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作成:2005/11/20
更新:2005/12/06

キングとポーン Kings and Pawns



 公式キャンペーンシナリオpdf)。
 カオス境界域の惑星ホールをめぐる戦い。現地勢力、マーリック軍、傭兵、AMCが入り乱れます。
 (細かい勝利条件等は、pdf を参照してください)





ホール Hall 3058

惑星名: ホール
ジャンプポイントからの行程: 5日
補給ステーション: ゼニス点
再充電時間: 8日
コムスター施設: B
領有貴族: 皇帝ウィリアム"バド"バラノフ
政治指導者: 皇帝ウィリアム"バド"バラノフ

 マーリック=リャオ攻勢のニュースが惑星ホールに届いたとき、第4共和国軍は強襲を押しとどめるべく準備を進めていた。だが、それが来ることはなかった。山脈を直接攻撃する代わりに、サン=ツー・リャオは反乱を煽り、世界をカペラ大連邦国のものにするよう工作員に指示を出した。だが、第4隊は無慈悲に反乱運動をたたきつぶしたのだった。この残虐行為を正当化できるほど、ダヴィオン家に格別の忠誠を抱いていたわけではないが、ホールが元々チコノフ自由共和国の一部だったことは、カペラ大連邦国嫌いを意味していたのである。

 氏族紛争で、リムワードの惑星防衛は新兵部隊、兵士の手にゆだねられた。彼らは前線で戦うにはふさわしくないと考えられていた。その歴史的な反ダヴィオン感情、規律問題、部隊がまともなチェックを行わず失業した傭兵を雇っているとの噂から、第4隊は信用できない分類に入れられている。カトリーナ国家主席が、サーナ境界域で働いている全ライラ部隊に帰還の要求を出したとき、第4共和国軍指揮官ウィリアム"バド"バラノフ少将は国家主席のスピーチに隠されたメッセージを理解した。強大な連邦=共和国は分裂したというものだ。

 士官たちと協議したのち、バラノフは首都ハーニーに兵を差し向け、苦もなく組織化されてない敵を叩いて、自身をホールの皇帝とした。首都を確保しているだけなのだが、惑星市民の多くは指揮官が次になにをするかわからないことから、彼に従ったのである。マクナリー伯爵(首都から東のかなり広い地域を支配していた)だけが、バラノフ皇帝と戦えるだけの軍事力、経済力を持っていた。次のバラノフの狙いは自分だと確信していたとマクナリー伯爵は、アウトリーチの傭兵を雇ってメック部隊を補強し、それからときを待った。

 バラノフ皇帝は、対マクナリー戦でなく、自身の宮廷で多大な苦労をしていた。バラノフの部下数名が反逆を起こし、両陣営がハーニーの通りで日常的に小競り合いを行った。第一次継承権戦争以来、戦火にさらされたことのなかったハーニーは、すぐさま廃墟となり果てた。バラノフが最終的に反乱軍をハーニーから追い出すと、この勢力は南部の都市のいくつかを領土として主張し、内輪もめを始めたと噂されている。

 これら3つの勢力がすべてホールの一部を支配しており、たまに補給物資や領土のためお互いに戦う。バラノフ皇帝はホールで唯一星間輸送手段を有しており、兵士と家来を食わせるため、海賊襲撃を行う。ハーニーのコムスター複合施設を単独で支配しようともしている。なぜなら、敵が自由世界同盟の所属国家に助けを求め、バラノフ皇帝の治世を終わらせるのを阻止できるからだ。

 有名なカペラの将軍パーヴェル・リジックの双子の息子、ユーリ、ニコリ・リジックは、サーナ境界域が崩壊し始めたときに、大規模なネットワークを用い、小規模な軍隊を立ち上げた。リジック兄弟は軍をホールに差し向け、皇帝バラノフの目から隠し続けた。3058年が終わるまでに、兄弟二人は、自称皇帝に挑戦できる兵力を持つことだろう。

 ニコリに率いられるリジック軍は、バラノフ皇帝と他勢力を打倒して、ホールを新生チコノフ共和国の首都にすると思われる。ホールを統制下に置き、リジック兄弟はもっと兵士を集めようと計画している。近隣の世界、エルジン、シェン、もしかしたらトールツリーに侵攻するためである。ユーリ、ニコリともに父から軍事戦略眼という贈り物を受け取っており、戦場でそれを上手く使う。彼らは新共和国を永続的なものにすると決めており、継承国家との同盟で独立を売り渡しはしないだろう。


防衛部隊 Defending Forces

 ・第4共和国軍(1個大隊)、指揮官バラノフ皇帝、一般兵、バラノフ皇帝
 ・ケイター・コホート(1個中隊)、指揮官ディック・ケイター少佐、新兵、ケイター少佐(反乱軍)
 ・マクナリー防衛軍(1個中隊)、指揮官ステイシー・オーシェーン大尉、一般兵、マクナリー伯爵
 ・バートン旅団(1個中隊)、指揮官エリー・バートン大尉、新兵、マクナリー伯爵






傭兵部隊解説


第3ディズマル・ディシンヘリテッド Third Dismal Disinherited

 元SLDFの名門傭兵隊、ディズマル・ディシンヘリテッド第3連隊。かつてはLAMで有名な部隊だった(3050年ごろに全機退役)。機動力に優れ、危険な戦闘降下を得意とする。現在、AMC(傭兵同盟軍)に参加中。古参兵、竜機兵団評価値A-。


ステルシー・タイガース Stealthy Tigers

 ライラ共和国、タマラー公爵の私兵だった部隊。法的な問題を避けるため、形だけ傭兵という扱いにしていたが、ラサルハグ独立にともない、出奔。自由世界同盟に雇われる。ライラでは貴重な機動戦を行える部隊だった。有名なタマラー・タイガースとステルス(いずれも継承権戦争で全滅)を手本としている。一般兵、竜機兵団評価値C。






キングとポーン Kings and Pawns


不和 BAD BLOOD

ハーニー郊外
ホール, カオス境界域
3067年10月11日


 誰かがなにか大きなへまをやらかした。

 ジョン・マーリック=ジョーンズ大佐は操縦桿を傾け、ウォーハンマーを横に向けた。そのとき、敵の1個高速打撃小隊が、第3ディズマル・ディシンヘリテッドの西側面を突破した。

