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作成:2009/07/14

ヘルズ・ブラック・エース Hell's Black Aces



 バトルメック偏重の中心領域では珍しい、気圏戦闘機のみで構成された傭兵部隊です。ただ珍しいだけでなく、大規模かつ優秀にして評価が高く、全傭兵の中でトップクラスのエリート部隊と言えるでしょう。







ヘルズ・ブラック・エース 3059 Hell's Black Aces: Covering Your Six

 3011年、あるリャオの飛行大隊(ウイング)は、カペラ軍部に無視され、またマクシミリアン・リャオ首相の有名な粛正の犠牲者になるのを恐れて、貴重なヴェンジェンス級降下船を盗み出しカペラ大連邦国から離脱した。部隊は傭兵部隊となり、ハイリスクな契約を結んで第三次継承権戦争を生き残り、戦力を減らしながらも多額の軍資金を積み上げた。しかしながら新兵募集は、失った人材を補うために部分的に行ったのみだった。飛行大隊は補充兵に熟練した古参兵を求めており、カペラ人のみを雇うのを好むからだ。

 第三次継承権戦争が終わるころ、航空司令部は傭兵連隊フィルシー・ルーカー(ぼろもうけ隊)の下請け契約を行った。ドロミニIVのアステロイドベルト(ヘルズ・ブラック・エーカーとして知られる)での熾烈なドッグファイトの最中に、フィルシールーカーは航空支援――彼らの気圏戦闘機を含む――を見捨てて、すべての降下船と航宙船をライラ宙域に脱出させた。クリタの航空司令官は傭兵たちの戦闘機に、援軍もなければ、撤退もできないことを指摘し、即座の降伏を要求した。すぐに傭兵のパイロットの一人が応えた。「くそくらえ!」

 クリタの士官は挑発的な返答を挑戦と受け取り、ブシドーの精神から、一騎打ちでその生意気なパイロットが勝てば、傭兵部隊をガラテアに安全に移動しても良いと申し出た。15分間、2機の戦闘機は互いの周囲を飛び回り、傭兵のパイロットがなんとか連合の戦闘機を倒した。のちにこの若い傭兵部隊は、連合の士官の切腹(儀式的な自殺)を止めるために、彼を支持しメンツをたて、逃亡したフィルシールーカーを非難した。従って、クリタの士官とそのDCMS航空中隊は、新名ヘルズ・ブラック・エースに加入した。

 3031年にエースは裏切りに対する復讐を果たした。契約無しの作戦によって、部隊はライラ宙域に向かい、フィルシー・ルーカーの降下船を待ち伏せし、ライラの航宙艦から惑星上に向かっているのを発見した。エースはライラ軍に対し、戦闘に関わらないように警告した。まもなくライラはフィルシー・ルーカーの身を任せ、航空支援なしに残した。宇宙空間においてエースは降下船(ルーカーのバトルメックを運んでいた)をすべて破壊していき、古いリャオ製ヴェンジェンス級を取り戻した。


指揮
 エースの指揮官の座を勝ち取るには、熾烈な争いを経なければならない。上位の候補者たちは、現在の階級、総撃墜数、戦略戦術テストによって選ばれる。士官候補生たちは、シミュレーターと実弾演習の総合テストを課され、だれが実際にナンバーワンであるかを決める。テストの難易度は階級によって上昇していき、よってヘルズ・ブラック・エースの指揮官は中心領域で最もきつい部類に入る訓練と試験を通っているのである。

 エースは戦略指揮権を手放さないようにしているが、ごくまれに戦術指揮権を持たないことがある。彼らの専門的な評価によると、エースのような部隊の使い方を知っている指揮官はほとんどいないのである。


技術・輸送支援
 エースは戦闘機の整備に余計な費用を使わず、100%の技術支援を誇っている。彼らのテックは氏族兵器とシステムを交換・整備できるが、修理することは出来ない。

 ブルースターイレギュラーズの下請け契約をした際、エースはジェイドファルコンの戦艦とタイタン級降下船を捕獲した。回収権の分け前としてエースはタイタンを獲得し、ルシファーズ・デックと改名した。エースはレパードCVと古いヴェンジェンス級降下船もまた所有している。現在、彼らは航宙艦を入手しようとしている。


現有戦力と組織
 エースは非常に大規模で成功している気圏戦闘機隊を作り上げてきた。彼らは激しい訓練を行い、入隊候補者に対し厳しい技術試験を課す。隊員になるには、古参兵の腕前が必要であるとされる。

