。ゴーストベアが(ラサルハグ)共和国を解放したのに伴い、以前よりも旧ラサルハグ世界からのデータが流れやすくなっている。

 そして私はそれを思う存分調査できる最高の場所にいるのだ!






ヴァルキリー Valkyrie VLK-QD2
タイプ/モデル:ヴァルキリー VLK-QD2
重量:30トン
シャーシ:コリアン・モデル101AA・エンドースティール
パワープラント:オムニ150XL
巡航速度:54.0 キロメートル/時
最高速度:86.4 キロメートル/時
ジャンプジェット:ヴィコア・スラストマスター・モデルL
 ジャンプ能力:150メートル
装甲板:スターガードIII
武装:
 ディファイアンスXII長距離射程中口径レーザー 1門
 ミルミドン・スナイプハンター・ライト AC/2 2門
製造元:コリアン・エンタープライズ
 主要工場:ニューアヴァロン
通信システム:リンクス・シュア
照準・追尾システム:シンク・トラッカー(40-TC)


 ニューアヴァロン争奪戦が始まったに違いない。ここイリアンにはあまり情報が届いていないが、私の見たところによると、ダヴィオンもブレイク信徒も譲る気がないようだ。私は連中に同情する。最初は内戦で、今はこれだ。多少なりとも確信を持って言えるのは、ダヴィオンは1インチたりとも諦めないということである。彼らがどれだけ戦う準備ができているかを示す面白い話を耳に挟んだ。

 私たちはヴァルキリーのことを理解している。連邦=共和国は、これらのメックがライラ辺境沿いにいくらかの規則性を持って見られるぐらい長く存続し、そして我らはハンマーにその経験の多くを投入した。ダヴィオンがこの子犬に現在行っているのは、これまでと違った考え方である。ミサイルベイを外し、2門のスナイプハンター・ライト・オートキャノンを取り付けたのである。

 スナイプハンターは逸品である。通常型のキャノンより軽量であるが、より先進的な砲にあるような弾薬の制限は存在せず、既存の備蓄があるものを何でも装填できる。ニューアヴァロン戦のような長期包囲戦ではほとんど完璧な武器になっている。またこれらの砲は、恒星連邦の新型ターゲティングコンピュータの恩恵を受けている。これはNAISが蒸発する前に、氏族のものをどうにかコピーしたものだ。ローブ野郎たちがことあるごとに「勝利」を吹聴するのは、これまでに何度も聞いている。

 私が傍受したパケットの一部は、ニューアヴァロンでの交戦と推測されるガンカメラの一場面である。このヴァルキリーはボーンホワイト色のブレイク派ネクサスに立ち向っており、そのレーザーとキャノンの集中砲火で敵軽量メックを切り裂いた。視認できた散らすようなダメージから、このメックは撤甲弾を積んでいたのではないかと推測されるが、確認はできていない。私が言えるのは、このヴァルキリーが1分でネクサスを破壊したことだが、ブレイク信徒のメックは充分に原形をとどめており、素晴らしい回収品がいくつか得られたに違いない。

 しかしながら、ダヴィオンだけがヴァルキリーをアップグレードしたわけではない。ライラ同盟(内戦後に大量のヴァルキリーがうち捨てられ、放棄されていた)はVLKをアークトゥルスの補修工場に送り、より戦場での柔軟性を発揮するようにわずかな改造を施した。ディヴァースターLRMが、ドゥームバド・マルチミサイルランチャーに換装されている。このMMLはふたつの弾倉を持ち、最大限の柔軟性を発揮するために、ミサイルの種類を混ぜて装備できる。

 私たちは、これらの新型ヴァルキリーがワードに対する流れを変える手助けになるのをただ望むばかりである。






バトルマスター BattleMaster BLR-10S
タイプ/モデル:バトルマスター BLR-10S
重量:85トン
シャーシ:スターフレーム・ヘビー
パワープラント:エダシク・コンパクト255
巡航速度:32.0 キロメートル/時
最高速度:54.4 キロメートル/時
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:なし
装甲板:アークシールド・マキシ
武装:
 ディファイアンス1001 ER PPC 1門
 コベントリTH4b ストリークSRM-4 1門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 6門
 ディヴァース・オプティクス ER小口径レーザー 1門
 ディファイアンス・レイザーバック ABAポッド 2門
製造元:J.B.バトルメック
 主要工場:ストールフォシュ
通信システム:O/P3000コムセット、ガーディアンECM付
照準・追尾システム:サイクロプス・マルチトラッカー10


 何百年ものあいだ、バトルマスターは、中心領域を闊歩するバトルメックのうちで最も恐れられる一機だった。すべてのメック戦士の世代において、本機は傑出した指揮官用メックだった。このマシンに乗ったパイロットたちの名は書ききれないが、他より有名な者が数名いる。ハンス・ダヴィオン、レッド・コルセア、ウェイン・ワコーである。星間連盟技術の復興で、このメックの座は脅かされているが、新型のライラヴァリアントがかつての威光を取り戻すかも知れない。

 ライラのエンジニアたちは、XLエンジンの数年に及ぶ悪い評価から手がかりを得て、出来る限り丈夫に製作するような技術を新型バトルマスターに投入した。新設計のコンパクト・エダシク・エンジンは、ほとんどの旧型バトルマスターより遅い速度を出力するが、撃墜するのは非常に難しくなる。ヘビー・デューティー・ジャイロスコープがさらにマシンの生存性を高める。この85トンのマシンは、強襲級メックらしい武装がほどこされ、敵を破滅に導くに足る充分な放熱器と、凄まじい火力を持つ。加えて、ディファイアンス製の対バトルアーマーポッドが機体の脚を守る。

 原型機の輝かしい評判を思いおこさせる露骨な(そして歓迎する)努力として、ライラの技術者たちはバトルマスターの慣例となっていた武装混合に立ち返った。立派な成果を残してきたディファイアンス1001が、戦場を突っ切って大ダメージを与える。胸に広がる力強い長距離中口径レーザー6門が、この巨獣に近づく者を自殺志願者と等しくする。大勢のブレイク信徒が、この優秀なメックに突撃して、引き立て役となり死んでいくことを私は確信している。エネルギー兵器をバックアップするのは、能力実証済みのコベントリ・ストリーク・ミサイルランチャーである。

 マーリック宙域では、ジェレミー・ブレット最高司令官が、数機分のシャーシとクリタ製K3ヴァリアントのエンジンを入手し、自由世界同盟用に改造を施した。一組のパルスレーザー、ライトPPC、マルチミサイルランチャー、ライトガウスライフルが、この恐るべき新型指揮官用バトルメックのC3マスターコンピューターを保護する。リバースエンジニアリングされたライト核融合エンジンがこのBLRの生存性を高める(危険なタマリンドでは指揮部隊にとって必要な配慮である)。

 最後になるが、新型のファルコン製BLRが、奪取されたパンドラ工場から出荷されているとの情報を、ジミーDが届けてくれた。詳細は退屈しないが、うんざりするとだけ言っておこう。HAGとATM、それにブラックホールをライトアップできるほどのレーザー群が胴を埋めている。すべてがターゲティング・コンピュータに直結され、ファルコンのボンズマンですら的を外さず、そのすべてを撃つのに充分な量の放熱器がついている。






スコーピオン Scorpion SCP-12K
タイプ/モデル:スコーピオン SCP-12K
重量:55トン
シャーシ:ブリガディア800F
パワープラント:Vox 330XL
巡航速度:65 キロメートル/時
最高速度:97 キロメートル/時
ジャンプジェット:なし
 ジャンプ能力:0メートル
装甲板:スターシールドAフェロファイバー
武装:
 ロードナイト5・スナブノーズPPC 1門
 シグンガMML-9 1門
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門
製造元:なし
 主要工場:該当なし
通信システム:ガレット500A C3付
照準・追尾システム:ガレットGRNDTRK9


 長らく連合にいるが、優れた漁り屋はDCMSの技術者をおいて他にないのを私は知っている。新しい生産施設が完成する前に、彼らがウルバリーン全機を改装したのはまさに奇跡であったが、スコーピオンの現行モデルにやってのけたことも本来なら相当に見事である。

 私はタマリンドから来たデータを見かけた。タマリンドのブレット最高司令官はドラコと裏取引し、稼働するC3システムのサンプルを手に入れていたのである。取引の成果のひとつが、この技術的奇跡を用いたドラコ型スコーピオンの先行見本品である。この中型四脚機は新型バトルマスターと同じくらい危険性なものとなっている。

 スコーピオン12Kの性能は、左胴に搭載された巨大なC3管制コンピュータから始まる。技術者たちはコンピューターを巨大なVox330エクストラライトエンジンと新型装甲の間にサンドイッチした。思うに、DCMSはこのメックを軽量級小隊の指揮に使い、ジェンナーとパンサーのトリオに必要な支援を与え、真に有効なものとするつもりなのだろう。この仮説を支えるのが、シグンガ9連マルチミサイルランチャーである(捕獲したWOBの装備を、異常な速さで解析した別例)。ふたつの弾薬庫に異なった弾薬を積めるので、スコーピオンはどの射程でも仲間を支援できる。1機で長距離、短距離双方の砲撃を行えるメックは、自由世界で高く評価されるだろう――竜にとっても似たようなものでないかと思われる。

 だが、それまでのスコーピオンと違って、このバージョンは窮地に立たされた時には牙を剥く。強力なロードナイト5・スナブノーズPPCは、このメックにどう猛な一噛みを与え、また支援用ERレーザーがさらなる支援を加える。エクストラライトエンジンの搭載は、速度、機動性を損なうことなく、これらのアップグレードの重量的余裕を作り、これは逃れられない危険な地点に迷い込むのを避けられることを意味する。

 タマリンドからのデータが信用できるものならば、ブレット麾下のメック戦士たちは、サンプルのスコーピオンとC3システム(改造型ハンマーの1個小隊に付けたもの)の使用を大いに楽しんでいる。支援メック部門は特殊ミサイル弾とC3の組み合わせに間違いなく惚れ込んでいる。このシステムを熟知している竜は、特産のオムニメックで似たようなことをしているのではないかと想像する。

 むろん、ジェレミー・ブレット(またはその幕僚)が、何と引き替えにクリタからこの技術を得たのかは疑問が残るが、私は細心の注意を払い、こういった質問をしないようにしている。C3を装備したもう1機のバトルメックが戦場に現れ、ブレイク信徒と戦っているのを見て、私はただ喜んでいる。手に入るものなら全てが必要なのである。

 ベンジャミンの情報源は、正確な改装の図形をよこしていない(今のところは)。しかし、大量のスコーピオンを改装する旨の命令文章を、彼女は送ってきた。私も自分でC3コンピュータの生産図を探しているが、データはまだイリアンまで浸透していない。






シャドウホーク Shadow Hawk SHD-11CS
タイプ/モデル:シャドウホーク SHD-11CS
重量:55トン
シャーシ:カロン・タイプVII・エンドースティール
パワープラント:275ディファイアンス・ライト核融合
巡航速度:54.0 キロメートル/時
最高速度:86.4 キロメートル/時
ジャンプジェット:ローリングス55
 ジャンプ能力:150メートル
装甲板:カロンFWL特殊軽量フェロファイバー(CASE付属)
武装:
 ディヴァース・オプティクス ER中口径レーザー 1門
 ファーファイアLRM15 1門
 フシゴン・スマートトゥース・スナブノーズPPC 1門
製造元:なし
 主要工場:ホール
通信システム:ネイル6000 C3i付属
照準・追尾システム:ガレットD2j アルテミスIV付属


 これも見逃していた。

 3067年に出た早期の調査報告書によると、ワード・オブ・ブレイクは、コムスター製シャドウホークを、少数使っていることになっていた(実数不明)。これら報告の大半が過小評価されたものだった。コムガードの離脱者が元の教団に戻った時に自分のメックを持っていったと我らは計算し、コムスターによる人騒がせなプロパガンダだとして無視したのである。

 我らは間違っていた。致命的な間違いだった。我らのミスはブレイク派の現在の超過を許してしまった。

 この1年で、ホールの改修用施設は超過勤務でフル稼働し、2ダース以上の7CSシャドウホークが新型仕様になった。シェリーは、改修担当司教のノートピューターから持ち出した報告書を見せてくれた(どうやって彼女が手に入れたかはわからない)……ここに、この由緒正しいマシンの設計仕様が記されていた。どうやら、ホールの物資輸入は10倍に増加しているようで、このすべての箱に「DefHes」の印がついている。(訳注:DefHesはディファイアンス工業、ヘスペラスIIの略)

