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作成:2017/05/14
更新:2017/06/25

アンドゥリエン戦争 Andurien War



 自由世界同盟において、アンドゥリエン公国とキャサリン・ハンフリーズ女公は、マーリック家の支配に抵抗する分離独立派として知られています。
 ハンフリーズ女公にとってチャンスが訪れたのは、第四次継承権戦争の最中でした。
 独立を宣言したアンドゥリエンは、辺境のカノープス統一政体と同盟し、瀕死のカペラ大連邦国に攻め込んだのです。アンドゥリエン戦争の始まりです。
 10年に及ぶ戦いの様子を"Historical: Brush Wars"から抜粋して紹介します。






アンドゥリエン戦争の人物


キャサリン・ハンフリーズ
称号: アンドゥリエン女公、ザンザ女公
出身地: アンドゥリエン
年齢(3030年): 79歳(2951年生まれ、3041年死去)
 (誰かを暗殺するときでさえも)優雅で威厳のあるキャサリンは、2989年、伯母モーゲン・ハンフリーズから女公の地位を継いだ。彼女は、人生の半分以上をアンドゥリエンの統治に費やしており、モーゲンの孤立化政策とマーリック家に対する反抗を続けている。ヤノス・マーリックに対する反感(きわめて苦々しく個人的なもの)は、40年前からアンドゥリエン分離までに及び、時折、ヤノスの妻、アナ・スチュワートやヒルダ・ローバーの死のような個人的な悲劇の時に氷解するのみであった。キャサリンは、自身の課題を推し進めようとしていたのだが、レグルスのような野党国家のスキームに引き込まれるのを拒否した。彼女にとって、アンドゥリエンの利益とは、アンドゥリエンのみの利益だったのである。もし、他者の野心と合致するのなら、それはそれで良いと言うことにするが、もしそうでないなら面倒であり、レグルスが総帥の権力を簒奪するというのは、アンドゥリエンの利益ではなかった。

 二つの事柄が、キャサリンの課題と思考の中核だった……リャオ家の無力化と、アンドゥリエンを存続できる独立国家にすることである。第四次継承権戦争とその後の時期、カペラ大連邦国を粉砕する戦争に自由世界同盟を引き込めなかったことで、キャサリンは後者の道に押し出された。もし、総帥と各国がリャオの脅威を永遠に終わらせることができないくらいに臆病なのなら、それを自分でやるのだ。皮肉にも、それをやるために彼女は外部の同盟者を求めた――カノープス統一政体――セントレラが自分の目的のためにアンドゥリエンを利用すると知っていたにもかかわらずである。


トーマス・マーリック
称号: 司教(〜3030年)、防衛副長官(3030〜3035年)、アトレウス公爵(3036年〜)、総帥(3036年〜)
出身地: マーリック
年齢(3030年): 40歳(2990年生まれ)
 トーマス・マーリックは多くの点で、貴族の若い師弟が教会に人生を捧げていた中世への先祖返りである。本好きで科学の徒であるトーマスはコムスターに引き寄せられ――父親の歓迎の下――16歳で教団に入団した。特に医療科学と宇宙物理学に興味を持った彼は、教団内でこれらの研究を行い、探査局の隊員としても時間を過ごした。彼を後継者にするという父の決断はトーマスを驚かせ、3021年に取り決めがなされたが、秘密条項によって、彼は研究を続け、同盟の内輪もめから遠ざかった。そのあいだ、自由世界同盟の外交について説明を受け、外交と交渉について教育を受けたのだった。

 父が発作を起こした後にトーマスが摂政となったことは、多くを驚かせた――特に玉座への道を阻まれた兄弟やいとこたちを――だが、この40歳の司教がもし世間知らずであり操られやすかったのなら、彼らは即座に拒否したことだろう。トーマスはすぐさま同盟政府に自らの権威を打ちだし、コムスターにさえも独立した人間であることを明らかにしたのである。父と兄を殺した3035年の攻撃は、ヤノスを殺すのと同時にトーマスを排除するものというのがありそうで、ダンカンが上に立つ道を切り開いた。3036年の後半、トーマスが議会への姿を現したのは、一回目よりも衝撃的であり、爆発で肉体的・精神的に傷を負っていたものの、トーマスの着実なリーダーシップはアンドゥリエンを自由世界同盟に取り戻す上で重要なファクターとなった。


ダンカン・マーリック
称号: 将軍、マーリック市民軍最高司令官(3036年まで)、総帥(3035〜3036年)
出身地: マーリック
年齢(3030年): 44歳(2986年生まれ、3037年死去)
 ヤノスの甥(妹のシルビアの息子)であるダンカンは、叔父と同じ特徴(と欠点)を持っている。野心的で決断力のあるダンカンは、平気で一族のコネクションを使って、自身の技量と快活な魅力を増強し、マーリック国民軍指揮官の座にあがった。後継者の座が広く開かれているようだったので、ダンカンは総帥になる望みをほとんど隠さず、インタビューでいつの日か叔父の後を継ぐことになると何度か語っている。皮肉にも、この過大な熱意と決意により、ヤノスはダンカンを支配に対する脅威とみて、トーマスを秘密裏に指名したことは正しい道だったという思いを強くしたのだった。

 摂政に関してトーマスの兄であるダガン・マーリックと激しく舌戦を繰り広げたダンカンは、トーマスが現れて摂政になったことに愕然とした。それにもかかわらず、表向きは忠誠を示しながらも彼は時を待ち、その間、密かに権力を奪う計画を練り上げた。3055年6月、マーリックでの集会は、あまりにも誘惑であった。ダンカンは行く先に立ちはだかるものをすべて排除する機会をつかみ、同時にアンドゥリエンが首謀者だと非難して、戦争の炎を煽った。彼は望みを叶え、18ヶ月弱、総帥として統治を行ったが、現実は彼が夢見ていたものとはかけ離れていた。議会と所属国家は彼の計画に協力するのを拒否し、よって彼は単独で戦争の前線に旅だった。そんな感じで、彼はトーマスが姿を現したときにほとんどなにもすることが出来ず、栄光をつかむギャンブルにすべてを賭けた。残念ながら、ダンカンが初期のキャリアで得てきた栄光は大半が他人の成果を奪ってきたものであり、輝きを本当に必要としたときには悲惨なほどに――そして致命的に――なにも出来ないことに気がついたのだった。








