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作成:2016/09/25
更新:2016/10/16

バトルテック報告書 BattleTech Dossiers



 "BattleTech Dossiers"シリーズから、メック小隊2個と関連人物2人を紹介します。
 ラメンコフ・ライアビリティは、聖戦後のスフィア共和国のエラントフォースで、小規模な独立派遣部隊として活動しています。
 ユーリン・ツァンシは、カペラ大連邦国第3予備機兵隊(Third Capellan Reserve Cavalry)所属のメック小隊で、聖戦初期に恒星連邦のハセク軍相手にゲリラ戦を行いました。ユーリン・ツァンシには「ゴースト・ウォリアー」の意味があるそうです。









ラメンコフ・ライアビリティ Lamenkov's Liability





イエナ・ラメンコフ Ilyena Lamenkov
階級/地位:中尉 / ラメンコフ・ライアビリティ指揮官
生まれ:3042年(3085年時点で43歳)
所属:スフィア共和国
故郷惑星:キタリー
メック:TDR-10M サンダーボルト・イエナ


メック戦士プロフィール

 イエナ・ラメンコフはキタリーで生まれたが、ワード・オブ・ブレイクがこの世界を陥落させたときには不在であった。彼女は第20アヴァロン機兵隊RCTの大尉であり、聖戦勃発時にはミラに駐屯していた。ラメンコフは連邦共和国内戦時にダヴィオン家に仕えて武功を立て、聖戦の初期にも職務を遂行し続けた。だが、デヴリン・ストーンと彼の成功について耳にすると、軍を離れ、始まったばかりの抵抗運動に加わるために向かった。ストーン・ラメントに追いつくには約2年かかり、生き延びるためには自分の能力と乏しい資源に頼らないとならなかった。これらの経験は、この部隊の適性を決定する重要な要素となった。

 失機者となったラメンコフは、オーステルハウト大尉(ストーンの指揮大隊の中隊指揮官)が乗るドラゴンを盗み、ほぼ一日間追っ手を逃れることで自らを証明した。ついに追い詰められ、降伏を求められると、ラメンコフは追っ手に「そっち側に入れてもらえない?」と訪ねた。当初はブレイク派のスパイとして疑われたものの、ラメンコフの素性が最終的に確認されると、オーステルハウト大尉の小隊に配属された……大尉に「お荷物(liability )」と宣言されたにもかかわらず。ラメンコフはこの言葉をコールサインにし、オーステルハウト大尉がシドニーで死ぬ直前に謝罪を受け入れるくらいに自身を証明したのである。

 以来、ラメンコフはカペラ軍相手に解放された保護領内での数度の小競り合いで名を上げ、彼女の小隊、ラメンコフ・ライアビリティは幾度か独自に行動することを求められた。

 このやり方は、ラメンコフに問題を与えた……正規軍部隊であるというのに、不正規任務に投入されたからだ。彼女は型にはまらず、軽率で、粗雑だが、どのような挑戦であろうと求めている。ここのところ独立指揮官として経験を積んだことを考えると、立ちふさがる難題にこのエラントフォースが勝利する可能性は高そうだ。








ローレンス・ソーヤー Lawrence Sawyer
階級/地位:メック戦士 / ラメンコフ・ライアビリティ通信士官
生まれ:3040年(3085年時点で45歳)
所属:スフィア共和国
故郷惑星:ボードン
メック:OSP-26 オスプレイ・ローレンス


メック戦士プロフィール

 ローレンス・ソーヤーは、ジェノアの捕虜収容所から救出されたメック戦士である。彼はすぐに立ち直り、聖戦の間、レジスタンスでジェンナーに乗っていた。彼の戦果は平凡なものであるが、大きな落ち度は一切なく、信頼できる戦力とされた。共和国が作られた直後、ある中隊の通信士官を務めていたソーヤーは、医務官からレッドフラッグを振られた。聖戦で数多の「未解決で未処理のトラウマ的ストレス要因」を受けたとして、大々的な心理療法を薦められたのである。これは当時よくあることだったことから、実際は不満を持った医務官(後に解雇された)の備忘録から来た極端な診断であると判明するまで、痛ましい時間が過ぎた。ソーヤーはカウンセリングでよくなった(間違いなく必要としていた)一方で、セラピーは任務を続けながら受けることもできたはずだった。ソーヤーはこの問題を平静に受け取ったようだ……1年近く任務を外されることになったのだが。

