indexに戻る
作成:2002/03/02
更新:2004/12/31

恒星連邦装甲軍 The Armed Forces of the Federated Suns



 最大の継承国家、恒星連邦の正規軍がAFFS(恒星連邦装甲軍)です。効率的な組織とRCT(連隊戦闘団)が主な特徴。一流どころの傭兵を揃えています。
 恒星連邦という国家は政治的に、ドラコ境界域(ドラコ連合寄り)、カペラ境界域(カペラ大連邦国寄り)、南十字星境界域(中央)の3境界域に分かれており、軍事面でもそれぞれが力を持っています。ハンス・ダヴィオン国王が支配するのは南十字星境界域、カペラ境界域にライバルのマイケル・ハセク=ダヴィオンがいます。
 3025年のデータを、House Davion Source Bookより(一部抄訳・抜粋です)。




軍隊 MILITARY FORCES

 AFFS(恒星連邦装甲軍)は中心領域で最も巨大な軍隊で、バトルテック110個連隊と、多数の戦車、航空、歩兵、支援部隊を持つ。装備は多様かつ優秀、兵員はよく訓練されており、士官学校は中心領域で随一である。AFFSは5大継承国家のなかで、もっとも大きいだけでなく、最高の戦闘部隊である。

 これだけの利点があっても、まだ規模が小さく、ドラコ連合とカペラ大連邦国をよせつけない以上のことはできない。攻撃を仕掛けるということは、広大な領土と長い国境線をがら空きにするということなのだ。



最高司令部 HIGH COMMAND

 AFFSの最高司令部は14名の元帥と、軍情報部の主席戦略家3名からなる。AFFS総司令部内の戦略室(通称〈狐の巣〉)で会合が行われることが多い。この部屋にある高性能コンピューターは、各世界の精密な地形をホログラフで表示でき、必要に応じて過去の様々なデータを引き出せる。最高司令部を統括するのは、AFFS大元帥=恒星連邦国王である。国王が参加できない場合は、最上級の元帥〈国王のチャンピオン〉が代理で統括する。現在は、軍暦50年のベテラン、イボンヌ・ダヴィオンが務めている。



ドラコ・カペラ境界域地方司令部 DRACONIS AND CAPELLAN MARCH REGIONAL COMMANDS (DMRC & CMRC)

 戦いの矢面に立つドラコ・カペラ境界域は独立性を帯びた司令部を持つ。ただし補給など直接戦闘に関与しない部署は存在しない。現在のカペラ境界域地方司令部司令官はニューシルティス公マイケル・ハセク=ダヴィオンで、ドラコ境界域地方司令部司令官はロビンソン公アーロン・サンドヴァルである。両公爵は自動的に境界域の政治的指導者となるが、必ずしも軍事指導者になるわけではない。その力が足りないときは先任の元帥が指揮を執る。



戦闘域司令部 COMBAT THEATER COMMANDS

 3つの境界域は、戦闘区域司令部に分かれている。ドラコ・カペラ境界域はそれぞれ中心戦闘区域と境界戦闘区域に分かれる。元帥が指揮し、境界域市民軍と前線RCTSが幕僚となる。



境界域市民軍・PDZ司令部 March Militias and PDZ Commands

 戦闘区域は多層防衛指定地域(PDZ)に分割される。前線連隊戦闘団がいない場合は、境界域市民軍司令官がPDZも指揮する。彼らは補給にも気を配らねばならない。



ニューアヴァロン地方司令部 NEW AVALON REGIONAL COMMAND (NARC)

 他のカペラ・ドラコ境界域との違いは、PDZでなく古い軍管区制を使っていることである。南十字星境界域は、3つの戦闘区域に分割される。〈国王のチャンピオン〉が実務を取り仕切っているが、司令官はハンス・ダヴィオン国王である。

 ニューアヴァロン地方司令部には軍事官僚組織が存在し、これが他の境界域との真の違いである。もし他の境界域にも彼らが公平に配されていたら、元帥たちは補給にかかり切りになり、戦闘で負けてしまうだろう。



傭兵関係局 DEPARTMENT OF MERCENARY RELATIONS

 傭兵にとってAFFSは全中心領域で最大の雇用主であり、それが故に正規軍との間で関係は良好であり続けている。多くの傭兵は恒星連邦を良い雇い主であると考える。提示される条件は寛大である。恒星連邦との契約で最も魅力的な条項は、AFFSが傭兵を喜んで半独立で扱うことだ。AFFSは戦場で傭兵部隊に目標を伝えたあと、それをどう遂行するかは問わない。この信頼の証として、傭兵にベストを尽くすことを要求する。傭兵部隊にはそれぞれ傭兵関係局から派遣された連絡士官がおり、傭兵の要求を伝える。AFFSは熱心に部隊の問題点を聞きたがる。






典型的なAFFS部隊



前線連隊戦闘団 FRONTLINE REGIMENTAL COMBAT TEAMS

 第二次継承権戦争以来、AFFSの主要メック連隊には支援部隊がつく。これを連隊戦闘団(Regimental Combat Teams)、もしくはRCTSという。普通の連隊戦闘団は、1個バトルメック連隊、3個戦車連隊(1個重量級、2個中量級)、5個歩兵連隊(1個ジャンプ、2個機械化、2個通常)、1個砲兵大隊、2個気圏航空機大隊(連隊付属1個、独立1個)から編成される。

 RCTは単一の戦闘部隊として働くために訓練する。前職によらず最適な人材を役職につけるというAFFSの哲学の下で、歩兵部隊から昇進した司令官がRCTの指揮をすることもある。上級大将がほとんどの主要RCTを指揮する。



境界域市民軍・惑星護衛隊 MARCH MILITIA AND PLANETARY GUARD UNITS

 境界域市民軍は予備隊及び、現地の戦闘軍として機能する。カペラ・ドラコ境界域の各PDZは、資金を調達して、1個RCTに人材を配する。1個バトルメック連隊(古いがまだ戦えるもの)、2個戦車連隊、5個戦車連隊、1個間接砲中隊、気圏戦闘機支援隊である。これらの市民軍は、エリート部隊ほどの能力を有していないが、強力な防衛部隊である。市民軍に勤務している兵員・士官は、正規軍から故郷近くの市民軍に転籍を願い出たものである。ほかはPDZの軍事訓練学校で、訓練を受けた兵士たちである。市民軍の指揮は、PDZに縁の深い少将が行う。

 〈醜いパグ〉という愛称で呼ばれる惑星警護隊は、たいていその世界の人々から集められた歩兵連隊であり、最終防衛線となる。人員のほとんどは正規軍を除隊した者か、正規軍の兵役が終わった男女である。〈醜いパグ〉連隊にはほとんど必要な装備が支給されないため、必要な武器や車両はその地方の産業に依存する。その惑星の地形に精通した偵察兵がおり、戦争の際にはできるだけ詳細な地図を元に正規AFFS防衛軍を案内する。



軍事諜報局 DEPARTMENT OF MILITARY INTELLIGENCE

 軍事諜報局(MI)の任務は、恒星連邦の敵と潜在的な敵の情報を、いかなる手段を使っても、どれほどの代償を支払っても、得ることである。MIの第二の(まさしく重要な任務)は、敵による情報かく乱、破壊活動、テロリズムを阻止することだ。

 軍事諜報局は7つの部署に別れる。

MI 1 - 司令部 Command
 MI 1はこの局の頂点で、全軍事諜報の作戦を指揮する。MI には他の部署から来た6名の調整官がおり、諜報局長に従う。6名の調整官と諜報局長がすべての任務を承認する。特に困難な任務では、作戦を進める前に、ハンス国王から少なくとも口頭での認可を得なければならない。
 イヴァン・ティヴァノル准元帥が、現在の諜報局長である。

MI 2 - 分析・推測 Analysis and Speculation
 他部門から集められたすべての情報は最終的にMI 2部に行き着く。〈狐のねぐら〉の奥深くで、分析・推測コンピュータが、様々な情報の断片を組み合わせる。この部門の部員(MI 2の頭脳とあだ名される)に操作されるコンピュータは、収集した情報の分析に基づき、最終的に、予測を出力する。確実なものではないが、他国家の行動に関する幅広い予測は充分に正確なものであり、その価値を充分に証明してきたのだった。
 MI 2は現在、レベッカ・ダーウィズ准元帥の指揮下にある。

MI 3 - 電子情報収集 Electronic Information Gathering
 軍事諜報局は国境付近の世界に、大勢の電子傍受担当者を置いている。このような傍受はたいてい粗雑な盗み聞きに過ぎない。コムスター基地への無線通信と電信路(ダヴィオンの世界に送信されるであろう)を傍受するのだ。MI 3(工作員たちは覗き屋とあだ名される)はこういった傍受に責任を負う。
 シモーネ・ディ=クリモン准元帥が現在、MI 3の指揮を執っている。

MI 4 - 秘密作戦部門 Covert Operations Division
 「見えない狐」とはMI 4の工作員のあだ名である。何年間も、軍事諜報局のこの部門は、MI 6とMIIOに助けられながら、中心領域のいかなる秘密諜報部にも匹敵する存在だと証明してきた。
 AFFSに入隊するすべての新人と士官候補生は、MI 4に向いた特徴と能力を持ってないか精査される。こういう技術は、語学の才能、変装のセンスから、武術、写真記憶までに及ぶ。MI 4、MI 5、MI 6候補者は、コムスターでさえどこにあるかつかめていない二箇所のうち一箇所で訓練される。
 ユリノフ・デブレーバー准元帥がMI 4の指揮官であり、工作員訓練校の教官長のひとりである。

MI 5 - 防諜 Counter-insurgency
 AFFSに潜り込んだ敵工作員の発見と逮捕は、MI 5の責任である。MI 5に入った者は、未来のMI 4工作員とともに訓練する。MI 4工作員が見えない狐と呼ばれる一方で、MI 5隊員は「無慈悲な猟犬」として知られる――AFFSから外国のスパイを一掃する決意のためである。無慈悲な猟犬は素晴らしい任務達成の歴を持つ。ここ数年で5名のROM工作員をなんとか捕まえすらしている。
 タチアナ・デブレーバー准元帥がMI 5の指揮官と言われており、工作員訓練校の教官のひとりである。

