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作成:2008/06/19
更新:2008/07/09

クラウドコブラ氏族 Clan Cloud Cobra



 本拠地残留守護派。氏族内でも珍しい、宗教を信奉する一派です。また、航空氏族としても有名で、VTOL的な機動が可能なシルフ・バトルアーマーを開発しています。
 classicbattletech.comより。






クラウドコブラ統計

政治派閥: 守護派
首都: ホーマー
人口(氏族宙域): 5837万4000人(3060)
人口増加率: 2.2パーセント (84/60)
自給自足率: 87パーセント

指導者:
 氏族長: ディン・シュタイナー
 副氏族長: キーラン・ テリノフ
 ローアマスター:エレニ・リアズ
 科学長官:ゴラン(パスツール)
 商人代表:ジョシュア
 技術者長:フランコ
 先任労働者:ユウ

軍事:
 星団隊: 22
 軍艦: 15

氏族宙域:
 バビロン (26パーセント)
 ブリム (54パーセント)
 ホーマー (85パーセント)

タニテワールド:
 タニス
 アレクサンドリア
 スタチャ


 アルカディアに放された蛇の一種(地球産のコブラを元に作られた)から命名されたクラウドコブラ氏族は、対照の研究である。彼らは最も宗教的な氏族で、〈道〉(The Way)と呼ばれる全宗教の要素を秘めた概念に敬意を払っている。そして、彼らは最も遠回しで、最も政治的な氏族でもあり、〈道〉と守護派の思想を同一視し、己の政策を促進しようとしている。


歴史 History

 神秘主義、たとえ話、教義に覆い隠されたクラウドコブラ氏族の歴史は、創設者のウィンダム・ハティーブ(SLDF従軍牧師)を反映している。副氏族長、ラフェ・カルダーン副提督と共に、ハティーブは、氏族をひとつの結束した部隊に鍛え上げた。表面上は、文化的違いを脇に押しやったのだが、ハティーブは異なった宗教的、民族的背景を持つ兵士たちの理解を深めるために、幾度もの討論の場を持った。共にコブラたちは、中心領域の「未完本」運動に似た、新たな哲学を作り出した。それはすべての宗教の間に共通基盤を求めるものだった。ハティーブはこの非特定宗派のシステムを〈道〉と呼び、これがこの氏族の存在の根元的部分を形作ったのである。

 バビロンで酷く傷ついたのだが、この氏族はペンタゴン解放で目標を達成した。しかしながら、反乱軍によるある待ち伏せ攻撃で、氏族の半数が犠牲となり、航空部隊が軍内で多くを占めたのである。クロンダイク作戦後の内部抗争でこの氏族はさらに損害を被った。クラウドコブラは、ウルバリーンの運命を避けたが、内部の争いがさらに彼らを弱くした。このことは彼らに対する多数の襲撃をもたらした。目的はコブラが持つ最も価値ある必需品……技術的知識である。最も目立った襲撃者はコヨーテ氏族で、対襲撃戦と、コヨーテ軍の捕獲によって、ようやくオムニメック技術が得られたのだった。

 バーロック氏族に属する民間人と戦士の多数が盗賊階級に離脱した際、コブラはバーロックの忠誠派に同行して、強情な同胞たちを氏族の道に戻す任務に携わった。バーロックは違反者を罰したのだと主張し、この話は受け入れられた。その後、3058年にスターアダー氏族が嘘と証明することになる。

 2935年、コブラは栄誉に浴した……氏族長トビアス・ハティーブが大氏族長に選ばれたのだ。彼は10年以上統治し、クラウドコブラの大儀を大いに進めた。だが、2947年に起きた事件により、進歩は色あせた。ハティーブは前任者を殺したものとして有罪となり、氏族長会議に地位を奪われ、処刑されたのである。数多い共犯の容疑が立証されることはけしてなかった。

