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作成:2008/08/16
更新:2008/09/04

ブラッドスピリット氏族 Clan Blood Spirits



 本拠残留侵攻派。孤立した、おそらく最小・最弱の氏族です。巨大なスターアダー氏族と対立関係にあり、滅亡の危機に瀕しています。
 創設者のコリーン・シュミットは、ブラックウォッチ連隊最後の指揮官ハンニ・シュミットの孫娘にあたる人物。
 classicbattletech.comより。





 最初の氏族戦士800名の団結を表すべく名付けられたブラッドスピリットたちは、皮肉なことに、最も孤立主義的であり、他の氏族を憎んでいる。他の氏族はニコラス・ケレンスキーの定めた道を外れ、ないがしろにしていると、彼らは信じている。


ブラッドスピリット統計

政治派閥: 守護派
首都: ロシュ
人口(氏族宙域): 6571万4000人(3060)
人口増加率: 1.9パーセント (61/42)
自給自足率: 100パーセント

指導者:
 氏族長: カリアナ・シュミット
 副氏族長: トロイ・ブーケ
 ローアマスター: ベイル・キャンベル
 科学長官:ピーターソン(ルデュック)
 商人代表:ヤジア
 技術者長:スーン
 先任労働者:マルガレタ

軍事:
 星団隊: 27
 軍艦: 4

氏族宙域:
 ヨーク (100パーセント)



歴史 History

 コリーン・シュミットによって創設されたブラッドスピリットはイルチ(ilChi)の役職を作ることでその名にふさわしい役割を果たした。イルチとは各氏族に派遣される大使/メッセンジャーで、コミュニケーションをスムーズにし、善意を促進する目的を持っている。彼らの夢は長く続かなかった。ブラッドスピリットはウルバリーン氏族にいくらかの共感を示し、結果、バーロックがスピリットの殲滅を呼びかけたのである。この動きは崩壊したが、長い不和のはじまりとなった。

 他の氏族(主にバーロックとマングース)はスピリットを目標にした襲撃をほぼ絶え間なく仕掛け、そして最終的にスピリットはアルビオンとホーマーの領土を失った。他氏族に見捨てられたブラッドスピリットは、かつての戦友たちのもとから去るのを選んだ。イルチたちは呼び戻され、数年のうちに団結の感覚は憎悪に取って代わったのである。

 戦いの日々はスピリットをうち砕いたのだが、孤立していること、小規模なこと、戦う意味のなさが、吸収の道から彼らを救った。その彼らを驚かせたのは、黄金世紀の半ばに、ファイアマンドリルのスマイス=ジュエル族が近づいてきて、オムニメック技術と土地の交換を持ちかけたことだった。慎重にであるが、スピリットはこの取引を受け、一世紀後にスノウレイヴンとも似たような協定を結んで、使われてなかった戦艦の相当数と、スノウレイヴンの二線級バトルメック多数と交換した。

 ブラッドスピリットはリバイバル作戦の入札に参加したのだが、冴えない手法で神判の座を勝ち取るのに失敗し、侵攻軍に取り残されたのだった。ブラッドスピリットは侵攻派哲学に従っていたが、いまはまだ中心領域に侵攻する時ではないと考えていた。侵攻軍がツカイードで躓いた時、彼らはいくらかの満足感と自説の正当性を得たのだった。

 3059年の前半、スピリットの長き敵であったバーロック氏族が吸収の神判の対象となり、ブラッドスピリットの氏族長は支援を得るために珍しく族長会議に姿を現した。吸収の名誉がスターアダーに下されると、スピリットは戦慄し、一方的な行動を取ると決めた……バーロックのプライオリ、アルビオンの飛び地領土に対し、独自の攻撃を仕掛けたのである。

 だが、スピリットはアダーとバーロックの反応を過小評価していた。この2氏族は族長会議の決定に縛られていたのだが、邪魔者を迎え撃つために共に動いたのである。ブラッドスピリットは5個銀河隊を失い、得るものはなにもなかった。彼らは孤立に戻り、一年後の大拒絶に姿を現したのみだった。


