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作成:2006/02/10
更新:2011/09/03


LinkNet



Falcons on Gladius?

ファルコン、グラディウスに?

 第8宙域まで旅する方、もしくは通過する方は注意されたし。ジェイドファルコン氏族が再び活動中である。

 荒廃したかつてのスカイア連邦を通過した急送船の報告によると、ジェイドファルコンの軍用降下船、戦闘機がグラディウス惑星星系で交戦を行っているとのことだ。超攻撃的な性質の通り、ファルコンはオデッセイ級急送航宙艦ファルシオン号にきっかり一度だけ呼びかけ、それから中立の旗を無視して、船長に降伏を強いるべく重気圏戦闘機1個星隊を解き放った。

 ファルコンにとっては不幸なことに、ファルシオン号の船長はリチウム融合電池を使って緊急ジャンプを実行しえた。だが、その前に、接近した戦闘機1機が後部の重力デッキを攻撃して、3名の船員の命を奪ったのだった。

 船長の素早い判断で船は救われたものの、ファルシオン号はジャンプセイルの助けなしでどうにかライラ宙域へと辿り着いた。緊急ジャンプでセイルを失っていたのだ。安全な港に辿り着いてから、船長はリンクネットや他の評判のいい通信社に目撃したものを中継した。提供されたホロビッドの一場面には、戦闘降下船を半分積んだ2隻のファルコン航宙艦が映っていた。少なくとも2隻のユニオンCと1隻のブロードソード級が確認でき、戦闘でダメージを受けたアウトポスト級降下船1隻、キャリアー級降下船1隻がこれを支援していた。激しい通信妨害が惑星グラディウスへの警告を不可能とした。少なくとも完全1個星団隊のファルコン突撃部隊による破滅が惑星に迫っていた。またHPGでの通信は不可能なままだった。

 リンクネットは、グラディウス星系を通過し、この事件のさらなる調査を行った船員に懸賞金を提供する。が、ジェイドファルコン氏族の共和国領域侵攻では、すべての文明化された戦争協約(航宙艦の尊厳、民間人の中立性含む)が進んで無視されている。よって、非標準のジャンプポイントの使用を推奨する。




TECH WATCH: What’s in an Atlas?

テックウォッチ: アトラスにあるものは?

 近ごろ、アップデートされたアトラスが観測され、ひと騒動持ち上がった。何を言っているか分からない方は、数週間前のビッグフットの記事を参照されたし。業界の関係者たちはこの件に注意を払っていたようだ。その証拠に我々は何通かの手紙を受け取っている。以下はそのうちの2通である。


アベル・K・イロンリー
企画部長、ディファイアンス工業


 人を恐れさせるような外見は、バトルメックにとって好ましい特徴の一つであった。威圧的なマシンの実力を証明するためには、バーサーカーが斧を振るい、撃ちまくるよりも、見てくれが必要なのだ。だが、この"新型"アトラスは、非論理的な既決でこのデザイン哲学を採用した――この巨獣は恐ろしくも、タフでもないのである。

 なるほど、コクピットの骸骨のような外見は維持され、破滅をもたらす雰囲気を与えている。現行型の細長く、装飾され、評判のよろしくないAS7-K2アトラスよりも、本機はやや背が低く厚みがある。それが明らかな堅牢性を感じさせる。さらに、大口径ロータリーオートキャノン、印象深いLRMラック、その他の強襲級メックらしい重武装で、この印象は増加する。ないのはホッケー用スティックだけだ。

 しかしながら、実用性は美観に勝るべきなのである。そしてそれが現代のアトラスが失敗した点だ。重量が増加したように見えるが、腕と脚に取り付けられた大量の装甲板は、傷ついたときに関節の動きを阻害するだろう。さらに悪いことに、これらの装甲板は通常時でさえも胴のミサイルラックを邪魔するのだ。オートキャノンの大部分が露出し、その一方でかかと/足の組み立ては厄介である。それがわかっているパイロットにとっては、容易に破壊できる目標である。

 いったんこれらの弱点が広まれば、アトラスの神秘性がもたらす心理的な利点は相殺されてしまうだろう。


マルコ・ガリ
技術長、先進軍事研究班、ヴィクトリー・コンディション工業
「ヴィクトリー・コンディションなしに、勝利なし」


 最新型のアトラスは、これまでに使い込まれ、歴史が証明してきたこの強襲級メックの初心に戻った、見事な出来であると私は考える。明白に新型機は、ロータリーAC/20を筆頭に、見える限りの兵器だけでも、さらに見事な出来でもあるのだ。その高視度から、弾薬庫は細胞式弾薬収納装置(C.A.S.E.)で強化されているのが推測される。同じく、胴のLRM20弾薬を守るために、C.A.S.E.IIが使われていても私は驚かない。

 最新型アトラスは限られたオムニメック能力が付与されているようにも見える。胴の装備はおそらく戦闘ごとに取り外し可能で、ことによるとモジュラー式かもしれない。あるいは、熱が溜まっているときに、誘爆を避けるため、投げ捨て可能なのかもしれない。

 かさばっているのはコンパクトなデザインの結果であるように思える――いわば、贅肉が筋肉に置き換えられたのである。そして、独立して旋回する装甲板は、近くの宇宙港からもぎ取ってきて溶接した破片に見えるかもしれないが、このマシンが振りかざす驚異的な外観を増強しているのだ。

 武器に加えて、追加装甲は視認性が高く、敵に貫通せねばならないものを見せつける。アトラスのパイロットたちは、足を前に出すのに、踏み込み過ぎることがあるとの報告が入っている。これらの装甲板を持ち上げ、胴のLRM20とSRM6を守るのである。脚/腰の新デザインが、この操作を楽にしている。そして、肩の駆動装置を側面から撃つのはとんでもない行為である……この装甲板の配置では、敵は後ろからの攻撃を試み、支援部隊から離れざるをえないのだ。もしくは化け物に正面から挑まねばならない。苦しみの世界を保証されているようなものである。最後に、もしテックが切れ者なら、装甲板が損傷した後で、メックの正常な動きが妨げられるような惨事を避けるために、装甲を綺麗に刈り取るだろう。

 本音を語ろう。3025年にさかのぼる旧型アトラスのパーツは不足している。また、バトルメック技術が進化している状況で、旧型機を完動状態に保つのは実用的でない。戦場の王者ですら、時代と共に変化しないと、生き残れないのである。そして新型アトラスはどうにか進化を遂げ、前任者と同じくらいに堂々とした姿を保ったのだ。




(6/23/3136)Major Clash Reported in Augustine System!

オーガスティン星系で大規模な衝突!(3136年6月23日)

 オーガスティン[INN] - 傭兵隊と未確認のグループ(ネオ・ブレイク派とのつながりが疑われる)の大規模な衝突が、無人のオーガスティン星系第五惑星ゲッセマネで勃発したという報告を、オーガスティンの政府高官が、本日、認めた。「多数の降下船と、機数未確認の小型機」を確認するために派遣されたオーガスティン星系航空宇宙保安隊(SAS)が発見したドライブの痕跡は、宇宙と地表(無酸素)の両方で戦闘が行われたという、目撃者(通りかかった鉱物商人)の主張を支持した。交戦の原因は調査中である。

 SASの艦船は、兵士たちの暗号通信をどうにか傍受した。またゲッセマネに向けられた電波望遠鏡によって、関わっている部隊のひとつが、カークパトリック・インベーダーズ――31世紀半ばに創設された傭兵大隊であることが確認された。彼らと戦っているのは、オーガスティン高官が言うところの「ネオ・ブレイク派の制服と組織をトレードマーク」とする戦力不明の軍勢である。

「(交戦相手は)星間連盟時代、31世紀後半のバトルメックと車両を使っています」と、オーガスティン上級報道官、トーマス・ギブズは言う。「戦場の拡大画像を見る限り、メックと戦闘機に描かれている独特な白地に赤の塗装は、アポリオン・カルト教団の名で広く知られているネオ・ブレイク派に属するものと似ています」

 改装型ミュールII級鉱物輸送船ブラックゴールド号の船長ハロウ・ジャクソンは、別々のインタビューの中で、ゲッセマネ最大の衛星カルバリ周辺の宇宙で戦闘が始まったと主張している。当初、戦闘員たちは気圏戦闘機間の通信を制限し、決闘を行っていた。その後、カークパトリック・インベーダーズのIFFとロゴを帯びた降下船が、ゲッセマネ南半球の採掘基地近くに降下していった。

 ジャクソンはさらに付け加える。彼の船――いつもの採掘を終え惑星から出発した――が、戦闘区域を迂回しようとした時、共和国のアストロラックス・スターヨット社を含む、遺棄された施設の近くに、小型機の集団がいるのをセンサーが発見したという。

「連中がやってきた時、まだ誰かがあの施設を使用していた」ジャクソンは言う。「そう確信している」

 SAS調査団は、ゲッセマネ内外での戦いは傭兵隊が離脱するまで約二時間に及んだと結論付けた。カークパトリック・インベーダーズは来たときと同じくらい素早く出ていった。使われてない採掘施設が(核兵器によるものではない)大爆発を起こし、ネオ・ブレイク派の一定数を吹き飛ばした。また、アポリオン・カルト教団のマーキングを付けた少なくとも一隻の艦艇が、ゲッセマネの軌道上から回収された――放棄され、漂流していた。

「この事件は他に波及しないと信ずるに足る証拠があります」ギブスは今朝の記者会見で述べた。「ですが、この事件の調査をさらにに続けるのを保証いたします」

 現時点で、インベーダーズ傭兵隊、ネオ・ブレイク派の行方に関してコメントはない。だが、オーガスティン政府に近い職員たちは、アポリオン・カルト教団やブロードソード・ブラザーフッド教団はどんな規模の作戦行動でも起こせると、地元民たちに警告を与えている。




(6/16/3136)Lyrans Strike Alkaid!

ライラ軍、アルカイドを攻撃!(3136年6月23日)
共和国守備隊包囲中;大損害の報告

 ノバディ、アルカイド - ライラ共和国の旗をなびかせた、小規模だが強固な傭兵団が、昨晩の遅く、ノバディ宇宙港の外れに構えた共和国軽守備隊を包囲した。未確認情報によると、包囲(続行中)で両陣営に大きな損害が出ている。スフィア共和国によって出資、運営されていた鉄鉱石の鉱山は全壊した。この不届きな所行が何のために行われたかは明らかになっておらず、彼らの正体も不明である。が、通称「フェニック・テクノロジーズ・リミテッド」の下で活動しているレジスタンスが最重要容疑者であると、匿名の情報がもたらされている。






TECH WATCH: Two, Four, Six, Eight . . . Who Do We Appreciate?

テックウォッチ: 2、4、6、8……我らが評価するのは誰か?