フェーズ1: カペラ大連邦国侵攻 PHASE 1: THE INVASION OF THE CAPELLAN CONFEDERATION




3030年: 新しい戦争 3030: THE NEW WAR

 9月13日、アンドゥリエンが自由世界同盟より離脱してからわずか2日後に、アンドゥリエン公国は国境をジャンプして、カペラ大連合国の重要な目標を叩いた。最初の攻撃はほとんど巧妙さのないものだった……新しい戦争が始まったと気づくその前に、カペラの抵抗を打ち砕こうとしたのである。最初の侵攻波で4つの世界が目標となり、CCAFの反応が鈍いことに気づくと、年末にもう2つが追加された。

 これらの作戦において、キャサリン・ハンフリーズはアンドゥリエン防衛軍団の4個連隊(第1連隊、第3連隊、第4連隊、第6連隊。第5連隊は始めてネスターの駐屯任務から解放されて、自由世界同盟を半分渡った)と2個の傭兵部隊、カーソン反逆隊とトゥース・オブ・ユミルを使った。予備戦力は存在せず、1個部隊だけが首都を守るために残ったのだが、マーリックの反応が鈍い(そしてヤノスの発作で混乱が起きる)ことが明らかになると、この部隊さえも前線に出された。

 アンドゥリエンがカペラの意欲を破壊し、経済と軍隊を崩壊させることを意図していた一方で、カノープスの侵攻に対する寄与は単純なものだった……出来る限りの領土を奪い、確保するというものである。なので、カノープスはアンドゥリエンよりも広い前線を攻撃して、8つの世界を狙い、その多くに最小限の駐屯部隊しかいなかった。表面上は弱い敵と戦い、多くの世界でまともな抵抗はなかったのだが、カノープスの直面した任務のスケールは過小評価できるものではなかった。その戦略的な目標は、パッラーディオ=ホムステッド軸からリムワードのカペラ世界と、ホムステッド=ワードからアンチスピンワードの世界をすべてとは言わずともほとんどを奪い取ることであった。この地域のおよそ30個の世界である。


希望的観測

 カペラ大連邦国に対する表面的な条件は積み重ねられたように見えたが、ハンフリーズ女公とカノープス統一政体はいくつかの重要なポイントを無視していた。

 第一に、第四次継承権戦争におけるCCAFの実績はひどいものであった一方、カペラの戦略計画は指揮系統のトップにいた2名のダヴィオン工作員、ジャスティン・キング=アラードとアレクシー・マレンコフ(別名アレックス・マロリー)の存在によって損なわれていた。カペラの各部隊はよく戦ったが、たいていの場合において数で負けて、決定的な差をつけられたのである。アンドゥリエン=カノープス同盟にはその点でのアドバンテージはなかった。

 第二に、カペラ首相の病状がリャオの戦争遂行を阻害していたようで、これは第四次継承権戦争でタカシ・クリタがウルフ竜機兵団に取り憑かれたのとよく似ている。彼らが考慮しなかったのは、マクシミリアンがまともに正気を保てなかったので、首相の地位に就いたまま、摂政が日々の業務を管理していたということである。

 摂政を使っていることは、同盟軍の有利に働いたはずだが、この戦争に際して王家内で内輪もめがあったかは、議論の俎上に載せられるべきだろう。トマーノ・リャオはAFFSに捕らえられ、ニューアヴァロンで「ゲスト」となった一方、後継者と推定されていたキャンダスは恋人のジャスティン・アラードと共に大連邦国に逃亡した。真ん中の子供であるロマーノだけが唯一の後継者として残された。どの点から見ても、ロマーノは3030年後に首相となった(夫である優秀なツェン・シャンに助けられた)のだが、表面上は父親が3036年まで統治した。

 [この文章を書いたアンダーソンは、マックスの二番目の妻、エリザベス・ジョーダン=リャオが戦争中に謎の失踪を遂げたことについて触れていない。情報は不確かだが、SAFEはロマーノがやや軽率に彼女を処刑したと信じている。さらにアンダーソンは、マックスが正気を失っているのと同じく、ロマーノも劣らず狂気に陥っていたことにも触れていない。サギー暗殺カルトとの関係のように、ロマーノは3020年代から精神病質的な言動を示し始めており、3030年代には誇大妄想と被害妄想を付け加えた。だが、父とは違って職務をこなすことが可能であり、シャンと宮殿のスタッフはロマーノの精神問題を隠した。-トーマス]

 最後に、同盟軍はカペラ人の決意を過小評価していた。同盟軍はカペラを弱くて、崩壊して、簡単に餌食になると予想していた。実際には、彼らが見たのは、自国に起きたことを不名誉に思って恥じてはいたが、もう二度と同じことは繰り返さないと決意している者たちだった。もし戦後、同盟軍が即座に攻撃していたとしたら、大連邦国は即座につぶされ、民衆の脆弱な自我は期待を越えて打ち砕かれていたことだろう。だが、戦争が終わって11ヶ月経ったことで、狼狽と恐怖は憤懣と決意に変わったのである。

 アンドゥリエンとカノープスは、死ぬ直前の獲物にとどめを刺すことになると考えていた。実際のところ、獲物は追い詰められて、失うものがなく、底を打ち、イーグルは傍観し、自由世界同盟は引き裂かれた。

 ――JNアンダーソン著『第四次継承権戦争の分析』より、カリブディス出版、3063年



プリムス(9月) Primus (September)