 ラメンコフ・ライアビリティで、ソーヤーの通信士官としての経験は上手く活かされている。事務の大半を処理するために、ラメンコフはソーヤーを代理に任命した。








ヴェロニカ・モンテイロ=モントーヤ Veronica Monteiro-Montoya
階級/地位:メック戦士 / ラメンコフ・ライアビリティ通信士官
生まれ:3053年(3085年時点で32歳)
所属:スフィア共和国
故郷惑星:セヴァーン
メック:PRF-1R プリフェクト・ヴェロニカ


メック戦士プロフィール

 メック戦士、ヴェロニカ・モンテイロ=モントーヤは、規律に大きな問題がある――不服従の記録は現在の指揮官の許容範囲さえも超えているものだ。ヴェロニカは純粋に共に働く隊員たちを全員嫌っているようで、軍隊の外の人間とのみ愛想よくつきあう。傭兵だったときには、元指揮官を少なくとも2人殺していると噂されている。

 彼女の軍隊生活は若いころに始まり、この中でやや一匹狼的な性質を見せた。指揮官たちの大半は、この気質を上手く利用して、消耗可能なメックで単独任務に送り込み、敵の作戦を妨害させた。検証は本質的に難しいが、元の雇い主(現時点で生存)たちは、彼女がこのような作戦を得意とすることを話している……敵軍を混乱させ、さらには兵站に重大なダメージを与えるのである。彼女が新型のプリフェクトを好んでいるのは驚くべきことではないだろう。

 モンテイロ=モントーヤは、スピカで所属していた傭兵部隊(ブレーカー・ダズン)が壊滅した後、共和国にやってきた。戦死せず、身体障害にもなってない、唯一の隊員だったことから、彼女は証明された戦士としてラメントに加入する機会を得た。上官たちがこの決断を後悔したかもしれないことは彼女の記録から明白であるが、これまでのところ達成できないような任務を課されたことはない。








シングマン・ソンホアン Syngman Seong-Hwan
階級/地位:メック戦士 / ラメンコフ・ライアビリティ擲弾兵
生まれ:3055年(3085年時点で28歳)
所属:スフィア共和国
故郷惑星:ソラリスVII
メック:カルフ・シングマン


メック戦士プロフィール

 メック戦士シングマン・ソンホアンは目を引く身長のおかげでよく知られている。2.35メートル、174kgにもなることから、大隊の隊員たちは彼を「ミニ・エレメンタル」と呼び始めている。素晴らしい肉体を讃えて、ラメンコフは彼を「小隊擲弾兵」に任命した。これは最も身体が大きく強い男たちを擲弾兵隊に入れるという古い軍隊の習慣にならったものである。

 シングマンは地球の朝鮮の血統を持ち、それを非常に誇っている。彼は祖国の歴史に精通しており、28世紀までの重要な事件に詳しい。彼はこの時代の朝鮮の重要性と貢献に関する逸話を口にするのを好み、激しい戦いの中でさえも部隊の仲間たちを教育するのである。

 メック戦士ソンホアンはガーネットで徴募され、それ以来、立派に職務を務めている。彼が部隊の指揮に興味を持っていないことは、これまで何度も明らかにされている。一般的に野心がないことは不利になるものだが、この場合は、部隊が安定するという恩恵をラメンコフに与えている。

 注目するべきは、ソンホアンのメック、カルフだろう。彼がこのメックを得たのは、ドミニオンから共和国に加入したメック戦士が戦傷で死んだときのことである。何があったのかは不明である……氏族内にはメックを継承するという概念がないので本当にわからないのだ。ダメージを完全に補修するための氏族装備がなかったことから、カルフは中心領域技術を使った仕様になっている。














サラザール・ツァカロトス Salazar Tsakalotos
階級/地位:なし
生まれ:3041年(3085年時点で44歳)
所属:不明 [フリーランス傭兵]
故郷惑星:チェスタートン
メック:TDR-10M サンダーボルト・サラザール


メック戦士プロフィール

 サラザール・ツァカロトスはチェスタートンの鉱山王ベルトラン・ツァカロトスの長男である。セレブリティ関連のゴシップ記事は、鉱山王が頻繁に行方をくらますことこ、数々の恋愛沙汰(事実と憶測)、母親のいない大勢の子供たちについて書き立てている。それは独身の億万長者として長年にわたり、彼が積み重ねてきたものだった。ベルトランの後継者を巡る激しい競争があったにも関わらず、サラザールは最年長の御曹司としての地位を確保した……15歳で突如として出奔し、傭兵としてのキャリアを追い求めるまでは。ベルトランの自伝によるとサラザールとの関係は崩壊していることが示唆されているが、概して「サールの間抜けな友人ども」、特に「ポン引きメック戦士ども」の影響を非難するものであった。ジョナス・エクルズはその一例となるだろう。この取るに足らない傭兵指揮官は、おそらく一族の富を狙ってサラザールに近づいたのである。この策謀は明らかに失敗した……ベルトランは即座に息子を勘当したのだ。