 2機のブラッドハウンドが乱入して、混乱した装甲中隊を追い散らし、ハーニー近郊の泥で難儀していたストライカー軽戦車を追いつめた。その右後方に古のシャドウホークが続き、オートキャノン、ミサイルで猛攻撃を浴びせる。真新しいイーグルが大口径レーザーで、逃げるディシンヘリテッドのハンチバックを傷つけた。

 その背後に、第4軽機兵隊と、"皇帝"バラノフの共和国軍に所属する混合重装甲中隊が迫る。

 マーリック=ジョーンズは、若い中隊指揮官の一人が支援を求めているのを聞いた。戦場のこちら側に、助けられる者は誰も残っていない。

 大佐は新型ウォーハンマーを旋回させ、メックの右腕が背後を向いたまさにそのとき、クロスヘアを大きく動かした。「うまくあえよ!」叫んで、注意深くトリガーを引く。腕全体で作られた荷電粒子砲から、白く輝く炎が吐き出される。

 うねる人工稲妻の奔流がブラッドハウンドに達する。炸裂し、左側面の装甲を引き裂き、溶かし、くず鉄に変える。

 ウォーハンマーが旋回を終えたとき、2両の貴重なバンディット・ホバークラフトがウォーハンマーの両脇をすり抜ていった。部下を助けに戻るディシンヘリテッド指揮官を先導する。さらなる軽戦車が、まるで磁石に集まる砂鉄のように寄ってきた。進撃する軍の前面を固めるものとしては、けして多い数ではないが、充分だろう。

 戦いながらの退却は、困難な機動のひとつである。なぜなら、単純に、戦場でそれが起こってしまうまでに、演習する方法がないからだ。敵が迫るにつれて、混乱と恐怖が腹にまとわりつく。そして、それが現実のものとなったとき、敵は我らと我らの名に対して憎しみを燃え上がらせる。殺される、余裕がないと、背後に忍び寄る亡霊がささやき続ける。

 不和。

 それがいま行われていることだ。バラノフの誇大妄想じみた、権力、地位探求よりも。疑われるワード・オブ・ブレイクの関与よりも、傭兵連合軍がブレイク帝国に直接立ちふさがっていることよりも、それなのだ。第4オリエント軽機兵隊は惑星上に存在し、マーリック=ジョーンズを見つけたら撃つことだろう。マーリック一族を憎んでいるからだ。いかなるマーリックをも。総帥が戦場にいた場合は、どちらの発砲命令に従うかは不明である。ここにはマーリック=ジョーンズがおり、トーマス・マーリックはいない。悪いことに、彼は、はぐれマーリックだった。

 同盟の外にいる。

 フェアなゲームを行う。軽機兵隊がそうするなら。

 味方のハンチバックが攻撃に戻った。同盟による攻勢の矢面に立って、指揮官を守ろうとする。その強襲級オートキャノンが戦場に鳴り響き、傷ついていたブラッドハウンドに浴びせられた。二度目の斉射。三度目。

 そのうち一発が、切り裂かれた傷に深く入り、同盟メックの側面を破壊した。左胴のすべてが抜き取られ、砕かれたエンジン遮蔽をスクラップにした。

 核融合エンジンの一部が脱落したことで、メック戦士とマシンは助かったのだが、バトルメックは戦闘で失われ、煙を上げながら、すすけた山の上に倒れたのだった。

 マーリック=ジョーンズはすでに注意をシャドウホークに向けていた。由緒正しいデザインである。まだまだ大きい存在で、もっとも危険なマシンに見えた。ミサイルがウォーハンマーに降り注ぎ、腰、肩、腕を強く叩く。ホークのオートキャノンが、さらなる装甲を破片へに変えていく。

 だが、ウォーハンマーはやわな目標ではなかった。厚い装甲と、優れた武器を装備していた。両PPCが輝き、前進するバトルメックにエネルギーの鞭を投げかけ、一度に1トン分の装甲を削りとり、足から胴下部にかけて赤い傷痕を作った。

 それはバンディットが連射を始めたときだった。

 突撃してくる戦車を無視して、ホバークラフトはシャドウホークの横に滑り込み、中口径レーザーという灼熱したダーツを傷ついたバトルメックに向けた。マーリック=ジョーンズがホークの脚をとらえたときにも、彼らは攻撃の手を緩めなかった。光り輝くメスで切り刻み、突き刺した。

 不格好なマシンが地面で弾んで停止したあとでさえも、ホークの頭部、コクピット、メック戦士を赤いルビーの光で貫くために、ホバークラフトはレーザーを走らせた。

 両陣営に不和が生まれている。

 「戻れ」。マーリック=ジョーンズが命令し、ハンチバックはよろめきながら大佐の横に戻った。「最高速で行け!」。両バンディットが疾走し、乱れた装甲隊列を導く。誰も追いつけなかった。西から敵の装甲中隊が、倒れたシャドウホークを踏み超え、押し寄せてきた。さらなる命を奪うであろう戦線を形成する。残ったブラッドハウンドとイーグルは、ウォーハンマーの怒りに直面するよりはと、その場にとどまる。だが、数が揃ったらすぐに前進を始めるだろう。マーリック=ジョーンズを片づけられると思ったらすぐに。

 この混乱から、逃げ出す時間はある。修理し、補給し、戦線を立て直す時間はある。それはまだ終わっていなかった。第4軽機兵隊は戦いを望んでおり、第3ディズマル・ディシンヘリテッドはそれを与える決断をした。

 そう。誰かがくそったれた大きな間違いを犯した。

 ジョン・マーリック=ジョーンズは、それが自分でないことを祈った。




プロット概要 PLOT SUMMARY

 3057年の後半、ライラ同盟が連邦=共和国から離脱した。マーリック家、リャオ家の連合した強襲に直面した際のことである。この地域で連邦=共和国の威信は失墜し、数ヶ月後に突如、カペラ=自由世界の侵攻軍は前進を停止した。すると、ここサーナ境界域――かつては元共和国の重要な貿易・政治ハブであった――は無政府状態となり、新名カオス境界域となったのだった。