 この戦争における最初の軍事作戦は、トゥース・オブ・ユミル傭兵団の1個大隊が、農業世界プリムスに降下したことであった。抵抗はほとんどないことが予期され、トゥースは素早く大都市いくつかを占拠した。小規模な惑星市民軍は消えていったが、「ダヴィオンの背信」への抵抗の決意を固めて、地下抵抗運動が成長した。なぜダヴィオンかというと、プリムスの民衆が傭兵の上陸を恒星連邦の大連邦国侵攻の続きであると考えたからである。大都市ではすぐに違うとわかり、数ヶ月後には地方にも伝わった一方、惑星が解放された後でも一部の農家が「ダヴィオンの占領」について語ったのである。この抵抗運動は、軍事的にトゥースにはなにも影響を与えないもので、アンドゥリエンの戦争を妨害する上で、プリムスを通る補給物資の輸送を悩ませ(プリムスを占領する第一の理由は、補給の分配ハブ、食料の供給源として使うためだった)、侵略者への協力を選んだ農民たちを威圧するものであった。占領から数ヶ月後で、アンドゥリエン兵への攻撃は最小限(例外はたまの狙撃や強盗行為)だったが、協力者へのリンチは日常茶飯事となった。


プリ(9月) Prix (September)

 プリムス占領と同時に、トゥース・オブ・ユミルの2つめの大隊がプリを叩いた。隣のプリムスよりも工業が発達していたプリは、それにも関わらず占領への抵抗が激しいとは予想されておらず、この予測は正しいことが証明された。トゥースの上陸から数時間以内に、政府の代表団は条件について話し合うため、傭兵の指揮官と面会した。商業インフラが破壊されることへの恐怖が(とりわけCCAF兵に解放されることがなさそうなので)、今回の降伏を促し、一発も撃つことなくアンドゥリエン軍に支配権が渡されたのである。実際、プリの政府と企業体は、自発的に占領軍に協力し、惑星を侵略者のために大規模な再補給ハブに改造するのを助けた。だが、数年後、民衆はひどい目に遭うことになる……リャオがプリを奪還し、「裏切り者」への罰を与えたのだ。


グランドベース(9月〜継続) Grand Base (September-Ongoing)

 この侵攻において最初の重要な軍事作戦は、戦略のみならずシンボル的な意味を持つグランドベースへの攻撃であった。大連邦国で最大のメック工場群を持ち、大規模な訓練施設があり、デスコマンドの本拠地であるこの世界を奪うのは、CCAFの戦争遂行にとってボディブローになるはずだった。グランドベースは最初のアンドゥリエン侵攻計画にはなかったが、デスコマンドがカシル(あるいはニューアヴァロン。いずれにもエリートのリャオ軍が関与していた)で壊滅したとの噂があり、またAFFSに対する防衛を強化すべく駐屯部隊が移動してひとつの部隊のみ(フジタ家の1個)がこの戦略惑星を守っていた。それはハンフリーズ女公にとってまたとない誘惑であった。[これはやり過ぎであった。ベテルギウスを取るのに集中していたら、第6連隊を戦力に追加し、作戦に成功する可能性が大きかっただろう。そうはならず、二兎を追って一兎をも得なかったのである。-トーマス]

 アンドゥリエン第6防衛軍団(キャサリンの三番目の子供で、長女のミルドレッド・ハンフリーズが指揮する)は、9月29日、グランドベースにジャンプし、戦闘機と降下船がジャンプポイントですぐさまリャオの抵抗に遭遇した。最初のアンドゥリエン艦が星系内に入ると戦闘機による繰り返しの強襲を受け、噂によると、航宙艦すら必死なCCAF兵による銃撃を受けたようである。天底点での海戦はわずか3時間で終わり、CCAFの航空宇宙戦力は無力化されたが、天頂点の戦いは19時間にわたって荒れ狂い、再充電ステーションに対する熾烈な乗り込み戦でクライマックスに達し、アンドゥリエンの海兵たちはCCAF軍(アンドゥリエンが貴重なステーションを撃ちたがらないのを利用しようとした)を制圧した。

 戦いが長引いたことから、グランドベースに警告が届くのを妨げることはできず、一週間後に降下した第6防衛軍団は、降下地点に対する自殺的な防衛を予想していた。それがなかったことは恐怖を煽り、橋頭堡を確保した後で、第6防衛軍団は首都に進むことをためらった。10月12日、第6防衛軍団とフジタ家の間で接触があり、前線に沿って短く鋭い衝突が発生した。そのほとんどは、CCAF部隊による調査攻撃の一部であり、アンドゥリエンの決意をテストし、キルゾーンに引き込むために行われた。どちらも勝利せず、10月のあいだの交戦で、互いが少数のメックを失った。武家の居場所を特定するアンドゥリエンの調査は不調であったが、フジタ家は惑星市民軍と緊密に連携しているのが徐々に明らかとなった。絶対数において、リャオ軍は数的優位であったが、その大半は惑星中に散らばっており、大規模な移動を警告しようとするアンドゥリエンの降下船に監視されていた。その一方で、アンドゥリエンはバトルメックで3対1の有利であった。

 アンドゥリエンの計画は単純であった……フジタ家を撃破し、市民軍を倒すのである。それを念頭に、第6防衛軍団はメック工場に急ぐことなく、後方にかなりの脅威を与える武家兵士を釘付けにしようとした。2つの古参兵部隊によるこの鬼ごっこは、自由世界同盟の養成校でよく研究されることになる……ある部隊が捕まるのを望まず、活動する空間がほぼ無限にある場合、釘付けにするのは難しいのだ。フジタ家は侵略軍の一歩先を維持し、攻撃があれば消え去り、第6防衛軍団が間延びしたときは逆襲の一撃を放った。11月が12月に移り変わると、アンドゥリエン指揮官のあいだで不満が高まり、部隊を分割することが決定された。1/3をフジタ家を追うために残し、一方、2個大隊をアースワークスのメック工場とCCAFの訓練施設(デスコマンドのもの含む)に送り込むのである。両地点で抵抗が予想されたが、充分な訓練を積み、装備の良い部隊に対処できないものはなかった。