 この氏族が、侵攻派になるか守護派になるかを討論していた際、コブラ内のもうひとつの派閥分けが注目を集めた。主に宗教からなるこの派閥は、コブラ社会を分裂に導いた。これはファイアマンドリルを破壊したものと同じようなものだった。コブラはクロイスター(修道会)というグループに分かれ、一方のクロイスターは守護派を支持し、別のクロイスターは侵攻派を支持した。だが、〈道〉は氏族全体が守護派の政策を支持させるのを決定づけることになる。〈アウトバウンド・ライト〉が侵攻の引き金になった時、クラウドコブラは攻撃に票を投じたが、戦争遂行の戦力を欠いていたコブラは、入札に参加せず、侵攻派のクロイスターを怒らせ、内部の不和を招いた。

 スターアダー氏族がバーロックのぺてん(消えた人々についてと、暗黒階級との取引)の詳細を暴くと、クラウドコブラはバーロックの吸収の呼びかけの中で、最も声高な存在となった。審議中に彼らが毒舌をふるったのは、何か隠された理由があるからではないかと、多くの者たちに疑いを抱かせたが(おそらくバーロックの犯罪に関わっている)、もしかしたら元同盟者の裏切りに強い憎悪を抱いたのかもしれない。


社会 Society

 クラウドコブラの社会は、クロイスターと〈道〉の宗教を中心としている。戦士たちは聖職者、教師としての役割を持ち、他氏族よりも高い哲学的、神学的意識を求められる。クロイスターは〈道〉の解釈で分裂しているが、〈道〉への共通の信仰は不和を制限する役割を果たしている。その結果、ファイアマンドリルのような分裂した氏族で見られるよりも、強い内部の結束がある。

 クラウドコブラはボンズマンを受け入れるが、ボンズマンとして取られた者たちは、日々の生活の一部となっている宗教的論争を受け入れるのにしばしば困難を覚える。他氏族のアイソーラ(戦利品、捕虜)となったクラウドコブラが信仰を捨てることは滅多にない。従って、〈道〉を信じる小集団が多くの氏族に存在する。

 コブラの民間人は、クロイスターを通して、氏族の統治に限られた発言権を持っている。戦士に加え、各クロイスターは民間人の叙階された司祭を持つ。この者たちは(理論上)市民の利益を代弁する。だが、クロイスターはエリート主義的な団体で、下層の者たちの下働きを持って、階層の区分を強化する。事実上、クロイスターは政治的組織というより宗教的組織であると大多数に見なされており、日和見主義者は目的を果たすためにクロイスターを利用する。

 クラウドコブラの大半は実利主義的であり、目的(大部分が他の氏族には知られていない)の多くをそう簡単に達成できないと気づいていて、進んで長期的な展望を持とうとする。これはクロイスターの強みのひとつであるかもしれない。氏族人の大半が、現在か、せいぜい数年先を考えて計画を立てる一方で、コブラたちは数世代先の計画を立てているように見える。聖氏族長(ecKhan)を長とする各クロイスターは、目標達成に向けて積極的な役割を果たし、必要に応じて同盟を結んだり破棄したりする。

 コブラの技術的知識は氏族で最高のものだ。ダイアモンドシャークは現在の鋼鉄の子宮の技術を開発したと主張しているが、遺伝子工学の技術的知識の多くはコブラに由来している。軍事技術もまた発展しているが、その多くは新規開発でなく既存のシステムの改良である。


軍事 Military

 クラウドコブラは、歴史上の一連の大惨事の結果、比較的小規模な氏族軍を持つ。バビロンで大規模な損失を出したことから、残った戦力に集中、航空宇宙戦力を重要視している。

 航空宇宙戦力への傾倒は、地上強襲の前に、航空機を使って目標を「弱体化」させるなど、彼らの戦術を特徴づけている。だがその小規模な地上部隊は、我慢を強いられることに備えねばならない。地上部隊が行動に移る前に、空軍が任務を果たしてしまうかもしれないからだ。