 サラザールの傭兵としての初期キャリアの大半は詳細不明だが、小規模な傭兵部隊を区別なく渡り歩いたとされている。その後について、ロブリダッド・タイムズ紙は、バッド・テナンツという部隊のスティールヴァイパー襲撃に参加したとしており、特に幼年期、家族との関係、部隊を無事帰還させた才覚について触れている。

 3060年代における、その後の仕事の大半は、カオス境界域におけるものである。ワード・オブ・ブレイクが活動を活発化し始め、この地域を占領しようとしたとき、サラザール・ツァカロトスはブレイク派が支援のために確保した最初の傭兵グループに入ったのである。我々が確認したところでは、ブライアント、イングレス、ケイドでの作戦に参加し、無人星系、あるいは有人星系の外れでの多数の海賊討伐任務に参加している。この時期、彼はメック小隊規模の傭兵部隊をいくつか率い、撃破されると解散して、他の小規模な部隊の生存者から新しいものを作り上げた。彼は聖戦の間、ワードの支払いを受け続け、ブレイク保護領の数多くの世界で目立たぬ用心棒として活動したと推定される。各種の報告、目撃談、バトルROMでは強い徴候が見られるが、どこにいて何をしていたかの信頼できる報告書を作るに足る証拠は不十分である。

 キャリアを通して、サラザール・ツァカロトスは真の傭兵として活動しており、政治よりもコインのために戦っている。アルボリスで連邦共和国に仕えていたとの記録が存在し、下請け業者としてAMCの軍務にさえついていたのである。彼の過去と業績にサイコパス、ソシオパス的な行動が見られることをアナリストは記しているが、その一方で戦闘中でよく見られる――あるいは賞賛される――度を超えて無慈悲になるというのを確認するような記載は存在しない。

 これが示唆するところは、サラザール・ツァカロトスとは交渉する余地があるかもしれないということである。彼は、過去の雇用履歴により、名誉回復が難しい人物のグループに置かれている。ブレイクに協力していたことから、こちら側は彼を発見次第撃つことになるかもしれない。ともかく、ツァカロトスに対応するときは、敵対的な人物と推測されていることを思い出すのが賢明である。

 彼は現在、個人の請負業者として活動している。


TDR-10M サンダーボルト・サラザール

 ツァカロトスのサンダーボルトは支払いの代わりとして過去の雇用主から得たもののようで、かなりの改造が施されている。フシゴン・ストロングトゥースは出所不明のカペラ製プラズマライフルに交換されている。戦場での戦果を見る限り、このサンダーボルトはステルス装甲を使っている可能性が極めて高く、ECM装置の存在が確認されている。ディヴァース・オプティクス・レーザーはパルスレーザー1門と交換され、火炎放射器1門が追加されている。最後に、ヴァリアブルスピード・パルスレーザー(ブレイク派が供給した可能性が高い)1門が、頭部の後方に載せられている。ツァカロトスのサンダーボルトは、この新しい兵装によって、歩兵、車両部隊との交戦能力が大きく強化されている。もうひとつ示唆されているのは、弾薬に依存しているにもかかわらず、他の機体からの支援がほとんどない状態で活動するのを好むということである。

 武装を追加するために、チルトン466システムは珍しい非対称的な構成に変更され、ジャンプ範囲は減少している。エンジンとジャイロもまたXL相当品に交換されている。装甲が大破したら戦闘から引き下がらざるを得ないが、これはツァカロトスの保守的な戦闘スタイルにマッチするものである。


ゲームノート:
 サラザールのサンダーボルトは、以下の機種別特徴を持つ。防護間接(SO195ページ参照)。サーチライト(SO196ページ参照)。
















報告書: ユーリン・ツァンシ BattleTech Dossiers: Youling Zhanshi





アーサー・チン ARTHUR CHIN
階級/地位:上尉 / ラメンコフ・ライアビリティ指揮官
生まれ:3048年(3068年時点で20歳)
所属:カペラ大連邦国
故郷惑星:シーアン
メック:SNK-1V スネーク・アーサー