 ほぼ同時期に、ワード・オブ・ブレイク(コムスターから分離した急進派)が地球を我がものとした。鮮やかな奇襲を実行し、世俗化した兄弟たちを追い出したのである。それ以降の数年間、ワード・オブ・ブレイクは軍隊を使って、近隣の大王家がまだ保有してない世界の秩序を取り戻し、戦乱のカオス境界域で最大の勢力となった。

 ブレイク信徒の拡大に警戒心を強める、ジェイム・ウルフとウルフ竜機兵団は、3065年、傭兵同盟軍(AMC)の創設を発表し、カオス境界域の心臓部、独立傭兵世界アウトリーチを中心に集結するとした。連邦=共和国内戦――ライラの離脱の結果起こったもの――が荒れ狂うなか、AMCとブレイク軍は、忘れ去られし境界域の数個世界でくり返し衝突した。

 カオス境界域の世界ホールにとって、3066年は、10年の長きに渡って戦われてきた、"皇帝"ウィリアム・バラノフ(元AFFC第4共和国防衛軍RCT)と、そのライバルであるマクナリー伯爵との最終決戦の年であった。傭兵ステルシータイガースに支援された、バラノフの共和国防衛軍が、最終的にマクナリー軍を圧倒し、ホール全体の弱い支配権を得たのだった。

 だが、生き残ったマクナリー軍(傭兵バートン旅団)はすぐに到着した第3ディズマル・ディシンヘリテッド(ジョン・ホスティル・ヘルレイザーズ)と同盟を結び、傭兵同盟軍に加わった。彼らは、ホールに駐屯していた、中立であるコムガードの援軍にやってきたのだった。マクナリー派の軍を始末できず、AMC、コムガードの受け入れを余儀なくされた皇帝バラノフは、それにもかかわらず、ようやく手にしたホールを支配し始めたように見えた。

 しかしながら、3067年の夏、皇帝バラノフは政治的な爆弾を投げつけ、AMC=コムガード兵を大いに驚かせたのである。

 予想に反して、皇帝は、自由世界同盟の兵士を招待し、ホールを同盟の名の下におくと宣言した。この動きは、バラノフが勝ち取った領地を、進んで名義上マーリック家の下に置くというものだった。

 さらに、バラノフはこう付け加えたのである。同盟の下に入ったということは、もうコムスターのサービスも、傭兵同盟軍も必要ないことを意味している、と。バラノフの忠義変更で、残ったライバル――コムスターとマクナリー派のバートン旅団――は、ホールを追い出されることになる。

 コムガード軍はショックを受け、怒り狂っていたが、バラノフの宣言の合法性に膝を屈した。

 だが、AMC軍は納得しなかった。「この陳腐な茶番」にはワード・オブ・ブレイクが関与していると断言した、第3ディズマル・ディシンヘリテッド指揮官、ジョン・マーリック=ジョーンズ大佐は、「承認された同盟の権威」が到着するまでにホールから撤退せよとの命令を無視した。

 3067年10月4日、自由世界同盟のオリエント軽機兵隊がホール星系に到着し、すぐさまこの世界が自由世界同盟の保有地であると宣言し、AMC軍に対するバラノフの最後通牒をくり返した。ホールがマーリック家のものになる証拠に直面したのだが、それでもマーリック=ジョーンズ大佐は、警告を無視し、権力移譲はブレイク信徒の策略であるとし続けた。

 3067年10月11日、オリエント軽機兵隊の降下船の1隻目が、ホール首都ハーニーの宇宙港に直進し、これをAMC傭兵隊が叩いた。マーリック=ジョーンズ大佐は、軽機兵隊の忠誠心は疑わしいものと考え、ハーニー近郊での決定的勝利が同盟連隊の決意を粉砕し、ホールの「偽」の政権移譲を完全に終わらせることになるのを望んでいた。だが、傭兵の阻止攻撃で彼らが崩壊することはなく、ステルシータイガースとバラノフ共和国防衛軍の支援によって、ディシンヘリテッドのメックは追い払われたのだった。

 ホールでまた戦争が始まったのだ。






シナリオ1:撤退! EVACUATION!

状況

第3ディズマル・ディシンヘリテッド施設内
オースティン・バッドランド、ホール
3067年10月3日


 第3ディズマル・ディシンヘリテッドが独断で行った、第4オリエント軽機兵隊の到着阻止は、指揮官フルール・ルイスの無慈悲な報復を呼び込んだ。ルイスは、自由世界同盟がいまでは合法的にホールを所有していることに触れ、傭兵に最後通牒を叩きつけた。36時間以内にホールから出ていくか、死ぬかというものである。

 ジョン・マーリック=ジョーンズ大佐にとって、この挑戦はさらに直接的なものであった。第4オリエント隊がマーリック一族への憎悪で煮えたぎっていることを知っていた彼は、ルイスの要求に含まれた暗黙の脅威を察した。指揮官(まさに彼らが嫌う血統)を始末するだけならいいが、オリエント隊は第3ディシンヘリテッド隊との直接的な戦闘を望むだろう。マーリック=ジョーンズが傭兵である事実は、殺しても政治的に問題かないことを意味していた。

 そう、第4オリエント隊は戦闘を望み、彼の死を望んでいることを、マーリック=ジョーンズは知っていた。

 そしてまた、正確に36時間待つことはないだろうことも知っていたのである。

 だが、軽機兵隊の第一波がディシンヘリテッドの地上基地にやってきたとき、マーリック=ジョーンズでさえも怒りを隠しきれなかった。傭兵たちに妨害の代償を支払わせると決意していた同盟兵たちは、一部撤退したオースティン・バッドランド基地内の、防護されていない兵舎を最初に攻撃したのである。数分内に、基地は軽機兵隊1個重小隊のバトルメックからの砲火にさらされた。