 11CS(この型番がついた)は、7CSを現在の兵器仕様に変える。オートキャノンは、フシゴンの新型スナブノーズPPCと交換されている。このメックは装甲の全面的オーバーホールの恩恵もまた受けており、元々の装甲をすべて外して、特別に作られた、カロンの新型スペシャルライトフェロファイバーが取り付けられている。この装甲はやや重量がある一方で、通常のフェロファイバーよりも遙かにスペースを取らない。

 新型装甲の重量は、XLエンジンを、ライト型(占領されたヘスペラスで生産されたもの)に交換することでまかなわれる。我ら(自由世界同盟)が渇望していたシュタイナーの惑星を、ローブ野郎たちが征服したことは、私の中の愛国心をさいなましている。しかしさらに私を傷つけるのは、その勝利によって得た強奪品が、戦場に送られ、我が国の若者たちと戦っていることである。

 他の部分は7CSからほとんど変化していない。ファーファイアLRM15はそのまま装備され、アルテミスIV火器管制装置と組み合わされている。そしてお決まりのC3iがシャドウホークの胸部に埋め込まれ、守られている。CASE放出パネルが、弾薬誘爆を大ダメージまでに抑え(破壊ダメージにはしない)、格納されたミサイルを保護する。

 ナンキンにあるカロンの工場は、メック不足のAFFSのために、新しい派生型を生産しているところだ。撃ち合い用の5D型に、スネークキラー・ライト・60mmオートキャノン1門、中型マルチミサイルランチャー2門を搭載して、支援、騎兵メックに変えている。この新たな任務の概要は、伝統的なシャドウホークの戦術への回帰であると、祖父は言っている。この兵装の意味するところは、敵軍の攻撃の矢面に立って前進を遅らせるか、もしくは側面を突いて敵の注意をそらすことは出来るが、決定的な一撃を叩き込むことは出来ないということだ。

 おとりメックの実用性については分からないが、私は祖父の言葉を信じるつもりである――彼は専門家なのだ。






ライフルマンIIC Rifleman IIC
タイプ/モデル:ライフルマンIIC5
重量:65トン
シャーシ:NCISエンドースティール・タイプM
パワープラント:核融合195 マークIV Mod.3
巡航速度:32.4 キロメートル/時
最高速度:54.0 キロメートル/時
ジャンプジェット:トレルシェア・ロングリフターズ
 ジャンプ能力:150メートル
装甲板:トレルシェア・ロイヤルスター
武装:
 3シリーズ 7NC 長射程大口径レーザー 3門
 2シリーズ 14NC 中口径パルスレーザー 2門
製造元:トレルシェア重工業
 主要工場:トワイクロス
通信システム:ヘクター CC-22E
照準・追尾システム:Mk. CXC-4


 ジミー探偵局の一人が、氏族占領域外周部に現れた氏族製ライフルマン・バトルメック2機の情報を暴き出した。1機目はトワイクロスの再建工場で生産されたダイアモンドシャーク製で、2機目は辺境近辺で目撃されているスターアダー氏族軍の報告にあるものだ。

 面白いのは、これらの機体を他の同氏族製メックと比較すると、物足りないことである。私はイリアンに隠れているかもしれないが、設計哲学の違いを見いだす事は可能であり、これらのメックをこれらの氏族が設計したとは考えていない。

 ダイアモンドシャークのライフルマンIICは、実戦で力を証明してきた旧型ライフルマンをアップグレードしたものであるように見える。3門の長射程大口径レーザーが、好きな目標を選ぶ能力をライフルマンに与える。一組の信頼性が高いパルスレーザーが、接近戦で大口径レーザーを支援するが、真の宝は組み込まれた強化型ジャンプジェットで、旧型のライフルマンに欠けていた機動性を与えてくれる。150メートルのジャンプ能力を持つ、このライフルマンは、大量の高性能放熱器のおかげで、中量級メックの平均と同等のジャンプが可能で、また戦闘を長く続けることができる。

 この機体の派生型が辺境で見つかっている(ジミーとその部隊が、そこで活動しているのか、私は知らない)。スターアダーの紋章をつけ、パレードしているとのことだ。私が閲覧したROM情報によると、一組のヘルズホース製、新型ハイパーアサルトガウスを装備しているようだ。明らかに支援メックとして開発された(スターアダー? 支援メック?)、ライフルマンIICの残り重量は、一組のアンチミサイルシステム、伏兵、隠れた部隊を看破するアクティブプローブ1基といった、防御用につぎ込まれている。アンチミサイルシステムの銃口は見過ごせないほど独特で、また私は氏族製アクティブプローブの放射信号をどう識別すればいいか、テックスクールで学んでいる。

 これらの派生型を、スターアダー氏族が作ったという証拠はない。ダイアモンドシャークモデルは、フェラン・ケルの放浪ウルフ氏族がアークロイヤルで設計したような外観(また戦い方)である。強化型ジャンプジェットは確かにこの方向を指し示している。スターアダーで使われている派生型は、明らかに支援メックであり、歩兵、地上車両の前進を支援するために作られたものである。HAGはヘルズホースの兵器である。これら氏族の間で、以前よりも通信の量が増えているかもしれないように見える。

 ダイアモンドシャークが中心領域への販売を行っているというのが事実なら、LCCC(同盟中央司令部)の購入担当者を、トワイクロスに送る必要があるかもしれない。この新型メックは、反撃を受けない距離からブレイク信徒を叩く事ができる。ワードと戦うのに、大きな恩恵となってくれるだろう。

 もし、ダイアモンドシャークが売っているのならば。






ゴーストベアの抵抗、ホースを押しとどめる

[3071年8月17日: ARNN] ヘルズホースの侵攻速度は低下したが、その理由はウルフ氏族、ゴーストベア氏族の防衛以外にあるようだ。

 ウルフは全戦線で激しく戦い、さらなるヘルズホースの前進を押しとどめるべく数個星団隊を重要な世界に並べた。ウルフのヴラッド・ワード氏族長はこの戦線でホースの強襲を食い止めたがっているようだ。あたかも突破できるならしてみろとコブ氏族長に挑んでいるかのようである。ここアークロイヤルはウルフの気質を知っている。これら部隊に対するいかなる強襲も代償を支払うものとなるだろう。

 理由は確認できないが、ゴーストベア領土での神判は停滞している。ベアとホースの間の対立が冷め、より正式で自制の効いた神判が行われている可能性がある。我らは最近、バールスタ、ドーンの戦闘と、小規模なホース軍に脅かされているヘルマゴールの噂について報告を受け取っている。

 それまで残虐な戦闘が行われていたことから考えて、専門家の多くは何かが氏族の戦意を冷ましたに違いないと認めているが、その要素が何なのか我々は確認できていない。理由が何であれ、我らはこれを歓迎する。氏族戦線からワード・オブ・ブレイクに向かう資源はすべて役に立つことだろう。






ソラリス勝利、ブレイク派退却中

[3071年6月27日: FSN] 姿を消したかに見えたソラリス郷土防衛同盟(SHDL)が、先月、リーチより姿を現し、連携の取れた強襲によってワード・オブ・ブレイクをついにソラリスシティから追い出し、この都市をソラリス人のために奪還した。

 誰もが認めるターニングポイントは、インターナショナル地区とそこのバトルメック倉庫をSHDLが確保したことである。この新戦力でグラディエイターたちはブレイク派を都市から追いやることが出来たのである……しかしワードが降下船を使ってモンテネグロ地区をほぼ破壊するのを食い止めることは出来なかったのだが。都市の他地区もまた膨大な損害を負ったが、ゲームを再開するための会談がすでにあちこちでもたれている。

 これまでのところエリック・グレイはどのチャンピオンシップへの誘いも断り、ブレイク派と戦う戦場に残っている。相当数のSHDLグラディエイターたちがアリーナに戻るため、戦闘から離れている。オープンクラスアリーナはすべて閉鎖されているが、多数のクラスツー、スリーアリーナがすでに開いており、市民たちはここに戻ろうとしている。

 都市外のソラリス人はこれを時期尚早だと感じている。ワード・オブ・ブレイクがいまだ移動し戦闘を行っている――三日前ゾラーラで激しい小競り合いが起きた――中で、ソラリスには深刻な驚異が残っているのである。






アルファード爆撃の報告、帝国内で混乱広がる

[3071年6月14日: INN] 二日前、航宙艦がカンポレオーネに到着し、マリアの首都ノヴァローマが攻撃されたとの噂をもたらした。この攻撃で多数の被害者が出て、皇帝ユリウス・オレイリィが死んだとされる。航宙艦からデータをダウンロードして要点をつかむのに2日を要したが、結論を以下に列挙する。

- マリアの主星が攻撃され、この時、ノヴァローマには皇帝と元老院議員の大半がいた。これに関する確実な情報はない。

- 核による攻撃と思われるが、物理的な損害は最小限であったことから、中性子爆弾と呼ばれる爆風よりも放射線によりダメージを与える兵器であると思われる。

- アルファード星系と周囲の星系の通信はすぐにブラックアウトした。HPG通信は探知されていない(もちろんカンポレオーネは通信範囲外である)。これ以上の航宙艦の到来はない。

- この攻撃を行ったと発表している勢力はないが、綿密に計画されたものなのは明らかである。核兵器の使用はワード・オブ・ブレイクにつながるが、充分な技術を持つ世界はどこでも核分裂兵器を作成可能である。

- マリア帝国はコンパス座連邦と交戦中であった(おそらくは現在も)。コンパス座の世界から攻撃が来た可能性がある。

 INNは確認が取れ次第、さらなる情報を公表する予定である。






AMCの落伍者、スピカで壊滅

[3071年4月17日: VoB] ブレイクの聖なる守りに歓喜せよ! 我らが屈強なワード・オブ・ブレイク市民軍は、本日、スピカで規律無き傭兵たちによる不誠実でいわれなき攻撃を完全に撃破した!

 不満分子のふたつの集団はスピカの平穏を破壊しようとした。第13ストーキングホースとワイルドギース(悪名高き反ブレイク組織、AMC、傭兵同盟軍のメンバー)は三日前に上陸し、スティールフォレストへの救援物資の輸送を阻止しようとした。読者は二週間前に工場の事故で森林が破壊されたことを思い起こすだろう。この戦闘によって、救援隊は三日間足止めされ、住人たちは不必要な苦痛を被った。

 スピカの保護領市民軍(PM)は傭兵の上陸にすぐ応じた。ライト・オブ・ディヴォーションIIエプシロンは傭兵降下船の上陸から二時間以内に到着し、すぐさま卑劣な拝金戦士たちに砲火を浴びせた。彼らはブレスド・ソリッディティーIIIガンマが到着するまで6時間その場を固守し、それから傭兵を守勢に置いた。彼らはワイルドギースの降下船を離陸させ、ギースが再補給できないようにした。

 第13は意気地を失ったように逃げ去り、ブレスド・ソリッディティーに押されて、スティールフォレストの尾根に逃げ場を求めた。彼らは幾度か姿を消したが、勇敢なPMの防衛隊はそのたびすぐに彼らを捜し当てたのである。PM部隊の残りが傭兵を取り囲むまでに、ストーキングホースは足の不自由なロバのように尻尾を巻いて逃げていった。

 傭兵隊の一部はなんとか逃げるのに成功したが、どちらの部隊も長期間ブレイクの保護の下にある者たちを脅かすことはないだろう。






ウィドウメーカーズ、再び惨敗

コンピュータコア、メックをアウトリーチ侵攻軍より強奪

[3071年3月3日: ボイス・オブ・ザ・フリー] ワード・オブ・ブレイクに雇われた傭兵隊が間抜けであることを報告出来るのに我々は満足している。我らは知るべきである――結局は我らが正しいことを。そして彼らはそうではないのだ。

 レムス(大陸)において、ワナメーカーズ・ウィドウメーカーズは、ワード・オブ・ブレイクが吹き飛ばした破片を拾っていた。そして我らは彼らをつまみ上げてやった。2週間前、竜機兵団部隊がウィドウメーカーズ分遣隊の回収地点を襲撃した。彼らはブレイク派の爆撃を免れたブラックウェル社のコンピュータコアを回収しようとしているところだった。それは良いアイディアだったので、我らは掘るがままにさせた。