 前線部隊内の採用枠はきびしく制限されており、最優秀な者だけが直接このような部隊に加入する。訓練修了生の大半は、各銀河隊に付属する予備隊に所属する。彼らは訓練された予備の兵士となり、主部隊の損失を埋めるその時に備える。

 この氏族は諸兵科連合ドクトリンに従い、通常歩兵、車両を使用している。だが、多くの部隊は定数を満たさず、バトルメックや気圏戦闘機で占められている。コブラのエレメンタル戦力は驚く脆弱である。


仲間と敵 Allies and Enemies

 クラウドコブラに真の敵はほとんどいない。〈道〉への信心は、自然と守護派勢力を同盟者としたのみならず、個々のクロイスターが侵攻派的見識を持つ自由を与えた。コブラはジェイドファルコンのような強硬な侵攻派ですら、単に「間違った方向に進んでしまっている」ものとして尊重する。唯一、コヨーテのみが敵である。

 だがこれはこの氏族に信頼できる同盟相手が少ないことも意味している。彼らは長年、バーロック氏族と協力し、タニテワールドなどで相互利益を分け合ってきた。そして、この関係はスターアダー氏族に移った。コブラ内で、スターアダー氏族とのパートナー関係は、新しい関係であると考えられている一方で、二者の間には数十年にわたり取引の提案があった。

 ダイアモンドシャーク氏族とスノウレイヴン氏族は、コブラの比較的重要でない同盟者である。前者は役に立つ商業的関係をもたらし、コブラに繁栄を与える。スノウレイヴン氏族はコブラと似たような軍事的方針を信奉しており、両者は情報と技術を分け合っている。

 知られていないのが、ノヴァキャット、放浪ウルフとの暗黙の同盟である。コブラは、良心とヴィジョンに身を捧げる我らの意志に賞賛を浴びせている。彼らにとって、〈道〉に対する真の証とは、大儀への強い信念である。


保有領土 Possessions

世界:6(すべて共有)

 クラウドコブラは広い領土を持っているように見えるが、6世界のうち3だけが「氏族宙域」の中にある。その他の3世界、いわゆるタニテワールドは、ケレンスキー星団やペンタゴンの外側にある。2965年に発見されたこれらの世界(元星間連盟植民地)は強制的に併合された。コブラ氏族軍は限界まで引き延ばされ、コブラはバーロック(後にスターアダー)の軍と契約し、鉱業権と引き換えに防衛の援助を求めることになったのである。

 大拒絶後に、コブラはその地位を強化しようと動いた。彼らはノヴァキャット氏族から膨大な資産を得た……その多くは、ノヴァキャットがコブラに撤退の支援を期待していたのに、占領軍となったものである。コブラはこの作戦行動(最も重要なのはブリム)を、コヨーテ氏族による攻撃を事前に防ぐために必要であるとして正当化している。







クラウドコブラ・クロイスター

 現在、19のクロイスターが存在し、それぞれ独自のシブコを作っている。


アナサズ Anasaz
 20世紀前に死滅した古代地球文明から名前を取ったこれら戦士たちは、神々、あるいは聖なる使者としての最も偉大な滅亡した祖先を崇拝している。彼らの至上なる存在は、三者一組である……第一にアレクサンドル・ケレンスキー、第二にニコラス、第三の要素として〈道〉だ。アナサズは執拗な守護派であり、孤立主義者である。


ジョシアン Josian
 ジョシアン・クロイスターは、氏族の初代族長、ウィンダム・ハティーブに起源をさかのぼる。ハティーブは、氏族長の地位を放棄したあとで、氏族の精神的支柱の再建に力を注いだ。かつて十字架像教会として知られたものの司祭だったウィンダムは、似たような信条の者を集め、それがジョシアン・クロイスターに発展した。ジョシアンはクラウドコブラ氏族軍内で最も熱心な侵攻派である。中心領域に帰還するのに加え、氏族中に彼らの道を広める願望を持っている。