 アースワークスに対する作戦はうまくいった。市民軍部隊いくつかがアンドゥリエン防衛軍団の前進を止めようとし、即座かつ効率的にはねのけられた。第6アンドゥリエン防衛軍団が工場に動いたときにのみ重要なトラブルが発生した……塹壕に潜った装甲車両と歩兵が前進するアンドゥリエン軍と戦ったのである。それにも関わらず、外側の施設はわずか数日の戦闘で陥落したが、メック工場に近づくにつれて抵抗は頑強なものになっていったことから、3030年末までに工場群を奪い取るという目標は達成できそうになかった。

 CCAFの訓練場に入った第6防衛軍団のガンマ大隊は不気味な沈黙に遭遇した。CCAFの隊員はどこにもいなかった。作業場にテックの使う工具が散乱し、食事は半分食べた状態だった。まるである瞬間に住人たちが消え去ったかのように見えた(食べ物の状態から判断して数週間前のこととされた)。彼らが珍しく頑強な惑星市民軍となったのか? CCAFの新兵が惑星の連隊群を増強したのか? 人員がどこに行ったにせよ、アンドゥリエンは進み続けた……10000平方キロメートルに及ぶ施設の建物をすべてチェックする必要があったので、作戦は相当に遅々としたものとなったのだが。軽メックが飛び回ってCCAF兵士を探し出すのにはすぐ成功した(そして誰もいなかった)のだが、すべての建物をチェックするのには数週間がかかった。ガンマ大隊は元デスコマンドの施設(やはり人がいなかった)に本部を構えることとし、保安点検を行った。注意が必要なことはすぐに明らかとなった……最初に一人消えて、分隊が全体で消え始めた。あるケースでは戦闘の徴候があったが、大半の場合は兵士たちは単純に消えた。12月21日、本部内で一人の歩哨が消えると、第6防衛軍団内に噂が回り始めた。デスコマンドは本当に死んだのか?


ニューローランド(10月) New Roland (October)

 1個大隊の戦力で、戦闘経験を欠いていたにもかかわらず、クレイボーン奇襲部隊は16時間弱でニューローランドの駐屯部隊を蹂躙し、メック1機の損失(機械的な故障)で装甲・歩兵部隊を粉砕した。上陸してから2日後、パリ・フィッツェングラバー少佐はニューローランドの降伏を受け、公式に統一政体の一部であると宣言した。


アルトラとフロンド(11月/12月) Altorra and Fronde (November/December)

 デイム・ハンフリーズは、カペラが戦力を失っているのではないかと疑っていたが、遙かに小さいアンドゥリエンがカペラの残った部分に蹂躙されるのは避けたかった。そうしたことから、侵攻計画の重要な部分は、様々な世界を狙い、それから退却することで、リャオを疑い深くさせ続けることだった。開戦した段階で、この作戦に当てられた部隊は、傭兵のカーソン反逆隊だった。この部隊はFWLMが地球近くから撤退するときに解雇され、独立したアンドゥリエン公国との2年契約を引き受けた。最初の目標となったアルトラは、進撃路のコアワードにあったが、潜在的な目標であり、襲撃を行えばCCAF兵士を引きつけられるかもしれなかった。

 カーソン反逆隊はアルトラ上陸時にまったく抵抗に遭遇せず、降下地点を確保した後で少しの抵抗を受けた。短く、鋭い戦役で、簡単に惑星は降伏を余儀なくされ、政府は傭兵に対応を求めたが、傭兵はハンフリーズの命令に厳密に従い、目立つように振る舞う一方で損害と人命の損失を最小限のものとした。11月末、彼らは惑星を離れ、次のターゲット、フロンドを叩いて、同じように成功した。


ベテルギウス(12月〜継続) Betelgeuse (December-Ongoing)

 大連邦国で二番目に大きい軍需工業惑星であり、消費財の1/3を生産しているベテルギウスは、アンドゥリエン強襲における重要な目標だった。この世界を奪い取れば、リャオ経済と軍事に大打撃を与え、上手くいけばキャサリンの望んでいたノックアウトパンチになるだろう。ベテルギウス攻撃を任されたのは、アンドゥリエンで最高の部隊、第1防衛軍団であった。情報部が報告したところによると、敵は熟練した部隊である武家カマタの2個大隊であり、数に勝る第1防衛軍団にとっては簡単な相手になるだろう……もっとも、第1防衛軍団はアンドゥリエンの援軍が妨害されずに上陸するための足止め部隊でしかなかった。

 第1防衛軍団は12月2月、惑星から8時間のパイレーツポイントに到着した。カペラの軌道防衛はやる気がなく、すぐさま侵略者に片付けられた。耐熱コクーンに入って降下したメックは、カマタ家の航空防衛をくぐり抜け、装甲・歩兵輸送船のために降下地点を確保した。兵士の大半は首都ビダンより200キロメートル前後のところに上陸したが、目標設定ミスにより1個中隊がビダンからわずか十数キロメートルのところに上陸し、すぐさまカペラの郷土防衛軍兵士とカマタ家の戦士の攻撃を受けた。この中隊はわずか30分で殲滅された。

 アンドゥリエンのガリバルディ将軍はアヴィン・レイク市にアンドゥリエン軍の主力を集め、市民軍の偵察を簡単に撃退し、それから逆襲に着手して郷土防衛軍を混乱に陥れた。12月半ば、防衛軍団は重要な工業地区いくつかを含むアヴィン・レイク市周辺の広い地域を支配した。だが、軍の中心部はビダンにあり、ビダンを奪うにはカマタとの正面対決が必要とされ、ガリバルディ将軍はいささか気が進まなかった。決断は彼の手から奪われることになる……12月29日、カマタ大隊が安全なはずのアンドゥリエンの後方を叩いたのである。5日にわたる血塗られた小競り合いで、両陣営の技量と決意が示されたが、そこに明白な勝者はなかった。1月2日の夕暮れ、カマタは撤退し、ぼろぼろになった第1防衛軍団は傷をなめたのだった。


アンダーマックス(12月) Andarmax (December)

