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作成:2014/07/06
更新:2014/08/27

年代別レポート:3145年 Era Report: 3145



 "Era Report 3145"は、ブラックアウト(3132年)が発生してから13年が経過した3145年時点の中心領域について解説したソースブックです。
 たった十数年で大きな変化が起こりました。スフィア共和国は第X宙域を残して崩壊、ノヴァキャット氏族は消滅、ウルフ氏族は大規模移住、恒星連邦は風前の灯火といった状況です。
 この時期の状況、部隊、人物等について紹介します。視点は、フォートレス外で活動するスフィア共和国軍(レムナント)のものです。











スフィア共和国


第3プリンキペス防衛軍 THIRD PRINCIPES GUARDS
 RAF正規部隊の大半は、本拠地とする宙域との密接な関係を維持しており、本拠地世界と相当に結びつくこととなる。プリンキペス防衛軍連隊群はとくにそういう傾向があり、第3プリンキペスも例外ではない。ブラックアウトの時にシェアト、ディヴィッド、サダルバリに駐屯していた第3プリンキペスに対し、最高司令部はサイリーンとマルカブに引き返すよう命じた。ここなら、宙域中の問題箇所に素早く駆けつけることができるからだ。ドラゴンズ・フューリーとスピリット・キャッツの両方がこの地域で活動していたことから、ブラックアウトが始まってからの数年間、第3プリンキペスは彼らにかかり切りとなった。タラ・キャンベルが作り上げたハイランダー連隊群の援助を受けた第3プリンキペスは、長い期間、最悪の暴力を押さえ込むのに成功した。

 だが、3135年までに、ハイランダーズの大半が地球とスカイアに移動して圧力が増したことから、第3プリンキペスはタウン、スモールワールドへの後退を余儀なくされ、事実上、宙域の残りをドラゴンズ・フォーリーに明け渡すことになった。上院議員の反乱によって、オザワ、マーカブに大きな戦力が送られることとなり、そこから第3プリンキペスを含む部隊がいくつかの世界に分散した。上院議員たちと戦うため、ジュリアン・ダヴィオンが援軍と共にローネルに到着すると、ロミオ・セラーノ大佐は快く第3プリンキペスに加わり、反乱軍を倒すのを手伝った。

 レヴィン総統がRAF全兵士を呼び戻す発表を行うと、第3プリンキペスはフォートレスになるであろうものへの退却を選ばず、ジュリアン・ダヴィオンと共に残った。ジュリアンと第1ダヴィオンがライラ共和国へと向かい、恒星連邦がローネルの所有権を得た後でさえも、第3プリンキペスはアディックスとスモールワールドから活動した。3142年、ダヴィオンがこの地域の残った世界を制圧すると、ついに第3は荷物をまとめた。占領された地域を1年近くかけて移動した後、彼らはついにマーカスにたどり着き、レムナントに加わった。しかしながら、ジュリアン・ダヴィオンが恒星連邦への帰還の準備のためカリソンで立ち止まると、第3プリンキペスの多くが彼と一緒に行くことを選んだのだった。


フィデリス FIDELIS
 フォートレス後の時期に多くを驚かせることになったのは、フィデリスの存在である。これら謎めいた飛び抜けて優秀な戦士たちは、10年前に姿を現して以来、共和国領土各地で行われている多数の作戦で大きな助けとなった。フィデリスは、兵士たちに加えて、かつてなく知識を持ち、腕の立つ技術者を我らに提供してくれている。戦闘で破壊され行動不能となった装備を元の状態まで修理するのみならず、ほぼすべてのシステムを改良するというテックたちの能力によって、他の部隊なら数年前に諦めていた機体を配備し続けることが可能となっている。

 だからといって、フィデリスの戦闘能力が注目に値しないというわけではない。兵士たちがどこから来たのか我々にはわからない(この10年であらゆるシナリオが考えられた)が、フィデリスはレムナントが交戦したすべての主要な作戦に参加している。多くの場合、彼らは戦闘計画の重要な部分を担当した。フィデリスの兵士たちは迷うことなく命令に従い、プロの兵士たちを赤面させるような機敏さと力量によって任務を実行した。彼らが保有する戦艦、〈フラタス〉の存在は、過小評価できない優位性を我らに与えるものである。さらに、部外者向けに変更された彼らの訓練過程は、正規RAF戦力の効率を数パーセントアップさせるものであった。本音を言うとフィデリスの支援なしには、我々は活動を続けられないだろう。

 フィデリスは常にジェイドファルコンに対して極端な敵愾心を示してきた。そして近年のウルフ氏族との戦いは、さらに敵意あるものとなったのだ。これが、フィデリスが追放されたウルバリーン氏族の子孫であるとの説を立証するものなのかか反証するものなのか、我らには関係のないことである。彼らが味方であることを幸せに思うだけだ。










カペラ大連邦国

 3132年のブラックアウトは、デヴリン・ストーンと共和国に盗まれた(とカペラが考えている)世界を奪還する最高のチャンスをもたらした。ダオシェン・リャオ(中途半端はしない人物)は混乱を最大限に利用して、3134年初旬に侵攻をしかけた。共和国にとっては幸運にも、侵攻ルートは予想できるものであり、我が軍の戦力が減っていたにもかかわらず、カペラが目標とした宙域を完全に蹂躙するのを妨げることができた。それにも関わらず、残虐的な攻撃(3113年の敗北と屈辱的な和平に対する復讐が理由の一部)は、比較的短い時間で共和国の奥深くに突き刺さった。

 ふたつの理由によって、ダオシェンは多数の戦力を侵攻に投入することができた。カノープス総統との個人的な関係はもちろんのこと、カノープス統一政体との長年の関係を使って、ダオシェンは駐屯部隊として使える多数のMAF部隊を得ることが出来た。これにより、カペラ部隊は前線任務につくことができるのだ。これまで両国家は密に協力して活動し、頻繁に士官交換を行っていた。さらにダオシェンはワード・オブ・ブレイクのプレイブックをめくり、戦力の配置を偽るために塗装と部隊マークの入れ替えを行った。よって共和国のアナリストたちは不意を突かれたのだった。

 ダオシェン・リャオが成功を達成した二つ目のやり方は、事情通なカペラ士官数名を捕らえたあとでようやく判明した。カペラ家がストーンの軍事物資償還プログラムに関連する改革の実行を渋り、様々な手練手管を使ってごまかしていたことは、かねてより周知の事実である。どうやらダオシェンは――より正確にはダオシェンの父は――少なくとも三つの部分で他の国をしのいでいたようだ。共和国の創設後、サン=ツーがどれだけの連隊分のバトルメックと戦闘車両を隠しおおせたのか、我々が知ることはおそらくないだろう。それらのうち一部は、創設期の戦争で失われたと報告されていたことは間違いない。聖戦の荒廃を抜け出たそこには、来たるべき日のために余剰の物資を隠匿するチャンスが大きく広がっており、リャオ首相は同業者たちより幾分狡猾だったのである。とにかく、これらの秘密保管庫はダオシェンに開かれ、いわゆるインチャン・デ・シジ……「潜む獅子」部隊を武装するのに使われた。突如として成長したCCAFは侵攻に着手し、RAF最高司令部が予想していたところを超えていくことができたのである。

 スフィア共和国だけが、ライオンに噛まれた敵ではなかった。恒星連邦とオリエントの両方が、ブラックアウト後にカペラの攻撃を受けたのである。ダオシェンの視線の先にあったのは、当然、共和国内にある元カペラの世界だったのだが、恒星連邦、オリエントの世界いくつかもまた各種戦力による強襲の目標となったのだった。我々は少しばかり手を貸すことが出来たのだが、だいたいにおいて使える余剰の兵力は存在しなかった。実際のところ、オリエント宙域への襲撃はすぐに止まった……ダオシェンがジェシカ・マーリックに友好の手を伸ばし、共に我らの世界をむさぼるという提携を行ったのである。

 オリエントとの同盟は、リャオ一族のある人物を日の当たる場所に連れていった。ダオシェンの妹であるダナイだ。我らのカペラの専門家はダオシェンがダナイを後継者にする第一歩としている。ダオシェン首相は結婚しておらず、我々が知る限りでは子供をもうけていない。ダオシェンは自らの神聖を信じているようなので、生ける神として永遠にカペラ大連邦国の統治を続けると本気で考えている可能性があるのだ。だが、もっと可能性がありそうなのは、病気によって子供を作ることが出来ないという公算である。後継者の育成は、たしかに彼の胸中にある……ダオシェンは70代であり、父親の死因になった思われる病気に父親が罹患した年齢に近づいている(サン=ツーが神になったという話を信じる者にとっては話が別だが)。

 外遊の間、ダナイは新自由世界同盟の現守護将軍、ニコル・マーリックと近い交友関係を結んだ。この交友が両国の関係にどのような効果をもたらすか、特に両女性が支配者の地位を継いだ場合については推測の対象となっているが、オリエントとシーアンの確固とした同盟の約束は、共和国にとって多大な危険となるものである。


第2マッカロン装甲機兵団 SECOND MCCARRON’S ARMORED CAVALRY
 第2MACは聖戦以来、全マッカロン連隊の指揮部隊となっており、3080年代前半に新生共和国との戦闘で第1連隊が壊滅して以後、その役割を続けている。ラムセス・マッカロン上校は、共和国に双子の妹のフェイスを殺されて以来、共和国にすさまじい敵愾心を抱いているが、報復のチャンスはなかった。短いヴィクトリア戦争のあいだ、彼は第2連隊を先陣にMACを率い、20年近く持ち続けてきた怒りを恒星連邦の方に向けた。MAC全体が(特に第2連隊は)この紛争で目を見張る戦果を残したが、最終的に他のカペラ部隊と一緒に退却せねばならなかったのだった。

 ラムセス・マッカロンは、3019年、脳卒中からの合併症で死亡し、MACの指揮権は息子のザビエルが引き継いだ。第2連隊を先陣にしたMACはフナン、ニューアラゴン、ハロランVなどで勝利を達成した。第2連隊はカンスーで手強い防衛に足止めされ、この戦いの泥沼に六ヶ月もはまりこみ、全面撤退により引き上げた。一族の伝統の通り、ザビエルの長男、サイラスは戦後に補充兵として第2連隊での勤務を開始し、10年後、弟のテレンスがそれに続いた。

 第2連隊はグレート・フラッド作戦の主力となり、侵攻の初期段階でガン=シン、リャオで実戦に参加した。サイラス・マッカロン上校はいつも父のそばにいて、いつかMACを受け継ぐべく教育を受けているという状況において、第2連隊の指揮権がテレンスではなくシェイミング・タオに渡されると、部隊内にちょっとした緊張が生まれた。タオの指揮下でプレイオネ、シェンシ、セントアンドレで成功を収めたことは、反対意見のほとんどを追いやったのだった。

 セレスティアル・リワード作戦の初期に参加した第2連隊は、ニューヘッセン、イェンツィ、アルレシアへと赴き、チコノフの奪取に成功している。


武家イジョーリ WARRIOR HOUSE IJORI
 スフィア共和国創設の直後に勃発した、カペラ大連邦国との熾烈な戦闘で、両軍の多数の部隊が被害を受けた。カペラがこの戦闘に込めた重要性は、3081〜3085年にスフィア共和国相手に失われた部隊が、聖戦で壊滅して除名されていた部隊だったという事実にある。武家イジョーリは、新生RAFと対決した部隊の一つであり、完全な全滅という形で代償を支払った……3084年、惑星リャオでストーン旅団の上陸を妨げようとしたイジョーリは、最後の一人まで掃討されたのだ。

 約50年後に、イジョーリ家は復活した。3126年、ダオシェン・リャオは、第5大連邦国予備連隊の元士官、マイ・ウーン・ワに反乱扇動任務を与え、スフィア共和国の惑星リャオに送り込んだ。彼は任務に失敗したが、任務を続けるためにイジョーリ・デ・グァン(イジョーリの光)と称する草の根運動を立ち上げたのである。この運動は次の数年にわたって、惑星上で妨害活動を行い、3134年にブラックアウトが発生し、カペラ感情が高まると、表だった活動を始めた。成功したらイジョーリ家を再生させるという首相の約束を受けたマイ・ウーン・ワはリャオに戻り、自らが作り上げた運動を利用して、イジョーリ家の教義に基づく新武家の中核としたのである。