 100トン超のバトルメックのことを考えると、今や誰もが心安らかになれないので、我らは目立たないバトルメックと技術の業務に立ち返ることができる。ヴァルチャーMk4の登場は、マッドキャットMk4の到来以降、時間の問題であった。実際に、ウルフハンターの記章を確認されたその機体は、紛れもなくヴァルチャーMk4である。

 元々のヴァルチャーはオムニメックであった(我らが語りうる限りでは本機もそうである)。オムニメックということは、モジュラーウェポンシステムを搭載し、由緒あるマッドキャットと似たようなシャーシデザインを採用していることを意味する。オムニメックは3049年から3050年にかけて、氏族侵攻の際、中心領域に「登場」した。革命的なモジュラーデザインのおかげで、戦場での修理がしやすく、パイロットごとの改造が日常的となった。その多用途性で氏族軍の中心になり、かつては中心領域で回収品が集められ、解析、分析された。軍部内でより平凡な存在となり始めたのである。

 マッドキャットMk4と同じ脚部を誇示するヴァルチャーMk4は、一部を改良しただけのものに見える。最も目立つのは、腰と胴の接合部である。このデリケートな箇所を正面攻撃から守るため、胴体の後方に配置されているのだ。もうひとつの変更点は、小口径レーザー2門を胴中央の砲塔に載せていることである。使わないときは防護のため胴体のなかに引っ込むことが知られている。それらを除いて、このヴァルチャー(氏族の戦士からはマッドドッグとも呼ばれる)は、先祖とかなり似通っている。

 とは言っても、現在の武装構成は以前のヴァルチャーと異なっており、我らはこのダーティーバードの兵装を最大限に推測した(ターゲティングコンピューターを積んでいるかの議論は、オフィス内でいまだに活発である)。さらなるMk4が将来出てくるだろうか? 我らはすでにMk5を待っている。

   要目
バトルメック: ヴァルチャーMk4 VTR-V4-H
重量: 60トン
シャーシ: エンドースティール
パワープラント: 300 XL 核融合
巡航速度: 54.0 キロメートル/時
最高速度: 86.4 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
装甲板: フェロファイバー
武装
 長射程荷電粒子砲 1門
 LB5-Xオートキャノン 1門
 6連短距離ミサイル 4門
 長射程小口径パルスレーザー 2門






Week 20 - 9 June 3136

ステフカへ

 もうジャンプ一回だ、シストラ(妹)よ。カークパトリック傭兵隊は、船のL-Fバッテリーを限界まで酷使するのも、ドライブへのホットチャージを使って待ち時間を短縮するのも、やぶさかではないようだ。もちろんのこと、ご想像の通り、ジャンプは私の神経を揺さぶった。私は、おばあちゃんの愛したタイラーから乗り物酔いを最悪の形で受け継いだのだろう。君に再会する日が待ち遠しい……それはこの胃がよじれるダブルジャンプと金属臭のする浄化された空気の終わりを意味しているからだ。

 しかし私は脇道にそれる。

 傍受されないよう、ファイブの秘密をもっと送信するのを君は望んでいる。ハッセルドルフ少佐はこのリスクを嫌がっているが、それにも関わらず許可を出してくれた。彼とその部下たちは、我らが見つけたものの重さに気付くようになった。

 ファイブを作り出した陰謀組織は、ジェローム・ブレイクとコンラッド・トヤマの秘密結社に他ならないように思える。継承権戦争初期の不安定な時期に「すべてのたまごをひとつのかごに入れる」のをいやがった彼らは、地球を支配するのみならず、比較的重要でない――だが現状維持のまま使用できる――世界のいくつかに買収の手を伸ばし、これらの世界が死に絶えたと発表して、詐欺を行うことで、中心領域の残りから隠しさった。ひとつを除いて、これらの星系内にある奪取された世界は、第一次継承権戦争中に「死んだ」ことになった。ファイブのすべては、地球から250〜300光年の範囲に位置している。大王家が地球を強襲し奪い取るのに成功した場合、これらの世界はコムスターの重要人員の集結地点、隠れ家となるということだったのかもしれない。

 だが、そうするためには、絶対的な秘密が求められる。トヤマの狂信と疑似神秘主義は、これを行い維持するのにぴったりだった。手短に話すと、(ブレイクの死後)真のエリートとトヤマのビジョンに従順なものだけが、これらの世界を知ることが出来たのである。たとえ首位者やROM司教であっても、秘密結社(これらの世界の周囲で成長していった)によってセキュリティ上のリスクがあると考えられた場合は、除外されたのである。

 そしてどうしたものか、ワード・オブ・ブレイクが作られた時、この秘密結社は初日からマスター自身によって率いられることになった。

 隠されていた間、各世界と住人たちは各種の後ろ暗い計画を進めたようだ。サイバネティクス、人工知能、強化KF理論、化学戦争、宇宙用の大量破壊兵器。その過程のどこかで――ブルックリンばあちゃんのノートでは、首位者ミンド・ウォータリーの時代の前後であることが示唆されている――これらの計画の最も有望なものは、フル生産に入った。ウォータリーが秘密結社の一員だったとしたら、彼女自身がこれを命じたのだと思われる。

 従って、3030年代の前後に、ファイブワールドは兵器センターとなった。秘密結社が何を考えていたか明らかでないが、マスターが乗っ取った時には、新たな目的が具体化したようである。マスターの「予言」は、確かに聖戦以外のなにかを念頭に置いていた……彼らが新たな時代を作り出すというのを大言壮語した時、それはプロパガンダ以上のものであった。ハラスの部下が祖父母をムーアに連れていった時に、彼が多くを説明した。だが、彼らの「最後の解決手段」は正しいものだったのだろうか? 起こりえたかもしれないものにたいして身震いがする。

 ああ、妹よ! もちろんのこと、ノートにはもっと記録がある。日記の記述は、おばあちゃんがIEのオファーを受けて再入隊し、呪われしジャーディンを見つける日の前までさかのぼっている。タイラーの埋葬後に、彼女がどこにいったかの手がかりさえあるかもしれない。

 君に再会する日が待ちきれない!

 敬具

 イエスカ






Week 18 - 26 May 3136

ステフカへ

 ああ、君が正しかった……今回もまた。これが情報源を傷つけることはないだろう。手配に感謝する、妹よ。インベーダーズは我らが望み得たすべてであった。プロフェッショナルにして大胆不敵。有能にして細心。彼らは強奪の間、見事、民間の被害を最小限にして見せた……

 だが、もちろん、君が気にかけるのは墓地で見つかったものだろう。さて、私はリンクネットが情報流出の根元であると考えているが、君が出来るだけ早く(危険だが)この情報を「共有」したいというのなら、私に選択肢はほとんどない。そうだろう?

 以下は完結にまとめたものである。

 ジャーディンはファイブのうちのひとつだと確認されている。ブルックリンばあちゃんが聖戦の直前に、IEの任務でこの世界を発見したのである。そしてそのために、彼女と船員たち――そして家族たち――は、容赦なく追い立てられた。彼女たちをなんとか救い出したのは、偽マーリックの騎士団の一部であった……一時的にだが。君が推測したように、これもまた事実である。アラーニャという女性がジャーディンで捕らえられ、当地のマネイ・ドミニの総督が彼女の一族を皆殺しにしたのだ。

 聖戦の初期に、我らの祖父たちと騎士たちは、アポリオンと使徒たちとドラマチックな追跡劇を演じ、ライラ同盟(当時)のドネガル、他の惑星を移動していったようだ。最終的に彼らは、アポリオンがワードの支配世界で彼らを捜すだろうという前提を元に、偽名でムーアに「再移住」した。この策略は上手くいったように見える(ともかく、しばらくは)。

 この時までに、彼らはジャーディンが五つの隠された世界――第一次継承権戦争のさなかに消え失せた、各王家国家にひとつずつある世界だと気がついたらしい。この時代、コムスターでさえも揺籃期にあり、宗教的結社というより政治的な目的を持った企業のように活動していた。「ワード・オブ・ブレイク」などというものもなかった。その後まもなく、いわゆるガブリエル遺跡がファイブのうちのひとつ(ライラの世界)だと認識され、まだ発見されていないのは連合、大連邦国、連邦の世界となった。だが、噂によると、聖戦中に少なくとももうひとつが発見されたらしい――ストーンの同盟の各要素によって隠されているのだが。データファイルの別部分によると、世界のひとつ――おそらく連合のもの――は、聖戦が始まる遙か前に滅んだが、その産物のいくつかはその前に解放されたのが示唆されている。

 これ以上の情報がある、妹よ。この世界が何をなしたのか、一部のコムスター首位者やROM司教たちにさえも存在を知られないほどまでにどうやって隠したのか。だが次の送信時間まで待たねばならないだろう……ハッセルドルフ少佐はもう一度ダブルジャンプが必要だと言っているのだ(君は私がジャンプについてどう思っているかを知っているだろう……)。

 だが、これを言おう。骨壺の中の灰は人間のものでなく、地元の木の灰だったのだ! おそらくデー・オブ・ファイアで出来たものだ。

 ブルックリンばあちゃんは死んでいないかもしれないのだ!

 敬具

 イエスカ




(5/26/3136)Hostile Forces Attack Oriente Protectorate

オリエント保護国内の活動にレグルス領関与の疑い


現場報告
デルタ・クリアランス
FROM: ティナ・ブール少佐
TO: ヤノス・マーリック総帥代理
DATE: 3135年10月1日

 敵軍がキーニサンに上陸したのは10月31日のことです。スケジュールに載っているいつもの不定期貨物輸送機に紛れたその降下船は、戦うことなくジャスパー鉱山の近くに着陸することができました。急造中隊の砲撃で、事実上4棟の建物が破壊され、さらに半ダースが酷く損傷を受けた一方、プラントへの被害は軽微なものでした……もっとも重要な施設は地下にあったのです。

 襲撃隊と交戦することはできましたが、敵は整然と退却し、戦闘機の援護の下、離陸していきました。使える航空隊がなかったことを考えて、私は1個戦闘機小隊に命じて、しばしの間、逃げる降下船を追わせ、奴らが戻ってくるようならそれに気づきやすいような軌道を取るように指示しました。

 この部隊の正体は明らかになっておりません。分析チームは、この襲撃、あるいはここ半年にあった二度の襲撃で得られた回収物から、明確に判断を下すことができませんでした。襲撃隊の装備と配備から、悪運に見舞われた傭兵隊か、おそらく新進の海賊でないかと思われる一方で、火力優勢な我が隊から容易に撤退したことは、見かけより重要な存在であることを示唆しております。

 他方、私の情報源によりますと、レグルス領の兵士の活動が国境周辺で相変わらず続いていることが報告されています。もちろん関係は不明瞭ですが、示唆的であります。さらに、最近のこの地域からの情報によると、レグルス領兵士の活動は単なる武力の誇示にすぎないことが示唆されています。情報源に確認を要求しましたが、今日までこの問題については沈黙を守っております。

 それとは関係なく、来年までに書類を一通お届けできるでしょう。増しつつあるレグルス領の大胆さに、どう対処すべきかの要約が含まれております。




Mercenaries Raid Moore, Plunder Cemetery

傭兵隊ムーアを襲撃、墓地掠奪(3136年5月5日)

 ムーア [INN] - この数週間でもっとも奇妙な事態のひとつが発生した。惑星ムーア(第1宙域)の共同墓地が、二日前、カークパトリック・インベーダーズ傭兵大隊所属と思われるバトルメック、バトルアーマーによる襲撃を受けたのである。警告なしに攻撃を行い、おそらくチャーターした民間の輸送船で星系内に入りこんだ、インベーダーズのメック2個小隊は、地元の保安部隊1個中隊を押し戻し、そのあいだに特殊な装備を施したバトルアーマーが共同墓地外周部の棺を掘り起こした。いまわしい「デー・オブ・ファイア」の犠牲者が埋葬されている箇所である。

「灰色と赤の配色、Kと星地のロゴ、インベーダーズと見て間違いない」、ムーア惑星保安局(MPSD)のガーナー・ヴィダリックは、今朝の記者会見で明らかにした。「強襲の間を通して、こちらへの通信は一切なかった。また我が保安隊との接触を最大限に避けようとしていた。明らかに墓荒らしが目的だったのだ」

 地元保安隊の損害は軽微なもので、2個警察装甲分隊、APC3両、ライオットメック1機のみが被害のリストに載っている。実際に、情報筋によると、これらの機体は主として、完全に破壊されるというより、無力化されていた。あたかも襲撃部隊が虐殺を避けるべく苦心したかのようだとしている。しかしながら、本当の目的は、インベーダーズのバトルスーツが棺を引きずって墓地から出てきたとの目撃証言が得られるまで不確かなままであった。

「我々は1個完全分隊の旧型バトルスーツを確認した」、ヴィダリックは言う。インベーダーズはキャバリアとロンギヌスを組み合わせて攻撃に使用したと思われる。「[彼らは]棺をひとつ持ち去り、待機していたホバートラックに積み込んだ。それから、スーツは傭兵メックの一機に乗り、南方へと退却し、トラックの後を追った」

 荒らされたのは、奇妙なことに、「スティーブンス」とだけ墓標に刻まれた二箇所だった。シズオカ国営墓地に埋葬されている大部分は、聖戦期の大虐殺(デー・オブ・ファイア後のものであるのに反して、盗まれた棺の二名は同事件の被害者ではないと、墓地の管理者は言及している。より奇妙なことに、スティーブンスの墓に埋葬されている二名の記録は、担当者が言うところの「怪しげなコンピュータの不備」によって、一年前に消去されているのである。

 MPSD担当者は、傭兵か雇用主が掘り出した遺物を使用したとの見解は拒否し、またインベーダーズがその後すぐ何もせず退却し、無認可のミュール級降下船に乗って出発したことに触れた。だが、傭兵の襲撃を何者かが手助けしたと言う見解には固執している。

「少なくとも二名が――おそらく四名が――襲撃前にあらかじめ惑星にいたと我々は考える。侵入のために雇われた前衛斥候かもしれない。少なくとも二名――男一人と女一人――が戦闘中に目撃され、現地で登録されたとおぼしき車両を運転していた。そして傭兵たちは、迷うことなく目的に直行したのだ」

 MPSD局長のウィリアム・ランドールは、ムーアと近隣星系の全市民に対し、傭兵隊へ注意を払い、部隊やその珍しい積荷に関連する情報があるなら、当局に提供して欲しいとしている。