MI 6 - 特殊部隊 Special Forces
 特殊部隊という名が、敵国で破壊・テロ活動を行うエリートチームに与えられている。これらの暗殺チームは、誘拐、暗殺から、破壊、市民に対する手当たり次第の殺人までを実行する。どの暗殺チームも使用にダヴィオン国王の承認を必要とする。
 「狂った狐(ラビッド・フォックス)」とあだ名されるこれらの暗殺チームは、ドラコ精鋭打撃部隊(DEST)と同等の残忍さを示す。恒星連邦の平和的なプロパガンダは成功し、MI とMIIOの外部の者はダヴィオンがどの程度までテロ活動を許しているのかを知らないのだ。
 MI 6はクリント・ウォーカー准元帥に指揮される。

MI 7 - MIIO連絡 MIIO Liaison
 情報調査活動省(MIIO)は、民間の軍事諜報局に相当する。両者の活動はしばしば重なることから、それで失敗したり、二重の努力をしないように、互いにやっていることを知るのが重要なのだ。
 調整官ジェイコブ・ディ=ヴリーズ(MI 4を引退した)がこの5年間、二つの情報収集部門の連絡士官を勤めている。彼の支持の下で、両機関の連携は促進され、また情報・人材交換プログラムが始まってた。



バトルメック連隊 BATTLEMECH REGIMENTS

 AFFSでは「重量級」「軽量級」といった分類がややルーズである。出来うる限りよいメック戦士を、所有メックのクラスに寄らず連隊に割り当ててしまうからだ。

 78個のバトルメック連隊は、ローカスト1EからアトラスRSまで様々なタイプのメックで構成されている。といってもほとんどの連隊では、恒星連邦で生産されているメックを使っている。

 軽量級小隊は、ヴァルキリーが中心、加えてローカスト、スティンガー、ワスプで構成される。ジャベリンの数も多い(だがこのメックは補給が乏しい)。

 中量級小隊にはエンフォーサーが少なくとも1機。これに肩を並べるのは、様々なタイプの中量級メック、フェニックスホーク、デルヴィッシュ、グリフィン、シャドウホークなどである。実戦テストのためにハチェットマンが前線のメック連隊に配備されている。

 もっとも多様性を持つのが重量級小隊である。ジャガーメックとマローダーが普遍的なメックである。

 強襲級小隊では有名なバトルマスターが一般的だ。他には、ストーカー、ヴィクター、バンシー、稀にアトラスである。噂ではライラ共和国からゼウスを購入するという。



航空部隊 AEROSPACE UNITS

 AFFSの気圏戦闘機部隊は2種類に分かれる。

 ひとつは連隊航空大隊で、連隊の降下船を守り、地上攻撃から上空パトロールまでをこなす。20名のパイロットが所属している。RCTはたいてい、前線に戦闘機基地を作るための装備を所有している。部隊が大規模に展開されるときは、通信・探査機器が設置され、滑走路とシェルター(航空機、弾薬、整備設備の防護用)が造られ、空からはカモフラージュされる。通常型航空機もこの基地を使う。連隊から派遣された最低でもメック1個小隊が防衛を行う。無線での呼び出しに応じて、航空機はこの基地から発進する。

 もうひとつは独立航空大隊である。連隊航空大隊とほぼ同じ規模で、自由にその作戦を行う。独立航空大隊は最も緊急性の高い呼び出しに応じる。

 AFFSで使われる基本的な気圏戦闘機3機は、この国家特有のものである。軽量級航空小隊にスパローホーク、中量級航空小隊にコルセア、重打撃戦力としてスツーカである。もっと一般的な気圏戦闘機サーベル、ライトニング、ヘルキャット、サンダーバードがこれに追随する。



戦車部隊 ARMORED UNITS

 多くの戦車部隊は、高機動のホバー戦車と、鈍重だが強力な重戦車のバランスを取っている。貴重なフォンラックナー、デモリッシャー、新型のロンメル、パットンは、敵要塞の破壊、都市戦闘などに使われる。もっと軽いハンター、ヴァデット、及び他の戦車が多数派である。Jエドガー、ペガサス、コンドルのようなホバー戦車、ストライカーのような装輪戦車は敵防衛線を破るのに用いられる。



歩兵部隊 INFANTRY UNITS

 他の国家では占領地の警護程度にしか使われない歩兵部隊であるが、AFFSではもっと良い扱いがなされる。ダヴィオン家の一族は、軍歴の中で歩兵部隊士官を務め、それがどのような仕事であるかを実感する。

 第3オザワ軽歩兵隊、第4ヌメノール山岳隊、第9ティカムゼ海兵隊のような例外を除いて、AFFSには特定の任務に特化した歩兵部隊は存在しない。団結のため歩兵はいったん配属されると、その連隊にとどまる。兵員や士官は単一の世界か近隣のグループから集められる。ただし忠誠の疑わしい世界から来た士官、下士官は他の地方にまわされる。






部隊解説



ダヴィオン近衛旅団(親衛旅団) DAVION BRIGADE OF GUARDS (ROYAL BRIGADE)

 8個メック連隊と5個小連隊が、ダヴィオン近衛旅団を形作り、ダヴィオン家の力の中核を表している。部隊はまた市民たちのプライドとしてメディアの中で表現される。AFFSが、恒星連邦を構成する各惑星から最良の兵士たちをこれらの連隊に集めるからである。

 近衛旅団はダヴィオン家警護のために雇われた小規模なグループに起源がある。ダヴィオン家がニューアヴァロンで最初に政治権力を握ったころのことである。ダヴィオン家の権力が拡大するとともに、ダヴィオン近衛隊の責任と力もまた拡大した。2600年代までに戦闘部隊の規模がすぐ拡大していったので、ダヴィオン近衛隊はダヴィオン近衛旅団と改名した。ダヴィオン近衛旅団は恒星連邦でバトルメックを使った最初の連隊となり、星間連盟スタイルの諸兵科連合連隊戦闘団の組織を採用した部隊でもあった。旅団は単にダヴィオン家を警護するという以上の遙かに強い責任をだいぶ前に引き受けたが、いまだに連隊と王家の関わりは相当に強い。近衛旅団の全連隊は恒星連邦記章の翻案を部隊記章として使っている。またダヴィオン一族のほとんどは軍歴を近衛連隊で過ごし、その多くはどれかの連隊の司令に昇進する。国王が一度でも仕えた旅団はすべて親衛隊と呼ばれる。旅団は統治一族の個人的ボディーガードという元の任務をいまだに果たしており、また兵士たちは王城と〈狐のねぐら〉を警護してきた。

 近衛旅団と王族の緊密な関係が故に、部隊は最良の装備と補給を与えられ、また新兵育成キャンプ・士官学校を卒業した最良の新兵が近衛隊に送られてきた。軍の団結が非常に強いので、近衛隊は歴史の中で不名誉な行動を取ってこなかった。この友情はまた歩兵連隊の戦闘能力を有名にした。

 ローラ・ダヴィオンとアレクサンダー・ダヴィオンが恒星連邦の支配権を巡って戦った際、近衛旅団の数個連隊は名誉を守るため、この内戦に参加しなかった。

 今日、旅団の中で不安が広がりつつある。ハンス国王とマイケル・ハセク=ダヴィオンのあいだの緊張によるものである。祝典において、旅団のメックと戦車は、青、白、赤のストライプといったダヴィオン家の色でペイントする。そうでないとき、旅団のメックと戦車は、作戦を行う現場にみあった標準の色彩を採用する。RCTパッチだけが旅団メンバーであることを表す。

第1近衛隊RCT:アレクサンダーの力
 このRCTの一部隊はアレクサンダー・ダヴィオンのお気に入りであった。現在、第1近衛隊RCTは1個歩兵連隊が足りていない。第567トーレンス軽歩兵隊の解散によるものである。メック連隊は中重量級メックを含む。RCTパッチはギリシャのヘルメットである。

第2近衛隊RCT:自由の激怒
 中心領域ではその少ない間接砲を小隊サイズの部隊にする余裕しかないが、第2近衛隊RCTは今日の中心領域で数個間接砲連隊を誇っている。結果的に、軽中量級メックのこのRCTは敵に恐れられている。RCTパッチは壊れた一組の手かせである。

第3近衛隊RCT:俺を踏みつけるな
 おそらく全旅団中でもっとも弱いRCTである、この第3近衛隊RCTは、現在、2個歩兵連隊と1個戦車連隊が足りない。しかしながら、この中量級メック連隊は、高い士気を保っている。RCTパッチはとぐろを巻く金のガラガラヘビである。

第4近衛隊RCT:龍の頭痛の種
 〈龍の頭痛の種〉は高機動RCTだ。そのメックはすべて軽量で高速であり、4個戦車連隊で使われる戦車・ホバークラフトと同様である。部隊は常にドラコ境界域か、その近くに駐屯する。RCTのパッチは、龍の首を掲げる手である。

第5近衛隊RCT:曲刀旅団
 〈曲刀〉は多用途RCTで、様々なメック、戦車、歩兵のタイプを持つ。部隊は常にカペラ境界域か、その近くに駐屯する。RCTのパッチは、リャオの記章をパロディー化した曲がった剣である。

強襲近衛隊RCT:クラッシャー
 クラッシャーは最大のメックと最大の戦車と最大の戦闘機と、最重量の武器を持つ兵隊で構成されている。このRCTの目的は、世界を重防衛し、より軽い軍の好きなようにさせないことである。RCTのパッチは、アトラスバトルメックの頭部である。

重近衛隊RCT:ダヴィオンの力
 このRCTは重量級メック、戦闘機、車両で構成されており、支援はほとんどがジャンプ歩兵によるものである。このコンビネーションは独特の戦術を見せ、ダヴィオンの特徴と思われる。RCTパッチは、にやりと笑う狐である。

軽近衛隊RCT:身軽な狐
 〈身軽な狐〉RCTは軽量級メック・車両で構成されており、支援する歩兵隊はほとんどがジャンプ歩兵である。部隊の航空宇宙支援は、重量級戦闘機を使用している。RCTパッチは、狐の尻尾である。



