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作成:2009/03/29
更新:2009/09/17

ジェイドファルコン侵攻 Jade Falcon Incursion



 連邦=共和国内戦の前半、3064年。
 氏族前線の国境で、ヴィクター派部隊とカトリーナ派部隊が激しくぶつかり、防衛力が大幅に弱められていたその時、頃合いよしと見たジェイドファルコン氏族が数個銀河隊の大軍を持ってライラ領に侵入しました。
 押し寄せる氏族軍を前に次々と崩壊する部隊、陥落する世界。これにはさしもの英雄アダム・シュタイナーでさえも苦戦を免れません。
 国家の危機に対し、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンは、アーチャー・クリスティフォーリを派遣し、乾坤一擲の大胆な反攻に出ます。オーダシティ作戦。それはファルコン占領域への逆侵攻を仕掛けるというものでした。





「我らが氏族の勝利の時が来た。慈悲を見せるな。腕と勇気を見せろ」
――マーサ・プライド氏族長、ギャラクシーコマンダーたちに対して、3064年3月4日

「政治のために行われる戦争は充分に恐ろしいものだ。誰をも身震いさせるのは、戦士が戦い、戦士のために戦われ、戦士の都合で戦われる戦争なのである」
――カール・マントイフェル中将著『戦士の目』、ターカッドプレス発行、2854年






フェーズ1




ライラ世界



コーケンのお楽しみの場所 Kooken's Pleasure Pit

 マーサ・プライド氏族長は第一波で本人直々に、コーケンのお楽しみ場所への攻撃を率いた。彼女のターキナ親衛隊と第3ファルコン急襲隊はグレイヴ・ウォーカーズに直面した。ライラ同盟に長く雇われているこの傭兵隊は、長年、ジェイドファルコン辺境に駐屯しており、氏族の戦い方を理解していた。だが、ジェイドファルコン氏族長が直々に攻めてくることは予想しておらず、最初の一時間の戦闘で1個大隊を失ったのだった。この時点から、敗戦は時間の問題となった。氏族長の部下たちは撃墜をかけて1機ずつ入札していき、戦闘は二週間延長したが、結局、アールウ・キラ大佐はマーサ氏族長相手にこの世界を保つのは不可能と認め、兵士たちを撤退させた……ヘジラの権利をかけて、スターキャプテン・ダニエルに対する個人的な所有の神判を実施し、勝利したのである。傭兵団は6月3日撤兵し、パシグに退却していった。



ブルーホール Blue Hole

 第一波で、第1ファルコン急襲星団隊、ターキナ・エリー星団隊と、ティムール・マルサスのシグマ銀河隊の攻撃を受けたブルーホールは、その前に戦火の中にあった。ブルーホールには、第8デネブ軽機兵隊(DLC)の生き残りが、聖戦初期にキクユから追い出され、撤退してきていた。そこで彼らは第3同盟防衛軍に遭遇した。両陣営は互いを簡単に壊滅できると考えた。よって、距離をとり、遠くから砲撃を交わしていただけだった。数週間後、ストーム・メタル・サンダー傭兵部隊が到着し、バランスをカトリーナ派軍のほうへ傾けた。ジーン=アンリ・ド・ユリック(第8DLC指揮官)は数ヶ月に及ぶ機動戦を敢行し、常にカトリーナ派部隊の不意を打った。その後の3064年5月28日、ファルコンが上陸したのである。

 ギャラクシーコマンダー・マルサスは、第1急襲隊がストーム・メタル・サンダーに専念し、ターキナ・エリーが第3同盟防衛軍を引き受けている間、主としてサイドラインの外から戦いを眺めていた。ド・ユリック大佐は出来るだけ支援しようとしたが、カトリーナ派連隊は助けを拒否しただけでなく、なんと彼らを撃ったのである。第8DLCは移動し続け、ファルコン兵が捕捉できないようにした。

 だが、同盟防衛軍とストーム・メタル・サンダーは、ド・ユリック大佐から何も学ばず、氏族兵に手ひどく痛めつけられたのである。同盟防衛軍の4個中隊だけがブルーホールから脱出したが、ストーム・メタル・サンダーはもう少し長く粘り、キクユから援軍が来るまでの時間を稼いだ。大隊戦力の第6ドネガル防衛軍が、シャロン・ブライアン将軍の命令により、キクユからやってきた。しかし、第6ドネガルはこの状況をほとんど改善しなかったのである。

