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作成:2003/02/20
更新:2007/08/28

放浪ウルフ氏族 Clan Wolf-in-Exile



 傭兵部隊ケルハウンドは、日本での知名度こそ低いものの、バトルテック世界の主人公格ともいえる存在です。3049年、ケルハウンド司令官モーガン・ケルの息子フェランは、辺境での作戦中、侵攻してきたウルフ氏族に捕らえられます。この若きメック戦士は、ウルフ氏族の中で能力を発揮し、やがて副族長の座にまで上り詰めます。
 元々、守護派(中心領域を導き、星間連盟を復活させようと考える一派)のウルフ氏族内では、侵攻派(武力で中心領域を征服し、星間連盟を復活させようと考える一派)が支持を集めつつありました。
 拒絶戦争の折り、フェランは大族長ウルリック・ケレンスキーの命令を受け、ウルフ氏族の守護派を率いて中心領域に脱出しました。
 「放浪ウルフ氏族」となったその集団は、新族長フェランの父親モーガン・ケルを頼って、ライラ同盟の惑星アークロイヤルに向かいます。
 classicbattletechより。







イントロダクション Introduction

 脱出したウルフ一党は、3057年の11月20日、ライラ同盟宙域に到着し、モルゲス星系に入った。惑星の防衛はケルハウンドの手にゆだねられており、我らのために戦力を温存していたのである。ウルフはケルハウンドの力を借りながら追っ手のジェイドファルコンを撃破し、11月のおわりごろにモーガン・ケルがARDC(アークロイヤル防衛戦線)を立ち上げるとそれに加わった。ARDCは我が家となった。我らの全員が死ぬまで戦って守ることだろう。



中心領域の守護派 Wardens of the Inner Sphere

 (放浪)ウルフ氏族は、3058年のほぼ全期間を拒絶戦争での損害回復に費やし、アークロイヤルに根を伸ばし始めた。アークロイヤルの大公(モーガン・ケル)はウルフに事実上人の住んでいない大陸を渡し、そこで市民階級はすぐさま氏族社会を築きはじめた。

 3058年の中ごろ、スターキャプテン・ラグナー(自由ラサルハグ共和国の元ラグナー王子)が、我が氏族の一員として、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンによるコベントリ攻撃に貢献した。氏族のやり方を良く理解していたラグナーは有用な情報を提供した。これによってファルコンは、ヴィクターからのヘジラ(逃避)を受け入れ、名誉を失うことなくコベントリから撤退したのである。そのあいだに、ケル族長と部下たちは、ARDCでのケルハウンドの巡回パトロールに同行し、ときどき占領域からはみ出たジェイドファルコンの部隊と衝突した。彼らには人員が不足しており、戦闘で損害を出すことが出来なかった。

 その年の終わりごろ、第一回ホイッティング会議にて、ケル族長はスモークジャガー氏族と戦うための会合に参加し、3059年にはラブリアにおいて3個星団隊を率い、第6ジャガー竜機兵団と戦った(ブルドッグ作戦の一部)。星間連盟の旗下で戦う第4ウルフガード、第1ウルフ軍団、第1ウルフ打撃擲弾兵隊が、ジャガー竜機兵団を撃破し、その生き残りをボンズマンとした。もう2個のウルフ星団隊がスモークジャガー占領域への強襲に参加し、他の6つの世界でジャガー軍を撃破し、一掃作戦の一翼を担った。

 中心領域を守るためにウルフの血を流したことで、いずれは隣人から受け入れられるようになるのを我々は望んでいる――中心領域の一部過激派との摩擦によってウルフは悩まされているのだが。これらのうちほとんどはウルフが捕らえたラグナー・マグヌッソン王子に反対するテロリスト・ラグナロクによるものだとされている……(放浪)ウルフの捜査は、ARDC内外の住人のなかでまだまだ手間取りそうなのだが。大公をはじめとするアークロイヤルの人々の大部分は満足しているように見える。