LETTERS FROM HOME Week 9 - 24 March 3136

閣下へ

 ご命令の通り、危険度と準備度の評価を続けております。第一段階、第二段階の分析は今、完了いたしました。シュタイナー家は、要塞化された共和国(Fortress Republic)から二回のジャンプ以内にいるという認識を持つことになりましょう。現在、分析の第三段階に入ったところです――他のシュタイナー家部隊の自由裁量権、作戦能力、共和国に対する相対的な危機レベルを見分けようとしています。このレベルの分析は性質上、推論に過ぎず、完全でないことに注意してください。

部隊名:ロック旅団
所属:傭兵隊、シュタイナー家と長期契約。契約期間の長さと戦闘の歴史から見て、実質的に王家部隊と考えたほうがいいだろう。
部隊規模:彼らの部隊名はいささか大げさなものである。実際は大隊規模の諸兵科連合軍である。
部隊内訳
・1個混成重量メック中隊
・1個重メック中隊
・1個混成車両中隊、長射程戦闘、支援戦向け
・2〜4個混成歩兵小隊
・5機 中量級戦闘機
・1隻 インベーダー級航宙艦
・2個 旧型ユニオン級降下船
注意独自の宇宙部隊を持っている点で、ロック旅団は珍しい部類に入る。このような高価な船を、小傭兵団がどのように手に入れたか、現時点では判明していない。全宇宙資産のうち少なくとも85パーセントが活動可能であると考えられる。おそらくは王家からの支援か、現在では未確認のリソースからの出資があることを示している。
本拠地と扶養家族:明らかにロック旅団は過去から学んでいる。彼らの扶養家族はいくつかの異なる世界におり、中心となる作戦基地を持っていないようだ。このことは独立傭兵グループとしてより、王家部隊として機能しているという見解にさらなる信憑性を与える。だが、情報のこの点は不完全であり、ロック旅団は実際には作戦基地を持っているかもしれない。確かに、彼らの足跡は注意を引くほど大きくない。
歴史:ロック旅団はおよそ20年間活動している。エリ・ゾンダーヴァンによって創設され、現在も指揮されている。記録が示すところによると、ゾンダーヴァンは、LAAFでの長く、目を引かないキャリアを持ち、メックパイロットとして退役するまでに3度、重要でない感状を受けた。その三年後に、ロック旅団は結成され、シュタイナー家と契約する1個バトルメック小隊として始まった。着実に成長し、約5年後には現在の規模を達成している。宇宙資産を入手したのはこの時期だ。活動記録には、駐屯、支援、掃討任務をこなしたとある。一定量の戦闘活動を行った一方で、大規模な戦役には関わってこなかった。このことで、彼らが航宙艦1隻と降下船2隻をどうやって維持しているかがより興味深くなる。
 およそ15ヶ月前、ロック旅団は繊細な任務に出発した。行き先、目的を確かめるのは難しい。しかしながら、6ヶ月前に彼らが大勢の死傷者とともにターカッドへと帰還したのがわかっている。
現在位置:ターカッド。ロック旅団はここ数ヶ月を、新兵の募集と訓練にあてており、90パーセントまで作戦能力を戻している。
士気:疑問の余地がある。メックパイロットのほぼ半数が新たに入隊した者たちだ。新隊員が上手く組織にはまるかは未知数である。伝えられるところによれば、前回の作戦が行われる前の士気は高かったという。
脅威度評価低い。比較的小規模なことと、その持ちうる輸送能力で、理論上、彼らは隠密性と柔軟性を必要とされる作戦に向いている。本質的には、理論上、彼らを壊滅させてしまうような任務に向いているのだ。だが、多くの新隊員がいる中で、部隊の強い結束を示せそうにはない。当面の間は、駐屯任務に戻るのではないかと思われる。




ANSWERING THE CALL(TECH NOTES)

呼びかけに答える(3136年3月24日)

 ノーラン・オーシー、君は我らと共にある。私の名は、ジュヌヴィエーヴ・バウアー。ここ、リヨンにおける市民軍運動の臨時リーダーだ。メッセージは受け取った。唯一、君と意見を異にするのは、レヴィンがやってくるかどうかということだけだ。ここでは、ストーンが来てくれる方に金が賭けられている。

 さておき、君の情報はいいタイミングで届いた。話を聞いてから間もなく、我々は猿に似たバトルアーマーの偵察隊と遭遇した。ほとんど準備もせず、最小限の被害で追い払うことができた。このアーマー型の名前もわかった。シミアン(Simian、類人猿)である。霊長類的なデザインにぴったりなので、これが正しいと考える。

 さておき、我らは別のバトルアーマーも発見した。いささか普通でないタイプだが、我らに驚きを与えた。我々はなんとか取り戻した間接砲部隊の弾薬を工面しようとしているところである。豊富な迫撃砲の砲弾を流用せざる得なくなっている。しかし、シミアンを携えてきたのと同じ軍が、我々に他の何かをもらたしたのである。ケンタウルス・バトルアーマー(Centaur Battle Armor)だ。

 君が見たシミアンのように、ケンタウルスは相当に特殊である。もっとも、主兵器が準備されるまで、その特殊性は明らかにならない。バックパックに搭載されるのは携帯間接砲。隠れた歩兵(我らの兵士たちのような)や軽車両ですらも、十字砲火で掃討するのを助ける。このユニットが射撃準備をする際、搭乗者はバトルアーマーの膝を折り、バックパックから2本の姿勢安定用の"脚"を出す。それから射撃し、体を起こし、次の目標エリアに移動する。マガジンには8発の弾薬が入るが、悪い点として、この弾薬は専用品である。我々は、招かれざる客から備蓄を奪うことができたが、使い果たしてしまったら、それで終わりである。技術に明るい者たちが、我らの迫撃砲を応急的に装備できないかと見ているが、作業は遅々として進んでいない。私たちは「実験」でアーマーの1体を吹き飛ばしており、何らかの進歩がないことには、なかなかもう一度試す気にはならない。ランチャーは「打ち上げ機」というより「砲」であるから、弾薬補給のためこのバトルアーマーに追従するのは無理だ。

 二番目の武器は、腕の小口径レーザーである。基本的に、搭乗者の安全を図るに充分な火力がある。さらに、迅速な離脱の際、必要ならバックパックを放棄できることを、我らは発見した。我らは持ちうるすべてを守るためにベストを尽くしていくだろう。弾薬の互換性について、誰か答えてくれればうれしい。自由にあれ(Stay free)。




Saffel Simmers as DCMS, RAF Vie for Control(3/10/3136)

サフェル沸き立つ、DCMS、RAF支配権争う(3136年3月10日)

 サフェル[ISAP] - 今週、サフェルで新たな低強度の戦いが勃発した。共和国装甲軍と、ドラコ連合、ノヴァキャットの戦いが、少なくとも4度別々にあった。被害はどの陣営も小さく、合計で16名の死者が確認されているだけなのだが――この小競り合いは、クリタ侵攻軍がスフィア共和国の残骸を追い出し、この戦乱の惑星を確保する兆しになるかもしれない。

 最悪の戦闘が起きたのは、ラジック市(サフェル医療研究所の本拠地)の近くである。夜明け前にクリタのバトルメック1個小隊が、孤立した共和国軍、地元市民軍のメック隊と戦った。3機のDCMSメック――旧型パンサー、スパイダー、ヴァリアント――は、伝えられるところによれば、交戦で破壊され、市民軍のハンター支援戦車2両、ファイアスターター、ひどい損傷を負ったジュピター強襲メックが犠牲となった。戦闘後の記者会見で、RAFのマルコ・ファン・ディール中尉はこの作戦行動を「ドラコの自暴自棄な行為」と表現した。

「言い換えますと、[連合軍]は、通るものすべてを殺す以上の計画を持っているようには見えませんでした。彼らのやり方からは、戦術が感じられませんでした。側面をついたり、能力を最大限に発揮しようとはしませんでした。数機のマシンは、傷ついた状態で砲戦に参加しさえしました。『栄光か死か』の突撃のようでした」

 ファン・ディールによると、撃墜されたDCMSのメック戦士3名すべてが戦死したが、少なくともそのうちの一人が、捕縛と尋問を避けるためにおそらく自殺したらしい証拠がいくつか出ているという。ファン・ディールはコメントを避けたが、侵攻軍メックの状況が悪いのは連合軍に補給の問題が出ているのを示唆していると付け加えた。これは、去年の10月にレヴィン総統がスフィア共和国を公式に解体して以来、RAF軍を悩ませているものと似ている。

「カタナ・トーマークは、すでに主君から見切りを付けられたのかもしれない」とファン・ディールは辛口のコメントをつけ、共和国の元司政官に触れた。この人物は、3132年のHPGネットワーク崩壊後すぐ、ドラゴンズ・フューリー海賊団(現在は消滅)を結成し、率いていた。トーマークの侵攻軍――最近、連合のノヴァキャット氏族人と「契約」し、増強した――は、彼女の主張が連合首都を動かし、DCMSをほぼ指導者のいなくなった共和国領土への侵攻に走らせて以降、数度の勝利を収めている。




TECH WATCH: The New Scourge of the Battlefield

テックウォッチ: 戦場の新たな災厄(スカージ)

 その機体は、中心領域の少なくとも半分で見られる。残りすべてで見られるようになるまで長くはかからないだろう。スカージ。この名は戦闘スタイルをよく表している。入念な調査後に、我らはこの新型機の製造業者を探し出した。カイゼル・システムである。カイゼルから直接的にはコメントを得られなかったが、このモデルのマーケティング情報を入手することができた。

 65トンの、この重量級バトルメックは、比較的控えめな武器を積んでいる。ガウスライフル1門、長距離射程中口径レーザー4門、中口径パルスレーザー4門である。11基の高性能放熱器が、圧倒的なエネルギーの放出を手伝う。武装群が近接戦闘向きであることから、このメックはエンドースティールのフレームに最大級の装甲を積んでいる。両脚についている装甲板の層構造は、この機体の装甲が専用品なのではないかと思わせる。だが、驚くことに基本兵装型はライト・フェロファイバー装甲をつけるのだ。といっても、別バリエーションには単純な通常型装甲のものがある。

 現状では、スカージのバリエーションは推測しかできないが、この機体のガウスアームは、最初からそこにあったようには見えないことを、我々の全員が認めている。カイゼルはいつまでも隠れていられないだろうし、頭を出したときには我らがそこにいるだろう。

   要目
バトルメック: スカージ SCG-WF1-H
重量: 65トン
シャーシ: エンドースティール
パワープラント: 325 VOX XL 核融合
巡航速度: 54.0 キロメートル/時
最高速度: 86.4 キロメートル/時
ジャンプジェット: ダイナモ・ジャップジェット
 ジャンプ能力: 120メートル
装甲板: ライト・フェロファイバー
武装:
 ディヴァースオプティクス中口径パルスレーザー 1門
 アイゼン・ガウスライフル 1門
 ディヴァースオプティクス長距離射程中口径レーザー 4門

代金:1808万コムスタービル






Week 5 - 24 February 3136

ムーア、第一宙域
3135年5月18日


イエスカ兄さんへ

 あなたがこのメッセージを見つけてくれるのを願っています。この暗黒が始まって以来、私はあなたのこと、そして家のことを考えています。配達人を使ってメッセージを中継するのは困難かつ高価(その上、信頼できない)なのですが、この最新ニュースを届けるためなら必要な対価でしょう。

 私は祖母の墓を発見しました。

 母が例のロケットを残してから19年をかけて捜索し、故郷から遠くオデッサへ宇宙船で放浪し、謎を解く手がかりはムーアをおいてほかにないとわかりました――私たちの裏庭です。愛しい祖母は観光ルートにそれを残したのでしょうか?

 飾り気のない場所でした、イエスカ。質素ですが荘厳でした。半メートルの大理石に、名字の「スティーブンス」とだけあり(祖母が真にロシア人の家系でなかったことを私たちは知っています!)、生年と死亡年はありませんでした。この名前を使うことさえも策略のひとつでしょう。実際、この墓地の大半は、ブレイク信徒の大量殺戮と、地元の人間がデー・オブ・ファイアと呼ぶ大災厄の被害者のものだったのです。

 ここでおばあちゃん(babushka)を見つけたのは、打倒なことだと思います。ダー?