社会 Society

 ブラッドスピリットは社会にとって誰しもが重要であると信じており、他氏族で見られるような氏族内での対立はほとんどない。すべての階層は共通の訓練によって結ばれ、この氏族がかつて他者と結んでいた氏族の団結心を再現している。しかしながらこれは、トゥルーボーンがフリーボーンの上に立つという普遍的な傾向を妨げてはいない。もっとも、フリーボーンの戦士が社会で価値を証明したのなら、この氏族はそれ以上の妨害をしないのではあるが。

 ブラッドスピリットを閉鎖的と呼ぶのは、かなり控えめな表現になるだろう。彼らがボンズマンをとるのはまれであり、彼ら自身は他氏族に捕まるよりも、ボンズレフ(自害)を選ぼうとする。他氏族のボンズマンとなった少数は、ファイアマンドリル並に協調性が欠けている。

 彼らの孤立はブラッドスピリットが現代技術を入手するのを制限し、手に入れた技術は遠回りして得たものである。これが彼らを悩ますことはない。なぜなら、技術を最後の手段として見ているからである。技術の「支え」なしに、己の能力だけで充分と信じているのだ。似たような思想で、彼らはサイバネティックスや、関連システムの使用を避けている。そのようなシステムは戦士の精神を汚すと信じており、一部だけがサイバネティックの人工器官を使っている。強化視覚(EI)インプラント(メック戦士に埋め込まれるコンピュータとの神経接続。バーチャルで戦場をあらゆる角度で見ることが出来る)を使うブラッドスピリットの戦士は、吸収戦争(Absorption War)の前にはいなかった。それ以降、少数の積極的な戦士がこのシステムを使うようになった。

 共に働いているが、ブラッドスピリット氏族の全構成員は、自らのプライバシーを守っている。その大半が趣味(たいてい芸術的なもの)をいくつか持っている。彼らは決まり切った日常を脱する手段として趣味を使っている。氏族長と階級の長たちはこの慣習を奨励し、「彼ら自身であること」の時間を与えることによって、氏族内部の結びつきを強化しているように見える。氏族が個人とその考えを尊重すると知っているブラッドスピリットの者たちは、氏族の目的を果たすために最善を尽くす。

 しかし、事態はブラッドスピリットの中で変わっているように見える。伝統に固執する者たちは、吸収戦争(バーロック、スターアダーに対する作戦行動をそう呼んでいる)が伝統に反していると考え、多くがシュミット氏族長の判断に疑問を呈した。さらに、ストラナメクティの大拒絶でゲンヨウシャに負けたことは、中心領域に対する嫌悪を悪化させた。「粗野な野蛮人」とされていたものが、いまでは「凶暴な略奪者」として見られているのだ。

 さらにスピリッツは、中心領域が氏族の技術とほぼ同等に達し、もしかしたらいくつかの分野では先に進んでることにショックを受けている。彼らは他氏族の不注意を引き合いに出し、ストラナメクティでの大拒絶の敗北は彼らの責任だとした。スピリットは、限りある資源で先進技術を使う最高のチャンスとして、大拒絶後にハントレスの所有の神判で入手したプロトメックの潜在力を活かすつもりである。


軍事 Military

 ブラッドスピリットはニコラス・ケレンスキーが制定した部隊組織のドクトリンを、他氏族のように変更することなく使い続けている(各星団隊に、3個メック三連星隊、1個歩兵三連星隊、1個車両三連星隊)。航空戦力は海軍予備から必要に応じて配備する。通常兵力を大規模に利用するのは、他にヘルズホース氏族のみである。

 ブラッドスピリット戦士の訓練はおそらく全氏族でもっともきびしいもので、訓練修了者の少なさを補っている。だが、各戦士が比類無き能力を持っている一方で、ブラッドスピリットは主導権の不足に苦しんでいる。スターキャプテンとスターコーネルは上官の命令に従いすぎ、悪賢い敵はその柔軟性のなさにつけ込むのだった。