メック戦士プロフィール

 成功したカペラ商人の末っ子、アーサーは非常に早い時期からメック戦士としての人生を熱望していた。彼の興味はピーター・ホーン大佐の目を引いた……この人物は、一族の親しい友人であり、カペラの前線連隊で優秀な勤務ぶりを見せてきた引退メック戦士であった。大佐はアーサーを早くも四歳の時にCCAFに導いた。

 成績的にも社会的にも、アーサーはクラスのトップであった。彼は年に似合わぬ集中力と成熟ぶりを見せた。最大の欠点は、教官たちが書き記したところによると、理想が高すぎることであった。アーサーは完璧主義者であり、なにかつまずきや失敗があると破滅的なまでに激しく自分を責める。なんにせよ失敗することは滅多にないのだが、そのときには突然の激しい自己嫌悪の期間が続くのだった。

 彼は栄えあるシーアン軍事教練センター(SCMD)に合格するという難しい目標を達成した。この神聖なる地で、彼はこれまでに調べ上げ、尊敬してきた大勢の人物に出会った。そのうち特に緊密な関係となったのは、教官の一人、元デスコマンドのジュス・パーク上校であった。この深い関係に助けられて、アーサーは自己批判という悪癖を抑制し、自滅的な習慣から解放されたのである。アーサーは優秀な訓練中の士官、きわめて有能なメック戦士として花開いた。バトルメックでの超長距離射撃のスコアは、在学中、SCMDの記録となったのだった。

 卒業に際して、アーサーは第3予備機兵隊の損失を埋めるべく、メック小隊の指揮を任された。第3予備機兵隊の戦力を定数に戻すには、大勢の補充が必要であり、予備要員となる若いメック戦士の候補たちが集まっていた。アーサーは候補の撃墜、表彰の記録を見る代わりに、SCMDの教官たちが彼の中に見いだした要素に注目した……集中力、身体能力、献身である。彼が求めていたのは、バトルメックの内外で優秀な戦士、互いを補完するような専門を持っている戦士である。

 アーサー・チンはカペラ士官新世代の輝かしい手本であると証明された。彼は、知的で腕が立ち、命令を実行する情熱と、必要なら単独で行動するための狡猾さと独創性を持っている。








リ・ハーク LI HARK
階級/地位:少尉 / ユーリン・ツァンシ通信士官
生まれ:3042年(3068年時点で26歳)
所属:カペラ大連邦国
故郷惑星:コーレイ
メック:MS1-O メン=シェン・リ


メック戦士プロフィール

 コーレイのホリス・インダストリーズの影で育ったリー・ハークは、カペラ主義を深く信じるようになった。彼は成人するとCCAFに入隊し、センサー操作の適性を示し、上級訓練でクラスのトップに立った。彼は同じく通信にも熟達し、たいていは指揮本部に入るか、指揮幕僚として働いた。

 指揮官が士官候補としての推薦を持ちかけると、代わりに彼はメック戦士訓練について考えてくれるよう求めた。幼少期に彼はヒューロン・ウォリアーが組み立てられるのを目撃しており、いつかそのようなマシンを操縦することを密かに夢見ていたのである。指揮官は喜んでメック戦士候補生学校への推薦に同意した。この学校は卒業率が低いことで悪名高く、彼は数週間以内にもどってくることが予想された。リ・ハークは忍耐力を発揮して、必要なコースをどうにか修了させたのである。養成校の訓練で新しい得意分野が開拓されることはなく、彼の最初のメック戦士としての任務は、第3予備機兵隊、偵察小隊パイロットとしてのものだった。

 アーサー・チン上尉は、養成校出身のメック戦士のほうが上だということを信じていなかった。ハークのセンサーと通信装置に関する技能に目をつけたチン上尉は、新しいメック小隊に喜んで彼を受け入れたのである。感謝の念を越えて、二人は本物の友情を築いている。彼らはともに情熱的で、勤勉で、天帝に身を捧げている。ホムステッドでの最悪の日々の中、リ・ハークはチン上尉が集中し楽観的でいられるように補佐した。悪名高いゲリラ戦の間、敵の通信と情報データを分析し続けることで、小隊が攻撃する目標の大半を特定するのを助けたのだった。








ヴォーン・マクデード VAUGHN MCDADE
階級/地位:少尉 / ユーリン・ツァンシ偵察特技兵
生まれ:3044年(3068年時点で24歳)
所属:カペラ大連邦国
故郷惑星:シーアン
メック:D9-G9 デュアン・ガン・ヴォーン