アヴァロン装甲機兵隊 AVALON HUSSARS

 恒星連邦で最も古く創設された戦闘部隊のひとつでもあるアヴァロン装甲機兵隊は、その起源を25世紀の地球同盟海兵隊にさかのぼることができる。アヴァロン装甲機兵隊というニューアヴァロンに駐留していた戦車連隊であった。恒星連邦が作られると、新生AFFSに編入された最初の部隊のひとつとなった。バトルメックが戦場を支配するようになると、装甲機兵隊は30を超える別々の連隊へと成長した。変化は容易であった。第一次継承権戦争のあいだ、装甲機兵隊はドラコ連合の侵攻を遅延させる役割を果たした。

 今日では装甲機兵隊は最も大きく、最も忠誠厚い存在となっている。近衛隊旅団と同じような良い補給は受けられないが、補給の到着を首を長くして待つ必要もない。

 装甲機兵隊はメックや車両に薄いグレイの塗装を好む傾向がある。部隊のシンボルは金の盾に向かう白の剣である。それぞれのRCTは個別のシンボルを持っていないが、かわりに装甲機兵隊記章の下に部隊番号を描く。

第11アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第11隊は軽い装備の連隊で、高機動の戦闘隊である。最近、部隊に追加強襲級大隊を増やす話がある。

第17アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第17隊は、攻撃能力と敵の砲火の下展開することで有名である。部隊は絶えざる訓練でこの能力を維持しているが、たまに侵攻で敵に近づきすぎて被害を被る。この理由から現在、部隊には1個歩兵連隊が足りない。

第20アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第20隊は防衛のために訓練された連隊の集まりである。その通常の戦闘部隊に加えて、第20隊には戦闘工兵(強化陣地、基地建設を専門とする)がいる。

第22アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第22隊はもっとも優秀な装甲機兵隊の1部隊である。この連隊は、特に戦車・歩兵部隊がこの数ヶ月で印象的な勝利を得た。第22隊に特定の専門はなく、幅広いメックが所属している。

第33アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第33隊は重量級RCT部隊で、追加強襲級メック大隊が所属している。

第39アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第39隊は軽量級RCT部隊で、現在、気圏航空機の定数を割り込んでいる。

第41アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第41隊は多数のLAMと通常の倍以上の気圏戦闘機を所持している。

第42アヴァロン装甲機兵隊RCT
 第42隊は、第34隊、第36隊装甲機兵隊の生き残りから最近再編成された。これにより第42隊は5個メック連隊を持ち、追加戦車連隊と追加歩兵連隊を与えられている。装備はよいが、この部隊には大規模な追加隊を扱うだけの経験を積んだ調整官と幕僚が欠けている。



シルティス機兵連隊 SYRTIS FUSILIERS

 シルティス機兵連隊はかつてハセク家の私兵団であった。五大公国と内戦の時代のあとでAFFSが再編成されたとき、シルティス機兵連隊からダヴィオンに忠実でない隊員が追放され、そして隊は軍に併合された。そのときから、シルティス機兵連隊の兵士たちの大部分は、ニューシルティスやその他のカペラ国境域からあつめられているのだが、指揮官のほとんどは南十字星境界域出身でなくてはならなかった。この構造によって、シルティス機兵連隊は恒星連邦への忠誠を誓い続けていることになっている。しかし事実は違った。3個RCTはすべてマイケル・ハセク=ダヴィオン(ニューシルティス公)に絶対的忠誠を誓っており、公爵が承認したときにのみAFFSの命令に従うであろう。

 機兵連隊は勇敢で勇ましい活動(隣人のカペラ大連邦国に対するもの)の長い歴史を持つ。その大いなる評判によって、リャオの数部隊が彼らをつけねらっているが、その補給はスムーズに流れ続けてはいないのであった。部隊はときどき交換部品の到着を長く待たされ、このことで機兵連隊とAFFS官僚組織のあいだで緊張が高まる。連隊がさらなる忠誠をマイケル・ハセク=ダヴィオンに向けるようするため、彼は書類の問題で補給を滞らせているという証拠も最近出ている。

 シルティス機兵連隊は車両をダークグリーンで塗装することを好む。恒星連邦日輪章を着用しない数少ない部隊で、かわりにRCTのシンボルをつけている。

第5シルティス機兵連隊RCT:邪眼
 このRCTは凶暴性と、それに加えて、重メックと追加戦闘機の防護を上手く使うことで知られている。この部隊はカペラ大連邦国内で嫌われており、リャオ軍の武家のいくつかはすでに第5隊に血の復讐を誓っている。このRCTのパッチはハセク家の〈すべてを見通す目〉に似ている。ただし白のかわりに血の赤を使っている。

第8シルティス機兵連隊RCT:スノー・コブラ
 第8シルティスRCTは軽量で高機動な部隊である。軽量メックと大量のホバークラフトを、歩兵連隊と組み合わせて使い、VTOL部隊に援護させる。部隊のシンボルは白のコブラである。

第6シルティス機兵連隊RCT:公爵直属隊
 第6シルティスRCTは防御を志向している戦闘部隊である。追加の戦闘工兵隊、重強襲級メック戦車、多くの重装備の兵隊が所属している。RCTはニューシルティスに駐屯しており、マイケル公の私設親衛隊として働き、惑星上の多くの防衛基地に配備されている。部隊のシンボルはハセク家の紋章〈すべてを見通す目〉である。



デネブ軽装甲機兵隊 DENEB LIGHT CAVALRY

 星間連盟の最盛期において、その正規軍は、あるメック連隊の一団を誇っていた。彼らは必要なところにならどこにでもすぐ対応できる能力を備えており、伝説的だった。これらの即応部隊は公式には、即時展開混成兵装軍、もしくはRDMAFとして知られていた。しかしながら、ロマンチックなホロプレイの影響から、一般大衆はこれらのエリート隊を、デネブ軽装甲機兵隊の名で知ることになる。RDMAFの司令部がデネブ・カイトスに置かれ、軍旗がポニーになった後の話である。

 星間連盟が崩壊したとき、RDMAFの1部隊だけがケレンスキー将軍の命令を拒否し、デネブ・カイトスにとどまった。第4デネブ軽装甲機兵隊はイブリン・マクデニス将軍に指揮されていた。それは中心領域を放棄する臆病な行動になると、彼女は固く信じていたのである。彼女の最初の意図は、来るべき戦乱からデネブ・カイトスを守るために残ることだった。世界間の貿易が途絶え、人々が飢え始めたとき、マクデニス将軍は、全5大継承王家からの雇用の申し出について考えざるを得なくなっていた。それらの話を最後まで聞いたあとにマクデニスは答えた。デネブ・カイトスが自給自足できるようになるまで、民衆の食料を保証してくれた王家のために、彼女と部下たちは働く、と。恒星連邦だけがこの条件に応えることができた。切実に必要とされていた食料と、農業用設備がデネブ・カイトスに送られると、第4デネブ軽装甲機兵隊は荷造りし、AFFSの一部になる準備をした。

 第一次継承権戦争のあいだ、デネブ軽装甲機兵隊は重要でない役割を果たした。ダヴィオンがこの熟練した部隊を、他の連隊やRCTに即時展開能力を賦与する助けるのに使うのを好んだからである。しかしながら第4隊と新設されたデネブ軽装甲機兵隊は、第二次、第三次戦争で、その能力を役立てた。敵軍の攻勢への対応と、危険な高速攻勢軍としての役割を果たした重要な戦闘隊として、両隊は等しく今日まで知られている。

 デネブ軽装甲機兵隊連隊団の組織は、恒星連邦の他のRCTsとやや異なる。1個メック連隊(ほとんどが中軽量級メック)のまわりに、2個ホバークラフト連隊と2個ジャンプ歩兵連隊がある。さらに通常の3倍の気圏戦闘機が存在し、加えて充分な降下船と航宙船が彼らを輸送する。

 正規軍をルーツとしていることのプライドを見せるために、デネブ軽装甲機兵隊は明るい黄褐色のペイントを好む。他の部隊がカモフラージュ塗装を使う場合にさえ、である。デネブ軽装甲機兵隊の記章は、金の四角の上の白馬の胸像を囲む黒い長方形である。部隊番号は、金の四角で囲まれたローマ数字で描かれる。ほとんどの部隊は足の速い肉食獣にちなんで命名されている。

第4デネブ軽装甲機兵隊:イブリンの原隊
 イブリン・マクデニス将軍に指揮されていた部隊に由来する第4デネブ軽装甲機兵隊は、もっとも伝統にこだわり、星間連盟のルーツに敬虔である。その記憶を維持するために、部隊は原隊員の子孫だけを募集するようにし、彼らを捜し努力する。部隊は常にデネブ軽装甲機兵隊で最高の存在であった。第4隊のメックと車両は、イブリン・マクデニスを表す銀の将軍星記章を見せる。

第5デネブ軽装甲機兵隊:スプリンター・キラー
 第5デネブ軽装甲機兵隊はAFFSによって作られた最初の軽装甲機兵隊である。第二次、第三次戦争での勝利により、その歴史は第4隊と同じくらい印象的である。第5隊のニックネームはニューアヴァロンの平野に住む野生の肉食獣から来ている。

第8デネブ軽装甲機兵隊:グリーンレパード
 第8隊はAFFSによって作られた二番目の軽装甲機兵隊である。その名はキガンボニーの豹にちなんでいる。その毛皮は、現地の動物との共生関係がゆえに、緑色である。

第10デネブ軽装甲機兵隊:チーター
 第三次戦争の初期に、第9デネブ軽装甲機兵隊が失われたとき、AFFSは部隊を永久に解散することに決め、生き残りを第10隊の中核とすることにした。最近の損害、そして大量の新兵の流入により、部隊は4個デネブRCTのうちでもっとも経験に乏しいものとなっている。

第12デネブ軽装甲機兵隊:ブラー・スネーク
 第12隊はメック連隊のみであり、他の部隊から支援されない。第三次戦争のあいだに、AFFS最高司令部はRCTを分裂せずに簡単に送り込むことができるメック連隊の予備戦力が必要だと考えた。第12隊はそれらのいわゆる「自由メック連隊」のひとつである。

