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作成:2009/08/12
更新:2014/09/09

カペラ大連邦国装甲軍 Capellan Confederation Armed Forces



 リャオ家の正規部隊(CCAF)は第四次継承権戦争で壊滅的大打撃を受け、その後、長い低迷の時代を迎えました。ようやく再興が始まったのは、3050年代、サン=ツー・リャオが首相になってからのことで、3057年のマーリック=リャオ攻勢と、その後の聖アイヴス奪還で大きな勝利を達成しています。
 しかし、3060年にいたっても戦力規模はさほど大きいとはいえず、リャオ首相は長年雇用している傭兵を正規軍に吸収して戦力強化を図りました。そんなCCAFを、元傭兵部隊を中心に紹介します。




カペラ大連邦国装甲軍(CCAF)階級表
旧カペラ(3025)日本語訳新カペラ(3062)中国風訳役職
なしなしSang-jiang-jun上将軍事戦略調整官
Senior Colonel上級大佐Jiang-jun准将地区司令官
Colonel大佐Sang-shao上校連隊長
Major少佐Zhong-shao中校大隊長
Captain大尉Sao-shao少校中隊長
Commander中尉Sang-wei上尉小隊長
Subcommander少尉Sao-wei少尉メック戦士










市民名誉旅団 3063




第4タウ・ケチ・レンジャー部隊 4th Tau Ceti Rangers

 第4タウ・ケチ・レンジャー部隊はウルフ竜機兵団からAの評価を受けている数少ない古参傭兵部隊のひとつだった。過去三百年にわたって、彼らはカペラの雇用下にあった――その間、10人の首相、23名の連隊指揮官、12世代の戦士たちを経験したのである。

 第4タウ・ケチ・レンジャー部隊は最近になってやっと1個完全連隊に戻った。この時、再建を急いで古参兵の評価を失わないように気を払ったのだった。最近、部隊は新人隊員をリャオ軍事技術学院から直接受け入れた。レンジャー部隊はこの余分の候補生たちを使って、少なくとも1個強化大隊を展開しようとしている。

士官
 副指揮官、ダニエル・ジャックス中校は腕の立つメック戦士で、小部隊戦闘から諸兵科連合支援付きの連隊交戦まで、母親から全てをたたき込まれている。現在、彼はシェリー・ジャックス上校(年を取り始めている)の後継候補の本命である。第4タウ・ケチ・レンジャー部隊は通常世襲制ではない――すべての士官(総指揮官含む)はその地位にふさわしいかどうか昇進の試験を受けねばならない。同様に彼らはどれだけ新技術に習熟しているかの試験も受ける。これらのテストの結果、どの部隊がアップグレードを得るかが決まるのである。

戦術
 レンジャー部隊の指揮小隊は戦場のあちこちを動き回る。これによってジャックス上校は勢いの衰えた攻撃を監督したり、弱い区域を建て直すのが可能となるのである。前衛小隊は指揮小隊と危険な状況の間に立ちふさがるのが主な仕事である。前衛隊のメック戦士たちは敵の砲火を引き寄せるのを得意とし、命中を減らすために移動や地形を使う。C3システムは指揮小隊と後衛小隊のバトルメックの命中率を等しくし、強襲小隊は敵に近づいた時に壊滅的な火力を発揮する。加えて、彼らは指揮小隊が命じた撤退の援護も行う。

 レンジャー大隊は、協調して動くことも、独自に動くことも、中隊サイズで動くことも可能である。第1大隊は開けた地形での戦闘を専門とするが、障害の多い地形でも不利を被ることはない。その弱点のひとつは伏兵に弱いことで、戦闘プランを台無しにされてしまう。第2大隊は戦場での柔軟性が高く、敵のほぼどんな戦術に対しても、素早く積極的に対応する。

第4タウ・ケチ・レンジャー部隊
連隊/古参兵/熱狂的
指揮官:シェリー・ジャックス上校
副指揮官/第1大隊:ダニエル・ジャックス中校
第2大隊:エルネスト・ホーリーフェルド中校
第3大隊:ミハイル・ズール=リー中校
 タウ・ケチ指揮隊はレンジャー部隊のエリート指揮中隊である。この部隊は実績のある機体に先進兵器とC3コンピューター(マスターネットワーク仕様)を搭載している。この中隊は指揮小隊(各メックはC3マスターコンピューターを装備する)を持つ。前衛小隊と後衛小隊は強襲級である。
 ダニエル・ジャックス中校の大隊は速度より火力の維持に重きを置いた打撃部隊である。常に最高のアップグレードをうけているこの部隊は、よくメン=シェンとティ=ツァンをペアにする。第2大隊は重量級メックにバイアスがかかっているのだが、戦場での機動性を確保するため高速メック、MASCシステムを持つ。一般兵の第3大隊は強行偵察用に軽メックに重マシンを混ぜている。

ハードエアー
航空大隊/古参兵/熱狂的
航空隊指揮官:タラ・ミッシェル空軍中校
 レンジャー部隊の航空部門は正面から突撃し、数機の重戦闘機が一機の敵戦闘機に集中砲火を浴びせることで悪名高い。そして隊列から離れて一対一で戦うのも危なげなくこなす。なぜなら、タウ・ケチのパイロットは途方もない技術で戦闘機を操り、その上たいてい重量面で有利だからである。

タウ・ケチ重機兵隊
中隊/一般兵/熱狂的
航空隊指揮官:アンジェラ・オルブライト中校
 新たに加わったタウ・ケチ重機兵隊は、レギュレーター、ペガサスなどの高速ホバークラフトからなる。これら装甲車両は第3メック大隊を支援する。




第15ドラコン 15th Dracon

 長年の間、マスキロフカは誤って第15ドラコンに「反乱分子の可能性あり」の烙印を押していた。その理由は、普通、傭兵部隊は補給と資金に問題を抱えるものだというのに、捕獲した物資と戦利品の一部を市民社会の改善のため惑星政府に寄付する習慣があったからである。だが、反乱からはほど遠いことに、このような行動はドラコンのSLDFの伝統を反映したものだったのである。隊員たちは自らに課せられた任務が単なる防衛を超えたものであると信じており、また戦争で荒れ果てた土地と苦しんでいる民間人たちに何かを残すことを好む。近年、CCAFはこの伝統を公に伝え、マスキロフカの雲を第15ドラコンから取り除いた。市民たちに何かを与えるという個人的なポリシーは、部隊の全連隊指揮官に残されており、またドラコンは大連合国の正規兵となってもこれを変更しないと約束している。

 第15の記章は、オレンジの太線に囲まれた三角形で、中央の赤から灰色と黄色の帯が放射状に広がっている。連隊は、星間連盟の祖先たちのように、同じ灰色と緑の塗装を使っている。もうひとつ星間連盟の伝統を表しているのは、メックと車両に描かれる撃墜マークである。「ハッシュマーク(#)」がメックの四肢、航空機、車両の胴体に見られる。

士官
 ツバ上校は、過去45年の第15ドラコン指揮官と同じように、リャオ勇壮旭日章とリャオ軍団勲章を授与されている。これら士官たちの努力により、ドラコンはカペラの貴族たちが自分の世界に来ることを求める数少ない傭兵隊のひとつとなっている。

戦術
 第15ドラコンは市街地で戦うのを拒否し、都市を防衛戦で破壊してしまうのを避け敵に明け渡すのを好む。このジレンマに陥るのを防ぐために、彼らは即応的な部隊配備パターンを開発しており、これによって敵が都市を脅かす前に侵攻軍に挑戦するのを可能としている。ドラコンが戦闘のために再結集すると、敵は側面機動と足止めに驚かされることになる。

第15ドラコン
強化連隊/一般兵/信頼できる
指揮官/第1大隊:レイ・ツバ上校
副指揮官/第2大隊:クリント・スウェルダ中校
第3大隊:ジョン・ウィルソン中校
第4大隊:ローレンス・ブロック中校
 四個大隊のうち、第1大隊は古参兵と評価され、第4は新兵とされる。タウケチレンジャー部隊よりも星間連盟防衛軍との結びつきが近い第15ドラコンは、フラッシュマンやクロケットのようなSLDF時代のマシンをより多く使用している。つい最近まで秘蔵されていた、おそらくは改良型であると思われる。デュアン=グアンは唯一ドラコンに多数ある新型大連邦国製メックである。

カペラ海軍エコー航空隊
航空隊/一般兵/疑問
航空隊指揮官:モンティ・ボア=シン空軍中校
 最近加わったこの部隊は、ヴィクトリア共和国特戦隊連隊から外された後、いくらかの困難を被っている。「傭兵に押しつけられた」ように見えることは、忠誠度を急激に悪化させる最後の引き金になった。ツバ上校がボア=シン空軍中校との関係悪化の修復を望んでいることから、エコー航空隊はもうしばらくの間、ドラコンと共にいる予定である。

ザ・ドラゴンズ
大隊/新兵/信頼できる
歩兵指揮官:ウィリアム・ショー少校
 第15ドラコンはここ数年間、歩兵隊(1個バトルスーツ歩兵中隊含む)を追加するのにかなりの額を費やしている。第2中隊はVTOL観測隊と砲兵部隊の組み合わせである。第3中隊は保安隊である。




ロックハート鉄騎軍 Lockhardt's Ironsides

 第四次継承権戦争に一個大隊の傭兵部隊だったロックハート鉄騎軍は、かろうじて一般兵の経験評価を維持していたが、戦場で信頼できる部隊として知られていた。数年後のアンドゥリエン=カノープス戦争でも、部隊が力を示すチャンスはなかった。(カペラ)大連合国が辛苦をなめていた時期、他の部隊があらゆる種類の補給不足に直面していたあいだ、この傭兵は静かに過ごし、乏しい物資を備蓄することで、なんとか生き延びるのに成功した。

 氏族侵攻の前後に、CCAFは、鉄騎軍が新兵3個大隊の規模を持ち、カペラから離れる兆候がないのに気がついた。3059年、部隊は辺境に移動し、カノープス統一政体の対マリア帝国戦を援護した。1年の限定的な作戦行動のあとで、鉄騎軍はヴィクトリアに呼び戻された。そこで彼らは静かに生き延び続けている。

 鉄騎軍は駐屯地にあった基本的なカモフラージュペイントを採用している。部隊記章は、鉄の盾の上に配置された、カペラの紋章をわずかに変更したものである。

士官
 リアンナ・ロックハート上校は母親のあとを継いで指揮官となった。彼女は部下のためならどんな危険なことでもするところを見せ、最近では、盗まれた軍の資産を購入したとしてマスキロフカに告発された隊員の一人を守っている。ロックハートはこの告発を「熱心な廃品回収」とするのに成功し、ついに棄却となったのだった。

戦術
 戦闘経験の不足により、鉄騎軍が戦闘で有効な戦術を打ち立てることはなかった。だが、マリア帝国との戦いでは、機動性の優位を得るために陣地を捨てることが多かった。これは守っている領域の多い防衛戦では、実用的な選択であった。