メック戦士プロフィール

 ヴォーン・マクデードは、養成校で訓練された古典的な卒業生ではない。彼の家は貧しく、また奨学金を得るだけのスポーツ、勉学での実績はなかった。実際、CCAFに入隊したのは、兵役義務を満たすのと同時に、人生の状況を改善するためであった。

 だが、軍隊に入ってみると、生来の好奇心と観察力を活かす道が見つかった。彼はすぐに偵察員の訓練に抜擢され、この分野では天才であることが判明したのだ。彼は単独で活動するのを好み、戦場での情報を集める挑戦的な鬼ごっこは爽快な体験であることに気がついた。

 彼の偵察兵としての技能は、連隊指揮官の目を引いた。マクデードの運動能力と協調性に気づいた指揮官は、マクデードをメック戦士訓練に推薦した。生まれ持っての偵察能力がメック戦士訓練と組み合わされて、優秀な偵察パイロットが生み出されるのを期待したのである。若いメック戦士たちは軽量な偵察メックを嫌うものだが、貴重な能力の組み合わせが生み出された。マクデードは、当初は気が進まなかったものの、好みに合った任務であることに気がついたのである。彼はメック戦士訓練プログラムを修了し、第3予備機兵隊の偵察小隊での任務に戻った。マクデードはチンが到着する前に第3予備機兵隊に配属された唯一の小隊員である。








ラッセル"ブルドッグ"マーフィー RUSSELL “BULLDOG” MURPHY
階級/地位:少尉 / ユーリン・ツァンシ上級下士官
生まれ:3036年(3068年時点で32歳)
所属:カペラ大連邦国
故郷惑星:オールド・ケンタッキー
メック:SYU-2B シャ=ユー・ラッセル


メック戦士プロフィール

 マーフィー少尉はユーリン・ツァンシで最年長かつ最も経験豊かな男である。その経験のほとんどは歩兵としてのものである。オールド・ケンタッキーのギャングとして育った彼は、ライバルギャングの怒りから逃れるため入隊するまで数多のストリート戦争に加わっていた。長年に及ぶ市街戦は、彼を優れた接近戦の戦士へと変えた。対バトルメック戦術を学び、実行するに及ぶほど積極的な男ですらあった。

 第3予備機兵隊の再建を任された彼は素早く昇進して分隊指揮官の地位に就いた。3059年、デンバーで傭兵のバトルメックに支援された内戦が勃発すると、彼の分隊はバトルメック2機の撃墜を助けた。この紛争で彼は叙勲され、メック戦士訓練プログラムへの参加資格を得たのだった。

 メック戦士になるという決断は報われた。デンバーの郷土防衛連隊を作るため、第3予備機兵隊が歩兵支援を切り離した際、マーフィーはメック戦士になり、第3中隊偵察小隊に地位を与えられたのである。初陣の際に、彼は「ブルドッグ」のコールサインを与えられた。35トンのレイヴンを駆る彼は50トンのエンフォーサーと遭遇した。ひどく不利だったにもかかわらず、マーフィーはしつこくつきまとい、敵メックの背中に回り込んで、ついに薄い装甲を打ち抜いたのである。

 マーフィーは小隊のご意見番であるのと同時に、上級下士官(武器管理者)の役割を務めている。この任務に含まれるのは、技術者と共に働き小隊の各種兵器を最高の状態に保つこと、小隊の訓練スケジュールを作成・管理すること、様々な作戦に対応する弾薬をそろえること、小隊が必要とする小火器・支援火器を整備することが含まれている。ブルドッグの歩兵・対バトルメック戦術に対する知識は、アーサー・チンが作戦計画を練るときに貴重な視点を与えている。









AGENT DCGF-037-1127-4MX

氏名:ジェイソン・ザクラン
階級:上尉
最終更新日:3069年11月22日
分類:エグゼクティブ・セキュリティ1A
推定潜伏地点:ホムステッド

 同封される報告書は、民間人偽装工作員ジェイソン・ザクランの最近の活動についてである。ザクラン上尉は、恒星連邦がカペラへの攻撃を仕掛ける前に、恒星連邦南十字星境界域内での防諜作戦を統制・拡大すべく派遣されることとなっていた。彼の存在は、ホムステッドのCCAF隊員には知らされていなかった。しかし、非伝統的なチャンネルを通して適切な輸送手段が手配される前に、至高の正義作戦という名前の強襲がカペラ国境中で発生したのである。計画していた恒星連邦に入るルートが駄目になると、彼は通常のプロトコルを規定し、抵抗活動を開始した。