第15デネブ軽装甲機兵隊:ウィップ・ベアー
 第15隊は、もうひとつの自由メック連隊である。この部隊は通常と異なる。重量級メックからなる第4大隊を運用しているからである。これまでに何度か、第15隊は油断した敵を捕まえたことがあった。すべてのデネブのメックは軽量級だけで編成されていると思われているからだ。



南十字星部隊 CRUCIS LANCERS

 第1南十字星部隊の起源は、デネブ軽装甲機兵隊に似ている。ケレンスキー将軍が正規軍に中心領域からの〈脱出〉を命令したとき、多くの兵士は従うことができなかった。特に特定の世界とそこに住む人々が好きになっていた兵士たちにとってはそうであった。恒星連邦は、南十字星境界域に残った人々を、AFFSに編入させるため招待した。そのほとんどが了承した。

 彼らは2つの連隊戦闘団にまとめられ、新たに第1、第2南十字星部隊と命名された。

 南十字星部隊の優れた訓練と武装(ケレンスキー将軍が残していった倉庫から得たもの)によって、第一次継承権戦争の最終段階で彼らは非常に恐れられる戦力となった。この評判は第二次、第三次戦争でも続いた。補給を得るのが困難になり、技術が低下していったにもかかわらずである。今日、部隊はそれぞれ個別の管理運営部署から、直接に兵士が募集される。

 2930年に南十字星部隊は、大規模な再編成と再構成を受けた。変更のうちほとんどは単に連隊番号を変えるような書類上のものであったが、兵士たちは誇りある伝統が破られたのを好まなかった。変更は論争の的となってしまい、兵士による猛烈な抗議が巻き起こった。第33(今の第7)南十字星部隊の1個大隊だけが、時代遅れの書類上の手続きで失われたあとで、反乱に近いものは煙のように消え失せていった。

 南十字星部隊のシンボルは正規軍の将軍が時々帯びていた指揮棒を様式化したもである。この伝統を記念して、各連隊の司令官たちは、金の指揮棒とアヴァロン葡萄樹で作られたフレイルを携帯する。南十字星部隊のそれぞれの部隊の名称は、各地方が由来となっており、部隊記章のちょうど下にイニシャルを刻む。

第1南十字星部隊RCT:ニューアヴァロン部隊
 ニューアヴァロン部隊を構成する兵員はすべてニューアヴァロン管区から集められている。他の隠れた入隊基準は、ダヴィオン家の信頼できる支持者であることだ。従って、第1南十字星部隊の兵士たちが、ダヴィオンの敵に対し常に精力的かつ迅速に対処してきたことは驚くべきことではない。それはまた連隊に大きな欠員があることの説明にもなっている。

第2南十字星部隊RCT:ケストレル部隊
 第2部隊はもうひとつの親ダヴィオン、親恒星連邦の部隊である。それは第一次継承権戦争でケストレル管区の多くが損害に苦しんだからだ。最近の行動で、部隊の戦闘能力は深刻な被害を受けている。〈狐のねぐら〉周辺の話では、ダヴィオン国王は長期修理、改修、休息のために第2部隊を前線勤務から外すことを考えているという。

第3南十字星部隊RCT:アケルナル部隊
 第3南十字星部隊は、連隊の完成された集まりである。アケルナルとその周辺部からやってきた司令官と兵士たちの有効性により、連隊は文字通り戦う男女を育てるとの評判を得ている。このRCTのメック連隊は4個大隊を持つ。

第4南十字星部隊RCT:ポイント・バロウ部隊
 RCTの特殊な専門性が原因と考えるのはほとんど不可能だが、第4南十字星部隊は明確に専門性を持っている。ポイント・バロウ部隊は、誰もが戦うには適さないと考える地形での戦いを好む。これにより、部隊は戦いにくい世界への攻撃、防衛のために呼ばれる。

第5南十字星部隊RCT:レマゲン部隊
 レマゲン部隊はAFFS内において、メック部隊を完全に失っている数少ないRCTのひとつである。3021年、RCTはカペラ大連邦国への不成功に終わった攻撃によって、そのメック部隊を失った。損失をカバーするため、また最高司令部に対し何をすべきか決定させる時間を与えるため、RCTは3個追加戦車部隊を与えられた。誰をも(特にRCTを)驚かせたことに、その配置は成功を証明した。追加の戦車隊(ほとんどは重量級のマンティコア)は、まだ集団的な攻撃を受けていないのだが、カペラのメックに対する恨みを持っている。

第6南十字星部隊RCT:ツアーマ部隊
 熟練した部隊であることに加えて、ツアーマ部隊は、最高司令部が望まない制服と車両の装飾を採用する、AFFS内でも数少ないRCTsのひとつである。ニューアヴァロン・カトリック教会に認可されたツアーマ現地の祭りで、兵士たちは車体を花で飾り、平和を愛する精神を見せる。ツアーマ部隊の隊員によって毎年祝われた祭りは、ついに永久的なものになったのである
 現在、ツアーマの兵員たちが、そのような花を、片耳、ジャケット、ライフルにつける。車両も同じように装飾され、本物の花を使うのが非実用的な場合、兵士たちは車両の両側面に明るい花を描く。
 黄色のデイジーを飾ったメックのアトラスが轟音を響かせながら、戦場を往来する姿は、AFFSをいらだたせている。

第7南十字星部隊RCT:〈壊れた車輪の戦車乗り〉
 第1南十字星部隊のように、第7南十字星部隊は長く有名な経歴を持つ。彼らは第一次継承権戦争中のケンタレスIV防衛に責任がある。
 その戦力にも関わらず、部隊はクリタの猛烈な強襲で粉砕され、生存者が丘に逃れた。引き裂かれほぼ全滅した第7隊は、長い間、幽霊部隊――書類上の存在かつ儀杖兵であって、戦場にはいなかった。しかしながら、部隊はゆっくりと再建され、そのモットー「なんでも、どこでも、いつでも」が、恒星連邦の敵に再び打撃を与えたのである。

第8南十字星部隊RCT:イスラマバード部隊
 第8南十字星部隊は自らを重打撃連隊の集まりにしてきた。重量級メックからなるメック連隊と、重量級戦車・ホバータンクからなる戦車連隊と、運べる限り強力な武器を持った歩兵がともに行動する。この連隊に機動力はないかもしれないが、いったん獲物に追いつけば、その火力を発揮する。



ケチ戦闘部隊 CETI HUSSARS

 ケチ戦闘部隊は、敵領域への素早い深打撃のためにデザインされた3個RCTsである。これは3個RCTsが他の部隊とは組織が違うことを意味している。1個メック連隊を取り巻くように全連隊が組織されるのではなく、1/3に分割し、3つの分かれたグループが敵世界の攻撃を行うように作られている。この配置は効果的であるが、これら3個RCTsはAFFSの他の部隊より多くの人員・装備を失ったという、疑わしい特徴を持っている。

 これまでの経験により、3グループに配置される戦闘部隊は、彼らが降下船の到着を長い間待たされているとき、敵の攻撃に耐えきれなくなることがあるとわかった。このためケチ戦闘部隊にとって、迅速な回復は重要である。ケチ戦闘部隊の部隊シンボルは、様式化された1隻の航宙艦と、2隻の降下船の解釈である。部隊の司令部は、ニューアースのエンポリオ星系の小さな世界にある。

第1ケチ戦闘部隊RCT:3頭のサーペント
 第1ケチ戦闘部隊は、おそらく戦闘部隊のなかで最もよく知られている。最近行われたクリタの世界アンティン、イグアラーダでの努力によるものだ。部隊の成功の一部分は、その3グループの戦闘隊にある。それぞれの違いはわずかなものであると同時に、特性は異なっている。

第2ケチ戦闘部隊RCT:ダイアモンドの3
 第2ケチ戦闘部隊は最近の数ヶ月で多くの損害を被った。3ヶ月にわたって行われたシェアトに対する襲撃で、惑星上にあった敵の補給廠を減少させるのに成功したが、多くの熟練した兵士が代償となったのである。第2隊は休養のために、前線から引き抜かれるだろう。

第3ケチ戦闘部隊RCT:スペードの3
 第3ケチ戦闘部隊は長く延長されたR&R(修理と休息)から、ちょうど戻ってきたところである。部隊は作戦に戻ることを熱望していたのだが、第3隊の車両修理していたために帰還が遅れたのである。



チスホーム襲撃隊 CHISHOLM’S RAIDERS

 ジョン・チスホーム元帥は、40年間にわたってダヴィオン家ともっとも軋轢を起こした士官のひとりとして引退した。チスホームは恒星連邦の忠実な信者であったが、批判、不平の多すぎる人物のひとりであった。元帥の文句はほとんどの場合、価値のあるもので、充分に正確だったため、誰も無視することができなかった。チスホームが精鋭近衛旅団に対し「おばさんと貧弱な少年の集団」と不平を言うと、AFFS、ダヴィオン家、近衛旅団はついに忍耐の限界に達し、チスホームを早期退職に追い込んだ。

 コロラドの故郷に戻ったチスホーム元帥は新しい生活に退屈した。フラストレーションを解消するために、彼はコロラド惑星守備隊の指揮権を握り、高齢の市民、予備役、若い少年少女を戦闘隊に追い込んだ。すぐにAFFSは狂った元帥が白髪の老婆を1日に20キロメートル行軍させていることに関して調査を行った。彼らが見つけたのは、ぼろぼろのメック連隊に率いられた、装備の不十分な男女の集団であった。チャンスと見た元帥は、AFFSに対し彼の部隊を軍事演習に参加させることを申し出た。AFFSはこれを受け入れ、近衛旅団第2RCTを連れてきた。コードネーム「カウボーイとインディアン」と名付けられた演習により、両者の問題点がはっきりした。チスホーム元帥は彼が望んだ勝利を得られなかったが、なんとかして遙かに優秀なダヴィオン近衛隊の裏を数度かいた。元帥隊の速度と統制は、AFFSにとってまったくの驚きであった。

 その結果、チスホーム元帥の隊は第1チスホーム襲撃隊となり、より良い装備を割り当てられたのである。そのときからチスホーム襲撃隊は、型破りだが信頼できる部隊であり続けている。部隊のシンボルは、それぞれの方向を指す6本の矢の後ろの、古のネイティブアメリカンを表す黒い三角形である。