カアン Ka'an
 29世紀前半にさかのぼれるもうひとつのクロイスター、カアンもまたウィンダム・ハティーブによって誕生した。ユダヤ(人類の記録にある最古の宗教)の伝統に基づくこれらの戦士は、最初に侵攻派の旗を揚げ、そして最大かつ最強の軍を持つ、最も声高な提唱者であり続けている。


コーラニ Quarani
 よく物静かで控えめと受け取られる、この最大のクロイスターは氏族内の政治で重要な役目を果たしている。彼らはその名を、統一された教義の最も神聖なる書、イスラムのコーランからとっている。彼らの穏やかな気質と守護派的視点はここから来ているようだ。もっとも、彼らが怒った時には止められないものとなるのだが。


トンゴ Tongo
 政治的に最も強力なトンゴ・クロイスターは30世紀の終わりにテレル・ンブタ氏族長がこの氏族の指揮をとって以来、クラウドコブラ氏族を支配した。クロイスターが生まれたのはその50年前のことで、サンタナ・ンブタ(捕らえられたスターアダーの戦士)が、ゆっくりと独特の教義を戦友たちに伝えていったのである。
 宇宙を絶対的なものとして崇拝するトンゴは、この視点を固く保持し続けている。これはたいていクロイスターの者を守護派支持に走らせている。彼らは必要以上の戦争を宇宙にもたらしたくないと願っているが、軍隊を使って猛烈に身を守ることだろう。








クラウドコブラの主要人物


ディン・シュタイナー(氏族長) Din Steiner

 ディン・シュタイナーは、カイレン・シュタイナー……ライラ共和国、ポール・シュタイナーの私生児で、800人の戦士の一人としてニコラスに選ばれた人物の血筋を引いている。かつて副氏族長で、トヴァ・ンブタ族長の弟子分だったディン・シュタイナーは、3037年のトヴァの死に際して、氏族長の座に上った。トンゴ・クロイスターの一員なのだが、ディンはその策謀から身を遠ざけるのにかなりの力を使っている。その代わりに、彼は大きな政治的権力をふるうのを好む(カイレン・シュタイナーの子らにはよくある特徴)。彼は中心領域侵攻は間違いだと信じており、氏族の侵攻が失敗したことは再び聖なる地を蹂躙するのを意味していると信じている。

 背が高く、痩身なディンは58歳の実年齢より老いて見える。彼の弱々しいイメージは、鋭い知性と、荒っぽい性格を覆い隠している。ここ20年以上、彼は軍事的作戦を率いていないのだが、その戦闘記録は彼がまだ完成された戦士であることを現している。彼はその巧みな政治的手腕によって、戦場に行く必要がなくなっている。


キーラン・ テリノフ(副氏族長) Kieran Telinov

 ディン・シュタイナーの弟子分、キーラン・ テリノフは、3051年、レイトン・ハティーブがバーロック氏族から自身の遺産を守って死んだ後に、その座についた。あらゆる点で氏族長の引き立て役となっている彼は、ジョシアン・クロイスターとその侵攻派的傾向に身を置いている。大討論の最終段階の際に、ベータ銀河隊の星団隊指揮官として、キーランはクロイスターの聖氏族長に選ばれると共に、シュタイナー氏族長の元に声高な集団を率いて、侵攻に投票するよう説得したのである。彼の技量はキーランを自然と副氏族長にした。彼の身長と腰が低いことを、多くは弱さのあらわれとして見るが、彼と戦った者は二度と同じ間違いを起こさなかったのである。