 それからかすめ取ったのである。おまけでメック一機も。

 ワード・オブ・ブレイクがどのような罪を犯していようとも、優れたメックを生産しているのは事実で、我らは新品のブルーフレームを彼らから奪ってやった。その乗り心地はすばらしく、我らを撃ったのと同じくらい容易に奴等を撃つことが出来る。だがここにはキッカーがいる――我らはこのメックを最初に仕留めたのだ。それから、我らが関心を払わなかった機体を奴等が奪還しようと走り回っていた間、我らは踊り入り、コアをつかみ上げたのである。

 間抜けどもだ。彼らがどれだけ愚かであるかを知るのは決まりが悪いが、彼らはまだここにいるのだ。もしかしたら、我らはこれに対しもっと努力するべきなのかもしれない……








スフィアウォッチ: 崩壊世界同盟


[3071年2月19日: マークネット] 政治アドバイザーたちの大半は、傭兵隊に、自由世界同盟との契約を推奨しなくなっている。政治情勢の変化によって傭兵契約は特に危険なものとなった……忠義の変更は神聖なる防衛部隊を瞬く間に不快な侵略者へと変えてしまうのである。

 アトレウス攻撃以降、四つの連合した派閥があらわれたと思われる。タマリンドとオリエンテは同盟したようで、自由世界同盟の最大勢力(マーリック共和国)はいまだアトレウスのコリン・マーリック総帥を支持している。しかし、常に反体制的なレグルスとアンドゥリエンは時機をうかがっているようだ。

 一見してこれは傭兵が同盟宙域で利益を得るタイミングである……なぜなら、レグルスとアンドゥリエンは活発に軍備を拡大し、そしてタマリンドは常に良き雇用主であったからだ。ジェレミー・ブレット元帥はあまりに抜け目のない指揮官であるので、軍隊の全部門を管轄せずにはいられない。危険なのは、不十分な文言によって作成された契約書である。継承権戦争期に数多の部隊を負債に陥れたドラコ連合の「直営店化」や、3030年代半ばの自由ラサルハグ共和国形成期の混乱が再び繰り返されるかもしれない。

 マーリック宙域での契約は文言を厳しくチェックするよう、傭兵隊に勧告する。特に、政権交代からの保護と、部隊が戦う責任はどこからどこまでなのかに関する追加条項を求めるべきである。さらなる情報は地元のMRBCまで。書式事例あり。






ロビンソン沈黙

ブレイク軍がドラコ境界域首都を攻撃、政府関係者最悪の事態を恐れる

[3071年2月1日: FSNN] 以下はロビンソン特戦隊の一兵士からエクセターの家族に送られた私信である。家族とAFFSの許可を得て転載する。

 奴等は二波に分かれてやってきた。

 最初は航空宇宙部隊だ。ロビンソンには戦艦がなかった……内戦の時でさえもそうだったのである。そして公爵が不在で、摂政女王と共に隠れている状況において、得られた防衛力は過去最低に等しいものであった。ニューアヴァロン、あるいはニューシルティスのニュースはすべて聞いている。忘れてほしくないのは、我らもずっと戦ってきたということだ。忘れてほしくないのは、我らが(ドラコ)連合から撤退した時に、数千人を残してきてしまったことだ。連合内に侵入して捕虜を奪還するのは「政治的に不可能」であった。デタントが終わったことは知っているだろう? スネークとの国境紛争で捕虜が出たのだ。おっと、ロビンソンについて話しているのだった。

 ワードの戦闘機隊はまず軌道ステーションにやってきて、シャロン居住区を撃ち落とした。そこには11000人がいたのだ。慈悲も降伏もなかった。爆発して終わった。彼らの識別信号は民間用のものであった――間違いなく民間用だった。それから他のステーションが落とされ、元帥は我が軍を警戒態勢に置いた。

 それからメックがやってきた。それがシャドウ師団のものかそうでないのか、私にはわからない――メックは白い塗装が施されており、何機かは灰色と見たことないような妙な色だった。ひょっとしたらそれはECMだったのかもしれない。私のヘルスポーンは交戦中に走り回るようなことはなかった。射出座席がきちんと作動したのは驚きである。ヘルスポーンは後もう少しのところで私を道連れにするところだったのだ。

 やつらを追い出せるかどうかはわからない――奴等は長居するつもりはないと言っているが、すべての侵略者たちは常にそう言うものである。いつ奴等を追い出せるかを考えるより、いつ奴等がロビンソンに居座ると言い出すかを考えるほうが遙かに簡単である。






マスケッティア・ホバー戦車:5年報告

[3071年1月25日: AFFS News] マスケッティアがニューアヴァロンで投入されてから6年ちょっとしかたっていないが、実戦での報告は常に立派なものである。3067年、ワード・オブ・ブレイクが襲いかかってくる前にニューアヴァロンを脱出できたマスケッティアは数少ないのだが、主星では見事な働きを見せている。

 ホバーの車体を持つパワフルな戦車であるマスケッティアは、ミドロントルネードRAC/5を搭載し、信頼性の高いストリーク短距離ミサイル砲塔で支援される。ホバークラフトにしては装甲の厚いこの戦車は防護力と同じくその速度も目を見張るものがある。マスケッティアの多くは騎兵、偵察車両として傑出した役割を果たした――トルネードはマスケッティアに平均的な50トン車両を遙かに上回る火力を与えたのである。

 有名になった交戦が3069年に恒星連邦の辺境地方(アウトバック)で発生した。あるマスケッティア中隊がブロークンホイールの南十字星境界域市民軍に所属していた。海賊のメック6機(トーツガ自治領の基地から遠く離れて活動していたと思われる)がマスケッティア中隊のいる大陸を襲撃し、PDZの対海賊作戦を支援しているAFFSの再補給基地に向かっていった。12両のマスケッティアは降下船に戻る途中の海賊を迎撃するのに成功した。そのうち8両が撃破され、3名の戦車兵が戦死したのだが、どうにか海賊のメック6機のうちすべてを破壊するか無力化したのである。そのうちの1機は海賊の指揮官が乗っていた-3Kチャージャーだった。

 コリアンの工場は占領中に損害を受けたので、もうマスケッティアが生産されているということはなさそうだが、設計図が恒星連邦内にある他のコリアン工場に分配されたのは間違いない。よって、たとえ破壊されたとしても再生が可能である。






改修工場

バトルメック・トリアージが主流に

[3071年1月24日: マークネット] 継承権戦争が始まって以来、軍隊は戦闘におけるスクラップをどうすればいいかを学びとり、戦い続け生き残るためには武器を応急処置し続ける必要があることを知った。一部の軍需産業が戦争を生き延びたのだが、星間連盟の黄金期に達成された技術のすべてが残ったわけではなかった。ヘルムメモリーコアの再発見により衰退は終わり、知識と技術は素早く広まっていった。3070年代はサイボーグ、戦艦、新型バトルメック軍団の時代である。

 星間連盟時代にも夢でしかなかった技術の発展はいまだに拡散しているところである。ワード・オブ・ブレイクとの戦争ですさまじい消耗が発生している現況において、かつての回収屋たちは現代の修理屋となっている。

 中心領域中で改修ヤードとして知られる現象が発生している。各地の施設はダメージを受けたバトルメックを受けとり、用意されたパッケージを使って修理し、新しく危険なスペックに改良するのだ。最初彼らは単純なアップグレード(旧式のレーザーを新型に改造するような)を行っていたのだが、現在の改修ヤードは、1機のバトルメックを、損傷したパーツから生産メーカーすら想定していなかったようなマシンに作り替えることが出来る。






フェラーズ、違法傭兵隊に「期限切れ」の通告

[3071年1月3日: ワセット・インクイジター] ワセットに居住し、反逆傭兵連隊ブラックハーツ捕縛の責を負う、ワード・オブ・ブレイク第3師団指揮官、デヴィッド・フェラーズ司教は、ワセットの報道陣に対し、以下の声明を発表した。

「ブラックハーツの兵士、支援員に再考を要求する。グレン・ストライカーと堕落した士官たちが出した命令は違法なものである。彼らは雇用主による法的な配置転換の要求に従うのを拒絶した。当時少佐だったストライカーの行動は指揮官たちの死に結びつき、誤解によって平和なワセットに紛争がもたらされてしまった。どうか行動を考え直してほしい。もう期限切れである」

 惑星に駐留するもうひとつの傭兵部隊、ヘビーヘルレイザーズ(マヌー・シャルマ少佐指揮)に質問を行ったが、解答は得られていない。シャルマ少佐の代理人は、契約上、無関係の問題について報道陣に話すことはないと声明を出している……出し続けている。もちろんのこと、彼らに対しては、ブラックハーツを取り押さえ、捕らえる第3師団を支援するよう命令が出されている――第3師団幕僚からの公式の情報である――よって彼らはこの件に関わっているはずだが、彼らがどう考えているのか無理に聞き出すことは不可能だ。

 当然、我らはブラックハーツから話を聞いていない。追跡を行う保護領市民軍と第3師団が作成した戦闘・被害報告書から、彼らの足跡をたどることが可能である。






スポットライト: ドナー強襲ヘリコプター

[3070年10月12日: マークネット] この十数年、特にカオス境界域が混乱に落とされた3060年代、中心領域で戦闘ヘリコプターへの注目が復活した。カル=ボーイングやマイケルソン重工業のようなメーカーは、中心領域の軍隊にこういった軽量な戦闘機械を販売して富を築いた。

 数世紀に渡って、酷評されてきたウォリアーH-7は、国際的に唯一知られたヘリコプターであった。その次は低コストで成功したマイケルソン社のイエロージャケットガンシップで、さらなる機体が設計され、生産されてきた。氏族にさえも一機種がある。それがドナーだ。このマシンを入手出来るなら、中心領域の回転翼機メーカーは自分の子供を売りはらうだろう。

 マイケルソン社のイエロージャケットガンシップ、ホークモスガンシップのように、ドナーは一門の強力な武装を中心に作られている……極上の氏族製長射程大口径レーザーである。これを補助するのは、一組の短距離ミサイルランチャーで、ウォリアーとよく似ている。この機体はイエロージャケットより高速で、ホークモスすら上回り、750メートルの交戦距離で戦うことが出来る。

 中心領域には捕獲されたドナーが若干数ある。第二次星間連盟がスモークジャガーより捕獲した名残である。そして噂によると、ダイアモンドシャークから天文学的な価格で購入できるとのことだが、どちらも望み薄であろう。中心領域がこの機体に匹敵するものを生み出すまで、氏族の戦闘ヘリに関する優位は続きそうだ。






すべての良きことは……(パート1)

[3072年3月3日: SBC] 失敗してしまった。

 少なくとも、この損害報告……忠義派によってソラリスシティからここノーウェア、我が部隊最後の砦に密輸されてきたもの……を見ているとそう思う。この徴用されたオフィスビルの窓から、第25のメックがうずくまってるのが見える。それはまるで防衛境界線に忍び寄っているかのようだ。(ブレイク)市民軍の輝くピュリファイアホワイトは排除され、各メック、車両にはカモフラージュパターンが施されている。それによって、理論上、攻撃しようとする者たちから身を隠すことが出来るだろう。

 しかし、攻撃されることはなさそうだ――彼らの注意は首都の破壊されたストリートで互いを叩き合うのに向けられている。そして、砲撃によって首都が破壊された「ヒューイットの災厄」の後、我々に対する市民たちのわずかばかりの好意は消え去った。彼らの忠誠心は馬鹿げた「ステイブル」……ほとんど名ばかりの派閥同盟に向かっている。古い遺恨のため、あるいは「マーケットシェア」を伸ばすため、都市の精神は少しずつ引き裂かれていっている。こういったギャンブルで無関係の人々が死んでいくのが私を悩ませている。

 そして我らは野蛮人と呼ばれているのだ……

 第25は市民軍「ファントム」師団群の主力であり、中心となっているのは全員が約4年前にロシア連盟とマリアの侵攻で戦った古参兵である。アンドリオン出身の私は結社の教育活動によってスラムを出た。第25のほとんど全員が辺境出身で、似たような過去を持っている。私はこんなプロパガンダを見たことがある……市民軍の辺境兵士たちは、中心領域に馬鹿にされてきた腹いせをしようとしている、というものだ。だが、私は真実を知っている。