 6月15日、第7タロン星団隊がキクユから第6を追って上陸した。ファルコンはまず傭兵を壊滅させた――脱出できたのは2機の可動するメックのみであった。それから第6ドネガルが7月の末に一掃された。8月7日、ケル氏族長の第1ウルフ軍団がこの世界に到着し、第7タロンと遭遇した(他の部隊は惑星を離れ移動していた)。戦闘に加わったばかりのウルフ星団隊が勝利を収めたのだが、第8DLCは数ヶ月の戦闘でほぼ壊滅していたのである。8月の終わりまでに、ブルーホールは固く同盟軍の手に握られた。



キクユ Kikuyu

 デルタ銀河隊全隊(サマンサ・クリーズ副氏族長指揮)は、第一波のはじめに、キクユに襲いかかり、ライラの両古参兵部隊、第6ドネガル防衛軍と傭兵団ディオスクーリに遭遇した。ファルコンの部隊は上手く対処し、第6ドネガルの通常部隊を踏みにじり、メック部隊の鼻先をへし折った。だが、クリーズ副氏族長の部下たちは思わぬ敗北を被ったのである。ギュンター・ウルフキャッスル大尉の中隊が、スターキャプテン・ギリアム・クリッチェルの打撃三連星隊に対する神判を成功させたのだ。この勝利は、キクユにいた部隊に、二週間の一時的な猶予を与えた。この間、シャロン・ブライアン将軍は第6ドネガル防衛軍の大半にキクユから離れるよう命じた。惑星には、ディオスクーリとその支援部隊、わずかな第6ドネガル通常大隊群が残された。だが、傭兵隊は長く持たず、7月9日、わずか1個大隊のバトルメック、混合1個連隊分の通常戦力が退却した。



バリーニュア Ballynure

 マーサ・プライド氏族長は、全ラムダ銀河隊をバリーニュアに投入した。すぐに平定できると考えた彼女は、この世界を強襲の第二波のジャンプオフポイントに使うつもりだった。だが、傭兵ファイティング・ウルクハイのローマン・バー・ハウンド連隊は素早く容易い勝利を許さなかったのである。氏族戦線で何年も過ごした彼らは、ファルコンと台頭に戦うチャンスがないことを知っていた。そうする代わりに、彼らはラムダ銀河隊に対し四ヶ月にわたる一撃離脱戦を敢行した。

 第2ファルコン急襲隊と第24臨時守備星団隊は、四波分をこの世界で費やし、傭兵隊を追い立てていった。だが、2/3の戦力を失い、援軍が向かってきていない状況において、8月の最終週、ランディ・ローマン大佐は部隊の残存戦力を惑星から脱出させた。



ニュートンスクエア Newton square

 アダム・シュタイナー准将と第14ドネガル防衛軍は、ファルコン侵入がキックオフとなった際、ニュートンスクエアに駐留していた。ファルコンはシュタイナーの第14防衛軍が(ヴィクター部隊との戦闘で)すでにいくらかの損害を受けていることを知っていた。だから、この世界には3個星団隊を割り当てた。新たに作られたプライドエリー星団隊、オメガソラーマ星団隊、第7臨時守備星団隊である。驚くべきことに、この世界をかけた戦闘は丸々一週間も続いた。

 3064年の5月16日に上陸したファルコンの戦士たちは、攻勢の活力を保つために、二連星隊、三連星隊を交替し、前進し続け、手際よく次々とシュタイナーの防衛軍を片づけていった。4日後、シュタイナーは装備の1/4を失ったが、ファルコンは止まる気配を示さなかった。さらに、彼はファルコンが数個銀河隊をもってライラ同盟を叩き、メリッサ星系にまっすぐ突き進んでいると聞き及んだ。それに気づくと、彼は戦略的に重要でないニュートンスクエアをあきらめ、5月23日に撤退し、直接メリッサに向かった。



コニッツ Koniz

 ギャラクシーコマンダー・リザベット・ダンフォースは、ロー銀河隊を率いて、5月19日、コニッツに到着した。彼らと対面したのは、傭兵隊バーバー・マローダーIIsとコニッツPTMだった。銀河隊の大半がPTMに集中している間、スターコーネル・ファロン・ヘイズンは、強襲級バトルメックのみを配備する精鋭部隊、マローダーIIsと戦う入札を行った。誰をも驚かせたことに、ヘイズンは三日で傭兵を破って見せた。機動と射程の優位を使ってマローダーズをエレメンタルの作った罠に引き寄せたのである。マローダーズはエレメンタルの多数を殺したが、氏族の装甲歩兵は敵の半数を仕留めたのである。第124打撃星団隊が24時間内に傭兵大隊を終わらせた。生存者たちはOZ内のあちこちで単なる労働者とされたのだった。