 この氏族は、すべての構成員に基礎的な戦闘技術を教えるという珍しいやり方をとる。これは、主星(ストラナメクティの飛び地を除いて唯一の領土)に攻撃があった時には、未熟だが大規模な予備部隊を生み出す。予備隊は民間人と戦士階級を結びつける役割をも持つ。共通の訓練を受けたという絆が、他の氏族では失われてしまった団結心を作り出すのだ。


仲間と敵 Allies and Enemies

 ブラッドスピリットは公的な同盟氏族を持っていないが、ファイアマンドリルとスノウレイヴンにイルチを配属し、関係を築いて、事実上の同盟者としている。加えて、ブラッドスピリットはダイアモンドシャークと暗黙の関係を持ち、彼らを仲介代理人、供給業者として使っている。

 スピリットは自分たち以外の氏族の多くを軽蔑、憎悪しているが、みっつの氏族に格別の注意を向けている。ヘルズホース氏族とコヨーテは、ファイアマンドリルのスマイス=ジュエル族(スピリッツにオムニメック技術をもたらした)を滅ぼしたとして、不誠実で油断ならない相手だと見ている。しかしながら、この憎悪の感情でさえ、スターアダーに対するものと比べると、色あせてしまう。アダーはほぼ完全にバーロックを吸収した。スピリットはバーロックとの対立をアダーたちに移したのだった。


保有領土 Possessions

世界:1(占有)

 ブラッドスピリットは大規模な領土を保有したことがない。これまで最大に広がったのは5つの世界までで、歴史上、彼らが持っていたのは、アルカディア、ストラナメクティの飛び地領土と、ヨークの支配(完全ではないが)がほとんどだった。吸収戦争以降、彼らは市民をアルカディアからヨークに移動させるという極端な手法を取って、慎重な孤立政策を実行に移した。さらに彼らは主星からジェイドファルコンを追い出し、スノウレイヴン氏族に撤退を説得して、支配を完全に確保した。

 ストラナメクティでは、彼らの領土は常に他氏族から離れ、隣人から距離を取って孤立している。吸収戦争以来、スピリットは領地の通行を完全にコントロールして、すでに最小限だった接触をさらに減らしている。








ブラッドスピリットの主要人物


カリアナ・シュミット(氏族長) Karianna Schmitt

 カリアナ・シュミット氏族長は人目を引く容姿である。6フィートを超える身長と、顔を縁取る長いブロンドの巻き毛は、氷で出来た彫刻を思わせる。氏族の基準からしても無情なことで知られるシュミット氏族長はブラッドスピリットの優越を心底信じており、裏切った他氏族を軽蔑している。敵氏族を滅ぼすという情熱は彼女の中で炎のように燃え上がり、すべての行動にそれが現れている。怒りっぽい性格と、頭脳明晰さは、組み合わされて、彼女をずば抜けた戦術家とし、兵士たちが喜んで死んでいくようなリーダーとしている。

 カリアナ・シュミット氏族長と創設者コリン・シュミット氏族長が、不気味なほど似ていることについて、ブラッドスピリット人の多くがコメントを残している。シーナ・ブーケ氏族長の実施した改革に従って、科学者階級は戦士生殖プログラム完成に向けて大きな進歩を成し遂げたが、これらの進歩を持ってしてもこの不自然な類似(特に、リメンバランスに克明に記されている頭脳と短気さ)について完全に説明することはできない。


トロイ・ブーケ(副氏族長) Troy Boques

 トロイ・ブーケ氏族長は、かつて崇拝していた人間がついていた望まぬ地位にある。以前、彼はベータ銀河隊セリスガードのスターコーネルとして、ダリル・ケラー副氏族長に仕えていた。ブーケとベータ銀河隊の大半は、ケラーを尊敬していた。なぜなら、戦闘中に部下のため自らの命を危険にさらす勇敢さと意志を持っていたからである。このような傾向はブラッドスピリット人でよく見受けられるものだが、ケラーは多くの場合に標準を超えていたのである。