 リャオに戻って以来、イジョーリ家は自分たちの要塞を作り、旧イジョーリの哲学(マイ・ウーン・ワが研究したもの)をもとにした訓練プログラムを再構築した。再生から10年後、実戦可能となったイジョーリ家は恒星連邦侵攻の際に栄誉ある立ち位置を与えられた。イジョーリは3144年末のディメーター争奪戦に参加したのである。


タウ・ケチ槍機兵団 TAU CETI LANCERS
 3085年に終わった新生共和国との戦闘と、3111年に始まったカペラ・クルセイドの間に、CCAFは相当数の連隊の再組織を行った……ストーンの改革の影響を受けた軍事的な風潮に対し、的確な対応をするためである。再組織した部隊の中には、市民名誉旅団に長らく所属する第4タウ・ケチ・レンジャー部隊があった。アルテムス・ジャックス上校指揮するレンジャー部隊は、大隊規模にまで削減され、中量級より重いバトルメックをすべて剥奪された。高速地上車両、航空戦力を追加したこの部隊――いまやタウ・ケチ槍機兵団と改名した――は、一撃離脱戦を念頭に置く高速打撃部隊として再建されたのだった。

 槍機兵団の初陣は3100年代初頭のことで、新しいやり方をテストするため一連の共和国に対する襲撃を行った。3108年のパロスで、槍機兵団は第5トライアリの1個大隊をほぼ一掃し、その伝統的な塗装様式(レンジャー部隊時代から引き継いでいるもの)から「ブロンズ・エイジ」のニックネームを賜った。3111年に始まったクルセイドで主力となった槍機兵団は、侵攻の矢面に立ち、たいていは重量がある部隊のために前衛部隊を担当し、第一撃を浴びせたあとで、他が後に続くのだった。

 3113年和平の後、タウ・ケチ槍機兵団は姉妹部隊を生み出すためのひな型を作り上げた。カノープス槍機兵団である。両部隊は5年近くかけて共に訓練を行い、現在まで頻繁に士官を交換している。彼らが最初に肩を並べて戦ったのは、スフィア共和国侵略でのことで、ユナー、セカンド・トライ、プレイオネ征服に参加した。これまでのところタウ・ケチ槍機兵団は、恒星連邦との戦いで限られた役割しか果たしていない。


第5シーアン竜機兵団 FIFTH SIAN DRAGOONS
 いわゆる「潜む獅子」連隊群を導入する際、ダオシェン・リャオは、この数十年間(場合によって数世紀)現役になかったカペラ部隊を相当数再生させた。第5シーアン竜機兵団は、そのような部隊の一つであり、長く厳しい継承権戦争の間に壊滅し、現役を解かれた星間連盟時代の部隊であった。再生した竜機兵団はグレート・フラッド作戦に参加し、侵攻の初期段階にアルゴット、ブックラで成功を見た。

 その後、竜機兵団はアルゴルを攻撃したが、豊かな鉱山世界スローカムを狙うために、カンスーを迂回した。スローカムの戦いは7ヶ月続き、その後、フォートレス・リパブリックによって共和国の防衛軍は大半がこの地域から撤退した。竜機兵団の指揮官、アーリンダ・レイエス上校は、直々に部隊を率いて首都フューワーに行進し、惑星知事からの降伏を受けた。それから竜機兵団はスローカムとアズハの守備を任され、そのあいだ部隊の一部が、周辺星系の襲撃と征服のためにかり出された。

 元スフィア共和国宙域を守っていたことで、竜機兵団は恒星連邦侵攻、セレスティアル・リワード作戦への参加が可能になった。彼らはダナイ・リャオ=セントレラのタスクフォースに加わって、3144年末にニューヘッセンを奪い、10月、二度目の成功に終わったチコノフ強襲で重要な役割を果たしたのだった。

 10年足らずで、第5竜機兵団は最も成功した「潜む獅子」部隊のひとつであることを証明して見せた。チコノフ戦役が完了して以来、我々は第5竜機兵団を見失っている……イェンツィに向かっていたと思われるが、年末、そこにはいなかったのである。これは恒星連邦中心部への新しい攻勢があることを意味しているのかもしれない。










ドラコ連合

 封建国家にとって、支配王朝の交代は、トラウマ的な自体になり得る……とくに支配者と後継者たちが暴力的に排除されて、素早く王朝交代したときには。3137年1月、フォートレスを突破しようとしたセオドア・クリタの死は、クリタ本家筋の滅亡の始まりを合図することになった。5月にヨリ・サカモトが王座に就いた時には、ホヒロ・クリタから始まる血統の全員が怪しげな死を遂げていた……その頂点となったのは、ヴィンセント大統領とその嫡男の爆死と、セオドアの妊娠した未亡人の暗殺である。支配一族抹殺の犯人として疑われるのは、軍事の管領マツハリ・トラナガとISF長官ラマディープ・バティア(あるいはその両方)なのだが、いずれのケースでも我々は証拠を欠いている。

 新大統領は、家系をセオドア・クリタまでさかのぼれるのだが、聖戦以来、苦境にある非嫡出子の家系出身である。だが、さらに忌まわしいのは、彼女がトラナガ元帥に糸を引かれて踊る操り人形にしか見えないことである。トラナガは、この30年間空位であった管領の地位に突如として昇ったのだ。ヨリは隠謀に荷担していないと思われるが、国民的な悲劇を利用して、自分の地位を上げたのは確かである。管領トラナガが最初の数ヶ月で思うままに支配を固めたのは、この意見を支持するものであろう。

 ヨリにとって最初の命題は、軟弱な指導者であるとの見方を排除することであった。前大統領の用意した戦略を維持した彼女は、共和国内の元ドラコ連合領土奪還を続けた。しかしながら、単に道を進むだけでは、正統に対する疑問を排除するには不十分だった。従って、龍は新しい戦役に打って出た。ライラにいたウルフ竜機兵団を雇ったのはドラコ連合にとっての大戦果であり、竜機兵団が自分の力を証明したがったことは係争中のドラコ・リーチをついに征服する助けとなったのである。この征服はより大きな仕事、すなわち恒星連邦侵攻の前触れを意図していたが、ノヴァキャットの反乱が介入しヨリの治世に挑戦したのである。

 エミ・クリタが生きているとの暴露によって、ヨリの大統領就任は疑わしいものとなったが、皮肉にも地位を固める手段もまた同時に提示されたのである。ヴィンセント・クリタの血脈の正統的な生存者は、当然のことながら、私生児の従姉妹よりも帝室の玉座にふさわしいものであった。ヨリは反乱が始まったほぼ直後から宣伝攻勢に打って出た……ドラコ連合に長年居着いて、数多のトラブルの元になってきた氏族人と同盟したことを強調したのである。世論の敵意を正統的な後継者に向けるこの宣伝キャンペーンは成功したようだ……民衆のあいだでのノヴァキャットへの不信と恐怖心はとても強いものであり、かつてヨリを疑問視していた民衆たちが支持に回ったのだ。ヨリは最初から高い支持率を享受したが、エミの人気はすぐに急落し始めた。ノヴァキャットが死を迎えた最後の戦いまでに、ヨリはドラコ連合のほぼ全土で人気を獲得したのである。憎き氏族にあらがい、打ち勝った勇敢なる若い女性と見られるようになったのだ。

 同じく、3144年前半の恒星連邦侵攻もまた、ヨリの統治が受け入れられる土壌となった。単純に、長年にわたる文化的な憎しみの結果というのが理由の大半だが、ノヴァキャットの爪をへし折った大統領が連合の仇敵に目を向けたものだと市民の多くが信じたのだ。DCMSの勝利と共に彼女の人気は上がっていった。ヨリ自身が戦争の遂行に関わってないのは、ほぼ確実なのだが、成功から利益を得ているのは確実なのである。

 統治者が統治者なのでドラコ連合の状況を分析するのは難しい。どの政策がヨリから出たものか、管領トラナガの子分たちから出たものかわからないからだ。管領は、偶発的な状況と賢い行動の選択によって、その操り人形を聖戦以来最も人気のある大統領に仕立て上げたと私は信じている。恒星連邦との戦争後、彼がその人気をどう使うか、連合の未来を正確に指し示すものとなろう。


リュウケン=ゴ
 3068年、マツイダで壊滅したリュウケン=ゴは、聖戦が終わってから、3099年、第二次ドミニオン戦争中に再建されるまで、約20年間、現役になかった。ブラックドラゴンの蜂起と、イレース管区の侵攻が同時に起こると、ドラコ連合の戦力は逼迫し、聖戦で壊滅した数個連隊を現役に戻す必要性が生じた。リュウケン=ゴ最初の仕事は、アワノでブラックドラゴンの根城を根絶することだった。この惑星は、リュウケンの創設者であるミノブ・テツハラ先祖代々の故郷であったので、アクセル・ジョンソン大佐は、連隊の再生が神のお告げであると捉えた。リュウケン=ゴは最初の任務で予想を上回る実績を残し、戦後、リュウケン連隊内でふさわしい地位を得たのである。

 次の数十年間、リュウケン=ゴは、ドラコ・リーチの名前で知られる中間地帯の混沌の中で大半の時間を費やした。ここでの戦いは決定的でないものであり、日ごと惑星の所有権が移り変わることもあった。3139年、ウルフ竜機兵団を雇ったことは、DCMS内に大きな懸念を生み出したが、竜機兵団とリュウケンが歴史を共有すると知っていたリュウケン=ゴは、竜機兵団を歓迎し、そばで一緒に戦い、ついにはリーチを征服したのだった。

 5年後、恒星連邦侵攻の第一波で、リュウケン=ゴは再びウルフ竜機兵団と肩を並べて戦った。第一波の終わりにかけて、彼らはロビンソンを攻撃する連隊群に加わった。ドラコ境界域のコーウィン・サンドヴァル公爵は、ロビンソン首都ブエラーを守っていた際に命を落としたのだった。リュウケン=ゴは3144年末に第二波が始まったときに骨休みした。元リュウケン=ゴ指揮官であり、現在のリュウケン連隊太守、トリ・イシハラは、ロビンソンでの戦功をたたえ、レイナルド・サパタ大佐にブシドーブレードを個人的に与えた。


第5〈光の剣〉
 聖戦中、第5〈光の剣〉は、裏切り者たちを追い詰め、処刑することに時間の大半を費やした。その結果、彼らは生き残った〈光の剣〉で最も強い連隊となり、ゴーストベア・ドミニオン(後のラサルハグ・ドミニオン)国境沿いに配置された。第二次ドミニオン戦争が勃発した際、彼らはキアンバにおり、長年にわたる小規模な襲撃に仕返しするチャンスに飛びついた。ベアと戦った経験は重要であると証明され、他のドラコ連合部隊よりも勝利を積み上げた。その後、ホヒロ・クリタに命じられ、彼らは、残ったノヴァキャット産業の解体と、ノヴァキャット民間人多数の「文化保護区」への移住を監視する部隊のひとつとなった。これにより、キャットからの消えぬ敵意を得たのである。

 ブラックアウトの後、第5連隊は崩壊する共和国に対する作戦に何度か使われた。ディーロン戦役に投入される予定だったのだが、この惑星の防衛があまりに早く崩壊したことから、一部の部隊を周辺の別世界に配置することが可能となった。第5連隊はヴェガを担当することとなり、第44ベンジャミン正規隊を率いて、新しいヴェガ保護領の防衛を調査した。この任務はうまくいかなかったが、彼らが集めた情報によりヴェガを避けるのがベストであると信じられた。