 さらに悪いことに、同盟の攻撃から、一族郎党と1個中隊分の支援人員を守るのに、軽量級1個小隊しか残されていなかったのである。



攻撃側
 攻撃側は第4オリエント軽機兵隊の分隊(ストーンウォール小隊)です。

  第4オリエント軽機兵隊、ストーンウォール小隊
    中尉 カート・ブラスウェル (操縦 5, 砲術 4), テンペスト TMP-3M
    戦士 ドナ・バレット(操縦 4, 砲術 4), オリオン ON2-M
    戦士 アレハンドラ・リーソン(操縦 5, 砲術 3), ペルセウス P1
    戦士 サントス・ブレンドン(操縦 3, 砲術 4), グランドクルセイダー GRN-D-02

防御側
 攻撃側は第3ディズマル・ディシンヘリテッドの分隊(ホーク小隊)です。

  第3ディズマル・ディシンヘリテッド、ホーク小隊
    大尉 ペトラ・ウィリアムズ (操縦 2, 砲術 3),シャドウホーク SHD-5D
    戦士 ザカリー・ウーレット戦士 (操縦 3, 砲術 2), フェニックスホーク PXH-7S
    戦士 ステファニー・カーマイケル戦士 (操縦 3, 砲術 2), フェニックスホーク PXH-7S
    戦士 シェイン・ダンジー(操縦 4, 砲術 4), ナイトホーク NTK-2Q



勝利条件
 ディズマル・ディシンヘリテッドは戦線を保ち、戦友が北に逃げる時間を稼がねばなりません。これを反映して、ディシンヘリテッドは最低でも10ターンは第4軽機兵隊を釘付けにせねばなりません。10ターン後の各ターンに、防御側は1d6し、4より高かったらシナリオが終了します。

特別ルール
 ラウンドの開始時に、ディズマル・ディシンヘリテッドのメックのうち2/3が完全にジャンプ可能なら(最低でも1でもジャンプMPを持っていれば)、ディシンヘリテッドのプレイヤーは主導権ロールに+2のボーナスを得ます。






シナリオ2:井戸に毒 SCENARIO 2: POISONING THE WELL

状況

レキシコン電力会社複合施設,
レキシコン要塞、ホール
3067年10月3日


 軽機兵隊が非戦闘員を攻撃したことに激怒したマーリック=ジョーンズ大佐(ホールの傭兵連合軍指揮官)は、すぐさま、生き残ったディシンヘリテッド隊員に対し、ファーノース大陸ロックフォールメイズ近くのAMC戦闘司令所に集結するよう命じた。

 そこでマーリック=ジョーンズは、急きょ、惑星のインフラを破壊する計画を練った。自由世界同盟――そして、おそらくは、彼が「違法な侵攻」と呼ぶものの背後にいるブレイク信徒たち――に対して、莫大な再建費用の捻出を強いる。バートン旅団と組んだディシンヘリテッドは、この地域の発電所と燃料精製所に、決定的な打撃を与えるだろう。

 両部隊のなかには、「焦土」戦略に難色を示した者もいたが、マーリック=ジョーンズは目標が慎重に選ばれることを指摘し、民間の被害が最小限になるよう部隊に厳格な指示を出すとした。ホールのインフラを弱体化させれば、バラノフの惑星政府掌握を容易く妨害できる。運が良ければ、誰かが――マクナリー伯の残った抵抗軍などが――効果的なクーデターを実施し、元ライラ士官の暴君を倒すであろう。

 いずれにせよ、マーリック=ジョーンズに関する限り、バラノフとブレイク派の友人たちは、ホールの土地を1メートル獲得するごとに代価を支払うこととなる。



攻撃側
 攻撃側は第3ディズマル・ディシンヘリテッド、エイブル大隊の分隊です:

  ジャンクヤード小隊
    大尉 Ian Wymore (操縦 3, 砲術 2), ドラゴン DRG-1C
    戦士 Lester Cincotta (操縦 4, 砲術 3), オストソル OTL-7M
    戦士 Roberto “Dave” Giorgi (操縦 3, 砲術 4), クイックドロウ QKD-8K
    戦士 Patricia Vargo (操縦 4, 砲術 5), キンタロー KTO-18

  フェード小隊
    戦士 Sam O’Callaghan (操縦 3, 砲術 5), ステルス STH-1D
    戦士 Yunsha Xiu (操縦 5, 砲術 4), スカラバス SCB-9A
    戦士 Lewis Brisson (操縦 2, 砲術 3), アサッシン ASN-23
    戦士 Shane Danzy (操縦 3, 砲術 4), アークティックフォックス AF1A

  ピラー・オブ・ストーン小隊
    戦士 Candy Simmons (操縦 2, 砲術 3), ヘルスポーン HSN-8E
    戦士 Vernon Moy (操縦 5, 砲術 4), ライフルマン RFL-8D
    戦士 Pedro Hakim (操縦 5, 砲術 3), ウィットワース WTH-2A

  打撃小隊分隊
    中尉 Therese Baeza (操縦 5, 砲術 4), スコーピオン SCP-12S
    戦士 Susanne Heck (操縦 6, 砲術 4), ハンチバック HBK-4P

防御側
 防御側は、バラノフ皇帝との契約下にある傭兵ステルシータイガースの分隊で、バラノフの共和国防衛隊の分隊に支援されています:

  モーラー小隊
    少佐 Wesley Eberhardt (操縦 5, 砲術 3), バンシー BNC-3S
    戦士 Maribel DeYoung (操縦 6, 砲術 3), ウォードッグ WR-DG-02FC
    戦士 Corey Rublee (操縦 4, 砲術 5), センチュリオン CN9-A
    戦士 Dean Ashton (操縦 4, 砲術 4), グラスホッパー GRH-5H

  ディープクロウ小隊
    中尉 Johnny “Rain of Fire” Benhke (操縦 2, 砲術 3),アーチャー ARC-8M
    戦士 Douglas Kent (操縦 6, 砲術 4), ストーカー STK-3F
    戦士 George LaDuquette (操縦 4, 砲術 4), サンダーボルト TDR-9M
    戦士 Isabelle Lewis (操縦 5, 砲術 4), ボンバーディア BMB-10D