エレニ・リアズ(ローアマスター) Eleni Riaz

 ディン・シュタイナー氏族長はエレニ・リアズをガンマ銀河隊から引き抜き、自らの下につけた。彼女が若きリスターのスターコマンダーだった時のことである。2年後、リアズのブラッドネームを勝ち取った後、彼女は、聖氏族長、ギャラクシーコマンダーによるコンクラーベで、クラウドコブラ氏族のローアマスターに満場一致で選ばれた。その後13年間、彼女は地位を保ち続けている。彼女は頭の切れる戦術家ではなく、ローアマスターとしての在任中、実戦に参加してないのだが、組織と長期戦略に関する鋭い感覚を持っている。タナクル・クロイスター(35名のコブラ戦士による共同体と主張)の聖氏族長を勤めるのに加え、彼女は氏族の兵站と訓練を取り仕切っている。平均的な身長の彼女は、すみれ色の目を持っている。その驚くような色は遺伝子学的に強化された視覚の副作用である。


ジャアリ・ンブタ(聖氏族長) Jaali N'Buta

 クラウドコブラでンブタのブラッドネームを持つわずか三名のうちの一人、ジャアリ・ンブタは、スターキャプテンより上の階級に進むことはなかった。その代わり、彼は祖父サンタナ・ンブタが創設したクロイスターに人生を捧げている。3037年、トヴァ・ンブタ族長の死に際し、ジャアリはトンゴ・クロイスターの支配権を取り、現役の戦士から「引退」した。彼は氏族の内外で新たな同盟を結び、侵攻の呼びかけに反対したというのに、クロイスターの権力基盤を強固なものとした。氏族内での高い地位は彼に、ンブタブラッドネーム一族(残り22名はスターアダー氏族にいる)内でのちょっとした発言権を与えすらしている。ソラーマの中でさえも高齢と考えられる74歳のジャアリは、能力をまったく失っていない。彼は残った髪の毛をポニーテールにしており、それが禿頭を強調している。










3067年アップデート

 ケレンスキーの氏族で、クラウドコブラ氏族ほど謎に満ちた者たちはない。軍事的には氏族内で最小の部類に入り、もっと強い氏族の同志たちは、いくつかの理由から彼らを避けている。こうして、彼らは比較的邪魔されることなく、自分たちの進む方向を追求できるのである。この紛争と不確実性の20年の間でさえも、クラウドコブラはほとんど台風の目の中にいるままだった。彼らは物静かにして控えめなまますごし、それが他のもっと強力な氏族に飲み込まれるのを妨げたのである。同じ理由から、この氏族の完全な評価は難しい。以下の概要は、我らが知る限りの活動状況10年分である(氏族軍の現状を付記)。

ダーウィン・アレクサンダー、少佐、SLDF
星間連盟ハントレス大使付副官
ハーパー家・ウォッチ、トカーシャ領、3067年9月18日


密かなたくらみ QUIET PLOTTING

 ほとんどの本拠氏族が、スモークジャガーの殲滅と、ゴーストベア、ノヴァキャットの中心領域移住から利益を得ようとした一方で、クラウドコブラは軍事力を弱めるだけの共倒れの戦いに加わるのを潔しとせず、確保したのは短期的な小領土だけだった。その代わり、彼らは勢力範囲内の領土をおさえるのに集中したのである。

 最重要だったのは、クラウドコブラの本拠世界ホーマーにあったスモークジャガーの領地だった。ディン・シュタイナー氏族長はすぐに部隊を率いて、ジャガー飛び地領をおさえに向かった。スティールヴァイパーが、この世界にある小領土から迎撃を行った。この動きに奮起したシュタイナー氏族長は、スノウレイヴンの指導者と接触を持ち、ヴァイパーの攻撃を防ぐのと引き替えに、大きな利権を差し出した。ヴァイパーを痛めつける新たなチャンスと見たレイヴンは、ホーマーに上陸し、ヴァイパーの飛び地領を強襲した。レイヴンは最終的に撤退したが、彼らの攻撃はコブラが元ジャガー領を確保するのに必要だった救援をもたらしたのだ。