 ああ、ですが、私は捜索を再開します。母はいつも、私が自分のためにやっていることについて、時間を使いすぎだと言っています。

 どんな事情があろうと、私は冒涜の罪を犯したことを認めねばなりません。超音波スキャンだけでは不十分で、棺の中の骨壺を確認したのです(訂正、骨壺には、それぞれ遺体一体分が入っていました)。私は知る必要があったのです。そしてそのためには、DNAが必要でした。

 詳しく教えるつもりはありません、イエスカ。その必要がないのです。私は必要な証拠を得ることが出来ました。疑いようもなく、私は祖父を見つけだしたのです。(骨壺に残っていたのは祖母のものでした。母が言った通り、火葬にされていたのです)

 祖母を捜している間、私は祖母が遺産を残していった旅行の第一歩を完了させました。

 幸運を祈ってください、ブラーチャ(兄さん)。次の手がかりにたどり着いたら、メッセージを送ります。

 あなたと共に

 ステフ






Calling All Militias(TECH NOTES)

全市民軍への呼びかけ

 私の名はノーラン・オーシー。ファン・ディーマンIVに住んでいる。レヴィンが第10宙域に全共和国軍を引き上げさせたとき、私は彼が何をしようとしているか理解した。それがなぜかも理解した。敵の大軍に対して、偉大な理想を守るための選択肢はほとんどなかったのである。その理想とはかつての共和国そのものだ(私が考える限りそれはまだある)。私たちの多くがそう感じており、だからレヴィンが戻ってくるまでファン・ディーマンIVを守ろうと市民軍が結成されたのである。

 私たちは一人にはなれないと考えており、他の者たちも我らと同じことをしている。もしあなたがそこにいないのなら、我らは強く結束し、共和国が戻ってくるまで互いに助け合うのに全力を尽くす。私たちは、兵站士官、防諜など「本物」の軍隊を持っていないかもしれない。だが、偶然にも我らは近隣の惑星であるイリアンと稼働するHPGを保持しており、また2本の腕がある。役割を果たすため、私たちが目撃し(そして倒した!)ユニットの情報を送信する。他の市民軍がこの情報を使って惑星を防衛すること、また各自が持っている情報を送信することを期待する。

 ここのところ、我らは新型バトルアーマーとおぼしき敵を撃退するのを楽しんでいる。ジャンプ可能で、肩にレーザーを装備し、平均的なバトルアーマーより高速である。戦場では、丸まった背中と平均より長い腕で、容易に見分けることができる。長い腕を速く走るために使っていると、市民軍の隊員数名から報告が入っている。私は自分の目でそれを見ていないが、信頼できると考える。

 戦場でこれらのユニットは、武器によるダメージをそれほど与えてないように見える。より多くのダメージをあたえるのは、我が軍の戦線を駆け抜けて、友軍のバトルアーマーを引き倒すときである。その長い腕は、敵をタックルし、前線を混乱に陥れるのに役立つ。

 装甲を犠牲にして、速度を得ているようだ。よって、どこを撃つかわかっていれば、排除するのは難しくない。兵士たちは肩のレーザーから狙い始める。うまく当たれば、背中からひっくり返るか、少なくとも撃墜するまでのあいだ移動を阻止できる。レーザーを撃って倒したときは、回収が簡単なことに私たちは気づいた。そうやって倒して、スーツの大半は完全な状態で残っている。またこの機体は、純粋に国産のユニットであるように見える。氏族技術は使われおらず、修理が用意である。だから、これを見たら、できるだけ多く捕獲すべきである。

 他の軍がこの機体をなんと呼んでいるかはわからない。もし誰か知っていたら、私たちにも教えて欲しい。私たちは誰かを助けるのを望んでいる。それができていたら、可能な好意を返してほしい。そして共に働いている者たちのために何かを送って欲しい。私たちは受け取ったものより多くを送るだろう。それまで、自由にあれ。




NEWS FROM THE FRONT February 24 - Traitorous Cyclops

裏切りのサイクロプス(3136年2月24日)

 あなたは死を見つめたことがあるだろうか? 私はそれがあり、人生で本当に重要なことについて、一人の少女に考えさせた。

 一月ほど前のアザーで、私は小規模な傭兵団ベイリー・ブローラーズと共に活動していた。この部隊が契約しているのは、惑星を占領しようとするリャオに抵抗する惑星政府である。アーロン・ベイリーはかなりのナイスガイだが、ブローラーズのメックは軽量級だった。そこで部隊を強化するために、私を独立請負業者として雇ったのである。私たちは北半球の小さな街の外に構えた。戦線のかなり後方であったが、すぐに攻撃を受けた。ブローラーズには、2両のエニュオ打撃戦車、装甲歩兵半個小隊、キジン1両、JES III 1両、通常歩兵1個小隊、フェニックスホーク1機、それから私のウジエルがあった。「山賊」――リャオ正規軍と戦う意志をそれほど見せていなかった――は、市民軍を少し強化するだけで、主力になるとは考えていなかった。厳しい戦いで、我らは活躍したが、大きな戦果を残せなかった。実際に、知事は他の傭兵たちや、サイクロプス中隊と呼ばれる褐色のジュピターを中心にした集団を集めた。彼らは私たちの戦線に入ることになっていた。

 私たちが戦線についてから二週間ほど後に、カペラ人が飛びかかってきた。強烈な攻撃を受け、我らの担当箇所が正面となった。当初、市民軍の指揮官は援軍を拒絶した。なぜなら、それが大攻勢であるとは考えなかったからである。そして事態は危機的になった。ベイリーはP-ホークの中で攻撃を受けた。その場にエニュオの1両とジェシー(Jessie)はおらず、通常歩兵隊は突破されつつあった。ブローラーズにとって良い状況に見えず、私にとってもそうだった。ブローラーズがやられたら、強襲を率いるタージの後ろにいるミョルニールとブレードを振り切るだけのスピードがなかった。

 サイクロプス中隊がやってくるとの報を受けたそのとき、私は逃げ場を探していたことを喜んで認めよう。死ぬのはわりにあわないので、ほとんどの傭兵は敵前逃亡する計画を考えておくものなのだ。素晴らしく巨大なジュピターがよろめきながら戦闘に加わるのを見て、私は自分自身を鼓舞した。戦闘から逃げるのは、生き残るにはいいかもしれないが、激しく戦うのはボーナスを得るのにいいのだ。だから私はバックアップを見るとすぐに、激しくリャオ軍を叩いたのである。最後のSRMを放ち、PPCで敵を削り始めた。そしてタージの1機をなんとか倒しさえしたのである。その機体がまだ完全には機能喪失してないことを私は確信していたが、少なくとも倒しはした。

 それと前後して、ジュピターが山賊と一緒にやってきた。私は、PPCがチャージされるとできるだけ早くそれを撃った。熱が急上昇したが頑張った。ジブラーをダブルタップでとらえ、哀れなそれをボロボロにした。倒れたタージにさらなる射撃を浴びせようと旋回したとき、サイクロプス指揮官のメックが右に止まったのに気づいた。私はそれを見上げ、ジュピターのオートキャノンの砲身を見下ろした。危険なそれらは、コクピット全体と同じ大きさがあるかのように見えた。私は死を確信した。ちょっとした光のいたずらによって、ジュピターのパイロットが、もの悲しげに私を凝視しているのが見えたからだ。

 その視線は、私が目を前に戻す前に、私が脱出する前に、命が終わると言っており、それが完全に間違っているとは言えなかった。ここに至る決断のすべてを思い返し、なぜ別の道を選ばなかったのかと自分自身に叫んだ。ジュピター乗りの片目を見上げていたのは数秒に過ぎなかったが、永遠にも感じられた。片目の男は喉をかっさばく真似をし、それから私のメックを指さした。彼は二度頼まなくてよかった。その馬鹿でかい銃が私の頭を正確に狙った。私は山賊を抑え、リャオの攻撃は私とベイリー・ブローラーズの残存兵力を通り過ぎていった。

 あの傭兵が私を生かした理由はわからない。私を撃つのは簡単だったことは確かであるが、そうしなかったことを喜んでいる。明らかにリャオ軍は、傭兵を怒らせたがっていなかった。それは黙って私を行かせたからであるが、なぜサイクロプスが裏切り、カペラ人を通過させたのか、真実はわからない。






TECH WATCH: Victory Conditions Industries and Eris Enterprises Team Up

テックウォッチ: ヴィクトリー・コンディション工業とエリス・エンタープライズが手を組む

 その機動性、敏捷性、高い可搬性、そして軍事的に確立され、まったく手頃あること。ヴィクトリー・コンディション工業(VCI)と、エリス・エンタープライズの設計チームは、革新的な偵察用バトルメックを共同で生み出した。それがこのジャッカロープである。

 そうは見えにくいかもしれないが、この小さな精力家は戦いの趨勢を変える力を提供する。少なくとも戦場に情報収集面での優位を与える。この30トンのワークホースは堅固なエンドースティールで作られ、フェロファイバーの殻に入れられる。その下で灼熱する240XL核融合エンジンは、この軽快なメックが完全に「跳ねた」とき、129kpmまで到達させる。この速度は8つのダイナモジャンプジェット(ジャッカロープを一飛びで240メートル跳躍させる)によって強化される。

 これらジャンプジェットが運搬するものはなんだろうか? 通常型のジャッカロープ(JLP-KA-L)は、2門のコンクエストER中口径レーザー、1門のヴィクトリー・アドバンスドミサイルシステムミサイル6ラックを運ぶ。すべての派生型に共通なのが、クリーンスウィープ・対ミサイルシステムで、迫り来るミサイルから自身と戦友を守る。このバトルメックに関する技術精査の要求は、礼儀正しく「ノーコメント」で返される。このデザインに対する唯一のクレームは、装甲に問題があるかもしれないということだ。最大装甲の81%では、脚にダメージを受けるとすぐトラブルに陥ってしまう。

 ジャッカロープが我らにもたらす最も革新的な要素は、降下船での輸送を念頭に置いて設計されていることだ。このバトルメックは、文字通り「折り畳み」され、コンパクトにまとめられる。さらなる積荷を搭載でき、また敵の脆弱な戦略エリアを圧倒するに充分なジャッカロープを運べるかもしれない。エリス・エンタープライズのスポークスパーソンは言う。「独特な脚のデザインは1年近く設計上の争点になっていました。ですが、VCI のエンジニアチームの手によって実を結ぶことができたのです。我らはこの結果に満足し、将来のプロジェクトでもVCI と共に動くのを期待しています」

 ジャッカロープの追加派生型は、高速と引き替えに装甲を犠牲としているが、これを求めるユーザーがいるのかVCI は何も言っていない。この2社から、さらなるジョイント・ベンチャーが現れるか、今後、我らが見守っていくのは確かである。

   要目
バトルメック: ジャッカロープ JLP-KA-L
重量: 30トン
シャーシ: トライアンフ・エンドースティール
パワープラント: 240 XL ヴィクトリー核融合
巡航速度: 86.4 キロメートル/時
最高速度: 129.6 キロメートル/時
ジャンプジェット: 8 ダイナモ・ジャップジェット
 ジャンプ能力: 240メートル
装甲板: フェロファイバー・アドバンテージ・アーマー
武装:
 コンクエストER中口径レーザー 2門
 ヴィクトリー・6連アドバンスド・タクティカルミサイル 1門
 クリーンスウィープ・対ミサイルシステム 1門

代金:450万コムスタービル(大量発注にはディスカウント)


(通常時)



(格納時)






NEWS FROM THE FRONT February 3 - Courier Report

戦場リポート(3136年2月3日)

以下は、出入りの配達人がHPGに持ってきたものです。彼女はこれを誰が読んでも構わないと考えています。受け取ったときから中身が開いていたからです。かつての第5、第6宙域で続いている、リャオ家と残存共和国部隊の紛争を支えたい人々は、この情報に興味をそそられるでしょう。

ラモント・ウェインライト侍祭
作戦後報告−第3大隊、第1連隊、ポズナン市民軍

3136年1月15日

0523時(現地時間):1月15日は夜明けの前に始まった。K中隊のメック小隊(アームストロング中尉)と、第3歩兵小隊の1個装甲歩兵分隊(リーネ一等軍曹)が、ニューシャンハイ市から南南東の交戦地区へ6時間のパトロールに出かけた。

0546時:アームストロング中尉は、パトロール隊の北東「少し離れたところ」に、メックが移動する振動を感知したと報告した。2名の兵士とファニング曹長のスティンガーが調査のため派遣され、そのあいだパトロール隊の残りが計画通りに進んだ。

0555時:ファニング曹長は、磁気探知装置に複数の反応があると報告した。アームストロング中尉はその位置を保つように命じ、パトロール隊を向かわせた。

0558時:ファニング曹長は4機の所属不明メックを視認し、次にそれが大連邦国予備機兵隊の、グリフィン、パンサー、ハボック、サンコブラだと確認した。アームストロング中尉はファニングに戻るよう命じた。