第1チスホーム襲撃隊RCT
 第1チスホーム襲撃隊RCTはAFFSの通常のRCTより相当小さくなっている。2個戦車連隊と3個歩兵連隊しかない。しかしながら通常の2倍の間接砲隊を持つ。チスホーム連隊は機動性を誇っている。また土地の利点を知って活用する能力、敵軍が公式の作戦を捨てたときの戦術対応能力にも自信がある。

第2チスホーム襲撃隊RCT:アパッチ
 このメック連隊は襲撃隊RCTの機動予備隊として3001年に作られた。高速なメックで構成されており、倍の数の気圏戦闘機がサポートする。



ロビンソン特戦隊 ROBINSON RANGERS

 ロビンソン特戦隊は、もとは第一次継承権戦争のあいだに惑星ロビンソンを守るために集まった、全員が志願兵の部隊であった。惑星がドラコ連合に攻め込まれたとき、隊の生き残りは少数のゲリラ部隊として広く散在し、戦い続けた。結局、クリタ人は全ての特戦隊員を狩り、殺した。第二次戦争のあいだ、恒星連邦はこれらの勇敢な志願兵の勇気を記念して、2個メック師団のための物資と技術支援を与えた。彼らは、惑星ロビンソンの若い志願兵のなかから、メックのパイロットを選んだ。彼らはロビンソン公爵が費用を出した戦闘学校で訓練を積んだ。この配置はうまくいった。最近、特戦隊連隊は精鋭の対メック歩兵隊2個小隊を加えた。

 ロビンソン特戦隊の部隊シンボルは、金の盾に向かうひとつの赤い矢印である。

第1ロビンソン特戦隊:ヴォル(志願兵)
 最近、ヴォルは、これまで使っていた古いシャドウホークとスティンガーの代わりに、新しいエンフォーサーとヴァルキリーを受け取った。この連隊は開けた戦場での戦闘技術で有名である。

第2ロビンソン特戦隊:パトリオット(愛国者)
 パトリオットは都市戦闘に長けた連隊である。



ニューアイバーセン追撃隊 NEW IVAARSEN CHASSEURS

 ニューアイバーセン公の2個メック連隊は、恒星連邦の貴族により半所有されている。惑星の公爵一族であるステファンソンは、領地と事業によって常に富裕であり続けてきた。この金持ち一族は恒星連邦とその特権の熱狂的な支持者である。彼らから多くの利益を得てきたからだ。そういった彼らの熱烈な感情のために、ステファンソンは保有地近衛隊を、数年にわたってゆっくりとバトルメック2個連隊にまで拡大することを許された。2個連隊のメックと気圏戦闘機はすべて古いモデルだが、まだまともに戦える能力を持っている。メック戦士とテックは、全員ニューアイバーセン出身であるにもかかわらず、彼らは法律上のAFFS隊員であり、連隊で支払いとともに戦うことを許されている。ニューアイバーセン追撃隊の部隊記章は、青の三角形に向かう金の翼のある剣である。

第1ニューアイバーセン追撃隊:ウィング
 第1ニューアイバーセン追撃隊は通常メック連隊に割り当てられる3倍の数の気圏戦闘機を所有している。この連隊は、開いた地形での作戦を好む。

第2ニューアイバーセン追撃隊:ソード
 この連隊は4個大隊を持っている。その最も軽量な部隊は中量級メックで構成されている。連隊は都市での作戦を好む。



アーガイル槍機兵隊 ARGYLE LANCERS

 アーガイル槍機兵隊は、ケレンスキーとともに中心領域を離れなかった星間連盟正規軍の者たちを起源としている。彼らの小規模なメック中隊は、第一次継承権戦争で恒星連邦を防衛する役割を果たしてきた。その行動により、称号を与えられ、またアーガイル槍機兵隊を完全メック連隊にするため、軍士官学校から新兵を集める権利も与えられた。今日、連隊は槍機兵隊のオリジナルメンバーの子孫によって率いられている。連隊のシンボルは、黒と赤の四角形に向かう白のイニシャルAである。

第1アーガイル槍機兵隊:速度と猛烈
 第1アーガイル槍機兵隊は機動戦闘の訓練を積んでおり、稼働性の高いメックと多数の航空宇宙支援を保持している。



カペラ竜機兵団 CAPELLAN DRAGOONS

 カペラ竜機兵団はかつてカシル公の私兵団であった。第二次継承権戦争中に、部隊はカペラ大連邦国と勇敢に戦った。竜機兵団の元の人員のほとんどはカペラ軍からの離反者だったため、敵軍に対する知識を使って、リャオ軍よりも優位に立った。今世紀の初め、カシル公は疲弊し、積み重なった負債を払えなくなった。彼は多額の現金を得るため、AFFSに連隊を「売る」ことに決めた。また、彼か、その相続人が充分な支払いを用意すれば、買い戻せるような条件を付帯させた。
 カペラ竜機兵団の記章は、金と赤の長方形に向かって立ち上がる金のライオンである。

第1カペラ竜機兵団:〈吠えるライオン〉
 第1カペラ竜機兵団では、慢性的にパーツが不足しており、またそれが故に、めったに完全部隊でいることはない。この重メック連隊に向いているのは、両軍隊間での撃ち合いである。



ケストレル擲弾連隊 KESTREL GRENADIERS

 第1ケストレル擲弾連隊は、バトルメック・ホバークラフト連合連隊である。各大隊の第3中隊は、高速だが重武装なホバークラフトからなり、偵察隊として機能する。部隊はブルー・フレーマーとして知られており、その記章は、青い炎の白いトーチ、ケストレル公爵家の紋章である。



アラゴン国境守備隊 ARAGON BORDERERS

 アラゴン国境守備隊はニューアラゴンの惑星守備部隊だった。手に負えない住人とカペラ大連邦国によるほとんど絶え間ない襲撃を御するため、もっと大規模な部隊が必要なのは明白であった。国境守備隊は混合連隊で、第3大隊は戦車と歩兵で構成されている。部隊記章は、幅の広い縞で対角線上に断ち切られた黒い長方形だ。

第1アラゴン国境守備隊:〈ニューアラゴンのプライド〉
 アラゴン国境守備隊は幅広いメックと車両を持っている。しかしながら航空機支援が手薄である。パイロットの何人かが転属したり引退したりしたからだ。



キタリー国境守備隊 KITTERY BORDERERS

 キタリー国境守備隊は目的とデザインがアラゴン国境守備隊に似ており、ほとんど同じ任務を行う。なぜかというと、キタリーとニューアラゴンはカペラ大連邦国内に深く伸びた領土の先端に位置しており、これらの惑星はカペラの絶え間ない襲撃に対処するため充分な力を持った惑星守備部隊が必要なのだ。キタリー国境守備隊は自らの価値を証明してきた。特に昨年は、大連邦国精鋭武家部隊の分遣隊と対決していた。キタリー国境守備隊の部隊記章は、 様式化された日の出に向かう金の円盤である。

キタリー国境守備隊:キタリーのプライド
 軍事官僚組織の手によって、キタリー国境守備隊は新品のヴァルキリーを支給され、以前より遙かに力を持った軍隊となった。



恒星連邦装甲機兵団 FEDERATED SUNS ARMORED CAVALRY

 第1装甲機兵団は高機動戦闘部隊であり、精鋭のメック戦士、戦闘機パイロットを含んでいる。このメック連隊の創設を決めたのはイアン・ダヴィオン国王(ハンス・ダヴィオンの兄で前国王)である。敵が効果的な防衛を行う前に敵陣を突破できる、高速かつ強力な部隊を企図していた。これを達成するために、彼は武装と同じくスピードに優れたメック連隊を組み立てた。スピードを補うために、重気圏戦闘機大隊(敵戦闘機と同じく対地戦闘に優れたパイロットが乗っていた)を編成した。イアン国王のアイディアは有効だと実証された。襲撃部隊として、恒星連邦装甲機兵団に匹敵する者たちは少なかった。だが、彼らの成功は多大な物的・人的損害の上に達成されていたのだ。なぜそうなったかというと、彼らは1個連隊だけだったからである。

 第1装甲機兵団の部隊記章は、恒星連邦日輪章上の変化である。ニックネームは、ポイント・オブ・ソードだ。



NAIS候補生訓練隊 NAIS TRAINING CADRE

 NAISの軍事学科は、恒星連邦でもっとも重要な軍士官学校である。その候補生たちがメック戦士や戦闘機パイロットになるのを望むなら、技術を完璧なまで磨き上げるために、長くつらい勉強を見込まれる。3年目の終わりまでに、有望な成果を見せた者は、NAIS候補生訓練隊のうちのひとつに転籍し、戦場での訓練を行う。

 若い候補生たちに戦場というものを味あわせるため、NAIS連隊は前線に送られるのだが、激しい戦闘は意図されていない。候補生たちは後方地域に割りふられ、時々、敵に遭遇するかもしれない地域への戦闘パトロールを行う。敵の数が候補生戦士たちの数に近いようなら、熟練した戦場指導官はできるだけ早く戦場から離脱するように候補生たちを導く。恒星連邦は若いパイロットやメック戦士の生命を守るために、喜んで小さな一帯を手放す。部隊の記章は、緑の盾の上の白いダイヤモンドと黒いダイヤモンドである。

第1NAIS候補生訓練隊
 第1NAIS候補生訓練連隊は、軽量級のメックで編成される。

第2NAIS候補生訓練隊
 第2NAIS候補生訓練連隊は、中量級のメックで編成される。

第3NAIS候補生訓練隊
 第3NAIS候補生訓練連隊は、重量級と強襲級のメックで編成される。



境界域市民軍 MARCH MILITIAS

 早くから議論されていたように、恒星連邦のそれぞれの境界域は防衛のための数個RCTを所持している。それぞれのRCTは部隊が保護する各地域から集められた兵員で構成される。境界域市民軍に配備される武器は最高のものではないが、攻撃を受けた場合、彼らは手に負えない敵と化す。ドラコ境界域には10個境界域市民軍があり、カペラ境界域には7個境界域市民軍、南十字星境界域には7個境界域市民軍である。