ロックハート鉄騎軍
連隊/新兵/信頼できる
指揮官:リアンナ・ロックハート上校
副指揮官/第1大隊:ピーター・フェンチ中校
第2大隊:ロバート・ロックハート中校
第3大隊:アリストル・アドロポプロス中校
 鉄騎軍には無駄に出来るものなど何もない。数機の新型機を入手したのだが、彼らはいまだ古い装備に頼っている。需品局の優先順位が低いことから、必要なものは最後にまわされるのである。ヴィクトリア共和国に移動したことで新しい技術を手に入れられるのではないかと部隊は期待している。
 第1大隊は一般兵と経験評価されている。唯一、指揮小隊のみが古参兵に近い。帝国に対する鉄騎軍の勝利の大半は、その手腕と同じく幸運に帰するものが出来る。ヴィクトリア共和区特戦隊のピョートル・アンドレヴィッチ准将は実戦経験が鉄騎軍を強固な守備連隊にしたかもしれないと信じている。

第87サックス国土防衛隊
連隊/新兵/信頼できる
装甲指揮官:ブライアン・パン中校
 鉄騎軍は辺境に行く道中で装甲連隊を手に入れ、これまでのところ保ち続けている。CCAFは2個新兵部隊で新たな守備隊を作ることを望んで、そのままにしているようだ。

ロックハート・エンフォーサーズ
中隊/一般兵/信頼できる
歩兵指揮官:ジュノー・センクレア上尉
 カノープス宙域に向かった時には、重武装保安小隊でしかなかったエンフォーサーズは、マリア帝国を相手にまずまずの戦果を見せた。大連邦国に帰還するまでに、部隊はカノープス人の支援を引きつけ、戦闘経験を持った兵士たちによる1個完全中隊となった。ジュノー・センクレア上尉は統一政体の階級を持ったままだが、CCAFへの正式な入隊を求めている。




ローレル軍団 Laurel's Legion

 戦争の気まぐれは時々、カペラに忠誠を誓った部隊を、その故郷と国家、家族と命令系統のあいだに置く。そのような離脱した部隊を、王国が再度迎え入れたことは、「新生」の力強さを証明することになった。

 とあるノースウィンドハイランダーズの元隊員によって、3014年に設立されたローレル軍団は、中心領域で唯一、女性のみで作られた傭兵隊であるという特徴を長年維持してきた。第四次継承権戦争のあいだ、部隊は混乱した命令系統によって不当な扱いをされ、そして故郷のティグレス――ローレル家との強い結びつきからローレルズ・ワールドとも呼ばれる――を最後の可能性があった瞬間に、防衛する機会を与えられなかったのである。ティグレス陥落に伴い、軍団の士気は崩壊し、ダヴィオンに降伏した。

 ダヴィオン支配の下で、軍団は楽でない立場のままでいた。連邦=共和国は、部隊を大隊規模の戦力に再建したのだが、AFFCは軍団を滅多にティグレスから離そうとせず、しばしば追加守備隊と共に置いた。3061年に、サン=ツー・リャオが、国を離れたカペラ人すべてに帰還を求めたとき、軍団は部隊の過去の行動の責任を負うためシーアンに現れた。首相は彼らの「過去の失敗と過失の判決」に特赦を出し、またティグレス市民の誓願によって、彼は軍団を市民名誉師団の一部に組み入れた。

 軍団はニンポーとポズナンのあいだ(ティグレスに手が届きそうなほど近く)で過ごした。カペラ市民として復帰した身分を示すために、部隊は記章と色を変えた。部隊の紋章は翡翠の緑のハートを伴う赤のフェニックスで、新たな軍団の配色は、赤、黒、白、銀である。

士官
 アレクシア・ローレルが現在、部隊を指揮している。上校はティグレスがいまだ「ダヴィオンのカーテン」の向こうにある(特に恒星連邦は現在騒がしい状況下にある)ことに意気消沈しているのだが、大連邦国に戻りたいという想いをティグレス市民が支持しているのを心にとめている。ローレルが不在の間、自由チコノフ運動がティグレスを浸食していることは、彼女をうろたえさせはしていないようで、彼女はいつの日か部隊がローレルズ・ワールドに戻ることを望んでいる。

アダム・ストラオ少校は軍団唯一の男性隊員で、部隊がカペラ宙域に戻った直後に入隊した。ノースウィンド・ハイランダーズ元隊員の息子であるストラオ少校は大きな好奇心とちょっとしたやっかみの対象となっている。

戦術
 ローレル軍団は高速な中重量級メックを使って、「タイフーン」攻撃を実行する――最後の強襲の前に敵をすり減らすのを意図した、高速打撃攻撃である。メックはしばしば後方に下がり、休養充分の部隊が前に出る。同等の火力、機動力を持つ相手と戦った時でさえも、ローレル軍団はたいてい生き延びるのだった。

ローレル軍団
大隊/古参兵/信頼できる
指揮官:アレクシア"ズィー"ローレル上校
副指揮官/第1大隊:ガブリエラ・モンテーヌ中校
第2中隊:アダム・ストラオ少校
 恒星連邦で長年過ごしたことで、軍団にはダヴィオンのバトルメック機種が数機残された。セレス金属は、ラクシャサ、メイルシュトロムなどのより興味深いマシンを提供しているが、軍団はかなりの信頼できるマシンを保有している。損害が出ると、カペラの新型機で補充されている。

第12アルデバラン国土防衛隊(アルデバラン・エバーブレード)
大隊/一般兵/信頼できる
装甲指揮官:アヴロム・ラビノウィッツ中校
 この国土防衛隊はほぼホバー戦車のみで構成されている。これはアルデバラン最大の大陸の南西沿岸地方を占める湖沼の多い地形に最適のものである。現在、軍団に所属していることは、駐屯地の地形に依存する戦車の価値に疑問を抱かせている。部隊の記章は歩き回る緑のアリゲーターで、深いブルーパープルのストライプを背景に背負っている。国土防衛隊は軍団にとって完璧な支援隊となっている。









カペラ旅団 3063




アンバーマール・ハイランダーズ Ambermarle's Highlanders

 アンバーマール・ハイランダーズは、第三次継承権戦争中に大連邦国が軍事部隊を必要としていたことから、アルデバランとチューリッヒの裕福な貴族たちが経済的成功を狙って立ち上げた。確たる仕事の記録を持っていたのだが、ハイランダーズは「遊びでやっている戦士たち」との汚名をそそぐのは難しいことに気がついた。彼らがリスクの高い任務を引き受けたがらず、高額を提示されない無い限りは安全な駐屯任務を引き受けるのを好むことは、状況を変えそうにない。そして、ハイランダーズがリャオのスポンサーシップを受けた時の、ウェンディ・アンバーマールによるコメントもそれにあたるだろう。「誰かがちょっとした気品というものを持ち込み、カペラ旅団を育てねばならない」

 サン=ツー・リャオからカペラのスポンサーシップを受け取った後、アンバーマール・ハイランダーズはアルデバランにローテーションし、そこで大連邦国に対しチューリッヒを取り戻すよう扇動している。この元リャオの世界とハイランダーズの結びつきは、かつて軍隊によって出来なかった領土奪還を可能とするかもしれない……市民は始まりかけているシュタイナー=ダヴィオンの紛争と「支配者の選択」の呼びかけの増大によっていらだちを募らせているからである。この緊張は現地の守備部隊にとって負担になっている。彼らは親カペラ派のデモを監視することがどんどん増えているのである。

士官
 その年齢としゃがれた声から「老魔女」と呼ばれるウェンディ・アンバーマール上校は、3022年からハイランダーズを指揮している。彼女の指揮スタイルは自由奔放であり、大隊、中隊指揮官たちはかなりの柔軟性を与えられている。彼女は若いエイドリアン・マルシガマを挑発するのを楽しんでいるようだが、返ってくる辛らつな言葉でいらだつことはないようだ。
 フミエレフスキー中校の軽指揮小隊は、その異常なタフさと敵を悩ませることから愛情を込めて「ローチ(ゴキブリ)」とニックネームを付けられている。フミエレフスキーはよくダンプ・アンド・チェイス任務に志願し、敵をいたぶり、怒らせ、悩ませるのを楽しむ。

戦術
 アンバーマール・ハイランダーズは「ダンプ・アンド・チェイス」と呼ばれる戦術を好む。2個小隊の軽量級、高速中量級メックを敵戦線の後方に落とし、敵部隊に追跡させるのである。敵の注意を逸らしたところで、ハイランダーズは共になって敵を攻撃する。ハイランダーズはこの戦術を使って敵を罠にかけるか、目標の防備を軽くする。最近、カオス境界域への偵察を行った際、この戦術によって主力が補給庫を奪う間、ローチが1個小隊分のバトルメックを捕らえるのを助けた。

アンバーマール・ハイランダーズ
2個大隊/一般兵/疑問
指揮官:ウェンディ"老魔女"アンバーマール上校
副指揮官/第1大隊:ヴィンセント・ペドロサ中校
第2大隊:パウエル・フミエレフスキー中校
 この忠誠評価は、ハイランダーズが大連邦国のために危険に身をさらしたくないとマスキロフカが考えていることを反映している。それにも関わらず、ハイランダーズはここ数年で2個バトルメック大隊に成長した。それはCCAFが彼らをマルシガマ軍団と同程度に保つと決めたからである。彼らの忠誠心が実際にはどうであれ、ハイランダーズがカペラ旅団に悪いバランスを及ぼしたことはない。

アンバーマール革命隊
大隊/一般兵/疑問
歩兵指揮官:ウィリアム・マッカートニー少校
 これらの兵士たちは、ハイランダーズ自前の突撃兵であり、この事実をCCAFは快く思ってないようだ。間接砲とダヴィオン製のバトルスーツを持ってるのに加え、革命隊はゲリラ戦術をよく訓練しており、チューリッヒ亡命者の中から才能あるフリーランスを募兵し続けている。




ハーロック襲撃隊 Harloc Raiders

 3053年、ハーロックの公開式典で立ち上げられたハーロック襲撃隊は自己矛盾の研究例である。カペラの戦列部隊である彼らは3054年の事件により傭兵となった……彼らはライラの星系から攻撃範囲内にあるマーリックの惑星で発見されたのである。そのもっとも有名な任務は、ジェイドファルコンの惑星コベントリ侵攻に対する、中心領域タスクフォースに参加したことだった。襲撃隊はほとんど何もしなかったが、大連邦国内で大いなる威信を得たのだった。ハーロック襲撃隊は3059年に大連邦国を離れ、数年間、中心領域を放浪し、他が得られそうにない貴重な経験を得た。

 サン=ツー・リャオは、新生運動を開始した際、全国外居住者にカペラへ戻るよう呼びかけた。ハーロック襲撃隊はこの呼びかけに応じた最初の部隊となり、ライラ同盟との契約を破った。彼らはカペラ旅団の安定的な影響と考えられており、全旅団に方向性を与える一方で、ライバルのハイランダーズと軍団が互いにバランスを取っている。

士官
 ウー・デン=タン上校は、優秀な戦士にして指揮官なのだが、ソラリスVIIのチャンピオンシップでカイ・アラード=リャオと対決したことで最も有名である。ウー・デンの父、ウー・カン=クオは襲撃隊の元々の指揮官であった。傭兵として活動していた時に、彼が死ぬと、部隊はウー・デン=タンにその地位につくよう促した。ウーは聖アイヴス共和国かその周辺への配置を求めている。カイ・アラード=リャオとのプロフェッショナルな関係が近年の戦闘によって残された苦い感情を癒すかもしれないと望んでいるのである。

