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作成:2016/10/22
更新:2016/11/06

ヒストリカル・ターニングポイント: アンタロス Historical Turning Points: Antallos



 アンタロスは中心領域の「北東」、ドラコ連合の辺境にある海賊の世界です。都市国家ポートクリンでは、海賊団が奴隷や略奪品を取引し、いかがわしい傭兵崩れがいかがわしい仕事を探してきました。この状況が変わったのは、聖戦の直前、3067年のことです。スノウレイヴン氏族が海賊を討伐し、アンタロスを占領するためにやってきたのです。






アンタロスの浄化 The Cleansing of Antallos

 3067年10月、海賊のサノス・テリブルスが厚かましくもプリニス・プライム(外世界同盟)を襲撃した。テリブルスは大量の高価な宝石と共に脱出しただけでなく、首都に大きなダメージを残していった――特に宝石地区に。テリブルスはまた外世界同盟の駐屯部隊を叩きのめしていった。スノウレイヴン氏族はこの事件を最高のタイミングだと感じた……付近の海賊にその力を見せつけ、そして外世界同盟に仲間としての価値を証明するのである。スノウレイヴンは時間を無駄にすることなく、アルファ銀河隊の大半を〈レザックの穴〉とファースターから動かし、3067年11月、アンタロスに攻め入った。

 スノウレイヴンがやってきたのは、ヴァンス・レザックの降下船の1隻が到着した直後であった。この改造型バッカニア級レッドレイダーは、戦力を積んではいなかったのだが、「保護料」として近隣の世界から集めた貢ぎ物の略奪品を運んでいるところだった。レッドレイダーがスノウレイヴンの艦隊から逃げると、第4、第5レイヴンウィングのオムニ戦闘機が、海賊の降下船と護衛機に追いついた。繰り返された攻撃で海賊の気圏戦闘機は全滅し、降下船はアンタロスの地表にクラッシュした。オムニ戦闘機は惑星の大気圏に入る代わりに、誰かが脱出したり、上陸したりするのを妨げるべく、星系内のパトロールルートを確立した。

 抜き打ちの惑星封鎖後、スノウレイヴンはバッチェルやそのほかの名誉ある斟酌を拒否することで、デズグラの海賊たちへの侮蔑を伝えた。第6レイヴン戦闘星団隊と第9打撃星団隊は、相当数のオムニ戦闘機を送り込み、ポートクリンに対して絶え間ない空対地攻撃を浴びせた。これらの空襲でポートクリンの防衛部隊は叩かれ、航空防衛能力は壊滅し、2個星団隊が抵抗を受けることなく上陸する道が切り開かれた。

 第6と第9は、作戦を洗練させ、最適な効率を得るため、ポートクリンの外わずか数キロメートルのところに拠点を作った。レイヴンは新しい滑走路を作り、氏族降下地点の端にあった古くて整備の悪い滑走路でオムニ戦闘機がダメージを可能性を減らしたのである。ポートクリンから戦闘機が応じなかったことを鑑みて、レイヴンはパトロールの頻度を減らした。銀河隊司令部はパイロットたちに休むよう命じ、氏族降下船のセンサーが完全に働かないような悪天候のときにのみパトロールを実施することにした。

 侵略者について知らなかったヴァンス・レザックは、ポートクリンとタリシティ(数百キロ離れている)の大規模な野営地にいるワード・オブ・ブレイクと同盟関係にあった。ブレイク派は、3年前に〈レザックの穴〉で始めたばかりの活動を台無しにされたという経緯からレイヴンを憎んでいた。氏族を撃退してレザックを支援するために、ワードは少数だが技術的に優れた戦力を約束した。この支援はまずポートクリンの航空防衛施設の近代化という形でつまびらかとなった。砲台と監視塔を隠蔽していたのと同じ技術が、ブレイク派とバンド・オブ・ザ・ダムドの遠征部隊がスノウレイヴンの滑走路に突進するのを隠した。