アルビオン候補生訓練隊 ALBION TRAINING CADRE

 アルビオン候補生訓練隊は、AFFSにおいてNAISと同じくらい有名かつ重要である。NAISのように、アルビオンは将来有望な候補生たちの連隊を、実際の戦闘で訓練につかせる。アルビオン部隊のシンボルは、黒盾の上の白いダイアモンドと緑のダイアモンドである。

第1アルビオン候補生訓練隊
 第1アルビオン候補生訓練連隊は、軽量級から中量級のメックで編成される。

第2アルビオン候補生訓練隊
 第2アルビオン候補生訓練連隊は、重量級から強襲級のメックで編成される。



地方訓練大隊 REGIONAL TRAINING BATTALIONS

 最近、ハンス・ダヴィオン国王は、若い男女を遠くの軍事士官学校に費用をかけて送ることなく、メック戦士を訓練する手段を探していた。彼の解決策は、前線近くの世界に訓練大隊のシステムを作ることであった。経験を積んだメック戦士が比較的安いメックを使って、地元の若い男女にマシンの動かし方を教える。第1訓練大隊は3024年にコンローで作られた。これまでのところ大隊で訓練されたメック戦士は頑張っているように見える。ただし技術的な専門知識が不足しており、メックの中身について酷く無知なのではあるが。地方訓練大隊の現実的な欠点は、メック戦士養成校出身者から受ける偏見である。






AFFSに雇用されている傭兵部隊



エリダニ軽機隊 ERIDANI LIGHT HORSE
  司令官:ナザン・アームストロング名誉将軍
  部隊規模:3個連隊
  熟練度:
   第71軽機連隊(白馬連隊):古参兵
   第21打撃連隊(ウィンストン・ムーンウォーカー):古参兵
   第151軽機連隊(白馬連隊):エリート
  メック重量:軽量/中量級
  気圏戦闘機重量:中量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙艦:あり
  財政状況:良好
  契約期限:3027年 11月



リンドン部隊 LINDON’S COMPANY
  司令官:サラ・リンドン代理中佐
  部隊規模:1個大隊
  熟練度:古参兵
  メック重量:軽量級/中量級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:なし 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙艦:なし
  財政状況:正常
  契約期限:3026年 11月



ミラー襲撃隊(マローダー) MILLER’S MARAUDERS
  司令官:グリッサム・ミラー少佐
  部隊規模:2個大隊
  熟練度:古参兵
  メック重量:重量級/強襲級
  戦闘機重量:重量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:正常
  契約期限:3025年 7月



チームバンザイ TEAM BANZAI
  司令官:ドクター・B・バンザイ
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:エリート
  メック重量:軽量級/強襲級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:なし 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙船:あり
  財政状況:良好
  契約期限:3030年 1月



アイリシアン槍機兵隊 ILLICIAN LANCERS
  司令官:エレイン・スチュワート将軍
  部隊規模:4個連隊
  熟練度:
   第59打撃連隊(ブラッドレー・バッドボーイ):古参兵
   第21アイリシアン特戦隊(ドロップ・アンド・ストンプ):一般兵
   第4アイリシアン特戦隊(ジェニーの恋人):一般兵
   第9アイリシアン特戦隊(ロードランナー):新兵
  メック重量:軽量級/強襲級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:なし 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:正常
  契約期限:3026年 1月



第12ヴェガ特戦隊 12TH VEGAN RANGERS
  司令官:カーリー・ヴァンタン将軍
  部隊規模:4個連隊
  熟練度:
   アルファ連隊(コンクリート・クラッシャー):エリート
   ベータ連隊(勝利):古参兵
   ガンマ連隊(ヴィラの踊り子):古参兵
   デルタ連隊(ネルソン卿の汚れ):一般兵
  メック重量:重量級/強襲級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 7月



ディオスクーリ THE DIOSCURI
  司令官:ティモシー・ネルス、マイケル・ネルス大佐
  部隊規模:2個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:中量級
  戦闘機重量:なし
  戦車隊:なし 歩兵隊:あり 降下船:なし 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 11月



グリム・デターミネーション GRIM DETERMINATION
  司令官:フィオナ・トレント
  部隊規模:4個大隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:重量級
  戦闘機重量:重量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:なし 降下船:なし 航宙船:なし
  財政状況:非常に良好
  契約期限:3026年 7月



レッドフィールド反逆隊 REDFIELD RENEGADES
  司令官:ティレル・レッドフィールド大佐
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:中量級
  戦闘機重量:軽量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 11月



ワコー特戦隊 WACO RANGERS
  司令官:ウェイン・ワコー大佐
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:中量級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 7月



マークソン襲撃隊 MARKSON’S MARAUDERS
  司令官:リチャード・マークソン大佐
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:軽量級
  戦闘機重量:なし
  戦車隊:なし 歩兵隊:なし 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:貧窮
  契約期限:3026年 7月



ファイティング・ウルクハイ THE FIGHTING URUKHAI
  司令官:ハロルド・グリーンスパン将軍
  部隊規模:3個連隊
  熟練度:
   第8打撃連隊(レイジー・エイト):古参兵
   キャンデリ・バー・ハウンド:一般兵
   ジャクソン・スラッガー:一般兵
  メック重量:重量級/強襲級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:なし 歩兵隊:なし 降下船:なし 航宙船:なし
  財政状況:貧窮
  契約期限:3026年 3月



ケル・ハウンド THE KELL HOUNDS
  司令官:パトリック・M・ケル中佐
  部隊規模:1個大隊
  熟練度:古参兵
  メック重量:中量級
  戦闘機重量:中量級/重量級
  戦車隊:なし 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 1月



スクリーミング・イーグル SCREAMING EAGLES
  司令官:ウェイター・ホカラ大佐
  部隊規模:2個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:中量級
  戦闘機重量:重量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:なし 航宙船:あり
  財政状況:貧窮
  契約期限:3026年 1月



ワイリー・コヨーテ WYLIE’S COYOTES
  司令官:エンゾ・ウィリー大佐
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:軽量級
  戦闘機重量:軽量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:あり
  財政状況:正常
  契約期限:3026年 12月



レキシントン戦闘団 LEXINGTON COMBAT GROUP
  司令官:イザベラ・ラーム将軍
  部隊規模:3個連隊
  熟練度:
   第32偵察連隊(テッシー・スプリンター):古参兵
   ゴイダ・ゴールデン・ハンマー:一般兵
   ティモシー・ガゼル:新兵
  メック重量:軽量級/強襲級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 12月



ハーロック・ウォリアーズ HARLOCK’S WARRIORS
  司令官:ロドニー・ヴィーレ大佐
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:一般兵
  メック重量:中量級
  戦闘機重量:なし
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:なし 航宙船:なし
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 7月



ディズマル・ディシンヘリテッド DISMAL DISINHERITED
  司令官:イアン・フォントラル将軍
  部隊規模:3個連隊
  熟練度:
   オーハリ・プレイグ・オブ・ローカスト:一般兵
   ウシダ・クリプト・キッカー:一般兵
   ケリー・ホスティル・LAM:新兵
  メック重量:軽量級/重量級
  戦闘機重量:軽量級/重量級
  戦車隊:なし 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:正常
  契約期限:3027年 11月



スワン機兵団 SWANN’S CAVALIERS
  司令官:サラ・ドシミオン大佐
  部隊規模:1個連隊
  熟練度:古参兵
  メック重量:重量級
  戦闘機重量:重量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:あり
  財政状況:良好
  契約期限:3026年 12月



ブルースター・イレギュラーズ THE BLUE STAR IRREGULARS
  司令官:モナ・トロイ将軍
  部隊規模:3個連隊
  熟練度:
   第1894軽機連隊(スラフブレッド):古参兵
   アヴァター・オブ・ペインフル・デス:一般兵
   第21辺境世界メック連隊(ドランケン・サージョン):新兵
  メック重量:軽量級/重量級
  戦闘機重量:重量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:あり
  財政状況:正常
  契約期限:3027年 1月



クレーター・コブラ THE CRATER-COBRAS
  司令官:リチャード・ウェストリック大佐
  部隊規模:2個連隊
  熟練度:
   第789打撃連隊(チャン・チョッパー):古参兵
   ウェストリック・ブラック・コブラ:一般兵
  メック重量:中量級/強襲級
  戦闘機重量:中量級
  戦車隊:あり 歩兵隊:あり 降下船:あり 航宙船:なし
  財政状況:良好   契約期限:3026年 11月






軍事教育 MILITARY EDUCATION

 恒星連邦において、有望な男女が軍に入るよう奨励するのは、惑星の貴族の責任である。AFFSの定期テストで高い点を取るか、優れた身体能力を持つような将来有望な若者たちが、惑星の貴族か政府から奨学金を与えられ、近場の軍士官学校に派遣される。AFFSに入隊したい若者で、士官学校に行く金がない者は、ROTC(予備士官訓練過程)に入隊して、地元の惑星防衛部隊で予備士官になるかもしれない。もしパグ(惑星市民軍)でのキャリアが顕著なものだったら、AFFSの前線部隊への加入を求められる可能性がある。

 士官候補生たちは、士官学校で最初の2年間、軍事の基礎と科学の背景を重点的に学ぶ。また生徒たちは、AFFSのどの部署に入りたいかを考えるよううながされる。候補生が決めたなら、残り2年のほとんどは選んだ専門に専念する。すべての兵士たちは、向上心のあるメック戦士、戦闘機パイロットでさえも、いかに他の人たちに支えられているか理解するために、一般的な歩兵、軍官僚、技術者になるのがどういう意味を持つのか学ばねばならない。

 今日、恒星連邦には10の大規模な軍士官学校と、5つの小さな士官学校がある。すべての訓練教科を提供している学校もあるが、ほとんどは特定の教科に専門化されている。ダヴィオン軍部が要求する新たな士官を用意できるよう、AFFSの管理者たちはカリキュラムに注意している。

 最近、AFFSは、士官学校のシステムから外れた、新しい抜本的なメック戦士訓練プログラムを作り上げた。このプログラムの基本は訓練大隊だ。少数の教師と技術者が、(特に国境線上の貧しい)世界に赴く。そこで彼らは、貧しく軍士官学校に入学できないような若い新兵たちに、メック訓練を施すのである。訓練大隊の訓練はみすぼらしいものであると、AFFS内のメック戦士の多くが信じており、そういったものひどく嫌っている。現在、恒星連邦には3個訓練大隊がある。