0559時:ファニング曹長は、LRMの砲撃を受け、リャオのメックを支援する装甲車両、歩兵がやって来たと報告した。アームストロング中尉はK中隊に支援を要請した。

司令部。K中隊の残った部隊(バーネット大尉のマンゴネル、ナグモ中尉の指揮下にある装甲小隊、メトカーフ中尉の装甲歩兵小隊の残り)はすぐアームストロング・パトロール隊の支援に急派された。L中隊、M中隊が呼び出され、準備でき次第、派遣される。

0600時:歩兵マイルズ戦死。ファニング曹長と歩兵ウェインは、戦いながらの退却を続けた。ファニングのスティンガーはリャオのサンコブラとグリフィンからの命中弾を浴び、いくらかのダメージを受けたが、まだ戦える状況にあった。

0602時:アームストロング・パトロール隊とファニング曹長、歩兵ウェインが合流し、大隊の陣地へ、戦いながらの退却を続けた。

0603時:エスペロ伍長戦死、歩兵ウェーバー負傷。ヴィンセンス一等軍曹のワスプ、カペラ大連邦国パンサーからのPPC砲撃で損傷を負い、次にサンコブラからのガウス砲弾で打撃を受ける。ヴィンセンス一等軍曹戦死。アームストロング中尉はセンチュリオンのAC20で、リャオ・ファルクラムホバー戦車への命中を記録、戦車の主兵装を使用不能とする。エリクソン一等軍曹がこれに続き、ゴーストでの撃墜を記録。

0603時 〜 0606時:アームストロング中尉のパトロール隊は撤退を続け、カペラ軍との砲火を交わす。

0606時:エリクソン一等軍曹のゴーストがリャオの車両から大ダメージを食うが、まだ戦闘可能な状態。リーネ一等軍曹戦死、歩兵ウェインが生き残った歩兵の指揮をとる。リャオ歩兵数名、車両数両が、アームストロング中尉のパトロール隊の手によって、撃墜されるか、損傷を負う。アームストロングがグリフィンに数発の命中を記録、戦闘より離脱させる。

0606時 〜 0612時:アームストロング中尉のパトロール隊は撤退を続ける。

0612時:L中隊、M中隊、行動可能となる。M中隊はK中隊の支援へ向かう。L中隊は基地周辺の警護を命じられる。

0612時 〜 0615時:アームストロング中尉のパトロール隊は撤退を続ける。

0615時:K中隊最初の分隊が、戦闘の視界内に入る。クライン曹長のウラー、フィンドレー一等軍曹のスパイダー、ナグモ中尉のジブラー打撃戦車、ハデュール高速支援車など。バーネット大尉と部隊の残りは、3分間後方にいると推測される。

0616時:最初の援軍が交戦距離に入ったとき、アームストロング中尉のセンチュリオンはリャオのケルスワ強襲戦車から命中弾を浴びて、左腕を失い、LRMランチャーが動かなくなった。ハデュール高速支援車が砲門を開き、すぐにクライン曹長のウラーが続いた。

0617時:フィンドレー一等軍曹のスパイダーが、リャオ軍に近づこうとするが、数両の車両から集中砲火を浴びる。カペラのハボックがフィンドレーの背後に移動し、押し倒した。フィンドレー一等軍曹、負傷、脱出。リャオの装甲歩兵がジャンプで進んで、エリクソン一等軍曹のゴーストに忍び寄り、間接に爆発物を使用する。エリクソン一等軍曹、脱出せざるを得なくなる。

0618時:アームストロング中尉、クライン曹長、リャオのハボックに射撃。歩兵ウェイン、ウェーバー、エリクソン第一軍曹のゴースト損失に対応すべく、敵装甲歩兵と交戦。敵ハボック、大損害を負い、撤退。リャオ歩兵後退、数名が戦死か負傷。

0619時:K中隊の残りがリャオ軍と交戦。生き残ったリャオメックが撤退を始め、援護すべく車両、歩兵隊が、K中隊と猛烈に戦う。

0620時 〜 0629時:K中隊がリャオ隊を激しく押し込み、さらなる損害を与えるが、それ以上の戦死者は出さず。レギュレーターII、ベローナ、グローリー火力支援戦車を破壊、ファルクラム、ベローナ、ケルスワに損害を与える。

0630時:L中隊到着、敵部隊と交戦を始める。

0632時:最後のリャオ軍が、追い払われるか、破壊される。バーネット大尉はアームストロング中尉による追撃の要請を断り、脱出したパイロット、負傷した歩兵、戦車兵の回収を始める。

0658時:K中隊、L中隊、基地に帰還。

アームストロング中尉は、部下を鼓舞する統率力とマークスマンシップで称賛されることになろうが、リャオ軍追撃に大損害を受けた部隊を使うとの提案は、彼の全般的な経験不足を示している。バーネット大尉はよく彼の熱意を抑えた。歩兵ウェインは、リーネ一等軍曹とエスペロ伍長の死後、残った歩兵の指揮を、極めてよく引き継いだ。伍長に名誉昇進。彼女には多くを期待できるとこだろう。アームストロング・パトロール隊の大部分を失ったことは、K中隊の戦力を酷く低下させたが、さらなる心配の種は、我らの支配下にあると考えられていた地域に、リャオ軍が深く浸透してきたことである。損失があったというのに、我らはこの地域が確かに確保されたことを保証すべく、パトロールを強化せねばならないだろう。

ウィリアム・ランドルフ少佐
副長、第3大隊、第1連隊
ポズナン市民軍











Today in the Inner Sphere





Deandra Lowe 3 May 3135

Deandra Lowe
3135年5月3日

 おっと、コムスターの情報だ。

状況報告
宛: 聖騎士ケルソン・ソレンソン
発: アレクシー・ホルト、遍歴騎士
分類: 閲覧のみ
添付: 暗号ファイル - 3113.HZ.WB 12k

 サー・ソレンソン

 コムスターへの潜入はほぼ完了しました。あなたが用意してくれた経歴は有用でした。最後の教化はすぐにも終わるでしょう。完了したら、侍祭の地位につくと思われます。

 しかし、この報告を送った理由はそれではありません。私はデータを発掘するかたわら、タッカー・ハーウェルの行方を突き止めようとしています。

 添付したファイルは発見した情報です。不幸にもデータの大半は破損しているか、何者かによって意図的に編集されています。


送信コード: ヴェルヴェットレベル・アクセスオンリー
日時: [データ破損]
宛: ROM司教
発: テンペスト・ストライカー
返信: 部隊配置

 ご要望のとおり、不明なブレイク派部隊の具体的な情報を集めました。

 第3師団は [データ破損] ですが、若干のレベルIIIが[データ破損]。

 第10師団 [データ破損] 、壊滅にリストされていますが、残存兵力は[データ破損]の辺境に分散しています。彼らは [データ破損] と戦っていますが、大半は[データ破損]可能です。

 第11師団は [データ破損] ですが、支援部隊と共に [データ破損] と [データ破損] にいます。この師団はもしたしたら [データ破損] かもしれません。

 第12師団 [データ破損] は、サン=ジャメの命令により [データ破損] の基地から移動しました。[データ破損] は [データ破損] 星系で傭兵部隊ブランク・コヨーテを発見しました。彼らが [データ破損] を撃破したあとでのことです。コヨーテの一部は [データ破損] サモエード植民地 [データ破損]。ブラッドレターズ(レベルIII部隊)は [データ破損]。レグルスがコンパス座を殲滅する前のこと、デクリン・チャニー司教は残った第12にマスターと [データ破損] するよう命令し、 [データ破損] についていきました。


 サー、これはマスターと――そしておそらくブレイク兵の一部――がいまだ生き延びているかもしれないことが暗示されています。これらは私の考えですが、私は諜報アナリストではありません。おそらくあなたはこの情報をアナリストたちのもとに持っていくのではないでしょうか? 彼らがあなたにより良い情報分析を提供できるものと確信しています。

 サモエード植民地の情報を入手しました。深辺境にある12星系です。ブランク・コヨーテはここにミスジャンプしたあと、中心領域に戻ったとされています――ミスジャンプから40年後のことです。奇妙なことに、地元の民衆は惑星間の移動能力とその他の先進技術を持っているそうです。私はこのメッセージに座標を暗号化しました。あなたは解除暗号を持っています。

 総統に知らせるかどうかはあなた次第ですが、彼は知るべきかもしれません。しかしながら、コムガードの復活と私が発見したその他の活動によると、コムスターは何が起きたのか正確に知っているかもしれません。我々はコムスターから共和国を守らねばなりません。彼らはどうやら(ブレイク教団との)分裂前の状態に戻っているようです。

 それでは次回。私はあなたの小さきしもべです。

アレクシー・ホルト
遍歴騎士






Evan Kaiple 10 May 3135

Evan Kaiple
3135年5月10日

 無数の敵に備える一環として、我らは小規模な交戦の分析フィルムを見せられた。これがこのように恐ろしいものでなかったら、楽しむことができたかもしれない。


ブリーフィング・ルーム、ソードスォーン大隊司令部
キメラ大陸、バンダース市
ハロランV、第5宙域
スフィア共和国

[帰還報告の録画]

炎と煙の雲の中で、地面が激しくえぐれ、ユー・ホアンに土が降りかかる。

そのメックは、まるで壁をすり抜ける亡霊のように、炎のカーテンの中から現れた。立ち上る煙がチャコールグレイのリボンのようである。

「止まれ」闇の中で太い声が命じた。音声操作のホロ・プレイヤーはすぐさま反応した。

「これが、間接砲の非効率砲撃と呼んでいるものだ」と声が続ける。「1〜2発で強襲級メックを倒すのは望み薄だ。その一帯を覆わねばならない」

「はい、ブレックマン中佐」壇上の若い大尉が答える。

「教えてくれ、エメルソン大尉、なぜスミッソン少佐は効果的に砲撃を行うよう、間接砲に命令を出さなかったのだ?」

「確かな事は言えません、サー。ですが、そうする時間がなかったのだと私は思います。以下は、敵から傍受し、解読した通信の音声です」

「続けろ」ブレックマンは命じる。

ユー・ホアンのパイロット「シン少尉、レギュレーターとペガサスを動かして、ソードの右側面を掃討する準備をせよ」

「待て、そのパイロットは誰だ?」ブレックマンが尋ねる。

「ダールトン"ダコタ"ドールズ上尉です、サー、指揮する部隊は……」エメルソンは書類をめくる。「イン・ロン中隊、別名シャドウドラゴン隊です」

「続けろ」命令する声はそれほど厳しくない。

「了解」

ドールズ「火力支援、対砲兵射撃を行うんだ。あの間接砲を黙らせたい」

間接砲「やっています」

「停止」エメルソンは命ずる。「サー、ここで我が方の自走式ロングトムが、アローIVの対砲兵射撃で全滅しました。」

「くそっ、スミッソン少佐には下がるように言ったんだ」ブレックマンは言う。「オーケー、奴らのミサイル砲兵が優秀なのはわかった。このドールズ上尉は何者なんだ? 何かわかるか?」

「彼はウォーナー・ドールズ上級大佐の孫です」エメルソンは答える。

「聖戦中にシーアンでスン=ツー・リャオを救った、あの自由カペラ元指揮官のか?」ブレックマンが問う。

「その男です、サー。ダコタはあらゆる面で祖父に似ています。例外は祖父と違う妙な癖を持っていることです。」

「どのようなものだ?」

「彼はコクピットで自分に話しかけます」

「私だって交戦中に独り言を言うぞ、大尉。それにどんな意味があるんだ?」ブレックマンは続きを求める。

「彼は自分と会話し続けます、サー。実際問題として、戦闘中に送信されたこの会話を録音する事が出来ました」

「続けろ、大尉」

ドールズ「騒ぎを利用するんだ、ダコタ。ソードの奴らが協力するなら、連中を押し返すことが出来る。この"デザートドラゴン"に乗ってるのを見たら、ドールズ爺ちゃんは誇りに思うだろう。爺ちゃんは聖戦でブレイク派にやられるまえに、似たような状況に直面してブラックウィンド槍機兵隊を率いていたと思う」

「停止。何を言いたいか分かっていただけましたか、サー?」

「ああ。爺さんのメックに乗りながら自分に話しかけるカペラ野郎の声を聞けるってことだろう」ブレックマンは言った。「よし、少しこれをやろう。10分の休憩をとる。それから、奴がどうやってゴースト軍団をぶっ飛ばしたのか教えてもらおうか」