戦術
 ハーロック襲撃隊は囮戦術を好み、敵を待ち伏せするため中軽量級メックを送り込む。彼らは一撃離脱戦術もまた得意とし、数年間の傭兵生活で身に付いた主強襲のための襲撃、防衛戦を好む。

 ザブカー中校の第2大隊(マージャーズ)は市街戦を専門とする。敵のメック戦士は襲撃隊が守る都市に入る際は注意せねばならない。都市内に入っていくごとに、次々と機体が撃墜されることになるだろう。

ハーロック襲撃隊
連隊/古参兵/信頼できる
指揮官:ウー・デン=タン上校
副指揮官/第1大隊:マー・ディ=ダン中校
第2大隊:マイケル・ザブカー中校
第3大隊:アダム・オルソン中校
 大連邦国の外で数年間費やしたにもかかわらず、襲撃隊はカペラのメックとCCAF連隊の編成に対する忠誠を保ったままである。外国の装備に対する例外は、ウー・デン=タンがソラリスVIIで入手したC3コンピュータであり、指揮小隊に搭載されている。

ハーロック・コルセア
航空大隊/古参兵/信頼できる
航空隊指揮官:シャノン・ディラニー空軍中校
 大連邦国領に戻る襲撃隊についてきたコルセアは、連隊が傭兵をしていた間、非常に有益な存在だった。コルセアの各パイロットは一年の軍務の後で完全な市民権が与えられることを約束されている。

ハーロック旅団
2個大隊/一般兵/信頼できる
装甲指揮官:ブライアン・ルーカス中校
 襲撃隊の元の本拠地から来た2個本拠地防衛大隊は、他部隊との一連のシミュレーター決闘の結果、この地位を勝ち取った。




マルシガマ軍団 Marshigama's Legionnaires

 マルシガマ軍団は、40年にわたって中心領域で最もうぬぼれの強いメック戦士たちとしての評判を得てきた――この伝統は部隊の創設者、ジュリー・マルシガマが「3017年ミス・ニンポー」に冠された時に始まった。入隊志願者の戦闘技術は二の次で、肉体的な外見が重要視される。美しい女性戦士だけが雇われ、一方、男の新兵はヒゲと出来るだけたくさんの傷が求められる――「凶暴な」外見で、敵に恐怖を与えるのである。これらの入隊基準が、第四次継承権戦争で軍団にとって良い影響をもたらしたかは議論の種になっている。しかしながら、軍団が巧みに戦い、部隊と傲慢さがほぼ残ったことに疑いの余地はない。

 おのれの優位性に自信を持っている軍団は、カペラ旅団のリーダーに立候補した。カペラのスポンサーシップを受け入れた後、部隊は惑星デンバーに行き、聖アイヴス紛争の間、駐屯部隊を勤めた。かの地で、軍団は地元市民軍から旧式メック数機を徴発し、戦力を埋めるのに使った。いまやエイドリアン・マルシガマ上校と部下たちは、マッカロン装甲機兵団のような格式高いライバルより上とまでは言わないまでも、同格であると考えている。

士官
 エイドリアン・マルシガマはあらゆる点で母によく似ている。この上校の情事は、幾度かの対立を生み出し、少なからぬ敵を作っている。彼女は母が始めたウェンディ・アンバーマールとのライバル関係を保つのを楽しんでいる。

戦術
 マルシガマ軍団は遠距離射撃によって敵を弱体化させる戦術を好み、射程のある兵器で敵をたたいてから、近接強襲すべく突っ込む。部隊のめざましい戦闘記録は、欠点があるにせよ、彼らが与えられた評価以上のことが出来るのを示している。軍団は失敗したと考えるのに耐えられず、よって常に勝つようにするなどとも言われている。

マルシガマ軍団
2個大隊/一般兵/信頼できる
指揮官:エイドリアン・マルシガマ上校
副指揮官/第1大隊:マイケル・デル中校
第2大隊:アリー・ミラー中校
 軍団のうぬぼれは、部隊の拡大に伴い同程度に増大している……新人戦士多数が加わったことで部隊の経験評価は落ちたのであるが。CCAF連隊の多くが、自称プリマドンナたちの実効性に対して疑問を呈しているにもかかわらず、誰も部隊の確固とした実績、カペラへの忠誠を無視できないのである。

マルシガマ航空軍団
航空隊/一般兵/信頼できる
航空隊指揮官:マーク・クリフォード空軍少校
 エイドリアン・マルシガマが繰り広げる数多くの情事のひとつによって、彼らは1個航空隊を得た。クリフォード空軍少校は大勢の独身美女がいる部隊に加わるのを喜んでいる。彼の航空隊は戦術よりも密集隊形やエアショーのスタントを学ぶ、ショーケース部隊の一種である。エイドリアン・マルシガマはメックが展開する間、上空で航空軍団がアクロバティックするのを見て楽しんでいるという。




シン軍団 Shin Legion

 もうひとつの故国を捨てたカペラ連隊であるシン軍団は、栄光から転落した者たちが歩く道より高いところを歩いている。ロマーノ・リャオ首相の粛正を恐れた3個シン軍団は、第四次継承権戦争後、大連邦国からドラコ連合に逃げ出した。2個連隊がたどり着き、クリタ家に正規連隊として受け入れられた。軍団は数十年に渡って激しい訓練を重ね、雄々しく戦い、自らの力を証明しようとした。第2シン軍団が、前進するスモークジャガー氏族からクリタの世界を守って死に絶えた後、第1軍団はよりいっそう激しく戦うようになった。だが、どれだけ奮闘を重ねようと、連合最高司令部の注意を引くことはなかったのである。第1軍団はクリタの竜の紋章を帯びるという、小さな名誉さえも与えられなかった。

 3061年、軍団が毎年要請している紋章の件を、またもセオドア・クリタ大統領が延期すると、ホァン・グエン大佐は連合から平和裏に離れる算段をつけた。セオドア・クリタは古参兵を手放したがっていなかったのだが、先の決断を翻すことはなかった。シン軍団が連合を離れ大連邦国に戻ることになると、両者は部隊の降下船の半数を没収することで合意し、全員の顔を立てた。

 小さいが重要な変更点は、第1シンが大連邦国の連隊だった時代の配色と記章を使っていることである。

士官
 グエン上校は大連邦国に帰れるとは思っていなかったのだが、サン=ツー首相による国外逃亡者の招待を額面通り受け取ることに決めた。マスキロフカや上層部の一部から疑われていることは、帰還できた喜びと比べて小さな対価であると見なしている。

 ハチジュー・トロダ中校は、シン軍団での任務に志願し、リャオ宙域に帰還する部隊に残った第三世代のサムライである。クリタ家への責務と連隊の戦友たちへの忠誠の間で引き裂かれたトロダは、苦しみながら心の整理をしている。軍団は彼の決意を支援し、彼が居場所を探すのを助けるためにベストを尽くしている。

戦術
 シン軍団はどのような戦場にも素早く簡単に適応できる。隊員たちはどのような地形でも巧みに戦い、開けた戦場を得意とし、敵から学ぶのを恥じたりはしない。氏族との戦闘から、彼らは、重部隊を敵戦線の正面に送り、側面を軽部隊で悩ませ、それから敵の後方を航空部隊で機銃掃射することを学んだ。

シン軍団
連隊/古参兵/疑問
指揮官/第1大隊:ホァン・グエン大佐
副指揮官:リー・チャン中校
第2大隊:ナオミ・ヤン=ミン中校
第3大隊:ハチジュー・トロダ中校
 第1シンは、連合宙域から、2個中隊のクリタ製オムニメックとC3システム一組(スレイブユニット3基)を持っていくのを許された。その旧式メックの多くは新型兵器でアップグレードされている。それまでの尽力に報いるため、また友好的な離隊を保証するため、連合は壊滅した第2シン軍団の降下船を持たせたままとした。帰還に際し、第1軍団はすぐさま1個小隊分のオムニメックを4機のメン=シェンと交換した。

カペラ海軍レッドサン航空隊
航空隊/一般兵/疑問
航空隊指揮官:スイ・ウェン・ティム空軍少校
 第24ルシエン軽航空大隊は、部隊が連合を離れた時に、軍団の支援を終了した。第1シンの離脱者の遠縁であるスイ・ウェン・ティム空軍少校は、第1シンの新気圏戦闘機部隊として、彼の航空隊の所属を求めた。この忠誠心によりレッドサン航空隊はシン軍団に統合されることとなった。だが、このことは航空隊の忠誠評価に汚点を付けることにもなったのである。




サン=シール装甲軽機兵隊 St. Cyr's Armored Hussars

 サン=シール装甲軽機兵隊は、サン=シール擲弾兵隊とリヴァルディ軽機兵隊の混合物である。トラブルで有名なこれら2個部隊は、最終的に角を曲がったのだった。

 サン=シール擲弾兵隊はその歴史を通して、不運に襲われ続けてきた。2952年、グレートリーの七面鳥撃ちによって壊滅した部隊の残った隊員はより多くの兵士を集めて前線へと戻った。2985年、擲弾兵隊はフレッチャーの世界上にて、ダヴィオン家の手の者により、酷い目にあった。この災厄のあと、3011年にトーマスの世界上で雪辱をはらした。第四次継承権戦争の後、擲弾兵隊は世界から世界へと飛び回り、なんとか運勢をうち負かそうとし、需品局の再補給リストでやや上位を上げた。

 リヴァルディ軽機兵隊は、2985年、フィレンツェで誕生した。かつて、紅色槍機兵隊(レッドランサーズ)の指揮官から「マルシガマ軍団の横にいる馬鹿で可哀想な連中」などと呼ばれていた軽機兵隊は、惨めな状況、惨めな補給、惨めな指導部に甘んじていた。その唯一の戦功は、2988年と3031年、二度ともアンドゥリエン防衛軍から上げたものである。そのような戦闘記録により、部隊は上級連隊からの軽蔑を受けている。

 事情が変わったのは3061年のこと。フリーズ・リヴァルディ大佐は引退を考えていたが、信頼を持って部隊を引き継がせられる者がいなかった。そんなときサン=ツー・リャオがカペラのスポンサーシップを申し出たのである。アンドリュー・サン=シール少佐と話し合った結果、擲弾兵隊と軽機兵隊は合併し、スポンサーシップを受け入れることとなった。リヴァルディは旧部隊が良い環境にあるのを知り、引退した。サン=シール少佐は、軽機兵隊の士官部門に手を入れ、階級にふさわしくない数名を引退に追い込み、他の者たちを昇進させた。そして両部隊を混ぜ合わせ、よりよく改良した。

 現在、カペラ旅団の戦列部隊となっている装甲機兵隊は、かつての取るに足らない存在から脱却し、輝ける未来を模索している。サン=シール装甲軽機兵隊の新たな記章は、白い鎧を着込み、ヘルメットに赤い羽根をつけ、血に染まったクワン剣を構える中華兵である。