保有戦力 Military Assets

 第6ジャガー竜機兵団をほぼ完全に捕獲したことで、(放浪)ウルフ軍は大幅に増強された。第6隊を加えて、アルファ銀河隊は完全戦力に近くなった。エプシロン銀河隊は力を蓄えている途上で、3個三連星隊を各星団隊に含んでいるだけだ……ツカイードの戦いの前には5個三連星隊が配備されていた。我々の放浪に同行したシブコ候補生の年長組は最近成人し、戦士になるべく待機している。オメガ銀河隊の2個星団隊はアークロイヤルに永久的に駐留し、他氏族の攻撃(特に中心領域内の占領域で力を蓄えたもの)から(放浪)ウルフの要塞を守る。他の氏族のほとんどが(放浪)ウルフを憎悪の目で見ており、オメガ隊に配属された候補生たちは望むより多くの戦闘経験を積みそうである。その一方で、上層部とケルハウンドから優れたトレーニングを提供されており、ケル族長は中心領域への義務を果たせるだろうと確信している。

 装備に関しては、放浪ウルフ最初の新型メックが3060年に登場し、またケルハウンドと交換協定を結んで、(放浪)ウルフが必要とするマシン・補給物資を得た。加えて、ウルフの科学者と技術者がケルハウンドとともに働き、最近、中心領域技術をベースとした新型オムニメックを開発した。この非常に用途の広いメックと、氏族製バトルメックを交換するウルフの駐屯部隊戦士もいた。

 (放浪)ウルフはユトレヒトでゴーストベア氏族に対する行動を起こした。再建を続けるために必要としていた物資と資源を得るためのもので、被害は少なくて済んだ。第1ウルフガードは新たに到着した「箱船」(リバイアサン級戦艦)に挑戦した。この船には工場施設を作るための組み立て式建築物が積まれていた。ゴーストベアは挑戦を受け入れ、(放浪)ウルフにセーフコン(戦闘なしの着陸)を許した。よって損害率は低い割合で済んだ。しかしながら重大な損失が発生した。スターキャプテン・ラグナーが第3ベアガードに捕らえられたのである。彼の技術と識見は放浪ウルフ氏族から失われてしまったのだった。

 充分な時間を与えられて、ウルフ氏族は気が遠くなるような、だが必要な社会と軍事の再建を成し遂げた。不幸なことに、侵攻派氏族は目的を達成するために、あまり多くの時間を使いそうにない。時計の針が進み、時間はウルフ氏族に迫っている。停戦破りがいつあるかとも知れず、そのときは全侵攻氏族が中心領域に再び群がるだろう。放浪ウルフ氏族はなんとか挑戦への準備をせねばならない。さもなくば、侵攻派は中心領域を破壊するのみでなく、ウルフ氏族の心臓部もまた破壊するだろう。



フェラン・ケル族長 Khan Phelan Kell

 フェラン・ケル族長は今世紀でもっとも知られた族長と呼べる存在である。ある中心領域のフリーボーンの戦士がウルフ氏族のボンズマンとなった。彼は祖先であるワードの血統との結びつきから、価値あるブラッドネーム「ワード」を巡る競争に参加することを許された。彼はブラッドライトの神判を勝ち抜き、同時に最も若くしてブラッドネームを得た戦士としての名誉も獲得した。そしてまた21歳でブラッドネームを勝ち取るとすぐにもっとも若い族長に選ばれたのである。拒絶戦争に続いて、フェラン・ケルはウルフの一部を中心領域に導き、氏族の存続を保証した。

 族長として、フェラン・ケルは氏族をその存続させ続け、敵対的な地域で繁栄させたことで、自らの価値を証明した。彼のリーダーシップは追随者のあいだでは問題とされず、ヴラッド・ワード族長を悔しがらせた。フェラン・ケル族長とブラッド・ワード族長が長い間ライバル(多くの場合フェランが勝者となっていた)であったことは、ウルフ氏族の分裂に寄与しているようである。そして近い将来の和解もまた妨げそうである。



マルコ・ホール副族長 SaKhan Marco Hall

 ナターシャ・ケレンスキー(かの有名なブラックウイドウ)の被保護者であったマルコ・ホールは、優秀だが平凡なブラッドヘリテージから来ている。彼が生まれ持った身体的能力がどこから来ているか、ウルフ氏族で最高の遺伝子学者でも特定することができず、彼はそれに加えてブラックウイドウの保護の下、めざましい技術を磨いた。戦場においては、ナターシャ・ケレンスキーと同じく生まれ持っての才を見せ、同様に無慈悲なまでのひらめきを見せた。