 キラービー、第四次継承権戦争の直前に元カル=ボーイング社のパイロットが起こした傭兵部隊は、3027年にライラの雇用を離れ、カノープス統一政体と3年間の契約任務を結んでいた。契約が終わる前に、統一政体がリャオ家との戦争を宣言すると、MAFは訓練生である統一政体市民軍と一緒に戦う追加契約をオファーした。経験のない市民軍に技量をテストする機会を与えるため、2つの部隊は"簡単な目標"であるアンダーマックスに赴いた。名目上カノープスの正規部隊の下に入っていたキラービーは、市民軍を素早く比較的流血のない勝利に導き、上陸してから一週間以内にアンダーマックスの支配権を得たのだった。


悪魔の血統

 アンドゥリエン公国が作られて以来、ハンフリーズ家がアンドゥリエンの社会を牛耳っていった。3030年代の初期、彼らの影響力は、アンドゥリエン、同盟内の政治、軍事、財界にまで広まった。キャサリン・ハンフリーズは、マーリックの権威と自由世界同盟の体制にあらがう怒りっぽい女公として有名だったが、子供たちといとこもまた同様に放蕩者だった。

 キャサリンの上の子供三人は、アンドゥリエン防衛軍団でのキャリアを切り開いた。長男で後継者のマイケル(2981年生まれ)はアンドゥリエンの社会界隈で享楽主義者としてよく知られているが、どうにか第3防衛軍団でのキャリアを維持し、装甲部隊の大佐として勤務している。デイム・ハンフリーズの次男、ジェームス(2984年生まれ)は第1防衛軍団の少佐としてメック大隊を指揮していた。兄よりカリスマに欠けるピーターはそれでもなお野心的だった。キャサリンの三番目の子供、ミルドレッド(2986年生まれ)は兄二人を恥じさせるものである……情熱的で熟達した彼女は、第6防衛軍団戦闘群の指揮官に昇進し、兄弟内での熾烈なライバル争いを生み出した。

 キャサリンの三男、コンラッド・ハンフリーズ(2990年生まれ)は、軍隊でのキャリアを避けて政治の世界に入った。彼は3026年、ザンザの議員になり、離脱までその職務を続けた。ローレンス(2994年生まれ)はキャサリンの子供たちの中で最も寡黙であり、学者の道を選んだ。自由世界技術研究所でプラズマ物理学の研究フェローであったローレンスは、母の離脱を否定し、マーリック家への支援を宣言した(もっともSAFEのしつこい監視が残ったのだが)。

 キャサリンの五番目で最年少の息子、リチャード(2998年生まれ)は政治、軍事、学問のキャリアにほとんど適性を示さなかった。彼は享楽主義的な人生を過ごし、ルックスと一族のコネを使って女性を誘惑した。唯一の結婚してない男子として、リチャードはカノープスとの結婚協定を結ぶのに選ばれたのだが、リチャードとエマ・セントレラはすぐさま互いを憎み合うことになり、結婚計画は停止された。[ダルマ・ハンフリーズとダナイ・セントレラが半姉妹なのではという宮廷のゴシップは収まることがなかった。-トーマス]

 キャサリンの末っ子、3001年に生まれたルイーズは未知数であった。可憐で快活な彼女は、イリアン・バトルメック・アンリミテッドのジークムント・ヒューズの愛人として知られていた。だが、SAFEは、ルイーズがやる気のない浪費家を装い、ヒューズとイリアン・テクノロジーズ社の者たちを狡猾に操っているのだと信じている。

 ロード・サミュエル・ハンフリーズ猊下(デルバトン男爵)は、キャサリンのいとこで、ギブソン・フェデレーテッド・バトルメックス社(FWDIの一部門)のトップである。公式には、反乱を起こしたアンドゥリエン公国より自由世界同盟を支持したのだが、ギブソン社は反乱軍に装備を供給しているという疑惑があり、3032年、FWLMがメック工場を連邦政府の支配下に置いた。もう一人の従姉妹、ヘレナ・ハンフリーズはキーニサンでソーシャル・ジャーナリスト[別名ゴシップ・コラムニスト。-トーマス]としての評価を確立しており、トリヴィッド・ショーの『ザ・ホーリー・ローラー』(優秀な惑星治安部隊の功績から名を取った)と『アフターダーク』(ギャンブラーの世界であるキーニサンの闇を暴く)を製作し、シンジケートを通して自由世界同盟の各地に配信している。





3031年: 戦火拡大 3031: ESCALATIONS


ヘキサリー(2月〜3月) Hexare (February-March)

 アルトラとフロンドへの襲撃が成功した後、カーソン反逆隊は混乱を巻き起こす任務のためさらに大連邦国の奥深くへの襲撃を実行した……カペラ主星と聖アイヴス協定の中間にあるヘキサリーである。先の襲撃と同じように、反逆隊は6日間の戦役で郷土防衛軍を追い散らし、惑星を手中に収めた。前の世界と違って、ヘキサリーは侵略者に降伏しようとはせず、冷静で挑戦的な非協力作戦を実施し、天帝がカーソン反逆隊を撃破する秘密計画を明らかにした暁には苦しむことになるだろうと明言した。カーソン反逆隊は一笑に付し、さらに2つの世界(ハステイングとカルメン)をヒットリストに載せ、補給と装備を徴発した。この遅れは、彼らの生命を代償にすることとなる。

 主星近くへの攻撃に怒ったロマーノ・リャオは、反逆隊を追跡、撃破するため、再建された共和区知事警護隊の両大隊をシーアンの営舎から派遣した。警護隊は反逆隊が上陸してからわずか11日後にヘキサリー星系のパイレーツポイントに到着し、上陸に成功した一方、反逆隊はいまだ再補給活動に従事していた。アンドゥリエン兵に奇襲をかけるという警護隊の望みは、反逆隊がCCAFの通信を傍受したことで失敗したが、傭兵たちはカペラ兵が攻撃を仕掛ける前に脱出する準備を完了することができなかった。再補給の監視に1個大隊を残し、反逆隊の主力はリャオと対決するために展開した。