 各航空大隊は3個航空中隊と1個指揮分隊を持つ。ホヒル・タナガ大佐の連隊指揮部隊は、戦闘機6機の完全航空中隊である。これによって、部隊の総航空機数は66機となる。エースには、捕獲した氏族オムニ戦闘機を含む、最先端の戦闘機がある。




ヘルズ・ブラック・エース Hell's Black Aces: Bandit Days

 ブルースターイレギュラーズがクォレルを強襲した際、彼らはヘルズブラックエースを雇い入れ、「旅程を監視」し、予想されるジェイドファルコン氏族航空軍から身を守る補助とした。ジェイドファルコンは予想通り、フレダサ級コルベット戦艦と2個オムニ戦闘機三連星隊を中心領域の航宙艦隊に向けて発進させた。

 だが、氏族の艦船が傭兵航宙艦に迫った時、エースが航宙艦の太陽帆の背後からあらわれたのである。反撃はないと考えていたファルコン航空宇宙隊は最上級のパイロットたちを先頭に配置していた。虚を突かれたファルコン戦闘機隊の第一波はヘルズブラックエースに叩きのめされ、数分以内に2個星隊が完全に消滅した。残ったオムニ戦闘機が再集結し、歩調を合わせた前進を開始すると、傭兵は進路を変え、航宙艦へと戻っていった。ファルコンの戦闘機は追跡したが、傭兵の航宙艦に追いついた時、隠れていたブルースター気圏戦闘機の1個航空大隊が飛び出し、またも氏族軍の虚を突いたのである。混乱したファルコンはエースとブルースターの戦闘機にとって容易なターゲットとなり、それからファルコンの戦艦に対しての攻撃が始まった。

竜機兵団評価値: A+

士官
 ホヒル・タナガ大佐の父親は、ドロミニVIの対決後、エースと契約した12人のクリタパイロットの一人である。38機の撃墜記録を持つ、彼の決意の炎は愛機レッドエンジェルの後部燃料タンクに届かんばかりである。

 ウィン・スン少佐は勇敢な正面からの突撃で有名だ。この攻撃でたいてい敵機は残骸となり、自らはほとんど傷つかないのだった。

戦術
 エースはほとんどの場合、航空大隊単位で戦い、3個大隊がそれぞれ別の任務につくことが多い。ブルースターイレギュラーズとの下請け契約のような特別な場合にのみ、全連隊の支援が必要とされる。第1、第2航空大隊は無重力空間での作戦を得意とするが、第1大隊は小惑星帯や小衛星の周囲などの特殊な環境にも慣れている。第3大隊は大気圏内での戦闘を好み、低空飛行を専門とする。

ヘルズ・ブラック・エース
連隊/エリート/信頼できる
指揮官:ホヒル"グレートウィルム"タナガ大佐
副指揮官:アンドレア"キャッツアイ"マキアーニ中佐
第1航空大隊:ウィン"レディドゥーム"スン少佐
第2航空大隊:ジェイソン"デーモン"ウィンドゲート少佐
第3航空大隊:ケリン"ツナミ"オシカナ少佐
 ブラックエースのエリートパイロットたちは旧式機を大幅にアップグレードしている。第1大隊は捕獲した氏族オムニ戦闘機の1個航空中隊と2名のファルコンボンズマンパイロットを持ち、その他の戦闘機は最低でも一門の氏族技術兵器(たいていは主砲)を装備している。ウルフ竜機兵団はこの部隊を60パーセントのアップグレード率と見積もっている。
 部隊の指揮航空中隊は6機の重戦闘機で構成される。第1航空大隊もまた重航空機を使い、第2大隊、第3大隊は軽、中、重量級戦闘機を混ぜて使っている。









ヘルズ・ブラック・エース 3067 Hell's Black Aces: Bandit Days

 3011年に大連邦国から逃亡して以来、ヘルズブラックエースは数少ない航空宇宙専門傭兵部隊にして、その時代で最高の傭兵部隊のひとつしての評価を築き上げてきた。カペラ出身であるこの傭兵隊は、相当数のクリタパイロットを吸収しており、その多くは昇進し指揮官の座を占めたのだった。