 私は信仰のためにここにいるのだ。

――サリアナ・プライアー司教の日誌よりの抜粋であるとされているもの。第25師団が発った直後、ソラリスVIIの親ブレイク派が出版。現時点で確度は不明。






辺境の基地攻撃される、海賊の犯行

LAAF訓練基地が致命的な打撃をこうむる

[3071年11月2日: DBC] LAAFは今日、自由世界国境に近い辺境のラージコートにあるサイモン・グレンジャー訓練施設が破壊されたと発表した。カシミール市から約400キロメートル離れたサンガ山脈にあるこの施設は、近隣世界のLAAF歩兵が山岳訓練をするための小規模な施設である。

 損害は公表されていないが、記録によると、342名のLAAF士官、兵士がこの山岳訓練校に配属され、中隊規模から大隊規模の生徒がいたとされている。海賊(あるいは何者か)が攻撃した時、どの歩兵部隊がいたかを示す記録は存在しない。

 ラージコート(タマリンド最高司令官ジェレミー・ブレット軍による最近の侵攻で国境線上の世界になっていた)には、小規模なLAAFの守備隊がいたのだが、機甲部隊が訓練基地にたどりつくまでに、襲撃部隊は宇宙に逃げ去っていた。基地の周囲の山で訓練していた部隊の生存者たちは、黒いバトルメックと大量の歩兵隊を報告している。コンパス座の海賊団、ブラックウォリアーズは黒く塗装したメックを使っていることで知られているが、LAAFはこの推測を裏付ける証拠が見つかったかどうか、否定も肯定もしていない。

 ラジコートの他の地域は攻撃されていない。






ポケット戦艦、ワードの最新兵器

[3069年10月15日: マークネット] ワード・オブ・ブレイクは正規の戦艦を多数所有しているようにみえるが、在来型戦力をそのままにしておくつもりはないようだ。地球の工場からの出荷品と、未知の供給源からの物資を使って、ブレイク信徒たちは、無害な貿易用商船を危険な秘密大量殺戮兵器に変えている。

 いわゆる「ポケット戦艦」、改造されたこれらの降下船は、貨物輸送能力を削除し、大型ミサイルランチャー(軌道上の目標に対艦ミサイルを放ち、地上の目標さえも狙う能力を持つ)を積んでいる。ワードは長い時間をかけて手を加え、降下船の外見を従来のままとした――航行中、あるいは発射口を閉じたこれらの船は、通常の無害な商業輸送船と同じように見える。地球史にある古代のQシップと同じように、その船がポケット戦艦か調べる唯一の方法は、テストすることである――ほぼ間違いなく、ポケット戦艦は身を守るために撃ち返してくるのだ。

 この恐怖は、中心領域におびただしいパラノイアをばらまいている。民衆が暴動を起こして、Qシップであると噂された商用降下船を襲い、船員を殺して積荷を奪い去っていたとの報告が届いている。各政府は上陸するすべての降下船を確認するのにベストを尽くしている一方で、恒星間貿易を続けようと苦闘している数多くの商船の一隻が危険な詐欺師に変わる危険性は残っているかもしれないのである。






保安任務で経験豊かな傭兵の需要が広がる

[3070年12月27日: マークネット] 近年、バトルメック傭兵隊は信用を大きく失ったのだが、傭兵の業務に支障はないようである。メック戦士たちと傭兵連隊は苦しんでいるのだが、雇われの兵士たちは、市場に出るとすぐさま買い手がついている。裏切りの恐怖があるにも関わらず、中心領域中で多発する紛争は雑兵を必要とし、傭兵は常にこの役割を埋めてきたのだ。

 傭兵市場で、信じがたいほど成長している分野は、保安任務である。特定の人物や建物を潜入・破壊行為から守る、中心領域で四六時中契約が結ばれているような、伝統的に小規模な歩兵隊が請け負ってきた仕事だ。ノイジエルやアークロイヤルのような世界を通して交渉される割合は少なく、大半が企業と地元の傭兵たちの直接契約である。

 背信がはびこり、雇用委員会がワード・オブ・ブレイクを無法者の雇用主であると烙印を押して、緊張が高まったのに伴い、数多くの企業が傭兵部隊を雇うのを拒否し、その代わり、兵士を個別に雇って、自前の士官を統制に使っている。






マリア、同盟と連邦を襲撃、反乱工作への報復と主張

[3070年8月28日: ISAP] コンパス座連邦の災害救助隊員たちは、マリア軍団とマッキンタイア親衛隊の短いが残虐の戦いの最中に起きた大火と戦っている。未確認の軍団に所属する1個大隊(cohort)が、都市から離れたところにある施設群に降下し、連邦の防衛軍がやってくる前に、かなりの損害を与えた。連邦から直接の声明は出ていないが、ここタマリンドの代表者はこの攻撃を、無法な辺境の盗賊によるいわれなき蛮行であるとしている。

 自由世界同盟では、他のマリア大隊がアビー管区とタマリンド公国の辺境に一連の電撃的な襲撃を仕掛けた。どの惑星にも前線部隊はなかったが、惑星の市民軍は各自、それぞれの責任において市民の防衛に最善を尽くした。三つの世界の市民軍は、経験豊かな辺境国家の兵士たちに踏みにじられた。このすべてで数百人の死傷者が出ている。

 マリアはこれらの襲撃が、ロシア地区、イリュリア地区で反乱を煽ったことへの報復であるとのメッセージを出しているが、正式な声明は発していない。襲撃隊は積めるだけの略奪品を積み、自由世界の商人艦隊から少なくとも1隻の航宙艦、数隻の降下船を拿捕した。襲撃隊の損害は報告されていないが、マリアが攻撃した世界のすべてで若干の回収品が得られている。






ゴーストベアがツカイードを解放

[3070年7月20日: INN] 氏族が現れて以来、彼らの持つ巨大な戦艦は恐怖の対象となっている。今は亡きスモークジャガーがタートルベイ市を消滅させると、他の氏族さえもショックを受け、入札のほとんどから戦艦を取り除いた。氏族が再び戦艦を使い始めたのはつい最近のことである――もっとも有名なのは、スノウレイヴンによるゲイルダンの破壊だ。

 だが、ツカイードの市民たちにとって、いまや戦艦は恐怖でなく希望を意味する。ゴーストベアがツカイードをワード・オブ・ブレイクから解放しようとやってきた時、巨大なリバイアサン級〈ラサルハグ〉がワードの軌道上防衛に対する攻撃の急先鋒に立った。攻撃に継ぐ攻撃(核攻撃もあったと噂される)を受け流した〈ラサルハグ〉は、強力なマッケナ級〈ブレイクズソード〉すら払いのけて、船名となっている国の市民たちを救出したのである。

 近年、ワード・オブ・ブレイク、継承国家、無法者、氏族の戦艦が惨事を引き起こしている状況において、リヴァイアサンのような強力な船が本来の目的で使われているのは勇気づけられる。戦艦の目的とは、敵から無力な人々を守ることだ。






攻撃の記憶いまだ鮮明

[3071年8月24日: DBC] 42年前の今日、海賊がドネガル管区のギブスを攻撃し、ニューデイヴィス市とベインブリッジ市を襲撃して、2000人以上を惨殺した。第四次継承権戦争時代で最悪の凶行のひとつである。

 この海賊(後にニッケルボーイズとして知られる集団と特定)はまずニューデイヴィスを叩き、2機のメックを使って市警と市民軍を陽動する一方、残りが都市内のすべての銀行と倉庫を略奪した。都市から出ていく際に、ボーイズのメックは三棟の病院と一棟の学校を突き通っていった。海賊の一人は、数年後に他の世界で逮捕され、メックの一機を操縦していたことを認めた。「追跡してくる警官たちを妨害しようとしたんだ」彼は言った。「それが戦争ってもんだ」

 ベインブリッジでは、新しい戦術が試みられた。メックで警察と市民軍を脅すのではなく、都市を迂回して、ベインブリッジに電力を供給している核融合炉の配電施設を破壊したのである。次に、彼らは、食料貯蔵施設へとおもむき、火を放った。これによって緊急要員の大半は都市自体から離れたのである。海賊は被害を受けずに略奪を行えたのだった。

 ボーイズは、3038年、第8ライラ正規隊の分遣隊によってついに取り押さえられ、全員が人道に対する罪で有罪を宣告された後に処刑された。






ワード、聖アンドレで二度目の敗走

[3070年5月30日: ISAP] かつての失敗を取り戻そうとしたワード・オブ・ブレイクは、カペラの世界、聖アンドレを再び攻撃した。彼らに立ち向かったのはこの国の勇敢な守護者たち、一度目の攻撃でワード・オブ・ブレイクを撃退したのと同じ守備隊であった。

 ワード・オブ・ブレイク軍の1個レベルIII部隊(バトルメック、装甲車両、バトルスーツ歩兵がそれぞれ同数)は、抵抗を受けることなく降下に成功したが、すぐに聖アンドレ本拠防衛軍と衝突した……首都へと続く道に待ち伏せしていたのである。第四次継承権戦争中のダヴィオン軽近衛隊の戦史をひもといた防衛軍の近接強襲小隊は、姿を現し、ブレイク軍に速射を浴びせた。戦闘の最初の一分で、ブレイクの車両1/4と、メック6機が撃墜された。ブレイク派はすぐに本拠防衛軍を撤退させたが、妨害攻撃によってカペラ前線部隊が、隠れ家から飛び出て、ブレイク派の側面を攻撃するだけの時間をかせいだのである。

 降下地点に押し戻されたワード・オブ・ブレイク軍は、再集結と再攻撃を試みようとしたのだが、聖アンドレ防衛軍(昔から共同作戦を行っている)は、協力して防壁となり、三度にわたるブレイク軍の攻撃を受け流した。最終的に、ワード・オブ・ブレイクは降下船に撤退し、離陸した。彼らが軌道に達すると、カペラの小気圏戦闘軍が発進してブレイク部隊に「旅の挨拶」を行い、小型降下船の二隻を破壊した。

 ワード・オブ・ブレイク軍は最大で2個レベルIIを完全に失い、残りのほとんどもダメージを受けた。対して、聖アンドレ防衛軍は、メック7機と、戦車1ダースの損失であったが、回収品によって容易に物的な回復ができるだろう。






ヘスペラス陥落

ブレイク派のサイバー兵士と戦艦、防衛軍を撃破

[3070年2月24日: 共和国プレス] 思いも寄らぬことが起きた。ワード・オブ・ブレイクが、ヘスペラスIIの要塞と、ミョー山脈にあるディファイアンス工業主工場の生産品を獲得したのだ。第一星間連盟崩壊後、ライラ共和国が最初にこの世界を獲得して以来、外国の旗がマリアエレジー(惑星首都)に翻ったことはなかった。

 強力な海軍の残忍な攻撃に先導されたワード・オブ・ブレイク強襲軍(少なくとも1個のシャドウ師団を含む)は、古参兵の防衛軍を激しく、素早く叩いた。緒戦からブレイク派の優れた技術と凶暴性に圧倒されたLAAF軍は、可能な限り流れを食い止めようとしたのだが、最後には撃破され、壊滅した。

 ヘスペラスIIの喪失は、ライラの国家的プライドと、ライラ同盟装甲軍の戦闘能力の双方に深刻な打撃を与えた。ミョー山脈にある多数の生産ラインは、電子機器大手ドゥラン・エレクトロニクスは言うに及ばす、ライラの軍需品のかなりのパーセンテージを供給している。LAAFの戦闘態勢を維持するには相当な再調整が必要となるだろう。そして我らは、この惑星にいたディファイアンスのCEO、ダニエル・ブリューアー公爵の消息を追っているところである。彼が死んだのか、捕らえられたのか、報告はまったくない。

 進行中のターカッド包囲とあわせ、ヘスペラスIIの喪失は狂信者たちがライラという王冠にある最も大きな宝石の二つを得たことにある。ピーター・シュタイナー=ダヴィオン国家主席がターカッドで沈黙している状況において、国家のプライドを取り戻し、ブレイク派を押し戻す仕事は、最高司令官アダム・シュタイナーの手に託されている。