士官
 アンドリュー・サン=シールは敏腕ビジネスマンから戦士になった男である。部隊内で育ったサン=シール上校はシーアン大学でビジネスを学び、その後、部隊の指揮をとるために学校を離れた。そのビジネスセンスは傭兵隊を運営する役に立っているのだが、サン=シール上校は部隊のために何度も激しい交渉を行うことで、需品局の役人を怒らせている。交渉が不首尾に終わった時はマスキロフカの懲罰を食うリスクを犯して、非公式のチャンネルを通して取引を行う。だが、これまでのところ、彼の取引は軍規違反、その他の処罰される活動とは直接結びついていない。

戦術
 全般的にいえば、サン=シール装甲軽機兵隊が好む戦術はない。合併の前に、二つの部隊は集団戦術(リヴァルディ軽機兵隊)、一撃離脱攻撃(サン=シール擲弾兵隊)を愛用していた。サン=シール上校は二つの戦術を組み合わせようとしている。重装甲の高速メックが接近戦で敵を分断して、残った部隊が小さくなった敵に集まるのである。これを達成するため、彼は3個の独立C3ユニットを注文している。

サン=シール装甲軽機兵隊
2個大隊/新兵/信頼できる
指揮官:アンドリュー・サン=シール上校
副指揮官/第1大隊:イアン"マンチュキラー"ヘイズ中校
第2大隊:ジューン・ハドック中校
 その部隊史を通して、装甲軽機兵隊は最新鋭からはほど遠い旧式機を使うのを余儀なくされてきた。新品のティ・ツァンを持つジューン・ハドック中校はこの例外のようである。彼女はこの機体に「ヤロミール」と名付け、黒、黄、白に塗装している。軽機兵隊の数少ない古参兵である彼女は、古代地球のスポーツ、アイスホッケーのファンで、戦いの際には敵陣に押し入り、彼女が言うところの「フルコンタクト」を楽しむ。









市民名誉旅団 3067

 その名称が予言となったかのように、ここ数年間、市民名誉旅団は何一つ間違ったことはしていないと思われる。彼らは与えられた任務をすべて遵守し、不確かな時代の中で常に備え、勤勉に活動し、大連邦国を強くするためにそれぞれが最善を尽くした。4個連隊はリャオ首相とその他のカペラ貴族から無数の感状と個人的な感謝の手紙を受け取った。真の栄誉を受けてないと一部で中傷されているが、首相が監視していることから、これらの声は少なく、用心深いものである。


第4タウ・ケチ・レンジャー部隊

 サン=ツー・リャオがイシス・マーリックを追い出した後、自由世界同盟はサーベルを鳴らすだけの時間を抜けだし、長年積み重ねた反カペラ感情を復活させた。3066年の小競り合いに伴い、自由世界同盟の国境は再び活発になった。

 そして再び、第4タウ・ケチ・レンジャー部隊は、危機にされされたシーアンと自由世界同盟の盾となった。クリンが本拠地なのだが、第4タウケチは惑星から惑星――ペラII、フロンダス、パラディン、シグマ・メア――を飛び回り、3個の世界に駐屯して連隊が薄く引き延ばされた。常に戦う準備が出来ているが、むやみに自由世界同盟と緊張を高めることのない第4タウ・ケチ・レンジャー部隊は、同盟の部隊に手を出す隙を与えていない。

 シェリー・ジャックスは最近、ユー=ホアン強襲級バトルメックを贈られた。この機体はC3マスターコンピュータを装備し、ゴールド――首相用の色彩で縁取られている。ミハイル・ズール=リーは、分散したレンジャー部隊を巧みに組織した戦略計画が評価され、大功労勲章を授かった。


第15ドラコン

 第15ドラコンは一時期大連邦国の同盟者であった自由世界同盟から突如として国を守ることになったもうひとつの部隊である。ゲイ=フから、インガーソル〜エクスドールの宙域に移されたドラコンは、自由世界同盟の主力が国境を越えて攻撃するのを妨げる壁の半分を形成したのだった。その過程で、第15は若干の装甲部隊と追加のファ=シー・バトルスーツを獲得し、ドラゴンズ歩兵大隊に統合して機械化歩兵強襲隊とした。新ドラゴンズは戦場の突撃兵として演習しており、バトルメックを守るために敵の牙の中に飛び込み、バトルメックが前進してすさまじい破壊を引き起こす時間的余裕を与える準備が出来ている。


ロックハート鉄騎軍

 統一政体の兵士たちが大連邦国に帰還したのに伴い、サン=ツーはロックハート鉄騎軍を二度目の任務としてカノープス宙域に戻した。一度目の任務ほど喜んで受け入れたわけではなかったが、統一政体がマリア帝国を自力で撃退できていることから、セントレラ総裁はこの部隊を最近閉じられたフロンクリーチ国境で上手く使っている。ロックハート鉄騎軍は、ジョッパでの一時的な駐屯から戻って以来、統一政体と大連邦国の間の通路を守っている。

 防御戦術の訓練は、ロックハート鉄騎軍が攻勢戦略を学ぼうとするのを妨げようとはしていない。最近の任務中、彼らは高速降下侵入テクニックと奇襲戦場展開を練習している。興味深い演習としては、1個大隊を高々度からドロップパックを使って降下させ、敵を混乱させる電撃的スタイルの襲撃をシミュレートするというものがある。第2、第3大隊は降下船で2時間後にやってきて、敵と交戦するために強行降下する。


ローレル軍団

 リャオ共和国の最前線に残ったままでいるローレル軍団は、失われた故郷、ティグレスを取り戻すのを切望し続けている。だが、チコノフの陥落と、カペラへの併合にともない、部隊と元気づけられたティグレス市民たちの双方が、彼らも大連邦国に戻れるかもしれないといくらかの希望を持っている。ティグレスの動揺は、ローレル軍団と関係が近いことに起因すると考えられる。大衆の多くがこの惑星を再び「ローレルの世界」と呼び始めた事実は、これをさらに強く物語っており、ダヴィオンの支配はゆるみ始めている。ティグレスには「自分たちで政府を選ぶことで、自分たちの運命を選ぶ」チャンスが与えられていると、アレクシア・ローレル上校は公式に発している。ハンス・ダヴィオンは似たようなことを言って、第四次継承権戦争で大連邦国への侵攻を正当化したのだった。

 ローレル軍団のバトルメック部門は大隊戦力を保っている。近年、彼らはティグレス市民旅団の名で知られる2個大隊を得た。各隊員はティグレスの国外居住者で、アサルトライフルの扱い方以上のことを知っているものはほとどいない。「彼らの存在はシンボル的なものである」とローレル上校は認めている。「故郷に帰還したとき、彼らを除隊させ、ティグレスの市民であり大連邦国の市民であると呼ぶのが楽しみである」

 アレクシア・ローレルは「リャオ軍団」の一員として迎えられた。その理由は、大連邦国に帰還した際の犠牲、ティグレス市民を専政から救うという誓いによるものである。









カペラ旅団 3067

 勝利と敗北の中で、忠誠度と戦力構成が移り変わったカペラ旅団は、ここ4年間で大きく変革した。このうちの一部は宿命であり、一部は嫉妬による努力であった。


アンバーマール・ハイランダーズ

 70代にしてまだ血気盛んな「老魔女」アンバーマールは、最近、ハイランダーズが言われているような道楽者たちではないことを証明した。大連邦国のために危険を引き受けたがらない週末の戦士たちと思われていたハイランダーズは3065年から3066年の前半にかけて、テロ攻撃に苦しめられた。だが、犯人たちはカペラに不満を抱いていた者たちではなく、自由世界同盟からのジオン派であった。自由世界同盟は大連邦国への攻撃を狙っており、仕返しされそうにない目標を選んだのである。不平は無視され、ハイランダーズはいらだった。その後、ジオンの第3自由世界防衛隊が扇動に関与しているかもしれないとの情報が届いた。

 ウェンディ・アンバーマールが(マッカロン)第2装甲機兵団にコンタクトを取ったのか、機兵団が彼女にコンタクトを取ったのかは定かでない。未確認の噂によると、第2が到着し、賛同と支援を申し出た時には、ハイランダーズはすでにアルデバランを放棄していたという。だが、いずれにせよ、ハイランダーズと装甲機兵団の連合軍はアルデバランを離れ、自由世界同盟の世界ジオンを叩いたのである。自由世界防衛隊は――おそらく予想通り――「同盟市民を守るのが第一の責務であり、テロリストというのはカペラの言い張ってることである」と抵抗した。

 ハイランダーズはバトルメック1個中隊分を失い、アンバーマール革命隊の損害は軽かった。第2マッカロンはこの襲撃で高い名誉と手腕を見せつけた一方で、アンバーマールの戦士たちは3倍の敵を行動不能にするか破壊し、3機の同盟製新型オムニ戦闘機を回収したのだった。


ハーロック襲撃隊

 ジョナサンから引き上げ、セカンドトライに再駐屯したハーロック襲撃隊はしばしの間気楽に過ごした。そして3066年、リャオ家とマーリック家の間で試練が始まった。

 アンバーマールハイランダーズと第2マッカロンがジオンを攻撃したその時、アスンシオンの鋼鉄衛団(FWL)は第3防衛隊の支援に行くか、大連邦国への強襲命令(確実にあると考えていた)を待つかについて声高に討論を始めた。その大声から大連邦国の安全が危機に晒されていると取った襲撃隊は、国境をジャンプして鋼鉄衛団を叩き、足止めした。これによってハイランダーズが撤退する余裕が与えられ、カペラの外交部門は状況を沈めたのである。襲撃隊はセカンドトライから保安部隊として1個歩兵連隊を連れていっており、以来、彼らを専属にするよう求めている。


マルシガマ軍団

 (ジュ=リー・マルシガマとウェンディ・アンバーマールの対立を含め)母親の足跡をたどっているエイドリアン・マルシガマ上校は、近年行われていたアンドゥリエンによるカノープス貿易団、兵士たちへの嫌がらせを口実にして攻撃を行った。3066年の後半、ローランドのドラゴンスレイヤーズ(統一政体所属傭兵隊)を徴用した彼女は、部隊とカノープス隊を率いて国境の向こうのコンキスタを叩いた。

 第1(自由世界)軍団は、10対1の不利で戦おうとせず地下に潜った。報償としてかなりの回収品を得たマルシガマ軍団は、二回目の報復襲撃としてアンドゥリエンを叩いた。この時、第1軍団は準備をしていたのみならず、怒り狂っていた。兵士たちを分散する時間を与えられなかったエイドリアン・マルシガマは、空爆、砲撃を行い、続いて、装甲、バトルメック、歩兵による波状攻撃を行った。ドラゴンスレイヤーズはしばしの間、単独でアンドゥリエン兵に立ち向かい、強襲で最悪の部分に耐えていた。だが彼らが崩壊すると、第1軍団とマルシガマ軍団を遮るものはなくなった。

 続いて起きた戦いは、短く熾烈なものとなり、最終的に恥ずべきものとなった。マルシガマ軍団は崩壊したドラゴンスレイヤーズから遅れること10時間以内に、この惑星から離れたのだった。


シン軍団

 駐屯任務をこなしていたシン軍団は、カペラ大連邦国との結びつきを強めるため、そして適正な補助部隊を作り上げるために働き続けていた。これまでのところ、彼らは貧弱な航空戦力を2個航空隊にまで増強し、混合装甲歩兵1個大隊を付けている。