 3063年、カペラ新生運動の最盛期に、サン=ツー・リャオ首相のスタッフが、エースのサービスを得るために、通常の交渉プロセスを省略していくつかの有利な条件を提示した。高額の報酬、完全な回収権、ヴィクトリアで生産される戦闘機の優先購入権をテーブルに載せたのだ。エースはさらに交渉し、各戦闘機大隊のうち1個がカペラ外の任務(大連邦国以外と戦うもの)につく条件を取り付けた。

 契約に入ってから数ヶ月後、CCAFの異様な気前の良さの理由が明らかとなった。首相自らエースに対し「家出した家族の再会」を呼びかけたのである。連隊の現指揮官ホヒル・タナガ(ドラコ連合出身者の一人)はこれまでのところ申し出を断っているが、部隊内からの圧力により、部隊の団結を守るための会議を開くことにはなるかもしれない。

 エースの戦闘機とフライトスーツはボーンホワイトである。彼らの記章は炎の中にある黒のスペードで、航空機の左翼とフライトスーツの左胸に付けられる。撃墜数が多いパイロットほど、スペードの周囲の炎は大きくなる。また、1機撃墜ごとに、小さなスペードのエースが胴体の右に付けられる。

竜機兵団評価値: A+

士官
 ゴーストベア、連邦共和国と戦いドラコ連合を静かに支援した後で、ホヒル・タナガ大佐の撃墜記録は46機まで伸び、「トランプ一組」の52機まで後6機である。

 ウィン"レディドゥーム"スンは純粋なカペラの血統で最も高い地位にある士官である。エースの中で育った彼女は、マクシミリアン、ロマーノ・リャオの軍部粛正に関する話を聞いたのみで、実際にそれを目撃はしていない。これによって彼女は同時代の他者よりもリャオの血統に対する良い印象を持ち、CCAFへの再加入の中心的な支持者となったのである。多くの支持者を勝ち取った彼女は、決断を迫って、大量の離脱者をもたらすことになるかもしれない。

戦術
 ヘルズブラックエースは通常、ふたつかみっつの任務に分かれて従事する。現在は、リャオ軍事技術学院での訓練任務と、カオス境界域内外での通常の戦闘任務、そしてたまの短期航空支援任務(最近はドラコ連合で)をローテーションで行っている。

 各大隊はそれぞれの専門分野を獲得した。第1航空大隊は小惑星など障害が多い戦場を専門とする。第2航空大隊は空いた時間でカペラの戦艦隊を相手に主力艦の強襲と防衛を訓練している。第3大隊は無重力ではなく、大気圏内の戦闘を得意とする。パイロットたちは低空飛行技術の達人で、友軍の地上部隊に対し近接航空支援を提供する。

支援
 ブラックエースはCCAFの助けを借りて、ついに古ぼけたインベーダー級航宙艦を入手し、カロンと名付けた。由来となっているのは、(ギリシャ)神話のステュクス川を渡って死者の魂を運ぶ渡し守である。船の重要なシステムはすべて稼働しているが、その他の部分については(交換する必要はないにせよ)大規模な修理が必要だった。この新たな負担により、エースの技術支援は85パーセント未満に低下している。カペラの技術者が無償で部隊に貸し出され、穴を埋めている。

ヘルズ・ブラック・エース
連隊/エリート/信頼できる
指揮官:ホヒル"グレートウィルム"タナガ大佐
副指揮官:アンドレア"キャッツアイ"マキアーニ中佐
第1航空大隊:ウィン"レディドゥーム"スン少佐
第2航空大隊:ジェイソン"デーモン"ウィンドゲート少佐
第3航空大隊:ケリン"ツナミ"オシカナ少佐
 ブラックエースの戦闘機は全機アップグレード兵器を装備し、最低でも1門の氏族技術が戦闘における優位を与える。連隊の大半は、カペラからの離脱者である一方、連合出身のパイロットの大半は士官の地位についており、第1航空大隊には2名のファルコンボンズマンパイロットさえもがいる(氏族技術のオムニ戦闘機航空中隊所属)。









ヘルズ・ブラック・エース 3071

 3063年に再びリャオ家の雇用に入ったヘルズ・ブラック・エース(部隊の中核がカペラから逃げ出して以来、52年が経っていた)は、大規模な訓練と、各大隊をローテーションでカペラ外の契約に付かせることで、容易にエリートのステータスを守ってきた。だが、3068年、ジョージ・ハセク公爵が「至高の正義」作戦をカペラに向けて発動させた時、エースはカペラの防衛にのみ忙殺されることとなった……恒星連邦の襲撃を交わすためにスクランブルしたのである。ニンポーに再結集したエースは(同一星系に三個航空大隊が集まったのは数年ぶりであった)、ダヴィオンが雇った傭兵隊、アルカディアンズを粉砕し、第1タウラス槍機兵隊の助けを借りて、撤退に追い込んだのだった。全航空宇宙戦力を失ったアルカディアンズは、40パーセント以下の戦力で本拠地に戻っていった。