アルビオン軍士官学校 ALBION MILITARY ACADEMY, NEW AVALON

 アルビオン軍学校は恒星連邦でもっとも古く、格式高い軍士官学校である。ニューアヴァロン市民軍に入隊する士官のため、2400年代に産声を上げた。この学校(アヴァロン市の約30キロメートル南にある)は、2604年に施設の広範囲な修復と拡張が行われ、公式に星間連盟防衛軍の軍士官学校となった。こういった処置によって、素晴らしい軍事教育が保証されている。(星間連盟)正規軍で5年を過ごしたあとで、アルビオン卒業生は、AFFSに戻ってすぐ昇進するのを期待できた。

 士官学校のインストラクターの多くは、ケレンスキー将軍の命令に従って中心領域を去るより、学校に残ることを選んだ。これは恒星連邦にとって幸運だった。アルビオンで訓練を積んだ兵士たち数名の手腕がキーとなり、恒星連邦は継承権戦争の破壊を生き延びることができたからだ。今日、この学校はメック戦士と気圏戦闘機パイロット、それに歩兵、装甲、間接砲各部隊の士官を訓練している。戦略と戦術がアルビオンでは特に強調される。

 NAIS軍事科学部(カレッジ)はアルビオンのライバルである。年に一度、両校のバトルメック訓練候補生たちが、ジャスパー平原(数百キロメートルの広さがある)で、一連の演習を行う。勝者は「ニューアヴァロンの若き獅子」であると宣言される。アルビオン軍士官学校の司令官はフュース・シモンズ大佐である。



NAIS軍事科学部(ニューアヴァロン軍士官学校) NAIS COLLEGE OF MILITARY SCIENCES(NEW AVALON MILITARY ACADEMY)

 恒星連邦で最も古い訓練機関がアルビオン士官学校なのかもしれない一方で、NAISカレッジのほとんど忘れらさられた起源は、アルビオンに匹敵する。中心領域で最大の大学の輝くような真新しいビルの位置に、かつてニューアヴァロン軍士官学校(NAMA)があったことを思い出す者はほとんどいないだろう。

 NAMAは星間連盟がアルビオン軍学校を接収した10年後に建設された。ニューアヴァロンが恒星連邦の装甲軍にも兵士を供給するためにである。訓練を受けることによって、NAMAの候補生たちは、政治の訓練を厳しくたたき込まれ、MIIOから精査される。卒業生たちはAFFS内の忠誠厚い兵士の核となり、内部闘争に影響を持つようになった。変わらぬ忠誠の伝統は、幾年にもわたって続いたのだった。

 卒業生は忠誠溢れる兵士になりつづけたのだが、星間連盟の没落後に、NAMAは人気を失った。しばらくのあいだ、NAMAとその様々なメック連隊は、前線勤務につき、軽蔑の的となった。人々は彼らが目立つライバルであるアルビオン士官学校の卒業生にかなわないと考えていたのだ。この士官学校に入学を希望する候補生が激減すると、軍指導者のなかには、士官学校を閉鎖するかアルビオンと合併することを提案する者もいた。

 NAMAを救い、栄光への道を取り戻したのはイアン国王その人だった。NAMAの卒業生として、彼は権力を握ったときに、再建と人事一新を命じて、母校に謝意を表したのだった。その後、ハンス・ダヴィオン国王(大規模で高価な大学を建設する野望を正当化する道を探していた)は、ニューアヴァロン軍事士官学校を新たな大学の物理的な中心にすることを決めた。それは軍事と科学の双方の重要な施設となるだろう。貴族たちは新たな大学を建設するというダヴィオンの提案に反対したのだが、軍士官学校の周囲に教育機関を建設するというアイディアは歓迎した。そういったやり方は、彼の政治家としての手腕を予知していたのである。

 軍事科学部(として今日知られている)は、中心領域でもっとも高価な設備の整った軍士官学校かもしれない。足りないものは何もない。訓練用のメックと戦闘機が豊富にあり、考えられるどんなメックのシミュレーターでも(中心領域で知られている、どんな種類の設計でも)ある。3本のガントレット(候補生の反応をテストするブービートラップの迷路)があり、戦争のやり方を実習する多数の開けた地形がある。

 軍事科学部は、NAMAの伝統を数多く残している。伝統のうちもっとも価値あるものは、恒星連邦とダヴィオン家に対する忠誠心だ。軍事科学部の司令官はジェレミア・ダヴィオン少将である。



ロビンソン戦闘士官学校 BATTLE ACADEMY ON ROBINSON

 廃校となり戦闘の被害を受けていた戦闘士官学校は、最近、戻ってきた。第一次継承権戦争中に始まった戦闘士官学校は、ちょうど最初の士官たちを卒業させたところである。かつてドラコ連合がロビンソンを奪ったとき、占領軍の兵士は戦闘士官学校に特別な注意を向けた。ロビンソン市民の士気をくじく活動の一環で、ドラコ連合の占領行政官たちは、侵攻で死ななかった候補生たち数名に対し、戦闘士官学校の建物を素手で破壊するように強制した。それが不可能であることはクリタ人にとってどうでもよかった。

 戦闘士官学校を完全に再建し再開するのに多くの年月が費やされた。3020年にロビンソン経済が好況に入ると、サンドヴァル家(惑星の公爵で、ドラコ境界域全体の名目上の支配者)は、学校再建を決めた。戦闘士官学校が、ニューアヴァロンのアルビオン校や軍事科学学部(カレッジ)に匹敵するよう努力を惜しまなかった。

 戦闘士官学校の司令官はディビット・サンドヴァル大佐である。



戦士ホール、ニューシルティス WARRIOR’S HALL, NEW SYRTIS

 戦士ホールは元々、ニューシルティス首都近郊の正規軍基地近くにあった士官クラブとVOQ(士官宿舎)だった。星間連盟時代の初期に、ホールは正規軍とダヴィオン軍の士官が混ざりつきあう場であった。ふたつの集団が出会った場合は常に、必然的なひとつの疑問につきあたった――正規軍とAFFSのどちらが優れた軍隊なのか。熱い議論、論争、酔っての口論を見た両軍の司令官は、部下たちにこの問題を解決するチャンスを与えた。2グループは充分な金を出し合って、現在使われてるガントレットに似た障害物とブービートラップの迷路を造り、兵士に古い訓練用メックを与えて、競争と戦闘を行った。さて、戦士ホールで論争が白熱したときは常に、士官たちは訓練機に飛び乗り、障害物コースで互いに戦うか、単純にタイムを競った。

 それは軍士官学校に入れないような近所の村の貧しく若い有望な男女にメックの技術を教えるのに、迷路と訓練機が使われるようになる最初の短いステップだった。AFFSと正規軍の双方は戦士ホールの有用性に気づき、メック戦士を訓練するホールの能力を共同で拡大し始めた。星間連盟の時代が終わるまでに、戦士ホールはすべての軍事教科(航宙艦作戦を除く)を教える完全な士官学校としての能力を持つようになった。

 最近、戦士ホールは、マイケル支持、反ハンスの温床となりはじめた。ニューシルティス公の工作員がこの傾向を煽っていることは間違いない。ハセク=ダヴィオンは、エリートのシルティス機兵連隊がホール卒業生で完全に占められるのを好む。

 今日、戦士ホールはキャサリーン・サリヴァンによって指揮される。



サハラ士官学校 SAKHARA ACADEMY

 サハラ士官学校は恒星連邦の数少ない私立校のひとつである。2613年に、星間連盟を引退した士官のグループが作り上げたこの士官学校は、授業料を払える者なら誰でも喜んで受け入れる。第一次継承権戦争のあいだ、サハラ士官学校は名をあげた。職員と生徒(約6個混合連隊)が、第3〈光の剣〉連隊と3個古参クリタ連隊による三度の異なった攻撃に立ち向かい、跳ね返したのである。この作戦行動(〈竜の馬上槍試合の日〉で知られる)は、士官学校の評判を高めてた。

 今日、サハラは20名のメック戦士と、同数のパイロット、戦車、歩兵士官を毎年送り出しているだけだが、学校の伝統と歴史はAFFS内で尊敬を得ている。この学校は非常に規模が小さく、伝統に縛られているので、卒業生はそれを愛し、過ごした4年間は人生で最良の日々だったと考える。だが、訓練は精神、肉体の両面で厳しいのだった。

 サハラ士官学校の指揮官は、AFFS退役大佐のリンゼー・トレヴェリスである。



アームストロング航空士官学校 ARMSTRONG FLIGHT ACADEMY

 ギャラックスに位置するアームストロング航空士官学校は、第一次継承権戦争の時代に、降下船・航宙艦の乗組員を訓練するため、建設された。AFFSがギャラックスを選んだのは、フェデレーテッド・ボーイング(中心領域で最大の降下船製造業者)が惑星の周囲にあったからだ。

 今日、アームストロング航空士官学校の講師は、フェデレーテッド・ボーイングの社員でもある。彼らの専門知識が、卒業生をAFFSで最良の降下船・航宙艦乗組員にするのだ。ジャスワ・プナーラ大佐が、現在、アームストロング航空士官学校を指揮している。



ポイント・バロウ軍士官学校 POINT BARROW MILITARY ACADEMY

 ポイント・バロウ軍士官学校は、現在、反ダヴィオン活動の疑いで操作を受けているところである。首都近郊での反政府爆弾テロが、候補生数名に行き着いたのだ。コムスターは事態の全貌が謎で包まれているのに気づき、まだROM工作員による捜査の真っ最中である。

 そうでなくともこの士官学校は得体がしれない。戦闘機パイロットを育成することはできないが、よいテックと機関士を排出することで知られている。士官学校の指揮は、現在、カルヴィン・フローシス大佐と、軍諜報部のクローディア・サンダース少佐が共同で受け持っている。