サン=シール装甲軽機兵隊

 ここ数年、戦闘から離れていたことは、装甲軽機兵隊にとって有害であった。連邦共和国内戦はダヴィオン家相手に腕を磨くチャンスを彼らから奪い、シーアン共和区は自由世界同盟からよく守られていたので、戦うべき敵がいなかったのである。ローテーションの求めは繰り返し拒否され、ついにこの部隊は自発的に同盟の国境から動くこととなった。ナイトライダーズ(第1マッカロン装甲機兵団)がカスダッチで彼らに追いつき、戻るよう彼らを「説得」した。









武家戦士団 3079

 聖戦開始時には8個あった武家は、半分だけが残り、1個――ツァン・シャオ家――が代わりに作られた。彼らの孤立主義は各武家に力を与えるだけでなく、編成上の弱点となっている。再建に使える確固たる候補生なくしては、武家は戦士が死んだときに本質的に死んでしまうのだ。それはルーサン家、マ=ツ・カイ家、フジタ家の命運で証明されている。(3069年にセカンドトライでほぼ全滅したカマタは、ベテルギウスに保持した小規模な訓練予備のおかげで、一部のみ回復した。現時点ではいまだ戦闘不能である)

 長年にわたり戦士団で最も高い名声を得てきた武家イマーラは、聖戦中にその戦闘能力を繰り返し証明し、政治的な戦いしか出来ないと信じている批判者たちの鼻を明かした。ワード・オブ・ブレイクがシーアンを攻撃したときそこにいたイマーラ家は侵攻軍を下し、次の数年間かけて再建し、主星をさらなる攻撃から守った。CCAFが攻勢に戻り保護領を攻撃すると、イマーラ家は強襲の急先鋒に立った。

 ヒリツ家は聖戦の初期をタウラス連合のカーセイジにある要塞で過ごし、その後、タウラスとの三国同盟が崩壊すると、首相は彼らを呼び戻した。ヒリツ家は恒星連邦との紛争の後半にカペラの内陸部を保護し、それから首相に沈黙したカノープス統一政体の調査を命じられた。この活動で、最も著名な士官の一人を失った……アリス・スン少佐である。しかし、最終的に統一政体への逆襲の足場が作られた。ヒリツ家はカノープスを解放することになるカノープス=カペラのタスクフォースで(報道されてないが)重要な役割を果たし、その後、大連邦国に帰還して、ブレイク保護領への強襲に参加した。彼らはニューアラゴンとプレイオネの成功で決め手になった。

 ダイ=ダ=チ家(最も軍事的な哲学を持つ武家)は、3068年以降、ほぼすべてのカペラの攻勢で前線に立った。ハセク公爵による至高の正義作戦の後、カペラの逆襲で全タスクフォースの先陣となったダイ=ダ=チは、アルマクとニューシルティスで戦った。彼らはフーチョウでブレイク派の傭兵と対決し、ポズナンでワード・オブ・ブレイクの抵抗を破るのに尽力した。これらのすべてを成し遂げ、戦力を60パーセントにとどめていることは、彼らの戦闘技術の証となっている。

 イジョーリ家は3068年に行われた逆襲第一波のオヴァートンでエリートの第1恒星連邦装甲機兵団と遭遇し、ひどく痛めつけられた。それからの数年を大連邦国の内陸部で過ごし、戦力を再建するあいだ、補給線を確保し、海賊と戦った。3077年のニンポーで、マ=ツ・カイ家を壊滅させたブレイク第13師団に報復したのはイジョーリ家だったが、その過程で大きな損傷を負い、ポズナンで支援することができなかった。

 大連邦国の防衛支援を求めるカペラ貴族によって聖戦中に創設されたツァン・シャオ家は、3077年、ポズナンで戦火の洗礼を浴びた。ダイ=ダ=チ家と組んだツァン・シャオは、守るワード・オブ・ブレイク軍と戦うために持てる兵器のすべてを投入し、必要なときには化学生物兵器を使うのに良心の呵責を示さなかった。この中で残った武家は現代的な哲学を採用した。あらゆる場合の名誉、首相と大連邦国への忠誠、勝利至上主義である。


士気

 カペラ軍において常にエリートである武家の士気は滅多に衰えることがない。だが、聖戦はこれまでと違う戦いであり、隊員たちの多くはブレイク教団を叩く中で数々の問題について再考するようになった。武家内の軋轢は過去最高に達している(標準的な正規連隊の「過去最高」を大きく下回っているが)。なぜなら、武家は聖戦後の軍部内で居場所を探しているからだ。

 確かに、彼らが参加した熾烈な戦闘は、武家戦士の見方を変えた……武家すべてを半身不随にした第四次継承権戦争の残忍さすらも、数個武家の完全な全滅をもたらすことはなかったのである。武家戦士の多くがこれまで持ち続けてきた心情――とくにロリックス教義を見直そうとしている。なぜなら、メック戦士のみが持ち得てきた名声を、バトルアーマーや先進車両のようなあまりにも多くの新しい脅威、新技術が奪おうとしているからである。


連隊現状

イマーラ家
2個混成大隊/古参兵/信頼できる
戦力60% | アップグレード%100
現在の基地:リバティ

ヒリツ家
2個混成大隊/古参兵/熱狂的
戦力55% | アップグレード100%
現在の基地:プレイオネ

ダイ=ダ=チ家
混成大隊/エリート/熱狂的
戦力60% | アップグレード100%
現在の基地:ポズナン

イジョーリ家
2個混成大隊/一般兵/信頼できる
戦力35% | アップグレード100%
現在の基地:ニンポー

カマタ家
混成大隊/新兵/信頼できる
戦力25% | アップグレード100%
現在の基地:ベテルギウス

ツァン・シャオ家
混成大隊/古参兵/信頼できる
戦力70% | アップグレード100%
現在の基地:ニューアラゴン









デス・コマンド 3079

 デス・コマンドは大連邦国軍のエリートで、突撃兵、特殊作戦チーム、浸透部隊、暗殺者としての役割をこなす。その戦士たちは大連邦国軍から引き抜かれ、大半は武家から来ている。彼らは首相と大連邦国に至上の忠誠を誓っており、それは人類宇宙のどの兵士にも劣らぬものである。


状況

 大連邦国で最も訓練され、最も危険な兵士であることから、デスコマンドは最も危険で重要な任務のみを拝命する。聖戦が始まる前に、この部隊は1個連隊にまで成長したのだが、現在、現役であるのは、我らの推定でかろうじて2個中隊である――これはあくまで推定だが。我々はデスコマンドの位置を特定できていない。それはおそらく大連邦国の各地に分散しているからである。だが、我々は過去の作戦行動のいくつかを確認することができた。

 ジョージ・ハセクが「解放」したカイ・アラード=リャオを奪還したのがデスコマンドである。ブレイク派の攻撃からシーアンを守るのを手助けし、3073年、シーアンに短期訪問した偽トーマス・マーリックを暗殺の魔の手から守ったのが、デスコマンドである。デスコマンドはカーリー・リャオを送り届けて兄と面会させた。そして首相の配偶者となったカノープス総帥を母国に送り戻した際、首相は戦闘の続くカノープスを解放するために最高の戦士たちをつけた。赤色槍機兵隊、カペラ機兵連隊の先任連隊、デスコマンド1個中隊である。

 地球奪取後にカペラ軍が再編されると、我々は1〜2個以上のデスコマンドをどんな正確さにおいても特定できなくなった。最大規模の部隊がカノープス統一政体内に残っていると思われるが、多数の戦力が元(ブレイク)保護領内でカペラの作戦を行うため分散しているに違いないとも思われる。


士気

 エリート特殊部隊の士気が疑われることは滅多にない……彼らはいつも熱狂的な忠誠を誓うか、あるいは反逆的に忠誠がない。途方もない犠牲が出たにもかかわらず、我々はデスコマンドの士気が高いままにあり、首相に対する忠誠心も同等であると考えている。彼らの活動は犠牲が大きい一方で、ほとんど一様に成功してきた。たいていの場合、特殊作戦チーム内の損害は正規部隊より高いので、損害がコマンドの忠誠心に影響をもたらすか怪しいものである。何かあるとすれば、ここ最近の成功と大連邦国の軍事的地位の全面的復興から考えて、デスコマンドがこれまでより首相に関わっているかもしれないということだ。


連隊現状

デス・コマンド
大隊/エリート/熱狂的
戦力不明 | アップグレード100%
現在の基地:不明









市民名誉旅団 3079

 新生の際にCCAF正規軍に組み入れられた二番目の元傭兵集団、市民名誉旅団は聖戦のあいだ大連邦国によく仕えた。ハセク公爵の侵攻の初期段階において、オヴァートンで第15ドラコンが壊滅したことは、これら元傭兵たちがどれほど新しい故郷に献身的であるかをCCAFに証明し、旅団の生き残った連隊はこの教訓を忘れていない。


状況

 第4タウ・ケチ・レンジャー部隊は正式にカペラの一員となる前から高い評価を得ており、カペラの旗についてからも何ら変わることはなかった。彼らは恒星連邦に対するカペラの逆襲の第一波に参加し、グラスゴーで連邦自由兵団(傭兵連隊)をほぼ殲滅した。CCAFがワード・オブ・ブレイクと戦うために大連邦国へと退却すると、第4タウ・ケチ・レンジャー部隊はカペラ境界域による攻撃が二度と繰り返されないようにする任務を与えられ、一連の鋭い目標襲撃で敵を不安定にさせ続けた。3076年の大半を再補給に費やしたあと、彼らはシェンへの強襲に加わり、第4マッカロン装甲機兵団の支援を行った。

 ロックハート鉄騎軍とローレル軍団は、3077年、ハロランVへの大規模な強襲に加わり、両部隊とも大損害を負った。鉄騎軍は離脱する時間を与えられず、危険なブレイク派レベルIIIの一連の強襲によって2個大隊を失った。一方、軍団は二箇所の防衛陣地から押し出され、その後、マッカロン装甲機兵団の背後で再編し、ブレイク派を撃退した。

 鉄騎軍はハロランVに残り、多数の戦場に散乱する回収品から必死に再建しようとしているが、伸びきったカペラ補給線の末端にいることからこの努力は妨げられている。ローレル軍団は聖アイヴス共和国近くの駐屯地に戻った。シーアン共和区の大規模な生産能力を使ってもっと早く再建中である。

 サーナ軍養成校候補生部隊は、厳密には市民名誉旅団の一員ではないのだが、戦略調整官は第15ドラコンの損失を補うため、管理上の都合から彼らを旅団に入れた。3060年代全般に渡る忠誠心の問題は静かになり、ノスタルジックに色あせた。大打撃を受け過ぎたCCAFは、損耗した部隊に兵士を送るという訓練大隊の役割を続けさせることはできなかった。候補生部隊はサーナを本拠地としているが、中隊規模の分遣隊が平和維持、哨戒任務のためにリャオ共和区に送られ、候補生たちに必要な経験を与えている。


士気

 市民名誉旅団は、その損失にも関わらず、高い意識を残している。ワード・オブ・ブレイク、恒星連邦との戦いは、国家に対する忠誠心(大連邦国の市民と彼ら自身に対するものの両方)を証明し、ドラコンの損失は義務の代償として受け取られた。