スポットライト:グプタ・サンガ

[3070年2月12日: SBC] 4年前の3066年2月12日、グプタ・サンガはキャセイのジャングルアリーナの遺恨試合でジラズニ・ステイブルのレギュラー選手、アダム・グラッディと戦い、殺された。トレードマークとなっているレイスで戦ったサンガは、再生されたドラゴンで戦うグラッディをもう少しで破るところだった。グラッディ(メックはレーザーでずたずたにされていた)による土壇場のオートキャノンがレイスのコクピットを貫き、一瞬でサンガを殺したのである。

 サンガは60年代の半ばにレイスを使った向こう見ずな戦いで名をあげ、対戦者を負傷させることがよくあった。マスコミ(サンガは嫌っていた)は彼をキャセイの黒騎士であると書き立て、古代の女神カーリーの化身であるとした。インタビューに応じないサンガは、このあだ名を受け入れも拒否もせず、マスコミの言うことで大衆の見方が変わっていく中で、下された評価を嫌がったりはしなかった……殺し屋、である。

 ライセンス取得後にサンガと戦った29人の選手は、13人が殺され、6人が障害を負った。サンガは特に真上からの飛び降り攻撃を好み、レイスの驚異的なジャンプ能力を使って、対戦相手の上半身に強打を与えた。13人の死者のうち、11人はコクピットの破壊によるものである。

 サンガと彼の暴力的戦術に対し抗議の声が多数挙がった一方で、連邦共和国内戦の凶暴性が、彼のさらに目立つ攻撃を覆い隠したのである。その後、アダム・グラッディの従兄弟、メナンドロスが死ぬまで、サンガへの挑戦はなかった。グラッディの遺恨試合は特殊な条件で行われた――もしサンガが破れたら、もう二度とアリーナでは戦わないというものだ。

 だが、グラッディは勝利の美酒に酔うことはなかった……戦闘後に、突然、弾薬が爆発し、グラッディが乗っていたメックを破壊し、彼を殺したのである。






傭兵隊の虐殺

[3070年2月11日: コロボレーター] この数年間、恒星間ニュースは傭兵産業の終焉を喧伝し、ワード・オブ・ブレイクに買収された多数の裏切り者たちを公然と非難し、長年活動してきた部隊の全滅を報告している。ウルフ竜機兵団は壊滅し、その領土はワード・オブ・ブレイクの手に落ちた。リトルリチャード装甲旅団はプレイオネで戦い全滅した。ディズマル・ディシンヘリテッドは全滅させられた。一般的に見て、傭兵は死に行く種族である。

 だが、スパーレフォーンでは、傭兵の誇りが全く歓迎されない、だが強力な信念の後押しを受けたところである。ポール親衛隊の名で知られる戦車と歩兵の小部隊が、マーレイ弾薬製造社(AFFSにオートキャノンの弾薬を納入する小規模な製造業者)との契約下で保安・防衛を引き受けていた。バトルメックと歩兵を展開する正体不明の盗賊軍が、弾薬を捕獲して自分たちで使うのをもくろみ、出荷の直前に工場を攻撃した。

 フェリックス・ポール少佐(ゴシェン軍事大学卒業生)は、工場へと続く道で盗賊軍と遭遇した。戦車と歩兵をハルダウンさせた親衛隊は、海賊のメック2機と、戦利品捕獲用の輸送車をすべて破壊した。トラックを壊されたことに激怒した海賊たちは親衛隊の陣地を攻撃し、部隊の最後の一人までを虐殺した。だが、2機を除くメックすべてと戦車全車両が代償となったのだった。

 親衛隊を雇用したヘンリー・シビデュー伯爵は、戦闘後に演説を行った。「ポール少佐と兵士たちは、現代傭兵の意義を明確にした」と彼は、聴衆(マーレイの工場の従業員4000名を含む)の前で発言した。「不利だったにもかかわらず、危険だったにもかかわらず、彼らは契約の文面に従い、それぞれの神の御許に旅立った。確かに人命の浪費であるが……同時に名誉ある行為だ。これこそが我らの雇ったものだ。逃げることなく、隠れることなく、彼らは使命を果たした」

 伯爵は、親衛隊の犠牲に対する謝意として、遺族に年金を支給すると後に発表した。






新型クロウヘリコプター、DCMSへ

[3069年12月10日: VotD] 連合がワード・オブ・ブレイクの攻撃の穂先を受け止めているまさにこの時、忠実な企業は竜の側に結集し、勇敢な兵士たちがブレイク信徒を押し返すのに必要な道具を供給している。ルシエンが聖戦の炎に焼かれているこの時でさえも、他の世界は竜を生かすため前に進んでいるのである。

 ニューサマルカンドでは、ヤン・マニュファクチュアリングが親会社のルシエンアーマーワークスから技術支援を受け、ソアー捜索救難機を高速観測ヘリコプター、クロウ偵察VTOLに改造した。クロウがあれば、激しい戦闘の中でも、正確な目標に竜の怒りを叩きつけることが可能である。

 クロウはハイテク観測機で、目標を指示する目標補足装置と、隠れた敵を暴き出すビーグルアクティブプローブを装備している。また、自衛用と妨害用に、ジャミング装置のガーディアンECMを積んでいる。2門の高性能レーザーは、この核融合エンジン装備のVTOLに自衛手段を与える。

 ニューサマルカンドでの第一次生産はほぼ完了し、すでに75%がリョウケンやエリートのゲンヨウシャのようなDCMS部隊に行く予定である。第二次生産は公式に発表されているが、パーツメーカーからの発表では三次生産、四次生産に充分なほどの注文を受けていることが明らかにされている。DCMSがクロウを軽高速隊の主力にするつもりなのは明らかなようだ。






サイクロプス社の新型APCデビュー:サクソン

[3069年11月11日: ウォリアー・マガジン] 本日、スカイアでサイクロプス社役員によるサクソン装甲兵員輸送車(APC)の発表があった。この車体は、核融合エンジンを載せた重ホバークラフトで、1個非装甲歩兵小隊か、パワーアーマーバトルスーツ1個分隊を輸送する能力を持つ。近年、バトルアーマーの使用が活発化する状況において、サイクロプス社はバトルアーマー部隊を戦場に急送する車両を投入すると決めた。

 サクソンは継承権戦争の最中に中心領域で使われていたAPCとふたつの点で大きく異なっている。一つ目はその核融合エンジンである。これが35トンの車体を他の軽ホバークラフトと同程度の速度にし、また兵站的問題から解放した。二つ目はサクソンを守る戦闘用ホバークラフト並の重装甲である。

 これら高速APCの最初の生産分は、第2スカイア防衛軍連隊の手に渡る予定である。スカイア防衛軍は、スカイア島を守る使命を帯び、リチャード・シュタイナー公爵の外交政策を行使する部隊である。スカイアにいる我らの会員によれば、自由世界同盟に出征する見込みとのことだ。ライラ同盟装甲軍の調達担当者(スカイアにて評価中)は、この機体が気に入ったようだが、購入の注文をまだ出していない。噂によると、ライラはサクソンが実戦に投入されるのを待ち、それから決断するとのことだ。






メンケント爆撃!

[3069年10月31日; FSP] 今日、メンケントの静かな朝は、ワード・オブ・ブレイクと思われる軌道上の降下船による突然の爆撃によって破られた。一連のミサイル攻撃は軌道上からメンケント北半球の各都市に放たれ、数時間続いた。これらの降下船群は数度弾幕を張り、その後、軌道を離れ、ジャンプポイントに戻り、そこで再チャージした航宙艦に乗り込んで脱出した。スクランブル発進したメンケント市民軍の気圏防空は到着が遅すぎて交戦できなかった。軌道上にいた他の船は、攻撃隊の静止画像を長距離撮影するのに成功していた。

 コンピュータ処理された写真には、大型ミサイルを地表に向けて発射しているミュール級降下船3隻が映っていた。よって、この攻撃には、ブレイク派の「ポケット戦艦」……艦船用大型兵器を搭載して偽装した商業降下船が関わっているとの見方が有力である。識別マークは確認されていないが、ここ数ヶ月、警告なしに惑星の目標を爆撃するのは、ワード・オブ・ブレイクのやり口である。

 このとき、メンケントにLAAFの前線部隊はなかった。またLAAFの連絡部門は、移動中の部隊がいるとの発表をしていなかった。降下船の爆撃目標となったのは非軍事的なものである――ブレイクは市民軍の陣地を無視して、クラッジ市の水力発電ダムや、アテネ郊外のアクロポリス核融合発電所のような民間のインフラを攻撃したのである。

 10月29日にメンケントからジャンプした輸送船団の行方について、LAAFはどんな情報でも求めている。






指名手配:契約違反

以下の傭兵は、MRBCから無法者であると宣言されている。

[3071年8月20日: マークネット] 添付されたリストの傭兵は、傭兵評価・雇用委員会から無法者であると宣言され、各部隊の隊員、士官、支援人員に懸賞金がかけられている。逮捕につながる情報にも、賞金が提供されることがある。詳しい情報については、地元のMRBC局に連絡されたし。

ビックリー・ビッターズ(大隊)
 最後にゼベベルゲヌビで目撃されているビッターズは、16年間企業保安軍として活動していた。最新の契約――ゼベベルゲヌビのガブリエルにあるアドラー・コミュニケーションズ社の本部を守るというもの――の際、ビッターズは企業の金庫を襲撃し、アドラーの降下船を盗んで星系から逃げ出した。契約違反と19件の殺人で訴追されているビッターズは、ゼベベルゲヌビの法廷から指名手配されている。

スター・ガーディアンズ(小隊)
 最後にデイアで目撃されているこの軽バトルメック小隊(カリー・スター指揮)は、ジェイドファルコンが3069年、この世界に降り立ったとき、無許可で抵抗もせずに撤退した。聖キャメロン騎士団の下請けだったガーディアンは、商人の航宙艦と共謀し、ファルコンが上陸してから10時間以内に――そして戦闘が起きる2時間前に、降下船に逃げ込み、星系から脱した。ガーディアンは契約違反と敵前逃亡で指名手配されている――情報はMRBCか聖キャメロン騎士団へ。






スポットライト:3003年4月3日

ラムセス vs パーキンソン

[SNN] 3003年のこの日、ゾラーラの外にあるモッシュ・ピット・アリーナで、二人のライバル、ヘンリー・ラムセスとポーラ・パーキンソンの最後の戦いが行われた。この闘士二名のライバル関係は、2999年のグランドチャンピオンシップで互いのメックを同時に倒して以来、強いものとなっていった。

 パーキンソンは先にピットに到着した……土砂降りの雨の中、いつものリムジンをやめて、グラスホッパーに乗ってきたのだった。自身の流儀に忠実なラムセスは、ホバーヴァンの天井から、四人の屈強な男たちが運ぶ御輿に乗って登場し、アリーナに入った。そこに金色のサンダーボルト、サンゴッドが待っていた。二人は試合の前に言葉を交わさなかったが、マスコミ(ソラリスシティの外に出るのはまれ)は、言いもしなかったことを、口にしたことにした。

 戦いについては、多くの通信社、スポーツ専門局が触れているが、パーキンソンがグラスホッパーのジャンプジェットを使って飛び上がり、サンゴッドのコクピットを叩き潰したというとどめの一撃が、全世代のファンのイメージに焼き付けられているといっても過言ではない。

 だが、この残忍な行為で、パーキンソンはソラリス内での戦闘を永久に禁止され、それから4年後、アンタロスの荒野で最期を迎えたのだった。






装甲車両:軍隊の戦力

[3070年12月12日: マークネット] ブレイク派による聖戦が始まって以来、軍需品の製造業者は、最高と最悪の両方を経験している。既知宇宙のほぼ全域で絶え間なく続く紛争は、全メーカーの生産能力を超えるような需要を産み出したが、この紛争によって中心領域最大級の軍需企業群は、大きな被害を受け、財政危機に追い込まれた。準ローテク的な性質を持つ装甲戦闘車両が再び戦場で脚光を浴びることになった。

 アルディス工業、スカボロー製造、ヘレスポント工業、クレッスリー・ウォーワークスは24時間365日フル回転し、次から次へと可能な限りの車体を生産している。3060年代の後半に膨大な装甲戦闘車両が登場した一方で、人気のある戦車――デモリッシャー、シュレック、マンティコア、サラディンやドリルソンのようなホバー車両――の多くは、この数十年で最大の売り上げを記録した。アラコルン、マントイフェルのような高級機種は軽視されてなかった一方で、需要そのものによって輝かしい座に戻された。