「イエスサー。照明」

[報告一時停止]






Evan Kaiple 12 May 3135

Evan Kaiple
3135年5月12日

 以下がソードスォーンの帰還報告の残り部分である――元気づけられるようなものではない。


ブリーフィング・ルーム、ソードスォーン大隊司令部
キメラ大陸、バンダース市
ハロランV、第5宙域
スフィア共和国

「サー、ドールズ中隊は、専門化され、増強された、諸兵科連合部隊です。あつめられた情報によると、装甲車両、バトルアーマー、バトルメックを組み合わせた、5個増強小隊があります」エメルソンは言う。「第4大連邦軍のブラボー大隊がドールズの攻撃を支援します。その大半が自走式アローIVです。ご覧になった対砲兵射撃は、自走式ロングトム3門を片づけただけでなく、主弾薬庫を破壊しました」

「なんてこった」誰かがつぶやく。

「爆発の余波で地面が揺れて、何が起きたかはすぐにわかった」ブレックマンは言う。

「以下のシークエンスをご覧になれば、ドールズの部隊がどれだけ効果的だったか、おわかり頂けるでしょう、サー」

[未知の声]「いったい何なんだ?」

[ドールズ]「どうやら連中の弾薬庫を始末したらしい。よくやった、火力支援」

[砲術士官]「最高の成果だけをお約束します、上尉」

[ドールズ]「そうしてくれ」

[ドールズ]「中隊、前進用意。デルタ装甲小隊、横に開いて奴らの注意を引け。アルファ小隊、ついてこい――中央を行く。ブラボー小隊、左翼を押して、抑えろ。チャーリー小隊の支援だ」

[複数の声]「ラジャー」

[ドールズ]「シャドウドラゴン……攻撃!」90トンのユー・ホアンが、65トンのシェン・イー、ティ・ツァン、75トンのティアン・ゾンを引き連れ、重々しく走り始める。

「停止。ここでドールズはスミッソン少佐のソアを認め、交戦しました、サー」

[再生]

[ドールズ]「ああ、あそこだ。ソア1機――ちょうどいい」

ユー・ホアンは最高速にスピードアップした。ドールズは前進しながら両手を振り上げ、2門のカリヤマ大口径ウルトラAC/20を構えた。

[スミッソン]「撃ってこい、カペラ人。こっちもお返ししてやる」

収束した2本の赤色ビームが、突撃してくるメックに突き刺さる。ビームの1本がダコタのメックの左脚を切り裂き、気化した金属のもやの中で装甲を飛び散らせた。2本目はコクピットの右上を通過した。ユー・ホアンは尻込みし、深紅のビームを左に避けたように見えた。当たらなかったのだが、そのレーザー攻撃はベヒモスの足取りを乱し、照準を狂わせるのに充分だった。ユー・ホアンの腕の大口径バレルから、12cmの劣化ウラン弾が吐き出された。

[スミッソン]「ちくしょう!」

一斉射がソアの足下付近に着弾し、燃える残骸を付近にまき散らす。他の弾丸は右胴に叩き込まれ、装甲を砕き、氏族の化身を激しく右に揺らした。

ソア>

ソアは前に倒れ、地面にぶつかりそうになった。しかし、パイロットの意志の力によって、踏みとどまるのに成功した。

[スミッソン]「くそっ、装甲を削られた!」

ユー・ホアンの武器が二倍の発射速度で再びほとばしった。これが氏族メックの中心部を叩いた。胴の装甲が砕かれ、セラミックの破片を地面に撒いた。そして二度目の爆発で、背面装甲が外側に爆発した。鋼鉄の獣は震えた。

[スミッソン]「なんということだ、うわぁ!」

突如として、ソアは広がる高熱のコロナに飲み込まれていった。核融合エンジンが遮蔽を突き破ったのだ。引き起こされた爆発でメックはバラバラになって、非装甲歩兵の上に降り注ぎ、犠牲とした。まるで対戦車弾頭のような燃える装甲に切り裂かれ、2両のコンドル戦車が爆発した。

「停止。ソアの破壊とスミッソンの死が、兵士たちの士気を崩壊させました、サー」

「同意する、大尉。部隊に良い位置を取らせなかったから、スミッソンは馬鹿げた死を迎えた。続けろ、大尉。最後まで再生するんだ」

「イエスサー」

[再生]

[ティアン・ゾンのパイロット]「お見事です、上尉」

[ドールズ]「どうも」

[ドールズ]「よくやった、シャドウドラゴン。奴らに再結成するチャンスを与えるな。前に出て、奴らを降下港に追いやろう」

[ドールズ]「もう一度突破するんだ」

[録音終了]

「照明。以上です、サー」

「ありがとう、エメルソン。良い報告だった。最終的な損害は?」

「我らは、3門のロングトム、メック3機――スミッソンのソアを含みます――、装甲車両5両、歩兵約4個小隊を失いました」

首を振るブレックマン。

「さあ、始めよう。諸君、中隊に戻れ。あの上尉が言っていたように『もう一度突破するんだ』」

[帰還報告終了]






Evan Kaiple 30 June 3135

Deandra Lowe
3135年6月30日

 以下の作戦後報告は、共和国軍、第1カーニー連隊第3大隊A中隊機兵小隊、フランシス・フォーブス中尉による、第3宙域、惑星シェアトでの交戦のものである。


 攻撃を受けたその時、我々は倉庫地区内の定期哨戒を行っていた。ウィザーズ大尉がセンチュリオンで小隊を先導し、私のパンサーがその次、そしてマクミラン中尉のアーバレスト、サネル中尉のアグロ改が最後列である。我々は一列縦隊で進んだ。なぜならここがバトルメックを支援出来る――と我らが考えた――唯一の通りだったからだ。

 右に熱反応があるとマクミランが警告した時、我らの考えは間違っていたと判明した。全方位から砲火を浴びた。連中は見つからないよう核融合炉を切って隠れていたに違いない。初弾がサネルの右肩を叩き、AC5の弾薬供給装置を破壊して、アグロ改の右側面を綺麗に吹き飛ばした。次に、大尉の前のビルが崩壊し、道をふさいだ。これは、縦隊の前後を分断し、罠にかけた部隊を叩く、古典的なやり方である。

 倉庫には民間人がいないと思われたので、大尉は即座に発砲命令を下した。ウィザーズ大尉はLRMを放ったが、二射目を見る事はなかった。ということは、外したか、装甲に命中したのだ。マクミランが撃ちはじめてすぐ、私は最初の敵を見た。その1機は見た事のないメックで、コンピュータも確認出来なかったが、蛇(ドラコ軍)であることは確かだった。その脚部は、蛇が使っている新型機シローのものに似ており、頭部は半月を付けたサムライの兜のようだった。が、眺めている時間はなかった。そいつは大尉のセンチュリオンに2門のパルスレーザーを放ち、胴に深手を負わせたのだ。続いてクリタのメックは、ショックウェーブのような右肩のオートキャノンを撃った。あの蛇野郎は、ちょうどレーザーの開けた穴に命中させ、二度目の爆発で、大尉はやられた。

 私はPPCを構え、一発お見舞いしてやったが、左肩にちらりと強化装甲が見えた。音から判断して、マクミランは私の背後で猛攻を加えているところだった。彼女は、LRMを撃ち、レーザーを放つのに、熱を溜めねばならなかった。前にいたメックは、ウィザーズ大尉をやり過ごし、右手の奇妙な両刃の武器を私に向けた。マクミランがいたので後退出来ず、また彼女のメックにぶつけたくなかったので、行くところがなかった。

 蛇が私を倒す前に、サネルのアグロ改が右手、私とクリタの赤い大きなメックの間に現れた。サネルはメックの収穫用ブレードを振り上げ、フェンシングを始めた。私は旋回し、パンサーを動かして、接近戦で何かにぶつからないようにした。その途中で、マクミランのメックが倒れるのが見えた。蛇の新型メックの別の機体に脚一本を切り飛ばされたのである。同時に無線で叫び声を聞き、振り返るとサネルもまた倒れていた。

 これは認める。私は生存者がいるかどうか確かめなかった。パンサーではこの二機にかなわないのがわかっており、またまわりにもっと敵がいるのを確信していた。メックの1機に向け、両SRMポッドを発砲し、PPCを撃ち、それからジャンプジェットを踏み込んで、私はそこから脱した。






Deandra Lowe 26 July 3135

Deandra Lowe
26 July 3135

 私は今日、変わった乗客と出くわした。一匹狼の傭兵ガンマン、"ガンスリンガー"である。彼の名はボリス・バジレフ。ちょっとアクセントが聞き取りづらかったにせよ、フレンドリーな男だった。我々は会話を始め、しばらくすると彼のメックの話に移った。彼はそのメックが本当に好きなように見えた。私は彼にちょっと見せてくれないかと頼んだ。返事はこうだった。「‘ブラックアウト’を見たいって? もちろん! 彼女はファンを愛しているのさ!」

 私が言えるのは、どのような類の企業でも繰り返せないようなことである。

 それはモンスターであった。「100トンだ」と彼は言い、マリスと呼んだ。余すところなく詳細を語り、そして別れる前に、メーカーの小冊子のすりきれたコピーをくれさえしたのである。他にもコピーがあるので問題はないと彼は言った。そのうちの一部をスキャンしようと私は考えた。

『ダイナミック・オーダンス・アンド・アミュニション社(D.O.A.)は、エリスエンタープライズ・デザイングループとの共同事業で、戦場で人気を博すであろうバトルメックをご提供できることを喜ばしく思っております。MAL-XPマリスです。

 マリスは現在の軍事技術におけるモンスター――100トンの強襲級バトルメックです。このデザインの特徴は、二重構造のひざ(別名、D.O.A.の‘デーモンレッグ’デザイン)で、正面攻撃から脆弱な間接部を見事に守ります。このユニットは低速に見えるかもしれませんが、装甲が全方位からの防護(特に背面)を提供し、どんな戦いでも最初から最後まで耐えることを保証します。高性能放熱器が確実な射撃を可能とし、メック戦士にこの巨大なマシンを操るのに必要な自信を与えます。現在のMAL-XPデザインには、以下の構成があります。

重量: 100トン
シャーシ: ダイナミック・エンドースティール
パワープラント: 400 LTA XL核融合
巡航速度: 43.2 キロメートル/時
最高速度: 64.8 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
装甲板: 通常型
武装:
 LB5-X AC 2門
 ER中口径レーザー 2門
 LB10-X AC 2門

 わずか2905万7334コムスタービルで、この機体があなたのものに! D.O.A.は若干お手頃(2874万79334コムスタービル)な以下のMAL-XTモデルも用意しております。

重量: 100トン
シャーシ: ダイナミック・エンドースティール
パワープラント: 400 LTA XL核融合
巡航速度: 43.2 キロメートル/時
最高速度: 64.8 キロメートル/時
ジャンプジェット: なし
装甲板: 通常型
武装:
 LB5-X AC 4門
 ER中口径レーザー 4門

 このバージョンの射程はわずかに劣りますが、追加された2門の長射程中口径レーザーの生み出すダメージと多様性は、とびきりの価値を提供します。

 大量発注、軍隊向けディスカウントについては、ぜひご連絡を』






Evan Kaiple 11 August 3135

Evan Kaiple
3135年8月11日
ライジングサン、シノノイ、第2宙域

 本日、"ホーム"よりの通信を受け取った。その中にあったのが、あちこちで見かける連合軍の新型機に関する機密情報である。恒星連邦はいくらかの回収品を得られたようだ。

『第3宙域、シタラの情報部員によると、恒星連邦は惑星を奪うのに失敗したが、連合の最新機種の回収に成功し、連合軍に襲われる前に基礎的な分析をしてみせた。我らの工作員は、接触が失われる前に、恒星連邦の報告書から以下を抜き取った。この通信は不完全なものであると思われる。また、恒星連邦の施設が襲われる前に、間に合わせの分析がダヴィオンに伝わったのか、上層部は判断出来ていない。

*BEGIN TRANSMISSION*

 ソードスォーン隊による勇敢な戦いの結果、獲得されたのがドラコ連合新型機の胴上部である。連合軍は我らの陣地に迫り続けており、この回収品に使える時間はわずかであるが、ある程度の情報を得ることができた。