 コニッツPTM(パンドラ管区市民軍)は傭兵よりももっと長く持った。補給の欠乏で全面撤退を強いられるまで、三ヶ月間持ちこたえたのである。市民軍は50パーセントの損失を被ったが、まだ部隊としての形を保っていて、8月7日、グレイスランドに撤退していった。



バルセロナ Barcelona

 第二波で、プライド氏族長は、ターキナ星団隊、プライドエリー星団隊、第7臨時守備星団隊をバルセロナに送り込んだ。この世界を守備していたのは、第14ドネガル防衛軍の混成半旅団のみであった。ファルコンの諜報網は、もっと大きな部隊があるとしたのだが、通常部隊のみがいるという状況において、3個星団隊は互いに入札を行い、防衛軍が対処せねばならなくなる部隊がどれになるかを決めた。第7臨時守備星団隊が6月15日に降り立ち、12日の戦いでこの世界を確保したのである。



クリモンド Crimond

 ラムダ・ソラーマ星団隊は第二波の開始時、クリモンドに降り立ち、この世界に残っていた防衛軍を相手にした。この世界には第1アーガイル槍機兵隊がおり、ファルコンの降下に対して出来る限りのことをした。災害的な緒戦の後で、槍機兵隊は地下に潜り、約6週間、ファルコンを寄せ付けなかった。だが、ラムダ・ソラーマの隊員たちは、槍機兵隊に中心領域の戦術を使用せず、あらわれたメックをすべて破壊していったのである。相当数のメック戦士が強襲を生きのびたが、槍機兵隊のメックは5機だけがクリモンドの大自然の中に隠れ生き残ったのだった。



グレイスランド Graceland

 マーサ氏族長はグレイスランドを第二波の目標とし、第74戦闘星団隊と第22臨時守備星団隊をこの世界に送った。6月6日、ファルコンはグレイスランドに降り立った。遭遇したのは第11ドネガル防衛軍だけでなく、コムスターの第388師団もだった。彼らはギャビン・ドゥ司教からの命令でファルコン侵入が始まった時に戻ってきていたのである。氏族兵たちはまず第11ドネガルに集中し、二週間で撃破してから、第388に注意を向けた(第11は内戦勃発の直前、フラッシュポイントでコムスター部隊をこの世界から追い出していた)。

 だが、ファルコンがコムスター部隊への注意を完全に向ける前に、アーチャー・クリスティフォーリ少将が、麾下のアーチャー・アヴェンジャーズを引き連れて到着した。彼はファルコン侵攻に対する防衛を支援するために、ヴィクターとその一党との会合から直接やってきたのだ。同じく、第22アークトゥルス防衛軍の数個戦闘隊がモルゲスからグレイスランドの防衛を支援するために割かれた。この世界を巡る戦いは、数週間にわたって続いたが、クリスティフォーリ将軍がスターコーネル・アマド・ロシャークを神判で下した時に突如として終わり、ライラ同盟の手に世界が残されたのだった。



ダストボール Dustball

 第7ファルコン正規隊とジェイドファルコンエリー星団隊は、6月2日、ダストボール降り立ち、コニッツにはロー銀河隊の残り2個星団隊が残された。守っていたのは、市民軍旅団、2個自由装甲連隊、1個自由航空大隊のみであった。第7正規隊は第919共和国迎撃大隊と激しい空戦を繰り広げ、半数を撃墜したが、わずかな損害しか受けなかったのである。地上においては、正規隊は第919の空軍基地を捕獲し、ライラの戦闘機を使って世界の防衛軍を攻撃し始めた。この世界を巡る戦いは、わずか4週間で終わり、ファルコンは遭遇したほぼすべての装甲車両を文字通り破壊したのである。

 だが、戦いはまだ終わっていなかった。フェラン・ケル氏族長が第4ウルフガードを惑星奪還に送り込んだのだ。7月30日に上陸した彼らは、すぐさま第7ファルコン正規隊の攻略にかかった。4日後、第388コムガード師団(グレイスランドの戦いで勝利を収めた部隊)が到着した。両部隊はファルコンと激しく戦い、最後には敗北を与え、この世界から追い出したのである。



チャハル Chahar

 第三波でファルコンの攻撃を受けると、チャハルMTMは出来る限り長く持ちこたえようとしたのだが、5個星団隊(マーサ氏族長のターキナ親衛隊含む)を相手に立ち向かえるチャンスは無かった。ファルコンが上陸してから16日後、4個戦闘隊がチョンシャンに撤退した。



クレルモン Clermont

 最小限の市民軍しかなかったクレルモンは、第三波でジェイドファルコンの前に陥落した。この世界を完全に平定し獲得するよりも、ファルコンは単純にクレルモン星系を輸送路、集結地点として使用した。最終局面でシュタイナー将軍が強襲を仕掛けると、無防備なのが判明したのだった。