 むろんのこと、この新たな注目は、代償無しにもたらされたもののではなかった。近年、成功した車両製造業者は、バトルメック製造業者と同じようにワードオブブレイクに目を付けられやすくなった。企業の保安部門はすぐに、アークロイヤルやその他の傭兵雇用世界で高額の契約を持ちかける雇用主のひとつとなったのだった。






傭兵を取り巻く厳しい環境

逆風の中で創設される新部隊

[3071年12月11日: ガラポート・スクリーマー] 傭兵ビジネスはこの数年、大規模部隊、有名部隊の多くが壊滅し、信用を落とす中で大打撃を受けてきた。実際に、傭兵の信義と取り扱いの保証人であった強大なウルフ竜機兵団でさえ、ワードオブブレイクの攻撃によって全滅しかかり、そして新たな傭兵たちの星、アウトリーチは燃えがらになるまで破壊されたのである。まるで中心領域が大きなラサルハグになったかのように、傭兵たちは敵視されている。

 そしてそう、この状況にもかかわらず、ガラテアで、中心領域のあちこちで、毎日新たな部隊が作られ続けている。その一例を以下に列挙する。

ベニート・ブローラーズ(Benito's Brawlers):小隊規模の中量級メック隊、ブローラーズは、最近、ラモンのボイヤー公爵に個人的な護衛として雇われた。アジム・ベニート元中尉率いるブローラーズは、防衛任務を専門にすることを宣言している。

ダンタイガー旅団(Dun Tiger Brigade):一個機械化歩兵大隊(支援としてゴブリンIFVを使用)のダンタイガースは、現在、ガラテアシティの雇用所で雇用主を捜しているところだが、高額の報酬を請求していることから、すぐに仕事が見つかることはなさそうである。

ヴィクトリー封臣団(Victory's Vassals):ヴィクトリー・ジョーンズ=ディモンは、この気圏戦闘機のみの部隊(スラッシュ軽気圏戦闘機6機)を指揮している。ちょうどライラ宙域での護衛任務を成功させ戻ってきたところである封臣団は、次の任務に入る前に降下船を探している。






ゲームワールドにあったかもしれないもの

スポットライト: アラン・カナデンシス

[3072年2月2日: SBC] 突如として戦争が勃発する以前、ソラリスIVには知られざる有望なグラディエイターたちがおり、アラン・カナデンシスはそのひとりだった。

 人気のないクラススリーの競技者だったアランは、長期契約のスポンサーなしにソラリスシティの大アリーナで戦っていた。契約者たちが修理費をカバーできなかったときには、莫大な一族の資産を使用して、バトルメック、再生サンダーボルトの維持を行ったのである。彼はすぐに、どのアリーナでも用意周到な計算された戦いを行うことで有名になった。クラススリーの対戦相手の多くは、長距離ミサイルの雨と、長く苦しい戦いを終わらせるとどめの大口径レーザーを恐れるようになった。

 カナデンシスは、アップグレード技術を避け、旧式メックを使っていることでよく馬鹿にされる。サンダーボルトを改造し、短距離ミサイルとマシンガンをジャンプジェットに変更して機動力を増やしているのだが、通常の武装(これがサンダーボルトを数百年間、親しまれた信頼できるメックとした)をそのまま保っている。対戦相手の多く――そしてキャリア初期の頃のブックメーカーの多く――は、サンダーボルトがアンヴィルやヴェルフォルガーのような先進メックと戦う時には、不利なオッズをつけたのだが、カナデンシスは常に敵をやぶってこれた。彼が珍しく負けた相手は、彼と同じくらいに狡猾なメック戦士だった。この敗北でカナデンシスは新技術に投資することを考えたのである。

 聖戦がソラリスVIIに届いたその時、アランは他のグラディエイターたちと共に、ブレイク侵攻軍と戦ったが、3069年のゾラーラ近郊での小競り合いの後、集結地点に姿を現すことはなかった。捕虜にされた、メックが破壊されたという報告はないのだが、通信状態の悪いソラリスでは、報告の少なさは意味を持っていない。






指名手配:グロリア・ゲートクラッシャーズ

不法傭兵部隊、カペラ境界域で捜索中

[3071年10月12日: フィルグローブ・ニュースサービス] フィルグローブのAFFS傭兵連絡局は、傭兵部隊グロリア・ゲートクラッシャーズが不法部隊であるのと調査報告を公表し、バトルメック小隊の各隊員に30万コムスタービル(もしくは同額の地元通貨)の懸賞金、クラッシャーズの全支援人員に5万コムスタービルの付加懸賞金をかけた。

 発表によると、ゲートクラッシャーズはAFFSに雇われ、メロペーの回収作業(地元CMMがタウラス連合の襲撃隊と交戦)の警護を担当していた。両軍の戦いの残虐性を考えると、技術支援チームが戦場から物資を回収する間の警護は必須であるとされていた。

 だが、ゲートクラッシャーズの指揮官グロリア・ゴールドシュタインはタウラスの愛国者であったようで、最初から、護衛するAFFS部隊――そしてすでに回収した物資――をタウラスのものにするつもりで、コネクションを使ってこの契約を得たようだ。事態が発覚したのは、AFFS技術者のひとりが機転を利かせて、AFFSに状況を知らせたからである。保安部隊が現場に到着すると、彼らが捕らえられたという物的証拠だけが残されていた。当局は部隊の全員が拘束状態にあると確信している。

 保安の都合上、人質の名前は発表されていないが、捕らえられた部隊はゲートクラッシャーズとともにメロペーに残っていると、AFFSは考えている模様だ。不法傭兵の懸賞金に興味のある部隊は、捕虜が同じ場所にいるかもしれないこと、それに応じた行動を取ることが警告される。






ファルコン、同盟と争わず

聖戦の混乱の中、ファルコンはウルフに攻勢をかけ続けている

[3072年7月13日: ウルフプレス] ギュンツブルク――たまの襲撃は氏族の生活習慣であるが、最近のファルコンはその範囲を超えている。第1ファルコン軽機兵隊の1個三連星隊が、二ヶ月間のうちにハーベスト、プランティング、デル、スヴァースタードを貫いた。元ウルフのクイン・ケレンスキー率いる、"クイン・ラヴィジャーズ"(と呼ばれている)は、補給物資、パーツ、代替メックを求めての挑戦を行った。デルでは、彼女の挑戦は拒否されたが、全守備隊(車両、歩兵、1個二線級メック三連星隊からなるソラーマ星団隊)との交戦が行われた。ファルコンは守備隊を殲滅すると、腐肉をついばむハゲタカのように、補給庫から何もかも奪い去っていった。

 普通の襲撃とは違って、スヴァースタードの襲撃は、一面的な戦いにならなかった。クイン・ケレンスキーは、自身の遺伝子遺産を賭けた所有の神判を持ちかけ、拒否された。ケレンスキーの降下船は、山の尾根の両面にそれぞれ降り立っていった。ブルー親衛隊(ウルフ氏族イオタ銀河隊)は、ふたつの軍勢に対処すべく二手に分かれ、その一方、第6ウルフ機兵星団隊が都市を守った。降下地点に駆けつけたギャラクシーコマンダー・シツ・スラダックは発見した……勇敢なファルコンの戦士たちでなく、降下船一隻とデル守備隊の虜囚を。この時、スターキャプテン・ハロルド・ケレンスキーが、ファルコン三連星隊全兵力の攻撃を受けていた。ウルフは勇敢に戦ったのだが、2個二連星隊は、凶暴なラヴィジャーズにはかなわなかった。ハロルド・ケレンスキーはセーフコンを求めたが、拒否された……クインは単独で彼のダイシを引き裂き、それから行動不能となったメックのコクピットをPPCで蒸発させたのだった。そしてファルコンは1個星隊分の回収されたメックとともに、ジェイドファルコン占領域へと帰還していった。






本当は何が起きたのか:レジェンドキラー

グレイ・ノートンはソラリスの英雄だった――そうではないか?

[ソラリス・ブロードキャスティング・カンパニーDBC] 近年、ここソラリスシティのゲーム産業が困難に直面している中、ゲームがどこで始まったのか思い返さざるを得ない。結局のところ、メックゲームはマッキーがメルカバを踏みつけた数年後から、ライラに欠かせない文化であった――中心領域の文化だと証拠をあげて弁護することもできるかもしれないが。アリーナで戦う剣闘士たちは我らのヒーローだ。彼らが実生活で常に良い人間だったわけではないが、アリーナでは常に最高のものを見せてきたのである。

 ジェームス・オーゴードン、ジャスティン・アラード、グレイ・ノートンの玩具メックをコレクションしていた子供たちはどれくらいいるのだろうか? ケルハウンドのウルフハウンドと竜機兵団のアーチャーはさておき、私たちは小さなセンチュリオンと強力なライフルマンをメックコレクションに持っていた。我らの子供たちも同じセンチュリオンを持っている。ただしパイロットはジャスティンの息子、カイである。私たちはオバノン姉妹が2機のマローダーIIで戦っていた時に声援を送った。それがおそらくゲームの絶頂期だったろう。

 いま我らは無政府状態となり、ストリートで戦っている。そして市民たちはなぜなぜこうなってしまったのか、どのように始まったのか、誰を糾弾すればいいのかを知りたがっている。ストリートで最後まで戦ったサーシーとヴァンダーグリフだろうか? もっと前、ライアン・シュタイナーが暗殺された時だろうか? もっとさかのぼるのだろうか? 最近の噂では、ソラリスで好まれる誇張されたヒーロー、グレイ・ノートンは、金で情報を売るスパイよりましな程度の存在であったとされている。物知り顔な連中は、彼を金で魂を売る男にしたがっている――適正な代金さえ支払われれば、SAFEにだろうとマスキロフカにだろうと、恒星連邦のMIIOにさえも、何でも売り払うのだ。一部は3020年代後半の悪名高い「シルバーイーグル」事件の共犯であると糾弾している。確かな証拠もまともな調査もないが、何らかの進展があったら続報をお伝えするつもりである。






ブレイク軍がヘスペラス防衛隊を粉砕

3071年3月24日

[DBC]編集者注:奪還されたLAAFヨアヒム・ライン中尉の日誌より抜粋

『奴らは今日、上陸した。奴らがどうやって衛星ネットを通り抜けたのかは分からないが、そこに現れたのである。少佐は工場とマリア・エレジー(首都)の間に、私の小隊を送り込んだ。哨戒任務である。我らは修理用の設備を使って、リニアレール沿いに移動し、そこから外に出て電磁スキャンを実行した。スキャンの画面に出たのはバケットローダーか掘削マシンだと、ハッチンスは考えた。

 直後、ハッチンスはそれに撃たれたのだ。

 奴らのうちの6機、灰色のメックがリニアレールの影から現れ、こちらを砲撃してきた。ハッチンスのヴェルフォルガーは、ブラックナイトのハチェットの下に潜り込んだ。ブラックナイトはしばらくそこに陣取って、ハチェットでハッチンスの命を削り取っていった。胸の記章は、いまいましいブレイクの剣と、赤の三角形に黒翼と半月。40と数字が割り振られている――あのくそったれどもが40部隊もいるなんて考えたくもない!