 上空監視を怠っていたことから、スノウレイヴンは奇襲を受けた。海賊とブレイク派はアンタロスの険しい地形を使ってセンサーを避けて、氏族の降下地点に見つかることなく接近したのだ。パイロットの多くが兵舎で眠っていたそのとき、海賊は最小限の地上部隊をすり抜けて、滑走路沿いに整列していたオムニ戦闘機を破壊した。スノウレイヴンのオムニメックは素早く応じた。両陣営、特にダムドの戦車大隊群に重い被害が出ると、氏族は強襲を押しのけた。スノウレイヴンはせいぜいが持ち場を守ったが、損害は驚異的なものだった。オムニ戦闘機のうち半数が破壊されるか、飛行能力を失っていた。この戦役の期間中、2個星団隊の能力は低下した……オムニ戦闘機は何も知らずアンタロスにやってくる海賊の群れを抹殺するのに忙殺された。

 2個星団隊のスターコーネルたちは戦力を分け、第6戦闘星団隊が都市の南東に残り、第9打撃星団隊はポートクリンの反対側に移った。損傷を負ったオムニ戦闘機の一部を偵察任務に使ったスノウレイヴンは、都市の外部に小さな基地を多数見つけた。これら基地には小規模な海賊団が入っており、中にはサノス・テリブルスがいた。スノウレイヴンはこれらの基地を排除して、守っていた者たちを切り裂き、直接的な強襲でポートクリンを奪取することに集中した。

 スノウレイヴンの地上部隊はポートクリンを攻撃し、激しい抵抗に遭遇した。ダムドと名目上の同盟者は、避けられぬ侵攻に対して丸々2週間かけて準備していた。ポートクリンの狭く曲がりくねった通りに仕掛けられた地雷原を渡ったスノウレイヴンは、突然の待ち伏せ、ブロック全体が倒壊するようなブービートラップ、絶え間ない一撃離脱攻撃ともまた戦い、敵は消えていったかのように見えた。氏族の強襲は都市を瓦解させていった……巻き添え被害が消火不能な火災を生み出し、都市のうち数平方キロメートルが飲み込まれた。

 それにも関わらず、レイヴンは敵を皆殺しに出来たわけではなかった。スノウレイヴン戦線の突破が図られ、ワード・オブ・ブレイクと一部のバンドが脱出に成功した。アンタロスの各地から海賊団の救援が到着し、氏族の後方戦線を突破した。この逆襲でレイヴンの補給に相当な損害が出て、さらに多くの海賊に逃げる道が開かれた。

 ポートクリン争奪戦は大規模な乱戦に発展し、一連の戦術核攻撃によってタリーシティ近くのワード・オブ・ブレイク主野営地は消滅した。この爆発はここにあったワードの極秘施設いくつかを破壊し、都市と環境を放射線で汚染した。この暴力的な破壊行為でレイヴンは動転し、後退して、さらなる暴力の悪化に備えた。ワードの目的は明らかとなった……降下船数隻がアンタロスを発ち、レイヴンの航空宇宙戦力から離れる進路を取った。ワードとどうにか合流した少数の海賊たちはアンタロスを脱出し、氏族とそれ以上交戦することはほとんどなかった。

 最終的に、スノウレイヴンが勝利した。彼らはアンタロスにいた大規模、小規模な各種の海賊団を撃破し、ワードの船団共に逃げ得た海賊はきわめて少なかった。この地域はしばしの間、海賊行為から解放され、スノウレイヴン氏族と外世界同盟の結びつきは強いものとなった。しかしながら、ワード・オブ・ブレイクとスノウレイヴンの間に新たな敵意が生まれ、辺境の国境沿いでさらなる衝突が生じるのだった。






指揮官 Commanders


ヴァンス・レザック
階級:なし
生年:3025年(3067年時点で42歳)

 ドラコ連合の貴族として生まれたヴァンス・レザックの幼少時代は、他人より有利で快適なものであった。並外れていたレザックは、サン=ツァンメック戦士養成校に入学した。彼はクラスのトップではなかったが、組織力とメック戦士の腕によって第7ペシュト正規隊第2大隊の指揮官の地位に昇進した。しかし野心的で上官に対して横柄だったことから、3048年、レザックはドラコ連合のスピンワード辺境沿いで活動するバンド・オブ・ザ・ダムド海賊軍を追跡する任務を課されたのである。