メリッサ Melissia

 ファルコン侵攻で最大の戦いは、第四波のメリッサで発生した。シャロン・ブライアン将軍(メリッサ戦域辺境伯)の総司令部があったこの世界は、迫り来るジェイドファルコン軍から逃げてきた壊滅した部隊、損害を受けた部隊の難民キャンプと化していた。そしてここはマーサ氏族長の主目標のひとつでもあった……ブライアン将軍が間違いなく大軍を引き抜いてこの世界を守るであろうことが分かっていたのである。

 第3同盟防衛軍が第一波でブルーホールからここに退却してきており、同じくファルコンに叩きのめされた第6ドネガル、第9ライラ正規隊(ブライアン将軍に呼び出された)、アダム・シュタイナー将軍の第14ドネガル防衛軍がいた。

 マーサ・プライド氏族長が7個星団隊を率いて8月13日、この星系にジャンプし、すぐさま惑星に向けて突き進んだ。だが、彼女に先駆けて、フェリックス・ブリュッヘル大佐が、第15アークトゥルス防衛軍の戦力低下した2個大隊と、ニーラバップMTM、ギャクラックスFTMの一部からなる2個混成戦闘隊を引き連れて到着したのである。

 マーサ氏族長はメリッサとはまったく異なるタイプの戦争を遂行した……防衛隊を釣り出すために、囮部隊、前衛隊を用い、その一方で、部下たちをローテーションさせて、精力を保つと同時に、各星団隊にライラと戦うチャンスを与えたのである。進路にいた防衛隊を殲滅すると、彼女は2個星団隊のエレメンタルたちを、ブライアン将軍の強化基地の真上に降下させ、将軍を抹殺し、防衛隊の大半を無力化した。シュタイナー将軍は同日、8月16日に全面撤退を呼びかけ、チャプルテペックに引き上げた。だが、第3同盟軍と第6ドネガル防衛軍を救うことが出来なかった。両隊はほぼ消滅し、一握りだけがシュタイナー将軍と共に退却したのだった。



マチダ Machida

 シャロン・ブライアン将軍が戦死し、アダム・シュタイナー将軍がメリッサから退却した後で、プライド氏族長はターキナ親衛隊と3個星団隊をマチダに率いた。シュタイナーがマチダかチャプルテペックのどちらかに退却した確率が半々という状況において、プライド氏族長はマチダを選び、3064年の8月後半に到着した。シュタイナー将軍がチャプルテペックに退却したのを知るとすぐにプライド氏族長は第1ファルコン急襲星団隊と共にメリッサへと戻り、残りの2個をマチダに残していった。






フェーズ2




ライラ世界



チャプルテペック Chapultepec

 アダム・シュタイナー将軍は、メリッサ強襲を生きのびた兵士たちをチャプルテペックに引き上げさせ、8月25日に上陸した。彼に同行したのはおよそ3個旅団の兵士たちと、5個連隊分のバトルメックだった。この中には、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンにあてがわれた第2南十字星部隊の2個戦闘隊が含まれていた。

 ギャラクシーコマンダー・ジャレッド・フォン・ジャンクモンは、オメガ銀河隊の大部分を率いてこの世界に到来し、シュタイナー将軍の側面をとらえた。しかし、突如としてクリスティフォーリ少将の連隊に側面を突かれ、攻撃を台無しにされてしまったのである。シュタイナー、クリスティフォーリ両将軍は、ジャンクモンに足止めされてプライド氏族長を呼ばれる前に、チャプルテペックを脱出した。8月25日、撤退したライラの将軍たちは、ギャラクシーコマンダー・ジャンクモンに世界の支配権を与えたのだった。



パンドラ Pandora

 パンドラ争奪戦はジェイドファルコンにとっておそらく最も幸運なものとなった。第四波でコニッツを平定した第124打撃星団隊、ジェイドファルコンエリー星団隊は、パンドラ管区の首星に向かった。9月4日に上陸すると、彼らはこの惑星にはパンドラ大学訓練大隊と数個通常自由連隊しかいないのに気づいた――第3ライラ防衛軍が第一波でグレイスランドを離れこの世界に駐屯していたのだが、ファルコン国境全域の守備を増強するために出発したところだったのである。22日間でこの世界は陥落した。訓練大隊は全滅し、通常連隊群は完全に粉砕された。さらに、第124の分隊がパンドラ管区司令部を占領し、ウォルター・ゴサード少将と幕僚の大半を捕らえたのだった。