 残った我らはひとつになって、連中を撃ちはじめた。ゴールトンと私はどうにかバッカニアの膝を抜き、マーシャルがエクスカリバーの1機をガウスライフルの頭部撃ちで撃墜したのだが、もっと小型のライトレイが最悪だった。あの野郎はとにかく我らの背後に回り込み、レーザーで背中の装甲を撃ちまくった。振り向いたら、他の機体に背中を切り刻まれるというわけだ。

 連中は数が多すぎたし、助けを請おうにも遠すぎた。私は山脈に無線がとどろいているのを聞いた。だが……キャットマウンツが助けを求めていたのである。ヘスペラスが陥落したら、どうなってしまうのだろう……、ブレイクが力をもったら、どうなってしまうのだろう……』

――この日誌は、LIC部隊による情報収集襲撃で、ヘスペラスからジャンプ一回のところにいたブレイク派の急使より奪還されたものである。むろん、この報告の信頼性は実証されていないが、ヨアヒム・ラインは第15ライラ防衛軍(昨年、ヘスペラスで敗北)の小隊指揮官としてLAAFの名簿にリストされている。






傭兵、放浪ウルフ氏族が、ブレイク信徒の攻撃を撃退

3072年4月28日

[マークネット]オールドコンノートの傭兵雇用斡旋所はかつてなく混雑しており、アウトリーチが倒されて以降初めて、傭兵たちの誇りと楽観が現実に感じられる。かつて、断固たる決意と、実力を証明する必要性しか、見受けられなかった場所で、ワード・オブ・ブレイクをはねのけた当地の傭兵たちは、ややふんぞり返りながら歩いているのである。

 放浪ウルフ氏族の艦隊が分散し、ジェイドファルコンの捕食から国境を守っている状況において、ブレイク軍はアークロイヤル周辺の海軍警戒線突破に成功し、オールドコンノート、傭兵野営地周辺(ケルハウンド、ウルフ竜機兵団残存兵力含む)に、数個部隊を上陸させた。

 「我らを囲い込もうとするかのように、奴らは攻撃してきました」、ヘルズハート旅団のカボート少佐はそう語る。「奴らは即席の車陣に飛び込んで来たんです。こちらの全員が砲塔か何かの影に隠れていると思っているかのようでした。奴らが入ってくると、我々は奴らを撃ちました」、メック、戦車、非装甲歩兵の混成ブレイク軍は、地上戦の初めに、通常部隊の車陣に侵攻したのだが、傭兵たちは準備を整えており、これを撃退した。奇妙なことに、歩兵の多くは戦闘中に負傷すると、埋め込まれた自殺用爆薬を使って、自決したのである。命を救おうとした、同盟医療班を死傷させたケースもあった。

 「私たちが他に船を持ってたら、あの間抜けな犬どもが地表に辿り着く事はなかったろう」、そう放浪ウルフ氏族のスポークスマンは伝える。「そうは出来なかったが、我らの海軍は狂信者の海軍力に大打撃を与えた」

 ウルフの船にメディア関係者は入れないので、海戦の様子は伝えられないが、戦闘中に軌道上で少なくともひとつの核兵器が使用されたとの未確認報告がある。






ワード・オブ・ブレイク、バックミンスターを攻撃! 竜機兵団破れる!

3072年12月28日

[Mercenaries Today] ウルフ竜機兵団のデルタ連隊は常に「あの連隊」だった。58年、コベントリで重要な役割を果たしたのがデルタである。竜機兵団内戦の際、契約を遂行し続けたのがデルタである。新たな傭兵たちの星をブレイク信徒が攻撃、殲滅した時、アウトリーチを離れていて――そして呼び戻されなかった――のがデルタである。

 3070年4月、運命が彼らを捕らえた。いまだ連合との契約下にあった、この最後の竜機兵団部隊は、バックミンスターでワード・オブ・ブレイクの精鋭集団による攻撃を受けた。この直前に、連合の上級士官が連隊を訪問したとのうわさが残されている。過酷な聖戦初期の勢いに乗ったブレイク信徒は、古参兵竜機兵団を強襲し、楽勝を予想した。

 だが、これまで竜機兵団が戦ってきた者たちのように、驚かされたのはブレイク信徒の方だった。シェリー・ブラベイカー大佐が連隊を率い、今後数十年軍事大学の授業で教えられるのが確実な防衛戦を行った。デルタは、ブレイクの支援部隊を叩き、主力部隊(ツンリダ・テラーとして知られるかつて詳細不明だった部隊)に大打撃を与えた。戦闘終了までにテラーはほぼ壊滅し、無秩序に撤退していったのだが、ひとつの任務を果たしていた。

 デルタ連隊は倒れ、最後の竜機兵団連隊が死んだのである。

 今年初頭のベンジャミンからの報告によると、「テラー」が再び光の当たるところに出てきたようだ。当地で活動しているブレイク軍が同じ記章をつけているのが発見されたのだ。黒のブロードソードに白と銀の翼がベンジャミンで見られているのだが、ツンリダが誰であれ、あるいは何であれ、バックミンスターの戦いを生き残れなかったのは確実である。捕捉された信号によると、新たな「復讐者」の主はアリオッチと呼ばれており、再建された第45師団による戦闘はこれまでより恐ろしいものとなっている。






正体不明の部隊がギブソンで発見される

[ビデオ映像傍受]

[ 砂嵐の画面、左下に 12Sept70 の文字(3070年9月20日) ]

[ 砂嵐がクリアになり、泥で汚れた反乱軍兵士の顔が出る ] こちら、レッド・タッガー。新ギブソン自由同盟(NGFL)の仲間のために、この報告をまとめた。重要な情報なので、仲間たちに渡していって欲しい。

[ レッド・タッガーが一瞬画面外を見る ] どれだけ放送してられるかはわからない――ジャミング装置があるのに、ブレイク信者の方が優勢で、こちらは囲まれている。セル18は昨夜捕まった。私もいつまでもつか… [ 動きを止め、目をぬぐって、汚れを広げる ]

[ レッド・タッガーは下を見て、タイピングする。クリックする音が聞こえる ] 昨日、我らはコムスター離脱者のキングクラブを支援し、フォーゲルパーク近くで待ち伏せを行った。大尉から教わった待ち伏せ戦術を用い、ローブ野郎のシューティスト1機をどうにか片づけた。その時、どこからともなく、これ……これが我らに襲いかかってきて、コムスターのパイロットを倒した。我らは前進して、コクピットをこじ開け、彼を助けようとした。その時……[ レンズを見る ]……その時、これが起きた……

[ 画面はバトルロムの映像に変わる。キングクラブがぐったりと倒れ、部分的に埋まっている。散発的な砲火の音が聞こえる。突如としてカメラが高速パンし、空を見上げる。ひとつの目標が不安定に捉えられ、その下降する軌道を追いかける。その目標は、鳥に似たバトルメックで、かぎ爪のような手を持ち、背中からトゲが突き出ていた。上半身は赤で、脚が黒いそのメックは、金で縁取られている。重々しい砕くような音を立てて、そのメックは、倒れたキングクラブの上に止まり、かがむ。すさまじい速度でかぎ爪が振り下ろされ、コクピットを引き裂いた。パイロットは、刃を付けた指関節の上で血まみれになっていた ]

[ レッド・タッガーの声 ] この機体がいったい何なのか、我らにはわからない。大尉は、キャッスルマスターズ近くで見つかったという新型機の噂を聞いていた。これが噂を証明した最初の報告になるのではないかと思う。

[ カメラはメックのロゴにズームする。牙と赤い目を持つ金のドクロに、黒のブロードソードが下向きに刺さっている。背景は赤の逆三角と、上に重なる"A"の文字。大きく揺れながらカメラがズームアウトすると、画面が覆われる。メックがレンズを直視し、右腕を持ち上げる。マズルフラッシュ、カメラが爆発し、停止 ]

[ レッド・タッガー ] どういうことか、私にはわからない。彼らが何者なのか、私にはわからない……ワード・オブ・ブレイクだということを除いては。私に分かるのは、やつが大尉のオウサムを一瞬のうちに引き裂き、それから……あれが……大尉の死体を引きずりだし、通りに血の雨を降らせたことだ。

[ カメラが細かく振動すると、レッド・タッガーはあたりを見回す ] ちくしょう、もう持たない。[ レンズに顔をつける ] この情報をみんなに伝えてくれ。我らは助けを求めている。助けがなかったらNGFLはやられてしまう。[ 下がり、左を見る ] くそっ。[ カメラを下に落とし、画面から消える ] 妹に愛していると伝え――[ 青い光が画面を包む。カメラは激しい砂嵐の中に消える ]






正体不明の部隊、ソンホア、コーンケーンの防衛隊を蹴散らす

 ワード・オブ・ブレイクと思われる正体不明の部隊が、ソンホア、コンケーンへの電撃的な襲撃を行った、との報告が本日ANNに届いた。ソンホア・スターコープスの工場施設で、この襲撃部隊――航空隊とメックを組み合わて使用した――は、完全にデビル旅団の虚を突き、傭兵隊を潰走させた後で、工場の三ヶ月分の出荷品を持ち去った。ソンホアの通信員は、目撃者から以下の証言を取るのに成功した。



 生き延びたのが信じられない……。連中は何なんだ? 俺は氏族と初期に顔をあわせたことがあるが、さっき遭遇した奴らは……。あれは人間じゃない! ああ、もちろん、奴らはバトルメックを操縦していた。だが、奴らがメックでやった事、移動の仕方、動き方は……。奴らはワード・オブ・ブレイクなのかもしれない。黒いブロードソードの記章をつけていたんだ。でも、赤い三角形は描かれてなかった。50の文字は剣に描かれていただろうか、柄に差し込まれていただろうか? 奴らはほとんど幽霊みたいに現れた。頭は黒から灰色のグラデーション。腕に塗られた赤は、血を流しているように見えた……。

 こっちは準備ができていた。奴らが来るのも、何を求めているのかもわかっていた。工場に来るとわかっていたんだ。だが、奴らが射程に入った瞬間、何も見えなくなった。俺達は長距離ミサイルと、激しいエネルギー兵器の砲撃を受け、次に気圏戦闘部隊が機銃掃射しようと近づいてきて、背後にいきなりVTOLの大集団が現れた。何が起きてるのか理解する前に、敵は迫ってきた。バトルアーマー……見た事のない羽根付きスーツと、大量のピュリファイアーが下ろされた。こっちは陣形の中央が突破されるのを防ごうとし、増援を呼んだが、側面の部隊が助けに来るとすぐ、ホバーとVTOLが背後に回り込んで、そして……

 ああ、俺達は負けた。逃げた。戦場から脱した。

 情けないと思うが……。もしあんたが奴らを見たのなら、ジャック。もしあんたが奴らと遭遇したら、理解できるだろう。幸運なことに、奴らはわずかな補給物資(ハハ、わずかだよ、それしかなかった……)を盗み、工場を破壊しなかった。ワードがあの連中をどこで見つけたのか、奴らがいったいなんであるのか知らないが、二度と奴らと戦わないで済む事を祈るよ……。

――デビル旅団、ウィリアム・マクダーマインド上級曹長の個人的なメッセージ






AMC、リバティを防衛

[マークネット](68年1月11日) AMCはまたも勝利を飾り、カオス境界域の世界を略奪から守ったと報告している。3067年12月の月末、第3ディズマル・ディシンヘリテッドの分隊がリバティで海賊と交戦し、撃退した。「ラファイエット軍団」を自称する海賊たちは、この星系に二方面攻撃を仕掛けた。主攻勢は降下港の外で発生した……海賊たちとその支援車両が港内に浸透し、離陸の準備をしていた商人の降下船2隻を盗もうとしたのである。陽動襲撃は、ほんの一時間前に、放棄されたライラの軍事施設(使える機材は取り外されていた)の近くで発生し、すぐに撃退された。この襲撃はバートン旅団によって撃退された。彼らはリバティ政府の許可を受け、放棄された基地に居を構えていたのである。






トールツリー侵略!

ブレイクの大規模な強襲後、いまだHPGは稼働中

[INN - トールツリー](67年12月31日)今日、惑星HPGステーションの近くでワード・オブ・ブレイクの第3師団がコムガード第76師団を攻撃し、ファ・シュラの首都は激しい戦いに巻き込まれた。残酷な戦いは主としてガーナービル・ブロックの周辺で行われ、周辺部には火災が発生し始めた。ブレイク信徒とコムスター軍が支配権をかけて戦っていたその時、トールツリー市民軍はこの地域の民間人を支援し、家族たちを移動させ、消火活動を行おうとした。

 この原稿の締め切り時点で、ファ・シュラの被害者は数千人に達し、アウターバーのグラストンベリー製造工場近郊への最初の強襲で数百人の民間人が死亡した。物質的な被害は現時点で不明だが、数十億に達すると予想される。特に、ワード・オブ・ブレイクの空爆によって、5000万コムスタービル規模のプロジェクトであったトリー・ミルズ・アーコロジーが崩壊している。ここはタオ・オプティクス(タオ・メックワークスの一部門)など、企業数社の本拠地であった。

 今日の早い時間帯、最初の攻撃の後で、ブレイク第3師団のバトルアーマー隊が迂回攻撃を敢行し、オムリッド司教の指揮レベルの不意を打った。幸いにも、遅延行動のあと、援軍が到着して攻撃を押し返したが、その間、ガーナービル・ブロック近郊の第3師団による正面攻撃が同時に行われていたのである。数時間に及ぶ、いくらか集中的なメック戦闘の後、両者はしばらくのあいだ引いていった。現在は、救急隊員がこの地域内で発生した火災を食い止めようとしている。

 コムスターはヘレナの守備隊も激しい攻撃を受けたと報告しており、ワード・オブ・ブレイクが当初に予想されていたものより大きな戦力で攻撃を行ったとの報告に信用を与えている。オムリッド司教の参謀の予測では、惑星上の第3師団の総戦力は約8個レベルIII部隊としている。

 惑星の市民は、戦闘区域内にいる場合を除き、外出しないように警告する。戦闘区域内にいる市民は、シェルターか地下を探すよう警告する。火災や他の緊急事態の報告は422-TTEO-21まで。






竜機兵団契約破棄!