 失敗に終わったバーロック氏族に対する吸収の神判の最中に、プライオリでケラー副氏族長が、スターアダーの第9装甲機兵隊の手によって戦死すると、包囲されたベータ銀河隊は崩壊し始めた。副氏族長の死のショックから立ち直ったトロイ・ブーケは、素早く戦いながらの撤退を組織し実行した。スピリッツは降下船への退却を強いられ、スターアダー軍の猛烈な砲火の下で乗船と離陸を行わざるをえなかった。まさに意志の力のみによって、トロイ・ブーケは第112スカーレット戦闘星団隊を全滅から救ったのである。素早い献身的な思考がゆえに、第112の戦士たちは彼をブラッディングに推薦した。カリアナは、彼に報償を与えるのに加え、戦下で見せたリーダーシップを評価し、ケラーの交代要員として指名したのである。

 一介のスターコーネルから副氏族長に昇進したショックから立ち直りつつあるところなのだが、トロイ・ブーケはその地位にふさわしいとすぐさま実証しつつある。


ベイル・キャンベル(ローアマスター) Bayle Campbell

 ローママスター・ベイル・キャンベルは若干17歳で就任してから、14年間、現在の地位にいる。あまりに若い年齢で重要な役職についたことと、あまりに長い間在職し続けていることは、彼がブラッドスピリットにとって重要と考えているものにどれだけ献身的であるかを証言している。何世紀にもわたって、ローアマスターは氏族の裏切りを記憶にとどめ続け、ブラッドスピリットの孤立政策を維持させている。族長会議の許可無くバーロックを攻撃するようシュミット氏族長を説得したその時、ベイル・キャンベルは伝統的な役割から一歩踏み出した。スターアダー氏族によるバーロック氏族吸収で、ベイル・キャンベルは憎しみをバーロックからスターアダーに移したのだった。










3067年アップデート

To: 氏族長カリアナ・シュミット
From: 副氏族長トロイ・ブーケ

我が氏族長へ

 この8年で氏族は、氏族創設以来なかったほど大きく様変わりしました。多くの氏族が消滅し、吸収され、追い出され、自発的に氏族社会から離れていきました。我らは内外から引き裂かれました。我らの哲学は中核を揺すぶられ、偉大な創設者(ケレンスキー)の計画における我らの立ち位置は不明確なものとなったのです。この破滅的な変化に直面したあなたが孤立主義をとったのはこの時には正解でしたが、他氏族から離れるのはもう無理であるのが示されています。彼らはそうさせてくれないでしょう。

 これを受けて、あなたは賢明にも我が氏族を強くするここ数世紀ではじめての選択をしました。慎重にではありますが、我らの援助と責務にふさわしい同盟者を求めたのです。それはクラウドコブラであり、スノウレイヴンとの関係強化であり、とくにファイアマンドリルでした。ゴリアテスコーピオンとの会談もまた驚異的な結果をもたらしました。

 我らが徹底的に試した宇宙は、真の星間連盟と同じぐらい確実に押し流されました。今日、新たな天命が訪れ、我らは広く開かれた扉の前に立っています。しかし、我らの前に立ちふさがるもっとも大きな障害がスターアダー氏族であることは間違いありません。彼らはバーロックの血によって絶望的なまでに汚され、彼らがヨークにいる――彼らはどこにでいもいる――のはもう許されません。創設者の究極的な計画が実を結ぶまでに、アダーによる枯病は根絶されないとならないのです。

 以下は、現在の同盟の要約と、氏族軍の簡単な状況です。


ブラッドスピリットとファイアマンドリル BLOOD SPIRIT AND FIRE MANDRILL

 ファイアマンドリルはブラッドスピリットの最も信頼できる仲間であり続け、この同盟はとりわけ特別なものだ。ミック=クリース族との同盟はここ数年でより強固なものとなっている。昨年に起きた衝撃的な事件により、ファイアマンドリル氏族とのコネクションは大きく確立されている。

 3067年のはじめ、憎きアダーを攻撃せねばならないとわかっていた我々は、新たに作られたイオタ銀河隊をまさしくそのために送り込んだ。ファイアマンドリル付きのイルチ、ジャス・ケラーの努力によって、この攻撃にミック=クリース族からの2個星団隊が加わった。