 ナターシャの古い部隊(第13ウルフガード)でスターコーネルだったマルコ・ホールは、嫌々ながら副族長の地位についた。放浪ウルフ氏族のブラッドネームを持つ戦士たちが、彼に投票した結果だった。マルコ・ホールの指揮の下、ウルフスパイダー星団隊は死と破壊で満たされた機械のように活躍していた。これほど才能豊かな司令官を異動させるのは、価値ある資源の浪費と思われた。フェラン・ケルはジレンマを解消するために、第13ウルフガードをベータ銀河隊司令星団隊に任命し、効果的に上手いやり方でマルコ・ホール・シルバーケシーク(副族長親衛隊)とした。このような異動に対して反対を表明するために、マルコ・ホールは副族長として仕えることは受け入れたものの、部隊の改名を拒否した。



放浪ウルフ氏族軍(3061年1月17日)
司令官:フェラン・ケル族長
副官:マルコ・ホール副族長
戦力:アルファ銀河隊(フェラン・ケル族長)
     第4ウルフガード(強襲)
     第1ウルフ軍団
     第1ウルフ打撃擲弾兵隊
     第6ウルフガード
   ベータ銀河隊(マルコ・ホール副族長)
     第13ウルフガード
     第2ウルフ軍団
     第16ウルフガード(戦闘)
     第2ウルフ打撃擲弾兵隊
   オメガ銀河隊(ギャラクシーコマンダー・クリステン・カーンズ)
     第1ウルフガーディアン
     第2ウルフガーディアン
     第3ウルフガーディアン
   マッケナ級戦艦
   ブラックライオン級戦闘巡洋艦
   キャメロン級戦闘巡洋艦
   ヴィンセントMK42級コルベット
   ヴィンセントMK42級コルベット
   ポチョムキン級輸送巡洋艦




アークロイヤル防衛戦線 Arc-Royal Defense Cordon

 アークロイヤル防衛戦線は、3057年に、モーガン・ケル(ケルハウンド傭兵部隊創設者)によって結成された。これはキャサリン・シュタイナー=ダヴィオンが、ライラ共和国を連邦=共和国から切り離したことに対する処置であった。ケルは氏族の略奪(捕食)に対応する緩衝地帯として、この一帯を作り上げた

 ジェイドファルコン、ウルフ両氏族のあいだで起こった拒絶戦争が、アークロイヤル防衛戦線構築の主要因であった。フェラン・ワード族長(ナターシャ・ケレンスキー族長の命令のもとに動いていた)は、生き残ったウルフ守護派を率い、聖域を求めて、モルゲスに脱出した。彼らは、驚くモーガン・ケルに迎えられ、新国家ライラ同盟に喜んで受け入れられた。氏族がモルゲスに到着してからすぐ、彼らはケルハウンドの両連隊に加わった。

 ジェイドファルコンは、タウ銀河隊、オミクロン銀河隊を、フェランの軍隊を粉砕するために送り込んだ。しかしながら、精鋭ケルハウンドがウルフに参加し、誇り高きファルコン銀河隊を打ちのめすと、戦いは敗走へとかわったのである。ウルフもハウンドも、戦場から氏族技術の多大な収穫を得たのだった。

 ケル(アークロイヤル大公として働いていた)は、この出来事を利用し、将来起こりうる氏族の攻撃に対する第一防衛戦を行う独立した地域を作り出した。彼は、すでに戦線に駐屯していた傭兵部隊を訪問し、現在の駐屯任務を続けるよう促した。ケル公爵は傭兵たちの契約を受け持ち、加えてアークロイヤルのエールバトルメック工場を通して物的支援を提供した。キャサリンの軍隊に加わるため、離れていった部隊は数少なかった。

 フェラン族長は、アークロイヤル上の本拠地で氏族の再建に取りかかった。ウルフは新たな飛び地領土を作るために、ほぼ無人の南方大陸を与えられた。フェラン族長はケルハウンドといくつかの協定を結び、氏族の技術と物資を交換した。3059年までに、ウルフの技術者は、エールメック工場をアップグレードし、新型メック(2機の二戦級と1機のオムニ)を生産した。

 ブルースターイレギュラーズのように、ケルハウンドと(放浪)ウルフ氏族の同盟から利益を得た部隊もあった。新型のパックハンター、アークティックウルフ、アークティックフォックスといったメックは、ARCD内の様々な傭兵隊に分配されている。


ARDCで作戦中の傭兵部隊:
ケルハウンド(2個連隊)
バーバー・マローダーII(1個大隊)
ブルースターイレギュラーズ(2個連隊)
ディオスクーリ(2個大隊)