 連合による恒星連邦侵攻で、第5連隊は次の実戦に参加する機会を得て、パリミラの集結地点を叩いたタスクフォースに加わった。ここでケーレブ・ダヴィオン国王が死亡し、AFFSの大多数が破壊されたのだ。この予期せぬ勝利の後、第5〈光の剣〉はモークポートとギャンビアーに送られ、それから3145年半ば、ツァーマ強襲に加わり、この惑星を奪い取ったのだった。


第7ニューサマルカンド正規隊
 50年間で三度、第2ドミニオン戦争の余波の中で、DCMSは忠義を持たぬブラックドラゴンシンパを粛正せねばならなかった。あまりに粛正されすぎて解散した部隊の中には、2個のニューサマルカンド正規隊があり、穴を埋めるために新しい部隊を作る必要があった。第7正規隊が立ち上げられ、3100年代の前半にはレイヴン同盟国境近くのヴァレンティナに駐屯した。ひとつの部隊としての初陣は、ヴィクトリア戦争に気を取られていた恒星連邦の世界を奪う攻勢であった。最も有名なのは、タンクレディIVとライシーアムである。

 さい先の良いスタートの後に、ドラコリーチでの短期任務が続いた。ここのカシアス、ウディビで彼らはサンドヴァルが雇った傭兵と戦った。だが、この任務のちょうど1年後、第7正規隊はヴァレンティーナに舞い戻り、折良くレイヴン同盟によるカズニェヨフ管区への襲撃を妨害した。第7ニューサマルカンドは、次の20年間の大半をヴァレンティーナの駐屯で過ごし、その後の3144年、恒星連邦侵攻に参加した。ここで彼らは再び単なる海賊より強大な敵にぶつかったのである。

 元々クロッシング方面攻勢に加わっていた第7正規隊は、すぐに前線から外され、計画されていたパルミラ攻撃に移された。ヘンリエッタ・マーゴリス大佐は、この作戦でブシドー・ブレードを授与された。それから第7はツァーマ強襲に参加し、交戦を行ってから、ケサイIVに戻って休養した。


第1ゲンヨウシャ
 第1ゲンヨウシャのディアブロ・レイド大佐は、第四次継承権戦争の直前に創設されて以来、この部隊に仕えた一族で四人目の隊員である。彼の曾祖父、アンブロ・ヘイル中尉は、ヨリナガ・クリタが最初に募兵した一人であり、ケルハウンドと戦った彼の伝説は、一族の公式な歴史の中に収められている。ディアブロはこれらの逸話を導きとして成長し、祖先の人生を指針として選んだ。

 ディアブロ・レイドは第1ゲンヨウシャ内で昇進し、連合がスフィア共和国に侵攻するまさに直前、指揮官の座についた。戦場での勇敢さと勝利の評判を持つ第1ゲンヨウシャは、侵攻の最前線に立ち、チチブ、アシオ、アルナイル占領の先陣を務め、瞬く間に成功を収めた。これら征服のあいだ、レイド大佐はドラゴンズフューリー反乱グループのリーダー、カタナ・トーマークと繰り返し衝突し、憎しみを抱くようになった。トーマークが3141年のノヴァキャット反乱を支持すると、レイドと第1ゲンヨウシャは、5年前に感じたすべての侮蔑に対する報復のチャンスを歓迎した。しかしながら、管領トラナガは連合に戻る命令を下し、反乱の首を落とすために、直接イレースに向かわせた。

 第1ゲンヨウシャは、アルジェディで元フーリューの部隊(第7ヴェガ軍団の補助大隊となっていた)を叩きつぶして、いくらかの復讐を成し遂げた。ここから彼らはノヴァキャット星団隊と直面して、ベンジャミンへと撤退させた。第1ゲンヨウシャは数ヶ月間消息を消し、ルシエンに現れ、イレースでの決定的な戦いに向かった。最終的に、キャットは戦闘部隊として破壊され、第1ゲンヨウシャはどうしても必要だった休息を取ることが出来た。レイド大佐は戦いの最終局面において、ニューバルセロナ外辺部でキャット1個星隊を倒すのに命を捧げた。










自由世界同盟


保護領ガーディアンズ PROTECTORATE GUARDIANS
 氏族保護領の創設で、6つの星系がシーフォックス、スピリットキャット軍の保護下となり、事実上カバーできないほど戦力が薄く広がった。保護領創設時に合意した責務を果たすには、手早く戦士の数を増やす信頼できる方法が必要だった。幸いなことに、フォックスもキャットも頑固な氏族ではなく、地元のフリーボーン兵士を加える必要性を受け入れたのである。保護領ガーディアンズはその結果だ。

 伝統的な氏族のやり方で組織されている、この2個星団隊は、ほぼスピリットキャット士官たちに指揮されており、投資を守るため若干名のシーフォックス士官がいる。だが、部隊の大半は、保護領の各世界から集まった地元の兵士たちで構成されている。ガーディアンズに入隊するため、中心領域生まれの応募者は氏族とほとんど同じ水準の厳しい階級の神判を突破せねばならない。訓練は厳しく、氏族の教官はついてこられない者に同情などほとんど感じていない。だが、その結果、部隊は最高の氏族方式で訓練されているのみならず、保護領の世界に強いつながりを持っており、世界を守るインセンティブとなっているのである。

 ノヴァキャット反乱のあいだ、保護領のリーダーたちは、ドラコ連合宙域から脱出する意思を持つ全ノヴァキャット人に対し避難地を提供した。部隊内に中心領域人がいるにも関わらず、ガーディアンズ内の多くが反乱の支援を宣言したのだが、現在地、部隊規模、自由世界同盟内にいるのが優先されるという現実から、そのような援助は不可能であった。

 保護領の世界エンジェルIIにおいて、隣国のウルフ帝国が宣言した所有の神判が数度行われた。現状、帝国と同盟の間には停戦があるのだが、公式の合意の文言により、両陣営がこのような神判の実施を認めている。これまでのところ、ガーディアンズはウルフに対して良い戦果を残しているが、ガーディアンズ指揮官の多くは、神判で直面したのがウルフ帝国で最高の兵士たちではないのではないかと疑ってる。










ジェイドファルコン氏族

 中心領域に帰還してからの100年近くで、氏族は疑問の余地なく変化した。大規模に変わったのがゴーストベアとスノウレイヴンだとしたら、その対極にいるのはマルヴィナ・ヘイゼンだろう。氏族が最初に継承国家を侵略してきたときの悪魔的なイメージを体現しているのが彼女なのだ。

 だが、現在ジェイドファルコンに蔓延している狂気のルーツは、マルヴィナ・ヘイゼンよりもっと前にさかのぼるものだ。氏族長を目指していたヤナ・プライドとベケット・マルサスは、若い戦士の中で大きくなりつつあった派閥を奨励し、鼓舞した。スリップス、ジェセスの名前で知られる二つの派閥は、伝統的な侵攻派哲学に対するアプローチの仕方が異なっていた。前者は王家に対する積極的な強襲を支持し、後者は充分な準備の後でのより慎重な行動を提唱した。これらふたつの派閥の緊張が、リュエル・チストゥ氏族長の支配を揺るがし、ウルフに対する戦役が失敗に終わった後、3129年に退位の対象となったのである。マルヴィナ・ヘイゼンはスリップ運動の出身であるが、スリップ支持者が想像していたものをさらに超えるイデオロギーを採択した。

 マルヴィナは、スリップのゴール加えて、ヘルズホースのモンゴル・ドクトリンをファルコン的な独自の解釈の上に取り入れた。実のところ、両者のモンゴル思想は、名前以外に似たところがないものである。極端かつ派手な暴力を武器として使ったことは、かつてのスモークジャガーを思い起こさせるものである(ジャガーは悪名高い残虐さが故に、第二星間連盟の手で殲滅された)。だが、ジャガーがそのような戦術を敵に対して使ったところ、マルヴィナはそれを自氏族に使うのをためらうことはなかったのだ。

 そのような理由から、マルヴィナはプライド氏族長に挑戦して勝った後、大幅に小さくなった氏族軍に直面することになったのである。破壊された戦艦を氏族評議会の真上に落とすことで、反対派の戦士たちを大勢殺しただけでなく、一撃で戦力の大部分を掃討してしまったのである。これの後に続いたのが、ウォッチ(前任者の時代には事実上の秘密警察となっていた)による戦士階級粛正であり、ファルコンの戦力はさらにむしばまれた。ファルコン・リーチ内の戦力もまた戦士の浪費となったが、この場合はマルヴィナの政治的利益にもなった……リーチに移住した者たちの大多数がマルヴィナをよく思っておらず、マルヴィナの怒りに直面するよりは亡命を選んだ者たちだったのだ。

 氏族軍を再建するために、マルヴィナはいくつかの非正統的な手段に走らざるを得なかった。第一に、彼女は反乱の最中、氏族軍入隊を望むすべての下層階級全員に対して神判を約束しており、この言葉を守ったのである。かなりの新兵(候補生時代に脱落した者が多数)が流入し、マルヴィナにいくらかの余裕をもたらした。彼女がとった第二の手法は、有名なマーサ・プライドの時代に、すでに実証済みのものである……ウルフ氏族がいなくなったことで突如としてOZががら空きになったのを利用して、マルヴィナは年長のシブコ候補生たちを元ウルフ世界を巡るホース、ベアとの戦いに投入し、これを通常の階級の神判の代わりとしたのである。概して、これらの若い戦士たちは、マルヴィナの軍事的思想に好意を抱き、政治的な支援と軍事戦力の両方を提供したのだった。氏族軍への順応を容易にするため、マルヴィナは、デサントの間に兄弟のアレクサンドルが創設した混合星団隊のコンセプトを拡大した。マルヴィナが戦士の数を増やすためにとった最後の手段は、表向き同盟相手であるヘルズホースに対して収穫の神判を行ったことだ。これは最終的にホースにも利益をもたらした……マルヴィナが持っていった戦士の大半は、彼女の支持者であり、残されたホースの戦士たちはファルコンとの同盟が愚行であったと冷静に見ることができたのだ。

 傷ついたファルコン氏族軍を再建する仕事には5年近くを要した。このあいだ、アラリック・ウルフが台頭し、ライラ共和国とぶつかったことは、マルヴィナの注意を引いた。侵攻を決断したことによって、最初の中心領域侵攻以来の領土拡大という結果がもたらされた。ターカッドでしてやられたことで、マルヴィナはフラストレーションを抱き、占領した世界いくつかをめちゃくちゃに破壊し、彼女の支配に反対する者すべてに残酷に応じた。カランドラ・ケルによる電撃的な攻撃は、さらにマルヴィナを怒らせ、ヘスペラスII強襲によって氏族の力を見せつけることになった。ターカッド以来の作戦行動(特に価値あるヘスペラス工場を破壊するために喜んで核兵器を使ったこと)は、大勢の戦士たちを不安にさせ、マルヴィナが昏睡状態にあった数ヶ月のあいだに悪化していった。マルヴィナが回復し氏族の支配を取り戻した現在に至っても不安は募り続けるのか、マルヴィナの激怒の前にしぼんでいくのか、いまだ不明である。


第1混成星団隊 FIRST MIXED CLUSTER
 ジェイドファルコンによる共和国へのデサントは、ベケット・マルサスの指揮下で行われたのだが、ターキナ親衛隊と共に送られた2個銀河隊の指揮権は、シブコ兄弟であるヘイゼン二人の手中に落ちた……作戦の直前に、神判を行い地位を勝ち取ったのである。アレクサンドル・ヘイゼンは評判の悪いゼータ銀河隊をかけた神判を選び、このデズグラ部隊をファルコン軍内で尊敬される手強い戦力にするという大いなる挑戦を受け入れた。ゼータの戦士たちは寄せ集めであり、大半は新兵のエリー星団隊と全盛期を過ぎたソラーマ星団隊で構成されていた。両者の好ましくない部分を相殺するため、ヘイゼンは大胆な動きに出た。

 第1混成星団隊は、ヘイゼンのやり方の典型例である。ヘイゼンは銀河隊内にあるエリー、ソラーマ星団隊のすべてを解散し、新しい部隊群にまとめた。これら混成星団隊は、新兵に経験を積ませるのと同時に、老兵たちに命はどう使うべきかを思い起こさせるものである。このやり方で、ヘイゼンは戦士たちの弱点に対処し、強い銀河隊を作ることを望んだ。