クリモンド Crimond

 10月22日、第七波が始まったまさにその瞬間、フェラン・ケルがクリモンドに降り立った。駐屯していたのは第74戦闘星団隊のみで、この世界を巡る戦闘は数日で終わった。ケル氏族長が作戦を完遂したその時、ギャビン・ドゥ司教の命の下、コムガードの第39師団が終わっている作戦を支援するために到着したのだった。



ラサルゲシー Rasalgethi

 ラサルゲシーはファルコンとライラ、両者の作戦にとって重要な世界だった。ライラにとって、ここはファルコン、ウルフ占領域に攻撃を仕掛けやすい、全氏族国境の要石である。マーサ氏族長にとって、ここは占領域とツカイードの停戦ラインに近い世界のひとつであった……ラサルゲシーを奪えば、自由ラサルハグ共和国とライラ同盟への強襲が容易となり、地球への侵攻を再開できるだろう。

 ファルコンのロー銀河隊古参兵4個星団隊が上陸した時、ラサルゲシーにはブリオン軍団の第1連隊がケレンフォルドPTMと共に駐屯していた。傭兵部隊は若干の氏族技術を装備し、対氏族戦術に精通していたのだが、ギャラクシーコマンダー・ダンフォースと戦士たちはそれよりさらに強力であったことを証明した。氏族軍は2個中心領域部隊をあしらい、第七波のあいだ狩りたてていったのである。

 ブリオン軍団は長年にわたりコムスターから補給を得ていたのだが、近年、重要な戦いを行ったのはカオス境界域でのものだけであり、それが嘘の自信を与えていた。ラサルゲシー争奪戦は数ヶ月にわたって続き、オクタヴィウス・ブリオン大佐は不利なことに気づくと、ゲリラ戦を開始した。しかしケレンフォルドPTMはその後一ヶ月で倒されてしまった。

 スノード・イレギュラーズが12月14日に到着した。第124打撃はロンダ・スノード大佐のイレギュラーズ(オデッサの試練の後で未だ戦力低下中)と直面したが、傭兵部隊によって首を取られた。これらの戦闘は他の戦闘より目立つものだった一方で、決定打とはならなかった。残った3個ロー星団隊(11月25日の第2ファルコン急襲隊到着により増強されていた)は、ブリオン軍団と生き残ったPTM2個戦闘隊を狩り倒し、惑星から追い出した。スノード大佐もその後を追った。彼女の部隊は1個星団隊を抑えられるが、全銀河隊と戦うのは無理であるのがわかっていたからだ。彼らは約10年前にファルコンOZで起きたことをまだ気にしていたのである。



チョンシャン Zhongshan

 チャハルMTMは第三波で本拠地からファルコン5個星団隊に追い出された後、チョンシャンに撤退した。MTMは第七波でもう一度ファルコンと遭遇し、マーサ・プライド氏族長のターキナ親衛隊と第1ファルコン急襲星団隊を相手にすることとなった。アリシア・メイスン大佐は再戦を望まなかったが、にも関わらず、3064年10月26日に彼らが上陸すると、ファルコンの強襲に対する防衛を行ったのである。

 チャハルでの交戦と同じく、プライド氏族長の戦士たちは、ライラ兵より優れていることをすぐさま証明した……しかしMTMは一撃離脱戦で約三週間生き残り、それからメイスン大佐が戦闘終了を命じた。MTMは11月18日、メデインに撤退した。この動きは彼らにとって死を意味していたのである。



ババエスキ Babaeski

 グレイヴウォーカーズは第一波でコーケンのお楽しみの場所から撤退してパシグに移動し、それから第三波でババエスキに腰を落ち着けた。部隊はそれから4ヶ月、戦闘に加わらなかったが、第八波で第5タロン星団隊とジャイルファルコンエリー星団隊がこの世界に降り立った。コーケンのお楽しみの場所での敗戦から充分な休息を得られていたのだが、部隊はいまだ大規模な戦力低下をきたしており、たった3日の戦いで片づけられてしまった。20名のメック戦士と8機のメックを載せた降下船1隻のみが、12月2日に惑星を離れ、モルゲスに向かっていったのだった。



メデイン Medellin

 チャハルMTMは11月半ばにチョンシャンから押し出された後でメデインに退却した。数日後の22日にパイレーツポイントに到着したMTMはほとんどすぐ第1ファルコン打撃星団隊、第8タロン星団隊に遭遇した……ファルコンはメリッサ周辺の確保を目指し、23日にこれら部隊が上陸したのである。侵攻のあいだ、各ファルコン部隊に打ちのめされていた市民軍は数日で連携を失い、ファルコンは分散した中隊、大隊に落ち着いて対処出来たのだった。メイソン大佐は2日後に市民軍の指揮を回復し、戦闘退却を行えるだけの組織が出来た。部隊は11月27日に惑星を離れ、比較的安全なライラ同盟内部に向かっていった。