傭兵の傾向に変化?

[ボイス・オブ・ザ・ドラゴン(VotD) - ナージャ](67年10月13日) - 今日、ジョージ・フジワラ大将は、ウルフ竜機兵団が昨日ナージャを離れたことを認めた。エリート傭兵隊は契約の緊急条項を適用し、どこかへと向かっていったが、アウトリーチに戻っていったものと推測される。

 大将はまた、契約の解除が竜機兵団のアルファ連隊(ケリー・ユキノフ大佐指揮)のみであることも認めている。アルファの顧問となっていてるメーヴ・ウルフ将軍も部隊と一緒に出発する予定である。現在、キーセンにいるデルタ連隊は持ち場に残る予定だ。

 竜機兵団の行動は、連合にとって悪いタイミングでやってきた。9月にノースウィンド・ハイランダーズもまた、突如として戻っていったのだ。この傭兵隊は同じ「緊急条項」を使って、連合との契約を終了した。条項の正確な文言は不明だが、予期せぬ事情が発生した時に、自発的に契約を終えられる文面が含まれていたものと考えられている。ハイランダーズは氏族の長老四名が死んだとの報告があった後に、政権の交代を監視するために去っていった。

 竜機兵団はなぜ緊急条項を適用したか述べていないが、専門家によると、無法傭兵隊がアウトリーチのハーレフ市を攻撃したことに関係があると推測している。どのような攻撃があったのか、中心領域で最精鋭の傭兵隊が必要な状態なのかどうかは不明である。

 連合の傭兵連絡官(バックミンスター地区)のトクガ氏は、契約解除について、MRBCの担当部署に適当な上告を行うと発言している。「我らは竜機兵団が竜との契約を破ったのに失望している一方で、なにか例外的なことが起こるものなのも理解している。だが、我らが疑念を持っているのは、わずか6週間前にノースウィンド・ハイランダーズが同じことをしたということである。それが、正式の調査を求めることになる理由である。我らはMRBCがフェアで偏よらない決定を下すことを期待する」

 第17ベンジャミン正規隊はナージャに残る予定である。






バラノフ行方不明、死亡か

[マークネット](67年10月13日)10月10日、サウスハーニーの戦闘中、突然の弾薬庫爆発で行方不明になって以来、ホールの皇帝バラノフの消息はいまだつかめぬままである。皇帝が惑星の首長であることから、皇帝が指令395にサインするか、惑星上院によって新皇帝が任命されるまで、ホールの自由世界同盟編入の宣言は伸ばされている。

 朝の記者会見で再び質問されたバラノフ防衛隊の執行人マリベル・ディヤング元中尉はこれに関して発言を行った。「つい三日前に発生したサウスハーニーの戦闘は大規模な混乱を生み出した。閣下が戦死したという以前の報告は間違っていたようだ。2名の防衛隊員が、最初の爆発から1キロメートル以上離れたところで、木に引っかかった皇帝のイジェクトシートを発見した。彼は頭部に外傷を受けており、1048時にMASHステーションに移された。ご存じのように、このステーションは2時間前、ディズマル・ディシンヘリテッドの側面攻撃を受けた。この攻撃で、治療を待っていた忠誠ある防衛隊員数名が死亡し、大規模な混乱とパニックが引き起こされた」

「傭兵たちは皇帝と負傷兵を捕らえ、惑星を脱出するための取引材料にするものと我らは理解している。これこそが、上院がすぐにバラノフ皇帝をペルソナ・ノン・グラータであると宣言し、新しい皇帝を任命せねばならない理由である。軍事・政治の経験を持った人物を選ぶよう、彼らを説得する予定である。そうすれば、ホールを自由世界同盟の一員することが出来るだろう」

「皇帝が解放されれば、彼はこのすばらしい変化と安全な未来へ導いた者として厚く遇されることになるだろう。時間をとってくれてありがとう」

 AMC部隊はまだ惑星上にあり、ダイアモンドバック山脈に隠れている。惑星間貿易委員会内部の情報源によると、AMCの軍用降下船2隻がバラノフ航空大隊に破壊された後、AMCは退却につかえる追加の輸送手段を買おうとしているという。これまでのところ、各船長たちと交渉しようとする際に、傭兵隊は激しい抵抗を受けている。

 退却するAMC部隊のコメントは届いていない。

――ホール・ニュース・ワイア・サービスより






キャメロン一族のグリーンゴースト?

 インターステラー・エクスペディションズの名は、中心領域の隠された秘密を追い求める人々にはなじみ深いものです。彼らがつつき回すことによって、ワード・オブ・ブレイクが聖戦に使っていた「隠されし世界」が発見されました。ミネソタ・トライブがウルバリーン氏族の子孫かもしれないという証拠をどの組織よりも多くあげたのが彼らです。しかし、彼らは謎を追うだけでなく、謎そのものにもなっています。

 古代のノヴァーラ教会を発掘中に、謎めく辺境の襲撃者がIEを襲いました。司会者ウェナー・フォン・シャッテンベルクによる、IEの発掘作業員、ステイシー・マッククラウドのインタビューです。「警告もなしに襲ってきて、遺物と主教管区記録をすべて持っていったんです。彼らは自分たちがしていることを理解していました。でも、忌々しいブレイク信者たちとは違って、だれも傷つけないように注意していました」

 当番組『真実の影』は、グリーンゴーストの攻撃がパドリック・ブラザーフッド教団の勢力圏内だという決定的な相関関係を発見しました。ブラザーフッド教団は、最初に地球を脱した宗教団体のひとつであり、後にはキャメロン家から強力な支援を受けています。アマリスが地球を支配する直前、最後に地球を脱した降下船は、ブラザーフッド教団の所属であり、後の教団と同じく歴史の闇へと消えていきました。

 後の教団、聖キャメロン・ソサエティとIEの関係は知られたものです。最後の降下船の乗客名簿は地球のアーカイブで閲覧可能であり、A.C.とだけ書かれた若い乗客1名がリストされています。このA.C.はセキュリティチェックを通過する特別な通路を通り、管制塔はブラザーフッド教団の降下船に出発の優先順位を与えました。このACはアマンダ・キャロルだったのでしょうか? グレイゴーストはキャメロン一族の後継者になにが起こったのか知るために、消えたパドリック・ブラザーフッド教団を追いかけているのでしょうか?

 次週はスカイアに場所を移したハイランドの伝説をお送りします!

 (『真実の影』は作品内で放送されている報道番組である。他の出版物内でそう書かれない限り、情報が事実であるとは限らない)






クセノフォン: グリマルド擲弾兵隊(パート1)

 プロ兵士としての生活は、歴史上、ロマンチックなものとされてきた。最も古い例は、もちろんのこと、本誌の由来となっている『アナバシス』に出てくる傭兵団であるが、ジョン・ホークウッドの白衣団、ローデシアSAS、29世紀のハード・ハート軍団、それから当然ケルハウンドが、この伝統を続けている。傭兵生活の現実は、もちろん、いささか異なるものである。

 この記事では、グリマルド擲弾兵隊という傭兵強襲大隊の起源、装備、戦術、その他について紹介していく。連邦=共和国内戦の終わる直前、3065年に結成されたグリマルド擲弾兵隊は、内戦が終わるまでと、聖戦において、立派に役目を果たした。彼らはコムスターINNのヘッドラインを飾って中心領域中で名を上げることはなかったが、それでも公正な傭兵産業を形作る無数のプロ兵士の一例になっているのである。

 次週の第一弾では、グリマルド擲弾兵隊の起源に関する各種概要と、恒星連邦カペラ境界域との最初の契約いくつかについてお送りする。大隊指揮官にして創設者、ジョン・グリマルド中佐と有名な部下たちのプロフィールについても紹介する。

 『クセノフォン』は現代のプロ傭兵ジャーナルである(雑誌売り場で購入可能)。本誌の使命は、傭兵という職業のリアルな真実を照らしだし、スキャンダルヴィッド的な間違った認識を打破して、職業傭兵たちにわずかなりとも経緯をもたらすことである。






クセノフォン: グリマルド擲弾兵隊(パート2)

 ジョン・グリマルドはAFFCに26年間勤務した。3039年戦争でAFFSがドラコ連合への攻撃に着手したその日、彼はアルシオーネの基礎士官コースに入学し、氏族侵攻時にはカペラ境界域で高い評価を得ていた。シュタイナー=ダヴィオン兄妹のあいだで火花が散るまでに、彼はノヴァヤゼムリャの企画課にいた。3064年に弟が死んだことは、ジョン・グリマルドを退役に追いやった。AFFCの元戦友たちと戦うのは気が進まなかった。そして、戦友たちの多くもそうだったのである。

 指揮官としてのジョン・グリマルドは、実戦の場において冷戦沈着、必要なときには危険となり、部下を浪費するのを好まない男としての評価を確立していた。兵士たちは――砲火の中で顔を上げ、命令に従い、契約に応えようとする良き兵士たちは――死を恐れぬものである。しかし、無駄死にを恐れるものだ。軽視されるのを好む者などいない。ジョン・グリマルドが持つ才能は、彼の下で戦う男女に重視されていると思わせることである。

 3065年、彼は部隊の中核となる隊員たちと共にアウトリーチへたどり着いた。彼が持っているのは、少数の人員とメック、カペラ境界域で培った評判以外になにもなかった。一ヶ月以内に、100名の兵士、伍長、中尉、2名の大尉が加わった。この全員が内戦に参加するのを望まなかったAFFSの元隊員だった。彼らはグリマルドの下に集い、彼の指揮下で戦闘に行くのを望んだ。

 かつて所属していた思い出深い第1ケストレル擲弾連隊から名前を取り、新傭兵部隊にグリマルド擲弾兵隊と名付けたグリマルドは、現地の傭兵たちを雇い始め、新しい契約のために事務所を開いた。連邦=共和国内戦が荒れ狂う中、受ける契約は至る所にあった。

 そして、ジョン・グリマルドは受けたのである。






クセノフォン: グリマルド擲弾兵隊(パート3)

 最初の契約を受ける前に、擲弾兵隊は戦闘組織を作る必要があった。グリマルドは小部隊指揮官(3044年に連邦=共和国星章を授与されている)、大隊指揮官としての豊かな経験を持っており、彼に付いてきた士官たちの中には優れた幕僚がいた。入隊済みの兵士たち(出発までに到着する予定の者たち)と新たに雇った傭兵で、ただちにおおざっぱな勤務当番表が作られた。

 できあがったのは、諸兵科大隊の骨格であった。グリマルドの手中には、9機のバトルメック、17両の戦闘車両、2個小隊(定数不足)分の歩兵があった。グリマルドが尊敬する士官たちの推薦を受けて、アウトリーチで数名の気圏戦闘機パイロットを雇用したが、気圏戦闘機はなかった。何度か有利な申し出をしたものの、専属の降下船を雇うのには失敗した。

 グリマルドが求めている任務は、攻撃的な短期契約であった。もし彼が兵士を指揮するのなら、雇うことが出来た中で最高の兵士たちを指揮することになろう。契約に成功し、まっとうな評価を持つプロの兵士たちを集めるには、戦闘的な傭兵という評価を築かねばならない。グリマルド擲弾兵隊にとって有用な駐屯契約はあったとしても少ないはずだった。

 ジョン・グリマルドが自分の大隊の訓練を監督するあいだ、幕僚たちは最初の戦闘契約の交渉を行った。雇用主が輸送を提供するまでのわずか二ヶ月間、擲弾兵隊はアウトリーチの練兵場で訓練に明け暮れた。




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