 だいたいにおいて、彼の戦略はうまく動いたようだ。ゼータ銀河隊の各星団隊はデサントのあいだよく戦い、部外者(特に今回の遠征の共同指揮官)が予想していたところを充分に上回った。他銀河隊の正規星団隊からのちょっとした軋轢があったが、幾度かの不服の審判の後、不満は静まった。マルヴィナ・ヘイゼンがズテーテンに戻って以来、混成星団隊群はファルコン・リーチの防衛の中核となっている。とくに第1星団隊はノリトモ・ヘルマーの重要な星団隊となり、ウルフ、共和国、傭兵隊(ガラテアから襲撃に来る)に対して、強いところを見せている。










ゴーストベア・ドミニオン


第2ティール強襲星団隊 SECOND TYR ASSAULT CLUSTER
 元自由ラサルハグ共和国の地元民を、征服者であるゴーストベア氏族に統合するのは、相互利益の下いかに中心領域人/氏族人の関係を進展できるかの良い実例となるだろう。主にこの統合は軍隊によって促進されたものである。王家軍とゴーストベア氏族軍の統合は、初期にいくらかの問題が生じたが、両陣営の民間人に、なにも失うことなく共存が達成できるかを見せる役割を果たしたのだった。

 ラサルハグ銀河隊は最も古く、地元生まれの戦士たちが最も多い銀河隊であり、よって地元兵の指導的な役割を果たしている。ラサルハグ銀河隊の第2ティール星団隊は、氏族国境での勤務を望む地元ラサルハグ人の増加に伴い、第二次ドミニオン=連合戦争の後に結成された。第2ティールの創設は、もちろんのこと、氏族との連合に反対し続ける者たちの抗議を受けたが、大衆はだいたいにおいて好意的に受け取った。第2ティールは、氏族軍にふさわしいことを証明しようとしたが、残念ながら戦う機会自体がなかった。最初の実戦は辺境だったが、3110年代後半まで、他氏族との神判からは外され続けた。ウルフの第7戦闘星団隊が新造ヴァニル級(老朽化したオーバーロード級の代わりに第2ティール配備されたもの)の所有権を求めて挑戦を行ったことは第2ティールにとって不意打ちとなったのだが、防衛に成功し、装備を守ったのだった。

 3125年のモトスタンド(反氏族武装組織)復活の際、第2ティールはバルスタで第1スナッファナールを撃退し、反乱軍の戦士たちに致命的な一撃を見舞ったのだった。力と忠誠心の両方を証明した第2ティールは重要な国境線の駐屯を行うようになり、氏族部隊と共に配置されている。


第1ヴェガ正規隊 FIRST VEGA REGULARS
 3135年、ヴェガに到着したゴーストベアのオメガ銀河隊は、地元の市民軍が崩壊しており、複数の残虐な地方軍閥が惑星を制圧しているのを目撃した。しかし、一時的な首都に上陸してから数時間以内に、ベアは軍閥に対してゲリラ戦を行っている市民軍生存者の寄せ集めグループを紹介された。このグループの助けを借りて、ベアはヴェガを確保し、この元宙域主星を混乱に陥れた者たちを捕らえたのである。友軍の武勇を知らしめるべく、ベアによる臨時政府はヴェガ正規隊を作り出した。かき集めた兵器で武装し、ベア軍に訓練された地元部隊である。

 翌年にかけて、第1正規隊(インダストリアルメックで構成される。数ヶ月後に第2正規隊が装甲車両で立ち上げられた)はオメガ銀河隊の戦士たちと肩を並べて行動し、時には固い友情を結んだのである。3136年の後半、ドラコ連合がヴェガを奪い取ろうと動くまでに、ヴェガ正規隊はベアと並び立つ優秀な部隊となり、惑星に安全をもたらしたのである。連合の侵略が失敗した後、第1正規隊は回収した装備を使って、本物のバトルメックにアップグレードした。

 以降、第1正規隊は、ヴェガで最高の氏族でない防衛部隊となっている。ツポロフ=ホール大尉の指揮下で、彼らはヴェガ保護領内の各世界を回っている……氏族の影響力を受けた国家に加わることの利益を表現するためである。3142年、コンスタンスを訪問した際、第1正規隊はキンボールIIから来たジェイドファルコン軍の襲撃に直面した。戦闘は接戦となったが、ファルコンを疲弊させるだけ長く粘り抜き、ファルコンは奪いに来た資源無しでコンスタンスを離れたのだった。










レイヴン同盟


同盟海軍星隊 ALLIANCE NAVAL STAR
 外世界同盟への移住と、レイヴン同盟という国家への共生進化によって、3090年前後以降、スノウレイヴン氏族には専門の海軍輸送星隊が必要という教訓が生まれた。その翌年、ダイアモンドシャークのナガサワ氏族長が珍しい取引を提案すると、レイヴンの戦士たちは論争を行ったが、最終的に取引を受ける側に下りてきた。よってダイアモンドシャーク戦艦4隻と引き替えに、同数のエデンローズ海軍輸送星隊の船が交換された。(ポチョムキン級の)〈ボナヴァンチュール〉と〈エデンローズ〉は、独立輸送任務に配置転換され、新しく作られた同盟海軍星隊は4隻の改名した船――ナイトロード級〈リン・マッケナ〉、エセックス級〈マーシャル・ネイ〉〈ムラセン〉、フレダサ級〈クーカ〉――で構成され、ダンテに駐留する。だが、10年しないうちに、レイヴンは艦隊の大半をモスボールにし、〈リン・マッケナ〉と〈マーシャル・ネイ〉だけが同盟を象徴するために現役で残った。

 創設以来、同盟海軍星隊はたいていがドラコ連合の国境をパトロールし、何度も連合軍と小競り合いを繰り広げ、3095年から3134年の間、この星隊の所属艦が12回に渡ってマッケナホイール章を獲得した。スターアドミラル・ロレッタ・ギルモア(イクバル・ランケノーが3132年副氏族長に選ばれた後を継いだ)の指揮の下、同盟海軍星隊は中心領域の隣人二ヶ国に対する重要な防衛の一角をなした。

 モスボールされた艦隊の現役復帰によって、〈ムラセン〉と〈クーカ〉が戻り、加えてホワールウィンド級〈ウィリアム・アダムス〉が星隊に加わった。これらの船の統合はうまくいかず、訓練を実施するために一年以上同盟のスピンワード方面フロンティアに送られた。訓練を終えた後、彼らはこの地域での海賊狩りを続け、それから6ヶ月間どこかに消え失せて、ドラコ連合の恒星連邦侵攻と同時にダンテに再び姿を現した。


第4レイヴンウィング星団隊 FOURTH RAVEN WING CLUSTER
 第4ウィング星団隊のスターコーネル・マハーヴィーラは、スノウレイヴン氏族軍の中でも奇妙な存在である。ニューサマルカンドで生まれたマハーヴィーラ・デサイは、サンツァン兵学校に入学し、第1〈光の剣〉連隊ですばらしい戦闘機パイロットとなった。シルメックの戦闘でレイヴンに落とされた彼は、撃墜したパイロットに感銘を与え、ボンズマンとなった。戦士として受け入れられた彼は、すぐに第4星団隊のトップに上り詰め、3119年、スターコーネルに任命された。よって、25年にわたって、レイヴン氏族軍で最も腕の立つ――しかし逆説的に最も相手にされていない――航空宇宙星団隊が中心領域出身のフリーボーン戦士に率いられることになったのである。

 この第4レイヴンウィング星団隊を与えられた理由の一つは、レイヴンの多くがこの部隊を低く評価しているからである。聖戦の間、スノウレイヴンは5つのドラコ連合星系を手にする機会を得た……バレンティナ、ウェイソー、ブディンゲン、シルメック、グベラートである。聖戦と初期の再建が終わると、龍はこれら失われた世界の奪還に注意を向けた。第4星団隊はシルメックと他の惑星を失った責任を問われた。これによって、各パイロットの腕前が讃えられていたにも関わらず、部隊の評判は落ちたのである。リーダーシップの問題、チームワークの欠如などと言われたが、いずれにせよ、第4星団隊は不名誉な敗北に怪我されたと考えられた。

 だが、第4星団隊の指揮をとって以来、スターコーネル・マハーヴィーラは部隊の評判を取り戻すために多大な労力を費やしている。アレグロ、ディンダタリでのドラコ連合との衝突で、スターアドミラル・イクバル・ランケノーと緊密に活動したマハーヴィーラは、3132年にランケノーが副氏族長に選ばれると、この関係を利用して、一連のセカンドチャンス任務を得た。第4星団隊の戦闘機乗りたちは、これらの任務で十二分にその力と、勝利を達成するために団結できることを証明して見せた。彼らは腕前に見合った名声を与えられていないが、その目標に向けて明確な進歩があったのである。










辺境


ポエニ軍団 PUNIC LEGION
 マリア帝国の第5軍団が、ロシア連盟への取り扱い(特にドラゴンスレイヤーズの戦慄すべきウァレリウス強襲を容認したこと)に対して反乱を起こしたとき、ガイウス・ディルフォード大佐はすべてのロシア連盟人に、マリウスの圧政に立ち向かうよう呼びかけた。しかしながら、ロシア連盟がスフィア共和国に承認され、独立が達成されると(完全に保証されたものではないが)、彼は帝国軍に出頭し、裏切り者として軍法会議に身をゆだねようとした。部下たちはやめるよう懇願したが、ディルフォードは名誉の問題とした。3091年、4年の収監後、ディルフォード大佐は処刑され、第5軍団は帝国とのつながりをすべて断った。

 ロシア連盟軍に加入し、ローマの伝統的な敵から名前を取ってポエニ軍団と改名した彼らは、駐屯部隊となりロシアの世界を侵攻から守っている。たいていの場合、このような攻撃は国境をまたいだ単純な目標襲撃の形で行われるが、たまに行われる全面強襲はポエニ軍団と彼らが鍛えた地元兵士の断固とした防衛に直面する。3106年、皇帝カシウス・オレイリィはロシア連盟に教訓を叩き込んでやろうとついに決断を下し、ローガン・プライムで死ぬ結果に終わった。息子のルシアンも22年後に死亡し、その息子イグナチウスはマリアがローガン・プライムを二度と侵攻することはないと宣言した。ポエニ軍団はただちにローガン・プライムに司令部を作り、この星系を大規模な要塞へと変えた。もしマリアが侵攻しようとしても、もはやそれはできないであろう。

 60年間以上前に彼らはMHAFと袂を分かったが、ポエニ軍団はマリアの階級構造を使い続けており、それはロシア連盟軍の大半も同じである。最近、グランドミストレス・クラリッサ・ローガンは、階級の名称をローマ式でなくす委員会を立ち上げた。


サンパー強襲連隊 THUMPER ASSAULT REGIMENT
 かつて傭兵団サンパースだったこの部隊は、聖戦の暗い日々以来、フィルトヴェルト連合(放置された世界が恒星連邦から離脱し、独自の道を行った)に仕えてきた。警備のために雇われたサンパースは、傭兵のライフスタイルを捨てて根を下ろすことになり、世紀の変わり目までにより安定した存在となった。フィルトヴェルト市民軍の中核部隊として、改名し拡大したサンパー強襲連隊は、小国の軍隊に待望されていた戦力を与えた。これは特に恒星連邦国境で歓迎された……フィルトヴェルト人たちはいつか恒星連邦がやってきて力ずくで領土を取り戻すと信じているのである。

 侵略は起きなかったが、サンパースは国境世界いくつかにローテーションし、フィルトヴェルト連合の世界がひとつずつ恒星連邦に再加入するごとに持ち場を移していった。これらの世界は自発的に再加入したにもかかわらず(たいていは自分から持ちかけた)、フィルトヴェルト政府はAFFSがすぐにも国境を渡ってくると確信しており、サンパースは唯一の救世主だったのだ。連合の資源が限られていることから、残念ながら、サンパースは強襲級バトルメックに特化していたのをダウングレードせざるを得ず、かつて戦場で持っていたインパクトをいくらか減らしたのである。1個連隊にまで成長したことは、いくらかの穴埋めとなっている。