3067年アップデート

父へ

 同封したファイル(ローアマスター・ダフネ・ヴィッカースがまとめたもの)で、我がウルフの現在の戦力と配備状況がわかるでしょう。このファイルと元のフィールドマニュアルは、戦域の上級指揮官に配布すべきです(もちろんピーターにもコピーを渡してください)。あなたが指摘したように、警戒心は信頼への道をつくり、信頼は受容を産み出すでしょう。

 その考えに従うと、受容は親しみへの道をつくり、親しみは緊張緩和を産み出します。こうして最終的にひとつとなることができます、そうでしょう(クアイフ)? もし我らが永続的な家を持てるとすれば、おそらく我がウルフはワード・オブ・ブレイクを地球から追い出すべきで、そのようにするべきなのです。

氏族のユーモア。謝辞。

フェラン



入植 SETTLING IN

大拒絶で負けたそのとき、
侵攻派の欲望は減退し、
軍隊は帰還し、すきを手に取り、
そしてまた我らには住む家がなかった……


――リメンバランス、第2章、251節、41-44行目

 大拒絶後、中心領域に平和が訪れた後の数年間、(放浪)ウルフ氏族はアークロイヤル防衛戦線内に新たな住みかを作るべく、これまでよりさらに働いた。常にすぐ近くのジェイドファルコンを警戒し、カトリーナ・シュタイナー=ダヴィオンに背中を取られた守護派ウルフは、包囲されている感覚に陥った。アークロイヤルの城塞は強化され、部隊がどこへ行こうとも、裏切りに対して用心深いままでいた。

 そのような態度が、たしかに3060年から3063年にかけておこなわれた共同作戦の有効性を制限した。氏族の血統が優れているとの想いと相まって、せいぜいが緩く協調する可能性しかなかったのである。気が短くなり、ウルリック・ケレンスキーによって課された使命――中心領域を守る――を完遂する氏族戦士たちの忍耐力は減じ始めた。

 3064年前期までに、拡大する連邦=共和国内戦にかかわる可能性だけが、放浪ウルフ氏族の焦点となった。このような出来事――ライラ部隊とともに国内の敵と戦う――は、分離主義最後の壁を倒す助けとなるように見えた。だが、最終的に、外部の敵が我らの顎のなかに飛び込んできた。

 3064年の5月、ジェイドファルコンが攻撃を行った。



ジェイドファルコン侵攻 THE JADE FALCON INCURSION

 放浪ウルフ氏族は、最初にダストボールで争いに加わった。その年の6月、第4ウルフガードが、コムスター第388師団とともに戦ったのである。この戦闘が終わったときに、第1ウルフ軍団が、ブルーホールの第8デネブ軽機兵隊を補助するため向かった。第8隊の崩壊を防ぐのには遅すぎた軍団は、なんとかファルコンの侵攻軍を追い返した。この年の後半までに、ライラのアダム・シュタイナー将軍と、ヴィクター国王に抜擢されたアーチャー・クリスティフォーリが、事態の中心に投入された。フェラン族長はさらなるウルフ部隊に前進を命じ、ブラックアースの勝利、メリッサ解放、ブレア・アスールの最終決戦に加わった。ジェイドファルコンは、結局、新たな休戦に合意した。3065年2月のことだった。守護派ウルフには、退却し、アークロイヤルで再結集し、モーガン・ケル(ライラ同盟大公)から学び取る時間があった。最終的に、ピーター・シュタイナー=ダヴィオンの下で、連邦=共和国内戦に参加し、ターカッドを奪取することとなったのだ。



ターカッド THARKAD

 フェラン族長に率いられ、放浪ウルフの戦艦3隻にエスコートされた第4ウルフガードが、3066年の8月24日、ターカッド星系に進入した。艦隊戦は短いが、熾烈なものとなった。ターカッドを守っていたのは、ライラ船〈ユグドラシル〉、フォックス級護衛艦、降下船と気圏戦闘機の1個部隊だった。カトリーナ派は傭兵艦〈ケレンスキー・ブルース〉にいくらかのダメージを与え、それから守護派ウルフの大火力に屈した。

 地上戦が激しくならなかったというわけではない。戦列連隊に支援された第1、第2親衛隊が、ターカッドシティを1メートル進むごと、ピーター・シュタイナー=ダヴィオンに損害を与えたのである。ナーゲルリンクを奪取したことは、同盟部隊にいくらかの戦術的、長期戦略的支援を与えたが、3067年3月23日に手加減なしの戦いが始まった。ここでウルフは首都への道を切り開き、ターカッド・シティの最終和平協定における重要な役割を果たしたのだ。