アデレード Adelaide

 第1ファルコン急襲星団隊は11月23日に上陸し、抵抗をほとんど受けなかった。惑星市民軍と少数の志願兵だけがいる状況において、フリーバースのファルコン戦士たちはわずか数日でこの世界を奪い取った。



メリッサ Melissia

 第八波でフェラン・ケル氏族長が第1ウルフ軍団と第1ウルフ打撃擲弾隊をこの世界に率いた。11月24日に上陸した彼は、ギャラクシーコマンダー・ティムール・マルサス指揮下のターキナ、プライドエリー星団隊と遭遇しただけだった。マルサスは緒戦でケルに打撃を与えたが、ウルフ氏族長は海洋の下からの強襲を仕掛けて、マルサス軍を奇襲し、メリッサ戦役を終わらせたのである。翌日、ギャラクシーコマンダー・マルサスは兵を引き上げ、12月13日、ケル氏族長にこの世界を公式に明け渡した。




ジェイドファルコン占領域



ブラックアース Black Earth

 シュタイナー将軍は、3064年10月3日、パイレーツポイントを使ってブラックアースにジャンプし、ジェイドファルコン占領域への強襲を始めた。麾下の第14ドネガル防衛軍、ブリュッヘル大佐の第15アークトゥルス防衛軍(ニーラバップMTM、ギャクラックスFTMの分隊含む)、第9ライラ正規隊を率いたシュタイナー将軍は迅速な作戦を予期して惑星に降下した。だがそうはならず、戦闘はすぐに泥沼化し、三週間の戦いとなった。第3タロン星団隊がシュタイナーに対して重戦闘機を大規模に使用したのである。10月10日までにシュタイナー将軍が惑星を平定できないでいると、ケル氏族長が支援のため第1ウルフ打撃擲弾兵隊を派遣し、17日に到着した。一週間後、シュタイナー将軍の部隊は仕事を完了し、ブルースターイレギュラーズ第1894打撃連隊が守備にやってくると、シュタイナーは移動した。



バトラー Butler

 クリスティフォーリ将軍は10月17日、バトラー星系に入った。彼らの船は思いがけずブラックライオン級巡洋艦がいるのを見つけたが、修理中であることが判明し、容易に捕獲できたのだった。この戦艦はケル氏族長のウルフ氏族に渡された。惑星上で彼らは第9ファルコンタロン星団隊の2個三連星隊と遭遇した。これに加え、技術クルーの集団が、将軍部隊のメックや車両にとりつき、彼らなりに最善を尽くした。クリスティフォーリ将軍はバトラー防衛軍に数で勝っており、素早くこの世界を平定した。



ロードサイド Roadside

 アーチャー・クリスティフォーリ将軍は麾下のアヴェンジャーズと第15アークトゥルス防衛軍を率いて、3064年の10月3日、ロードサイドを叩いた。この世界を守っていたのはジェイドファルコンソラーマ星団隊の1個三連星隊のみで、すぐに撃破された。この時、彼らはタイラー弾薬工場を防衛していたのだが、クリスティフォーリ将軍はメックに工場への砲撃を命じたのである。引き起こされた爆発によって、氏族のメック戦士全員が死に、その衝撃波は惑星全体で観測された。将軍は、ブルースターイレギュラーズ第1894打撃連隊がやってくるまで待機し、それから移動した。



マリブ Malibu

 10月25日、シュタイナー将軍はマリブ星系にジャンプし、スターコーネル・テレンスと第8ファルコン正規隊から再充填ステーションを奪い取った。たが、マリブの現地政府はジェイドファルコンの統治に満足していたようで、シュタイナーと彼の部隊が降下するのを禁じたのだった。



ベータVII Beta VII

 アン・ソンの第2南十字星部隊は第六波で独自の攻撃に着手し、3064年10月2日、ベータVIIを叩いた。ジェイドソラーマ星団隊が駐屯していたこの世界は、わずか数日の戦闘で陥落した。ソン将軍は混成1個戦闘団を残してここから移動した。第2南十字星部隊は3065年の4月までなんとかベータVIIを守ってみせたが、第9ファルコンタロン星団隊に押し出されたのだった。



トワイクロス Twycross

 クリスティフォーリ将軍は10月30日、トワイクロスに機動部隊を率いた。そこでライラ軍はジェイドファルコンガードに遭遇し、ファルコンはすぐに第1ファルコン軽機兵隊と第9タロン星団隊(バトラーでクリスティフォーリに負けていた)の一部を呼んだ。氏族部隊はクリスティフォーリ隊をディアボリスで攻撃し、ライラの不意をついた。にもかかわらず、クリスティフォーリ将軍は戦況をひっくり返し、ファルコンの防衛部隊を撃破した。彼の自部隊(第14ドネガル防衛軍)のみが重い損害を受けたのだった。11月24日、彼は出発し、自部隊から集めた守備隊を後に残していった。