 現在の指揮官、ランジット・マッタ大佐(バック・トリップの娘の息子)は、スケップターナの都市国家タンジャーヴールの領主(ザーミンダール)の息子と結婚した。先の9月、ガーディナー大統領はサンパースをアンジン・ムエルトに送り込み、侵略するドラコ連合軍と戦うオファーを出した。彼らはまだ戦場には配備されていない。










傭兵

 聖戦が終わってからの数十年は、傭兵事業にとって、利益であり破滅であった。スフィア共和国とデヴリン・ストーンの政策の影響によって、傭兵が、中心領域、近隣辺境で仕事を得る機会は減っていった。一部の部隊、ケイオス・イレギュラーズなどは、国軍(特に元自由世界同盟所属国と辺境)に吸収された。だが、同時に、この政策によって国軍の規模が削減された結果、戦力が必要になった時には大量の傭兵を雇わざるを得なくなったのである。これにより、大半の傭兵が戦間期には仕事がなく、かろうじて食いつないでいたのだが、雇われたときは荒稼ぎとなったのだった。それは継承権戦争の時代に比べて競争的な市場になっていることもまた意味している。一部の部隊が良い仕事のすべてを得る一方で、そこに加われなかった部隊は残りカスをめぐって争うのである。HPGネットワークが崩壊した後、市場は急速に拡大した……誰もが、敵による日和見主義的な攻撃から身を守るために、先を争ったのである。ガラテアのような傭兵雇用世界は、前世紀の氏族侵攻以来の好景気に見舞われた。(ライラに雇われた竜機兵団、恒星連邦に雇われた第12ヴェガ特戦隊のように)大きな部隊はすでに長期契約に拘束されていた一方で、ケンタウリ第21槍機兵隊やローニンのようなフリーエージェントにあった部隊は、好きな契約を選ぶことが出来た。ジャンゴ・ジャニッサリーズのような小規模部隊ですら、困窮した国から儲かる仕事を保証されたのである。

 しかし、すべての有名な傭兵が通常の契約に身を置いているわけではない。ハンセン荒くれ機兵団は、小規模な仕事を続けた後で、ガラテアに踏みとどまることを選び、氏族のいかなる侵攻とも戦う決断を下した。志を同じくする傭兵たちを集めた彼らは、ガラテアを守るためだけでなく、格安で近隣の星系防衛を請け負うために、非公式の「ガラテア連盟」を結成した。我々が最初にこの連盟の存在に気づいたのは、3144年後半、レムナントがジェイドファルコンの強襲からガラテアを守ろうとしたときのことである。当初、我々の支援は受け入れられたが、戦闘がガラテア防衛側有利になると、もう必要ないので惑星から退去するように通告された。二ヶ月以内に、ガラテア連盟の使節が元領域内にあったすべての惑星統治者たちにコンタクトを取った。シールマとミザールはこのオファーに飛びついたが、メンケントは連盟からの代表をはねのけた。4月、メンケントにジェイドファルコンの駐屯部隊が到着し(惑星政府は諸手を挙げて歓迎したようだ)、いわゆるカーンウェス連合と似たような状況に置かれた。

 中心領域の他の場所では、落ち着きのない傭兵たちが、現代の混乱状況を利用して、長き慣習を変えた。ウルフ竜機兵団(アウトリーチが破壊されて以来、ライラ共和国のアークロイヤル地区を基地にしていた)は、契約満了に伴い、船に飛び乗った。竜機兵団の若い世代の多くはジェイドファルコンと戦うのに飽きており、竜機兵団が傭兵業界で最高の部隊であると万人に示したがったのである。ドラコ連合と結んだ新しい契約によって、チャンスが与えられた。彼らはほとんど単独でドラコ・リーチ(50年にわたって恒星連邦とのあいだで争われていた中間地帯)を征服することによって、雇用主に報いた。次に、彼らは第四次継承権戦争とはまったく逆の役割を果たした……ドラコ連合がノヴァキャットの反乱に拘束されるあいだ、恒星連邦との国境を守ったのである。これらの戦役によって、停滞していた竜機兵団は蘇った。そして恒星連邦への侵攻の先陣に立つことでそれをさらに証明したのである。

 その後のハンマーフォール作戦と氏族のライラ共和国侵攻において、傭兵部隊は腕を磨く機会に恵まれたが、業界全体に多大な犠牲がもたらされた。ハンマーフォールの作戦区域内の世界いくつかで、傭兵部隊はふたつの国の代理としての役割を果たし、時折、破滅的な結果に結びついた。わかりやすい例のひとつは、プロミスド・ランドでアヴァンティ・エンジェルスがカークパトリック・インヴェーダーズに負けたことである。ライラの雇用したインヴェーダーズは、長く残虐な戦役を行い、エンジェルスが再建できるかは謎となっている。ターカッドへの進軍でマッド・マルヴィナの軍勢がどれだけの小規模、中規模傭兵部隊を倒したかは定かでないが、その中でも最も有名な損害はケルハウンドである。軌道爆撃でほぼ完全に殲滅され、生存者たちは向こう見ずにも侵略者に身を投げた。ジュリアン・ダヴィオンが落ち着かせなければ、カランドラ・ケルは一族の部隊を忘却に導いていただろう。


ウルフ竜機兵団
 中心領域と氏族で最も有名な傭兵部隊は、この50年で大きな変化を迎えた。本拠地を保有していた巨大な組織から1個連隊にまで減少した彼らは、聖戦以来、アークロイヤルを故郷と呼んでいる。大部分はケルハウンドと(放浪)ウルフ氏族のおかげで、一部はライラ共和国のおかげで、竜機兵団は今日まで生き延びたのだ。支援の礼として、竜機兵団はライラ国境でジェイドファルコンと戦うことに時間の多くを費やした。たまに元自由世界の国境で活動したことで、馬鹿のひとつ覚えになることは避けられたが、それでもなお、3130年代にスパーズ(拍車派)を名乗る兵士たちの数が増加し、ウルフ竜機兵団がいまだに傭兵のトップだと証明するチャンスを求めてアジテーションを行った。

 指揮官を竜機兵団内部から選ぶ(ウルフ一族の血筋ではないが)ことで、部隊の再建はゆっくりとしたものとなった。竜機兵団の伝統通り、聖戦後、大勢の戦災孤児を集めて人材を確保し、ライラとの高額な契約条件で優れた装備が保たれた。ガンマ連隊が名簿に戻った二番目の連隊となり、アルファはもっと事務的な役割に移ることができた。30年後にベータが復帰したが、訓練連隊から現役任務に移ったのはごく最近のことである。アルファの3個大隊のうち、第1大隊(悪名高いブラックキャット大隊)のみが、実戦部隊である。第2大隊は訓練部隊で、第3大隊はブラックキャットの交代要員置き場としての役割を果たす。ウルフ竜機兵団の戦力の多くは、数個独立打撃大隊にある。スパイダーウェブ大隊、タランチュラ大隊、ウルフズベイン大隊は、耐久力よりも速度と打撃力に重きを置いた諸兵科連合中隊群で構成される。ウルフズベイン大隊は、当初のドラコ・リーチ戦役後に結成され、他の部隊とは違った機体を配備する……ダヴィオンの回収品が装備の大半を占めているのだ。ベインは間接砲を内部に統合した唯一の大隊である。


ケルハウンド
 表面上は傭兵なのだが、ケルハウンドは長きにわたってライラとの独占契約を続け、事実上の王家部隊となっている。聖戦が始まる前から、彼らの任務はジェイドファルコン氏族からライラ共和国を守ることであり、その分野で実績を残してきた。ファルコン国境線上の世界の主は変わっていったが、ケル・ハウンドやアークロイヤルを本拠に活動する傭兵部隊のおかげで、数十年にわたり全体的なバランスは守られ続けたのである。当然、マルヴィナ・ヘイゼンのゴールデン・オーダンによって、戦略的な状況は取り返しの付かないところにまで変化した。当初、ハウンドの指揮官たちとケル大佐は、ファルコンOZ内でのヘイゼンの動きに注意を払い、この危機に先んじて資源の移動を始めた。オーダンがついに国境をジャンプすると、ハウンドはすぐに正面から衝突し、この数十年間やってきたように守護派ウルフと肩を並べて戦った。マルヴィナの前進を押しとどめようとするすべての前線で、彼らは深刻な損害を出した。ティムコヴィッチで連隊の大半と全指揮幕僚が死んだことは、ケルハウンドに対する致命的な一撃になると思われた。ライラ共和国中のメディアはハウンドの死を報道した。

 だが、ターカッド争奪戦の後、部隊は復活を果たしたのである。カランドラ・ケル(エヴァン・ケル大佐の姪)が、強化大隊を作るのに充分なハウンドの生存者を集めた。ファルコンとホースに奪われた世界を叩いた彼らは、ファルコンをライラ中心部から引き上げさせるための一撃離脱戦を行った。カランドラが強大な氏族相手に驚くべき成功をしたことから、マルヴィナは自らの力を示すため、ヘスペラスを奪う計画を立てた……これによって幸運にもケルハウンドが対面する守備部隊が減らされ、任務が容易になったのである。ライラ共和国には、カランドラが攻撃した世界を奪還するだけの戦力を欠いているが、ケルの攻撃によって占領された地域の統合を妨害することが出来た。


ウルフ・ハンターズ
 アナスタシア・ケレンスキーがカル・ラディックからスティール・ウルブズを奪った際、アナスタシアが独自の道を進むことを予期した者たちはほとんどいなかった。最初の征服が不首尾に終わったことで、彼女は戦術を変更する決断をしたようだ。第一次スカイア争奪戦で共和国軍を救出することから始めたケレンスキーは、征服よりも防衛に目を向けた。ガラテアに到着してもスティールウルヴズの進化は続いた。ここでケレンスキーは冷酷に部隊の削減を進めた。彼女の厳格な(多くの場合は謎めいた)基準に直面して失敗した者たちは即座に解雇された。残ったわずかな者たちは、チームワークと複数の専門分野のトレーニングを数ヶ月ぶっ続けで行った。新名ウルフハンターズが準備万端となるまでに、ケレンスキーは部下たちを一般的でない傭兵部隊に作り替えていた。

 旧スフィア共和国地域(Territories)で幾度かの契約をこなした後、ハンターズはウルフ氏族の移住攻撃に対する防衛の要として雇われた。ここで成功したことにより、3141年、ウルフがライラ共和国に刃を返したとき、ライラに雇われることとなった。しかしながら、ケレンスキーが防衛の指揮をとりさえしたのだが、彼らはウルフの進撃を止めることが出来ずに、ケレンスキー自身もスモルニクで捕まったのである。

 アナスタシア・ケレンスキーがハンターの指揮系統を珍しいものにしたことで、戦場では柔軟性が増加して、大きな優位となっていたのだが、ケレンスキーが捕まったことで深刻な欠点もあらわになった。アルファの下にはっきりとした指揮系統がないことから、だれが指揮権を受け継ぐかが決まっていなかったのだ……ケレンスキー自身に加えて部隊の2/3近くを失っていたハンターズは、指揮権をかけて短いが暴力的な争いを行った。ドラガン・フレッチャーが他の挑戦者たちを下したころには、ハンターズは再び共和国の仕事に押し込まれていた。この二年間、彼らは一連の国境襲撃でジェイドファルコン軍と交戦した。だが、LCAF内の多くが彼らを疑ったままであり、国家主席とシュタイナー最高司令官の無理強いによって雇用名簿に残っているだけなのである。










カペラ大連邦国の人物





ダナイ・リャオ=セントレラ DANAI LIAO-CENTRELLA

階級/地位:少校、第2マッカロン装甲機兵団、第3大隊
生年月日:3108年(3145年時点で37歳)