 最後に守護派ウルフは、ピーター・シュタイナー=ダヴィオンが王座につくのを見た。アークロイヤルは新名アークロイヤル軍事戦域の主星となり、モーガン・ケルは大公として忠義を新たにした。ジェイドファルコンを押し返し、ターカッドに平和をもたらした守護派ウルフは、独立した勢力、有用な同盟者としてすぐに認識されるようになった。フェラン・ケル族長は新国家主席の前にひざまづき、ウルフは常に中心領域を守るというウルリックの誓い、友好関係、同盟の必要性を公にくり返した。

 ウルフは最終的に故郷を持ったのだ。



ソリチュード(孤立、孤独、僻地) SOLITUDE

 アークロイヤルのグランガーテル・ジャングルに、ソリチュード要塞が建設された。カトリーナ・シュタイナー=ダヴィオンを収容する最後の牢獄である。少数の守備人員と、1個完全氏族軍に守られる、宮殿のような牢獄は、追放された暴君が自然死するまで維持されることになろう。

 だがそうはならなかった。侵攻派ウルフのヴラッド・ワード族長がカトリーナをかけて挑戦し、ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンに戦利品として彼女の身柄を獲得したのである。この件に関して、フェラン・ケル族長はヴィクターの判断にしたがった。ソリチュードはいまでは科学研究基地として残っている。





氏族司令部 CLAN COMMAND

 国家主席の公認で、ライラ同盟は放浪ウルフ氏族に大使を任命した。ブランドン・シンクレア卿=大佐が現在、アークロイヤルに居住しており、招待されるたびウルフ氏族の訓練に参加している。良い関係を続けるため、ピーター国家主席の宮殿に放浪ウルフ氏族の士官が招かれることとなり、ケル族長はスターコーネル・ダリル・ラディックをこの新たな地位につけた。



アルファ銀河隊 Alpha Galaxy (The Dire Wolves)

 族長親衛隊(Golden Keshik)は、放浪ウルフ氏族軍の最上位に立ち続けている。第4ウルフガードに加わることが多い。この連合部隊はジェイドファルコン侵攻、内戦のターカッド攻防戦で、よく姿が見られた。ノース・テン・ウォッシュの地上戦では、ピーター・シュタイナー=ダヴィオンの大胆な強襲の中央を支えるよう求められた。(ライラ)第1親衛隊を相手にしたウルフは、敵を叩きのめし、最終的にピーター国家主席がこの連隊を叩くための金床となったのだ。

 第1ウルフ軍団とウルフ打撃擲弾兵隊は、ジェイドファルコン侵攻で激しい戦闘を行った。両隊はメリッサにおり、ジェイドファルコンをメリッサ戦域主星から追い払うのを手伝い、それからレア・アスールの最終決戦に参加すべく移動した。ウルフ軍団は侵攻で重い損失を被ったのだが、ファルコンのボンズマンをマーサ・プライドに返還して代価を受け取り、物的損害を10パーセント以下に押さえたのである。



ベータ銀河隊 Beta Galaxy (The Wolf Marauders)

 最近、マルコ・ホール副族長は、氏族の正式なドクトリンが変わってしまったのを受け入れた。自ら第13ウルフガードから抜け、ウルフスパイダー親衛隊(Keshik)として知られる、エリート親衛隊を作った。全隊員がブラックウィドウ、ナターシャ・ケレンスキーとともに戦った、年老いた戦士たちである。部隊に残るため、数名が自発的な階級降格に応じたのだった。

 第13ウルフガードは、ウルフスパイダー親衛隊に人員を引き抜かれてしまったにもかかわらず、4個三連星隊のエリート戦闘隊であり続けている。スターコーネル・ダリル・ケレンスキーもまたブラックウィドウの古き戦友であったのだが、彼なりに想い出に報いる方法として、第13隊に残ることを選んだ。部隊の新名は"ブラックガード"である。

 第2ウルフ軍団は最近、即応防衛を想定して、激しい訓練を積み始めた。ジェイドファルコンから受けた損害を勘定していた一方で、スターコーネル・アレクシア・フェトラドラルは、ある噂を気にかけているのを認めた。それは自由ラサルハグ共和国が、かつての上官であるスターコーネル・マルコス・ラディックと、かつての部隊である第37打撃星団隊の全戦士を捜して、ウルフ氏族占領域に襲撃を仕掛けているというものだ。FRRの怒りを緩和させるために、1個二連星隊をツカイードに派遣するという彼女の要求を、ホール副族長は考えている最中である。