 遠く離れた惑星でバンド・オブ・ザ・ダムドに航宙艦を破壊されたレザックの大隊は、助けを求めても無視されていることに気がついた。レザックは指揮官のカーティス・ベンジンガー大佐がバンドと共謀していることを疑った。海賊のリーダーを殺したあと、レザックは指揮を受け継ぎ、大隊の生き残りをダムドに組み入れたのだった。裏切られたと確信することで忠誠を固めた彼らは、喜んでドラコ連合に罰を与えるという試みに加わった。新しいバンド・オブ・ザ・ダムドは、直後に、ドラコ連合を襲撃し始めた。権力基盤が成長するにつれて、レザックはドラコ連合内のコネクションを使って、密輸組織、そのほかの犯罪組織を作り上げた。そう遠くないうちに、レザックは連合の辺境国境で最もリッチかつ影響力のある海賊指導者となっていた。

 DCMSに裏切られてパラノイアとなったレザックは、〈レザックの穴〉と名付けた無人惑星に安全な活動拠点を作った。ワード・オブ・ブレイクが偶然〈レザックの穴〉を見つけたことによってパートナーシップが結ばれ、ジェべダイア"ディッキー"スミス准司教がレザックの次席司令官となった。ブレイク派は〈レザックの穴〉に自分たちの秘密施設を作った。3064年、スノウレイヴン氏族が惑星上に現れたとき、ブレイク派の準備と秘密は無駄になった。幸運にも、スノウレイヴンの側も海賊との接触は驚くべきことだった。よって、〈レザックの穴〉の人員の大半は脱出が可能となったが、非戦闘員を逃がす間にダムドは大きな損害を負ったのである。レザックとスミスはスノウレイヴンに強い敵意を持つことになった。

 レザックがアンタロスで戦力を集結させていた時期に、スミス准司教は海賊とワード・オブ・ブレイクの関係を強めていた。秘密の施設をアンタロスのあちこちに持つワードは、アンタロスの防衛を強化し、最新鋭の技術を追加した。レザックはこのパートナーシップから個人的な恩恵を受けている。彼の左腕は最新鋭の自然な外見の義肢であり、個人戦闘能力を向上させる数多の強化を受けている。


ドリアン・ハウ
階級:スターコーネル
生年:3032年(3067年時点で35歳)

 ドリアン・ハウが昇進していったのは、スノウレイヴンがホーマーのスモークジャガー領、ノヴァキャット領を占領していったときのことだった。第6戦闘星団隊の指揮官として、ドリアン・ハウは氏族、ブラッドライン内で大いに尊敬を集めている。だが、ハウ=マグヌスのシブコが失敗したことで、どちらのブラッドラインが悪いのか、争いが起きたのである。ドリアン・ハウはギャラクシーコマンダー・ソアステン・マグヌスと対立することになった。

 ホーマーで領土を確保する作戦を実行した際、スターコーネル・ドリアン・ハウはスティールヴァイパー氏族との戦闘で、妨害とおびき寄せを使った。これらの戦術はギャラクシーコマンダー・マグヌスの下では上手くいってない……第6は対立から来る兵站の問題に直面していたからだ。辺境での戦闘で星団隊のオムニメックの一部が失われ、二線級バトルメックで補充することになると、スターコーネル・ハウはオムニメック三連星隊群に適切な補給を行うべく所有の神判を余儀なくされた。

 氏族で最上級の地上戦闘星団隊を指揮しているにもかかわらず、ドリアン・ハウは氏族本拠地から来て以来、敵軍について懸念を示している。デズグラの海賊に対して圧倒的な勝利を収めても、戦士たちの士気は上がらず、鋭さを失っているのではないかと心配しているのだ。








戦闘員 COMBATANT




バンド・オブ・ザ・ダムド [海賊]
指揮官: ヴァンス・レザック
平均経験: 古参兵
注記: バンド・オブ・ザ・ダムドは、ヴィンソン自警団やそのほかの小部隊を自軍に組み入れるまで、エリートの戦闘部隊であった。全体の質が下がったのは、バンドの第2大隊、第3大隊が理由である。レザックが直々に指揮する第1大隊は、いまだエリートの練度を保っている。ヴァンス・レザックの次席司令官は、オペレーション・エージェントのジェべダイア・スミスである。スミスはワード・オブ・ブレイクの工作員であり、バンド・オブ・ザ・ダムドの活動を統制する任務と、ワード・オブ・ブレイク連絡士官の両方を務めている。