 ダナイ・リャオ=セントレラの人生に関する大半は謎である。母親のナオミ・セントレラは、三人目の子供としてダナイをなしたときは70歳近く、中心領域全体を驚かせた。ダナイは幼少期の大半をカノープスで育った。いつも母親の近くにいたのだが、叔母であるエルデといることのほうが多かった。母親のナオミが子供にまったく興味を持たず、関わろうとしなかったことを識者は言及している。娘に対して時間を使いたがらなかったようだ。ダナイにとっては幸運にも、エルデ・セントレラはダナイに最高の教育と人生経験を与えることに全力を注いだ。3110年の聖アイヴスで、ダナイは従兄弟であるカイ・アラード=リャオと会い、いくらかの親交を結んだと思われる。3年後、死亡したカイの遺言により、ダナイの成人時に彼の有名なセンチュリオン・バトルメック、イェン・ロー・ワンを譲るとされたのである。

 19歳のときに、ダナイはカペラ大連邦国から姿を消し、イェン・ロー・ワンに乗ってソラリスVIIに現れた。カイの足跡をたどったダナイは、アリーナで名をなし、カペラ人社会でちょっとした波紋を引き起こした。おそらくはチャンピオンの器でなかったのだが、兄によってシーアンに呼び戻され、CCAFに入隊させられたとき、彼女はまだうちひしがれていた。ダナイはマッカロン装甲機兵団を自分の部隊として選び、すぐさま第2MACの第3大隊指揮官に昇進した。

 カペラの共和国侵攻以来、ダナイは前線で目立つ場所に居続けた。外交使節でオリエントに行ったため、一時的に任務から離れたのだが、戦役を続けるべく戻った。ダナイは恒星連邦強襲で急先鋒に立ち、ニューヘッセン征服のあいだ、らしからぬ残忍性を示したのだった。





ザビエル・マッカロン XAVIER MCCARRON

階級/地位:上校、マッカロン装甲機兵団
生年月日:3064年(3145年時点で81歳)

 ラムセス・マッカロンがビッグマックの大隊指揮官に昇進した直後に生まれたザビエル・マッカロンは、この有名な部隊の周辺で育ち、聖戦以降に浮き沈みの両方を経験した。早い段階で、ザビエルはいつの日か全部隊を指揮することを決意しており、アーチボルト・マッカロンの孫というだけではない資格を得るべく行動を始めた。ザビエルはサーナ軍事養成校で良い成績を残し、クラスのトップで卒業した。

 スフィア共和国創設の際の戦争に参加するには若すぎたのだが、ザビエルは第2MAC強襲小隊の地位を確保し、大連邦国のその他多くの敵に対して自らを証明した。ヴィクトリア戦争中は、大隊指揮官として、めざましい撃墜記録を残し、戦略的な洞察によって戦略司令官から表彰を受けたのだった。3109年、MAC全体の指揮権が空いたとき、ザビエルはその生まれと実績の両方で、唯一の候補となったのだった。

 3111年に始まったカペラ・クルセイドでマッカロンは部下たちを率い、フーナン、ニューアラゴン、ハロランVで勝利をもぎ取り、その後、カンスーで不動のRAF防衛軍とぶつかった。全力を尽くしたにも変わらず、この惑星は六ヶ月経っても征服されないままであり、3113年5月、全面停戦によってMACは努力の放棄を余儀なくされた。マッカロンはこの結果に失望したが、公に新首相の決断を支持したのだった。

 現在、80代であるザビエル・マッカロンはCCAFの最長老であり、数十年におよぶ深い経験と、いまだ衰えぬコクピットでの技量で評価されている。息子のサイラスを後継者として育てているところだが、引退する兆候は見せていない。










ジェイドファルコンの人物





マルヴィナ・ヘイゼン MALVINA HAZEN

階級/地位:ジェイドファルコン氏族長
生年月日:3103年(3145年時点で42歳)

 狂気というものには、目に見えるものや表に出ないものなど、多くの形がある。目に見えるものであっても、なんらかの理由で見過ごされてしまうことがある。マルヴィナ・ヘイゼン、病んだチンギス・ハンは、氏族戦士の常識を越えた残忍な暴力によって、初期症状を表した。小柄であるためにシブコで苦しめられてきたマルヴィナは、シブコ兄弟のアレクサンドルの助けと暴力の才によって、やっていくことができた。初期から敵を生かさないことを学び取り、それが人生を通しての主義となった。

 階級の神判を通った後、マルヴィナはホースが持つモンゴル・ドクトリンのファルコン版に精通するようになり、自らの道徳観にあった哲学を見いだした。過剰な暴力を道具として使うというコンセプトが最初に見られたのは、ヴォータンでの労働者の反乱中であった。当時ブラッドネームを持たないスターキャプテンだった彼女は、5000名の男女、子供の殺害を命じたのである。この事件は、氏族内でのモンゴル運動の最前線に立っているとの評判を与えた。

 ヤナ・プライド氏族長が、マルヴィナとアレクサンドルをファルコン・デサントの指導者に選んだのは、占領域から潜在的に強力なライバルを追い出すためだったと我々は疑っている。この戦役中、彼女の暴力性の全容があらわとなり、チャフィーやライドのような惑星が代価を支払った。スカイアでアレクサンドルが死んだ後、彼女の暴力性は指数関数的に増大した。ヤナ・プライド氏族長への挑戦時に彼女が取った行動は、仲間に対してでさえも喜んで牙を剥くということを示し、プライドの懸念を正当化して見せた。

 ベケット・マルサスの手で昏睡状態に陥ったマルヴィナは、目覚めてからの数ヶ月、安静にせねばならなかった。完全に回復したら、復讐が敵になされることは間違いない――氏族と中心領域の両方に対して。その凶暴性は、かつてのやり方が可愛く見えるものになろう。










ラサルハグ・ドミニオンの人物





ダリア・ベッカー DALIA BEKKER

階級/地位:ゴーストベア氏族長
生年月日:3081年(3145年時点で64歳)

 サタライスでクロウド・ディフェンダーのシブコに生まれたダリアは、階級の神判を最小限の成績で突破した目立たぬ戦士だった。彼女が得意とするのは、部下たちの鼓舞である。第6ベア正規隊で駐屯任務についたときにこれが活用された。任務に就いた直後、第二次連合=ドミニオン戦争が勃発し、第6ベア正規隊は、立て続けにノヴァキャット、クリタ兵、反乱ブラックドラゴンの攻撃を受けた。数で圧倒された第6正規隊は、ダリアの指導力により、援軍が来るまで持ちこたえることが出来たのだった。戦後、ダリアはベッカーのブラッドネームに推薦され、勝ち取った。

 ロー銀河隊の前線星団隊に異動となったベッカーは、昇進するために神判と挑戦を慎重に利用した。同時に、影響力のある戦士たちとの関係を深めることによって、政治的な下地を構築した。32世紀が20年を過ぎるまでに、彼女は氏族長に地位に就く寸前であった……必要なのは、トップにたどり着くための何かだった。

 それは、3125年、モトスタンドの復活という形でやってきた。ギャラクシーコマンダー・ベッカーはアルファを率いて反乱軍の拠点いくつかを攻撃し、ついにシーラ・アムダールをヴィッパーヴァに追い詰めた。ベアの脇腹に刺さった古いトゲに制裁を下したことは、ベッカーが求めたトップに至るための道であり、翌年、氏族長の選出に勝利したのである。

 ダリア・ベッカーの氏族長としての統治は、一種の逆戻りであった。彼女は、古い氏族のやり方への敬意に根ざす保守的な政策を推進したのだ。しかし、同時に彼女はデヴリン・ストーンとスフィア共和国への敬意も持っており、崩壊した第I宙域に治安部隊として3個銀河隊を送り込んだのだ。この尊敬の念により、ラサルハグドミニオンはブラックアウト後の混乱を利用しない唯一の勢力となったのだった。





ヒャルマー・ミラボーグ HJALMER MIRABORG

階級/地位:ラサルハグドミニオン国王
生年月日:3105年(3145年時点で40歳)

 ヒャルマーはアンダース・ミラボーグ(悪名高いアイアン・ジャールの従兄弟にして、自身も第二次連合=ドミニオン戦争の軍事的英雄)の唯一の子供である。3109年、国王として選ばれたアンダースは、年齢に達するとすぐ息子をゴーストベアのフリーボーン訓練施設に送り込んだ。31世紀初頭までに、ラサルハグの混合国家は、統合成功の公式となっており、ヒャルマーがシブコプログラムに入ったのは、数千人におよぶ地元の子供たちがシブコに入ってるのを反映している。その両親たちは、子供をエリートにする一手段として軍隊に入れるのを望んでいるのだ。ヒャルマー・ミラボーグは訓練でいいところを見せ、スターキャプテンで階級の神判を突破し、父のようにタイガ銀河隊に入った。

 これはドミニオンが平和だった時期のことであり、軍事的な手腕を見せられる機会はごくまれだったのだが、ヒャルマーはあらゆるチャンスをつかんだ。3125年のモトスタンド復活のあいだ、彼の所属する星団隊は数少ない壮絶な戦闘を経験し、プレドリッツで第2スナッファナールを撃破した。戦後、ヒャルマーは軍を除隊し、政治の世界に入った。年齢が若かったことからちょっとした批判を受けたのだが、彼は「現職国王のイェンス・ネガードはテロリストに甘い」というイメージを植え付けるのに成功し、世論を国王批判に傾けたのである。ドミニオン評議会は投票の結果、ネガードを免職とし、代わりとして人民はミラボーグを選んだ。

 ラサルハグ・ドミニオン第四代国王、ヒャルマー・ミラボーグは初めて氏族スタイルのシブコで育った国王であり、それは彼のリーダーシップに影響を及ぼしている。多くの点で、彼は選帝王というより氏族長寄りの振る舞いをしており、複雑な政治的問題の解決に、愚直な手法を取ることで悪名高い。これは地元ラサルハグ人と氏族民の両方から賞賛を獲得している。





ラース・マグヌッソン LARS MAGNUSSON

階級/地位:ギャラクシーコマンダー/アルファ銀河隊
生年月日:3112年(3145年時点で33歳)

 聖戦中、ゴーストベア評議会でマグヌッソンのブラッドネームが作られた際、ブラッドライトは当初10までに制限され、後に増殖の神判で遺産が追加されていった。ラースは、3111年、マグヌッソンのブラッドネームが25にまで達したときの二度目の拡大で生まれた産物である。ラグナー・マグヌッソンの第一世代の子孫として、ラースは貴人の血統に生まれたことをよく知りながら育ち、それがゆえ、中心領域の多くが好意を示してくることがわかっていた。ゴーストベアとして生まれ育ったことで、そのような考えは否定されるのだが、彼が持つ生まれつきの政治的適正は、国際政治の場では価値を持つかもしれないと認識されていた。

 スターコマンダーとして最初の階級の神判を突破したラースは、アルファ銀河隊に加入した。その時期の状況から、彼はほとんど実戦に参加することはなく、近隣氏族占領域のあちこちに襲撃を仕掛けるだけだった。彼の部隊は、ブラックアウトの前にベアが策定した非常事態計画の一部となり、ラースは多くの仮想シナリオに参加した。3134年後半、思いがけず、マグヌッソンのブラッドハウスが空くことになり、ブラッドネームを獲得するチャンスが訪れ、ギャラクシーコマンダー・コーリャ・マグヌッソンからの後援を受けた。

 新しいブラッドネームを獲得した戦士、ラサルハグ貴族の子孫として、ラース・マグヌッソンは、ヴィクター・ダヴィオンの葬儀で地球に行く氏族長のお供に選ばれた。ここで、彼は戦士としての気質を脇に置き、他の若い中心領域貴族たちと個人的レベルで関係を持つことが出来た。この友人関係があったことから、彼はドミニオンに戻る前に、スフィア共和国の味方として、カペラ人、上院議員の反乱と戦った。その間、アルファ銀河隊は第I宙域を安定化させるために展開されており、マグヌッソンはアルラキスで自部隊に加わった。アルファ銀河隊はヴェガ保護領の拡大と戦ったが、氏族長の命により、最終的にはオレステスに退却した。その後、マグヌッソンはギャラクシーコマンダーの地位を賭けて神判し、勝利した。