連隊現状

第4タウ・ケチ・レンジャー部隊
連隊/古参兵/熱狂的
戦力60% | アップグレード75%
現在の基地:シェン

ロックハート鉄騎軍
連隊/一般兵/信頼できる
戦力30% | アップグレード40%
現在の基地:ハロランV

サーナ軍養成校候補生部隊
大隊/新兵/疑問
戦力90% | アップグレード60%
現在の基地:サーナ

ローレル軍団
大隊/古参兵/信頼できる
戦力50% | アップグレード60%
現在の基地:ビシニア/エオム/ジャスミン









カペラ旅団 3079

 カペラ旅団は、市民名誉旅団のように元傭兵部隊で、3061年にCCAF正規軍に編入された。だが、名誉旅団と違って、これら連隊の戦士たちはカペラの市民権を与えらなかった。この区別は忘れられ、それから心に残って苦しみを生んだ。サン=シール装甲軽機兵隊がセンダラーでAFFS相手に壊滅したあと、リャオ首相は戦死した隊員たちに大連邦国の市民権を与えた。旅団の戦士たちの大半は肩をすくめ、それから仕事に戻ったが、3071年に壊滅したシン軍団が市民権を与えられると、彼らの多くはカペラ市民権を得るには死ぬ必要があるのかと疑問を持ち始めた。


状況

 アンバーマール・ハイランダーズの2個大隊は、3070年、恒星連邦が出資する傭兵相手にアルデバランを守り、撃退された。カペラ共和区に退却した彼らは、リャオ共和区に行くカペラの補給艦隊を護衛する任務を課され、3074年まで続いた。駐屯任務をこなしたあと、3077年、彼らはブレイク派の手にあったジオンを叩いた。どうにか地上にたどり着いたのだが、ハイランダーズはすさまじい損害を負い、前線から退いた。回復のためスークに退却したハイランダーズは解散するだろうと噂されている。

 ハーロック襲撃隊は粘り強さと、元傭兵隊というイメージから想像できる狡猾さで戦った。CCAFの連隊と組んで戦った襲撃隊はニューアラゴンとチューリッヒで戦い、3077年、プレイオネ奪還の急先鋒となった。損害を被ったにも関わらず、この連隊はカペラ旅団の中で最も強い編成として残されている。

 マルシガマ軍団はカペラ旅団内で最も弱い部隊として聖戦を始め、終わりまでそれを埋め合わせることはなかった。戦争の間、地味な駐屯任務と護衛任務を任された軍団は、ついにチューリッヒ攻撃に参加し、姉妹連隊であるハーロック襲撃隊と協力して勝利を飾った。ハーロック襲撃隊がプレイオネに移動すると、軍団がこの世界を確保することになったが、その際に1個中隊をまるまる失ったのだった。


士気

 シン軍団と装甲軽機兵隊が失われたことは、カペラ旅団にとって苦い薬となったが、3076年、旅団の現隊員にカペラ市民権を与えるというリャオ首相の決断は、彼らの失われた魔力を復活させた。全連隊が激しい戦闘に関わったが、団結力を失いそうになるほどのひどい損害を負ったのは、ハイランダーズだけだった。スークのマスキロフカ工作員は、心的外傷後ストレス障害が不忠義に結びつくかどうかハイランダーズを密に監視ししている。


連隊現状

アンバーマール・ハイランダーズ
2個大隊/一般兵/疑問
戦力25% | アップグレード60%
現在の基地:スーク

ハーロック襲撃隊
連隊/一般兵/信頼できる
戦力70% | アップグレード90%
現在の基地:アルゴット

マルシガマ軍団
連隊/一般兵/信頼できる
戦力25% | アップグレード75%
現在の基地:チューリッヒ









武家戦士団 3081

 CCAFの正規部隊とは違って、武家戦士団は再建が遅れている。大連邦国は軍事アカデミーからの候補生を増やしているのだが、修道会戦士団は必要だからと言って哲学的、精神的傾向の面で妥協することは出来なかったのである。新兵は若いときに戦士団に入り、なにごとも武家の信条で生きることを教えられ続けている。武家志願者の訓練に多大な時間を費やしているサン=ツー・リャオ首相は、破壊されたマ=ツ・カイ家、ルーサン家、フジタ家の戦士修道会で訓練を続けるよう命令を出した。各修道会は、年老いた古参兵、訓練脱落者、若き志願者の家でしかないが、戦闘部隊を構成する装備と訓練された人員を欠いている一方で、時間がかかっても大隊を再建するためにドアを開き続けることを首相は選んだ。これは平和な新時代という我々の考えをサン=ツーが受け入れないというもう一つのサインである。









市民名誉旅団 3081

 傭兵だった時代が歴史に消えていくに連れ、市民名誉旅団はCCAFの攻勢に使われる前線部隊のひとつとなり、CCAFの補給と兵站から適切な支援を受け取っている。生き残った3個連隊は、最先端の装備で再補給されているところであり、聖戦の損失を埋めるため地方訓練校から最高の候補生たちが来ている。









カペラ旅団 3081

 CCAFという鎖における弱い部分は、あるとすれば、元傭兵であるカペラ旅団の規律と指揮である。聖戦以来、彼らの規律はよくなるどころか悪化している。休戦以来、ハイランダーズは最低の補給優先権であることから、マルシガマ軍団に向かうタオ・メックワークスからのパーツを盗み取ったと疑われている。これまでのところ、調査員はアンバーマールが盗んだとの証拠を見つけていないが、そうする手段、動機を欠いていると考えているものはいない。マルシガマ上校は、次にアンバーマールと会うときには、「あの老いた雌豚との問題を解決する」と誓っている。









武家戦士団 3085

 3050年代のリャオでの作戦行動を再現したかのように、現役にある武家5個すべてがチコノフに上陸し、ストーン・スチュワートを殲滅した。だが、過去の出来事を利用して政治的なメッセージを送ったのは武家だけでなかった。まさに翌年、ハスタティの全6個連隊によって、武家はチコノフから追い出された……それは50年前の南十字星部隊による劇的勝利を思い起こさせるものだった。武家は共和国から追いやられた。イジョーリ家はリャオでストーン旅団の上陸を妨害しようとして全滅した。彼らが敗北した後、家長ラッシュは支援する通常戦力との連携不足が敗北の原因のひとつであると認めた。家長は首長に武家の再編成の許可を求め、サン=ツー・リャオは応じた。この変化は困難であることが証明された一方で、武家の多くにとって、聖戦はすでにメック戦士とバトルアーマー歩兵の区別の大半をぬぐい去っていた。この新しいドクトリンによって、戦士団のすべての武人がシナジー効果を発揮することが期待されている。

イマーラ家
 政治的な駐屯部隊であると外国のメディアから間違って数えられていたイマーラ家は、この数年間を戦闘に費やした。最上級の武家の地位にふさわしく、ハセクとブレイクによるシーアン共和国中心への攻撃を跳ね返した。単なる守備隊であるのに満足しなかったサン=ツー・リャオは、リバティの合同軍を攻撃するためにイマーラを送り、戦前の国境を越えて世界を確保しようとした。チコノフでイマーラはしばし他の武家と再会したが、ハスタティに圧倒されるに終わった。彼らはリャオに後退し、ストーンラメントと接近戦を行った。ストーン旅団の他部隊に罠にかけられそうになったとき、彼らはリャオから退却した。

カマタ家
 ベテルギウスに鎮座するカマタ家は、近年の共和国との紛争において、戦闘できる状態にないと考えられていた。他の武家がチコノフで戦うあいだ、カマタ家の新しく鍛えられた戦士たちは、菩薩ジェラルド・タノーエの指導の下、瞑想を行っていた。

 部隊の遺物講堂で香を焚いているあいだ、才能豊かな若き大尉、ミルフィーユ・イン=イェは、武家の聖遺物の中に古びた稼働しないバトルメックを発見し、興味を引かれた。一部破壊されたストライカーに上った彼女は、コクピットのハッチに触れ、なぜか開くと仰天した。武家の士官たちが駆けつけ、イン=イェ大尉がかつて家長ニコル・エラスが使っていたメックのハッチをうっかり開いたのう目撃した。菩薩タノーエはこれをなんらかの前兆であると見なし、イン=イェがカマタ家の家長であると宣言した。異例の昇進であるが、聖戦はタノーエより階級の高い士官を皆殺しにしていた。聖なる前兆によって、カマタ家の重要な決断が下されるのは、これが初めてではない。

ヒリツ家
 ヒリツ家の戦士たちにとって、共和国は正しい秩序に対する不合理な混乱である。ブレイクのように大連邦国の世界を奪ったろくでなしが率いる、単なる敵ではなく、社会に対する裏切り者なのである。ヒリツ家は保留付きで共和国から追い出されることを受け入れたが、すでに第IV、第V、第VI宙域にまたがる大連邦国の世界に秩序を取り戻すために帰還すると誓っている。

ダイ=ダ=チ家
 ダイ=ダ=チは首相の意思の残忍なハンマーのままであった。哲学的な合理性に抑制されないダイ=ダ=チのカペラ境界域の大暴れは、理由なき民間インフラ、工業の破壊によって、定期的に中断した。ダイ=ダ=チ家が地元の防衛軍を破った後には、電力、宇宙港のない都市部が残された。つい最近、ポズナンでは、シェイ家長がブレイク派の抵抗勢力と家から家へのしらみつぶしで戦うことを避けて、ロッズとニューピルセンの町を砲撃と絨毯爆撃で破壊するように命じた。曰く「良きカペラ人は、国家を守る中で死んだことを誇らねばならない」。ダイ=ダ=チ家は、他の武家より歩兵とバトルメック部隊の統合に苦労している。ルク・ツェ・クン少佐が、歩兵部隊の同僚であるスティーヴン・ウェインリエット少佐に制服の洗濯とアイロンがけを命じたとき、殴り合いが発生し、それは家長がクン少佐を撃ち込んでやっと終わったのだった。

ツァン・シャオ家
 最新の武家戦士団であるツァン・シャオは、異端の生まれと独立的な編成のために、正規の武家として認められようとやや苦闘しているところだ。だが、この新部隊はチコノフとスークの両方で、期待に応える力があることを証明して見せた。ツァン・シャオの戦士たちはタラント主義(27世紀カペラの現実派哲学者ドルスス・タラントの哲理)を叩き込まれている。タラントの作品は、当時の星間連盟期では不人気だったが、コルヴィン、サーナ勅令に採用されたカペラの伝統的価値観を現実主義的政治理念と混ぜ合わせたことによって、シェンで繰り返し人気が出ては消えていった。ファンの中にはヤン男爵がいたのである。









デス・コマンド 3085

 「マイケル・ヒュン=ツェイは死んでいない。ついに天国に押し入っただけだ」。この言葉は大連邦国中で何度も繰り返されている。このデスコマンド元指揮官は長年の間、誇張した報告を行ってきたが、それでも確認された偉業のいくつかは目を引くものである。3074年、ブレイクがフォビドゥン・シティ(紫禁城、カペラ首都)を強襲した際、ヒュン=ツェイは素手でラクシャサのサイボーグを殺した……喉からバイオ気管をむしり取ってやったのだ。いくつかの情報源からの事後報告によると、以前、カイ・アラード=リャオをニューシルティスから連れ出した際に、ヒュン=ツェイは追撃してくるカエサル・バトルメックを倒したという……収容所の基礎に使われていたマイアマー・ケーブルを使ってメックのコクピット・ハッチを開き、パイロット区画にインフェルノを撃ち込んだのである。その性質上、ヒュン=ツェイの死はまだ分析中であるが、最も可能性が高そうなのは、アルボリスでブレイク市民軍との激しい交戦中に死亡したというものである。