ダーク [海賊]
指揮官: 不明
平均経験: エリート
注記: ダークの大半は、生き残るために暗黒階級になったスモークジャガーの生存者たちである。彼がアンタロスにいるのは、単純に他に行くところがないからだ。彼らは関係を持とうと押しかけてきた海賊団を抹殺している。ごくまれに、彼らは氏族と直面することがあり、一部は古いやり方に立ち返って一対一の戦いを求める。このような求めが受け入れられることはない……敵の氏族はザ・ダークを暗黒階級の一員とし、根絶する価値しかないと考えるからだ。




マーク・ブラッディ・ギャング [海賊]
指揮官: マーク・ブラッディ
平均経験: 古参兵
注記: 5個中隊規模のブラッディ・ギャングは、自分たちを西部開拓時代のアウトローと考えるロマンチストで構成される。彼らは銀行強盗、宝石強盗を専門とする。だが、彼らは壁や金庫を蹴破って目当てのものをかっさらっていくという無分別なやり方を使う。ブラッディ・ギャングは中軽量級メックを好むが、歩行MP5以上なら重メックを若干数使うだろう。




サノス・テリブルス [海賊]
指揮官: サノス
平均経験: エリート
注記: サノス・テリブルスの4個中隊は、人間としての同情心を持つことがない。彼らは強盗を終えて逃げるのをカバーするために民間のインフラを狙い、確認された損害に対しボーナスを支払っているようだ。また、テリブルスは地元民を裏切らせるのを好む。内部の者たちを協力させると、テリブルスは強奪品を持って離れ、責任を取らせるために協力者を置いていくのだった。テリブルスは軽中量級メックのみを使い、略奪品を運ぶ両手を持つものを好む。




ワード・オブ・ブレイク、ライト・オブ・マンカインド [海賊同盟軍]
指揮官: エージェント・ジェべダイア・スミス
平均経験: 古参兵
注記: アンタロスで戦ったブレイク派は、秘密作戦チームの一員である。彼らは装備が鹵獲されるのを避けるため、死ぬまで戦う。もし、ワード・オブ・ブレイクのバトルメックが行動不能になると、メック戦士は緊急脱出せず、核融合エンジンを爆発させて自殺を行う。メック戦士が殺されて、バトルメックが回収可能なときは、近くにいるワード・オブ・ブレイクの機体は、破壊するためにこれを狙う。




ポートクリン市民軍 [海賊]
指揮官: ローレンス・リー・チャンバーレイン大佐
平均経験: 古参兵
注記: ポートクリン市民軍は都市の防衛を指揮し、主に空から来る敵と戦う。彼らは防衛用砲台の管理を行う。最近、ワード・オブ・ブレイクが1個大隊分の非武装ピュリファイアー(ライトTAG)バトルスーツを提供した。スーツ兵は4名からなる分隊で配備され、防衛砲台の観測手、地上から攻めてくる敵に対する地雷を起爆する前線観測員を務める。市民軍の戦力は歩兵と車両に限られる。非装甲歩兵の1個連隊、ピュリファイアー(ライトTAG)バトルスーツ1個大隊(上記)、車両1個大隊を持っている。




第1ロングロード軍団 [外世界同盟]
指揮官: セイモア・ハレス議長
平均経験: 一般兵
注記: 外世界同盟の新部隊であるロングロード軍団は、初期には勝利より敗北を経験してきた。優秀な兵士はいたのだが、敗北によって訓練の欠陥が明らかとなった。これを是正すべく、ハレス議長はプリニス・プライムでの訓練演習に向かってるところだった。第1大隊は主に中量級バトルメックからなり、一般兵の質を持っている。第2大隊は新兵の車両部隊である。ロングロード軍団の20%は星間連盟技術である。




第6レイヴン戦闘星団隊 [スノウレイヴン氏族]
指揮官: スターコーネル・ドリアン・ハウ
平均経験: エリート
注記: 攻勢において先陣に立ってきたという長い歴史を持つ第6星団隊(スターコーネル・ドリアン・ハウ指揮)は、アルファ銀河隊最高の部隊という地位を保っていた。7年前のキルケでスティールヴァイパー氏族を相手にしてさらに鋭さを増した彼らは、挑戦を与えてくれない辺境の不名誉な敵軍を軽蔑していた。彼らの戦術はより残虐なものとなり、氏族の名誉は保たれなかった。しかしながら、こういった行動を取るのは、海賊と傭兵に対してだったので、第6はゼルブリゲンに抵触したとは考えられていない。