傭兵の人物





トーマス・ブラベイカー THOMAS BRUBAKER

階級/地位:ウルフ竜機兵団将軍
生年月日:3093年(3145年時点で52歳)

 ウルフ竜機兵団のシブコはこの一世紀にわたって豪華絢爛たる戦士たちを排出してきた。そのうちの一部は単なる優秀な戦士にとどまらず、別の分野でも才能を発揮した。トーマス・ブラベイカーはこのカテゴリーに入る者である。竜機兵団訓練プログラムをトップで卒業したのだが、戦場での手腕は恐るべきものだというのに、政治・管理能力の才に覆い隠され、常に目立たぬものとなったのである。

 竜機兵団としての最初の本格的な活動はタマリンド=アビーの国境であった。20歳のトーマスは実戦に参加し、勇敢さと腕前によって何枚かの感状を受けた。ドゥラクールのヘロンヒルを駆け上ったことはシエナ・キャメロン将軍の注意を引いた。トーマスが23歳でブラベイカーのオナーネームを勝ち取ったあと、将軍はブラックキャット大隊への転属を命じた。

 3125年にブラックキャット大隊の指揮権を与えられるまでに、竜機兵団内でのスパーズ運動は頂点に達していた。トーマスはスパーズ内に完全に身を置いたわけではなかったが、彼らの主張の中にある真実を理解しており、竜機兵団の未来はそこにあると分かっていた。やがて、若き少佐はスパー哲学の最高の支持者になった。3137年、キャメロンが引退した際に、ブラベイカーが将軍に選ばれたのは、彼らの支持におよぶところが大であった。

 指揮権を得たあと、ブラベイカーは竜機兵団の契約交渉の先陣に立ち、ライラ共和国を出るべきときだとすぐに確信した。彼は名高い傭兵部隊を率い、この一世紀ではじめて全戦力でドラコ連合に向かった。部隊内の一部は予期せぬ変化に不平を述べた。それ以降の竜機兵団の成功(特に恒星連邦国境での戦闘)は、数少ない批判者たちを黙らせたのだった。





エヴァン・ケル EVAN KELL

階級/地位:ケルハウンド大佐
生年月日:3083年(3142年時点で59歳、死亡)

 有名なケル一族は、ライラ共和国で特別な地位にある。単に数多い貴族王朝のひとつというだけでなく、中心領域で最も尊敬され賛美された傭兵部隊の後援者なのである。モーガン・ケルから始まる一族の家長たちは、本拠地アークロイヤルの統治者、ケルハウンド指揮官のふたつの役割を果たしてきた。モーガンの娘、ケイトリンが双子の息子を産んだことで、これらの責務が分割される機会が与えられた。エヴァンは軍人としてのキャリアを追求し、マーティンは政治的な道に進んだ。

 ナーゲルリンク卒業に際して、エヴァンはLCAFに入隊した。一族の歴史と評判から離れたところで身を立てるために正規軍の道を選んだのである。彼はジェイドファルコン相手に幾度もの防衛戦を行い、元自由世界同盟軍の星系いくつかを征服するのに参加した。31歳で彼は退役し、ハウンド内の指揮官の座についた。再び、エヴァンは実績をあげ、すぐマリア・アラード大佐に継ぐ地位に昇進した。8年後、イエグアスでジェイドファルコンとの戦闘中にアラード大佐が死亡すると、エヴァンは一族の地位であるケルハウンド指揮官となった。

 それから数十年にわたって、エヴァンの指導の下、ハウンドの任務はファルコンの攻撃から国境を守ることが主であった。アリーナ深浸透襲撃(エヴァンは左目を失った)など、ハウンドはウルフ竜機兵団と緊密に協力して活動した。

 エヴァン・ケルは結婚せず、放蕩者としての評判を楽しんでいた。彼の後ろには、男女問わず失恋した者たちが大勢残された。3142年のファルコン侵攻で死んだ時点で、ケルは未解決の認知訴訟を7件抱えていた。法定相続人がいないことから、残ったわずかなハウンド生存者の指揮権は、姪であるカランドラに託された。





カランドラ・ケル CALLANDRE KELL

階級/地位:ケルハウンド大佐
生年月日:3106年(3145年時点で39歳)

 カランドラ・ケルはかけられた期待と戦うことに人生の大部分を費やした。マーティン・ケル大公の娘にしてケルハウンド指揮官の姪として生まれたカランドラは、親だけでなく、有名な祖先であるモーガン・ケルに恥じない生き方をせねばならなかった。バトルメックの操縦でなく装甲車両を選んだことから、3129年にナーゲルリンクを追放されたことまで、時折、彼女の言動のすべては家族との関係を悪化させるためのもののように見えた。傭兵カークパトリック・インヴェーダーズ傭兵団、キース・ランゲンハース大尉との短く情熱的な結婚(ガラポートでの伝説的な酒盛りの結果)は、家族との仲を悪化させるだけに終わり、愛情がこもっているとはいえないあだ名"カラミティ(惨事)"に結びついたのである。

 だが、近年、カランドラは一連の破滅的な出来事に打ちのめされ、落ち着かないとならなくなっている。ジェイドファルコン相手にターカッドを失いかけたことは、すべてのケルにとって打撃となったが、ケルハウンドがほぼ完全に崩壊したことは、彼女を崖っぷちにまで追いやりそうになった。ハウンド生存者の中核を集めた彼女は、ハウンドの戦力再建のための時間が必要だという友人や家族の懇願を無視し、ファルコンOZとの国境沿いで無謀な作戦行動に突入した。新国家主席からの要請があったにも関わらず、ジュリアン・ダヴィオンはダヴィオン近衛隊を離れ、カランドラのエキゾチックな復讐冒険行に同行した。構成連邦内での状況変化によって、3144年、ジュリアン・ダヴィオンはカランドラのもとを去らねばならなかった。どの報告でも、両者は友好的に分かれたとのことで、カランドラはチャンスがあったらまた再会することを約束した。

 ヘスペラス攻撃のためにファルコン軍の多くが移動したので、カランドラのハウンドは大きな成功を収めることができた。だが、それが燃えるような心の痛みと怒りを静められるかは疑わしいものである。





ドラガン・フレッチャー DRAGAN FLETCHER

階級/地位:ウルフハンターズ、アルファ
生年月日:3104年(3145年時点で41歳)

 ヘルズホース氏族は、聖戦でデヴリン・ストーン合同軍と共に戦い、スフィア共和国が創設された際には若干の兵士を提供しさえした。ホース唯一の飛び地領土はルクバー北方の草原にあり、RAFで最も高く評価された歩兵たちを産出していた。だが、ドラガン・フレッチャーはこの飛び地領からではなく、もっと遠回りしてスティールウルヴズに入った。

 ハーヴェストのシブコで生まれたドラガンは、階級の神判を3人抜きで通過し、スターキャプテンの階級を得た。22歳でブラッドネームを勝ち取り、氏族内で重要な役割を与えられようとしていたそのとき、彼のキャリアは脱線した。3127年、ズーテルメールのウルフ氏族補給庫への襲撃で、ドラガンはボンズマンとして捕らえられたのだ。2年後、バリーニューア襲撃で、ウルフ氏族ベータ銀河隊の戦士として戦った彼は再びとらわれの身となった。今度は放浪ウルフである。再び、ドラガンはその腕前によって氏族軍内の地位を得て、ボンドホルダーであるアナスタシア・ケレンスキー(ブラッドネームを獲得したばかり)の下で4年間戦った。ケレンスキーが姿を消し、共和国内に姿を現すと、その意図を知るべくフェトラデル氏族長は1個星隊を送り込んだ。ドラガン・フレッチャーはこの中の一人だった。ケレンスキーがカル・ラディックからスティール・ウルヴズを乗っ取った直後に到着したフレッチャーは、元指揮官に望んで加わった。

 その後の数年で、スティール・ウルヴズの運勢は変化したが、フレッチャーは忠実な支持者であり続けた。戦友たちの多くと違って、彼はウルフハンターズの結成を支持し、ライラに雇われたことで、かつて属していた氏族すべてと戦う機会が得られたのだった。ケレンスキーがウルフ氏族に捕らえられると、ハンターズ内で指揮権を巡る争いが勃発し、フレッチャーが勝利を収めた。彼が保証しているにもかかわらず、LCAFは彼の長期的な忠誠心に疑問を持っている。










ミュゼウム・テクニカ(技術博物館)





昇るエルスター RISE OF THE ELSTARS

 複数氏族の科学者階級によって実施された一連のプロジェクトは、戦士階級の中核をなす優性プログラムの中で重要な部分を占める可能性を秘めている。これらのプロジェクトは包括的な名称を持っていないが、生産された戦士たちは一般に、エリート・リスター、あるいはエルスターと呼ばれる。ジェイドファルコンで始まり、次にウルフに、10年以内にゴーストベア、もしかしたらノヴァキャットに広まったエルスターは、「氏族の出生システムには不必要な制限がかかっている」という信念を持った氏族科学者によって始まった。

 その前提条件となっているのは、三世紀におよぶ優生学で抜本的な変化が生まれてきたたにもかかわらず、人体の形状から大きく離れるのを避けてきたことにあるようだ。この制限(鋼鉄の子宮・選ばれた出生・厳しい訓練プログラムは、単に自然淘汰の力を加速し、方向付けるだけという氏族の見方に基づくもの)は、すでに手に届くところにある生物学のさらなる発展を妨げているという。もしこれが本当なら、エルスターを生み出した目的は、単に氏族戦士階級で最も有望な血統を使い、結果を吟味して外れを取り除くことで優秀なメック戦士を作るということのみならず、ヒトゲノム自体を直接いじることによって、より積極的な役割を果たすことにある。

 詳細は氏族やフェノタイプによって様々だが、基本的な思想は、各エルスターがそれぞれの戦闘任務に最適の肉体を取ることである。たとえば、戦闘機パイロットはこれまでに見られてきた若干増加した頭蓋内容量、大きな目、小柄な骨格だけではなく、大きな加速、気圧差、微重力環境に耐えるための、人工的に強化された心肺システムと強化骨格を持っている。これらとその他の特徴(同じく人工強化されたもの)によって、未来のエルスター・パイロット・フェノタイプは、通常の人間に比べて、ほとんどエイリアンのような外見になるかもしれない……遙かに低身長で、肥大化した頭部と胴体、大きすぎる目、手足は退化してほとんど名残のようなものとなるかもしれないが、いまだ予想不可能の筋力と敏捷性は持っている。同じく、エルスター・メック戦士もまた作り直されるかもしれない……肉体は敏捷性と反射神経が最大に強化され、頭蓋骨は神経ヘルメットインタフェース用に整形され、肌と神経は高熱に耐えられるように強化される――おそらく、成人であっても完全に無毛となりさえするだろう。エルスターのエレメンタルは、もちろんのこと、本物のモンスターとなろう……現在のエレメンタルが小さく見えるような筋肉量となり、さらなる筋力と負傷への耐性、そしておそらくは、撃ち合いの最中にもっと勇敢な行動が取れるように、痛みを消し、治癒能力を強めるのだ。

 これら新しく、強化されたエルスターのフェノタイプの最終的な形態は、まだ不明である。各エルスタープログラムは初期段階にあり、それぞれの異なった目標を達成するために異なった幅広い血統を使っているようだ。現時点で我々が確認している限りでは、故郷である氏族内でさえも、最初の世代のエルスター戦士たち(我々が知っている者たち)は、仲間の戦士たちから冷たい目で見られているようだ。なぜこうなるのかは、強化されているという性質によるものか、氏族の「基本的な」戦士への脅威になるからか、さもなくばエルスターを生み出す科学者に向けられた不安のようなものがあるからかもしれない(我々のエージェントが耳にした、聖戦中の「野蛮な実験」という相当な言及を考えると)。