 警護隊は想像力を見せることなく、反逆隊の戦線に正面強襲を仕掛けて、簡単に撃退された。数で劣っていたにもかかわらず、幅広い逆襲によって反逆隊はカペラ部隊を後退させ、都市から1キロメートル近く押してから、離脱した。CCAFによる二度目の強襲はもっと注意深いもので、アンドゥリエン戦線の弱点を特定するために一連の調査が行われた。調査は暴力的に追い払われたり、引き延ばされてから撃破されることもあったが、もっと多かったのは、発見した「弱点」につけ込むため戻ってくると(警護隊を驚かせたことに)すでに補強されていたというケースである。反逆隊の側面攻撃は警備隊のバランスを崩し続け、同時に偽装退却で警護隊をキリングゾーンに釣り出した。3月14日、反逆隊がCCAF部隊との接触を断つと、カペラの指揮官はまたなにか新しい策略であると考えた。反逆隊の降下船が軌道上に上がり始め、24キロメートル先からドライブ雲を見てようやく、この策略とは脱出であることに気づいたのである。


ハステイング(5月) Hustaing (May)

 カーソン反逆隊は、5月9日、ハステイングに到着し、地元民の一部から熱烈に歓迎された。彼らはカーソン反逆隊のことを、キャンダス・リャオが玉座を奪うために送り込んだ尖兵だと勘違いしたのである。傭兵の忠誠心が明らかになると、ハステイングの歓迎の空気は冷めていったが、地元CCAF郷土防衛軍の注意を引いたことに反逆隊は満足し、状況が悪化する前に次の目標へと向かっていった。


カルメン(9月) Carmen (September)

 3031年の三番目の襲撃目標を、カーソン反逆隊はカルメンに変更した。傭兵たちは地元の民衆から離れることなく、友好的な関係を樹立する道を選び、次にどこを攻撃するのかの情報をうっかり漏らした。カルメンにいるマスキロフカのセルはこれを欺瞞と推測した(正しかった)のだが、「国家の安全に重要な情報を無視した」と非難されるのを望んではいなかった。なので、9月23日、反逆隊がカルメンを出発すると、近くの半ダースの世界が最高警戒態勢に入った。そのあいだ、反逆隊は次の目標に向かった……警戒している世界の遙かに外であった。


ベテルギウス(継続) Betelgeuse (Ongoing)

 2月9日、トゥース・オブ・ユミル傭兵団が到着したことで、アンドゥリエン側が有利になり、アンドゥリエン軍はすぐにカマタ家を押し返し、食い止めるための戦役を開始した。プリとプリムスのサイドショーに関与した傭兵たち(ヘラー大佐指揮)は、カマタのメックを苦しめるという任務を喜んで実施した。4月前半までに、侵攻軍はベテルギウスの大部分を確保した(アルディス・ウェポンス社の工場含む)のだが、武家を無力化するという部分は泥沼にはまり込んだ。狂信的なカペラ兵は降伏を拒否し、追い詰められたときには最後の最後まで戦い、アンドゥリエン軍が移動する前に完全に撃破することを余儀なくさせたのである。トゥースの上陸にあわせて山野を素早く進撃するというのはすでに遠い記憶であり、アンドゥリエン侵略軍は占領する平方キロメートルをすべて戦わねばならなかった。ガリバルディ将軍はアンドゥリエンの最高司令部に、ベテルギウスを平定したいのなら、現状よりもかなり多くの人員が必要だと明言したが、援軍に使える兵士はないと返され、よって現状の兵力でそれを実行しないとならなかった。

 7月9日、武家ヒリツが到着すると、戦力の均衡は再び大きく変化した。第四次継承権戦争中にティグレスとカウィッチで事実上殲滅し、失われたプライドを取り戻すために1個大隊をかき集めたヒリツ家は、アンドゥリエンの後方に勇敢な戦闘降下を行った。1個大隊という大きな犠牲を支払ったのだが、この大胆な動きで侵略軍はショックを受け、計画を混乱させ、敵を追い散らす前にかなりの補給庫・弾薬庫が廃墟になった。このアンドゥリエンの「勝利」さえもリャオの計画に荷担したことがすぐに明らかとなった。ヒリツ小隊群が、手薄な後方に散らばり、かなりの混乱を引き起こした。ガリバルディ将軍はカマタ家を追っていた防衛軍団1個大隊を引き上げて、ヒリツ家に対する索敵殲滅作戦を実施した。この分遣隊を指揮するのは、女公の次男であるジェームズ・ハンフリーズ少佐であった。

 当初、ハンフリーズ少佐の計画は上手くいき、ヒリツの小部隊いくつかが捕まって撃破されたが、数週間が経つと、事態はほとんど進展せず、9月前半までにフラストレーションが募ることとなった。少佐の指揮中隊が武家の支隊に出くわすと、彼は逃がしてしまうことを恐れ、援軍を待たずして攻撃を仕掛けた。この衝突は短く熾烈なもので、両軍が深刻な損害を受けた。不幸なことに、少佐も被害者の一人だったのである。彼の行動不能となったメックが倒れた際に、コクピットが破壊されたのだった。

 ジェームズの死を女公にとがめられるのを恐れたガリバルディ将軍は部隊を引き上げさせた。女公の返答は10月後半に到着した。それはまったくもって彼が予想していたものではなかった。キャサリンは息子の死は無駄にならないと語った……ベテルギウスをアンドゥリエンに取り込むため、かなりの戦力がもたらされることになるだろう。疑問はひとつだった。援軍はいつ来るのか?