第9レイヴン打撃星団隊 [スノウレイヴン氏族]
指揮官: スターコーネル・マリレナ・レインホルド
平均経験: エリート
注記: ウルフ氏族のアブタカ戦士に指揮される第9は、それにも関わらず、際だった成果を残している。だが、スターコーネル・マリレナ・レインホルドは25年にわたって戦士の地位にあり、部隊にいる戦士たちの多くがもっと若い者に指揮されることを望んでいる。スターコーネルの地位に対する表だった挑戦はないが、第9が辺境で海賊を根絶するのに使われていることから、戦士たちはこれまでより落ち着かなくなっている。




第4レイヴンウィング星団隊 [スノウレイヴン氏族]
指揮官: スターコーネル・アンドリュー・マッケナ
平均経験: エリート
注記: スターコーネル・アンドリュー・マッケナ指揮する第4は、氏族本拠地でウルフ氏族と低強度のぶつかり合いをしてきたことで知られていた。技量に劣る辺境のパイロットと交戦していることから、スターコーネルは部下たちの腕がなまってしまっていると感じている。部下を絶えず互いに戦わせることで、戦闘技術が保たれることを彼は望んでいる。




第5レイヴンウィング星団隊 [スノウレイヴン氏族]
指揮官: スターコーネル・マウリー・ランケノー
平均経験: エリート
注記: クレバーな指揮官、スターコーネル・マウリー・ランケノーは、口先と軍事力の両方で嫌がらせを行い、敵と正面からの交戦に入るという才覚で知られている。このやり方は、氏族宙域を離れる前、数回に渡って失敗し続けているのだが、スターコーネルは敵に力を知らしめてやることになると信じている。








その金をよこせ Gimme the Money


状況
マッカヴェルワン
プリニス・プライム
外世界同盟
3067年10月5日


 サノス・テリブルスは再び攻撃を仕掛けた。首都マッカヴェルワンへの襲撃には、地元の降下港への侵入をスムーズにするため、堕落した地元民を用いた。テリブルスが地元の市民軍を圧倒し、地元の宝石市場を襲った時、第1ロングロード軍団の第2大隊が都市の外で訓練演習中だった。しかし、テリブルスの情報提供者は、ロングロード軍団の第1大隊指揮中隊が訓練に参加するため到着していたことに気づかなかった。いまや、数で大きく劣る海賊たちは、略奪品をあきらめて都市から逃げねばならず、そうでなければ全作戦が失敗することになるだろう。


結末
 サノス・テリブルスはマッカヴェルワンで地元の市民軍を驚かせるのに成功したが、第1ロングロード軍団2個大隊の突然の登場に同じく驚かされることとなった。4対1の劣勢となったテリブルスは、やれる限りのことをやった。略奪品のほとんどを犠牲にした一方で、彼らのメック全機が多かれ少なかれ完全な形で脱したのである。2個戦車中隊の残骸は、外世界同盟人の脅威に対する彼らの優秀さを物語っていた。しかしながら、大勢が死んだことで外世界同盟は怒り狂い、新しい同盟者であるスノウレイヴンに問題の対処を頼んだ。結局のところ、サノス・テリブルスはアンタロスに住んでいると知られていたのである……








いったい何が悪いんだ? What's Wrong with This Picture?


状況
ポートクリン
アンタロス外周部
辺境
3067年11月5日


 海賊は他の世界を襲撃し、防衛部隊と戦うのになれているものだが、もしスノウレイヴンがアンタロスに侵攻し、戦うことなく居を構えたら、ヴァンス・レザックは非難されることになるだろう(ヴァンス・レザックはバンド・オブ・ザ・ダムドのリーダーであったにも関わらず、そのような立場を望んでいなかった)。レイヴンの航空攻撃が止むと、彼はブレイク派に強化された戦力を動かし、出現したスノウレイヴンの作戦拠点に向かった。表向きは、足場の確保を妨げて、追い出すためであった。しかしながら、レザックは部下たちに、レイヴンの降下船を奪うことが脱出する唯一の手段だと話したのである。この嘘はやる気を引き出す非常に強力な道具となった。加えて、スミス工作員はワード・オブ・ブレイクのバトルメック・レベルIIIにバンド・オブ・ザ・ダムドを支援するように命じた……これがスノウレイヴン氏族軍をアンタロスから追い出す唯一のチャンスかもしれなかった。