 アルカディアンズとの争いでぼろぼろになっていたエースは、ニンポー襲撃から数週間内にリャオ星系へと移された。それにも関わらず、エースは攻撃軍の第8シルティス機兵隊からすぐに航空優勢を奪い、戦闘中の王朝親衛隊(Dynasty Guards)を助けてダヴィオン侵攻軍を押し返すのになんとか成功した。しかし数ヶ月に及ぶ奮闘で数個航空中隊を失ってしまったのだった。ほとんど絶え間ない戦闘で疲労が蓄積したエースはリャオでの休息と補修の申請をし、許可を受けた。彼らは大連邦国がダヴィオンを押し返す間、リャオに残って、修理を実行し補給物資を受け取った。そして3069年11月、新たな敵がやってきたのである。

 ブレイク派がリャオを強襲した時、エースは準備が出来ておらず、戦力は名目上の約80パーセントであった。十数隻の「ポケット戦艦」にバックアップされたブレイク艦隊は容易にジャンプポイントの防衛網に穴をあけ、中に侵入した。だが、惑星リャオまであと二時間というところで、彼らはエースの第一陣と遭遇した。戦闘機、降下船の前衛をすり抜けたエースは、侵攻軍の司令船と思われる船に攻撃を集中させ、数隻を撃沈した後、かつてない速度で離脱し、再補給のために戻っていった。この攻撃はブレイク艦隊を麻痺させ、進撃再開の前に再結集が必要となった。だが、彼らがリャオの軌道上にたどり着くまでに、ブラックエースが再び上がってきて、敵戦闘機を圧倒し、降下中のワードのメックを破壊した。英雄的な防衛にもかかわらず、疲弊していた傭兵隊は長期間圧力をかけ続けることが出来なかった。さらに悪いことに、補給地での再補給時間を減少させるため、燃料と弾薬を少なく積むことを強いられたエースの多くは、燃料が尽きるまで戦うことを余儀なくされ、文字通り空から落ちていったのである。ただでは落ちないことを決意したこれらのエースの多くは、力を失った戦闘機を敵のメック隊、降下船に向けた。深宇宙でブレイク艦隊と戦うために離陸した50名のパイロットと50機の戦闘機のうち、10名のパイロットと4機の戦闘機のみが生き残り、CCAFの命令によりリャオから撤退した。損害の中には、ヘルズブラックエース指揮官、ホヒル"グレートウィルム"タナガ大佐も含まれていた。

 それにも関わらず、エースの献身的なリャオ防衛によってブレイク侵攻軍は弱体化し、王朝親衛隊は上陸した敵を撃退し、ついには全面撤退に追い込むことが出来たのだ。未確認の報告によると、エースの記章を付けた謎の航空中隊群が戦闘の後半に加わり、親衛隊を支援して、ブレイク派が重要な瞬間に航空優勢を保つのを防いだ。これらの謎の航空中隊群が、単に逃げ遅れたエースであろうと、もしくは――王朝親衛隊はこう信じているが――墜落したエースの亡霊たちであろうと、3070年にエースが戦力を回復した際には説明できない新兵たちが混じっていたのが知られている。実際に、エースは3070年の12月までに現役に復帰し、大連邦国で最先端の戦闘機と最高の部類に入るパイロットたちを一個連隊分揃えたのだった。

竜機兵団評価値: A*

ヘルズ・ブラック・エース
 この数年でヘルズ・ブラック・エースは傭兵隊というより、CCAFの独立航空連隊のようになっている。非カペラ人のパイロットは一握りしか残っていない一方、現在の新兵の大半は大連邦国の各航空大学の成績上位者たちである。これによってエースは約2個航空大隊分のエリートパイロットを保っているが、傭兵はリャオ首相の新生運動を完全に受け入れるようにもなっており、3075年に現在の契約が終わったら、公式にCCAFに再加入すると噂されている。その時まで、残った外国人パイロットたち(その多くが有能な士官たち)に敬意を払って、エースは法的にフリーランスなままで残っている。




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