 現在のデスコマンドの状況はほとんど知られていないが、我らの諜報ネットワークは、新しい准将がクーイェン・ツェン・ネイであるとの確証を得た。華奢で、きれいに髪を分け、青ざめた顔のこの男は、サディスティックな性格を隠している。3077年、大連邦国がニューアラゴンを攻撃したとき、保護領市民軍はCCAFと最後の一兵まで戦うことを誓った。カペラが上陸した翌日、保護領軍指揮官の長男が胸に短剣が刺さった状態で見つかった。短剣の持ち手には、中国語で「シャン」、降伏と書かれていた。次の三日間、指揮官の妻と残った二人の息子が殺され、すべてに同じメッセージが書かれていた。ニューアラゴンの市民軍は四日目に降伏した……末娘の命を嘆願したのである。









リャオ・チャン・チェン(リャオの長城旅団) 3085

フィール軽機兵隊 PHYR’S HUSSARS
 9年間にわたって、フィール軽機兵隊は、セント・アンドレの放浪襲撃隊のように過ごし、絶えず移動して、ブレイク軍を倒すために集結しては分散した。軽機兵隊は引き時がわからないほどあまりに狂信的であるか、おそらくは単に強情で馬鹿だったことが示唆されている。それにも関わらず、ブレイク保護領が崩壊したとき、軽機兵隊はセント・アンドレに大連邦国の旗をはためかせていた。これらのフィルム『自殺的な暴徒』『フィールを知れ』で人気を博した軽機兵隊は、カペラ宙域で有名になった。リャオ共和区に到着したときにほぼ再建されていた軽機兵隊は、ウェイで第4タウケチレンジャー部隊を救援するのにちょうど間に合った。第2ハスタティがレンジャー部隊の残存戦力を降下船まで押し出すと、軽機兵隊は第2ハスタティの後方に直線戦闘降下し、彼らの作戦を妨害した。

 第2ハスタティのインターディクターが離陸し、逃げるレンジャー部隊の降下船を迎撃しようとすると、タイガ・カマクラは自身の中隊を率いて、このポケット戦艦の真上に直接戦闘降下した。この狂気のスタントと空中での戦闘でカマクラ中隊の半数が死んだが、この船を地上に戻すことに成功したのである。この活躍で小柄なカマクラは傑出功労杖を授与され、それ以来、再建中の第3大隊の指揮を受けた。セント・アンドレに一人残るフィール上校は、野戦服か礼服かにかかわらず、部隊の伝統であるダークグリーンの軽機兵隊外套をまとっている。これまでのところ、戦略局は部隊の活躍とメディアでの人気から、この奇行を容認している。

チャオ擲弾兵団 CHAO’S GRENADIERS
 CCAFで最もトラブルの多い部隊の一つ、フォン擲弾兵団は、3068年、アイリシアン槍機兵隊第59打撃連隊からかろうじてチンガオを守った。彼らは一時期離脱攻撃で槍機兵隊をすり減らし、自らも戦力と補給を失っていった。第59打撃連隊が撤退するまでに、擲弾兵隊はバトルメックで武装した組織化されてない集団に過ぎないものとなっていたのである。以前の報告に反して、擲弾兵隊はセレスティアル・ヴェンジャンスが終わった後、完全になにもしなかったわけではない。部隊の大半が再建中だったので、フォン上校はブレイク派の襲撃と攻撃の報告に応じて、戦力不足の大隊を率い、リャオ共和区を徘徊した。

 指揮官の不在は、規律の崩壊を強めただけだった。3077年、擲弾兵全1個中隊が、ブレイク保護領を攻撃する部隊への参加を拒否し、バトルメックと共に出奔したのである。後にこの離脱者たちはRAFにその姿を現した。徹底的な調査の後、3080年、戦略局は擲弾兵隊の指揮幕僚ほぼ全員を罷免した。擲弾兵隊は元レンシールド竜機兵団、ルー・チャオ上校の指揮下に入った。擲弾兵隊を戦列に戻せるほど、チャオが幸運であるのか、いまはまだ定かではない。









市民名誉旅団 3085

 この旅団の各部隊は、元傭兵団である。それは、忠誠の確立した部隊を吸収してCCAFの軍事力を早急に拡大するという急進的な実験の一部だった。20年後、市民名誉旅団における傭兵の遺産はほとんど忘れられている。伝統的な王家部隊と肩を並べて戦い、損害をカペラの訓練校卒業生で埋めたことから、他のCCAF部隊と市民名誉旅団を区別するものはほとんどない。例外は、どこの共和区にも属していないことと、たまに古参兵の古いマシンが2本の銀帯を付けていることである。

第4タウ・ケチ・レンジャー部隊
 地球回廊への新たな大攻勢作戦に、特戦隊を加えないというのはありえない考えだった。元々は地球帝国の世界、ニューアースで生まれ、旧SLDFの伝統を持つ第4タウ・ケチの存在は、元保護領の世界に対するカペラの作戦に形だけの正統性を与えた。特戦隊は最初の攻撃でバーラトの第1共和国アウクシリアをほぼ殲滅したが、同年のその後、バーラトを辞すことを余儀なくされた……3倍の規模のアウクシリア群による逆襲を受けたのである。

 追い出されたのだが、きわめて機動性の高い特戦隊は、第9、第10、第11アウクシリアと順番に交戦し、それぞれに大打撃を与えていた。よって、すべてのアウクシリアが再編成のために撤退しなければならなくなったのである。第15ドラコンに対する敬意から、ダニエル・ジャックス上校は、地元の民間コミュニティに捕獲した富と物資を寄付するという伝統を受け継ぐように命令した。特戦隊は第2ハスタティに敗北しながらも、ハスタティの補給庫を襲撃して戻った。このとき捕獲された水浄化システムのいくつかは、現在、シバの農村で使われている。

ロックハート鉄騎軍
 長年の間、信頼の出来る駐屯部隊程度と考えられていたロックハート連隊は、この10年で、それまでの歴史であったよりも多くの戦闘にかかわった。鉄騎軍はハロランVでブレイク市民軍に勝利したが、この戦闘で経験に欠ける部隊の2/3の戦力が犠牲となった。部隊内の漁り屋技術者たちにより、部隊の再建はかなり早く可能となった。彼らの慎重に考えられた攻勢戦略は、3081年、ヤンツェに戦闘降下した際に有効だと証明された。第2、第3アウクシリアは、ハーロック襲撃隊と鉄騎軍の間で締め付けられることよりも、撤退することを選んだ。だが、この世界を守るために計画と演習を行う時間がなかったことから、第6アウクシリアの逆襲を受けると、限られた抵抗をしただけですぐにカンスーへと追いやられたのだった。

 戦略局は彼らが「カペラ」の世界を守るのに全力を尽くさなかったとして、鉄騎軍指揮官リアンナ・ロックハート上校を激しく非難したが、戦略調整官ザーンには彼女が将来の作戦のために戦力を温存したのだと分かっていた……本質的に勝てない戦いで全滅した多くのカペラ部隊とは違って。今のところ、ロックハートの地位は確保されているが、CCAF司令部の多くは、彼女の部隊の戦果が市民名誉旅団の仲間に並ぶことを求めており、武装過剰な郷土防衛軍並みになることは望んでいない。

ローレル軍団
 ローレルの世界――ティグレス――を大連邦国領土に戻すという数十年におよぶ戦闘の後、戦略局が軍団を3081年の共和国に対する作戦に参加させないと決めると、軍団の武人たちは苦々しい失望を抱いた。大連邦国の共和国領内侵入が災厄に終わるのを部隊はなすすべなく見守り、動揺を募らせ、侵攻に参加できなかった無力に怒った。部隊がニュー・マカオにローテーションすると、実戦に参加する誘惑が多すぎることが明らかとなった。共和国軍がスークを攻撃したとの報告を受ける取ると、ローレル軍団は戦闘中の武家を支援するために持ち場を放棄した。

 アレクシア・ローレル上校を狼狽させたことに、軍団がスークに上陸するまで、ダイ=ダ=チとツァン=シャオはすでに降下船に向かって逃げているところだった。軍団はストーン・ラメントに単独で遭遇していることに気づいた……CCAFに支援される望みはなかった。3時間以内に、軍団は1個中隊強にまでたたきのめされた。アレクシア・ローレルのウルバリーンは、修復不能な金属塊にまで溶解した。ベスティ"シュガー"リンゼー少校はRAFに降伏し、生存者はチコノフ協定の一部として送還された……残った装備の大部分を除いて。

 結果、部隊の無分別な行動と指揮系統の露骨な無視を明らかに快く思ってないCCAFは軍団の忠誠評価を疑問に下げた。軍団の証明された戦闘技術と共和国への憎悪だけが、完全な解散を妨げている。









カペラ旅団 3085

 カペラ旅団はCCAFの共和国侵攻に全力を捧げ、ほぼ全滅した。旅団の諸連隊は最初の攻勢で活躍したが、RAFが逆襲を始めると崩壊した。チューリッヒにいるマルシガマ軍団の援軍を命じられたアンバーマール・ハイランダーズは、アズハで準備に手間取り、第7ハスタティによる奇襲を受けた。チューリッヒに単独で残されたマルシガマ軍団は、6ヶ月後、第6ハスタティの攻撃を受けると鬼神のごとく戦ったが、単純に圧倒されてしまった。両部隊が壊滅したのは、アンバーマールとマルシガマの確執に原因があるとする者もいるが、生き残ってこれに答える士官はもう存在しない。CCAFは生き残った戦士に市民権を与え、他の正規連隊への異動を行った。

ハーロック襲撃隊
 襲撃隊は近年の戦闘でロックハート鉄騎軍と共に作戦を行い、カペラ旅団で最高の戦果を残した。鉄騎軍の粗野な決意と、襲撃隊の無謀で型破りな行動は驚くべき効果をもたらしたが、最終的に十分ではなかった。それにもかかわらず、襲撃隊の隊員たちは市民権を与えられた。その多くは、鉄騎軍か他の市民名誉旅団に移された。しかし、戦略局は、カペラ旅団を完全に解散することはなく、外人部隊として残すことを選んだ。

 CCAFは残った指揮幕僚を部隊に残し、襲撃隊で勤務する志願兵たちを既知宇宙のあちこちから受け入れ始めている。問題のある指導部による、好ましくない仕事だと思われるかもしれないが、志願者が押し寄せている。その多くは、安定した給与を求める辺境の海賊たちだが、それよりさらに多いのが雇用を探している元傭兵である。この中で最も興味深いのは、元AFFSのメック戦士、アンドレ・リッチ上尉だろう。彼はシュタイナー=ダヴィオンによる統率失敗にうんざりし、セレスティアル・ヴェンジャンス作戦のあいだ、CCAFに亡命したのだった。