結末
 パイロットたちがオムニ戦闘機を緊急発進させた一方、コクピットに急ぐ間に多くが敵の砲火で倒れていった。さらに多くのオムニ戦闘機が、離陸する前に破壊された。だが、レイヴンは海賊たちに大きな被害を与えていたのである。バンド・オブ・ザ・ダムドの地上車両ほぼすべてと、海賊とブレイク派のメックの半数以上が破壊された。レイヴンは降下船2隻を砲火で失ったが、これは些末な問題であった……なぜなら、オムニメックとエレメンタルの1/3をも失っていたからだ。レイヴンが死にものぐるいの防衛を続けていることに気づいたヴァンス・レザックは、生き残った戦力に撤退を命じた。部下たちが勝つことを信じていたのだが、レイヴンがアンタロスにどれだけの戦力を持ち込んできたにせよ、充分な数の部下たちが生き残ることを望んだのである。スノウレイヴンは、卵を二つの巣に分割するため、第6戦闘星団隊を都市の反対側に再配置した。生き残ったオムニ戦闘機はポートクリンに24時間ぶっ続けの空襲を実施し、バンド・オブ・ザ・ダムドを拘束する一方、レイヴンの地上軍は都市外部の少数勢力を根絶した。








暗闇を消す Turn Out the Dark


状況
フリーゾーン
アンタロス
辺境
3067年11月13日


 ヴァンス・レザックがポートクリンで沈黙する間、両陣営はアンタロスで最大の戦いの傷を癒やした。スノウレイヴンは、規模が小さいことと、支援設備が優れていることの恩恵を受けて、海賊よりも早く回復した。レイヴンは都市そのものに向かうことなく、都市外部の小規模な飛び地を根絶することを選んだ。この中には、氏族の暗黒階級が集まったダークの拠点があった。ダークの多くを占めるスモークジャガー氏族の生き残りたちは、海賊という深みから名誉ある氏族戦士の座に登りたがっていた。スノウレイヴンはこのようなデズグラが生きることを許さなかった。ダークはいまだ氏族オムニメックを大量に保有していたことから、スノウレイヴンはダムドとの戦闘での損失を補うだけの弾薬や交換パーツを得られることを望んでいた。だが、レイヴンは基地を空っぽにすることはなく、気圏戦闘機に近接戦闘空中哨戒を行わせて、招かれざる客がやってくるのを防いだ。


結末
 スノウレイヴン氏族軍がダークの基地に近づいてきたとき、ダークからの奇妙な通信を受信した。正体不明の話し手は、捕まったときはボンズマンになることを望み、ダークの戦士の名誉を取り戻そうとした。スターコーネル・ドリアン・ハウは一笑に付した。返答は、スノウレイヴン氏族が暗黒階級を起用することはなく、適切に対処するというものだった。ダークの一部は決闘を開始しようとしたが、スノウレイヴンのメック戦士たちはデズグラによる挑戦を尊重しなかった。ダークにぶつかり、殲滅したのである。ダークは補給物資と弾薬(レイヴンのメックの一部が捕獲したもの)を破壊したことで真に名誉を欠いているところを見せた一方、第6レイヴン戦闘星団隊は説得力のあるやり方で勝利した。だが、少なくとも、ダークはある程度の勇気を見せ、退却することはなかった。彼らはかつてそうであったように氏族人としての終わりを迎えたのである。








今にみていろ Payback's a Bitch


状況
フリーゾーン
アンタロス
辺境
3067年11月15日


 第6レイヴン戦闘星団隊がダークに対処している間、第9レイヴン打撃星団隊は、プリニス・プライムを襲撃した犯人を追跡するのに成功していた。それこそがスノウレイヴンをアンタロスに導いたものだったのである。サノス・テリブルスは都市外部の基地に立て籠もって、注意を引かないようにするのを望んだが、スノウレイヴンは報復攻撃を行おうとしていたところだった。レイヴンはアンタロスにおける海賊の脅威を完全に駆逐するつもりであり、特にテリブルスを探していた。スノウレイヴンが近づいてきたと聞いて絶望したテリブルスは、共同でアンタロスから脱出するために、かつての仲間マーク・ブラッディ・ギャングに呼びかけた。マーク・ブラッディ・ギャングにとっては不幸なことに、彼らが到着したのはスノウレイヴンと同時だった…