 回収された機体は、連合軍の後方で最近見られるシローのヴァリアントであるようだ。シローはLRM10で援護射撃を行い、弾切れ後は前に出ることで知られる。この機体がどれだけの弾薬を積んでいるかは推定出来ていないが、4門のLRM10を2門ずつ左右胴に載せていると、我らは断定した。左腕の実弾兵器はロングボウ2-Xオートキャノンである事が判明している。これは射程外にいる部隊への"流れ"弾の説明になるだろう。さらに、我らは左胴に壊れたガーディアンECMユニットがあるのを発見した。元から左胴にあったのか中央胴にあったのか、判断出来ないでいる。ECMユニットに加えて、なじみのないタイプのジャイロシステムが確認された。これが馬のような脚部(連合の新型機に多い)のバランスをとり続けていることは明白である。後方でのさらなる研究のため、我らはジャイロを取り出そうとしているところである。

 我らの推測では、この機体の重量は約75トンになるはずであり、重量級バトルメックとなる。機体の下半身がないので確かな事は言えないのだが、ジャンプジェットを搭載していない、もしくはジャンプジェットを載せる位置がないように見える。動力は375エクストラライト核融合エンジンで、歩行速度は時速54.0kmになると思われる。従って、走行速度は時速75.6kmになるはずだ。シャーシはエンドースティール製で、残された装甲から見て、強化装甲を使っているようだ。

 何よりも我らを当惑させたのは、外見上、指揮・統制・通信(C3)コンピュータシステムが欠けていたことである。ドラコ連合はこのシステムの使用で名高いのだ。といっても、完全に破壊されてしまった可能性は

*END TRANSMISSION*

 この報告が示唆しているのは、シローが他ユニットの援護射撃を意図し、巨大なナギナタを使うのは、そうせねばならなくなった時か、全弾薬を使い果たした時のみであることだ。さらに、このバトルメックに大量のLRMが使用されているのを技術者が特定しているのだが、我らが入手したこの報告では、C.A.S.E. (細胞式弾薬収納装置)についての言及がないようだ。この機体の胴部は、高速のロクロクビやトクガワ重戦車を回避できたら、第一の砲撃目標となるかもしれない。全軍がこの情報を熟知し、ふさわしい行動を取るべきである。総統に勝利を(Victoria Exarcho)』

 彼らは画像も送ってきたが、多少手を加えてあるように思われる。君はこの機体の概要を理解出来るだろうが、私は技術情報の類を確認出来なかった。だが、それでもいい。いかなる情報でも力となるものである。






Evan Kaiple 22 September 3135

Evan Kaiple
3135年9月22日
ライジングサン、シノノイ、第2宙域

 本日、以前に読んだメックの追加情報を得た。我が軍が「捕獲」したノヴァキャット製(推定)のウェンディゴである。連中がようやく調査に取りかかったものと思われる。報告書には、我が軍がウェンディゴをどこから入手したのかは言及されていないが、君はスピリットキャッツの後援者が関わってるのを疑うに違いない。そうでなければ、また誰かに汚い仕事をやらせたのかもしれない。可能なら恒星連邦の奴らにやらせるのを我々は好むようだ。

『入手した回収品ウェンディゴの分析はほぼ終了した。この回収品がまず教えてくれたのは、ノヴァキャットがオムニメック技術の放棄を決めたはずがないということだ。ウェンディゴと同重量クラスにはシャドウキャットがある。現時点では確認できていないが、この重量クラスに、三機目のオムニメックがあるのではないかと疑われる。

 ウェンディゴのコクピットは胴体にあり、10連長距離ミサイル(LRM)ラックを載せるために頭部のスペースを空けてるのは明白だ。興味深いことに、頭部と同様、左右胴にも細胞式弾薬収納装置(CASE)が見つかった。これまでの諜報情報によると、ノヴァキャットはスピリットキャッツのエネルギー兵器好きを共有しているが、彼らはさらに視野を広げるつもりであるようだ。ドラコ連合の援助でそれが達成されたのではないかと疑われる。

 シャーシの分析担当者の一人は、そこそこ普及しているエンドースティールのフレームと、レーザー反射装甲が使われているのを暴いた――ノヴァキャットに予想される以上のものである。回収品の復元をしても、シャーシに最大限の装甲が搭載されていたようには見えなかったが、その一部は戦闘で失われてしまったのかもしれない。このモデルにジャンプジェットが使われている徴候はないが、そのような装備を取り付けるスペースが存在する。搭載されているレーザー兵器と釣り合わせる数個の高性能放熱器もまた発見された。ウェンディゴの武装、詳細を示した表が以下である。

重量: 50トン
シャーシ: エンドースティール
パワープラント: 300XL核融合
巡航速度: 64.8 キロメートル/時
最高速度: 97.2 キロメートル/時
装甲板: レーザー反射型
武装:
 ウルトラオートキャノン2 1門
 ER中口径レーザー 4門
 ストリーク6連短距離ミサイルラック 1門
 10連長距離ミサイルラック 1門

 この分析によると、このモデルの明らかな弱点は見あたらない。オムニメックであるので、装備を奪い取るのは無意味である。戦場ですぐに交換できるからだ。CASEが弾薬を強固に守り、また追加放熱器は、パイロットが激高していても熱状態を保つのを助ける。現時点で唯一薦められるのは、頭部のLRMを狙うか、胴を何度も撃ってパイロットを排除するか、脚を何度も叩いて移動不能するかである』

 素晴らしい。従って、我らがなすべきは、止まるまで撃つことである。私は時折、この道具について思いを巡らす。いつノヴァキャットは実弾兵器に関してこれほど賢くなったのだろうか?






Evan Kaiple 23 September 3135

Evan Kaiple
3135年9月23日
ライジングサン、シノノイ、第2宙域

 さらなる情報が今日届いた。今回、我らが目をつけたのは、とある「旧型」メックである。一見したところ、ジェイドファルコンのデザインのように見えるが、これまでのところ、全バリエーションがファルコンの塗装を施されているわけではない。二名のガンスリンガーがこの機体を所有していると報告されている――セリナ・サントスとアイコ・リョウハラである。彼らがどうやって氏族技術をこれほど早く入手仕方は謎である。あるいは、こういうことかもしれない。

[BEGIN TRANSMISSION]

 数ヶ月かけて、情報部はついにジェイドホークの起源を辿るのに成功した……ジェイドファルコン氏族宙域である。既存の情報源(ダイナミック・オーダンス・アンド・アミュニション社)からスタートした、我らの諜報員はこの企業内に足場を作り、ジェイドホークプロジェクトを調査することができた。ジェイドホークの計画は社内で進められたものでなく、外部の(そして無名の)勢力から購入されたことを、彼らは発見した。我らの疑惑の目は、まずエリス・エンタープライズ(比較的新興の企業)に向けられたが、調査の過程で、D.O.A.に戻っていた諜報員が、真犯人を指し示す不鮮明な通信の断片を首尾良く発見した。それはシーフォックス氏族だ。

 シーフォックス商人氏族は常に謎めき、また様々な商品の御用達商人であることから、この独占書類を売ったとしてもおかしくはない。しかし、ジェイドホークの特殊な放熱用ウィングのデザインから、大元はジェイドファルコンそれ自身に違いないと我らは相当に確信していた。追加取材でとうとうシーフォックス氏族の一人と会うことができた。この人物は、単に情報(商品、サービス)を仲介することができないくらいハッピーだった。

 技術者階級によって試みられたジェイドホークプロジェクトは異例なものであった。というのも、開発プランが実施に移されたまさにその時、プロトタイプ機が組み立てられていたからである。これが氏族社会の一般的な慣習なのかは不明である……我々はそうでないと考えている。ジェイドファルコンの全員が、ギャラクシーコマンダー・マルヴィナ・ヘイゼンの支持する「総力戦」思想を喜んで受け入れたわけでないと、シーフォックスの情報源は教えてくれた。この氏族で内戦が起こりかけている可能性すらある。単刀直入に言うと、ジェイドホーク開発チームの一人が、ヘイゼンの介入で計画を台無しにされたらしく、抗議の印としてジェイドホークのプランを盗み去ったのである。

 この技術者の居場所は現在の所、不明である。彼、あるいは彼女が、氏族から離脱することを選んだか、抵抗軍に加わったかはわかっていない。また、シーフォックスの情報提供者も、彼(彼女)の現在位置を確認できていない。このプランは、シーフォックス氏族を通して、第三者の手に渡ったようである。大元の仲介者はこのプランが他氏族の手に落ちないことを条件につけただけであった……中心領域の手にあったほうが、より大きな恥辱を与えることになる。約束を違えず、シーフォックス氏族はこのプランを中心領域の企業に売却し、D.O.A.は解析の一環として、ごく少量の限定生産を始めた。

 D.O.A.内の諜報員によると、複雑なウィングのデザインは、各メックごとに異なるとのことである。デザインを変更し、他のユニットに取り付ける方法は今のところ無いように見える。氏族製のパーツが一部足りないことから、D.O.A.の技術者は設計の一部を変更し、技術をミックスさせた。そういうものとして、我らはこのデザインの以下の基本的な詳細をつかんでいる。

タイプ/モデル:ジェイドホーク JHK-03-H
重量:75トン
シャーシ:エンドースティール
パワープラント:375XL核融合、スーパーチャージャー付
巡航速度:54.0 キロメートル/時
最高速度:86.4[108.0] キロメートル/時
ジャンプジェット:通常型ジャンプジェット3基
 ジャンプ能力:90メートル
装甲板:フェロファイバー
マイアマー:三重筋力
武装:
 長距離小口径レーザー 4門
 SRM6 4門
 クロー 2基
 通常型ジャンプジェット 3基

 変更されたプランは、トン数が有効に使われてないように見えるのを説明してくれるかもしれない……といっても、このメックは装甲を限界まで積んでいるようだ。諜報員たちはジェイドファルコン氏族製のオリジナルを追い続けているところだ。

[END TRANSMISSION]






Deandra Lowe 29 September 3135

Evan Kaiple
3135年9月29日

 戦いが激しくなっている中で、メック対メックの古風でシンプルな時代に戻るのは、良い事だろう。外の世界には目もくれず、古き良きソラリスVIIはこつこつと試合を続けている。私の目を引いたのは、アルベルト・デヘススに関する小さな記事だった。彼の名前は何度か聞いているが、詳しい話を聞いた事はあまりなかった。スペクテイター紙に、彼の小さな記事があった。彼は今まさにスターへの階段を上り始めた有望な新人かもしれない。いつ、君が必要とするかわからないので、記事をスキャンしておく。


セブン、アルベルト・デヘスス(ゲスト)

ソラリス・スペクテイター: 本日のセブン、ゲストはオンブレス・ステイブルの前途有望な新人、アルベルト・デヘススです。アルベルトと呼んでも?

アルベルト・デヘスス: ファビュラスと呼ばれるのが好きなんだけど、アルベルトでもいいよ。

S.S.: あなたと、あなたのメック"エル・ディアブロ・ロホ"は、試合中にありがたくない名前で呼ばれることがありますね。"チャージモンキー"の名は正しいと思いますか?

A.D.: 完全に間違ってる。みんな僕の格闘技術に嫉妬してそんなことを言っているんだ。飛び道具を使うのは簡単だ。でも80トンの揺れる鋼鉄を操るのはそうじゃない。

S.S.: ソラリスに来た第一の動機は何ですか?

A.D.: 一対一の戦いのスリルにあらがえる人間はいないだろう? 同時代の偉大な戦士たちを相手に、自分を試せるチャンス。パイロットとマシン同士の戦いなんだ。僕をここに誘ったのは、熱意、信念、鋼鉄だよ、アミーゴ。

S.S.: あなたはソラリスの外で目撃されていますね。空いた時間にガンスリンガーをやっている、と。これは事実でしょうか? もしそうなら、オンブレスの所属の観点から、ライラ同盟は何かを言うべきと思いますか? 

A.D.: それは全て事実だ。戦場より良い訓練場はないよ、フレンド。試合日程が開いているとき、真のアスリートは出来る限りの場で自身を試し続けなければならないんだ。あと、僕の知る限り、同盟に言うべき事はない。色々あるが、僕は適正価格で彼らのために戦う事になるだろう。

S.S.: あなたと、もう一人のネアンデルタール"ビューフォード"所有者、レックス・コーパツとの遺恨試合で、色々なことが言われていますね。今後、あなた方が、すぐにもアリーナで戦うことがあるでしょうか?

A.D.: コーパスは僕と同じ名誉ある戦士だ。彼は戦いの赤いもやの中で我を忘れ、僕はそれを利用した。が、彼は時間内に自分を取り戻して、僕が戦術ミスを犯すかもしれないのを待ったんだ。再試合の準備は間違いなく進んでいる。今は兵器を使わないようにするかどうかを話し合っているところだ。ビューフォードのへこんだ頭部にもう一撃加えるのを楽しみにしているよ。

S.S.: それは純粋な殴り合いということですか? それは見逃せませんね。あなたの得意技"ピープルズ・ショルダー"ムーブが見られるかもしれませんから。あなたがデビュー戦で"ラインバッカー"からもぎ取ったバトルマスターの腕を使うことになりそうですか?