ゴシェン軍事大学 WAR COLLEGE OF GOSHEN

 ゴシェン軍事大学は70年に渡って、メック・戦闘機操縦の良質な技能を生徒に教えている。その訓練候補生部隊(現在は解散された)は、かつてカペラ境界域中心戦闘区域の地域防衛機構の鍵となる部分を受け持っていた。フランシス・マリーヴェルト大佐がこの士官学校を指揮している。



キルボーン士官学校 KILBOURNE ACADEMY

 キルボーン士官学校は、辺境近くに位置する二校の軍士官学校のうちの一校である。この王国で無視されている分野の教育を受け持つ代表者なので、学生はAFFS入りするのを制限されたりはしない。非軍事分野では、市民の入学が許される。

 キルボーン士官学校はメック戦士と気圏戦闘機パイロットを訓練しているのだが、実際にはテックと機関士の訓練に特化されている。T.R.グラハム大佐がこの士官学校を指揮している。



フィルトヴェルト軍士官学校 FILTVELT MILITARY ACADEMY

 最近建設されたフィルトヴェルト軍士官学校もまた、市民の非軍事クラスへの入学を認めている。フィルトヴェルト・キルボーン士官学校の卒業生の多くは、AFFSの辺境部隊へ入隊することになる。フィルトヴェルト軍士官学校を指揮しているのは、ケーティー・グレアム大佐(T.R.グラハム大佐の姉妹)である。






戦力と弱点 STRENGTHS AND WEAKNESSES

 恒星連邦装甲軍は、中心領域で最強の軍隊を誇っている。その兵士たちは最下級の歩兵から最高のメック戦士まで、よく訓練されていて、士気が高い。この事実により、ドラコ連合やカペラ大連邦国といった隣国に比べ、彼らは自由を楽しんでいる。AFFSで使われている装備は、軍の必要なすべてを満たすのに充分ではないものの、高い品質と信頼性を保っている。119個バトルメック連隊、その10倍の航空機、装甲、歩兵、間接砲部隊……多くの市民は、なぜ恒星連邦が中心領域を切り開き、他の王家を吸収しないのか疑問に思う。

 その質問に対する明白な答えは、宇宙が広大であり、AFFSが長い国境線を守らねばならないということだ。さらに難解なことに、他の王国よりも領土のふくらみや突出した危険な部分が多いのだ。ニューアヴァロン周囲の重要な世界を守るため、国境に兵士を駐屯させるという単純な任務だけで、AFFS連隊の2/3が取られてしまう。残った数個連隊だけが攻勢に使えるのだ。

 恒星連邦の広大さはもうひとつの問題を作り出した。数光年も離れた軍隊を統率するのは難しく、優れたAFFSの攻勢を崩壊させてしまうのだった。綿密に計画され、参加する誰もが完全に説明を受けている作戦行動を除いて、AFFSがいつでも起こせる唯一の作戦行動は、連隊規模での襲撃である。

 AFFSによる努力を妨げるような、もうふたつの問題がある。ひとつは軟弱な経済状況である。恒星連邦はAFFSが必要とするものと、市民が必要とするもののバランスを取ろうと試みている。市民たちは隣国の一般民衆と違って、生活に最低限必要なもの以上を要求するのだ。この試みは成功からほど遠く、AFFSと平均的市民の双方を満足させていない。バランスを急にどちらかに移したら、軽視された側が怒り、潜在的な危険を抱えるだろう。物質的に豊かなライラ共和国との同盟が歓迎されたのはこのような理由からだ。

 AFFSが直面しているもうひとつの問題は、組織間、連隊間、地域間でのライバル関係である。それは王国の安定を脅かしている。

 地方の競争は必然かもしれない。というのは、他の王家も市民の地域的な紛争を避けられないように見えるからだ。軍部が、単一の地域で生まれた男女で連隊を作るのを認めたら、トラブルを呼び込むこととなる。兵士たちはすぐその地域の政治に首を突っ込むからだ。シルティス機兵連隊がもっとも明白な例である。ニューシルティスとカペラ境界域に関係を持っていることから、部隊はマイケル・ハセク=ダヴィオン公(ハンス・ダヴィオン国王のライバル)の忠実な支持者になるのだ。そういった地域的関係の助長は、二度目の恒星連邦内戦の可能性を現実のものとしている。

 組織間のライバル関係は、AFFSの隠れた問題のひとつだ。ダヴィオン一族のほとんどはメック戦士であり、従って、この部門をひいきするようになる。航空機パイロットや他のAFFSエリートたちは、拒絶され無視されたように感じるのだ。さらに残った部局は、メック戦士とパイロットが媚びへつらわれ、自分たちは相手にされてないと信じている。この種の組織間のライバル関係はたいていバーで解決するのだが、他の場合はもっと酷い結果となった。

 これらのいがみあいと戦うために、AFFSの元帥は、現実に連隊間の競争を促進させるしかなくなった。兵士たちが誇りあるRCTや連隊に属していると考えれば、組織間の問題は和らぐかもしれないという原理である。おそらくこの考えに無理はない。というのも、最悪の時期だった2850年代よりも、組織間の問題は減少しているからだ。

 こういった諸問題にもかかわらず、AFFSの未来は明るく、士気は高い。恒星連邦の連隊に浸透している楽観論のほとんどは、ライラ共和国との同盟からきている。このような力と富の同盟が憎むべき(ドラコ)連合に強調して挑むという期待は、最も悲観的なダヴィオンの兵士にさえ、何らかの見通しを与えている。






教育、文化、芸術教育 EDUCATION,CULTURE, AND ARTS EDUCATION


ニューアヴァロン科学大学 New Avalon Institute of Science

 ニューアヴァロン科学大学は中心領域で最大、最高の科学総合大学である。3015年に創設された研究所は、いくつかの鍵となる科学的再発見を成し遂げ、すでに存在感を示している。これら多くの成功により、NAISを作るのに要求された恒星連邦市民の投資は報われたのだった。新技術の発見と開発を続けることに加えて、NAISの教授たちが、ハンス・ダヴィオンの偽者(綿密な陰謀によりリャオ家がすげ替えようとした者)を暴くのを助けたのを、我々の諜報組織は示唆している。

 NAISはアヴァロン市首都の郊外約30キロメートルのところに位置している。その大学の場所は、かつてダヴィオン家所有の猟区であった。元々、深い森と開けた牧草地だったそこは、いま200前後の大学の建物が建っている。たまにバトルメックが開いた大地を踏みつけ、大学所有の宇宙港から降下船が離発着する。

 NAISは広大で魅力的なデザインの大学で、ほとんどの学部(カレッジ)は、巨大なルシアン記念碑の周囲にある。記念碑から東に、宇宙港と、軍事科学部の生徒のための戦闘シミュレーター。北に巨大な事務管理棟ビル。西に巨大な図書館とコンピュータ科学ビル群があり、南には学生向けの多数の寮、体育館、食堂、並木道の公園がある。

 NAISは7つの別々の学部から構成される。化学・医学部は、ドクター・ジェニファー・シャリー(軍医局部の大佐、顕微外科手術の著名な研究者)が代表している。この学部の卒業生は、医局部の軍医か、化学兵器部門の科学者として恒星連邦に仕える。この学部は学生に必要とされている先進医療技術をたたき込む。上流階級の人々の多くは、NAISの卒業生を主治医にするのを誇ることができる。

 工学部はサビナ・カールトン教授(AFFS工学・技術部大佐)が代表する。サビナ教授(若き日に有名な技術者だった)は、工学の失われた断片を再発見するためにスタッフを導いている。彼女の研究対象のほとんどは軍事工学に対するものだが、他のプロジェクトも同じ重要さでいくつか行われている。実際に、NAIS工学研究のゴールは、ダヴィオン家が水浄化設備をもっと素早く生産するために、情報を再発見することでもあるのだ。工学部の講師は、得体の知れないチーム・バンザイ(神秘的な戦闘団)によく手助けされる。戦っていないとき、このグループの隊員たちはいくつかの最先進コースで講義し、設計チームで働く(バトルメックから子供のおもちゃまでなんでも作る)。

 採掘/冶金学部は、ラジブ・マラージャ教授が代表する。この学部の目的は、バトルメック生産のための強く軽い金属を作るのに必要な、失われた技術を再発見することである。人類はまだバトルメックの骨格を作る知識を持っているのだが、メックの駆動部に使われる合金の知識は失われ、テックたちは劣った金属をコピーして使わざるを得なくなっているのだ。もし失われた合金の法式が再発見されれば、恒星連邦の軍と経済の両方に大きな影響力を持つだろう。

 化学部は混乱状態にある。学部の極秘研究成果が私企業に売却されるというスキャンダルで、ディーン・デフリン・サンダースが辞職せねばならなくなってからのことだ。公式にサンダース教授の代わりが置かれることはなかった。ただ、学部の臨時指導者サンディナ・ヴァスリー教授が、管理することになると予想されている。この学校のキーとなるプロジェクトのひとつは、新たな水浄化プロセスの開発である。このプロセスはフィルトラム(水から不純物を取り除く砂のようなもの)と呼ばれる何かを使うと言われている。フィルトラムの化学成分は、NAISの化学者が改良しようとしているものだ。もし公式を完璧なものにできれば、フィルトラムシステムは簡単かつ経済的に使われるものになるだろう。工学部もこのプロジェクトに深く関わっていると見られる。

 軍事科学部はエリートのアルビオン軍士官学校に肉迫している。ここに欠けている装備、設備はない。たくさんのトレーニング用メック、戦闘機、シミュレーター(今日知られているあらゆる種類のメックに対応するもの)がある。学部はまた3本のガントレット(特殊メック訓練グラウンド)を誇っている。軍事科学部の司令官はジェレミア・ダヴィオン少将である。

 NAISの金融学部では、エコノミストとビジネス数学者が訓練している。入学の条件は、卒業したら政府の経済省で10年働くことである。才能があり、熱心に働く者は、省内で昇進し、10年働いたあとで容易に政界に入るステップとなる。サミュエル・マイスケンズ教授がこの学部の学長である。

 政治学部は二種類の生徒を訓練している。貴族の子弟はここにやってきて、効率的に政府を運営する訓練を受ける。学生総数には、恒星連邦の官僚組織に入る者たちを含む。ダヴィオン一族は、軍事科学部と同様、この学部に入学しほぼ卒業する。




indexに戻る
inserted by FC2 system