結末
 海賊たちがそのまま逃げるのではなく、襲撃で手にした戦利品を持っていこうとしたのを笑い飛ばしたスノウレイヴンは、一切の慈悲を見せなかった。敵を激しく攻撃し、残忍に強襲したのである。彼らは倒れたメックを撃ち続け、脱出したメック戦士を降伏させることなく目標にした。海賊の側は、スノウレイヴン戦線の突破を目指したが、古い装備では相手にならなかった。第9レイヴン星団隊は両海賊団の冒険を終わらせ、生存者を残すことはなかった。








なんと美しき殴り合い What a Beautiful Brawl


状況
パイレーツポイントXX
アンタロス星系
辺境
3067年11月16日


 1隻の航宙艦がパイレーツポイントに到着し、6隻の降下船をアンタロスに向かわせた。ポートクリンはこれまでにないような希望にわいた……なぜなら、寄せ集めの降下船艦隊が寄せ集めのおんぼろ気圏戦闘機に護衛されて離陸し、スノウレイヴンから逃れることが出来るかもしれないからだ。悲しいことに、スターロード級航宙艦ブレイク・ベネヴェレンズには6基分のドッキング装置しかついてなかった。4倍の数の降下船がドッキングを目指すと、なりふり構わない突進は死を賭けたレースとなった。海賊たちは互いに争ったのみならず、第4、第5レイヴンウィング星団隊のオムニ戦闘機が阻止に動いたのだった。


結末
 リチウム核融合バッテリー装備の海賊航宙艦が到着したことは、スノウレイヴン氏族を驚かせた。近くにいた戦闘機をスクランブル発進させた2個ウィング星団隊は、いかなる海賊の脱出をも防ごうとした。レイヴンは降下船の寄せ集め"艦隊"を破壊した一方で、海賊団はレイヴンがやったよりも互いに大きなダメージを与えた。それでも逃げる降下船は、2個オムニ戦闘機星隊が対処するには数が多すぎた。航宙艦は積めるだけの降下船を積むと脱出し、スノウレイヴンと傷ついたプライドの対価を払った落伍者たちを残していった。生きて惑星の地表に戻った降下船、戦闘機はなかった。








決戦 Showdown


状況
ポートクリン
アンタロス星系
辺境
3067年11月17日


 外周部にいた小規模な海賊団の哀れきわまる抵抗を粉砕したスノウレイヴンは、ポートクリン自体に注意を戻した。戦力の分割を利用した2個星団隊は、挟み撃ちの要領で都市に動き、抵抗のすべてを破壊した。しかしながら、都市の密閉空間は独自の問題をもたらした。海賊たちは待ち伏せを仕掛け、地雷とブービートラップを通りと建物に設置したのである。空爆を生き延びた固定防衛装置が、防衛に使われた。バンド・オブ・ザ・ダムドは最後の抵抗を実行した。エージェント・スミスはヴァンス・レザックに救出を約束したが、レザックは自分の都市に入ってくるスノウレイヴンに1メートルごとの代償を求めたのである。彼はまだ、侵略者をはねのけて、ポートクリンを我が手に守ることを望んでいた。強力なジャミングで、電子プローブによる探知を妨げられたスノウレイヴンは、目隠ししたまま進むことになった。そして、バンド・オブ・ザ・ダムドと仲間のブレイク派が待ち構えていたのである…


結末
 どんなに危険な罠が待っていたとしても、スノウレイヴン氏族が臆することはなかったろう。理論的で整然とした前進によって、待ち伏せと罠に引っかかったのは少数だけであった。彼らは、都市の中央とバンド・オブ・ザ・ダムドの司令本部に向かう歩を緩めることなく、地雷原とブービートラップを排除していった。スノウレイヴンはゆっくりと包囲を狭めながら、突破を防ぐために航空支援を要請した。機種不明の気圏戦闘機が現れて、スノウレイヴンのオムニ戦闘機に挑戦すると、流れは変わりかけた。この奇妙なブレイク派の部隊は、空戦を実行して地上部隊を支援する代わりに、地上部隊の脱出を保証するのみであった。ダムドの残骸の中にヴァンス・レザックの遺体はなく、スノウレイヴンのリーダーは脱出を成功させたと結論づけた。それでもこの世界はスノウレイヴンのものであり、この宙域における海賊の脅威は大きく減じられたのだった。




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