グランドベース(継続〜4月) Grand Base (Ongoing-April)

 フジタ家に対する作戦はゆっくりと進んだ。リャオ兵士はアンドゥリエンと粘り強く戦い、相手を走り回らせた。メック部隊の大半は分散し、小隊か小規模な部隊で行動したが、あらかじめ決められたときは結集して第6防衛軍団の陣地に逆襲を仕掛けた。直接戦うのに向かない小規模な武家は、待ち伏せから攻撃するのを好み、アンドゥリエンにリャオの小部隊を追い詰めたと思わせたのだった。第6防衛軍団はすぐにこれらの戦術を警戒するようになり、2月までにフジタ家を殲滅する企ては放棄された。アンドゥリエン兵はCCAFのメックが容易に突破できない防衛境界線に後退した。彼らは戦術を切り替えて、メックの破壊から不正規歩兵作戦、破壊工作、狙撃に重点を置いた。

 アースワークスでは、工場の占拠が遅々として進まず、苦痛を伴った。一週間に及ぶ血塗られた戦闘の後、1月22日、工場の本部が占領され、10日後にメックの主力生産ラインがアンドゥリエンの手に落ちた。あまりにも長く苦闘した第6防衛軍団は疲れ果て、モンロー少佐はこれ以上の占拠を停止した。彼らには重要なことがあり、そのほかのことは後でだった。

 CCAF訓練施設の「ゴースト」は第6防衛軍団を蝕み続け、1月前半、殺人と失踪はエスカレートした。1月19日、ついに犯人が特定された。第6防衛軍団の本部近くに爆発物を設置しようとしたスニークスーツ着用者が2名撃ち倒され、かなりのCCAFの軍需装備を持っているのが発見されたのである。両名共にデスコマンドの記章を帯びており、それはハンフリーズ将軍の恐怖が事実であることを意味していた。

 もはや秘密裏に活動する必要がなくなったデスコマンドのグランドベース分遣隊(カシルでの作戦に配備されなかった年老いた士官と訓練中の新兵からなる)は、公然と活動を始めた。最初は単純にこれまで数週間行ってきた隠密戦術をエスカレートさせたものだったが、すぐに隠密性を捨てて火力を取り、第6防衛軍団のパトロールを重火器で待ち伏せした。2月11日、施設の外辺部で活動していたアンドゥリエンの軽小隊がデスコマンドのヴィンディケイターから砲撃を受けた。砲火を交わした後、リャオのメックは交戦をやめて逃げ出した。アンドゥリエンは追跡し、真後ろにまで迫って、血の臭いを感じた。だがそれは彼らの血だったのである……ヴィンディケイターはデスコマンドが仕掛けた罠の囮であり、アンドゥリエンの小隊はメック2機と塹壕に隠れた戦車1個中隊の伏撃に突っ込んだ。アンドゥリエンは誰一人生き残らなかった。

 この成功のニュースに支えられ、CCAFのアンドゥリエンに対する抵抗は頑強なものとなり、アースワークスにいた兵士たちは夜襲を受け、フジタ家がアンドゥリエンの陣地に一連の襲撃を仕掛けた。これが第6防衛軍団を撃破することはなかった一方、戦力と決意は削がれていった。アンドゥリエンへの通信文の中で、ハンフリーズ将軍が母に認めたところによると、グランドベースの状況は膠着しており、アンドゥリエンはCCAFを撃破するだけの戦力を欠いているが、リャオの側も同様に第6防衛軍団を追い出す人員と物資がないということだった。3月は彼女の間違いを、破滅的に、致命的に証明した。

 3月9日、ハンフリーズ将軍は宿舎で死んでいるところを発見された。彼女は至近距離から頭を撃ち抜かれていたが、護衛はドアの外におり、なにも聞いてはいなかった。副指揮官のスコット・クレスが直ちに第6防衛軍団の指揮をとったが、(3ヶ月の熾烈な戦闘ですでに低下していた)部隊の士気はぎりぎりのところにあった。アークワークスの工場を奪還する攻撃はクライマックスに達し、毎夜のアンドゥリエン境界線に対するロケット砲撃、陣地に対する強襲に次ぐ強襲が行われた。第6防衛軍団は耐えたが、弾薬の補給が枯渇し、マシンガン装備のメックに軽武装の市民軍が身を投げるという大虐殺が兵士の脳裏を離れなかった。クレスは訓練施設と工業地帯の両方を抑えるのは無理だと気づき、アースワークスに兵士を集中させた。

 だが、彼らがそうすると、フジタ家とデスコマンドの連合部隊が疲弊した第6防衛軍団を襲った。両陣営が深刻な損害を出し、アンドゥリエンはメックの数が多いことから、かろうじて成功し、3日におよぶ戦闘の後で両軍は再結集のために後退した。アンドゥリエンの各大隊が合流するには、かなりの損害なしには不可能に見え、補給車列への攻撃で補給状況が急速に悪化したことから、クレスはグランドベースは敗色濃厚と決断し、部下たちに撤退を命じて、一隻目の降下船は4月17日に軌道上へと上がった。[クレスが持ちこたえて、勝利できたかは、長い議論の種になっている。それは考えづらい。彼の行動は第6防衛軍団の大半を維持した一方で、故郷で相当な敵意を受ける羽目になった。後に判明したのは、アンドゥリエンはマスキロフカが補給への攻撃に関与していると疑っていたが、実はダヴィオンのMIIOが犯人だったのである。なぜなら、カペラ大連邦国のコアワード地方が新しい継承権国家のものになるより、リャオ軍がこの世界を支配することを望んだのである。-トーマス]




3032年: 逆襲 3032: COUNTERBLOWS


ベテルギウス(続行〜5月) Betelgeuse (Ongoing-May)

 ベテルギウスの戦役が三年目に入ると、キャサリンは侵攻ゾーンを拡大するのをやめて、ベテルギウスの抵抗軍を永遠に葬る決断を下した。追加の第3、第4防衛軍団が、第1防衛軍団とトゥース・オブ・ユミルに加わり、この戦争におけるアンドゥリエンで最大のタスクフォースを作り上げた。2月半ば、カペラの共和国知事警護隊が防衛側に加わってもなお、戦役に勝つのはアンドゥリエンであるように見えた。惑星が次から次へと陥落していたことから、勝利をつかみ、この戦争で最大の戦略的目標を達成するには、数週間の掃討作戦で充分と思われた。シグマ・メアとドローザンが失われたというニュースがあってなお、アンドゥリエンの戦意はほとんど損なわれなかった。特に、共和国知事警護隊が3月前半に粉砕されてからは(部隊はその後ロマーノ・リャオの命令で解散し、生き残りは他の部隊に組み込まれた)。