 すぐに彼は第3カペラ予備機兵隊による抵抗で役割を見つけた。彼は身分を明かし、自分の作戦を強化するために各メック小隊を使用した。分散した第3CRCの指揮幕僚は、これら作戦について聞くことはほとんどなかった。彼らが知ったなら、抗議したであろう。ザクランの基準にあわなかったメック小隊は捨てられるか、悪い場合は逃げられない状況に放り込まれた。誰が一番使えるのかを彼は知りたがった。最終的に、アーサー・チンと「ユーリン・ツァンシ」に落ち着いた。

 武家ルー=サンの到着が差し迫っていることを非公式通信で聞くと、ザクランの作戦の方向性は大きく変化した。彼はアイリシアン槍機兵団の指揮統制に重要な人物の特定に励んだ。これら人物を迅速かつ決定的に排除することは、逆襲の成功を果たす上で重要になることだろう。


AGENT LS-037-1127-4MX
階級:上尉
最終更新日:3069年11月22日
分類:エグゼクティブ・セキュリティ1A
推定潜伏地点:ホムステッド


メック戦士プロフィール

 ジェイソン・ザクランは思春期まで小柄な子供で、学校でいびられたり殴られることがよくあった。思春期が来ると、身長が伸び、マーシャルアーツに傾倒することになった。彼には才能があり、解き放たれるのを待っている怒りに充ち満ちていた。彼は大会での勝利を積み重ね始め、カンフーの腕前で惑星の各種賞を獲得した。

 報道と露出は、十代初めのジェイソンに名声をもたらした。最終的に高官たちと軍人が彼に興味を示し、才能豊かな若者の中に、類いまれな戦士としての素質を見いだしたのである。全国家的な最上級マーシャルアーツ・プログラムへの参加を打診されると、彼は喜んで飛びついた。

 トレーニング中、彼の短気と頑固は脇に置かれた。とにかく与えられるものはなんでも学びたがり、熱心に耳を傾け、吸収した。カペラ市民に浸透している文化では、メック戦士を究極の戦闘員と評価していることから、彼は最終的にそこに引き寄せられた。瞑想的な生い立ちと訓練の痛みに耐えるほとんど超人的な能力によって、彼はトップでクラスを卒業した。だが、上流階級との喧嘩は、彼の記録に泥を塗った。

 ザクランの初期のキャリアはおおざっぱに言って二つに分類される。「エース」のステータスを達成した最年少メック戦士の一人である一方、同僚メック戦士や上官との口論によって週末に何らかの罰則を受けることがよくあった。彼は中隊、連隊を転々とし、カペラの士官たちは彼を飼い慣らそうとした。誰一人成功した者はなかった。

 叙勲を受けているデスコマンドの士官、マーティン・ウー少校は、この若者の中に可能性を見いだした。ウー少校はザクランの精査を行い、できる限り長時間の面接をして、スパーリングした。ここで彼はザクランを叩きのめし、有名な苦痛耐性がどれだけのものか限界までテストした。ウー少校が見たのは、戦友の能力に敬意を払わぬ、きわめて知性の高いメック戦士の姿であった。ザクランは同僚を同格と認めず拒絶したのである。CCAF、マスキロフカ内でいくつかの疑念が上がったものの、ウー少校はザクランにデスコマンドとなるチャンスを与えた。

 ザクラン上尉はデスコマンドの厳しい訓練プログラムに適応し、よい結果を残すため、全力を尽くした。彼はついに全身全霊を捧げるに足る挑戦を見つけ、精神的・肉体的に敬意を払うに足るメック戦士たちを見つけたのである。教官たちは彼の適応力と我慢強さに感銘を受けた。訓練が終わると、ザクランは監視対象になり、民間人偽装工作員(NOC)の座に登る可能性を得た。

 デスコマンド小隊の一員として、彼は有能かつ危険な存在になったことを証明した。不服従の歴史は消え去り、ビシニア、イリアン、ウォーロックの作戦で功績を残した(87LS-118902、87LS-137521、87LS-14882のファイルを参照)。ウー少校の見る目の正しさが明らかとなった。すぐにザクランはNOCの地位を得た。国内の情報漏洩を発見し、カペラ宙域で活動するカノープスのセルに関する情報を収集した後、彼は南十字星境界域内の有望な情報提供者を発見・育成するためホムステッドに派遣された。




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