 ミック=クリース族の第11戦闘軍、第32前衛戦闘星団隊は惑星シャドウを離れ、イオタ銀河隊に加わり、タジスにあるスターアダーの要塞に強襲を仕掛けた。この時、近年のスピリット史によく似た奇妙な事態が発生し、クライン族の第27、第42前衛星団隊が、ミック=クリース族の繁栄(ブラッドスピリットとの関係で増大したもの)を妬んで、強襲の件を知るとすぐさまシャドウとフォスターを出発したのである。彼らがなにをしたかったのかはわからないが、結果は悲惨なものだった。クライン族の部隊が荒れ狂うタジスの紛争のさなかに降下すると、完全な混沌が巻き起こった。ほぼ全部隊が自軍と友軍だったはずの部隊から、誤射を受けた。最終的に、攻撃側は守るアダー隊を痛めつけたのが、クラインの2個星団隊は壊滅し、元の戦力のわずかに1/4だけが惑星を脱出できたのだった。クライン族の全戦力のうち多数を失ったことは、彼らを打ちのめし、他氏族の餌食とした。とくにスターアダーはダグダの領土を共有していたのである。ジャス・ケラーに操られたミック=クリース族は、すぐさまクライン族に対し選択肢をつきつけた……スターアダーの手で全滅するか、ミック=クリースと合併するか、である。追いつめられたクライン族は運命を呪ったが、屈服し、ミック=クリース=クラインが生まれることになったのである。

 この強引な統合で作られた新たな親類族が生き残るかはわからないが、ミック=クリース=クラインは全マンドリルで最大かつ最強の親類族となり、最も信頼できる同盟者となったのだ。


ブラッドスピリット・イルチ BLOOD SPIRIT ILCHI

 現時点で、以下の人間がブラッドスピリットのイルチとして活動している。ファイアマンドリル・イルチ・ジャス・ケラー、スノウレイヴン・イルチ・ブリ・マクファーデン、クラウドコブラ・イルチ・カルメン・ザドック、イルチ・ザドックはつい最近になってこの新たな地位についた。有力でない一族のブラッドネームを与えられた彼女は、すでに大いなる栄誉にふさわしい価値を証明しており、多くが予想していたより早く、氏族長の政策を推進している。


ブラッドスピリット氏族軍 BLOOD SPIRIT TOUMAN

 この4年間、ほぼ絶え間なくスターアダーと戦ってきたことは、我が氏族軍に打撃を与えた。我が軍の全部隊が過去最高の戦闘経験を積んだのだが、我らの優秀でも数の少ない戦士たちは、押し寄せるアダーの出来損ないの群れに苦労を強いられた。

 数世紀の伝統に従い、定数を保てなくなった星団隊は解散され、他星団隊の穴埋めに使われることになる。これは星団隊の団結力を失わせるが、多くの実戦で鍛えられた人員と彼らの装備で、部隊が再び戻ってくることが出来るのだ。


ブラッド銀河隊 Blood Galaxy

 ローラIII級〈ブラッド・フューリー〉がアダーのヨーク攻撃で失われ、スピリットには3隻の戦闘艦だけが残された。イージス級〈エクスサングイン〉、ヨーク級〈ストッピングカイト〉、ブラックライオン級〈ロシナンテ〉。

 近年、アダーによる部分的な宇宙封鎖を拘束し、イオタ銀河隊がタジスのアダー飛び地領土を攻撃できるようにするため、ブラッド銀河隊は四度の反撃を仕掛け、どうにかヴィンセントMk32一隻を破壊するのに成功した。〈ブラッド・フューリー〉の損失と比較は出来ないが、海軍の規模を考えると、それは驚くような精神的勝利なのである。


ブラッドガード親衛隊 Blood Guard Keshik

 この部隊はヨークの防衛に参加したいと口から泡を飛ばして嘆願しているのだが、シュミット氏族長はブラッドガード親衛隊がストラナメクティから動くのを許していない。このような動きはスピリットの弱さを喧伝し、他氏族の包囲と攻撃を招くことになると心配しているのだ。この決断は親衛隊に多大な緊張感をもたらしている。スピリットと氏族長への絶対的な忠誠心のみが部隊を生き残らせている。