  イェーガー小隊の分隊
    戦士 Jenifer Almeda (操縦 3, 砲術 3), ヴィンディケイター VND-1R
    戦士 Derrick Vanzant (操縦 5, 砲術 4), スタースレイヤー STY-3C

  共和国防衛隊装甲小隊
    軍曹 Franklin Younan (操縦 4, 砲術 4),パットン (Ultra Variant)
    戦車兵 Seskii (操縦 5, 砲術 4), マンティコア
    戦車兵 Jones (操縦 5, 砲術 3), ヴァデット
    戦車兵 Brown (操縦 3, 砲術 4), ヴァデット



勝利条件
 このシナリオにおける攻撃側の目標は、発電施設内にある三つの建物を破壊し、被害を受けることなく撤退することです。防御側は、攻撃側を破壊するか撤退させ、これを防ぎます。



電磁波障害
 レキシントン電力の洗練された複合プラントは、毎時ギガワット級の電力を発電する能力を持ちます。しかし、副次的な効果として、各種コンデンサー、変圧器の近くにいると、莫大な電磁波障害が引き起こされ、バトルメックと車両のセンサー、通信機に障害を与えます。これを反映するため、シナリオ中、すべての武器を使った攻撃に+2の修正があり、ミサイル命中表に-2の修正がかかります。加えて、すべてのアクティブ・プローブはこのシナリオ中、無効化され、ECMの有効距離が通常の二倍になります。






シナリオ3:ライオンの穴 SCENARIO 3: THE LION’S DEN

状況

サウス・ハーニー、ホール
3067年10月9日


 AMCによってインフラを破壊されたホールは、惑星全体が混乱に包まれ、数百万の人々が電力、通信手段を失った。皇帝バラノフが惑星を効率的に統治し、世界を防衛できるという民衆の信頼感は薄れていった。自由世界同盟からの支援があってさえもそうだった。だが、バラノフのプロパガンダ機関は、ワード・オブ・ブレイクが関わっているとの「根拠がない」マーリック=ジョーンズによる告発を非難したのである。

 自身を、紛争の続く世界に平和をもたらそうと奮闘する指導者であると見せたバラノフの意見は、数百万の人々の胸を打った。たしかに、ホール――とその指導者――は、ブレイク派の政策だけでなく、ウルフ竜機兵団とAMC(カオス境界域に新たな秩序を押しつけようとした)の被害者であった。結局、今回はディシンヘリテッドが先に発砲し、やってきた第4軽機兵隊に攻撃を仕掛けたのである。そうではないか? だが、市民たちがバラノフのレトリックを受け入れた一方で、マーリック=ジョーンズはブレイク派の関与があると確信したままであった。

 首都郊外のサウス・ハーニーにいる、生き残ったマクナリー伯爵の工作員たちが集めた情報のおかげで、それを実証する機会が訪れた。サウス・ハーニー郊外の、政府高官、軍事部隊に近いところで、ブレイク派の工作員が活動しているのがはっきりと確認されたのである。これらの人員を捕らえるか、存在、活動しているという確実な証拠を手に入れれば、ホール市民に対するAMCの敵対的な活動に正義があったと証明できる。

 ことわざにあるとおり、ライオンを引きずり出したかったら、ライオンの穴へ入らねばならない。



攻撃側
 攻撃側は第3ディズマル・ディシンヘリテッド、ベーカー大隊と、バートン旅団傭兵隊の分隊です。各部隊は別々のプレイヤーによって指揮されることに注意してください(以下の多勢力特殊ルール参照):

  バートン旅団
    大尉 エリー・バートン (操縦 3, 砲術 3), サイクロプス CP-10-Q ##
    戦士 Amado Flockhart (操縦 5, 砲術 4), ギロチン GLT-4L
    戦士 Buck Nitzvilla (操縦 4, 砲術 4), チャージャー CGR-1A5

    中尉 Thanh Bondanza (操縦 5, 砲術 3), ジャベリン JVN-10F
    戦士 Delmer Eriks (操縦 4, 砲術 4), コマンドゥ COM-2D
    戦士 Rob Fieselman (操縦 5, 砲術 4), シカダ CDA-3F

    戦士 Hugh Magallon (操縦 4, 砲術 4), エンフィールド END-6J
    戦士 Cinda Malich (操縦 5, 砲術 4), ドラゴン DRG-1C
    戦士 Tawanna (操縦 3, 砲術 4), グラスホッパー GHR-5J

    軍曹 Tory Belitz (操縦 3, 砲術 4), サバンナマスターホバークラフト
    伍長 Trenton (操縦 4, 砲術 4), キャバリー(歩兵ヴァリアント)
    伍長 Quent (操縦 5, 砲術 3), ハンター軽支援戦車
    伍長 Wolf (操縦 5, 砲術 4), マンティコア重戦車


  第3ディズマル・ディシンヘリテッド分隊
    大佐 ジョン・マーリック=ジョーンズ (操縦 3, 砲術 2),ウォーハンマー WHM-8D ##
    戦士 Jason Robinette (操縦 5, 砲術 4), ラクシャサ MDG-1A
    戦士 Rosalinda (操縦 6, 砲術 4), マーリン MLN-1A
    戦士 Matthew Daub (操縦 4, 砲術 3), ハンチバック HBK-4G

    中尉 Ted “Slicer” Raman (操縦 5, 砲術 4), スカラバス SCB-9A
    戦士 Kenya Calle (操縦 5, 砲術 4), ウルフハウンド WLF-2
    戦士 Allan Connally (操縦 4, 砲術 4), ハンマー HMR-3M
    戦士 Lance Harner(操縦 5, 砲術 4), コサック C-SK1

    大尉 Max Blansett (操縦 3, 砲術 3), ナイトスカイ NGS-5S
    戦士 Marylou Weary (操縦 5, 砲術 3), セントリー SNT-04
    戦士 Javier Kimbrel (操縦 2, 砲術 3), グリフィン GRF-6S
    戦士 Guy Berggren (操縦 7, 砲術 4), デルヴィッシュ DV-8D