オメガ銀河隊 Omega Galaxy (Guardian of the Lair)

 オメガ銀河隊は守護派ウルフ唯一の守備銀河隊であり続けている。といっても、部隊には指揮親衛隊(Bronze Keshik)にくわえて、4個完全星団隊の戦力がある。第4ウルフガーディアンには4個三連星隊の戦力があり、大部分が支援星団隊と考えられている。その多くが気圏戦闘機とエレメンタルだ。2個オメガ星団隊は常にアークロイヤルにおり、残りの2個部隊はアークロイヤル戦域で任務についている。



海軍 Admiralty (Star Wolves)

 ウルフ艦隊には、スターウルフ艦星隊(マッケナ級ワーウルフ、ブラックライオン級インプレカブル、キャメロン級ウルリック・ケレンスキー、イージス級ブラック・ポウ(元ジェイドファルコンのブラック・タロン))と、ウルフパック予備艦星隊(ポチョムキン級フルムーン、ヴィンセントMK42級ヴァリアント、キリング・ブロウ、イージス級ジェイドウルフ(元ジェイドファルコンのホワイト・タロン))がある。マッケナ級ワーウルフ、ブラックライオン級インプレカブル、キャメロン級ウルリック・ケレンスキーは、ターカッド上空の戦いに参加し、ミョルミール級ユグドラシルとフォックス級ロバート・ケルスワを戦利品として得た。だがケル族長は、ぼろぼろになった戦闘艦の補修に資源を使うより、国家主席へと両艦を返還した。

 ユグドラシルは3067年の9月、アラリオンに運ばれることになっていた。同盟の船員と(放浪)ウルフのコンサルタントはデュランからまっすぐアラリオンに向かう短距離ジャンプルートを計画したのだが、船が到着することはなかった。三つの星図に記されてない星系の調査が行われたが(再充電ポイントになったか、ドライブ不良の立ち寄り場所になった可能性があった)、いまだ船と船員の行方はわかっていない。












ウルフ氏族 3067

冬の時代(3059-3064) THE WINTER YEARS (3059-3064)

 3059年から3063年の始めまで、ウルフ氏族は情報収集と、軍の再建、強化に尽力した。収穫の神判は、契約によってヘルズホースから星団隊を得るなど、多大な成功を収めた。3060年、この契約は、より強い同盟によって破棄された。ゴーストベアが、レオーベン、スカンディア、ラドスタット争奪戦で勝利した後、ホースにウルフ占領域の世界が分け与えられたのである。エンガディン、シュタンツァッハ、フォアアールベルグは、両氏族の目的にぴったりだった。ゴーストベア国境に対し、ホースを囲い入れられるからだ。

 これによって、3063年、ベアがドラコ連合相手に忙しくしていた時期、ホースがゴーストベアドミニオンに大きな損害を与えることができたのである。ヘルズホースという盾を得たワード氏族長は、自由ラサルハグ共和国による小規模な攻撃(同年、第4機兵隊の国境を越えた襲撃があった)に対処しさえすればよかった。アルファ銀河隊の古参兵分隊は、アルテンマルクトで機兵隊に痛手を与えたが、第4は自ら名誉を挽回した。この部隊の戦士たちはディオストに進み、新設のオメガ銀河隊中核戦力に対して屈しなかったのである。

 3063年が終わるまでに、ゴーストベアの報復によって、ヘルズホース氏族は中心領域を離脱せざるを得なくなった。ウルフ氏族は4つの世界を失ったのだが、結局のところ、領土と引き替え、ワード氏族長は2個守備銀河隊を作り上げる時間を稼いだのである。


新たなる春 (3065-3067) A NEW SPRING (3065-3067)

 3065年、ウルフ氏族は不活発な時期を脱し、新しい牙をテストすると決めた。ジェイドファルコンの世界、コルマー、ラ・グレイヴ、クォレルへの攻撃である。その目的は必ずしも土地の確保ではなかったが、攻撃したタイミングがジェイドファルコンのライラ同盟介入時だったのを考えると、世界をいくつか奪う望みがあったことも確かである。ワード氏族長は、戦いで兵士を鍛える事に重点を置き、これらの強襲に守備星団隊を用いた。