グラウス Graus

 3064年11月8日、第3ライラ防衛軍は2個戦闘団をグラウスに降下させた。この世界を守っていたのは、第10臨時守備星団隊の2個三連星隊と1個二連星隊だけだった。重メック、装甲軍に圧倒された守備隊は2日の戦いで片づけられた。



ホットスプリングス Hot Springs

 第七波でシュタイナー将軍はホットスプリングスを目標とし、11月21日に上陸した。だが、スターコーネル・ダイアナ・アニュと第5戦闘星団隊は、ライラに対して中心領域的な戦術を用い、しばらくの間、シュタイナーを拘束した。地下に潜り、一撃離脱戦を繰り広げたアニュは、シュタイナーが優勢な部隊を使えないようにし、12月の第二週までファルコン占領域に対するさらなる強襲が出来ないようにした。アダム・シュタイナー将軍は12月12日にホットスプリングスを離れ、ファルコンの手にこの世界を残した。



ブラックジャック Blackjack

 クリスティフォーリ将軍が12月12日、ブラックジャック星系に入り、16日、ブラックジャック戦闘訓練校の廃墟に上陸した。将軍が直面したのは、第8、第10臨時守備星団隊で、侵攻軍を破壊する以外なにも考えていないことは明白だった。両者は短期間だが血塗られた戦役を戦い、戦艦〈ブラックパウ〉と〈ホワイトタロン〉による海戦が発生した。前者はバトラー星系で捕獲されたもので、後にフェランケル氏族長に渡され、後者のファルコン艦はこの戦いで戦闘不能となったのであった。

 シュタイナー将軍は12月21日、この星系に入り、3日後上陸してすぐさまファルコンに奇襲をかけ、彼らの作戦を妨害した。両者が次の攻撃を始める前に、ファルコンのクリーズ副氏族長が2個星団隊と共に到着した。だが、彼女は戦いに参加せず、惑星上の戦士たちに攻撃をやめるよう命令した。さらに彼女はシュタイナー、クリスティフォーリ将軍に対するメッセージを携え、彼らにセーフコンを与え、ブレア・アソールでのマーサ・プライド氏族長との和平会談に招待した。

 クリーズは第8、第10PGCと共にこの星系を離れ、ブラックジャックをライラの手に残した。ライラの将軍二名は残った部隊をかき集め、形だけの守備隊を残してジャンプアウトした。



ブレア・アソール Blair Atholl

 ファルコンによる侵攻が始まる前からブレア・アソールにはファルコンの第9臨時守備星団隊が駐屯していた。侵攻が進んでも、彼らは警戒を怠らず、この世界を守るか、ライラ同盟に入り兄弟たちが得たものを押し広げるのに備えた。3064年12月15日、コムスターの第388師団がブレア・アソールに上陸し、第9のさらなる征服の望みを断とうとした。しかし彼らには戦いという栄光が許されたのである。

 第9PGCはコムスターに主導権を与えるのを許さず、惑星に降り立った瞬間から追い回した。この1個星団隊(近隣の守備部隊からの数個三連星隊で強化されていた)は、エネルギーが尽きるまで、コムガードをふたつの大陸に追い立てていったのである。

 直後、マーサ・プライド氏族長がターキナ親衛隊を率いて到着し、3065年2月20日に上陸した。フェラン・ケル氏族長がやってきたのが24日のこと。クリーズ副氏族長が26日に惑星降下を果たした一方で、アダム・シュタイナー将軍がクリスティフォーリを伴い、27日に降り立った。

 プライド氏族長とシュタイナー将軍は互いの地域において全面的な停戦を持ちかけ、最終的にファルコン侵攻を終える計画がまとめられた。ブレア・アソールはファルコンとLAAFの共同保有され、実弾訓練用の世界のようなものになる。これによってファルコンは戦士たちを送り込んで本物の戦闘経験を与えるのが可能となったのである。この合意は、惑星上のLAAF兵が常に危険にさらされるということを意味するが、少なくとも管理できる土地は残されるのである。






フェーズ3



アデレード Adelaide

 ブレア・アソール合意の後、プライド氏族長は第1ファルコン急襲星団隊を惑星の守備隊とし続けた。3065年3月、アダム・シュタイナー将軍はフッドIVの基地から第15ライラ正規隊を派遣し、この世界を取り戻そうとした。3月30日に上陸したリサ・オルシーニ大佐はフリーバース星団隊を重量級、強襲級バトルメックで倒し、5月29日、惑星から追い出した。