アルファ銀河隊 Alpha Galaxy: The Blooding

 スピリット氏族軍の誇りと悦びであるアルファ銀河隊は、アダーにとっての災厄となり、ヨークの世界を自由に移動して、防衛し、攻撃した。しかしながら、スピリットの最精鋭たちであっても、ほとんど絶え間ない攻撃に耐えることはできず、アルファ銀河隊の1個星団隊が任を解かれたのだった。


オメガ銀河隊 Omega Galaxy: The Sanguine Reavers

 他部隊のブラッドスピリットから烙印を押されているオメガ銀河隊は、スターアダーがブーケ大陸に足場を得るのを許すという恥辱を受けた。銀河隊の6個星団隊のうち2個が過去四年の強襲で壊滅したことはこれに関係がない。ギャラクシーコマンダー・ユート・シュミットは、自分の銀河隊が破壊されるのを拒み、南方を明け渡すことを選んだのだが、帰還して不名誉に甘んじることはなく、戦場で死んだ。メーガン・ブーケが指揮を引き継ぎ、失われたオメガの名誉と士気を回復しようと手一杯である。


イオタ銀河隊 Iota Galaxy: Retribution

 イオタ銀河隊はひとつの目標を念頭に結成された……主導権の奪還である。この戦争でアダーに主導権を持たせ続けている(それは最終的にスピリットの滅亡につながりかねない)ことに気づいたシュミット氏族長は、攻勢に出ることを選んだ。これを考慮に入れて、各氏族軍から最優秀な三連星隊がイオタ銀河隊に集められ、アダーを撃退するというただひとつの目標に向かった。

 最初の実戦として、イオタは、ファイアマンドリル氏族のミック=クリース族と共に、タジスの世界を攻撃した。突如としてクライン族の2個星団隊があらわれたことは全作戦を混乱に陥れたが、にもかかわらず、イオタ銀河隊はめざましい戦果をあげ、アダーの防衛隊に無様な敗北を与えたのである。


オミクロン臨時銀河隊 Omicron Provisional Galaxy

 バーロック氏族の吸収戦争に参加できなかったことに不満を抱いているのだが、ギャラクシー・コマンダージョシュ・ケンプとオミクロンPGはブラッドスピリットのアルカディア飛び地領を奪うという名誉を与えられた(この地は数年前にスピリットが自主的撤退を果たした後に、スターアダーが占領していた)。

 渇望し確信したオミクロンは、鬱積したすべての感情を解放し、強襲に着手したが、スターアダーのエプシロン銀河隊が逃げ去っていくのを見るだけだった。それからほぼ一年がたっても、オミクロン銀河隊は勝利を得ることが出来なかった。オミクロンが任務を達成できないことにうんざりしたシュミット氏族長は、部隊の勝利を辱めるため、ユプシロンを援軍に送り込んだ。連合部隊はついに飛び地領を確保したのだが、アダーはヨークで足場を得るのに充分なブラッドスピリット兵を引き抜かせるのに成功したのである。


シグマ臨時銀河隊 Sigma Provisional Galaxy

 シグマ銀河隊はここ数年のアダーの襲撃の最中、アルファ銀河隊の予備部隊として行動し、開いた穴を埋めて、逆襲の効果を増すために素早く動いた。ギャラクシーコマンダー・バージル・ケラーは優秀な指導者なのだが、この三年間、事実上、アルファのギャラクシーコマンダー・ジョン・チャーチの指揮下で働いている。


タウ臨時銀河隊 Tau Provisional Galaxy

 シグマ銀河隊と同じように、タウは過去数年、アルファ銀河隊の予備隊となり、アダーのベータ、カッパ、シグマ、最近ではタウ銀河隊の様々な部隊と幾度も戦った。


ユプシロン銀河隊 Upsilon Provisional Galaxy

 いまだブラッドスピリット軍でもっとも訓練不足なのだが、ユプシロンはアルカディアの戦いでオミクロン銀河隊を助け、飛び地領土を取り戻し、待望の実戦経験を獲得した。第221クリムゾンガードは5個三連星隊を展開できなくなったので、任を解かねばならなかった。




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