 ファルコンが報復し、ウルフが別の世界に進撃していたころ、ワード氏族長は他の国境での動きにもまた直面せねばならなかった。自由ラサルハグ共和国の第3竜機兵団が、同年7月、スターコーネル・マルコス・ラディックと消滅した第37打撃星団隊を探索する、深浸透襲撃に着手した。第3竜機兵団が探していたのは、氏族侵攻初期に"戦場での残虐行為"に関わった人物である。ゴーストベアはそのあいだ、共和国の旧首都ラサルハグを攻撃し、スターコーネル・ラグナー・マグヌッソンの露出を増やしたようだ。

 ファルコンが3つの世界を、ウルフの4つと交換したのに伴い、またラサルハグを失ったのに伴い、戦争状態は3066年の後半までに収まっていった。この時、短い戦火で、ヴァンターと引き替えに、ファルコンのズーテルメールが失われている。ワード、プライド氏族長はすぐに折り合いを付け、両者とも最近やってきた多数の新たな本拠地氏族に注意を向けることになった。

 ワード氏族長は大拒絶以降、長いゲームを行い、強力な守備星団隊を築き上げ、ウルフ氏族前線部隊の牙を研いだ。物資の需要は極めて高く、ウルフの分裂以降で最高である。新型オムニメックが試験され、また強力なシブコ団がウルフ氏族軍を強化し続けている。


海軍戦力 Naval Assets

 ウルフが配備するのは、キャラック級〈ナイト・ウォリアー〉、ヴィンセントMk42級〈トレイルブレイザー〉〈リリントレス・パースート〉、ローラIII級〈ネーチャーズ・レイス〉、コングレス級〈ローグ〉、ボルガ級〈プロバイダー〉、ブラックライオン級〈ステルシー・キル〉〈ブラッド・ドリンカー〉、リベレーター級〈ジェローム・ウィンソン〉〈ヴィクトリア・ワード〉、テキサス級〈タウマン〉である。


アルファ銀河隊 Alpha Galaxy: The Wolf Spirits

 アルファ銀河隊は現在、ゴーストベア前線の重要な世界に配置されている。ワード氏族長は、守備星団隊群がジェイドファルコンを食い止められると確信し、またゴーストベアの長期戦略計画(元自由ラサルハグ共和国をさらに狙う)を鑑みて、ドミニオンの方に優先順位を移した。その例外のひとつは、アークロイヤルに赴き、カトリーナ・シュタイナー=ダヴィオンの身柄を拘引したことである。彼女の運命について、これまでのところ知られているのは、名字を奪われたことだけだ。


ベータ銀河隊 Beta Galaxy: The Shadow Wolves

 ジェイドファルコン=ウルフ戦における、難しい目標のひとつとして、副族長親衛隊と第13戦闘星団隊はクォレル確保の任務を与えられた。その前に立ちふさがったのは、第5ファルコン正規隊だけだった。マリエル・ラディック副氏族長はこの強襲を率い、1対1の連続で勝負をつけようというファルコンの要求に敬意を払った。第13戦闘星団隊の新1個三連星隊は、現在、これらの神判で捕らえられたボンズマンで構成されている。

 ベータ銀河隊はウルフ氏族の前線すべてを守っている。まるで、かなとこを叩くかのように残った自由ラサルハグ共和国に襲いかかり、地球への進撃の急先鋒に立つ準備ができている。この戦略を守る上で、ラディック副氏族長は、配下の星団隊に対し、敵を攻撃、殲滅し、すぐさま次の目標に移動するような激しい交戦の訓練を施している。


ガンマ銀河隊 Gamma Galaxy: The Wolf Hussars

 第103打撃星団隊がラドスタットで敗北した後、ガンマ銀河隊は戦線正面、ジェイドファルコン国境の守備に移された。容易いゴーストベアとの戦いから外されたのを、ギャラクシーコマンダー・エドウィナ・カーンズは、頬を叩かれたものとみなした。最低の星団隊の作戦行動に対する罰と受け取ったのである。失態を取り返そうと、コマンダー・カーンズは第103打撃隊に厳しい改革を行った。


デルタ銀河隊 Delta Galaxy: The Snarling Wolves

 第2ウルフ槍機兵隊は、オメガ銀河隊の分隊と肩を並べて戦い、ゴーストベアの攻撃をしのぎ、ラサルハグを守ろうとした。スターコーネル・イザベル・プライドと"ランニングベア"の戦士たちに率いられた、最初の壊滅的な一撃は、ドミニオン強襲軍全体を無秩序と退却に追い込みかけた。しかしベアはあきらめず、支援星団隊の1/3を呼んだ。最終的に、ドミニオンの第50打撃隊、スターコーネル(王子)・ラグナー(マグヌッソン)率いる第1ラサルハグベア、第283戦闘星団隊が、この日をつかんだ。槍機兵隊はぼろぼろの状態で退却したが、高い代償を支払わせたのだった。