武家戦士団 3145

 武家は長年にわたり、ダオシェン・リャオ首相に重用されてきたが、ダオシェンの寵愛は気まぐれである。ヴィクトリア戦争での戦果に感銘を受けたダオシェンは、ほとんどすべての武家を再建しカペラ・クルセイドに参加させた。最終的にストーン旅団に押し返され、その成功が終わるまで、ダオシェンは修道メック戦士たちの優れた力量に夢中になっていた。セレスティアル・リワード作戦の間、武家は首相の勅令によって2個メック大隊と2個バトルアーマー大隊の戦力拡大し、再び突撃の先陣に立った。

 休眠中の武家はわずか3部隊のみである。マー=ツ・カイ家は自身のやり方で門弟を訓練し続けているが、3110年のクラーギンで部隊の戦士たちが事実上壊滅したことから、現在の家長は戦士たちが実戦に耐えうるまで少なくとも5年かかると見ている。ダオシェンはカペラ・クルセイド中に共和国軍に捕まりかけたのは、ルー・サン家に責任があるとの思いを抱き続けている。玉座についた際、彼はルー・サンの修道院を閉鎖するように命じ、門弟たちはちりぢりになった。首相はフジタ家をわずかに低く見ている。メック戦士たちは戦う準備が出ているとタカモリ・シャン家長が主張したにもかかわらず、ダオシェンはフジタ家にバトルメックを支給するのを繰り返し拒否した。首相がフジタをセレスティアル・リワード作戦に参加させないというのがあきらかになったとき、シャンは切腹した。

イマーラ家
 セレスティアルリワード作戦の序盤に、第6シルティス機兵連隊はイマーラのターゲットとなった。最初の武家たるイマーラ家は、このハセクのエリート親衛隊の破壊を第一の目標とした。イマーラはニューシルティスに戻ろうとするハセク女公自身のLCTを二度迎撃したが、第6機兵連隊はいずれの場合も離脱するのに成功し、イマーラが決定的な一撃を放つ前に脱出したのである(実際、最初の時は、第6機兵連隊がイマーラ家の裏をかいて、イマーラの航宙艦2隻を捕獲した――いずれもワッピンガーズの戦いの際に奪還された)。獲物に逃げられるのを嫌がったイマーラは、第6機兵連隊が最後のいた場所からわずかジャンプ一回のところに陣取り、攻撃のチャンスをうかがっている。

カマタ家
 カマタ家は聖戦が終わって以来、幸運に守られた存在であり続けている。カペラ・クルセイドで有名な立て続けの勝利をあげた後、部隊所属のモノリス級のKFドライブが故障したことによって、ストーン旅団が他武家に対し決定的な勝利を収めたその場におらずに済んだのである。

 最近、スザーノを攻撃した際、カマタ家はまったく妨害を受けないで上陸することができた……防衛側の迎撃機はが滑走路の火災で離陸できなかったからだ。ニューシルティスの山道でCMMの待ち伏せを受けたときは、突然の雪崩によってカマタは比較的無傷で脱出することができた。カマタの戦士たちは、この幸運を、高齢の家長、ミルフィーユ・イン=イエのおかげであると考えている。イン=イエは遙か昔に指揮権の大半を下級の士官たちに渡しているのだが、部下たちから生ける聖人と見なされており、旧式のストライカーで戦場に立ち続けている。

ヒリツ家
 ヒリツはハセク軍相手によく戦ったが、彼らにとってニューシルティス争奪戦は始まったばかりである。占領した惑星の民衆を落ち着かせる仕事を託されたシュン・クアン家長は、全CCAF戦士、地元治安担当者、民間人に対して、義務と適切な振る舞いに関する大量の指示を与えた。これらの文言は、略奪の基本的な禁止と物資の配給から挨拶の仕方までがカバーされている。違反者には素早く即座の残虐な罰則が加えられる。クアン家長が保証しているのだが、違反したカペラ兵士に対する罰則は地元民に対するものとほとんど同じである。

ダイ=ダ=チ家
 最も凶暴な武家であるとのダイ=ダ=チの評判は、彼らにふさわしいものである。ダイ=ダ=チ家は、グレートフラッド作戦の間、第V宙域を切り裂き、立ちふさがる者を皆殺しにし、囚人を取ることはなかった。セレスティアルリワード作戦の初期の戦闘でも同じことが起きた……チコグラッドまでわずか数時間のところで止まるまで。五ヶ月後、激怒したダイ=ダ=チは、CCAFのタスクフォースと共に戻り、ついにチコノフを手にしたのである。ダイ=ダ=チにとっては残念ながら、残忍な正面強襲は部隊にも被害を及ぼし、武家内で最も経験豊かなメック戦士たちの多くが命を落としたのだった。

イジョーリ家
 最近、惑星リャオの親カペラゲリラから再建されたイジョーリは、非対称戦争において重要な技術を培ってきた。グレート・フラッド作戦から教訓を得たイジョーリは、秘密裏に目標とする惑星に浸透する(できたら作戦が始まる数ヶ月前に)等の戦略を好む。他には、おおっぴらに上陸して、数週間荒野の中に消え、それから実際の攻撃を始めるというものがある。いずれにせよ、イジョーリ家は正面から戦うことはほとんどなく、分散して待ち伏せの繰り返し(よく地元で募集したゲリラにバックアップされる)によって、敵をすり減らすのを好む。

ツァン・シャオ家
 リャオ軍が恒星連邦を進んでいたとき、ツァン・シャオは事実上の移動要塞となり、AFFSの逆襲に対して戦略的に重要な地域を占領し、守った。ツァン・シャオはCCAFが攻撃した世界それぞれに進み、防衛的に有利な地点に陣取った。カペラの降下地点を奪い返そうというダヴィオン軍による数度の弱々しい攻撃は、この最も新しい武家によって迅速かつ手短にはねのけられたのである。









デスコマンド 3145

 デスコマンド元指揮官クーイェン・ツェン=ネイは、カペラ・クルセイドでストーン・ラメントに敗北した後、発作を起こして植物状態となり、数年後、死亡した。このエリート極秘作戦チームの指揮権は、ティアンツー・リウ准将の手に渡った。首相よりもさらに年かさなのだが、時間はリウに一秒たりとも影響を及ぼしてないように見える。どの点から見ても、危険なメック戦士にして、格闘家であり続けているのだ。稲妻のごとき反射神経と中国武術が徹底的に磨かれていることから、彼は炭素強化の爪を除いて、いかなる個人用武器の使用を控えているとされている。

 デスコマンドの小チームは、最近の戦役で、よくCCAF正規部隊と一緒に配備されているが、近年の最も有名な戦果は、間違いなくハセク女公の誘拐であろう。デスコマンドの襲撃チームがどうやってサソ宮殿に忍び込み、見つかることなく女公の寝室まで侵入したかは不明であるが、どうやったにせよ、その妙技を見せつけたのである。おそらく女公自身によって警報が鳴らされると、チームは脱出のために戦うことを余儀なくされ、最終的に脱出をカバーするために仕掛けた爆薬を起爆した。その結果、ハセク家の歴史的な居館は崩壊したのだった。









市民名誉旅団 3145

 マッカロン装甲機兵団と同じく、市民名誉旅団が傭兵を起源にしていることは、事実上忘れ去られている。80年にわたってカペラのメック戦士養成校から兵士募集し、CCAFの作戦教義に沿って訓練したことで、市民名誉旅団と他のリャオ家前線バトルメック旅団との違いはほとんどなくなっている。地域管轄から外れていること、独自の遺産、行動の自由のみが、他の旅団と違い指揮官たちに許されている部分なのである。

 聖戦が終わって以降、市民名誉旅団は、マッカロン装甲機兵団の補助のようなものに進化し、よくMACと肩を並べて行動している。グレート・フラッド作戦、セレスティアル・リワード作戦もまた例外ではなく、「ビックマック」が大連邦国の主目標を叩く間、市民名誉旅団が第二の目標を奪い取った。

タウ・ケチ槍機兵団
 以前は単独の増強大隊しか戦力が無いと信じられていたのだが、カペラ境界域の世界複数を同時に襲撃したという最近の情報により、タウ・ケチ槍機兵団が実際には完全な1個連隊、ほぼ同数の車両で強化された3個大隊の戦力にあることが暴かれた。槍機兵団が戦力を削減しなかったのか、単純に2個追加大隊分の人員と物資を受け取ったのかは現時点で定かでないが、槍機兵団の見せた手腕から、急に新兵が増えたという推測は除外されるだろう。1個大隊をニューシルティス占領に参加させた後、槍機兵団はジョンストン製の工事用車両と地上列車を満載したマンモス級降下船を持ち帰った。エイミー・ジャックス上校は略奪した車両全てを再建中のジャクソン、デメテル政府に寄付した。「第4」の番号をもう使っていないこの連隊は、だいぶ前に記章から4を外している。

ロックハート鉄騎軍
 マルコ・シンコヴィック元上将は、かつて鉄騎軍を「CCAFで最も平凡な連隊」と呼んだことがある。聖戦が終わって以来、鉄騎軍は平均的な技能と地味な性質の信頼できる連隊としての評価を持ち続けた。セレスティアル・リワード作戦でマッカロン装甲機兵団の支援として展開した鉄騎軍は、侵攻軍主力の後に続いて、側面を守り、補給庫と宇宙港を確保した。ジャイプールの市民を落ち着かせるために残された連隊のメック戦士たちの一部は、実戦に参加してないことに不平を述べているが、ディヴィッド・ロックハート上校は、連隊が義務を果たしており、兵士たちが安全に家族の元に帰れることがわかっているのだった。

ローレル軍団
 聖戦が終わって以降、ローレル軍団は、意図的なプロパガンダの道具として、スフィア共和国から逃げてきた女性、大連邦国の戦争未亡人を積極的に登用してきた。ゆっくりと連隊規模にまで拡大した軍団は、共和国とダヴィオン家の両方を激しく憎悪している。RAFの兵士たちは、カペラ・クルセイドの間に軍団の狂的な怒りに直面し、「ヘルズ・レイヴンズ」のニックネームを与えた。ローレン軍団のほうは、これを喜んで受け入れたのである。この数年間、軍団は長い間第2MACと肩を並べて戦い、ジュリー"ジンクス"ショウ上校は、ダナイ・リャオ=セントレラ上校と一緒に活動する間、友情を結んだ。だが、ローレル・ワールドを「解放」するときが来たとき、この任務を独力で達成しないとならなかった。短く激しい戦役により、軍団はダヴィオンの傭兵、ナーハル襲撃隊を追い出し、ティグレスをカペラの支配下に取り戻したのである。

ハーロック襲撃隊
 かつてのカペラ旅団は、3088年、市民名誉旅団に組み入れられたが、ハーロック襲撃隊はCCAFで唯一の非市民メック戦士による連隊として残された。31世紀後半、部隊のメック戦士の多数が、生活の厳しい元傭兵、戦争用機械を没収しようとする我々の手を逃れるメック個人所有者となっていたが、現在の襲撃隊はスフィア共和国、自由世界同盟、ライラ共和国で崩壊した部隊の生存者たちでしかなくなっている。セレスティアル・リワード作戦のあいだ、ハーロック襲撃隊はカペラ境界域リムワードの作戦地域で敵部隊を足止めするのを助けた。襲撃隊は目的を達成したが、シーダー星系で深刻な損害を被った……地元境界域市民軍の航空大隊が襲撃隊の降下船数隻を待ち伏せし、撃ち落としたのである。




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