 時を同じくして、ノヴァキャットの撤退はブリムを魅力的な目標とした……ことスターアダーの、ロー銀河隊、ミュー銀河隊の一部がこの世界にはいたのである。コブラとアダーはノヴァキャットとの、短いが被害の大きい交戦を果たしたが、両氏族はキャットにこの世界から離れるのを許し、それからキャットの飛び地領を確保した。コヨーテ氏族部隊の到着は、コブラとアダーに、共通の敵と戦うさらなる機会を与えた。


余波 Aftershocks

 だいたいにおいて、クラウドコブラは、少ない益を巡って他の氏族が族長会議と戦場で戦うのから身を置き、傍観していた。彼らはホーマーとブリムで被った小さな傷をなめ、次の動きに備えた。それからまもなく、3062年の9月に、各クロイスターの指導者たちがバビロンに集まり、一ヶ月の宗教会議を行った。この会合に、氏族宙域や中心領域から数千の氏族人がやってきたのである。ノヴァキャットからの代表者、さらには中心領域の宗教の代表者までもが参加したことは、多くの氏族を怒らせた……ケレンスキーの遺産に対する侮辱と見なされたのである。

 コヨーテ氏族のローアマスター、クラリッサ・ジェリコに率いられた氏族連合軍が、バビロン会議(Babylon Diet)の中断と、コブラ指導者の打倒を狙って、クラウドコブラの飛び地領土に乱入した。この計画不足の動きは、クラウドコブラとダイアモンドシャーク(愚かで無益な攻撃と見た)からの素早い対応をもたらした。彼らはコヨーテの強襲軍を撃破し、その領土内に押し戻した。より重要な反響がその後すぐやってきた――ディン・シュタイナー氏族長が、コヨーテを非難する動きに出た際に、族長会議内で多くの仲間を獲得したのである。この非難は無意味なジェスチャーでしかなかったが、いくつかの面白い結果を生みだした。

 非難の動きに出てすぐ、シュタイナー氏族長はスティールヴァイパー氏族に対する攻撃を命じた……ヴァイパーの氏族長は族長会議で非難に反対の票を投じ、戦士たちはコヨーテのバビロン宗教会議攻撃で重要な部分を担っていたのである。この報復強襲はホーマーで行われ、2氏族を大規模な戦役に引き込んだ……スターアダー氏族の介入によってようやく決着したのである。最終的に、スティール・ヴァイパーはホーマーから退き、コブラとアダーのみが保有する世界として残した。

 さらに興味深いのは、コブラとブラッドスピリット氏族の間で進んだらしき関係である……ブラッドスピリットは、コブラの最も近い仲間、スターアダーの仇敵なのだ。バビロン宗教会議の後、2氏族の指導者たちは対話を持ったようで、スピリットがイルチ(大使の一種)を、スピリットの新型メック、クリムゾンラングール1個星隊と共に派遣することで決着がついた。確認は取れていないが、2氏族は諜報情報をいくらか交換しているかもしれない。ブラッドスピリットはこの関係をスターアダー氏族との紛争を補助するために使っているようだ……アダーがどう反応するかは不明である。


クラウドコブラ氏族軍 CLOUD COBRA TOUMAN

 バトルメック、戦車、装甲歩兵の数量では、クラウドコブラ氏族軍は全氏族の中で最弱である。だが、コブラの航空宇宙・海軍戦力偏重は、小規模な地上軍を補う以上のものがあり、この氏族を軍事力で中位としている。この氏族はここ6年でいくらか成長した。急増したダイアモンドシャークとの取引に加え、スターアダー氏族との関係に理由があるのは間違いない。だが驚くべきことに、氏族軍はこの成長から益を得ていない。


海軍戦力 Naval Assets

 クラウドコブラ艦隊は15隻の軍艦を持つ。イージス級2隻、キャメロン級1隻、キャラック級1隻、フレダサ級2隻、ローラIII級1隻、マッケナ級1隻、ポチョムキン級2隻、ヴィンセントMk42級2隻、ヨーク級3隻である。