    中尉 Guy Cooperman (操縦 2, 砲術 4), ファイアスターター FS9-H
    戦士 Anna Rademacher (操縦 4, 砲術 5), ヘルスポーン HSN-7D
    戦士 John “Quiet Storm” Hertz (操縦 5, 砲術 4), ステルス STH-1D
    戦士 Benjamin Felker (操縦 5, 砲術 4), ジェンナー JR7-D

    大尉 Sung Buro (操縦 3, 砲術 3), ヴィクター VTR-9K
    戦士 Clayton Binger (操縦 5, 砲術 4), ゴリアテ GOL-5D
    戦士 Jerrold Haakenstad (操縦 4, 砲術 3), ハイランダー HGN-732
    戦士 Li Fantazia (操縦 3, 砲術 4), ナイトスター NSR-9J

    中尉 Brice Minzenmayer (操縦 2, 砲術 3), ギャロウグラス GAL-2GLS
    戦士 Stephen Saxon (操縦 4, 砲術 4), グラスホッパー GHR-5H
    戦士 Adrienne Mccullum (操縦 5, 砲術 4), ペネトレーター PTR-4D
    戦士 Dennis Gilson (操縦 5, 砲術 3), アックスマン AXM-2N



防御側
 防御側は、第4オリエント軽機兵隊の分隊と、傭兵ステルシータイガース、皇帝ウィリアム・バラノフの共和国防衛隊の連合軍です。各部隊は別々のプレイヤー(共和国軍/タイガースはひとり)によって指揮されることに注意してください(以下の多勢力特殊ルール参照):

  第4オリエント軽機兵隊分隊
    大隊長 Zironmir Bobum(操縦 3, 砲術 3), ペルセウス P1 (Prime) ##
    戦士 Chantelle Kuban (操縦 3, 砲術 4), ギロチン GLT-5M
    戦士 Kenton Settimo (操縦 4, 砲術 4), ヘラクレス HRC-LS-9000
    戦士 Shirlee Burbine (操縦 3, 砲術 4), オウサム AWS-9M

    中尉 Krystyna Catrone (操縦 4, 砲術 2), トレビュシェット TBT-5N
    戦士 Rolland Gotter (操縦 5, 砲術 4), アポロ APL-1M
    戦士 Shanika Toginet (操縦 4, 砲術 4), アーチャー ARC-8M
    戦士 Zora Warsager (操縦 5, 砲術 4), オリオン ON1-VA

    戦士 Jonah Susany (操縦 5, 砲術 4), レイス TR1
    戦士 Mohamed Jurgensmeier (操縦 5, 砲術 4), アルバトロス ALB-3U
    戦士 Tory Arrow (操縦 4, 砲術 4), マローダー MAD-9M
    戦士 Dee Giovanetti (操縦 4, 砲術 5), グリフィン GRF-5M


  ステルシー・タイガース
    大尉 Elinor Lisk (操縦 4, 砲術 3), デルヴィッシュ DV-6M
    戦士 Tyrone Lowenstein (操縦 5, 砲術 4), カタパルト CPLT-C1
    戦士 Horacio Treff (操縦 5, 砲術 4), サラマンダー PPR-5S
    戦士 Darren Reichman(操縦 4, 砲術 4), デルヴィッシュ DV-6M

    中尉 Melissa Solonar (操縦 2, 砲術 3), ジェンナー JR7-D
    戦士 Rosalinda Kahn (操縦 4, 砲術 4), ファイアスターター FS9-S
    戦士 Ted Kassa (操縦 6, 砲術 4), タロン TLN-5W
    戦士 Chana Jones (操縦 5, 砲術 4), ヴァルカン VT-5S

    戦士 Mac Potsander (操縦 5, 砲術 4), レイス TR1
    戦士 Nelson “Silk” Hymler (操縦 4, 砲術 5), ガンスリンガー GUN-1ERD
    戦士 Audry Fujimura (操縦 3, 砲術 4), オウサム AWS-9Q
    戦士 Lila Dunphy (操縦 5, 砲術 3), カエサル CES-3R


  バラノフ共和国防衛隊分隊
    皇帝 ウィリアム・バラノフ (操縦 3, 砲術 2),ゼウス ZEU-9S ##
    戦士 Karie Refazo (操縦 3, 砲術 4), ラインホルダー KW1-LH2

    戦士 Dario Daubney (操縦 5, 砲術 3), コマンドゥ COM-5S
    戦士 Richie Hermanowicz (操縦 4, 砲術 4), パンサー PNT-12A
    戦士 Su Crawhorn (操縦 5, 砲術 4), ハチェットマン HCT-5S
    戦士 Norene Zappavigna (操縦 3, 砲術 3), センチュリオン CN9-D

    戦士 Dillon Galper (操縦 5, 砲術 4), アックスマン AXM-1N
    戦士 Florene Nanes (操縦 5, 砲術 4), ジャガーメック JM7-D
    戦士 Cierra Sitto (操縦 3, 砲術 4), チャージャー CGR-SA5
    戦士 Stephanie Uhrhammer (操縦 4, 砲術 4), ストーカー STK-7D

    戦士 Nelle Palay (操縦 5, 砲術 5), マングース MON-67
    戦士 Hank Ellinghuysen (操縦 4, 砲術 4), スパイダー SDR-7M
    戦士 Rupert Stumm (操縦 6, 砲術 4), ウォッチマン WTC-4M
    戦士 Larue Venkus (操縦 5, 砲術 4), ブラックジャック BJ-1DB

    軍曹 Lyda Marus (操縦 4, 砲術 4), ウォリアー H-8 攻撃ヘリコプター
    伍長 Shikuma (操縦 5, 砲術 3), ウォリアー H-8 攻撃ヘリコプター
    伍長 Dorchy (操縦 4, 砲術 4), Jエドガー軽ホバー戦車
    伍長 Tabet (操縦 4, 砲術 4), Jエドガー軽ホバー戦車

    軍曹 Evon Marus (操縦 2, 砲術 3), ヴァデット中戦車
    伍長 Vandy (操縦 3, 砲術 4), ヘッツァー装輪突撃砲車
    伍長 Streller (操縦 5, 砲術 4), ヘッツァー装輪突撃砲車
    伍長 Clusky (操縦 5, 砲術 5), ゴブリン中戦車