メデイン Medellin

 第十波と最終波にて、第15ライラ正規隊はアデレードの迅速な勝利に続き、メデインを強襲した。駐屯していたのはプライドエリー星団隊であった。6月5日に上陸したライラ正規隊はアデレードと同じように手早くファルコンの戦士たちを片づけた……もっともシュタイナー将軍がメリッサ管区からかき集めた2個装甲連隊の支援があったのだが。オルシーニ大佐は、生き残ったエリー星団隊の4個二連星隊を惑星から追い出し、6月17日に勝利を宣言した。



トワイクロス Twycross

 4月8日、ダイアモンドシャークの3個星団隊がトワイクロスに降り立ち、アーチャー・アヴェンジャーズから選ばれた1個混成戦闘団にバッチェルを行った。5日の戦いが続いたが、ダイアモンドシャークが最後には中心領域軍をほぼ殲滅し、惑星を手にした(後の諜報報告によると、ダイアモンドシャークは機能停止したバトルメック工場が欲しかっただけでなく、シャークの偵察兵がトワイクロスでハージェルに似たような物質を見つけたとのことだ。これによってこの惑星は再び価値あるものとなったのだった)。



マチダ Machida

 第15ライラ正規隊がアデレードとメダリンで強襲を受けていた間、アダム・シュタイナー将軍は自ら第14ドネガル防衛軍を率いてマチダを強襲し、5月30日に上陸した。第7臨時守備星団隊は出来る限り最高の防衛を行ったのだが、休息を取った第14ドネガルの怒りに対して、チャンスはなかった。6月11日に、2個三連星隊だけが惑星から脱出したのだった。



チャプルテペック Chapultepec

 5月の後半、ジャスパー・ジブラー将軍は、麾下の第7南十字星部隊から割いた1個混成戦闘団をこの世界に派遣した。部隊は6月4日に到着し、ターキナ・エリー星団隊と三週間の交戦を行った。ファルコンより重量のある戦闘軍を展開した槍機兵隊はこの世界をめぐる戦闘に勝ち、3個三連星隊を追いやったのだった。



バトラー Butler

 この世界は侵攻の最後のフェーズまでライラの手にあり、その後、ブレア・アソール合意の件が届いた。ダイアモンドシャークがLAAF守備隊からトワイクロスを奪うと、マーサ・プライド氏族長は氏族占領域を安定化させるため、バトラーの奪還をギャラクシーコマンダー・ラード・ホイトに命じた。ギャラクシーコマンダー・ホイトは、第5戦闘星団隊と第18正規星団隊から5個三連星隊を選び、大半が通常兵力で構成される惑星守備隊(ブルースターイレギュラーズ2個中隊に強化されていた)から世界を取り戻そうとした。ファルコン三連星隊群は6月18日に上陸し、25日までに世界は奪還されたのだった。






ウルフ氏族の攻撃

 第九波の開始までに、ウラジミール・ワード氏族長はジェイドファルコン占領域への攻撃をするのに充分な情報を集めることができた。単純にステータスシンボルとして世界をいくつか勝ち取ることを望んだ彼は、ウルフ氏族の能力を超える計画を立ててしまった。3065年の元日、ウルフ兵がファルコンの世界に上陸した直後、マーサ氏族長はギャラクシーコマンダーたちを解き放ち、ウルフ氏族占領域に対する報復襲撃を行った。最終的に、ふたつの氏族は合計で7つの世界を交換した。ファルコンは4つの世界を奪い取り、ワード氏族長の戦士たちを2つの世界から追い出すことで、この争いに勝利したのだった。

 第九波でワード氏族長たちはウルフをコルマー、ラ・グレイヴ、クォレルに送り込んでコルマーとクォレルを勝ち取り、ラ・グレイヴの戦いは次の波まで続いた。第十波でウルフはステールトン、ズーテルメールを勝ち取ったが、同時にラ・グレイヴから追い出された。ファルコンは報復を行い、ウルフの世界、ドメインを奪った。第十波で、ウルフは最後の世界、セイデュッツを奪った。ファルコンはウルフ占領域を進み続け、ベッサラビア、バイオタ、キュセを取り、さらにはコルマーを奪還した。

 氏族内のいがみ合いは、6月の後半に終わった。両氏族長は戦火の拡大をすると他氏族に隙を見せてしまうことに気づいたのである。スターアダー、ヘルズホース、ダイアモンドシャークに加え、スノウレイヴンまでもが辺境に出没し、氏族占領域で活動しているのだった。



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