A.D.: フェアで良い戦いを見せるためには何でも使うよ。

S.S.: 今日はありがとう、アルベルト。

A.D.: ありがとう。


NTL-AG-H "エル・ディアブロ・ロホ" ネアンデルタール

 通常型シャーシに、ほぼ限界までのフェロファイバーを積んでいるのが、このバリエーションの核心である。そして三重強化人工筋肉が、他のメックの核心に迫るのを助ける。デヘススはMポッドの効果的な使い方を心得ている。

パイロット:アルベルト・デヘスス
ステイブル:オンブレス・ステイブル
重量:75トン
シャーシ:スタンダード
パワープラント:400 LTV XL 核融合
巡航速度:54.0 キロメートル/時
最高速度:86.4 [97.2] キロメートル/時
装甲板:フェロファイバー
武装:
 Mポッド 3門
 PPC 2門
 ガーディアンECM 1基
製造:タクティカル・アドバンテージ、LCC






Deandra Lowe 25 October

Deandra Lowe
3135年10月25日
航宙艦ストーンウォール、第二宙域

 ゲヘナ・ゴシップ紙のこれを見てほしい。チャリシーが、名誉に値するゴーストと戦った実際の書き起こしだ。

名誉がすべてに優先?

[RotS パンサー]: "接敵! 接敵! スカウトツーからヘビーアルファ、バックアップが必要です、今すぐに!"
[RotS ヴァルチャー]: "了解した、スカウトツー。重小隊が向かってる。中間地点ベイカーまで戻って待て――"
[RotS パンサー]: "(表記不可)! 撃たれた! 撃たれた! こっちに敵が4機やってくる。すべてベーカー・マリーズ。くり返す。ベーカー・マリーズの1個完全小隊がこちらを撃っている!"
[RotS ヴァルチャー]: "戻れ、走るんだ、スカウトツー。重小隊の到着時刻は5分後だ"
[RotS パンサー]: (発砲音、静止)"5分だって!? 俺を(表記不可)か! こっちはゴースト、クーガーに首根っこつかまれて、その後ろから2機のセンチュリオンが来てるんだ!"
[RotS ヴァルチャー]: "チャーリー飛行隊が上空にいる、スカウトツー。騎兵隊が駆けつける"(発砲音、爆発)
[RotS パンサー]: "当てられた! 当てられた!"
[RotS ヴァルチャー]: "スカウトツー、重小隊は2分でつく。そちらの状態は?"
[RotS パンサー]: "ろくでもない、アルファ。腰が吹っ飛んで、あの(表記不可)なゴーストにPPCをもぎ取られた。こっちは(表記不可)だ!"
[RotS ヴァルチャー]: "ヘビーアルファから全部隊へ。中間地点ガンマで、撃墜されたメック1機が待っている。ベーカー・マリーズのメック4機がいるとスカウトツーは報告している"
[RotS パンサー]: (聞き取り不可)
[RotS ヴァルチャー]: "スカウトツー?"
[RotS パンサー]: (つぶやき)"わかった、この(表記不可)め。おまえはゆっくとり近づいてくる。そいつで俺を片づけ……"
[RotS ヴァルチャー]: "スカウトツー? 応答せよ! 重小隊がそちらの位置を探知した……"
[RotS パンサー]:(つぶやき) "なんだって?"
[RotS ヴァルチャー]: "スカウトツー、応答せよ!"
[RotS パンサー]: "信じられない! どういうことなんだ?"
[RotS ヴァルチャー]: "スカウトツ――"
[RotS パンサー]: "ヘビーアルファ、敵部隊は戻っていった。俺のメックは壊された。フューリーのゴーストが俺にとどめを刺さなかったのは何故なんだ?"

このような話である。移動不能の共和国軍パンサーは、ゴーストに乗った逆賊の気高さに生かされたのだろうか? これは、ドラコもどきには珍しい、ブシドーの掟なのだろうか? それとも敵同士の馴れ合いなのだろうか?

決めるのはあなたである。






Evan Kaiple 1 November 3135

Evan Kaiple
3135年11月01日
航宙艦ストーンウォール、第二宙域

 やっと届いた情報は……少なすぎて、遅すぎる。

『貴連隊は、近い将来、新型の軽量級メック、ハボックを見ることになるかもしれない。このユニットの完全な配備状況は調査中である。準備が出来次第、新たな情報を送る。このバトルメックの情報は以下の通り。このユニットがあることを前提に、全連隊指揮官は計画を立てるべきである。

タイプ/モデル:ハボック HVC-P6-L
重量:35トン
シャーシ:エンドースティール
パワープラント:280XL核融合
巡航速度:86.4 キロメートル/時
最高速度:129.6 キロメートル/時
ジャンプ能力:150メートル
装甲板:フェロファイバー
製造業者:アダム・テック・インダストリー
武装:
 長距離中口径レーザー 2門 右腕
 長距離中口径レーザー 2門 左腕
 SRM4 1門 胴中央
 (弾薬 SRM4 50) 左胴
 CASE II 左胴

 指揮官たちはこのユニットの活用法を熟慮せよ。推奨されるのは、主として目標の力を殺ぐのに用い、重打撃機を支援することである』

 知的訓練を目的に、現在、私はこの情報の断片を分析しているところである。仕様の残りを見るに、悪いデザインではないようだ。信じられないほど無駄なくまとめられている……使われてないトン数がどこにもない。また外見から確認できる限り、限界値の97%まで装甲が施されている。しかしながら、積極的なパイロットにとっては熱が問題になりそうである。放熱器を付けてないのであろうか? ジャンプジェットは150メートルまでだが、取り付けられた装甲が生存性を高めているはずだ。

 残念だが、我らは孤立しており、これらをすぐ見ることはなさそうだ。その上、私には私自身の問題がある……。






Deandra Lowe 3 November 3135

Deandra Lowe
3135年11月03日

 面白い読み物を探していた私は、ある乗客の一人から、ソラリス7の出版物を頼み込んで譲ってもらった。タブロイド誌が数部だが、いずれにせよこういうものはたいてい最高の情報である。この記事は古いものだった。しかし、どんな軽い読み物でも、最近広まってる戦闘のニュースよりは良いものである。特に有益なものが以下だ。


『VCI、タクティカル・アドバンテージ社に対抗しメックを提供』


 タクティカル・アドバンテージ社がレックス・コーパツ("ビューフォード"のパイロット)にネアンデルタールを賞品として贈与したことへの明白な対応として、ヴィクトリー・コンディション工業(VCI)は、賭け金として新型機の一機を提供した。まだ発表されてないシリーズで、誰が偵察用メック、ナイトストーカーを得るか選ぶ。

 詳細のすべてはわかってないが、機体の基本スペックが公表されている。現時点で我らが得ているのがこれである。

タイプ/モデル:ナイトストーカー NSR-K1-M
重量:40トン
シャーシ:エンドースティール
パワープラント:320XL核融合
巡航速度:86.4 キロメートル/時
最高速度:129.6 キロメートル/時
ジャンプジェット:なし
装甲板:フェロファイバー
製造業者:アダム・テック・インダストリー
武装:
 長距離中口径レーザー 3門
 ビーグルアクティブプローブ 1基
 ストリークSRM6 1門 胴中央

 付け加えると、この胴にコクピットがあるメックは、ビーグルアクティブプローブを装備し、左手に直接ブレード(市街戦用と思われる)を付けているように見える。さらなる詳細が明らかとなったら、続報をお届けする予定である。






Deandra Lowe 22 December 3135

Deandra Lowe
3135年12月22日

 私はこれを信じることが出来なかった。その後、フォード大尉と偶然出くわし、酒瓶を1、2本、空にした後で、彼女はこの話が事実であるのを認めた。この(無線の)書き起こしは、私が最初に読んだものである。人物名のうちいくつかはすでに記入されていた。フォード大尉から聞いた名前を私が付け加え、完成させている。


ウィラ"ホッパー"フォード大尉:ポイント8-5からボギー(正体不明機)が来ます、フランキー。重量級が一機です。事前の情報によると、おそらくマッドキャットかと。

フランシス"フランキー"アンダーソン少佐:確認しろ、ホッパー。この地区にいる友軍は我々だけだ。確かめようじゃないか。北へ回り込んで、そこから撃て。クラッシュ、おまえは南へ行って、同じことをするんだ。ダニーボーイ、ついてこい。連中にTAGして、捕捉するんだ。

ホッパー:了解。

クリスティーナ"クラッシュ"ロバーツ中尉:分かりました、ボス。

ダニエル"ダニーボーイ"フィラ中尉:TAGしてる子猫ちゃんが来ます。

フランキー:気をつけろ、クラッシュ……低くジャンプするんだ。こっちの準備ができるまで、盗賊共に見つかって欲しくない。

クラッシュ:すいません、位置につきました。

ホッパー:準備良し、フランキー。

フランキー:ベース・ワン、こちらシグマ小隊。マッドキャットと思われる敵メックと交戦する。

ベース・ワン:良い狩りを、シグマ小隊。

フランキー:敵メックが待ち伏せ地点に来た。叩くんだ、ダニーボーイ。

ダニーボーイ:ウーッ! 一発撃たれたが、かすりもしなかった。奴をTAGしていますが、通常のマッドキャットじゃないようです。ラックの外観が違うように見えます。

フランキー:完全な1個小隊には楽な相手のはずだ。クラッシュ、ホッパー、奴の注意をそらせ。私が仕留める。

クラッシュ:了解。[ジャンプジェットの熱による雑音] なんてこった! ミサイルを撃ちやがった。SRMが来ます、AMSが――撃ち落としました。

ホッパー:[ジャンプジェットの雑音] 背中のミサイルは――マークIVです、フランキー、交戦しては――

フランキー:SRMが来る。レーザーを照射している。[ミサイルの衝突音] 来いよ、ベイビー、抱きしめてやる。くそった――[爆発、アンダーソン少佐の通信途絶える]

ダニーボーイ:今のを見たか? あの糞野郎は一撃でフランキーを落としやがった。ガウスじゃない、PPCでもない、何なんだあれは。

クラッシュ:AMSリセット……あの糞野郎がまた間抜けな背面撃ちするのを見ましょう。

ホッパー:離れなさい、クラッシュ。奴がカタパルトを一撃で倒せるのなら、ジャッカロープが生き残るチャンスはない。

クラッシュ:とんでもない、ホッパー。フランキーには緊急脱出のチャンスすらなかったんですよ。俺の考える限り、あいつは殺人鬼です。

ダニーボーイ:彼女の言う事を聞くんだ、クラッシュ。フランキーがやられて誰よりあの糞野郎を憎んでるのは彼女だ。だが彼女は――くそっ、クラッシュが戦っています、ホッパー。

ホッパー:見えている。支援しなさい、ダニーボーイ。

ダニーボーイ:了解。

クラッシュ:[ジャンプジェットの雑音] やったか! 糞野郎の回転が――[爆発、悲鳴。ロバーツ中尉の回線途絶える]

ホッパー:神よ! クラッシュがマッドキャットに殺られた。あの二発目は避けようがなかった。

ダニーボーイ:何があったんです、ボス?

ホッパー:なんてこと……あのろくでなしがフランキーとクラッシュを殺したのよ。復讐してやる。引きつけるから、撃てないか確かめろ。動き続けるんだ。でも背面のSRMを監視しなさい。

ダニーボーイ:わかりました。準備出来ています。

ホッパー:[ジャンプジェットの雑音] 行け、ダニー。奴を攻撃――なに? [墜落する音] よくやった、ダニーボーイ……一発で奴を負かした!

ダニーボーイ:私の攻撃は命中すらしてませんよ、ウィラ。あいつがあなたを撃とうとして、腕が爆発したように見えました!

ホッパー:我々が欲しいのはあれよ、ダニー、あの糞野郎を持って帰りましょう。


 書き起こしには続きがあるが、以上が重要な部分である。フォード大尉とフィラ中尉は、ベース・ワンからの救援を得て、このマッドキャットを倒す事が出来たが、回収物があったというのに、アンダーソンのカタパルト、ロバーツのジャッカロープを倒した兵器の正体を暴くのは不可能であった。しかしこの兵器がまだ戦場で使用出来る状態にないことを、暴発が示している。彼女は、見つけた破片のひとつに、伝説の"R.I.S.C."が書かれていたと言及している。








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