 第3ウルフ槍機兵隊は、ゴーストベアに二度の敗北を喫した後、一般兵に格下げされ、忠誠に疑問の余地有りとされている。スカンディア陥落は彼らをギュンツブルクの駐屯任務に戻した。3064年、ベアは第304強襲星団隊、第2ベア正規隊を使って、彼らを追いかけた。ドミニオンは支援のためタウ銀河隊の一部もつれていったのだが、槍機兵隊はすぐに屈し、ギュンツブルクを放棄してハイペリオンに逃げたため、必要とはならなかった。


シータ銀河隊 Theta Galaxy

 第13ウルフ正規隊はジェイドファルコンからスチールトンを奪い、以降、幾度かの強襲を受けても守り続けている。この輝かしい功績は、もしシータのグリーン親衛隊がジェイドファルコンに領域を明け渡したという事実がなかったら、この銀河隊の信用となっていただろう。

 第13ウルフ正規隊を除いて、シータは氏族本拠地に戻された。こうして、ワード氏族長は、中心領域にイオタとオメガを集結出来るようになった。だが、この動きはシータ銀河隊の名誉を完全に失墜させたわけではなかった。なぜかというと、今のこの銀河隊は、ウルフ氏族の本拠地を守る、最先任部隊だからである。


イオタ銀河隊 Iota Galaxy

 イオタは新しい星団隊を二個立ち上げた。3062年に第6ウルフ機兵隊、3063年に第21ウルフ正規隊である。第6機兵隊は後にヴァンターから追い出され、現在、40パーセントの物的損害を負っている。第21は、ワード氏族長の撤退命令があるまで、コルマーで激しく戦った。

 第20ウルフ正規隊は、ラ・グレイヴを失ったが、秩序正しく撤収し、戦闘経験を勝ち取った。彼らは古参兵にアップグレードされた。といっても、忠誠評価は疑問のままである。


オメガ銀河隊 Omega Galaxy

 オメガ銀河隊が作られた理由は、現在、完全に侵攻派となったウルフ内に残された、あらゆる守護派を抹殺するためだというのは疑いようがない。熱烈な守護派である第11戦闘星団隊(ギャラクシー・コマンダー、ステヴィック・ホーカー指揮)がベータ銀河隊から移され、他の守護派戦士たちが二個の脆弱な星団隊に押し込まれた。これらの部隊は、直後に、海賊狩りに送り込まれた。死ぬに足る恩恵を受けてはいなかったが、ニュー・ベルト・パイレーツの多数を追い詰め、殲滅した……この過程で銀河隊の1個星団隊以上が失われたのだった。現在のオメガは、辺境に座し、存在しない海賊を狩る、実体のない除け者の銀河隊である。このような侮辱に面してなお、ウルフ氏族に不動の忠誠を誓っているのは、名誉と高潔への信念が故である。


カッパ銀河隊 Kappa Galaxy

 カッパのグレイ親衛隊、熱狂的な第33ウルフ・チャンピオンズは、ディオストで第4機兵隊と遭遇、交戦した。彼らの不首尾(すでに傷を負っていた中心領域軍を撃破できなかった)によって、ワード氏族長は、ギャラクシーコマンダー・ボラン・センダーの首をすげ替え、第33を辺境に左遷した。

 第101戦闘星団隊には多数の航空戦力がある。ラサルハグで、これがウルフ氏族に航空優勢を与え、戦うごとベアに大きな犠牲を支払わせた。だが、陸上戦力の不足は、戦いを消耗戦とし、世界から追いやったのである。


タウ銀河隊 Tau Galaxy

 タウ銀河隊は本拠地防衛のために作られた。これによって、信頼出来る数個部隊が中心領域の任務で使えるようになったのである。タウは3065年と3066年、ファイアマンドリル氏族、アイスヘリオン氏族に対して自らを試し、今後のために腕を磨いた。タウ最大の勝利は、ヘリオンの氏族長アサ・タニーと対戦した候補生がもたらした。(明らかなラッキーショットで)、年上の戦士を倒し、脱出させたのだった。




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