勝利条件
 攻撃側の目的は、目標ビルを壊さずに確保することです。2棟の軍事施設(弾薬庫と修理施設)と、3棟の政府施設(ブレイク派工作員がいて、データがあるかもしれない)があります。防御側の目的は、これを防ぎ、目標ビルを確保し続けることです。



多勢力
 名目上、同盟を組んでいますが、第4オリエント軽機兵隊と、バラノフ連合軍(共和国防衛隊と傭兵団ステルシー・タイガース)は、まだ共に戦うのに慣れていません。これを反映し、両軍は主導権ロールを個別に振ります。ディズマル・ディシンヘリテッドとバートン旅団の傭兵同盟軍も同様にします。双方とも、独立心ある指揮官に率いられているからです。






主要登場人物 NOTABLE PERSONALITIES



ジョン・マーリック=ジョーンズ大佐 COLONEL JOHN MARIK-JOHNS

階級/地位:大佐/第3ディズマル・ディシンヘリテッド指揮官
誕生日:3028年(39歳)
バトルメック:WHM-8D ウォーハンマー
メック操縦:3
メック砲術:2

プロフィール:
 ジョンはちょっとしたマーリック家の「厄介者」である。クロエ・ジェイド・マーリックとバート・ジョーンズ大佐(第2ディズマル・ディシンヘリテッドの有能な上級参謀)の二番目の息子である、マーリック=ジョーンズは、ディズマル・ディシンヘリテッドで父と姉の後を継ぐことが予想された。だが、彼は別の道を選び、中心領域を旅して、名門のアリソンメック戦士養成校に入学した。アリソンで反マーリック感情にぶつかったマーリック=ジョーンズはショックを受けた。少年時代に母親からいくぶん守られていた彼は、そのような感情が自由世界同盟の奥深くにしみこんでいたのを意識していなかったのだ。

 卒業に際して、彼は不可解にも第2レグルス軽機兵隊に配属された。この時代の業績は、概略しかわかってない一方で、3055年のギブソン事件(懲罰部隊で昇進の機会を与えられた)後に離職したのが知られている。ジョンは"故郷"であるディズマル・ディシンヘリテッドに帰還し、部隊に仕えるというジョーンズ家の長きに渡る伝統を続けた。

 第3ディズマル・ディシンヘリテッドでの職務を引き受けて以来、マーリック=ジョーンズは傑出したメック戦士であることを示しただけでなく、兵站の才を持つ上級参謀であることも見せたのだった。彼の上級参謀としての才覚は、ウルフ竜機兵団ジェイム・ウルフ大佐の目を引き、それ以来、師匠兼親友となっている。父とは疎遠である彼は、母と姉の近くにいる。この二人ともが、傭兵連合軍での仕事を奨励している。



ウィリアム"バッド"バラノフ皇帝 EMPEROR WILLIAM “BUD”BARANOV

階級/地位:自称ホールの皇帝/准将/第4チコノフ共和国防衛隊指揮官
誕生日:3007年(59歳)
バトルメック:ZEU-9S ゼウス
メック操縦:3
メック砲術:2

プロフィール:
 ウィリアム"バッド"バラノフは、カペラ大連邦国装甲軍でキャリアを始め、チコノフ軍事士官学校を卒業している。それからステイプレトン・アイアンハンド連隊に配属された。バラノフのキャリアの初期はスキャンダルの雲に包まれており、ライバルを殺害したとの噂があった。調査が進む中で、彼は容疑者とされたが、第四次継承権戦争が勃発し、CCAFは全メック戦士を必要としたのだ。チコグラッド防衛で負傷したバラノフは、ホールで療養生活に入った。快復後、職務に復帰した彼は、新チコノフ自由共和国の第4共和国防衛隊に配属された。パーヴェル・リジック大佐が行ったマーリック家への攻勢に加わり、タリサの作戦行動で叙勲を受けた。

 チコノフ自由共和国が連邦=共和国に吸収されたあと、ホールに再配備されたバラノフは、惑星上で権力基盤を築き始めた。3057年にマーリック=リャオ侵攻が起き、サーナ境界域崩壊に続く混乱のなかで、バラノフは見過ごせない機会を見た。バラノフは素早く、決定的に動いた。首都ハーニーに部下を率い、わずかな抵抗を粉砕し、自身をホール皇帝として戴冠させた。ラドクリフ・マクナリー伯爵から、そして元部下の反乱軍からさえも継続的に攻撃を受けていたのではあるが、彼の最初の大きな仕事は、前指揮官パーヴェル・リジックの双子の息子が持ち込んだ軍事的脅威を抹殺することだった。バラノフは、二人の恐怖心につけ込み、巧みに兄弟の信頼関係を引き裂いた。ニコライ・リジックがどこかに消えたことで、残った兄弟はホールからソラリスVIIへ移動せざるを得なくなり、チコノフ自由共和国再興の夢は潰えたのである。バラノフが言うところの「間抜けな双子」は消え去った。それ以降、バラノフはホールの敵を機械的に制圧していった――マクナリー伯爵とバートン旅団を除いて。ホールの完全な支配権を巡る戦いは今日まで激しく続き、その結果はまだ出ていない。

 もじゃもじゃの頭髪で、身体のあちこちにタトゥーを入れたバラノフは、軍事指揮官、戦略家というよりも、まるで荒くれ酒場の主人のように見える。この印象はバラノフが長年をかけて培ってきたもので、彼を不器用な道化師と見た「より洗練された」ライバルの多くを始末してきた。彼らはいつも印象に騙されたことに後悔するのである。



エリー・バートン大尉 CAPTAIN ELLY BURTON

階級/地位:大尉/バートン旅団指揮官
誕生日:3031年(36歳)
バトルメック:CP-10-Q サイクロプス
メック操縦:3
メック砲術:3

プロフィール:
 恒星連邦の世界、アグリアナで生まれたエリーは、傭兵マークソン・マローダーズのヘクター・バートン大尉がもうけた唯一の子どもだった。傭兵が活動する粗野で無秩序な世界は、少女を育てるにふさわしくないと考えていたヘクター・バートンは、マローダーズが海賊を追跡した際に、家族をアグリアナに残していった。