 これまでのところ、エルスターは有望なところを見せているが、決定的な結果を出しているとはとても言えない。戦場に出たエルスターはほとんどの場合、伝統的な戦士よりも少なくとも若干は優秀であることを証明した。氏族に実験を続ける気がどれくらいあるかは、現時点で不明であるが、いくつかの証拠が示すところでは、プログラムを担当する各氏族の科学者たちは、トラブルが引き起こした反発に直面し始めている。ジーンカーストの伝説はさておき、人類は(例え優生学で動く氏族社会でさえも)単純にまだ科学をそこまで推し進める準備が出来ていないようだ。





コロッサスの闊歩

 フォートレスの壁が閉ざされて以降、元共和国領内からもたらされる報告の中で、最も奇妙なのは、いわゆるコロッサス級メックに関するものである。3136年前半に最初の遭遇があったこれらの怪物たちは、アマチュアの撮影した写真がマスコミに出回ったときには、意図的なデマか、ブラックアウトのヒステリーに過ぎないものと見過ごされた。その後、イルテックの分析と、追加のビデオ、ホロによって、これらのマシンが本物であると証明されたが、実在を信じるのは難しいことであった。それから約10年、フォートレス外のアナリストたちは、かつてより多くを知っているわけではない。

 公式の名称がないことから、我々はメディアで人気の「コロッサル」級という名前を受け入れている。レムナント軍は少なくとも四機種の派生型を目撃するか、報告を受け取っている。それぞれの派生型は、既存の大型バトルメックを小さく見せるような高さとおそらく重量を持つ。実際のトン数はもちろん不明であるが、ビデオと地震計の推測から、125トンから135トンのどこかであると推測される。地球陥落末期にワード・オブ・ブレイクが使っていた悪名高きオメガ・スーパーヘビーよりも軽いのだが、コロッサルはあきらかに速度が大きく劣っている。奇妙な三脚設計の結果であるようだ。

 実際、巨大さと重量を組みあわせたコロッサルの最も目立つ特徴は、その三脚なのである。ワードのオメガは巨大だった一方で、通常の二脚バトルメック仕様であった。コロッサルの設計士たちがなぜ二脚か四脚を選ばなかったのかは不明だが、部下たちの中には、継承権戦争後半にブルックス社が生産していた旧式のスリーマン掘削機と数カ所の類似点があると指摘している者たちがいる。このスーパーヘビー・インダストリアルメックのように、コロッサルは3名のパイロットを使っているが、それぞれがカバーする職分(あるいはそれぞれの持ち場に冗長性があるか)は明らかとなっていない。3名のオペレーター全員が、胴体の上にある大型コクピット内に座っていると外部から観測されている。そして上空偵察とカメラ映像によると、オペレーターたちは先進の全身冷却スーツかアーマーのようなものを身にまとい、正体を明かさないようにしている。

 性能面でいうと、コロッサルは兵器群で飾り立てているのだが、珍しいタイプの装備や、特定の勢力の特徴となっている装備は使っていない。基本的な武装は、胴体、両腕、三脚それぞれに分散している。追加の武装が4種類、戦場で目撃されていることは、4機種のコロッサルが存在するか、任務ごとに武装を交換するモジュラー技術を使っていることを意味している。技術の専門家たちは、後者はないとしている……コロッサルにはオムニ技術(外部接続装置、機械化バトルアーマー用の搭載箇所)のようなものがないように見えるが、これらマシンにまつわる謎の数々を考えると、テックの知識すらも無意味かもしれない。

 コロッサルの胴体(三本の脚の接続部分の上にある)の設計は、胴が自由に回転することを可能としており、360度の射界を提供している。さらに、胴体を移動したい方向に回転させるだけで、脚をそちらに動かすことなく、移動方向を変更可能なことが繰り返し目撃されている。この機動上の恩恵は、コロッサルに「狭いところで方向転換」する能力を与え、鈍重な地上速度を相殺してしている。もしかしたら、三脚が取り入れられた利用であるかもしれない。

 最初に登場して以来、コロッサル・メックと遭遇したとの報告を毎年何件か受け取ってきた。四種類のコロッサル――ゼウス、ヘラ、ハデス、ポセイドンと名付けた――は、いかなる記章をも付けておらず、同行する小規模な補助部隊も存在しない。幾度か、戦場から撤退したコロッサルが、特別に改造されたオーバーロード降下船(同じく外見からわかるものなし)に乗り込んでいるのが目撃されている。これら戦場の目撃例のうちいくつかは我々によるものだが、奇妙にも、謎めいたコロッサルを使う勢力とレムナント軍のあいだの戦いは少ないものであった。これが示すところは、彼らが共和国になんらかのつながりを持っているということであり、これらのマシンが実際にはフォートレスの壁の向こうにいる同郷者が関わっているとの確信にさらなる重みを与えるものである。











タッチポイント




タッチポイント: 広告通りのすばらしさ


「話は聞いていました、もちろん。世捨て人ではありませんから。ジェイム・ウルフと竜機兵団は、ほとんど超人で、無敵で、だれからも賞賛されるかあるいは憎まれることになる。中間というものがないのです。聖戦で完璧というオーラが薄皮のように剥がされました。彼らは普通の人間のように死に、ケルの用意した避難所に流れ着いたのです。我々はみなそう考えていました。ウルフ竜機兵団について子どもや孫に語ることが出来るとはとても思いませんでした。どうだったのか、聞きたいのでしょう?」

「こういう言い方をしてみましょうか……もし彼らが慈悲というものを持っていなかったら、こうして話が出来るだけ長く生きられなかったでしょう」

――DMMマーク・リチャーズ大尉、3140年のインタビューにて



状況
ガルウェイ
マーロウズ・リフト
ドラコ・リーチ、恒星連邦(紛争中)
3139年2月14日


 ウルフ竜機兵団の強襲で最初の犠牲となった世界は、マーロウズ・リフトであった。地元市民軍はこの攻撃を盗賊の襲撃と考えた。ザ・リーチにおいて、その種の攻撃は日常茶飯事であり、兵士たちの腕を磨く役に立ったのである。竜機兵団でさえも、市民軍の技量と気骨には驚かされた。

 戦いは竜機兵団の勝利に終わった。竜機兵団は自らがエリート傭兵であることを再び宣言することになり、若き戦士たちは戦意を募らせた。

 そして、いまや彼らはクリタ家の下で戦っているのである。


結末

 ISFが行った惑星市民軍指揮官の戦術分析に基づき、竜機兵団の小部隊が襲撃部隊に化けて防衛軍を基地から釣り出した。地元の兵士たちは、襲撃部隊の正体を看破するチャンスがほとんどなかった。

 ダヴィオン市民軍は激しく戦ったが、初日に指揮官が敗北し、捕らえられると、戦いの帰結は避けられないものとなった。指揮統制がほぼ失われると、市民軍は小規模な孤立部隊に分かれてしまった。竜機兵団は掃討するのに一ヶ月近い時間をかけた。マクシェーン大佐の脱出は、マーロウズ・リフト防衛に毛ほどの助けとならなかったが、竜機兵団がドラコニス・リフト征服を続けたので、ダヴィオンに価値ある情報をもたらした。








ミザリー帰還


「貴兄ら竜機兵団諸君は、この世界を崇め奉っていることだろう。かつて、この地で血を流したがために。我々リュウケンもそうなのだ。まったく同じ理由でもってして」

――トリ・イシハラ、リュウケン=ゴ指揮官、ウルフ竜機兵団連絡士官

状況
ハマー・バレー
ミザリー、恒星連邦
3139年7月29日


 ベネットIII襲撃が失敗すると、竜機兵団はリーチ中の防衛軍が新しい元気な部隊に増強されたのではないかと疑った。リュウケン=ゴとの共同作戦で、悪名高い世界、ミザリーに上陸したとき、彼らには戦う準備が出来ていた。竜機兵団とクリタ軍のあいだの緊張はいまだ高まっていたが、ミザリーは両軍がひとつの部隊として交戦した最初の地となったのである。

 守る第10アヴァロン装甲機兵隊は自信に満ちあふれていた。一ヶ月前にクリタ軍の襲撃を粉砕した彼らは、新ウルフ竜機兵団を片付けることなどわけがないと感じていた。ミザリーの殺風景な荒野で、ダヴィオン、クリタ、傭兵は、極限まで試されることになる。


結末

 交戦はゆっくりと始まった……両陣営が探りを入れたからだ。側面のクリタ斥候は竜機兵団が設置したキリングゾーンにアヴァロン装甲機兵団を招き入れようとした。そのたび、ダヴィオンは脱出に成功した。午後が終わろうとするとついに、傭兵たちはアヴァロン装甲機兵団が逃れ得る前に突撃をしかけた。リュウケンはAFFS軍の背後に陣取り、はさみを閉じようとした。ダヴィオンはこの動きを予想して、クリタの側面に突撃し、穴を穿ってそこから脱した。

 罠を逃れたダヴィオンは重い損害を被った。両陣営は次の一週間、小規模な小競り合いを繰り広げたが、3139年8月半ばまでに、アヴァロン装甲機兵隊はこの世界から退却した。

 ミザリーはクリタの世界となった。竜機兵団とリュウケンはあがないを見いだしたのである。








門の外


「戦術は偉大なものであり、戦略は本質である。だが、いかに計画がすばらしいものであろうとも、戦争は屈辱的になることがある。どんな軍隊であろうとも、いつかまともな選択肢のない最悪の状況に置かれてしまうものだ。こうなってしまった者たちは、降伏するか、立てこもるか、あるいは祈る。まともじゃない奴らは、突撃をしかけて、正面から敵とぶつかる。破れかぶれと言われることもあれば、英雄的であると呼ばれることもあるだろう。私ならこう呼ぶ。ウルフ竜機兵団であると」

――イジー・マシューズ中尉、ウルフ竜機兵団

状況
スキュラ・ゲート
グレンモラ、恒星連邦
3140年7月29日


 ウルフ竜機兵団がドラコリーチ諸世界の奪取に成功したことで、恒星連邦の逆襲がもたらされた。AFFSが連合国境で最高の兵士たちを集結させると、ウルフ竜機兵団は主導権を奪い取る準備を行った。目標となったのはグレンモラである……第2ロビンソン特戦隊に打撃を与え、恒星連邦最高司令部の頭痛の種をもうひとつ増やすためだ。AFFSには、まだ手中に残ってる国境世界を弱体化させる余裕がなかった。連合には、前線部隊の支援を送る余裕がなかった。よって、竜機兵団は独力で攻撃をしかけた。

 しかしながら、グレンモラは目標というより罠だったのだ。強襲した竜機兵団は、敵が自分たちよりはるかに大きいことに気がついた。休みのない戦いを強いられた竜機兵団は、スキュラズ・ゲートに立てこもり、助けを求めた。この小さな都市は、グレートリフトと呼ばれる重要な土地の南側入り口となっていた。数週間にわたり、占領したこの都市からの間接砲が、第2ロビンソン特戦隊を封じ込めた。弾薬の不足で、すぐに砲撃はやんだ。援軍が来るというかすかな希望を胸に、竜機兵団は敵に向かっての突撃を敢行した。これは、支援要員と歩兵を近くの丘に逃がす時間を出来るだけ稼ぐためである。


結末

 竜機兵団の突撃は、貴重な瞬間、ロビンソン特戦隊を戸惑わせた。傭兵たちは素早く接近し、すぐさまダヴィオン戦線を叩いて、突破した。ダヴィオンは建て直し、竜機兵団の退却を妨害した。都市の城壁と不動の敵軍に挟まれた竜機兵団は、時間と選択肢を失った。

 どうにもならないかに見えたまさにその時、運命が援軍という形で介入した。オーバーロード級が上空をホバー移動し、新たな兵士たちをダヴィオン陣地の真上に直接下ろしたのだ。リュウケンが竜機兵団を助けに駆けつけたのである。すべての陣地を迅速に掃討した後、侵攻軍はグレンモラを放棄し、回収品の戦争物資を積み込んで本拠地に戻っていった。




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