 それからビッグマックが到着した。

 第四次継承権戦争でAFFSに痛めつけられた傭兵マッカロン装甲機兵団はこの紛争が始まってから再建、再装備で長期間席を外していた。3031年の半ば、すぐにも任務を再開できるという自信を持つと、傭兵の指揮官たちは逆襲の計画を立てて、CCAFの雇用主に提出した。5月9日、全5個連隊がベテルギウスに降下した。アンドゥリエン兵士は彼らの到着をほとんど警戒していなかった――あるいは戦闘部隊として機能すると考えていなかった。そして、2週間以内にマッカロンは侵略者を追い出し、ベテルギウスを奪還したのだった。疲弊しておらず、装備良好で、戦意旺盛な5個連隊と直面したアンドゥリエン兵は、勝ち目がないと悟り、脱出する作戦を開始した。だが、ダメージなしにそれをすることはできず、特に第1防衛軍団は味方を逃がすためにしんがりとなり、深刻な損害を被ったのだった。5月23日までに、ベテルギウスに残ったアンドゥリエン兵はいなくなっていた。


ラティス(6月) Latice (June)

 カーソン反逆隊が6月半ばにラティスを攻撃したときには、アンドゥリエンの作戦のスケールは明らかになりつつあり、傭兵指揮官は「占領と陽動」任務を見合わせて、代わりに単純な補給襲撃をすると決めた。彼らが惑星上にいたのはわずかに36時間であり、巧みにルー=サン家を交わして、航宙艦に戻り、アンドゥリエン公国へと戻るアンドゥリエン部隊の奔流に加わった。


プリ(6月) Prix (June)

 ベテルギウスで痛めつけられた部隊の大半がアンドゥリエンに逃げ帰ったところ、第3防衛軍団は大連邦国との戦闘を再開する前に修理と再武装を望んでプリに後退した。グランドベースので作戦を支援するために作られた重要な備蓄物資をせめて守ろうとしたのである。すでに2個大隊が修理を済ませてアンドゥリエンに旅立っており、防衛軍団の1個大隊とその他の駐屯部隊兵士が惑星を守るために残された。

 だが、マッカロンは防衛軍団のスケジュールにあわせる気がなく、2個連隊が部隊をプリまで追い、修理作戦の半ばで残った大隊を捕まえた。傭兵は相当数の補給庫を素早く蹂躙し、それからアンドゥリエンの施設に向かった。大きな数的不利を被っていたにもかかわらず、アンドゥリエン兵士は全力の抵抗を行い、三週間近く持ちこたえた。三週間におよぶ血塗られた惨劇の中でまともに残ったアンドゥリエンのメックはなく、マッカロンは残った補給と装備を徴発した。傭兵は防衛軍団の勇気と決意に経緯を示し、マスキロフカが捕虜に拷問を加えようとすると、マーカス・バートン大佐が介入して戦争協定下で彼らの安全を保証し、コムスターを通して送還の手配をしたのだった。


プリムス(6月) Primus (June)

 プリの姉妹世界であるプリムスの補給庫はマッカロン装甲機兵団にとって垂涎の目標であり、別の2個連隊がプリと同時に攻撃を仕掛けた。最低限の駐屯部隊しかおらず、アンドゥリエンの正規軍部隊がいなかったが、プリムスはこの戦争におけるビッグマック最大の人命喪失が出たのである。第1マッカロン連隊、ナイトライダーズが降下する際、ユニオン級降下船の1隻にドライブ不調が発生した。それは再突入の時だった。操縦不能でスピンした降下船は分解して、60名以上の乗員と客員を全員殺した。プリムス占領自体は、それ以上の人命を喪失することなく達成されたのだった。




3034年: 死を告げる鐘 3034: DEATH KNELLS


アンダーマックス(8月) Andarmax (August)

 マクグロー・マローダーズ(カノープス・ハイランダーズ傭兵団第3大隊)、キラービー傭兵団、統一政体市民軍は、CCAFがすぐにもやってくることをよく知っていたが、8月9日、リャオの強襲部隊が星系内に姿を現すと、安心のため息をついた。この部隊は、カマクラ機兵連隊と、ロブ・レニゲードこと第5マッカロン連隊「だけ」で、ダイ=ダ=チ家がいなかったのである。この部隊を前にしたカノープス軍はわずかに(無益であっても)勝利の可能性があると考えた。

 CCAFは戦闘降下を行い素早くカノープス陣地を攻撃することで、すぐさま間違いに気づかせた。2日間にわたるカペラ人との接近戦で、2個傭兵部隊は逃げるのが最高の戦闘計画であることを確信したが、統一政体市民軍についていたMAFの傭兵連絡士官は拒否し、ロブ・レニゲードの行く手に立ちふさがるよう命令した。マローダーズは遵守した(そして数の多いマッカロンに叩きのめされた)が、キラービーは拒否した。契約上は無益な状況で不必要な損害を避ける権利があり、アンダーマックスはそれにあたるとしたのである。彼らは交戦をやめて、撤退の意思を送信し、CCAFは許可した。マクグロー・マローダーズは2日後に脱出し、かつての残骸となった一方、統一政体市民軍は大部分が消滅した。


ニューローランド(11月〜3035年2月) New Roland (November-February 3035)

 カペラの領土内で行われたアンドゥリエン戦争最後の戦闘は、ニューローランドで行われ、誉れ高きダイ=ダ=チ家とカマクラ軽機兵隊(アンダーマックスにロブ・レニゲードを残していった)がクレイボーン奇襲部隊、タスクフォース・デュオのぼろぼろになった残存戦力と戦った。CCAF兵士による残虐かつ破壊的な攻撃は、ほとんど効果的過ぎた――胸甲機兵隊の連携は崩壊し、第2機兵連隊と胸甲機兵の中核(エマ・セントレラ含む)の勇敢な後衛戦によってのみ、カノープス軍は脱出することが出来た。最後のカノープス人が惑星から追い出されるまでの三ヶ月で、事実上、戦争が終ったのだった。




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