 学校では外交的でなかったバートンは、ポイント・バロウ軍士官学校に入ってメック戦士になると宣言し、周囲を驚かせた。士官学校では苦労したのだが、バートンはなんとか耐え抜き、1期遅れで卒業した。だが、数学、科学、戦術の授業で高得点を取り、周囲を驚かせたのだった。学校での成績が安定はしているが不十分だったことから、前線部隊にまわされることはなく、補給部門に行くか、AFFCの事務職に行くかという選択肢が与えられた。バートンはメック戦士になるという夢を追いかけた。

 父の助けなくそれを実現すると決めていた彼女は、ガラテアとアウトリーチの雇用ホールをまわった。不幸なことに、家族のことと、学校の成績がついてまわり、またバトルメックを持ってなかったことから、誰も「傭兵のお嬢ちゃん」を雇おうとはしなかった。父が干渉していると気づいて憤慨した彼女は、ハンセン荒くれ機兵団のバトルメック助整兵となった。彼女に知られず、ヘクター・バートンは個人的に荒くれ機兵団の人事士官と会い、旧交を使って、娘をバトルメック部隊に配属させたのだった。

 父親の介入でバートンの人生は変化した。訓練に参加しているあいだ、熱意の結果が現れた。驚かされたことに、父がかなりの相続財産(節約し、貯めたもの)を残したのである。この小さな降ってわいた授かりもので、彼女と――彼女のメック――は荒くれ機兵団から解放され、自分の人生をやり直すためアウトリーチ向かったのである。

 財産と生まれたばかりのリーダーシップを使って、1個強化中隊分の入隊志願者を集めることができた――古参兵の士官と、アウトリーチ訓練場から出てきた新兵の興味深い組み合わせであった。エリー・バートン大尉はすぐに部隊の状況を評価し、もっとも儲かる可能性のある仕事を探した。

 容赦なくカオス境界域を選んだバートン大尉は、3057年、ホールに旅団を率い、ラドクリフ・マクナリー伯爵の部隊と同盟を組んだ。そこでマクナリー伯爵と恋に落ち、ふたりの関係は、3067年の戦いで伯爵が死ぬまで続いた。後継者アレクサンダー・バートン=マクナリーが生まれ、シナリオ「キングとポーン」の時点では、6歳となっている。マクナリーは政治的理由により、バートン大尉と結婚することはなかったが、よき夫であり、よき父親だった。

 一見したところ、エリー・バートンは傭兵指揮官というより怠け者に見える。気さくな性格ですぐに友人を作る。荒くれ機兵団で下品なユーモアと、汚い口の利き方を培った。いい加減な態度は過小評価を招き、バートンはしばしばそれを利用する――リラックスした仮面の下に隠しているが、非常に打算的で、集中力があって、しぶといファイターなのである。







ニュース速報:ホールの戦いは大詰め? BREAKING NEWS: ENDGAME ON HALL?

ハーニー(ホール)- [マークネット] 南ハーニー市の内外で、激しい戦闘が本日、勃発した。傭兵同盟軍(AMC)による最後の大規模な攻勢と考えられる。傭兵たちはこの一週間、ホール政府が自由世界同盟とおそらくワード・オブ・ブレイクに権力移譲したのに反対し、戦っていた。傭兵ディズマル・ディシンヘリテッド第3連隊ベイカー大隊と、それをバックアップする傭兵中隊バートン旅団の分隊に率いられたAMC軍が、首都一帯の郊外に電撃戦を仕掛けた。対するは、自由世界同盟の第4オリエント軽機兵隊、傭兵のステルシー・タイガース、皇帝ウィルヘルム・バラノフの共和国防衛軍中隊だった。

 民間・軍事双方の被害は確認できていないが、マークネットがつかんだ情報によると、激しい戦闘で都市のインフラが相当のダメージを受け、すでに重大なダメージを受けていたホールの電力網に、大規模なエネルギー危機が追加されたのは間違いない。戦闘員については、第3ディシンヘリテッドと共和国防衛軍が最大の被害を受けたようである。バラノフのゼウス――AFFC第3共和国RCTの指揮官だったときから使い続けている機体は、確実に失われた。惑星政府の情報筋によると、バラノフ(10年前にサーナ境界域が崩壊して以来、惑星政府を支配していた)本人がゼウスを操縦していたかは確認されていない。もしそうなら、負傷したか、死亡しただろう。

 南ハーニーの戦いは、どちらの勝利に終わったか明白でないが、日没に近づいた時点でAMC軍が撤退し、同時に廃墟となった政府の弾薬庫(都市の西地区)から大量の猛煙が上がったのが目撃されている。この地区では防衛軍が明らかにディシンヘリテッドの前進を足止めした。

 ちょうど一週間前に、ホールの戦いは始まった。このとき、AMC軍(第3ディシンヘリテッド連隊ジョン・マーリック=ジョーンズ大佐指揮)が、オリエント軽機兵隊のハーニー港降下を全力で阻止にかかったのだった。バラノフに招かれた軽機兵隊は、鷲の旗(マーリック家)の下にホールを守る完全な軍事的責務を受け渡されたのだが、傭兵中隊バートン旅団(バラノフのライバルだった故ラドクリフ・マクナリー伯爵の支援者)を含むAMC軍は、「ブレイク信徒軍」への権限移譲であるとマーリック=ジョーンズ大佐が公表し、阻止にかかったのだった。

 この主張を裏付ける確かな証拠はまだないのだが、マーリック=ジョーンズはバラノフとワード・オブ・ブレイクの共謀を主張し続けており、カオス境界域におけるブレイク派保護領の拡大に対し、AMC現役指揮官としてディシンヘリテッドを立ち向かわせるとしている。バラノフ(自由世界同盟加入時、傭兵連合に出ていくよう公式に警告した)は、マーリック=ジョーンズの言い分を否定し、AMCは故マクナリー伯爵に騙され、惑星の正統な政府に対する不必要な戦いをしているのだと反論している。

――マークネット、ニュースエクストラ 3067年10月11日 










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