クラウドコブラ親衛隊・予備 Cloud Cobra Keshik and Reserve

 トール・カルダーン(キーラン・ テリノフがジョシアン・クロイスターの手綱を握るため、辞職した後に、副氏族長に昇進した人物)の指導の下、2個親衛隊は完全な星団隊規模に成長した。それぞれが3個超新星隊、2個気圏戦闘機三連星隊を配備する。


アルファ銀河隊 Alpha Galaxy

 アルファはホーマーを巡る二度の戦役で多大な経験を得ると同時に、第243コブラガードを5個三連星隊(そのうち3個はメック部隊)に増強するのに充分な回収品を得た。


ベータ銀河隊 Beta Galaxy

 バビロン会議の間、ベータは第36戦闘星団隊と共に、コヨーテを驚かせた。3個メック三連星隊、三連超新星隊、戦闘機三連星隊が侵攻軍を足止めしている間、他の部隊がこの不名誉な強襲を押し戻すべく出撃した。3065年の後半、この銀河隊は交代でタニス星系の守備についた。


ガンマ銀河隊 Gamma Galaxy

 アルファのように、ガンマはホーマー戦役に参加し、戦場から渇望されていた回収品を得た。部隊はスティールヴァイパーをはじき出した後、ホーマーに駐屯した。ここで気圏戦闘機パイロットたちは、スノウレイヴン氏族、スターアダー氏族と実戦演習し、多大な経験を得た。


デルタ銀河隊 Delta Galaxy

 スターアドミラル・ホリーアン・カルダーンの指導下で、デルタは名声と戦力を築いた。ちょうど二年前に、スターアドミラルは第1打撃星団隊を現役の部隊リストに付け加えた。この星団隊は、1個重気圏戦闘機三連星隊を配備し、3個三連超新星隊と1個バトルアーマー三連星隊で支援する。同時に数個通常車両部隊が高速地上輸送を提供する。この部隊に割り当てられたメックは、すべてジャンプ可能な中重量級である。バトルアーマーはシルフ・バトルスーツだけを使う。この星団隊の戦士たちは空挺強襲を専門とし、敵が部隊所属降下船の数を見ていた時に有効な攻撃となりうる。コイル星団隊のように、第1打撃星団隊は専用の戦艦を持っていないが、それを補うために充分な強襲船を配備している。


エプシロン銀河隊 Epsilon Galaxy

 エプシロンは経験を積み、より強くなって、タニテワールドの任務から戻ってきた。第125竜機兵星団隊の追加によって、エプシロンは4個完全星団隊の戦力規模となっている。この部隊(そして一般にエプシロン銀河隊)は、タニテワールド発見100周年の式典で目立った活躍を見せた――間接的な報告によると、この祝日にどのような暴力や抗議も見られず、全住人が祝ったのだった。

 この星系を離れる前に、エプシロンはひとつの重要な事件に関わった。この事件において、アイスヘリオンの降下船2隻が破壊され、降下船もう2隻と航宙艦1隻が捕獲された。ヘリオン氏族長は、これらの船は関係を樹立するために向かった交易船だと主張した……クラウドコブラとスターアダーの報告は、これらの艦船は星系の一部を手にするのを目的に兵士を乗せていたと指摘している。


ゼータ銀河隊 Zeta Galaxy

 ガンマがブリムの駐屯についたのに伴い、ゼータはクラウドコブラの本拠地ホーマーに異動した。ブリムで数年を過ごし、スノウレイヴン所属部隊と同じ世界で勤務したゼータの戦士たちは、諸兵科連合と近接航空支援の複雑さについて、新たな洞察を得た。特に第116竜機兵星団隊は新たな要領を学んで、エプシロン銀河隊の第125竜機兵団と共有した。いまだ2個三連超新星隊を配備しているのだが、気圏戦闘機三連星隊のひとつが異動になり、プロトメック完全三連星隊を追加する隙間を与えた。




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